JP3585018B2 - 共焦点装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料の共焦点画像を高速に測定できる共焦点装置に関し、特に照射光の走査が不要な共焦点装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
共焦点装置は試料上で照射光を走査し、前記試料からの反射光をピンホール等を介して受光することにより、前記試料面の分解能のみならず光軸方向の分解能を有するものである。
【0003】
図5はこのような従来の共焦点装置の一例を示す構成ブロック図である。図5において1はレーザ光源、2はビームスプリッタ、3及び4はミラースキャナ、5はミラー、6は対物レンズ、7は試料、8はピンホール、9は受光器である。
【0004】
レーザ光源1の出力光はビームスプリッタ2を透過し、ミラースキャナ3及び4、ミラー5、対物レンズ6を順次介して試料7に集光される。
【0005】
また、試料7からの反射光や蛍光等の戻り光は対物レンズ6、ミラー5、ミラースキャナ4及び3を順次介してビームスプリッタ2に入射される。
【0006】
この戻り光はビームスプリッタ2で反射されてピンホール8を通過して受光器9に入射される。
【0007】
ここで、図5に示す従来例の動作を説明する。レーザ光源1の出力光は対物レンズ6等により試料7上の1点に集光される。
【0008】
試料7の1点に集光されたレーザ光源1の出力光による戻り光をピンホール8を介して検出することにより、共焦点効果が得られる。すなわち、3次元空間中の1点の精密な観測ができる。
【0009】
さらに、ミラースキャナ3及び4により試料7の表面であるx軸方向やy軸方向に走査することにより、試料7表面の共焦点画像を得ることができる。
【0010】
この結果、試料7上の集光をミラースキャナ3及び4で走査して、戻り光をピンホール8を介して検出することにより、共焦点画像を得ることが可能になる。
【0011】
また、図6は従来の共焦点装置の他の一例を示す構成ブロック図であり、本願出願人の出願に係る特願平4−15411号(特開平5−60980号公報)に記載されたものである。
【0012】
図6において1aはレーザ、10は集光手段としてマイクロレンズが設けられた円板(以下、マイクロレンズ板と呼ぶ。)、11は光分岐手段であるビームスプリッタ、12は開口としてピンホールが設けられた円板(以下、ピンホール板と呼ぶ。)、13は対物レンズ、14は試料、15はリレーレンズ、16は受光器、17はマイクロレンズ板10及びピンホール板12を同期して回転させるモータである。
【0013】
レーザ1aの出力光はマイクロレンズ板10に入射され、マイクロレンズ板10に設けられた各々のマイクロレンズによりビームスプリッタ11を介してピンホール板12上の各々のピンホールに集光される。ピンホール板12上の各々のピンホールを通過した光は対物レンズ13を介して試料14の上に入射される。
【0014】
試料14からの反射光や蛍光等の戻り光は再び対物レンズ13を介してピンホール板12に入射され、ピンホール板12上の各々のピンホールを通過した光はビームスプリッタ11で反射され、リレーレンズ15を介して受光器16に入射される。
【0015】
また、マイクロレンズ板10及びピンホール板12は同一の軸に固定され、この軸に取付けられたモータ17によって同期して回転される。
【0016】
ここで、図6に示す従来例の動作を説明する。レーザ1aの出力光は同期して回転するマイクロレンズ板10上の各々のマイクロレンズ及びピンホール板12上の各々のピンホールを通過することにより試料14表面を走査する。そして、試料14からの反射光等は受光器16で受光されて共焦点画像が得られる。
【0017】
また、前述のようにマイクロレンズ板10に設けられた各々のマイクロレンズは入射光をビームスプリッタ11を介してピンホール板12上の各々のピンホールに集光する。即ち、マイクロレンズの焦点位置にピンホールを配置することによりレーザ1aからの入射光の利用効率を向上させることが可能になる。
【0018】
また、図6に示す従来例は視野である受光器16の検出範囲内に約1000点のピンホールが存在し、この各ピンホールの通過光で試料14を照射するマルチビームとなる。このため、1つ1つのビームの走査範囲は小さくなるので高速走査が可能になる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図5に示す従来例では走査手段であるミラースキャナ3及び4の構成が複雑であり装置の価格が高価になり、小型化が困難である。
【0020】
また、図6に示す従来例では高速走査は可能であるものの各ビーム間には一定の間隔が存在するため、共焦点画像上でその間隔を埋めるためにビームの走査が必要であり、このビーム走査に要する時間で共焦点画像の撮像速度が制限されてしまう。
【0021】
例えば、1つの共焦点画像を走査するのには”1ms”程度の時間がかかってしまい、たとえ高速カメラを用いて撮像しても”1ms”以下で共焦点画像を撮像することは出来ないと言った問題点があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、照射光の走査が不要な共焦点装置を実現することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明の第1では、
試料の共焦点画像を測定する共焦点装置において、
光源と、
