JP3586082B2 - ディジタル信号受信端末装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば複数の異なる放送事業者のディジタル放送を共用して受信可能なディジタル信号受信端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、信号源の高能率符号化技術、ディジタル変復調技術等を利用したディジタル放送や通信ネットワークでは、映像、音声、データといった様々なサービス形態を持つ信号を符号化し、パケット化して多重伝送することで多チャンネル化を実現できる。
【0003】
特に、映像、音声の符号化方式及びこれらの多重化方式に関しては、国際標準化を図るMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)で、放送分野での応用を考慮した検討がなされている。このうち、多重化方式を扱うMPEG2システムでは、PS(Program Stream:プログラム・ストリーム)とTS(Transport Stream:トランスポート・ストリーム)の2種類の多重信号形式が規定されているが、放送分野では伝送誤りの発生しやすい環境での利用と複数番組の多重化を対象としたTSが広く採用されている。
【0004】
さて、このようなディジタル放送信号を受信・復号化処理する受信端末装置は、一般にセットトップ・ボックスあるいはIRD(Integrated Receiver Decoder )と呼ばれている。以下、IRDで総称する。
【0005】
このIRDは、受信時に予め登録されたネットワーク情報や個人契約情報等の内容に基づいて受信の可否を制御する機能を有する。その情報内容の更新データは放送波を通じて伝送される。このため、AC電源オン時に、番組表示や非表示の状態に関わらず、ネットワーク情報や個人契約情報に関して、登録内容から変更があった場合には更新処理を行う。
【0006】
ところで、上記のような従来のIRDでは、複数の放送事業者(ネットワーク)、例えば衛星放送会社Aと衛星放送会社Bとに契約し、1台でそれらの放送サービスを受信する場合、ネットワーク切替の際にROM等からその処理プログラムをロードして受信再生処理を実行する必要がある。
【0007】
しかし、一般にはネットワークが異なればCA(Conditional Access)方式が異なる場合が多いにもかかわらず、1台のIRDには十分な数のCAインタフェースを装備していない。このため、ネットワーク切替の際には、視聴者がCA処理プログラムを内蔵したICカードなどの着脱を行って、その都度ネットワークの処理プログラム実行を指示しなければならない。これでは、視聴者の操作手続きが繁雑となり、しかも受信再生処理に時間がかかってしまう。また、ICカードが抜き去られた対象ネットワークの番組予約が存在すると、デスクランブル処理されないまま再生/録画処理が実行されてしまうという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のディジタル信号受信端末装置では、1台でICカードなどの着脱を行ってCAインターフェースの数を上回る複数の放送事業者(ネットワーク)の限定受信放送サービスを受信する場合、視聴者の手続きが多く、受信再生に時間を要してしまい、またデスクランブル処理されずに番組予約を実行してしまうという問題が存在する。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、1台でICカードなどの着脱を行ってCAインターフェースの数を上回る複数の放送事業者(ネットワーク)の限定受信放送サービス等のディジタル信号を受信する場合でも、視聴者の手続きを軽減し受信再生に要する時間を短縮することができ、しかもデスクランブル処理されずに番組予約を実行することを回避することのできるディジタル信号受信端末装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明は、複数の情報サービスのディジタル信号の受信が可能なディジタル信号受信端末装置において、入力切替手段により前記複数の情報サービスのディジタル信号入力を選択的に切り替え、プログラム格納手段により前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理を実行するプログラム・コードを格納して指定されたプログラム・コードをロードできるようにし、受信情報格納手段により前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理に必要な情報を格納して指定された受信情報を選択出力できるようにし、限定受信インターフェース手段