JP3584972B2 - 希薄燃焼内燃機関 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン本体の吸入空気量制御機構の下流側から取り出される負圧を利用して作動する負圧アクチエータを備えた自動車用エンジンに係り、特にエンジン本体内における空燃比を希薄化して燃費の向上を図るようにした、所謂リーンバーン・エンジンにおいて、その運転状態に応じて前記負圧アクチエータの確実な作動を保証する制御手法を導入した希薄燃焼内燃機関に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
自動車においては、その駆動源であるエンジン本体の吸入空気量制御機構(スロットル弁)の下流側の、例えば吸気マニホルドに発生する負圧を利用したブレーキ機構が用いられる。具体的には、負圧アクチエータを構成するブレーキ機構の負圧倍力装置を、スロットル弁と吸気マニホルドとを結ぶサージタンクに連接し、ブレーキ操作がなされたときに上記サージタンク(吸気マニホルド)に発生している負圧を用いて前記ブレーキ機構を作動させることが行われている。また上記負圧を利用してブローバイガスをクランクケースから排出し、エンジンの吸気系に再循環させて浄化することも行われている。
【0003】
一方、最近ではエンジン本体に供給する混合気を希薄化することで、燃費(燃料消費率)の向上を図ったリーンバーン・エンジンが実用化されている。特に混合気の空燃比を20程度までリーン化可能な希薄燃焼エンジンや、エンジン本体内での層状燃焼を実現することで、上記希薄燃焼エンジンよりも更に空燃比を希薄化(空燃比25以上)した筒内噴射型エンジンが実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで通常のMPI(マルチ・ポイント・インジェクション)エンジンよりも空燃比が大きく設定されたリーンバーン・エンジンにおいては、リーンバーン運転時にエンジン本体内に導入される吸気量が多いので、これに伴って吸入空気量制御機構(スロットル弁)の下流側での負圧が低下することが否めない。また前記筒内噴射型エンジンにあっては、予混合燃焼から層状燃焼へと燃焼形態を切り換えることで超希薄燃焼が実現されるが、この場合にも大量に吸気されるのでエンジン本体の吸入空気量制御機構の下流側の負圧が低下する虞がある。特にこれらのエンジンにEGR(排気ガス再循環)系を組み込んだ場合、負圧が低下した吸気系にEGRガスが滞留し易くなり、滞留したEGRガスによって更に負圧が低下する虞もある。
【0005】
ちなみに吸気系の負圧が大幅に低下すると、前述した負圧アクチエータの作動が損なわれる虞があり、例えば上記負圧を利用しているブレーキ機構の場合、その制動に要する踏力が増大することがある。従ってこの種の負圧アクチエータを備えたエンジンにあっては、該エンジンの運転状態を考慮して上記負圧アクチエータの作動を保証し得る範囲に前記吸入空気量制御機構の下流側の負圧を確保することが重要な課題となる。
【0006】
尚、例えば特開昭58−23244号公報には、ディーゼル・エンジンに組み込まれた負圧アクチュエータ、特に負圧倍力装置における吸気管内の負圧を確保するための手法として、ブレーキの作動により負圧低下が生じることに着目し、ブレーキ信号を検出して吸気絞り弁を閉じる技術が開示される。また特開平6−117280号公報には、吸入空気量制御機構の下流側の圧力をセンサにより検出し、その検出信号に基づいてスロットル弁および吸気弁の作動を制御する技術が開示される。更には特開平7−247866号公報には、負圧低下の要素となる電動ファンやコンプレッサ等を、圧力センサの出力に基づいて所定時間停止させる技術が開示される。
【0007】
しかし上記各公報に開示される技術は、空燃比をリーンとリッチとの間で変化させたり、或いは燃焼形態を層状燃焼と予混合燃焼とで切り換えて希薄燃焼を実現するリーンバーン・エンジンに適用したものではない。仮にこれらの技術をリーンバーン・エンジンに適用すると、希薄燃焼自体が損なわれて燃費を悪化させたりドライバビリティの劣化を招き、更には負圧を十分に確保することができなくなる等の不具合を生じる虞がある。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、リーンバーン・エンジンの運転状態に応じて、燃費やドライバビリティの悪化を招くことなく、しかも吸入空気量制御機構の下流側の負圧を安定に確保して負圧アクチュエータの作動を保証することのできる制御手法を導入した希薄燃焼内燃機関を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく請求項1に記載の発明は、ストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転可能なエンジンと、このエンジンへの吸入空気量を調整する吸入空気量制御機構と、この吸入空気量調整機構の下流側から取り出される負圧を利用して作動する負圧アクチュエータと、この負圧アクチュエータに作用する負圧の低下を検出する負圧低下検出手段と、この負圧低下検出手段の検出値に応じて前記エンジンをストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転のいずれかに切り換える燃焼制御手段とを具備した希薄燃焼内燃機関であって、
特に前記負圧低下検出手段が故障している場合には、前記リーン燃焼運転を禁止することを特徴とするものである。
【0010】
即ち、負圧アクチュエータに作用する負圧の低下を検出する負圧低下検出手段の故障時にはリーン燃焼運転を禁止し、ストイキオ燃焼運転とすることで、負圧アクチュエータの負圧を確実に確保し、その作動を保証し得るようにしたことを特徴としている。
また請求項2に記載の発明は、前記負圧低下検出手段は、前記負圧アクチュエータに作用する負圧を検出する負圧センサからなり、この負圧センサの出力値が所定範囲外にあるときに故障と判定することを特徴とし、負圧センサの故障を適切に判定するようにしている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る希薄燃焼内燃機関について説明する。
図1はこの実施形態に係る希薄燃焼内燃機関(エンジン)の概略的な構成を示すもので、1はエンジン本体である。エンジン本体1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ3および電磁式の燃料噴射弁4が取り付けられており、燃料噴射弁4から燃焼室5内に燃料が直接噴射されるようになっている。尚、図中6はシリンダ7内を上下動するピストンであり、8は吸気弁、また9は排気弁である。またシリンダヘッド2には、前記吸気弁8および排気弁9をそれぞれ駆動するカムシャフト間に位置して吸気ポート10が略直立方向に形成されており、その側部には略水平方向に向けて排気ポート11が形成され、更に斜め方向に分岐してEGRポート12が形成されている。
【0012】
しかして上記エンジン本体1の吸気ポート10には、サージタンク20を備えた吸気マニホルド21を介して吸入空気量制御機構が接続されている。この吸入空気量制御機構は、例えばアクセル操作に連動して開閉するバタフライ式のスロットル・バルブ22をその吸気通路に内蔵し、エアクリーナ23を介して導入した吸入気の流量を調節して前記吸気マニホルド21に供給するスロットル・ボディ24と、このスロットル・ボディ24の上記スロットル・バルブ22を迂回して設けられたエア・バイパス・パイプ25とを備えて構成される。
【0013】
尚、スロットル・ボディ24には、スロットル・バルブ22を迂回するバイパス通路が形成されている。このバイパス通路には第1のエア・バイパス・バルブ(#1ABV)26が設けられており、主にアイドル時における吸入気量が制御されるようになっている。また前記エア・バイパス・パイプ25は前記スロットル・ボディ24の吸気通路に準ずる流路面積を有したもので、その管路にソレノイド式の第2のエア・バイパス・バルブ(#2ABV)27が設けられている。これらの#1ABV26と#2ABV27は、その調整によって前記エンジン本体1の低中速域で要求される量の吸入気を補助的に流通させる役割を担う。
