JP3585427B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、複写、プリンター或いはファックス等に用いる画像形成装置に関するもので、より詳細には膜削れによる感光体の薄膜化が生じた場合にも適正な画像が得られるように、露光後電位の膜厚依存性を抑制した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真感光体の光減衰特性には、膜厚依存性が認められる。
即ち、感光体、特に有機感光体は、使用回数の増大に伴って徐々に膜削れによって薄膜化し、薄膜化によって露光後電位(Vr)が変化する(一般に増大する)。
そして長期にわたって使用を続けると、ついに適正な画像が得られない程度まで露光後電位が変化する。
【0003】
そこで、従来の方法では、膜削れに応じて露光量を補正するなどして、少しでも長く感光体が使用できるように制御を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする技術的課題】
しかしながら、感光体の露光後電位の膜厚依存性は必ずしも単純なものではなく、例えば露光後電位が膜厚によって直線的に変化するものもあれば、膜厚によって極小値を有するように変化するものもある。従って、露光量補正は使用する感光体の特性に応じて制御手段を変える必要があるが、この制御手段を感光体の特性に十分に合わせ込むことは非常に困難である。
【0005】
かくして、従来の方式では、広い範囲の膜厚で一定範囲の露光後電位を維持する制御が困難であり、画像維持の延命化が多少可能であるとしても、比較的短期間の使用で感光体の交換が必要となり、メンテナンスの手間や費用の点でも未だ満足できるものではなかった。
【0006】
従って、本発明の目的は、感光体の露光後電位の膜厚依存性が小さい範囲に抑制されており、露光量の補正等の煩わしい手段なしに、感光体を広い膜厚範囲で使用可能にする画像形成装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有する有機感光体を備え、所定の電位に帯電された有機感光体表面に、露光装置による光照射によって静電潜像を形成し、該静電潜像の現像により形成されたトナー像を転写材上に転写し、トナー像転写後の有機感光体表面に残存するトナーがクリーニング装置によって除去される画像形成装置において、
有機感光体に光を照射する前記露光装置の露光量が、常時、感光体半減露光量の4倍以上であって6倍以下に設定されていることを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明では、膜削れによる膜厚減少量が15μmに達したときの有機感光体の露光後電位と使用初期における有機感光体の露光後電位との差(ΔVr)が50ボルト以下、特に40ボルト以下であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施形態】
本発明者らは、感光体における露光後電位の膜厚依存性は、露光量に依存し、強露光にするほど露光後電位の膜厚依存性が小さくなることを見いだした。
【0009】
添付図面の図1は、後述する実施例の有機感光体について感光体の膜厚と露光後電位との関係がプロットしたグラフである。このグラフでは、感光体表面電位を800Vに設定し、一方露光量を半減露光量の正数倍に設定し、膜厚を初期の38μmから最終的に18μmにまで減少した場合の露光後電位(Vr)の値が示されている。
【0010】
この結果によると、膜削れによる膜厚減少に伴って露光後電位(Vr)は単調に増加していくという膜厚依存性が認められるが、露光量を半減露光量の2倍、3倍、4倍、5倍と増大させるに伴って、同じ膜厚で比較して、露光後電位(Vr)のレベルそのものが低下すると共に、露光後電位(Vr)の膜厚依存性も小さくなっていることが明らかである。
この図1の結果から、膜削れによる膜厚減少にかかわらず、露光後電位を低いレベルに抑制し、露光後電位の膜厚依存性を小さく抑制するためには、感光体への露光量を半減露光量の3倍以上、特に4倍以上とすればよいことが理解される。
【0011】
また、図2は、膜厚38μmから18μmまでの範囲での露光後電位(Vr)変化量と半減露光量の整数倍露光量との関係をプロットしたものであるが、この図2からも、感光体への露光量を半減露光量の3倍以上、特に4倍以上とすることにより、露光後電位の膜厚依存性を小さく抑制できることが明らかである。
【0012】
一方、露光量を大きくすると、露光後電位の膜厚依存性は小さくなるが、逆に露光量が多すぎると、感光体の光疲労などの問題が生じる。一般に、半減露光量の10倍を越える露光量では光疲労などの問題を発生しやすい。
【0013】
以上から、本発明によれば、感光体に光を照射する露光装置の露光量を感光体半減露光量の4倍以上で6倍以下に設定することにより、光疲労などの問題を発生させずに、露光後電位の膜厚依存性を低減させ、広い膜厚範囲で感光体の使用を可能にすることができる。
実際に、例えば露光後電位(Vr)の上昇が50ボルト以内の範囲でしか感光体を使用できない(良好な画像が形成できない)という状況では、図1から、露光量が半減露光量の2倍設定であれば膜厚25μmが限界であるのに対して、露光量が半減露光量の3倍設定であれば膜厚22μmまで使用可能であり、露光量が半減露光量の5倍設定であれば膜厚18μmまで使用してもまだ使用可能であり、広い範囲で使用可能であることが了解されよう。