により予め受信許可の必要な限定受信方式による情報サービスのディジタル信号を受信処理するための制御情報を提供する制御情報提供媒体を着脱自在とし、前記制御情報提供媒体の装着状態で当該媒体から制御情報を受信可能とし、情報サービス識別手段により前記限定受信インターフェース手段を通じて前記制御情報提供媒体を自動的にアクセスして制御情報を取得し、この制御情報に基づいて限定受信方式による情報サービスを識別し、前記制御処理手段により前記複数の情報サービスの選択及び前記情報サービス識別手段の自動識別に応じて、前記入力切替手段の入力選択、前記処理プログラム格納手段のロードプログラム選択、前記受信情報格納手段の受信情報の選択を制御するようにしたものである。
【0011】
すなわち、入力切替手段を設けることで、複数の情報サービスからの入力を選択して処理することができる。また、プログラム格納手段を設けることで、これら複数の情報サービスそれぞれの処理プログラム・コードを格納しておくことができる。受信情報格納手段を設けることで、上記の複数の情報サービスそれぞれの受信処理において必要な伝送諸元などの情報を格納しておくことができる。そして、制御処理手段を設けることで、切替指定された情報サービスのディジタル信号を取り込み、その情報サービスに対応するプログラム・コードを実行して、その情報サービスに対する受信情報を参照して、チューニングからデスクランブル、多重分離、デコード再生といった受信処理を行い、さらにこれら受信情報が更新されていれば受信情報格納手段に格納していたものを書き換えることが可能になる。
【0012】
また、限定受信インタフェース手段を設けることで、デスクランブル処理の際に必要な処理を行うICカードなどの限定受信処理手段とのやりとりが可能になる。また、ネットワーク識別手段を設けることでICカードなどの限定受信処理装置からの信号によって対応するネットワークを識別することが可能になる。これらを利用してICカードなどの限定受信処理手段との接続時に、対応する情報サービスを識別することで情報サービス切替の際に視聴者の指定を待たなくとも短時間で受信再生処理を実行することができるようになる。
【0013】
特に、限定受信インターフェース手段を複数備える場合には、その中から限定受信処理中の限定受信インターフェース手段を識別表示することで、視聴者が誤って受信処理中の制御情報提供手段との接続を遮断してしまうようなミスを侵すことのないよう防止することができるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係るディジタル放送受信端末装置(以下、IRDと記す)の基本構成を示すブロック回路図である。図1において、アンテナ11は指定ネットワークに合わせ衛星の軌道位置に指向を調整するディッシュマスタ機能を持っている。このアンテナ11で受信されたRF放送信号はチューナ12に入力され、所定の伝送周波数帯の信号が選択されて復調器13に供給される。この復調器13は、入力された選択受信信号をA/D変換した後、送信側でディジタル変調処理された例えばQAMやQPSK等の信号を復調するもので、ここで得られた復調信号は誤り訂正(FEC)復号化器14に供給される。
【0015】
この誤り訂正復号化器14は、送信側でビタビ符号等の畳み込み符号化やRS(リードソロモン)符号化された信号を復号化するもので、その復号化出力はデスクランブラ15に供給される。このデスクランブラ15は、復号化信号から指定された番組のスクランブルされた映像や音声の信号をスクランブル鍵を基にデスクランブルするもので、そのデスクランブルされた復号化信号(トランスポートストリーム)はトランスポート処理器16に供給される。
【0016】
このトランスポート処理器16は、送信側でTSの形式で多重されてきた、一般には複数のサービス(放送番組)の中から所定のサービスを選択して、そのサービスを構成する映像や音声の信号をデスクランブルされた復号化信号から多重分離し、デパケット処理を行ってそれぞれの圧縮信号に戻すもので、映像出力はMPEG映像復号化器17に供給され、音声出力はMPEG/AC3音声復号化器18に供給される。
【0017】
MPEG映像復号化器17は、SDRAM19に復号化された映像フレームを蓄えながらMPEG2の映像高能率符号化方式で符号化された信号を復号し、Y、Cb、Crのディジタルのコンポーネント信号を得るもので、この復号化されたディジタルコンポーネント信号はNTSC(またはPAL)エンコーダ110によってNTSC(またはPAL)のアナログのコンポジット信号に変換されて映像再生系へ出力される。また、音声についても同様にMPEG/AC3音声復号化器18で圧縮復号された後、音声D/A変換器111によってアナログの音声信号に変換されて音声再生系へ出力される。