【0014】
さて前述したサージタンク20を有する吸気マニホルド21は、上述した如く構成される吸入空気量制御機構の下流側に位置して設けられている。そしてサージタンク20には、エンジン本体1の作動によりその内部に生じる負圧(吸気管圧力)を利用して作動するブレーキ機構30が連接されている。このブレーキ機構30は、その負圧倍力装置32内の負圧室(図示せず)に前記サージタンク20から導かれて蓄圧されている負圧を利用して、ブレーキペダル31の踏力を増大させてマスタシリンダ35を作動させ、車両に対する制動力を生起するものであり、所謂負圧アクチエータを構成している。尚、この負圧アクチエータに利用される負圧は、例えば負圧倍力装置32に組み込まれた負圧(ブースト圧)センサ37により検出され、モニタされている。
【0015】
一方、前記EGRポート12は、EGRパイプ14を介して前記吸気マニホールド21の上流側(サージタンク20)に接続されており、前記エンジン本体1の排気ガスの一部がサージタンク20に導入されて再循環されて、浄化されるようになっている。この排気ガスの再循環量は、上記EGRパイプ14の管路に設けられたステップモータ式のEGRバルブ15により制御される。
【0016】
尚、図中36は中央処理装置(CPU)や記憶装置(ROM,RAM),更にはタイマカウンタ等を備えたエンジン制御ユニット(ECU)である。このECU36は、基本的には各種センサにより求められる前記エンジン本体1の運転状態や、運転操作によって示される運転意図等に従い、例えば燃料噴射弁4による燃料の噴射モードの制御やその燃料噴射量の制御を始めとして、点火プラグ3の点火時期を制御し、更には前記EGRバルブ15を介するEGRガスの再循環量を決定する等して、エンジン装置の総合的な制御を行う。そしてこのECU36により前記EGRバルブ15の作動や、前記第1のエア・バイパス・バルブ(#1ABV)26および第2のエア・バイパス・バルブ(#2ABV)27等がエンジン本体1の運転状態に応じてそれぞれ制御される。
【0017】
尚、上記燃料噴射モードの制御は、主に吸気行程中に燃料を噴射し、理論空燃比近傍で予混合燃焼を行うストイキオモード、また主に吸気行程中に燃料を噴射し、理論空燃比よりもリーンな空燃比側で予混合燃焼を行う第1運転モード、更に主に圧縮行程時に燃料噴射し、第1運転モードよりもリーンな空燃比で層状燃焼を行う第2運転モードの切り換えを行う等の制御からなる。
【0018】
基本的には上述した如く、吸入空気量制御機構の下流側(吸気マニホールド21)に生じる負圧を利用して作動する負圧アクチエータ(ブレーキ機構30)を備え、前述した第1運転モードや第2運転モードにより希薄燃焼運転される希薄燃焼内燃機関(エンジン)において、この発明の実施形態が特徴とする点は、燃費やドライバビリティの悪化を考慮し、吸入空気量制御機構の下流側に位置する吸気マニホールド21およびサージタンク20内の気体の充填状態を調整して、上記ブレーキ機構30の作動を保証する負圧を確保するようにした点にある。
【0019】
即ち、ECU36は、前記ブレーキ機構30の負圧倍力装置32に組み込まれた負圧(ブースト圧)センサ37により負圧アクチュエータに作用する負圧を検出してモニタしている。またECU36は、更に前記ブレーキ機構30の負圧倍力装置32に組み込まれた負圧スイッチ(V−SW)33のオン・オフ、またブレーキペダル31の踏み込みを検出するブレーキ・スイッチ(BK−SW)34のオン・オフ等を検出している。尚、上記負圧スイッチ33は、例えば負圧が所定値を下回ったときにオン動作し、所定値以上の負圧が確保されている場合にはオフ動作するものである。またブレーキ・スイッチ34は、ブレーキ・ペダル31が踏圧されたときにオン動作するものである。
【0020】
そしてECU36は基本的には上記各スイッチ33,34のオン・オフ情報、また吸入空気量制御機構によって調整される空燃比(A/F)やその継続時間、更にはEGR量(排気ガス環流量)等に従って、以下に説明するように前記ブレーキ機構30の作動を保証し得る負圧を前記吸気マニホルド21(サージタンク20)内に確保するべく、その制御を行うものとなっている。
【0021】
以下、ECU36による負圧制御について、リーン運転の禁止制御を例に説明する。この第1の実施形態に示す装置にあっては、例えばブレーキ・スイッチ34または負圧スイッチ33がオンとなったときにリーン運転を禁止し、このリーン運転禁止期間が一定時間(例えば2秒間)を経過したとき、或いは上記負圧スイッチ33が短時間の内にオフに復帰したときには、そのオフ時から所定時間後(例えば0.5秒後)に上記リーン運転の禁止を解除する。このリーン運転の禁止は前記エンジン本体1に対する前述した第1および第2運転モードにおけるリーン噴射を禁止することによって、換言すればストイキオ運転(ストイキオモード)に戻すことによってなされる。即ち、ストイキオ運転すると言うことは、第2のエア・バイパス・バルブ27で代表される吸入空気量調整機構を閉じ側に駆動して、吸入空気量(吸気量)を絞り込むことを意味している。
【0022】
ちなみにリーン運転禁止の場合(リーン運転からストイキオ運転に移行する場合)、ドライバビリティが悪化するような出力変動が生じないように前記燃料噴射弁4からの燃料噴射量が制御される。例えば運転状態が変更されたときには、その基本噴射量をほぼ一定とし、吸入空気量を減量したことによりポンピングロスが増大する分、燃料噴射量を増量するように補正制御する。逆にリーン運転禁止が解除された場合(ストイキオ運転からリーン運転に移行する場合)にはポンピングロスが減るので、その分、燃料噴射量が減少するように補正制御する。
【0023】
具体的には、ブレーキ・スイッチ34のオン・オフに着目した場合には、図2に示すようにブレーキ・スイッチ34のオン時点を基準として、リトリガブル(再トリガ)的に2秒間に亘ってリーン運転を禁止することによりなされる。また負圧スイッチ33のオン・オフに着目した場合には、図3に示すように負圧スイッチ33のオン時点を基準として、基本的には2秒間に亘ってリーン運転を禁止し、また負圧スイッチ33が短時間の内にオフ状態に戻った場合であっても、最低0.5秒間はリーン運転を禁止するように、そのオフ時点から0.5秒の遅延を施した上でリーン運転禁止を解除するものとなっている。
【0024】
尚、この図3に示す例では、リーン運転禁止期間中に再度負圧スイッチ33がオンとなったとき、そのオン時点を基準としてリトリガブルにリーン運転禁止モードを設定しているが、最初の負圧スイッチ33のオン信号でリーン運転禁止が2秒間以上継続していることを条件として、そのオン信号直後の負圧スイッチ33によるその再トリガを省略して連続的にリーン運転禁止とならないように設定しても良い。
【0025】
しかしてブレーキ・スイッチ34と負圧スイッチ33とを併用した場合には、上記各スイッチ33,34のセンシング情報をどの様に重み付けするか、つまりその制御アルゴリズムの構築の仕方によって多少制御形態が変化するが、例えば図4に示すようにブレーキ・スイッチ34または負圧スイッチ33がオンとなった時点を基準として2秒間ずつリトリガブル的にリーン運転を禁止する。そしてリーン運転禁止期間中に負圧スイッチ33がオフに戻ったときには、負圧がある程度確保されたと判断して、そのオフ時点から0.5秒後に上記リーン運転禁止を解除する。
【0026】
かくしてこのようなリーン運転禁止に基づく負圧確保制御を行えば、ブレーキ・スイッチ34のオンによって検出されるブレーキ機構30の作動から、これによって生じる吸気マニホルド21内の負圧低下が推定される時点で、或いは負圧スイッチ33のオンによって該吸気マニホルド21内の負圧低下が直接的に判定された時点でリーン運転が禁止されて、吸気マニホルド21内における気体の充填状態が調整される。つまり負圧確保の妨げの要因となるリーン運転時の吸入気量の増大化が中止され、ストイキオ運転によって吸気マニホルド21内の負圧が回復される。これによってブレーキ機構30の作動を保証する定常負圧を確保することが可能となる。
