JP3572965B2 - 車載内燃機関の負圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載内燃機関の負圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車用エンジン等の車載内燃機関では、吸気通路を介して燃焼室内に吸入される空気と、燃料噴射弁から噴射される燃料とを混合して混合気を形成し、その混合気を燃焼室内で燃焼させることで駆動力を得ている。こうした内燃機関の吸気通路には、燃焼室に吸入される空気の量を調整するためのスロットルバルブが設けられている。そして、スロットルバルブの開度を調節して燃焼室へ吸入される空気の量を調整することにより、燃焼室へ充填される混合気の量が変化し、内燃機関の出力が調整されるようになる。
【0003】
ところで、近年は、燃費を向上させること及び十分な機関出力を得ることの両立を図るために、機関運転状態に応じて燃焼方式を切り換えるタイプの内燃機関が提案され、実用化されている。
【0004】
こうしたタイプの内燃機関は、高出力が要求される高回転高負荷時には、空気に対して燃料が均等に混合された均質混合気を燃焼させる「均質燃焼」を行い、十分な機関出力を得るようにしている。この「均質燃焼」は、内燃機関の吸気行程にて燃焼室内に噴射供給された燃料が同燃焼室内の空気と均等に混ぜ合わされ、その空気と燃料とから形成された混合気に点火プラグにより点火がなされることによって実行される。
【0005】
また、あまり高出力が要求されない低回転低負荷時には、点火プラグ周りの燃料濃度を高めて着火性を向上させるとともに、混合気の平均空燃比を理論空燃比よりもリーン側の値にすることで燃費を向上させることが可能な「成層燃焼」を実行する。この「成層燃焼」は、内燃機関の圧縮行程にて燃焼室内に噴射供給された燃料がピストン頭部の窪みに当たって点火プラグ周りに集められ、その集められた燃料と燃焼室内の空気とからなる混合気に点火プラグにより点火がなされることによって実行される。こうした「成層燃焼」では、混合気の平均空燃比を大きくすべくスロットルバルブを「均質燃焼」の場合に比べて開き側に制御するため、ポンピングロスが低減されるようになる。
【0006】
上記のように内燃機関の燃焼方式を、機関運転状態に応じて「均質燃焼」と「成層燃焼」との間で切り換えることにより、燃費を向上させることができるとともに十分な機関出力が得られるようになる。
【0007】
ところで、車載内燃機関にあっては、吸気系に生じる負圧を利用して自動車のブレーキ踏込操作力を軽減するブレーキブースタが設けられる。このブレーキブースタは、車載内燃機関の吸気系に生じる負圧をブレーキ負圧として蓄圧し、そのブレーキ負圧によって駆動される。こうしたブレーキブースタを上記成層燃焼が行われる内燃機関に適用することも考えられる。しかし、この場合には、成層燃焼中のスロットルバルブの開度が均質燃焼に比べて開き側の値になるため、車載内燃機関の吸気系に生じる負圧が大気圧側の値になり、上記ブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保することが困難になる。
【0008】
そこで従来は、上記ブレーキブースタを駆動させるためのブレーキ負圧を確保すべくスロットルバルブの閉じ制御を行うことが提案されている。こうしたスロットルバルブの閉じ制御を行う装置としては、例えば特開平10−151971号公報に記載された負圧制御装置が知られている。同公報に記載された負圧制御装置では、ブレーキブースタを駆動するのに必要なブレーキ負圧の要求値と、同ブレーキ負圧の実測値との差を求め、その差が大きくなるほどスロットルバルブの閉じ側への制御量が大きくなるようにしている。
【0009】
このようにスロットル閉じ制御を行うことで、ブレーキ負圧の実測値が要求値から離れているときには、スロットルバルブの閉じる速さが速くなって、ブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を速やかに確保することができるようになる。また、ブレーキ負圧の実測値が要求値に近づいたときには、スロットルバルブの閉じる速さが遅くなるため、スロットルバルブが必要以上に閉じられ、そのスロットル閉じ過ぎ、所謂オーバシュートに基づき内燃機関の運転状態が悪化することも防止されるようになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記公報に記載のスロットル閉じ制御においては、スロットル閉じ制御が開始されるときのスロットルバルブの開度によらずブレーキ負圧の実測値と要求値との差に応じ予め定められた制御量でもってスロットルバルブが閉じられる。この場合、スロットルバルブの開度が小さいときであってもオーバシュートが生じないように制御量が定められることから、スロットルバルブの開度が大きいときに上記スロットル閉じ制御が行われると、ブレーキ負圧が要求値に達するのに時間がかかるようになる。