【0018】
そして、このIRDには、上記の信号を適切に制御するため、ホストプロセッサ112やDRAM113、ROM114(EEP−ROM等の不揮発メモリでもよい)が用意されている。ホストプロセッサ112は、例えばIRDのリモコン入力を始めとする周辺機器の制御を支援するサブMPU115やスマートカード・インタフェース116と接続され、例えばスマートカード・インタフェース116を介してICカード(スマートカード)に搭載されているCA(Conditional Access)システム処理とデスクランブル処理に必要な諸データのやりとりを行い、これらの諸データに基づいてデスクランブラ15やトランスポート処理器16の実行処理を制御する。これらに加え、ホストプロセッサ112は指定番組の多重分離処理の制御を実行する。また、ROM114には、予め切り替え可能な複数のネットワークからの放送信号を受信するための上記制御を始めとする処理プログラム・コードが格納されているものとする。
【0019】
ここで、ホストプロセッサ112が実行する指定番組の多重分離処理の制御について説明する。多重分離処理は、以下に説明するように、PSI(Program Specific Information)と呼ばれるテーブル形式の各種情報などを取得することによって可能になる。ホストプロセッサ112はこれらの情報の取得を適宜トランスポート処理器16に指示する。
【0020】
この処理アルゴリズムの一例を図2及び図3に示す。尚、図2中のA,B,Cはそれぞれ図3中のA,B,Cに続くものとする。
まず、このIRDにAC電源が投入された直後(S0)、ネットワーク(NW)を指定して初期設定(この初期設定値を仮にネットワークAとする)を行い(S1)、そのネットワークAに対する処理プログラムをROM24からロード・実行する(S2)。そして、サービス指定に関する初期設定を行い(この初期設定値を仮にサービスnとする)(S3)、IRD内の不揮発メモリ等に予め保持しているNIT(Network Information Table )と呼ばれるネットワーク情報を参照し、衛星軌道位置やRF帯域伝送周波数、偏波、変調方式などの伝送諸元情報を得る(S4)。そして、これらの情報を基に、アンテナ11の入力選択やTS切替、チューニングを行う(S5)。
【0021】
これによって入力した信号は、図1の説明にあったように復調処理や誤り訂正復号処理、デスクランブラ処理を経て、トランスポート処理に入る。このトランスポート処理では、まず初期設定の状態か否かを判断する(S6)。この場合には、IRDは電源投入直後の初期設定のままなので(Yes)、トランスポート処理器16に対して受信設定を行う(S7〜S9)。具体的には、トランスポート処理器16に対して、PAT(Program Association Table )という番組関連情報の取得指示(S7)、CAT(Conditional Access Table)という限定受信関連情報の取得指示(S8)、この情報からEMM(Entitlement Management Message)という、契約者固有のICカードIDに基づく個人契約情報の取得指示(S9)を行う。EMM取得完了後、IRDにICカードが挿入されているかどうかを確認し(S10)、挿入されていなければ(No)、視聴者にICカードを挿入するように要求する旨の表示を指示し(S11)、ICカードが挿入されている場合には(Yes)、EMM個人情報をICカードに書き込む(S12)。これにより、暗号化されたスクランブル鍵を復号することが可能になる。
【0022】
続いて、取得したPATを検索して、指定サービス(この場合、サービスn)に対応するPMT(Program Map Table )を取得するようトランスポート処理器16に指示する(S13)。こうして取得したPMTを参照して、指定サービスの番組を構成する映像や音声などの伝送ストリームを取得するようトランスポート処理器16に指示する(S14)。また、同時に各伝送ストリームに対応するECM(Entitlement Control Message )も取得するようトランスポート処理器16に指示し、暗号化されたスクランブル鍵をICカードに転送する(S15)。
【0023】
以上の設定後、限定受信が可能か判別し(S16)、限定受信が可能な場合には(Yes)、デスクランブラ15に対し、復号化されたスクランブル鍵を基に番組を構成する映像や音声などの伝送ストリームをデスクランブルするよう指示し、MPEG映像復号化器17及びMPEG/MC3音声信号復号化器18に番組のデコード・表示を指示する(S17)。限定受信が不可能の場合には(No)、受信不可の表示を指示する(S18)。
【0024】