【0027】
しかも上述した2秒間程度のリーン運転の禁止制御であれば、エンジン本体1のリーン運転が一時的に中断されるだけで、ほぼ連続的にリーン運転状態が継続していると看做し得るので、リーン運転モード(第1運転モード,第2運転モード)の導入による全体的な燃費向上性が犠牲となることもない。つまり燃費の悪化が殆ど生じることがない。
【0028】
尚、上記ブレーキ・スイッチ34や負圧スイッチ33の出力に基づいて、上記リーン運転の禁止制御に代えて、EGRに対する制御を行うようにしても良い。即ち、排気ガスの一部を吸気マニホルド21側に戻して再循環させるEGRは、当然のことながら吸気マニホルド21内の負圧低下、即ち、負圧倍力装置32内の負圧がブレーキの作動により低下したとき、その負圧が回復できなくなる要因となる。従って上述した如く各スイッチ33,34によって検出されるブレーキ機構30の作動状態や負圧の状態に応じて前記EGRバルブ15を制御して吸気マニホルド21内における気体の充填状態を調整するようにしても良い。具体的にはEGR量を低減したり、或いはEGR自体を禁止することでEGRに起因する吸気マニホルド21内の負圧低下をなくし、該吸気マニホルド21内の負圧を前記ブレーキ機構30の作動を保証する範囲に確保するようにしても良い。
【0029】
この場合であってもEGRの低減(禁止)制御に基づく負圧確保制御を、前述したリーン運転の禁止制御と同様に2秒間を基本として実行するようにすれば、この制御によって排気ガスの浄化能力が大幅に低下することがなく、全体的にはEGRによる浄化作用を維持することができる。特にリーン運転中に導入しているEGR量を減少またはその導入を禁止するようにすれば、リーン運転による燃費の向上を図りながら、ブレーキ機構30の作動を保証する負圧を効果的に確保することが可能となる。尚、EGRは圧縮行程噴射時に大量に導入される為、EGRの低減(禁止)制御については、特に第2運転モードに示されるように圧縮行程で燃料噴射を行う筒内噴射型のリーンバーン内燃機関に有効である。
【0030】
図5乃至図8は上述した作用原理に基づいて実行される本発明に係るエンジン装置において実行される負圧確保制御の具体的な処理手順を示す図である。この制御は前述した負圧スイッチ33およびブレーキ・スイッチ34のオン・オフ状態のみならず、車速条件に応じてリーン運転の禁止とEGRのカットとを実行するものとなっている。
【0031】
即ち、この処理手順に示す負圧確保制御では、図9のタイミング図に示されるように車速が所定値(例えば2.5〜20km/hの範囲で設定された基準速度Vo)を越えているときには前記各スイッチ33,34の状態に応じて第1および第2運転モードによるリーン運転の禁止制御を実行し、上記車速が基準速度Vo以下の場合にはEGRカット制御を実行する。また上記各制御については、負圧スイッチ33のオン後、2秒を経過するまでの期間、または負圧スイッチ33のオフ後、0.5秒を経過するまでの期間、更にはブレーキ・スイッチ34のオン後、2秒を経過するまでの期間に亘って実行される。
【0032】
この処理手順を図9に示すタイミング図を参照しながら説明すると、先ず最初に現時点での車速が前記基準速度Voを越えているか否かを判定する(ステップS1)。そして車速が基準速度Voを越えている場合には、負圧スイッチ(V−SW)33がオンであるか否かを判定し(ステップS2)、オンである場合には該負圧スイッチ33が既にオン状態であることを示すフラグDを判定する(ステップS3)。このフラグDはブレーキ作動にとって必要最低限の負圧値以上の負圧が確保されているかを示すものであり、リーン運転禁止モードが所定時間(例えば2秒)経過したことにより、十分な負圧が確保されたとして[1]にセットされる。
【0033】
尚、ステップS2において負圧スイッチ33がオフであることが確認されたならば、その時点で該フラグDを[0]にセットする(ステップS4)。従ってステップS3においてフラグDが[0]であることが判定されたとき、これによって負圧スイッチ33がオフからオンに変化したこと、つまりオンとなったことが確認される。但し、負圧スイッチ33のオン・オフ閾値は、上述した必要最低限の負圧値よりも、ブレーキ作動にとって余裕のある負圧値として設定されている。
【0034】
しかして負圧スイッチ33のオンが検出されたならば、次にリーン運転禁止モードの設定を示すフラグAを判定する(ステップS5)。そしてフラグAが[0]でリーン運転禁止モードが設定されていない場合には、リーン運転禁止モードを設定し(ステップS6)、前記フラグAを[1]に設定した後(ステップS7)、該負圧スイッチ33のオン検出に基づくリーン運転禁止モードを管理する第1のタイマを、例えば2秒にセットする(ステップS8)。この第1のタイマは、後述する他のタイマを含めて時間経過と共にカウントされる。尚、ステップS5においてフラグAが既に[1]にセットされていることが確認されたならば、ステップS6〜S8の手順は省略される。
【0035】
一方、前記ステップS2において負圧スイッチ33がオフであることが確認され、ステップS4にてフラグDを[0]にセットしたならば、次に前記リーン運転禁止モードの設定を示すフラグAを判定する(ステップS9)。そしてフラグAが[1]で既にリーン運転禁止モードが設定されていた場合には、負圧スイッチ33のオフ後、所定時間に亘って上記リーン運転禁止モードを継続させるべく第2のタイマを、例えば0.5秒にセットする(ステップS10)。その後、前記フラグAを[0]に設定すると共に(ステップS11)、前記負圧スイッチ33のオフ後のリーン運転禁止モードの解除を管理する為のフラグBを[1]にセットする(ステップS12)。尚、ステップS9においてリーン運転禁止モードの設定が検出されない場合、つまりリーン運転禁止モードが設定されていないことが判定されたならば、上記ステップS10〜S12の手順を省略する。
【0036】
以上のステップS2〜S12の処理手順により、車速が基準速度Voを越えている場合における負圧スイッチ33のオン・オフ状態(オン・オフの変化)に応じたリーン運転禁止モードの設定、即ち、第2のエアバイパス・バルブ27で代表される吸入空気量調整機構を閉じ側に駆動して吸気量を絞り込む設定と、これに伴うフラグA,B,Dのセット、および第1および第2のタイマのセットが行われる。
【0037】
しかる後、次にブレーキ・スイッチ(BK−SW)34がオンであるか否かを判定し(ステップS13)、ブレーキ・スイッチ34がオンであるならばフラグEを判定して既に該ブレーキ・スイッチ34がオン状態であったか否かを判定する(ステップS14)。このフラグEは、上記ステップS13においてブレーキ・スイッチ34がオフであることが確認されたときに[0]にセットされるものである(ステップS15)。従ってステップS14においてフラグEが[0]であることが確認されたとき、これによってブレーキ・スイッチ34がオンに変化したことが検出される。即ち、このフラグEはブレーキのポンピングに対処するフラグである。このフラグEによって、仮にリーン運転禁止モード中にブレーキ・スイッチ34のオン・オフが繰り返された場合であっても、オン信号が検出される毎に後述する第3のタイマがリセットされ、最終的にオン信号が出力された時点から所定時間(2秒間)に亘ってリーン運転禁止モードが実行される。
【0038】
しかしてブレーキ・スイッチ34のオン動作が検出されたならば、これに伴ってリーン運転禁止モードを設定し(ステップS16)、車速が基準速度Voを越えている場合での、リーン運転禁止モードを示すフラグCを[1]に設定する(ステップS17)。同時にブレーキのポンピングに対処する為のフラグEを[1]に設定した後(ステップS18)、該ブレーキ・スイッチ34のオン検出に基づくリーン運転禁止モードを管理する第3のタイマを、例えば2秒にセットする(ステップS19)。