【0011】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、スロットルバルブの開度が大きいとき等においても、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保し且つ車載内燃機関の運転状態悪化を防止することのできる車載内燃機関の負圧制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、車載内燃機関の吸気系に生じる負圧をブレーキ負圧として蓄圧し、そのブレーキ負圧によって駆動されるブレーキブースタと、前記内燃機関の吸入空気量を調整する吸気調整手段とを備え、前記ブレーキ負圧が前記ブレーキブースタを作動させるのに必要な要求値に達しないとき、前記吸気調整手段を吸入空気量減量側へ制御する車載内燃機関の負圧制御装置において、前記ブレーキ負圧が前記ブレーキブースタを作動させるのに必要な要求値に達しないとき、始めに前記吸気調整手段を吸入空気量減量側の要求制御位置の近傍で且つ同要求制御位置よりも吸入空気量増量側の所定制御位置へ制御し、その後に同吸気調整手段を吸入空気量減量側へ徐々に制御する制御手段を備え、前記吸気調整手段は前記内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブであり、前記所定制御位置は前記スロットルバルブの開度制御に用いるために機関運転状態に基づき求められる同バルブ開度の下限ガード値に応じて可変設定されるものとした。
【0013】
同構成によれば、ブレーキ負圧が要求値に達しないとき、始めに吸気調整手段を吸入空気量減量側の要求制御位置の近傍で且つ同要求制御位置よりも吸入空気量増量側の所定制御位置に制御することで、吸気調整手段の制御位置にかかわらずブレーキ負圧が要求値に速やかに近づけられる。その後、吸気調整手段が吸入空気量減量側に徐々に制御されるため、その吸入空気量減量側への制御が過度なものとなって車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。従って、吸気調整手段の制御位置が吸入空気量増量側の位置にあったとしても、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保し、且つ車載内燃機関の運転状態悪化を防止することができるようになる。
さらに、機関運転状態に基づき所定制御位置を可変とすることで、ブレーキ負圧が要求値に達しないときの機関運転状態にかかわらず、前記所定制御位置を吸入空気量減量側の適切な位置とすることが可能になる。そして、このように設定された所定制御位置へと吸気調整手段を制御することにより、ブレーキ負圧が要求値に速やかに近づけられ、また、このときに吸気調整手段が過度に吸入空気量減量側へと制御されて車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。従って、吸気調整手段が吸入空気量増大側に大きく制御されていても、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保し、且つ車載内燃機関の運転状態悪化を防止することが一層的確に行われるようになる。
加えて、ブレーキ負圧が要求値に達しないときには、まず始めに、スロットルバルブ開度の下限ガード値に応じて定められる所定制御位置へとスロットルバルブが閉じられる。こうして設定される所定制御位置にスロットルバルブが閉じられることで、ブレーキ負圧が要求値に達しなくなったときのスロットルバルブの開度にかかわらず、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧が確保されるようになり、また、このときにスロットルバルブが過度に閉じられることに基づき車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。