複数の開口が設けられた平板と、
複数の受光セルから構成される受光器と、
前記光源からの入射光を透過若しくは反射させて前記平板に入射し、前記平板からの出力光を前記受光器に反射若しくは透過させるビームスプリッタと、
前記試料上に前記平板の前記開口を通過した光の像を結像させ、前記試料からの戻り光を前記平板に集光する対物レンズとを備え、
前記受光器に集光される光スポット間隔が前記受光セル間隔の2倍以下であり、且つ、前記受光器に集光される1つの光スポットを前記受光器の隣接する2以上の受光セルにまたがって集光させることを特徴とするものである。
【0023】
このような課題を達成するために、本発明の第2では、
本発明の第1において、
前記受光器の各受光セルの範囲内に集光される光スポットが同数であることを特徴とするものである。
【0024】
このような課題を達成するために、本発明の第3では、
本発明の第1において、
前記開口の形状が円形であることを特徴とするものである。
【0025】
このような課題を達成するために、本発明の第4では、
本発明の第1において、
前記開口の形状がスリット状であることを特徴とするものである。
【0026】
このような課題を達成するために、本発明の第5では、
本発明の第1において、
前記平板を照明系の視野絞りの位置に設けたことを特徴とするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係る共焦点装置の一実施例を示す構成図である。
【0031】
図1において11aはビームスプリッタ、14aは試料、15aはリレーレンズ、18は開口として複数のピンホールが設けられた平板(以下、ピンホールアレイ板と呼ぶ。)、19は対物レンズ、20はCCD(Charge Coupled Device)カメラ等の受光器、100は入射光である。
【0032】
入射光100はビームスプリッタ11aを透過してピンホールアレイ板18に入射される。この光はピンホールアレイ板18上に設けられた複数のピンホールを通過して、対物レンズ19により集光され試料14aに光スポットを形成する。
【0033】
試料14aからの反射光や蛍光等の戻り光は対物レンズ19により先に通過したピンホールアレイ板18上に設けられたピンホールを再び通過してビームスプリッタ11aに入射される。
【0034】
ビームスプリッタ11aは入射光を反射させてリレーレンズ15aを介して受光器20に入射する。
【0035】
ここで、図1に示す実施例を説明する。説明の簡単のためにピンホールアレイ板18上には9個のピンホールが設けられており、CCDカメラ等の受光器20も9個の受光セルから構成している。
【0036】
また、ピンホールアレイ板18は対物レンズ19の結像面(中間像面)に設置される。
【0037】
例えば、図1中”イ”に示すピンホールアレイ板18上のピンホールを通過した入射光は図1中”ロ”に示すように試料14a上に光スポットを形成する。
【0038】
この光スポットからの戻り光は再び図1中”イ”に示すピンホールを通過しリレーレンズ15aにより図1中”ハ”に示す光スポットを形成する。
【0039】
この時、対物レンズ19の倍率を”100倍”、図1中”ロ”に示す光スポットを”1μm”とすると結像面での光スポットは”100μm”となり、等倍のリレーレンズ15aで受光器20に結像される光スポットも”100μm”となる。
【0040】
通常、CCDカメラ等の受光器20の受光セルは”5〜10μm”程度であるので、”100μm”の光スポットが受光器20に集光された場合には光スポット間の隙間が受光器20により識別される。
【0041】
このため、共焦点画像上で前記隙間を埋めるためには試料14a上に形成される光スポットを走査する必要が生じる。
【0042】
一方、対物レンズ19の倍率を”1倍”とした場合には結像面での光スポットは”1μm”のままであり、また、受光器20に集光される光スポットも”1μm”となる。
【0043】
例えば、図1中”ニ”に示す受光器20を構成する1つの受光セルは”5〜10μm”程度であるので、図1中”ハ”に集光されている光スポットは図1中”ニ”に示す受光セルの範囲内に集光されることになる。
【0044】
ここで、受光器20の受光セルの間隔を”5μm”、受光器20に集光される光スポットの間隔を”5μm”とすると、受光セル間隔と光スポット間隔が”1:1”で対応する。
【0045】
従って、図1に示すように受光器20上に集光された各々の光スポットは受光器20のそれぞれ対応する受光セルの範囲内に集光されることになる。
【0046】
この場合、受光器20では光スポット間の隙間を認識することができなくなる。言い換えれば、共焦点画面上では光スポットを走査して埋めるべき隙間が存在しなくなる。即ち、光スポットを走査することなく共焦点画像を得ることができる。
【0047】
この結果、受光器20の受光セル間隔と受光器20に集光される光スポット間隔とを”1:1”に対応させ各々の光スポットを受光器20のそれぞれ対応する受光セルの範囲内に集光させることにより、照射光の走査が不要になる。
【0048】
このため、構造が簡単になり低価格化や小型化が容易になる。また、走査に要する時間が無くなるので共焦点画像の撮像速度の制限が無くなり高速化が可能になる。
【0049】
なお、図1に示す実施例の説明では受光器20の受光セル間隔と受光器20に集光される光スポット間隔とを”1:1”としたがこれに限定されるものではない。
【0050】