【0039】
尚、ステップS14において既にフラグEが[1]となっていることが確認された場合には、上述したステップS16〜S19の処理手順は省略される。そして以上のステップS13〜S19に示す処理手順により、車速が基準速度Voを越えている場合におけるブレーキ・スイッチ34のオン・オフ状態(オフからオンへの変化)に応じたリーン運転禁止モードの設定と、これに伴うフラグC,Eのセット、および第3のタイマのセットが行われる。
【0040】
一方、ステップS1において車速が基準速度Vo以下であることが確認された場合には、図6に示すように負圧スイッチ33のオン・オフ状態、およびブレーキ・スイッチ34のオン状態に応じて前述したリーン運転禁止モードの設定に代えてEGRカット・モードの設定が行われる。このEGRカットの制御は基本的には上記ステップS2〜S19の手順と同様に実行される。即ち、図6においてステップS22〜S39に示すようにその処理手続きが進められる。但し、この場合には、フラグA,B,C,D,Eにそれぞれ相当するフラグとして、フラグF,G,H,I,Jが用いられる。また第1乃至第3のタイマにそれぞれ相当するものとして第4乃至第6のタイマが用いられる。
【0041】
そして上述した如く車速や負圧スイッチ33およびブレーキ・スイッチ34のオン・オフ状態に応じて、リーン運転禁止またはEGRのカットのモード設定の処理が終了すると、次に図7および図8に示す上記各モードの解除制御が実行される。
これらのモードの解除制御は、先ず前記フラグAが[0]であるか否かを判定し(ステップS41)、フラグAが[1]であって負圧スイッチ33のオンに基づくリーン運転禁止モードが設定されている場合には、前記第1のタイマが2秒経過したか否かを判定する(ステップS42)。そして第1のタイマが2秒を経過している場合には、前記フラグAを[0]にセットすると共に(ステップS43)、前記フラグDを[1]にセットする(ステップS44)。尚、ステップS41においてフラグAが[0]であること、つまり負圧スイッチ34のオンに基づくリーン運転禁止モードが設定されていない場合、或いは前記第1のタイマが2秒経過前であるならば、ステップS43,S44でのフラグ処理を行うことなく、次の処理手続きに移行する。
【0042】
しかる後、前記フラグBが[0]であるか否かを判定し(ステップS45)、該フラグBが[1]であって前記負圧スイッチ33がオフとなっていることが判定されたならば、前記第2のタイマが0.5秒以上経過したか否かを判定する(ステップS46)。そして第2のタイマが0.5秒以上経過している場合には、前記フラグB,Cをそれぞれ[0]にセットした後(ステップS47,S48)、前述した如く設定したリーン運転禁止モードを解除する(ステップS49)。
【0043】
これに対して前記フラグBが[0]であり負圧スイッチ33がオン状態のままである場合、或いはフラグBが[1]で負圧スイッチ33がオフとなっていても前記第2のタイマが0.5秒を経過していない場合には、次に前記フラグCを調べて前記ブレーキ・スイッチ34のオンに基づくリーン運転禁止モードが設定されているか否かを判定する(ステップS50)。そしてフラグCが[1]であり、リーン運転禁止モードが設定されている場合には、前記第3のタイマが2秒以上経過しているか否かを判定し(ステップS51)、2秒以上の経過が判定されたならば、該フラグCを[0]にセットする(ステップS52)。
【0044】
その後、前記フラグCが[0]である場合、或いはフラグCが[1]であっても第3のタイマが2秒を経過していない場合を含めて、前記フラグA,B,Cの全てが[0]であるか否かを判定する(ステップS53)。そして上記フラグA,B,Cの全てが[0]であることが確認されたとき、前述したリーン運転禁止モードを解除する(ステップS54)。つまり負圧スイッチ33のオンによって設定されるリーン運転禁止モードが2秒以上経過し、またブレーキ・スイッチ34のオンによって設定されるリーン運転禁止モードが2秒以上経過したとき、或いは負圧スイッチ33がオフとなった後、0.5秒以上に亘ってリーン運転禁止モードが継続したことが確認された時点で、初めて該リーン運転禁止モードを解除するものとなっている。
【0045】
一方、前述した如く設定されたEGRカットのモードも、基本的には上記ステップS41〜S54に示される処理手順と同様に、図8に示すステップS61〜S74に示す判定処理手順の下で解除される。即ち、前述したフラグF,G,Hの判定の下で、前記第4乃至第6のタイマの経過時間を判定する。そして負圧スイッチ33のオンによって設定されるEGRカットモードが2秒以上経過し、またブレーキ・スイッチ34のオンによって設定されるEGRカットモードが2秒以上経過したとき、或いは負圧スイッチ33がオフとなった後、0.5秒以上に亘ってEGRカットモードが継続したことが確認された時点で、初めて該EGRカットモードが解除されるようになっている。
【0046】
かくして上述した如く実行される処理手順(制御処理)によれば、車速に応じてリーン運転を禁止し、或いはEGRをカットすることにより吸気マニホルド21(サージタンク20)内における気体の充填状態を制御して、ブレーキ機構30の作動を保証する負圧を確保するものとなっている。つまりバキューム・ポンプ等の負圧発生装置を新たに設けることなしに、必要な負圧を簡易に、且つ効果的に確保することができる。しかも負圧スイッチ33のオンを検出して設定するリーン運転禁止(EGRカット)と、ブレーキ・スイッチ34のオンを検出して設定するリーン運転禁止(EGRカット)とを別のタイマによって管理し、更に負圧スイッチ33のオフ後のリーン運転禁止(EGRカット)の継続を更に別のタイマにより管理しながら、これらの相互関係の下でその解除を制御しているので、上記各スイッチ33,34のオン・オフ状態に応じた効率的な負圧制御を行い得る。
【0047】
特に負圧スイッチ33のオフ後、所定時間に亘ってリーン運転禁止(EGRカット)を継続して実行するので、負圧スイッチ33のオン・オフ動作閾値よりも十分余裕を持つレベルまで負圧を回復させることができ、負圧スイッチ33の動作に余裕を持たせることができる。従って負圧スイッチ33の不本意なオン・オフ動作の繰り返しを未然に防ぎながら、ブレーキ機構30の動作を保証するに必要な負圧を安定に確保することが可能となる。
【0048】
ところで上述した第1の実施形態においては、吸気マニホルド21から負圧倍力装置32(負圧アクチュエータ)に加えられる負圧が、その作動を保証するに十分なレベルであるか否かを負圧スイッチ33を用いて検出し、その検出結果に基づいてエンジン本体1に対する燃焼制御(吸気マニホルド21内における気体の充填状態の制御)を行った。しかし負圧スイッチ33を負圧センサ37に置き換え、この負圧センサ37により負圧倍力装置32の図示しない負圧室の負圧をリニア(アナログ的)に検出し、その検出結果(負圧レベル)に基づいて上述した制御を実行するようにしても良い。
【0049】
即ち、負圧センサ37により検出される負圧レベルから負圧の不足の度合を判定し、その判定結果に応じてリーン運転禁止制御やEGRの減量制御(EGRカット)を行うようにしても良い。具体的には負圧の不足の度合と、そのときの運転状態とに応じた最適な燃焼モードを設定するようにし、例えば頻繁な燃焼モードの切り換えを防ぐことで、ドライバビリティの悪化を招来することなしに負圧アクチュエータの作動に必要な負圧を確保するようにすれば良い。
【0050】
図10はこのような観点に立脚した第2の実施形態としての負圧確保の為の制御形態を一覧形式で示したもので、特に負圧不足のレベルと運転状態(停車/走行)とに応じて変更される処理形態の例を示している。
具体的には始動時や不慮のエンジン・ストップ(エンスト)時にはリーン禁止制御およびEGRカット制御を行わず、また負圧センサ37が故障している(故障していると想定される)場合には、リーン禁止制御だけを実行する。ちなみに負圧センサ37の故障判定は、例えば負圧センサ37の動作電圧が5Vである場合、その出力として0.2〜4.5Vの出力電圧(センサ出力)が得られた場合に負圧センサ37が正常動作しており、上記範囲を外れた出力が得られた場合には故障していると看做される。