【0014】
請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記吸気調整手段を吸入空気量減量側へ制御して前記ブレーキ負圧を前記要求値へと到達させた後に前記吸気調整手段を吸入空気量増量側へ徐々に制御して本来の制御位置に復帰させるものであり、その復帰途中で前記ブレーキ負圧が前記要求値に達しなくなったときには始めに前記吸気調整手段を前記所定制御位置へと制御し、その後に同吸気調整手段を吸入空気量減量側へ徐々に制御するものとした。
【0015】
同構成によれば、吸気調整手段を本来の制御位置へ復帰させる途中でのブレーキ操作等に基づきブレーキ負圧が要求値に達しなくなった場合でも、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保することができるようになる。
【0021】
請求項記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記制御手段は、前記吸気調整手段の制御位置が前記所定制御位置以下になるまで、継続して前記吸気調整手段を前記所定制御位置へと制御するものとした。
【0022】
機関運転状態に応じて所定制御位置を可変とする場合、吸気調整手段の制御によって機関運転状態が変化し、その変化した機関運転状態に応じて所定制御位置も変化する。同構成によれば、機関運転状態の変化によって所定制御位置が変化しても、吸気調整手段の制御位置が同所定制御位置以下になるまでは、継続して吸気調整手段が前記所定制御位置に制御される。そのため、吸気調整手段の制御位置を機関運転状態に応じて変化する所定制御位置に追従させ、より速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保することができるようになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を直列4気筒の自動車用ガソリンエンジンに適用した第1実施形態を図1〜図9に従って説明する。
【0024】
図1に示すように、エンジン11は、そのシリンダブロック11a内に往復移動可能に設けられた合計四つのピストン12(図1には一つのみ図示)を備えている。これらピストン12の頭部には、成層燃焼を実行するのに必要な窪み12aが形成されている。また、これらピストン12は、コンロッド13を介して出力軸であるクランクシャフト14に連結されている。そして、ピストン12の往復移動は、上記コンロッド13によってクランクシャフト14の回転へと変換されるようになっている。
【0025】
クランクシャフト14は、トランスミッション27等を介して自動車の車輪に連結されている。このトランスミッション27における出力軸27aの側方には、出力軸27aの回転に基づき自動車の車速を検出するための車速センサ28が設けられている。また、クランクシャフト14にはシグナルロータ14aが取り付けられている。このシグナルロータ14aの外周部には、複数の突起14bがクランクシャフト14の軸線を中心とする等角度毎に設けられている。また、シグナルロータ14aの側方には、クランクポジションセンサ14cが設けられている。そして、クランクシャフト14が回転して、シグナルロータ14aの各突起14bが順次クランクポジションセンサ14cの側方を通過することにより、同センサ14cからはそれら各突起14bの通過に対応したパルス状の検出信号が出力されるようになる。
【0026】
一方、シリンダブロック11aの上端にはシリンダヘッド15が設けられ、シリンダヘッド15とピストン12との間には燃焼室16が設けられている。この燃焼室16には、シリンダヘッド15に設けられた一対の吸気ポート17a,17bと、同じく一対の排気ポート18a,18bとが連通している(図1には一方の吸気ポート17b及び排気ポート18bのみ図示)。これら吸気及び排気ポート17a,17b,18a,18bの平断面形状を図2に示す。
【0027】
同図に示されるように、吸気ポート17aは湾曲して延びるヘリカルポートとなっており、吸気ポート17bは直線状に延びるストレートポートとなっている。そして、吸気ポート(ヘリカルポート)17aを通過して燃焼室16に空気が吸入されると、その燃焼室16内に破線矢印で示す方向へスワールが発生するようになる。こうした吸気ポート17a,17b及び排気ポート18a,18bには、それぞれ吸気バルブ19及び排気バルブ20が設けられている。