以上の処理を行った後、視聴者からの表示停止指示の有無を判別し(S19)、表示停止の指示があった場合には(Yes)、表示停止状態に設定して、表示再開指示があるまでネットワーク内でのサービス情報の更新監視処理を繰り返し実行する(S20,S21)。また、表示停止指示がなかった場合にも(No)、ステップS20と同様の更新監視処理を実行する(S22)。
【0025】
ここで、ステップS20、S22におけるサービス関連情報の更新監視処理について説明する。すなわち、IRDでは通常、電源OFFを実行した場合、AC電源供給を停止しない限りは、画面や音声の出力表示のみを停止させ、トランスポート処理器16などは動作し続けるようにしている。これは繰り返し多重伝送されてくるPSI等の情報が更新されていないか常に監視し、更新を検知したときにその情報の書き換えを行うためである。
【0026】
この更新処理の例を図4に示す。
PSI等は一般にバージョン番号を持っており、これが更新される際にはこの値が1つインクリメントされる。したがって、NITを受信し(T1)、NITのバーション番号を調べ(T2)、このNITのバージョン番号に変更があった場合には(Yes)、IRDが保持していたNITの情報を更新して(T3)次の処理に移行する。変更がなかった場合にも(No)次の処理に移行する。
【0027】
また、PATを受信し(T4)、PATのバーション番号を調べ(T5)、このPITのバージョン番号に変更があった場合には(Yes)、IRDが保持していたPITの情報を更新して(T6)次の処理に移行する。変更がなかった場合にも(No)次の処理に移行する。同様にして、CATを受信し(T7)、CATのバーション番号を調べ(T8)、このCITのバージョン番号に変更があった場合には(Yes)、IRDが保持していたCITの情報を更新して(T9)次の処理に移行する。変更がなかった場合にも(No)次の処理に移行する。
【0028】
さらに、EMMの変更の有無を調べ(T10)、変更がある場合には(Yes)EMMを更新し(T11)、ICカードに個別情報を書き込み更新して(T12)、次の処理に移行する。変更がない場合にも(No)次の処理に移行する。
【0029】
次に、PMTの変更の有無を調べ(T13)、変更がある場合には(Yes)PMTを更新して(T14)次の処理に移行する。変更がない場合にも(No)次の処理に移行する。最後に、ECMの変更の有無を調べ(T15)、変更がある場合には(Yes)ECMを更新し(T16)、ICカードに共通情報を書き込み更新して(T17)一連の更新監視処理を終了する。変更がない場合にも(No)一連の更新監視処理を終了する。また、他のサービス情報に関しても、特に記載していないが、同様の更新監視処理を行う。
【0030】
上記更新監視処理の実行後、図2及び図3において、視聴者からのネットワーク変更指示の有無を判別し(S23)、ネットワーク変更指示を受け付けとった場合には(Yes)、CA方式を判定して該当するネットワークを指定する処理を行って(S24)ステップS2に戻り、その指定ネットワーク(例えばネットワークB)のプログラムをロード・実行して上記の処理を繰り返す。また、ネットワークの変更指示がなかった場合には(No)、サービス変更指示の有無を判別する(S25)。
【0031】
ここで、他のサービス指定(例えばサービスm)を受け付けた場合には(Yes)、サービス指定処理を行って(S26)、ステップ(S6)に戻る。この場合、初期設定ではないために(No)、再びNITを参照して(S27)、サービスmが直前のサービスnと同じTSに属するか否かを調べる(S28)。他のTSに属する場合には(Yes)TSを切り替えて(S29)、ステップS7以下の処理を繰り返す。同じTSに属する場合には(No)、サービスmについてステップS13以下の処理を繰り返す。さらにステップS25において、指定サービスの変更がない場合も(No)、ステップS16以下の処理を行う。このようにして、PSI等の情報が更新されていないか常に監視し、更新を検知すればこの情報の書き換えを行う。
【0032】
ところで、上記ステップS24でのネットワーク変更のための処理は、一般的には図5に示すように、視聴者に対してネットワークの指定要求の表示指示を行い(S31)、視聴者からのネットワーク指定の有無を判定し(S32)、視聴者からネットワーク指定を受け付けた場合には(Yes)、16ビットのネットワークIDで識別されるネットワークの処理プログラムの実行設定を行う(S33)。
【0033】