【0051】
またエンスト・始動外であってエンジン本体1が正常に運転動作しており、負圧センサ37が正常に作動している場合には該負圧センサ37の出力に応じてその負圧の不足レベル(度合)が判定される。この負圧の不足度合は、該負圧センサ37によって検出される負圧レベル(センサ出力)が、負圧倍力装置32内の負圧であり、この負圧はエンジン本体1の運転状況により作り出される絶対的なものであること、また負圧倍力装置32(負圧アクチュエータ)に蓄圧される負圧はマスタシリンダ35に作用するものであり、大気圧との差として作用する相対的なものである点に鑑み、この実施形態においては上記負圧の大気圧に対する相対値から負圧不足の大なる状態を判定し、また前記負圧の絶対値(直接値)から負圧不足の小なる状態を判定するものとしている。
【0052】
具体的には、負圧センサ37の出力レベルがBvで示されるとき、
Bmin (=0.2V) < Bv < Bmax (=4.5V)
として先ず負圧センサ37の故障判定が行われる。そして負圧センサ37が正常であるとき、例えば標準大気圧(1気圧)からのマイナス(負)側への変化分としての出力Bvと、大気圧を検出する大気圧センサの出力Avとから、負圧アクチュエータに作用する負圧力(相対値)BvRを、例えば
BvR = Bv +(Av−[760mmHg])
として求める。
【0053】
尚、実際的には、標準大気圧(1気圧;760mmHg)は定数として与えられるので、その相対的な負圧(相対圧)を
BvR = Bv +Av
として等価的に求めるようにしても良い。
しかして前記負圧の相対圧BvRは所定の判定値B2(B2s)と比較され、負圧不足のレベルが判定される。そして上記相対圧BvRがその判定値B2(B2s)よりも低いとき、負圧の不足レベルが大であると判定される。また前記負圧センサ37の出力である負圧の絶対値(絶対圧)Bvは、別に設定された所定の判定値B1(B1A,B1s,B1sA)と比較され、負圧倍力装置32内における負圧レベルが直接的に判断される。そして上記負圧の絶対圧Bvがその判定値B1(B1A,B1s,B1sA)よりも低い場合、負圧の不足レベルが小であると判定される。そしてこのようにして負圧の不足が判定された場合、該負圧倍力装置32内における負圧を確保するべく、以下に示すようにエンジン本体1に対する運転モードが変更制御され、具体的には第1の実施形態と同様にリーン運転禁止やEGRカットによる負圧確保制御が行われる。特にエンジン本体1の運転状態に応じて、具体的には車両が走行中であるか、或いは停車中であるかに応じて上記リーン運転禁止やEGRカットの制御を行うものとなっている。
【0054】
この一連の運転制御(負圧確保制御;リーン運転禁止およびEGRカット制御)について、図11乃至図17を参照して以下に説明する。この処理は、図11にメインルーチンを示すように、先ず車速V,エンジン本体1の回転数Ne,大気圧Avを検出することから開始される(ステップS101)。尚、上記大気圧Avは前述したように標準大気圧(1気圧)からのマイナス側への変化分として検出される。しかる後、負圧センサ37の出力Bvを検出し(ステップS102)、前述した如く負圧倍力装置32内の負圧レベルBvと、前記大気圧Avとの相対圧BvRを求める(ステップS103)。
【0055】
以上の前処理が終了したならば、次にエンスト・始動時の状態であるか否かを判定する(ステップS104)。この判定は、例えばイグニッション・スイッチの状態を調べる等して行われる。ちなみにエンジン本体1がエンスト状態、或いは始動時であることが判定されたならば、リーン禁止制御を行うことなく(ステップS105)、またEGRカット制御も行うことなく(ステップS106)、該メインルーチンを抜けてステップS101に示す処理に戻る。つまりリーン禁止制御およびEGRカット制御を実行することなく、その処理を終了する。即ち、負圧確保制御は行われず、運転状態に応じた空燃比制御およびEGR制御等が実行される。
【0056】
一方、エンスト、或いは始動時でない場合には、次に前記負圧センサ37から正常な検出値が求められているか否か、つまり負圧センサ37が正常に機能しているか否かを判定する(ステップS107)。仮に負圧センサ37が故障している場合には、安全サイドから必要な負圧を確保するべくリーン禁止制御を実行する(ステップS108)。具体的にはこのリーン禁止制御は、第1の実施形態と同様に、吸入空気量を減量して空燃比をストイキオ近傍に設定し、ドライバビリティに悪影響が生じないように、即ち、出力変動が大きく変化しないように、その空燃比に応じた燃料制御が実行される。つまりエンジン本体1のリーン運転を禁止し、ストイキオ制御モードでの運転により、吸気マニホルド21内および負圧アクチュエータにおける必要な負圧を確保する。尚、この場合にはEGRカット制御は実行しない(ステップS106)。
【0057】
以上のようにして負圧センサ37が正常に機能していることが確認されたならば、次に車速Vを判定する(ステップS109)。この車速Vの判定は、例えば5km/h以上の速度で走行中であるか否かを判断することによって行われ、車速Vが上記判定速度に満たない場合には、停車中である或いは停車時と変わらない運転状態であると判定する。そして走行中であると判定された場合には、後述する走行時における負圧確保制御を実行し(ステップS110)、また停車中(低速走行時)である場合には、停車時における負圧確保制御を実行する(ステップS140)。つまり車両(エンジン本体1)の運転状態に応じて、走行時または停車時の負圧確保制御(ステップS110,S140)をサブルーチン処理としてそれぞれ実行する。
【0058】
さて走行時におけるリーン禁止制御(ステップS110)は、例えば図12に示すように実行される。この処理は、先ず前述した如く求めた負圧の相対圧BvRを所定の判定レベルB2と比較することから開始される(ステップS111)。そして相対圧BvRが上記判定レベルB2よりも低いとき、つまり負圧が小さいとき、これを負圧の不足度合(不足レベル)が大であると判定する(ステップS112)。
【0059】
これに対して相対圧BvRが上記判定レベルB2よりも高いとき(不足度合が大きくないとき)には、次にエンジン本体1の負荷となるエアコンデショナー等のアクセサリー機器がオン状態であるか否かを判定する(ステップS113)。そしてアクセサリー機器がオン状態であるか否かに応じて、前記負圧のレベル(絶対圧)Bvと、所定の判定レベルB1,B1Aとを比較し(ステップS114,S115)、その絶対圧Bvが判定レベルB1,B1Aよりも低いとき、これを負圧の不足度合(不足レベル)が小であると判定する(ステップS116)。即ち、負圧アクチュエータの作動に必要な負圧が或る程度確保されているが、十分なる負圧の確保には至っていないと判断する。尚、負圧の絶対圧Bvが判定レベルB1,B1Aよりも高い場合には、負圧倍力装置32内に負圧が十分に確保されており、負圧の不足なしと判断される(ステップS117)。
【0060】
尚、上記負圧の判定レベルB1,B1A,B2は、後述する判定レベルB1s,B1sA,B2sと共にエンジン回転数Neや車速V等の運転状態に応じて設定されるものであり、例えばマップデータとして与えられる。またその添字[1]は、負圧の絶対圧に対する判定レベルを、また[2]は相対圧に対する判定レベルであることを表しており、更に[s]は停車時における判定レベルであること、また[A]はアクセサリー機器がオン状態であるときの判定レベルであることを示している。
【0061】