【0014】
本明細書において、感光体の半減露光量とは当業界で使用されているのと同じ意味であり、感光体の表面電位が露光前電位(Vo)の1/2の電位に低下するときまでの露光量(μJ/cm)として定義されるものである。
添付図面の図3は、この半減露光量の求め方を示すものであり、図3において、縦軸は感光体の表面電位(V)を示し、横軸は感光体への露光量μJ/cmを示し、図における曲線は光減衰曲線と呼ばれるものであり、個々の感光体に特有のものである。
例えば、図3の場合露光前表面電位(Vo)が700ボルトであるので、半減露光量は感光体の表面電位が露光前表面電位(Vo)の1/2である350ボルトとなったときの露光量である0.1μJ/cmとして求められる。
上記半減露光量は、特定の感光体について求められるものであるが、実際の画像形成装置に用いる感光体の露光前表面電位(Vo)及び同じ分光特性を有する光源を基準として求められたものであることが好ましい。
【0015】
感光体について、半減露光量が求められると、感光体の露光量が半減露光量の4乃至6倍に設定され、この露光量の設定は、光源への入力エネルギーの設定、露光速度乃至露光時間の設定、或いはこれらの組合せにより、容易に行うことができる。
【0016】
本発明の画像形成装置に用いる感光体は、電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有する有機感光体であることが好ましい。この有機感光体では、反復使用による膜削れによる膜厚変動が無視し得ない程度に大きく、しかも露光後電位の膜厚依存性が直線的でない傾向があるが、本発明による露光量設定では、感光体の露光後電位の膜厚依存性を低く抑制できるので、長期にわたって良好な画像形成を維持できるという利点がある。また、本発明の画像形成装置に用いる感光体は、正帯電型感光体であることが、感光体の帯電時のオゾン発生量を低く抑制するために好ましい。
【0017】
本発明では、膜削れにより膜厚が15μmのときの感光体の露光後電位と使用初期における感光体の露光後電位との差(ΔVr)が50ボルト以下、特に40ボルト以下であるのが、膜削れによって膜厚が減少した場合にも高濃度の画像形成を安定して行うために好ましい。
【0018】
反転現像における画像形成では、画像濃度を縦軸、現像バイアス電位(DB)と露光後電位(Vr)との差、即ち電位差(DB−Vr)を横軸にとってプロットすると、図4に示すとおり、電位差(DB−Vr)の増大に伴って画像濃度が直線的に増大し、やがて直線から次第に離れて、最終的に飽和する現像特性を示す。
【0019】
本発明によれば、露光量設定で露光後電位(Vr)の膜厚依存性を低く抑制できるので、膜削れにより膜厚が減少した場合にも、電位差(DB−Vr)がかなり小さな値となるのが抑制され、長期間に当たって安定な高い画像濃度を維持することができる。
【0020】
[画像形成装置]
本発明は、感光体ドラムの帯電、露光、現像及び転写をとおして画像形成を行う画像形成装置に関するものであり、この画像形成装置に用いる感光体1は、図5に示すとおり、アルミニウム素管などの導電性基体2とその上に設けられた感光層3とから成っている。感光層3は、好適には電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有するものであり、最も好適には、単層有機感光層からなる。
【0021】
本発明の画像形成装置を簡略化して示す図6において、前述した感光層を備えた回転感光体ドラム1の周囲には、主帯電用コロナチャージャ11、画像露光用光学系12、現像器13、転写ローラ4、除電用光源15及び残留トナークリーニング装置16が配置されている。
転写ローラ4には、転写用の直流電圧を印加するするための直流電源17が接続されている。ポジ現像の場合、転写用電圧としては主帯電器11と同極性の電圧を用い、一方反転現像の場合、主帯電器11と逆極性の電圧を用いる。
【0022】
画像形成に際し、コロナチャージャ11により感光体ドラム1の感光層3が正または負に均一に帯電される。この主帯電により、一般に感光層3の表面電位(Vo)は、絶対値で500乃至1000Vの範囲に設定される。
【0023】
次いで光学系12より画像露光が行われ、感光層3の原稿画像に対応する部分(例えば、レーザ光などの光照射部分)の電位は、露光後電位(Vr)になり、光が照射されない部分(バックグラウンド)の電位は、主帯電電位からの暗減衰電位に保持され、静電潜像が形成される。
【0024】
上記の静電潜像は、現像器13により現像され、感光層の表面にはトナー像が形成される。現像器13による現像は、ポジ現像によっても反転現像によっても行われる。
反転現像の場合、感光層3の主帯電極性と同極性に帯電されたトナーを用いたそれ自体公知の現像剤、例えば一成分乃至二成分系現像剤を用いての磁気ブラシ現像法等によって行われる。
即ち、レーザ光照射部分に、主帯電極性と同極性に帯電されたトナー像が形成される。この場合、現像器13と感光体ドラム6との間には、現像を有効に行うために適宜バイアス電圧(DB)が印加されることは従来法と同じである。
【0025】
感光層表面に形成されたトナー像は、転写ローラ4と感光体ドラム1との間に通された紙等の転写材上に転写され、次いで除電用光源15による光照射によって感光層3の除電が行われる。