しかしながら、このままでは複数の放送事業者(ネットワーク)、例えば衛星放送会社Aと衛星放送会社Bとに契約し、1台でそれらの放送サービスを切り替えて受信する場合、視聴者がCA処理プログラムを内蔵したICカードの着脱を行って、その都度ネットワークの処理プログラム実行を指示しなければならず、視聴者の操作手続きが繁雑となり、しかも受信再生処理に時間がかかってしまう。また、ICカードが抜き去られた対象ネットワークの番組予約が存在すると、デスクランブル処理されないまま再生/録画が実行されてしまうという問題もある。
【0034】
そこで、本実施形態では、上記ステップS24でのネットワーク変更のための処理を図に示すように行う。すなわち、ネットワーク切替の際、ICカード差し換えによって視聴者の明示的な指定を受けなくとも新しいネットワークを自動的に認識し設定処理を行う。
【0035】
まず、ICカードが抜き去られたかどうかを調べ(S41)、抜き去られていない場合には(No)、図5に示す例と同じ処理をステップS45〜S47で行う。一方、抜き去られていた場合には(Yes)、新らたなICカードの挿入を促してICカード挿入を検知する(S42)。続いて、ICカードに記載されるシステムマネージメントIDを参照し(S43)、このIDを基に対象ネットワークを検知する(S44)。システムマネージメントIDは日本国内の衛星ディジタル放送方式等で放送/非放送信号や技術方式ごとに割り当てられる16ビットの管理識別子で、ネットワークで一意に定まる。これを基に16ビットのネットワークIDで識別されるネットワークの処理プログラムの実行設定を行う(S47)。
【0036】
このような処理によれば、ICカード差し換えのみでネットワーク切替を実現することができるので、視聴者のネットワーク指示等の負担を軽減し、受信再生までの時間を短縮することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態の構成によれば、ICカード差し換えによるネットワーク入力自動切替機能を備えているので、簡単に複数のネットワークからの入力を選択して処理することができる。また、処理プログラムを格納するROM114を備えているので、予め複数のネットワークそれぞれの処理プログラム・コードをROM114に格納しておくことで、要求時に瞬時に取り出し設定することができる。
【0038】
さらに、受信情報をICカードあるいは不揮発性メモリ113に格納できるようにしておけば、上記の複数のネットワークそれぞれの受信処理において必要な伝送諸元などの情報を視聴者の選択操作に直ちに対応することができる。そして、ネットワーク切替制御が可能となったことで、切替指定されたネットワークの信号を本IRDに入力し、そのネットワークに対応するプログラム・コードを実行して、そのネットワークに対する受信情報を参照し、チューニングからデスクランブル、多重分離、デコード再生といった受信処理を行い、さらにこれら受信情報が更新されていればIRDの保持していたものを書き換えが可能になる。
【0039】
また、CA(Conditional Access)インタフェース機能を備えているので、デスクランブル処理の際に必要な処理を行うICカードなどの限定受信処理装置とのやりとりが可能になる。また、ネットワーク識別機能を備えたことで、ICカードなどの限定受信処理装置からの信号によって対応するネットワークを識別することが可能になる。
【0040】
これらを利用してICカードなどの限定受信処理装置の装着時に、IRDが対応するネットワークを識別することでネットワーク切替の際に視聴者指定を待たなくとも短時間で受信再生処理を実行することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図7に本発明に係る第2の実施の形態の構成を示す。本実施形態ではネットワーク切替の際の番組予約の確認機能を備えていることが特徴である。ここでは、その構成が第1の実施形態と同様であるものとし、図2及び図3で述べたネットワーク変更のための処理(S24)のみが異なるものとする。
【0042】
まず、ICカードが抜き去られたかどうかを調べ(S51)、抜き去りが行われていない場合には(No)、図5に示す例と同様に、そのICカードに登録されているネットワークの指定要求(S52)、ネットワーク指定受付の判断(S53)、ネットワーク指定の設定(S54)を行う。また、ICカードの抜き去りがあった場合には(Yes)、ネットワーク変更処理直前のネットワークでの番組予約が存在するか確認し(S55)、存在する場合には(Yes)、予約された番組のデスクランブル処理が実行できず受信再生/記録処理に支障をきたす可能性がある旨の警告表示を指示する(S56)。
【0043】