さて上述した如くして走行時における負圧の不足レベルが大であると判定された場合には(ステップS112)、リーン禁止制御が実行される(ステップS118)。即ち、運転状態に応じて前述した第1運転モードの予混合燃焼によるリーン運転や、第2運転モードの層状燃焼によるリーン運転が行われている場合であっても、そのリーン運転自体が禁止される(リーン禁止モード)。そしてリーン運転禁止制御の実行を示すフラグhを[1]に設定した後(ステップS119)、次にEGRカット制御を実行する(ステップS120)。そしてEGRカット制御の実行を示すフラグiを[1]に設定する(ステップS121)。
【0062】
このリーン禁止モードは、リーン運転の禁止によって、例えば吸気マニホルド21内の負圧が確保される。これに伴って負圧倍力装置32内の負圧がブレーキ作動に十分な負圧レベルまで確保される。そして後述するリーン禁止解除制御が実行されるまで、このリーン禁止モードが継続される。
一方、前述したように負圧の不足レベルが小であると判定された場合には(ステップS116)、次にブレーキ・スイッチ(BK−SW)34がオン状態であるか否かが判定される(ステップS122)。つまりブレーキペダルが踏み込み操作され、負圧を利用した制動が実行中であるか否かの判定が行われる。そしてブレーキ・スイッチ34がオンである場合には、リーン禁止モードを設定し(ステップS123)、前記フラグhを[1]に設定する(ステップS124)。
【0063】
尚、ブレーキ・スイッチがオフである場合には、更にスロットル・バルブ22に連動するアイドルスイッチ(ID−SW)の状態からスロットル・バルブ22が閉状態であるか否かを判定する(ステップS125)。そしてアイドル運転状態であることが確認された場合には、タイマ管理のパラメータTとして、例えば[2秒]を設定し(ステップS126)、タイマ管理の下でリーン禁止制御を実行する(ステップS127)。つまりパラメータTとして設定された期間[2秒]に亘ってリーン禁止制御を実行する。
【0064】
ちなみにこのリーン禁止のタイマ制御(ステップS127)は、図13に示すように、タイマ管理の下でのリーン禁止の実行を示すフラグaを判定し(ステップS131)、フラグaが[1]でないことを条件としてリーン禁止制御が開始される(ステップS132)。そしてこのリーン禁止制御の開始に伴って上記フラグaを[1]にセットし(ステップS133)、タイマによる計時をスタートさせて(ステップS134)、該リーン禁止制御をタイマ管理する。そして上記タイマが前述した如くセットされたパラメータTに示される時間に到達したか否かを判定し(ステップS135)、そのタイマ管理時間が経過した時点でそのリーン禁止制御を解除する(ステップS136)。そして前記フラグaを[0]に戻した上で(ステップS137)、元の処理手順に復帰する。
【0065】
このようなタイマ管理の下でのリーン禁止制御の実行は、前述した負圧不足なしとの判定結果を得た場合であっても(ステップS117)、ブレーキ・スイッチ34のオン状態を判定し(ステップS128)、ブレーキ・スイッチ34がオン状態である場合には前記パラメータTとして、例えば[1秒]を設定し(ステップS129)、同様にして負圧確保制御としてのリーン禁止制御を実行する(ステップS127)。従ってこの場合には、1秒間に亘ってリーン禁止が行われることになる。
【0066】
尚、アイドルスイッチがオンでない場合や(ステップS125)、負圧不足がない状態でブレーキ・スイッチがオンでない場合には、リーン禁止モードの解除が行われる(ステップS130)。このリーン禁止モードの解除処理は、後述する停車時の負圧確保制御におけるリーン禁止モードの解除を含めて図17に示すようにして実行される。この処理について後述する。
【0067】
一方、前述した走行モードの判定処理(ステップS109)において停車中であると判定された場合には、図14に示す停車時の負圧確保制御が実行される(ステップS140)。この処理は前述した走行時の負圧確保制御の場合とほぼ同様に、先ず負圧の不足の度合を判断することから開始される。即ち、前述した如く求めた負圧の相対圧BvRを、所定の判定レベルB2sと比較し(ステップS141)、上記相対圧BvRが上記判定レベルB2sよりも低いとき、これを負圧の不足度合(不足レベル)が大であると判定する(ステップS142)。
【0068】
これに対して相対圧BvRが上記判定レベルB2sよりも高いときには、アクセサリー機器がオン状態であるか否かを判定し(ステップS143)、その判定結果に応じて前記負圧のレベル(絶対圧)Bvと、所定の判定レベルB1s,B1sAとを比較する(ステップS144,S145)。そして絶対圧Bvが判定レベルB1s,B1sAよりも低いとき、これを負圧の不足レベルが小であると判定し(ステップS146)、また判定レベルB1s,B1sAよりも高いときには負圧の不足なしと判定する(ステップS147)。
【0069】
さて停車時において負圧の不足レベルが大であると判定された場合には(ステップS142)、図15に示すようにタイマ管理の下で負圧確保制御を実行する(ステップS148)。具体的にはタイマ管理の下で負圧確保制御の実行タイミングを制御する為のフラグgを判定し(ステップS161)、フラグgが[1]でないとき、第2のタイマによる計時をスタートさせる(ステップS162)。そして第2のタイマによる計時の開始を示す上記フラグgを[1]にセットする(ステップS163)。そしてこの場合には、先ずEGRカットの制御を駆動した上で(ステップS164)、元の処理(メインルーチン)に戻る。
【0070】
その後、次の制御サイクルにおいて再びこの処理に戻ったならば、次に第2のタイマによる計時時間が所定の燃焼行程時間IGを経たか否かを判定し(ステップS165)、上記燃焼行程時間IGの経過を確認した上で、先ず前記フラグgを[0]に戻した上で(ステップS166)、リーン禁止制御を実行する(ステップS167)。即ち、停車時において負圧の不足が大であると判断された場合には、先ずEGRカットによる負圧確保の制御を行いながら、所定の燃焼行程時間IGの経過後、リーン禁止制御を開始する。
【0071】
これに対して図14に戻って、負圧の不足レベルが小であると判定された場合には(ステップS146)、次にブレーキ・スイッチ(BK−SW)34がオン状態であるか否かを判定し(ステップS149)、更にアイドルスイッチ(ID−SW)がオン状態であるか否かを判定する(ステップS150)。そしてブレーキ・スイッチ34がオンである場合、或いはブレーキ・スイッチ34がオフ状態であっても、アイドルスイッチがオン状態である場合には、前述したタイマ管理用のパラメータTとして[2秒]を設定し(ステップS151)、タイマ管理の下でのリーン禁止制御を実行する(ステップS152)。またブレーキ・スイッチ34がオフで、且つアイドルスイッチもオフである場合には、リーン禁止モードの解除処理を実行する(ステップS153)。
【0072】
尚、負圧不足がなしと判定された場合においても(ステップS147)、ブレーキ・スイッチ34がオン状態であるか否を判定する(ステップS154)。そしてブレーキの操作が検出された場合には前記タイマ管理用のパラメータTを、この場合には[1秒]に設定し(ステップS155)、前記タイマ管理の下でのリーン禁止制御を実行する(ステップS152)。またブレーキ・スイッチ34がオフである場合には、前記リーン禁止モードの解除処理を実行する(ステップS153)。このリーン禁止モードの解除処理は、前述したステップS130に示す処理手続と全く同様なものである。
【0073】
ここで停車時においてタイマ管理の下で実行されるリーン禁止制御(ステップS152)について説明すると、この処理は図16に示すようにタイマ管理の下でのリーン禁止制御の実行を示すフラグdを判定し(ステップS171)、更に上記リーン禁止制御の開始時点をタイマ管理する為のフラグcを判定する(ステップS172)。そして最初にこのルーチンに入った場合には、リーン禁止制御が開始されていないので、先ず第3のタイマをセットし(ステップS173)、上記フラグcを[1]にセットする(ステップS174)。このようにして第3のタイマを起動した後、フラグfの下でEGRカットに対する制御を行う。但し、このEGRカットの制御については、上記リーン禁止の制御の説明の後に説明する。
【0074】