【0028】
また、図1に示すように、シリンダヘッド15には、上記吸気バルブ19及び排気バルブ20を開閉駆動するための吸気カムシャフト21及び排気カムシャフト22が回転可能に支持されている。これら吸気及び排気カムシャフト21,22は、タイミングベルト及びギヤ(共に図示せず)等を介してクランクシャフト14に連結され、同ベルト及びギヤ等によりクランクシャフト14の回転が伝達されるようになる。そして、吸気カムシャフト21が回転すると、吸気バルブ19が開閉駆動されて、吸気ポート17a,17bと燃焼室16とが連通・遮断される。また、排気カムシャフト22が回転すると、排気バルブ20が開閉駆動されて、排気ポート18a,18bと燃焼室16とが連通・遮断される。
【0029】
シリンダヘッド15において、吸気カムシャフト21の側方には、同シャフト21の外周面に設けられた突起21aを検出して検出信号を出力するカムポジションセンサ21bが設けられている。そして、吸気カムシャフト21が回転すると、同シャフト21の突起21aがカムポジションセンサ21bの側方を通過する。この状態にあっては、カムポジションセンサ21bから上記突起21aの通過に対応して所定間隔毎に検出信号が出力されるようになる。
【0030】
吸気ポート17a,17b及び排気ポート18a,18bには、それぞれ吸気管30及び排気管31が接続されている。この吸気管30内及び吸気ポート17a,17b内は吸気通路32となっており、排気管31内及び排気ポート18a,18b内は排気通路33となっている。吸気通路32の上流部分にはスロットルバルブ23が設けられている。このスロットルバルブ23は、直流(DC)モータからなるスロットル用モータ24の駆動により回動されて開度調節がなされる。そして、スロットルバルブ23の開度(スロットル開度)は、スロットルポジションセンサ44によって検出される。
【0031】
また、上記スロットル用モータ24の駆動は、自動車の室内に設けられたアクセルペダル25の踏込量(アクセル踏込量)に基づき制御される。即ち、自動車の運転者がアクセルペダル25を踏込操作すると、アクセル踏込量がアクセルポジションセンサ26によって検出され、同センサ26の検出信号に基づきスロットル用モータ24が駆動制御される。このスロットル用モータ24の駆動制御に基づくスロットルバルブ23の開度調節により、吸気通路32の空気流通面積が変化して燃焼室16へ吸入される空気の量が調整されるようになる。
【0032】
吸気通路32においてスロットルバルブ23の下流側に位置する部分には、同通路32内の圧力を検出するバキュームセンサ36が設けられている。そして、バキュームセンサ36は検出した吸気通路32内の圧力に対応した検出信号を出力する。また、吸気通路32においてバキュームセンサ36よりも下流側に位置して吸気ポート(ストレートポート)17bに連通する部分には、スワールコントロールバルブ(SCV)34が設けられている。SCV34は、スワール用モータ35の駆動により回動されて開度調節がなされる。そして、SCV34の開度が小さくなるほど、図2に示される吸気ポート(ヘリカルポート)17aを通過する空気の量が多くなり、燃焼室16内に生じるスワールが強くなる。
【0033】
更に、吸気通路32におけるスロットルバルブ23よりも下流には、負圧通路49を介してブレーキブースタ50が接続されている。このブレーキブースタ50は、自動車のブレーキペダル51を踏込操作するときの操作力を軽減するためのものであって、エンジン11の運転時に吸気通路32内に生じる負圧を利用して駆動される。即ち、吸気通路32内の負圧によってブレーキブースタ50内から負圧通路49を介して空気が吸引され、その空気の吸引によってブレーキブースタ50内に生じる負圧(ブレーキ負圧PBK)に基づき同ブースタ50が駆動されるようになる。このブレーキ負圧PBKは、ブースタ圧力センサ50aによって検出される。
【0034】