この警告表示後、挿入されたICカードが新しいカードか判断し(S57)、新しいカードでなかった場合には(No)、元のICカードが再挿入されたと認識して(S58)ステップS51に戻り、新しいカードであった場合には(Yes)、そのICカードに記載されるシステムマネージメントIDを参照して(S59)、対象となるネットワークを検知する(S510)。そして、先のステップS54で16ビットのネットワークIDで識別されるネットワークの処理プログラムの実行設定を行う。
【0044】
以上の処理により、ネットワーク切替の際、選択中のネットワークで予約番組がある場合でも、視聴者にその旨注意を促すようにしているので、予約番組の受信時にエラー発生が予想される障害を未然に防ぐことができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
図8に本発明に係る第3の実施の形態の構成を示す。本実施形態では、ネットワーク切替の際に指定ネットワークの処理プログラムが存在しない場合に、そのプログラムを自動的にダウンロードを実行する機能を備えていることが特徴である。ここでも第1の実施形態と同様の構成であるものとし、図2及び図3で詳説したネットワーク変更のための処理(S24)のみが異なるものとする。
【0046】
まず、ICカードが抜き去られたかどうかを調べ(S61)、抜き去りが行われていない場合には(No)、図5に示す例と同様に、そのICカードに登録されているネットワークの指定要求(S62)、ネットワーク指定受付の判断(S63)、ネットワーク指定の設定(S64)を行う。一方、抜き去りが行われた場合には(Yes)、ネットワーク変更処理直前のネットワークでの番組予約が存在するか確認し(S65)、存在する場合には(Yes)、予約された番組のデスクランブル処理が実行できず受信再生/記録処理に支障をきたす可能性がある旨の警告表示を指示する(S66)。
【0047】
この警告表示後、挿入されたICカードが新しいカードか判断し(S67)、新しいカードでなかった場合には(No)、元のICカードが再挿入されたと認識して(S68)ステップS61に戻り、新しいカードであった場合には(Yes)、そのICカードに記載されるシステムマネージメントIDを参照して(S69)、対象となるネットワークを検知する(S610)。そして、先のステップS64で16ビットのネットワークIDで識別されるネットワークの処理プログラムの実行設定を行う。
【0048】
さらに、指定ネットワークの処理プログラムがROM114に存在するか否か判別し(S611)、存在する場合には(Yes)、ROM114から対応するプログラムを読み出し実行する。また、存在しない場合には(No)、ダウンロードを実行するか確認し(S612)、実行する場合は(Yes)DRAM113のメモリ領域の確保などの必要な処理を行ってダウンロードを実行する(S613)。また、実行しない場合は(No)ステップS61に戻る。
【0049】
以上の処理により、ネットワーク切替の際、指定ネットワークの処理プログラムがROM114に存在しない場合にもダウンロードを実行して受信再生処理を行うことができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
図9に本発明に係る第4の実施形態の構成を示す。本実施形態では、IRDの全体構成において、複数個のスマートカードインタフェース(CAインタフェース)を装備しているものとする。また、そのホストプロセッサの受信再生処理の制御に関しては図2及び図3と同様とし、図5で詳説したネットワーク変更ための処理(S24)のみが異なるものとする。
【0051】
まず、ICカードが抜き去られたかどうかを調べ(S71)、抜き去りが行われていない場合には(No)、図5に示す例と同様に、そのICカードに登録されているネットワークの指定要求(S72)、ネットワーク指定受付の判断(S73)、ネットワーク指定の設定(S74)を行う。一方、抜き去りが行われた場合には(Yes)、ネットワーク変更処理直前のネットワークでの番組予約が存在するか確認し(S75)、存在する場合には(Yes)、予約された番組のデスクランブル処理が実行できず受信再生/記録処理に支障をきたす可能性がある旨の警告表示を指示する(S76)。
【0052】
この警告表示後、挿入されたICカードが新しいカードか判断し(S77)、新しいカードでなかった場合には(No)、元のICカードが再挿入されたと認識して(S78)ステップS71に戻る。また、新しいカードであった場合には(Yes)、新しいICカードが挿入されたCAインタフェースが直前に実行中のICカードかどうかを判定し、現在実行中のICカードと差し替えられたか否か判断し(S79)、差し替えであれば(Yes)、そのICカードに記載されるシステムマネージメントIDを参照して(S710)、対象となるネットワークを検知する(S711)。そして、先のステップS74で16ビットのネットワークIDで識別されるネットワークの処理プログラムの実行設定を行う。