【0026】
上述した転写及び除電が行われた後は、クリーニング装置16によって感光層3に残存するトナーが除去され、次の画像形成サイクルが行われる。また転写材に転写されたトナー像は、必要により熱乃至圧力により転写材に定着される。
【0027】
[感光体]
本発明の画像形成装置に用いる有機感光体は、電荷発生剤を樹脂媒質中に分散させた形の有機感光体であることが好ましく、電荷輸送剤、特に正孔輸送剤及び電荷発生剤を樹脂媒質中に含有する単一分散層型感光体である場合に、特に効果が大きい。
【0028】
本発明は、勿論のこと、電荷輸送剤を含有する電荷輸送層及び電荷発生剤を含有する電荷発生層の積層型感光体であってもよく、この場合、電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)とを、この順序、或いは逆の順序に積層した感光体であってよい。
【0029】
電荷発生剤としては、例えば、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示され、所望の領域に吸収波長域を有するよう、一種または二種以上混合して用いられる。
【0030】
特に好適なものとして 、次のものが例示される。
X型メタルフリーフタロシアニン、
オキソチタニルフタロシアニン、
ペリレン系顔料、特に一般式(1)、
【化1】
Figure 0003585427
式中、R及びRの各々は、炭素数18以下の置換または未置換のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、またはアラールキル基である。
で表されるもの。アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、アルカリール基としては、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基等が挙げられ、アラールキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。置換基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子等がある。
【0031】
また、電荷発生剤を分散させる樹脂媒質としては、種々の樹脂が使用でき、例えば、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、アイオノマー等のオレフィン系重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂や、エポキシアクリレート等の光硬化型樹脂等、各種の重合体が例示できる。これらの結着樹脂は、一種または二種以上混合して用いることもできる。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等である。
【0032】
特に好適な樹脂は、ポリカーボネート、帝人化成社製パンライト、三菱瓦斯化学社製PCZ等であり、下記一般式(2)、
【化2】
Figure 0003585427
式中、R及びRは水素原子または低級アルキル基であって、R及びRは連結して、結合炭素原子と共に、シクロヘキサン環のごときシクロ環を形成していてもよい、
で表されるビスフェノール類とホスゲンとから誘導されるポリカーボネートである。
【0033】
電荷輸送剤(CTM)としては電荷輸送性のものも、正孔輸送性のものも使用でき、これらは組み合わせでも使用できる。その適当な例は、次の通りである。
【0034】
パラジフェノキノン誘導体、
ベンゾキノン誘導体、
ナフトキノン誘導体、
テトラシアノエチレン、
テトラシアノキノジメタン、
クロルアニル、
ブロモアニル、
2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、
2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、
2,4,7−トリニトロ−9−ジシアノメチレンフルオレノン、
2,4,5,7−テトラニトロキサントン、
2,4,8−トリニトロチオキサントン
などの電子吸引性物質や、これら電子吸引性物質を高分子化したもの。
【0035】
これらの内でも、パラジフェノキノン誘導体、特に非対称型のパラジフェノキノン誘導体が、溶解性にも優れており、電子輸送性にも優れているので好ましい。
【0036】
パラジフェノキノン誘導体としては、下記一般式(3)、
【化3】
Figure 0003585427
式中、R、R、R及びRの各々は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基等である、で表されるものが使用される。R、R、R及びRは非対称構造の置換基であることが好ましく、R、R、R及びRの内、2個が低級アルキル基であり、他の2個が分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラールキル基であることが好ましい。
【0037】