しかして前述したように第3のタイマをセットした後、再度この処理ルーチンに戻った場合には、フラグcからリーン禁止制御の準備が進められていることが判定されるので(ステップS172)、次に上記第3のタイマが所定の燃焼行程時間IGを経過したか否かを判定する(ステップS175)。そして所定の燃焼行程時間IGの経過が検出されたとき、フラグcを[0]にリセットした後(ステップS176)、リーン禁止制御を実行する(ステップS177)。そしてリーン禁止制御の実行を示す前記フラグdを[1]にセットし(ステップS178)、その後、第4のタイマを起動する(ステップS179)。
【0075】
すると次の段階においてこの処理ルーチンに戻ると、既にフラグdが[1]にセットされているので、リーン禁止制御が実行中であることが判定される(ステップS171)。そこでこの場合には、前記第4のタイマによって計時される時間が、前述した如くパラメータTとして設定された時間を経過したか否かを判定する(ステップS180)。そして所定の時間に亘ってリーン禁止制御が実行されたことが確認された場合、そのリーン禁止制御のモードを解除し(ステップS181)、更に前記フラグdを[0]にリセットする(ステップS182)。即ち、停車時において負圧の不足が小であると判定された場合、或いは負圧の不足がない場合であっても、ブレーキ操作が検出された場合には、その検出時点から所定の燃焼行程時間IGを経過した後、パラメータTで示される期間に亘ってリーン禁止制御を実行する。
【0076】
さて上述したリーン禁止制御と同時に実行されるEGRカットの制御は、先ずEGRカット制御の実行を示すフラグfが[0]であるかを調べることから開始される(ステップS183)。そしてフラグfが[0]である場合には、EGRカット制御を実行し(ステップS184)、上記フラグfを[1]にセットすると共に(ステップS185)、第5のタイマをスタートさせる(ステップS186)。しかる後、上記第5のタイマによって計時される時間が、前述したパラメータTに示される時間と所定の燃焼行程時間IGとの和により示される時間を経過したか監視し(ステップS187)、当該時間の経過が検出されたとき、上記EGRカットの制御モードを解除して通常のEGR制御モードに戻す(ステップS188)。そしてこのEGRカットモードの解除に伴い、前記フラグfを[0]にリセットして(ステップS189)、その処理手続を終了する。
【0077】
従ってここでのEGRカットの制御は、前述したように停車時において負圧の不足が小であると判定された場合、或いは負圧の不足がない場合であっても、ブレーキ操作が検出されたとき、その検出時点から所定の燃焼行程時間IGとパラメータTで示される期間(1秒または2秒)との和によって示される期間に亘って実行される。即ち、上記条件下においては先ずEGRカットだけが開始され、所定の燃焼行程時間IGの経過後、上記EGRカットの制御と並行してリーン禁止制御が実行されることになる。
【0078】
次に前述したリーン禁止の解除制御(ステップS130,S153)について説明すると、この制御は図17に示す手順に従って実行される。この処理は、先ず前述したリーン禁止制御の実行を示すフラグa,d,hを順に調べることから開始される(ステップS190,S191,S192)。これらの各フラグa,d,hが共に[1]でない場合には、当然のことがらリーン禁止制御自体が実行されていないので、そのモードの解除処理も行われない。
【0079】
しかしてフラグaが[1]である場合には、前述した走行時における負圧不足のレベルが小であると判定されたときのリーン禁止制御なので、第1のタイマによって計測された時間が前述した如くパラメータTによって設定された所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS193)。またフラグdが[1]である場合には、前述した停止時における負圧不足のレベルが小であると判定されたときのリーン禁止制御なので、第4のタイマによって計測された時間が前述した如くパラメータTによって設定された所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS194)。
【0080】
そしてこれらの第1或いは第4のタイマにより、各条件下でのリーン禁止制御の実行時間の経過が判定されたとき(ステップS193,S194)、或いは前記フラグhによって走行時における負圧不足が大の場合でのリーン禁止制御の実行が判定された場合(ステップS192)、そのリーン禁止制御を解除し(ステップS195)、上記各フラグa,d,hをそれぞれ[0]にリセットする(ステップS196)。
【0081】
一方、上述したようにリーン禁止モードを解除したならば、次にEGRカットの制御モードを解除するか否かを判定する。この判定は、先ず前記フラグf,iを調べることから開始される(ステップS197,S198)。上記各フラグf,iが[1]でない場合には、EGRカットの制御が行われていないので、当然のことながら、そのままその処理手続を終了する。しかしフラグfが[1]である場合には、前記第5のタイマによって計時される時間が、前述したパラメータTによって示される時間と所定の燃焼行程時間IGとの和によって示される時間を経過したか否かを判定する(ステップS199)。そして上記時間経過が検出されたとき、或いはフラグiが[1]であるとき、EGRカットの制御モードを解除して通常のEGR制御モードに戻す(ステップS200)。そして上記フラグf,iを[0]にリセットして(ステップS201)、その処理手続を終了する。
【0082】
かくして上述した如く図11〜図17に示す一連の処理手続にて示されるリーン運転の禁止制御、およびEGRカットの制御によれば、図10に一覧としてまとめたように、吸気マニホルド21における負圧の不足の度合に応じて、更には車速Vやブレーキ・スイッチ34およびアイドルスイッチの状態によって示される運転状態に応じてリーン運転が適切に禁止される。またEGRのカット制御も実行されることになる。しかも負圧の不足の度合を判定し、その度合に応じたリーン禁止とEGRカットとが行われることになる。
【0083】
従って先の実施形態に示されるように、負圧の低下を一義的に判定してリーン禁止制御する場合に比較して、極め細かいレベルでの負圧の制御が可能となり、エンジン本体1に対する運転モードの急激な切り換えを回避することが可能となる。例えば負圧が或る程度低下した時点で、軽くリーン運転を禁止制御するだけで負圧の不足を補うことが可能となる。換言すれば負圧アクチュエータが必要とする負圧が大幅に不足する前に、短期間だけリーン運転を禁止するだけでその負圧不足を効果的に補うことが可能となる。従って先の実施形態に示した制御以上に、リーン運転の禁止に伴うドライバビリティの悪化を軽減することが可能となる。
【0084】
更にはこの実施形態においては、負圧センサ34の出力から負圧の絶対的なレベルと大気圧に対する相対的なレベルとを求め、絶対圧と相対圧とを使い分けて負圧不足を解消するリーン禁止制御を実行するようにしているので、リーン運転による燃費向上の特徴を活かしながら、つまり燃費を犠牲にすることなくブレーキの安定した作動に必要な負圧を確実に確保し得ると言う効果が奏せられる。
【0085】
また前述した実施形態においては、例えば負圧の不足レベルが小である場合、リーン運転の禁止に先立ってEGRカットの制御だけ所定時間に亘って実行するようにしている。従ってこのEGRカットだけによって所定の負圧を確保し得る場合もある。この場合にはリーン運転の禁止を省略することができるので、運転モードを切り換えない分、ドライバビリティの悪化要因を軽減することが可能となる。更には主にEGRカットした後、所定時間経過後にリーン運転を禁止するので、吸気管内にEGRが滞留しなくなり、空燃比や燃料噴射量等の制御パラメータを把握し易く、燃焼状態を的確に捉えることが可能となるので、制御の安定化を図ることが可能となる等の効果も奏せられる。