【0053】
さらに、指定ネットワークの処理プログラムがROM114に存在するか否か判別し(S713)、存在する場合には(Yes)、ROM114から対応するプログラムを読み出し実行する。また、存在しない場合には(No)、ダウンロードを実行するか確認し(S714)、実行する場合は(Yes)DRAM113のメモリ領域の確保などの必要な処理を行ってダウンロードを実行する(S715)。また、実行しない場合は(No)ステップS71に戻る。
【0054】
尚、ステップS79において、差し替えでなければ(No)、再生を実行するか否かを視聴者に対して問い合わせ(S712)、再生実行が指定された場合には(Yes)、ステップS710に移行し、再生実行が指定されない場合には(No)、ステップS713に移行する。
【0055】
このように本実施形態では、ネットワーク切替の際、IRDに複数のCAインタフェースが存在する場合にも、ICカード差し換えのみで視聴者のネットワーク指示等の負担を軽減し、受信再生までの時間を短縮することができる。
【0056】
尚、本実施形態において、ステップS79で新しいICカードが挿入されたCAインタフェースが直前に実行中のICカードかどうかを判定するに当たっては、IRDに表示ランプを設け点灯させるなどの表示機能を持たせて視聴者に予め提示してもよい。
【0057】
以上の実施形態によれば、複数の放送事業者(ネットワーク)の放送サービスの受信が可能なディジタル放送受信端末装置において、ICカードなどの着脱を行ってCAインターフェースの数を上回る複数の放送事業者(ネットワーク)の限定受信放送サービスを受信する場合でも、ICカードの挿入時にそのネットワークを識別して自動的に受信再生処理を実行することができる。この結果、視聴者の手続きを軽減し受信再生に要する時間を短縮することができる。また、ICカードの挿入時に番組予約の有無を確認して視聴者に提示することで、デスクランブル処理されずに番組予約を実行することを回避することができる。
また、本発明は、放送の分野に限定されるものではなく、インターネット上のデータ配信等の通信の分野においても適用可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、1台でICカードなどの着脱を行ってCAインターフェースの数を上回る複数の放送事業者(ネットワーク)の限定受信放送サービス等のディジタル信号を受信する場合でも、視聴者の手続きを軽減し受信再生に要する時間を短縮することができ、しかもデスクランブル処理されずに番組予約を実行することを回避することのできるディジタル信号受信端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のディジタル放送受信端末装置(IRD)の基本構成を示すブロック回路図である。
【図2】第1の実施の形態におけるホストプロセッサの受信再生処理アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【図3】図2の受信再生アルゴリズムの続きを示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態における更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態において、ネットワーク変更のための一般的な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態の特徴とするネットワーク変更のための処理手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態の特徴とするネットワーク変更のための処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態の特徴とするネットワーク変更のための処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第4の実施の形態の特徴とするネットワーク変更のための処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11…アンテナ
12…チューナ
13…復調器
14…誤り訂正復号化器
15…デスクランブラ
16…トランスポート処理器
17…MPEG映像復号化器
18…MPEG/AC3音声復号化器
19…SDRAM
110…NTSCエンコーダ
111…音声A/D変換器
112…ホストプロセッサ
113…DRAM
114…ROM
115…サブMPU
116…スマートカード・インタフェース