その適当な例は、これに限定されないが、3,5−ジメチル−3’,5’−ジt−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメトキシ−3’,5’−ジt−ブチルジフェノキノン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジt−ブチルジフェノキノン、3,5’−ジメチル−3’,5−ジt−ブチルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラメチルジフェノキノン、2,6,2’, 6’−テトラt−ブチルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラフェニルジフェノキノン、3,5,3’,5’−テトラシクロヘキシルジフェノキノン、等を挙げることができるが、これらのジフェノキノン誘導体は、分子の対称性が低いために分子間の相互作用が小さく、溶解性に優れているために好ましい。
【0038】
一方、正孔輸送性物質としては、例えば次のものが知られており、これらの内から、溶解性や、正孔輸送性に優れているものが使用される。
ピレンン、
N−エチルカルバゾール、
N−イソプロピルカルバゾール、
N−メチル−N−フエニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−カルバゾール、
N,N−ジフエニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、
N,N−ジフエニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフエノチアジン、
N,N−ジフエニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフエノキサジン、
p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフエニルヒドラゾン、
p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−α−ナフチル−N−フエニルヒドラゾン、
p−ピロリジノベンズアルデヒド−N,N−ジフエニルヒドラゾン、
1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフエニルヒドラゾン、
p−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾンなどのヒドラゾン塩、
2,5−ビス(p−ジエチルアミノフエニル)−1,3,4−オキサジゾール、
1−フエニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[キノニル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[6−メトキシ−ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[ピリジル(3)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[レピジル(3)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−[ピリジル(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチリル)−3−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
1−フエニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフエニル)ピラゾリン、
スピロピラゾリンなどのピラゾリン類、
2−(p−ジエチルアミノスチリル)−3−ジエチルアミノベンズオキサゾール、
2−(p−ジエチルアミノフエニル)−4−(p−ジメチルアミノフエニル)−5−(2−クロロフエニル)オキサゾールなどのオキサゾール系化合物、
2−(p−ジエチルアミノスチリル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物、
ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフエニル)フエニルメタンなどのトリアリ−ルメタン系化合物、1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフエニル)ヘプタン、
1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフエニル)エタンなどのポリアリールアルカン類、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(メチルフエニル)ベンジベン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(エチルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(プロピルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(ブチルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ビス(イソプロピルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(第2級ブチルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(第3級ブチルフエニル)ベンジジン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(2,4−ジメチルフエニル)ベンジベン、