例えば、図2は受光器20の受光セル間隔と受光器20に集光される光スポット間隔との関係を説明する説明図である。図2中”イ”,”ロ”,”ハ”及び”ニ”は受光器20の受光セル、図2中”ホ”及び”ヘ”は受光器20に集光された光スポット、図2中”ト”及び”チ”は受光セル間隔及び光スポット間隔である。
【0051】
この場合、受光セル間隔及び光スポット間隔は”1:2”となっており、1つの光スポットが隣接する2つの受光セルにまたがって集光されている。言い換えれば1つの受光セルの範囲内に”0.5個”の光スポットが集光されていることになる。
【0052】
このような状態でも受光器20では光スポット間の隙間を認識することができないので、光スポットを走査することなく共焦点画像を得ることができる。
【0053】
また、同様に各受光セルの範囲内に集光される光スポットの数は”1個”に限定されるものではない。
【0054】
例えば、図3は受光セルの範囲内に集光される光スポットの一例を示す説明図であり、図3中”イ”は受光セル、図3中”ロ”及び”ハ”は集光される光スポットである。
【0055】
図3から分かるように、図3中”イ”に示す受光セルには”1.5個”の光スポットが集光されていることになる。
【0056】
すなわち、各受光セルの範囲内に集光される光スポットの数は実数個であれば構わない。但し、各受光セル間で集光される光スポット数が異なると明暗のむらが生じ易くなるため各受光セルに集光される光スポット数は同数が良い。
【0057】
また、光スポットやピンホールアレイ板18の開口の形状としては円形に限定されるものではなく、方形、楕円等どのような形状でも構わない。
【0058】
例えば、図4は受光セルの範囲内に集光される光スポットの形状の一例を示す説明図であり、図4中”イ”及び”ロ”は受光セル、図4中”ハ”は集光されるスリット状の光スポットである。
【0059】
このような形状にしても受光器20では光スポット(スリット)間の隙間を認識することができないので、光スポットを走査することなく共焦点画像を得ることができる。
【0060】
また、図1に示す実施例においてピンホールアレイ板18の設置場所としては対物レンズ19の結像面としたが、顕微鏡の照明系の視野絞りの位置でも構わない。
【0061】
また、図1に示すビームスプリッタ11aは入射光100を透過させ、ピンホールアレイ板18からの光を反射させているが、ビームスプリッタ11aは入射光100を反射させ、ピンホールアレイ板18からの光を透過させても構わない。
【0062】
また、図2において1つの光スポットが隣接する2つの受光セルにまたがって集光されていたが、隣接する4つの受光セルにまたがって集光しても構わない。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
受光器に集光される1つの光スポットを受光器の隣接する2以上の受光セルにまたがって集光させることにより、照射光の走査が不要になる。
【0065】
また、構造が簡単になり低価格化や小型化が容易になり、走査に要する時間が無くなるので共焦点画像の撮像速度の制限が無くなり高速化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る共焦点装置の一実施例を示す構成図である。
【図2】受光器の受光セル間隔と受光器に集光される光スポット間隔との関係を説明する説明図である。
【図3】受光セルの範囲内に集光される光スポットの一例を示す説明図である。
【図4】受光セルの範囲内に集光される光スポットの形状の一例を示す説明図である。
【図5】従来の共焦点装置の一例を示す構成ブロック図である。
【図6】従来の共焦点装置の他の一例を示す構成ブロック図である。
【符号の説明】
1,1a レーザ光源
2,11,11a ビームスプリッタ
3,4 ミラースキャナ
5 ミラー
6,13,19 対物レンズ
7,14,14a 試料
8 ピンホール
9,16,20 受光器
10 マイクロレンズ板
12 ピンホール板
15,15a リレーレンズ
17 モータ
18 ピンホールアレイ板
100 入射光

Claims (5)

  1. 試料の共焦点画像を測定する共焦点装置において、
    光源と、
    複数の開口が設けられた平板と、
    複数の受光セルから構成される受光器と、
    前記光源からの入射光を透過若しくは反射させて前記平板に入射し、前記平板からの出力光を前記受光器に反射若しくは透過させるビームスプリッタと、
    前記試料上に前記平板の前記開口を通過した光の像を結像させ、前記試料からの戻り光を前記平板に集光する対物レンズとを備え、
    前記受光器に集光される光スポット間隔が前記受光セル間隔の2倍以下であり、且つ、前記受光器に集光される1つの光スポットを前記受光器の隣接する2以上の受光セルにまたがって集光させることを特徴とする共焦点装置。
  2. 前記受光器の各受光セルの範囲内に集光される光スポットが同数であることを特徴とする
    特許請求の範囲請求項1記載の共焦点装置。
  3. 前記開口の形状が円形であることを特徴とする
    特許請求の範囲請求項1記載の共焦点装置。
  4. 前記開口の形状がスリット状であることを特徴とする
    特許請求の範囲請求項1記載の共焦点装置。
  5. 前記平板を照明系の視野絞りの位置に設けたことを特徴とする
    特許請求の範囲請求項1記載の共焦点装置。
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