Claims (6)

  1. 複数の情報サービスのディジタル信号の受信が可能なディジタル信号受信端末装置において、
    前記複数の情報サービスのディジタル信号入力を選択的に切り替える入力切替手段と、
    前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理を実行するプログラム・コードを格納し、指定されたプログラム・コードをロードするプログラム格納手段と、
    前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理に必要な情報を格納し、指定された受信情報を選択出力する受信情報格納手段と、
    予め受信許可の必要な限定受信方式による情報サービスのディジタル信号を受信処理するための制御情報を提供する制御情報提供媒体を着脱自在とし、前記制御情報提供媒体の装着状態で当該媒体から制御情報を受信可能とする限定受信インターフェース手段と、
    この限定受信インターフェース手段を通じて前記制御情報提供媒体を自動的にアクセスして制御情報を取得し、この制御情報に基づいて限定受信方式による情報サービスを識別する情報サービス識別手段と、
    前記複数の情報サービスの選択及び前記情報サービス識別手段の自動識別に応じて、前記入力切替手段の入力選択、前記処理プログラム格納手段のロードプログラム選択、前記受信情報格納手段の受信情報の選択を制御する制御処理手段とを具備することを特徴とするディジタル信号受信端末装置。
  2. 複数の情報サービスのディジタル信号の受信が可能なディジタル信号受信端末装置において、
    前記複数の情報サービスのディジタル信号入力を選択的に切り替える入力切替手段と、
    前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理を実行するプログラム・コードを格納し、指定されたプログラム・コードをロードするプログラム格納手段と、
    前記複数の情報サービスそれぞれのディジタル信号受信処理に必要な情報を格納し、指定された受信情報を選択出力する受信情報格納手段と、
    それぞれ予め受信許可の必要な限定受信方式による情報サービスのディジタル信号を受信処理するための制御情報を提供する制御情報提供媒体を着脱自在とし、前記制御情報提供媒体の装着状態で当該媒体から制御情報を受信可能とする複数の限定受信インターフェース手段と、
    前記複数の限定受信インターフェース手段を通じて前記制御情報提供媒体を自動的にアクセスして制御情報を取得し、この制御情報に基づいて限定受信方式による情報サービスを識別する情報サービス識別手段と、
    前記複数の情報サービスの選択及び前記情報サービス識別手段の自動識別に応じて、前記入力切替手段の入力選択、前記処理プログラム格納手段のロードプログラム選択、前記受信情報格納手段の受信情報の選択を制御する制御処理手段と、
    前記複数の限定受信インターフェース手段の中から限定受信処理中の限定受信インターフェース手段を識別表示する表示手段とを具備することを特徴とするディジタル信号受信端末装置。
  3. さらに、前記限定受信インターフェース手段に装着されている前記制御情報提供媒体が外されることを検出し、その検出直前の情報サービスの記録または再生予約の有無を確認して視聴者にその結果を提示する記録/再生予約提示手段を備えることを特徴とする請求項1、2のいずれか記載のディジタル信号受信端末装置。
  4. 前記プログラム格納手段は、前記限定受信インターフェース手段に装着されている前記制御情報提供媒体の交換を検出して、交換後の媒体の制御情報に対応する情報サービスの受信のための処理プログラム・コードを新たに取得または更新して格納することを特徴とする請求項1、2のいずれか記載のディジタル信号受信端末装置。
  5. さらに、前記複数の限定受信インタフェース手段のいずれかに装着されている前記制御情報提供媒体の交換を検出して、交換後の媒体の制御情報に対応する 情報サービスの受信再生処理を実行するか視聴者に確認する受信再生実行確認手段を備えることを特徴とする請求項2記載のディジタル信号受信端末装置。
  6. 前記情報サービス識別手段は、予め前記複数の情報サービスと前記制御情報提供媒体から提供されうる制御情報に含まれる制御内容を示す指標との対応関係を示す参照テーブルを備え、前記制御情報提供媒体へのアクセス時に提供される制御情報から前記指標を取得し、前記参照テーブルを参照することで前記情報サービスを識別することを特徴とする請求項1、2のいずれか記載のディジタル信号受信端末装置。
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