N,N´−ジフエニル−N,N´−ビス(クロロフエニル)ベンジジン
などのベンジジン系化合物、
トリフエニルアミン、
ポリ−N−ビニルカルバゾール、
ポリビニルピレン、
ポリビニルアントラセン、
ポリビニルアリクジン、
ポリ−9−ビニルフエニルアントラセン、
ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、
エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂。
【0039】
これらの内でも、ベンジジン系の輸送剤、特に一般式(4)、
【化4】
Figure 0003585427
式中、R及びR10の各々は、メチル基、エチル基等の低級アルキル基であり、R11、R12、R13及びR14は、炭素数18以下のアルキル基、 シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、またはアラールキル基である。
で表される輸送剤や、カルバゾールヒドラゾン系の輸送剤、特に一般式(5)
【化5】
Figure 0003585427
式中、R15は、水素原子、アルキル基またはアシル基であり、R16 は、 アルキレン基等の2価の有機基であり、R17及びR18の各々は、炭素数 18以下のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール 基、またはアラールキル基である。
で表される輸送剤は、溶解性も、正孔輸送性もよいので、好適である。
【0040】
本発明に用いる単一分散型感光体において、電荷発生剤(CGM)は固形分当たり0.1乃至10重量%、特に0.3乃至3.0重量%の量で感光層中に含有されるのがよく、また電荷輸送剤(CTM)は固形分当たり20乃至70重量%、特に30乃至65重量%の量で感光層中に含有されるのがよい。
【0041】
また、感度の点や、反転現像を可能とするという用途の広さからは、電子輸送剤(ET)と、正孔輸送剤(HT)とを組み合わせで使用するのがよく、この場合、ET:HTの重量比は1:15乃至15:1、特に3:10乃至10:3の範囲にあるのが最もよい。
【0042】
本発明に用いる感光体形成用組成物には、電子写真学的特性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体公知の種々の配合剤例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改質剤、消泡剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合させることができる。
【0043】
また、全固形分当たり0.1乃至50重量%の立体障害性フェノール系酸化防止剤を配合すると、電子写真学的特性に悪影響を与えることなく、感光層の耐久性を顕著に向上させることができる。
【0044】
感光層を設ける導電性基板としては、導電性を有する種々の材料が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、錫、白金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が例示される。
本発明に用いる単層分散型の感光体では、干渉稿等の発生がないことから、通常のアルミニウム素管、特に膜厚が1乃至50μmとなるようにアルマイト処理を施した素管を用い得る。
【0045】
単一分散層型感光体を形成させるには、電荷発生材料、電荷輸送剤等と結着樹脂等を、従来公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイカーあるいは超音波分散器等を用いて調製し、従来公知の塗布手段により塗布、乾燥すればよい。
感光層の厚みは、特に制限されないが、一般に10乃至60μm、特に15乃至50μmの範囲とすることが望ましい。
【0046】
塗布液を形成するのに使用する溶剤としては、種々の有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等、種々の溶剤が例示され、一種または二種以上混合して用いられる。塗布液の固形分濃度は一般に5乃至50%とするのがよい。
【0047】
また、積層型感光体の場合、電荷発生剤(CGM)は電荷発生層(CGL)の固形分当たり0.1乃至20重量%、特に0.5乃至10重量%の量で含有されるのがよく、また電荷輸送剤(CTM)は電荷輸送層(CTL)の固形分当たり20乃至70重量%、特に30乃至65重量%の量で含有されるのがよい。
各塗布層の成分は、単一分散層型の成分に準ずる。
【0048】
基板/CGL/CTL感光体の場合、CGLは、一般に0.1 乃至0.5 μmの範囲にあるのがよく、CTLは10乃至60μm、特に15乃至50μmの範囲にあるのがよい。
【0049】
基板/CTL/CGL感光体の場合、CTLは10乃至60μm、特に15乃至50μmの厚みを有し、一方CGLは0.1乃至3.0μmの厚みを有するのがよい。