【0086】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば負圧スイッチ33およびブレーキ・スイッチ34の一方の出力だけを利用してリーン運転禁止またはEGRカット制御を実行することも勿論可能である。例えば第1の実施形態では、負圧スイッチ33またはブレーキ・スイッチ34の出力によりリーン運転を禁止しているが、必ずしも運転モードの切換えによってリーン運転を禁止(ストイキオモード)しなくても良い。例えば負圧スイッチ33またはブレーキ・スイッチ34等の出力に応じて運転モードを第2運転モードから第1運転モードに切り換えて吸気量を低下させるように設定しても良い。また運転モードの切り換えと言う概念によらず、単に空燃比を小さくするように絞り弁を閉方向に駆動するようにしても良い。更にEGRに関しても、上記各スイッチ33,34の出力によってEGRをカットしなくても、EGR量を所定量低減するようにしても良い。
【0087】
またこのようなスイッチ出力に代えて、第2の実施形態に示したように空燃比(A/F)の状態やその継続時間等のエンジン運転状態の情報等に基づいて負圧倍力装置32内の負圧を推定或いは検出し、その推定或いは検出結果に基づいて上記リーン運転禁止(空燃比の変更)やEGRカット制御を実行することも可能である。また負圧倍力装置32内の負圧レベルに応じてEGR量のみを制御したり、またはリーン運転禁止(空燃比の変更)のみを制御したり、或いはそれぞれの制御を適宜組み合わせた制御を行って全運転域での負圧を確保するようにしても良い。
【0088】
更にはスロットル開度と回転数等に基づく目標空燃比(A/F)の情報や、EGR導入量の情報等から負圧アクチュエータに作用する負圧レベルを推定し、その結果に基づいて負圧確保制御を行うようにしても良い。この場合、負圧スイッチや負圧センサ等を設ける必要がなくなるので、コスト低減を図る上で有利である。
【0089】
また前述したブレーキ・スイッチ34に代えて、例えばアクセル・スロットの戻りを検出して前述した負圧確保制御を行うことも可能である。また吸入空気量制御機構としての電磁スロットル弁(通常、ドライブバイワイヤと称される)を備え、この電磁スロットル弁によりアクセル開度とは独立に吸入空気量を制御する構成のものにも適用可能なことは言うまでもない。また負圧アクチエータとしてはブレーキ機構用のものに限らず、他の装置、例えばエア・コンディショナやパワー・ステアリング用のアイドル・アップ装置等、吸気管長を可変とする吸気管長可変装置や、スワール比を可変とする可変吸気装置の駆動装置用のものであっても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0090】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転可能なエンジンと、このエンジンへの吸入空気量を調整する吸入空気量制御機構と、この吸入空気量調整機構の下流側から取り出される負圧を利用して作動する負圧アクチュエータと、この負圧アクチュエータに作用する負圧の低下を検出する負圧低下検出手段と、この負圧低下検出手段の検出値に応じて前記エンジンをストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転のいずれかに切り換える燃焼制御手段とを具備した希薄燃焼内燃機関であって、
前記負圧低下検出手段が故障している場合には、前記リーン燃焼運転を禁止するので、負圧アクチュエータへの負圧を安定に、しかも確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動車用エンジン装置の概略的な構成を示す図。
【図2】本発明の負圧確保制御の形態を示す、ブレーキ・スイッチのオン・オフに対するリーン運転禁止モードの関係を示す図。
【図3】本発明の負圧確保制御の形態を示す、負圧スイッチのオン・オフに対するリーン運転禁止モードの関係を示す図。
【図4】本発明の負圧確保制御の形態を示す、ブレーキ・スイッチと負圧スイッチのオン・オフに対するリーン運転禁止モードの関係を示す図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特にリーン運転禁止モードの設定手順を示す図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特にEGRカットモードの設定手順を示す図。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特にリーン運転禁止モードの設定解除手順を示す図。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特にEGRカットモードの設定解除手順を示す図。
【図9】図5乃至図8に示す制御手順によって実行される負圧確保制御の動作タイミングを示す図。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る運転状態と負圧の不足レベルに応じた処理の形態の一覧を示す図。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、全体的な処理の流れ(メインルーチン)を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特に走行時における負圧確保制御の手順を示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特に走行時における負圧確保制御における第1のタイマ管理による制御処理の手順を示す図。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特に停車時における負圧確保制御の手順を示す図。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特に停車時における負圧確保制御における第2のタイマ管理による制御処理の手順を示す図。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特に停車時における負圧確保制御における第3のタイマ管理による制御処理の手順を示す図。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る負圧確保制御の実行手順を示す図で、特にリーン禁止モードの解除処理の手順を示す図。
【符号の説明】
1 エンジン本体
15 EGRバルブ
20 サージタンク
21 吸気マニホルド
24 スロットル・ボディ(吸入空気量制御機構)
25 エア・バイパス・パイプ(吸入空気量制御機構)
30 ブレーキ機構(負圧アクチエータ)
33 負圧スイッチ
34 ブレーキ・スイッチ
36 エンジン制御ユニット(ECU)
37 負圧センサ

Claims (2)

  1. ストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転可能なエンジンと、
    このエンジンへの吸入空気量を調整する吸入空気量制御機構と、
    この吸入空気量調整機構の下流側から取り出される負圧を利用して作動する負圧アクチュエータと、
    この負圧アクチュエータに作用する負圧の低下を検出する負圧低下検出手段と、
    この負圧低下検出手段の検出値に応じて前記エンジンをストイキオ燃焼運転またはリーン燃焼運転のいずれかに切り換える燃焼制御手段と
    を具備した希薄燃焼内燃機関であって、
    前記負圧低下検出手段が故障している場合には、前記リーン燃焼運転を禁止することを特徴とする希薄燃焼内燃機関。
  2. 請求項1に記載の希薄燃焼内燃機関において、
    前記負圧低下検出手段は、前記負圧アクチュエータに作用する負圧を検出する負圧センサからなり、
    この負圧センサの出力値が所定範囲外にあるときに故障と判定することを特徴とする希薄燃焼内燃機関。
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