また、CGL上に、それ自体公知の保護層を設けることができる。
【0050】
[露光量の設定]
本発明では、感光体の露光量を感光体の半減露光量の3乃至10倍、特に4乃至6倍に設定する。この露光量が上記範囲を下回ると、露光後電位(Vr)の膜厚依存性が上記範囲内にある場合に比して劣る傾向があり、一方、露光量が上記範囲を上回ると、感光体の光疲労が上記範囲内にある場合に比して著しくなる傾向がある。
【0051】
本発明において、感光体露光用光源としては、従来電子写真による画像形成装置に用いられている光源は全て使用することができ、レーザ光源としては、例えば、半導体レーザー、Gasレーザーなどが使用され、また原稿撮影方式の光源としては、例えばハロゲンランプ蛍光灯などが使用される。
【0052】
露光量の調節は、既に指摘したとおり、感光体の単位面積当たりの光量(エネルギー)を調節する方式や、光の照射時間を調節する方式、或いはその組み合わせで行いうる。
【0053】
【実施例】
本発明を次の例で説明する。
【0054】
[感光体ドラムの形成]
感光体の調製には下記の処方を用いた。
(電荷発生剤)無金属フタロシアニン 5重量部
(正孔輸送剤)下式(6) 100重量部
【化6】
Figure 0003585427
(電子輸送剤)下式(7) 30重量部
【化7】
Figure 0003585427
(結着樹脂)ポリカーボネート 100重量部
(溶剤)テトラヒドロフラン 800重量部
【0055】
上記の各成分を、ペイントシェーカにより混合分散し、調製した塗布液を、アルミニウム素管上に塗布した後、130℃で30分間熱風乾燥し、この際塗布量を調節して、膜厚38μm、28μm、24μm及び18μmの有機感光体ドラムを作成した。
【0056】
この感光体(厚さ38μmのもの)を、京セラミタ製複写機Creage8331改造した感光体電気特性測定装置に取り付け、下記の条件で光減衰特性を測定した。
測定条件:
感光体設定電位:650V
光源 :LUS(レーザービーム)
感光体表面光量:0〜0.61μJ/cm
得られた光減衰特性を図3に示す。この光減衰曲線から半減露光量 μJ/cmが得られた。
【0057】
前記感光体を京セラミタ製複写機Creage8331改造した感光体電気特性測定装置に取り付け、感光体の露光前表面電位(Vo)を800Vに設定し、露光量を半減露光量の1倍、2倍、3倍、4倍、5倍と変化させて、露光後電位(Vr)を表面電位計で測定した。
測定結果を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003585427
【0059】
上記表1の測定結果を図1にプロットして示す。
また、露光量と膜厚38μm→18μmにおける露光後電位(Vr)の変化量との関係を図2にプロットして示す。
【0060】
以上の結果から、感光体の露光量を半減露光量の3倍以上、特に4倍以上に設定することにより、露光後電位(Vr)の膜厚依存性を低減させうることが明らかである。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、感光体に対する露光量を感光体の半減露光量を基準として一定の範囲に設定することにより、露光後電位(Vr)の膜厚依存性を抑制し、膜削れによる膜厚減少に関わらず、良好な電子写真的特性を維持することができる。 その結果、露光量の補正等の面倒な手段を必要とせずに、感光体を広い膜厚範囲で使用でき、長期にわたって、良好な画像形成が可能となる。
更に、光量補正手段等が不必要となるため、装置の簡略化、コスト低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の有機感光体について感光体の膜厚と露光後電位との関係をプロットしたグラフである。
【図2】膜厚38μmから18μmまでの範囲での露光後電位(Vr)変化量と半減露光量の整数倍露光量との関係をプロットしたグラフである。
【図3】光減衰曲線からの半減露光量の求め方を示すグラフである。
【図4】画像濃度を縦軸、現像バイアス電位(DB)と露光後電位(Vr)との差を横軸にとってプロットした現像特性曲線である。
【図5】用いる感光体の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の画像形成装置の概略配置を示す図である。

Claims (2)

  1. 電荷発生剤と電荷輸送剤とを含有する有機感光体を備え、所定の電位に帯電された有機感光体表面に、露光装置による光照射によって静電潜像を形成し、該静電潜像の現像により形成されたトナー像を転写材上に転写し、トナー像転写後の有機感光体表面に残存するトナーがクリーニング装置によって除去される画像形成装置において、
    有機感光体に光を照射する前記露光装置の露光量が、常時、感光体半減露光量の4倍以上であって6倍以下に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 膜削れによる膜厚減少量が15μmに達したときの有機感光体の露光後電位と使用初期における有機感光体の露光後電位との差(ΔVr)が50ボルト以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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