また、図1に示すように、シリンダヘッド15には、燃焼室16内に燃料を噴射供給する燃料噴射弁40と、燃焼室16内に充填される燃料と空気とからなる混合気に対して点火を行う点火プラグ41とが設けられている。この点火プラグ41による上記混合気への点火時期は、点火プラグ41の上方に設けられたイグナイタ41aによって調整される。そして、燃料噴射弁40から燃焼室16内へ燃料が噴射されると、同燃料が吸気通路32を介して燃焼室16に吸入された空気と混ぜ合わされ、燃焼室16内で空気と燃料とからなる混合気が形成される。更に、燃焼室16内の混合気は点火プラグ41によって点火がなされて燃焼し、燃焼後の混合気は排気として排気通路33に送り出される。
【0035】
一方、吸気通路32のスロットルバルブ23よりも下流側は、排気再循環(EGR)通路42を介して排気通路33と連通している。このEGR通路42の途中には、ステップモータ43aを備えたEGRバルブ43が設けられている。そして、EGRバルブ43は、ステップモータ43aを駆動制御することで開度調節が行われる。こうしたEGRバルブ43の開度調節により、排気通路33を介して吸気通路32へ再循環する排気の量(EGR量)が調整されるようになる。そして、エンジン11の排気が吸気通路32に再循環されることで、燃焼室16内の温度が下がって窒素酸化物(NOx )の生成が抑制され、エミッションの低減が図られる。
【0036】
次に、本実施形態におけるエンジン11の負圧制御装置の電気的構成を図3に基づいて説明する。
この負圧制御装置は、燃料噴射量制御、点火時期制御、スロットル開度制御、及びSCV開度制御など、エンジン11の運転状態を制御するための電子制御ユニット(以下「ECU」という)92を備えている。このECU92は、ROM93、CPU94、RAM95及びバックアップRAM96等を備える論理演算回路として構成されている。
【0037】
ここで、ROM93は各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されたメモリであり、CPU94はROM93に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて演算処理を実行する。また、RAM95はCPU94での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM96はエンジン11の停止時に保存すべきデータを記憶する不揮発性のメモリである。そして、ROM93、CPU94、RAM95及びバックアップRAM96は、バス97を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路98及び外部出力回路99と接続されている。
【0038】
外部入力回路98には、クランクポジションセンサ14c、カムポジションセンサ21b、アクセルポジションセンサ26、車速センサ28、バキュームセンサ36、スロットルポジションセンサ44、及びブースタ圧力センサ50a等が接続されている。一方、外部出力回路99には、スロットル用モータ24、スワール用モータ35、燃料噴射弁40、イグナイタ41a、及びEGRバルブ43等が接続されている。
【0039】
このように構成されたECU92は、バキュームセンサ36からの検出信号に基づき吸気圧PMを求め、アクセルポジションセンサ26からの検出信号に基づきアクセル踏込量ACCPを求める。更に、ECU92は、クランクポジションセンサ14cからの検出信号に基づきエンジン回転数NEを求める。そして、上記のように求められた吸気圧PMとエンジン回転数NE、若しくはアクセル踏込量ACCPとエンジン回転数NEとに基づき、周知のマップを参照して基本燃料噴射量Qbse をマップ演算する。こうして算出された基本燃料噴射量Qbse は、エンジン回転数NEが高くなるほど大きい値になるとともに、吸気圧PM若しくはアクセル踏込量ACCPが大きくなるほど大きい値になる。
【0040】
エンジン11の機関負荷は、上記基本燃料噴射量Qbse によって表される。そして、ECU92は、エンジン11の運転状態が高回転高負荷領域にあるときに同エンジン11の燃焼方式を「均質燃焼」とし、低回転低負荷領域にあるときに同エンジン11の燃焼方式を「成層燃焼」とする。このように燃焼方式を変化させるのは、高出力が要求される高回転高負荷時には混合気の空燃比をリッチ側の値にしてエンジン出力を高め、あまり高出力を必要としない低回転低負荷時には空燃比をリーン側の値にして燃費の向上を図るためである。
【0041】
エンジン11の燃焼方式を「均質燃焼」とした場合、ECU92は、バキュームセンサ36からの検出信号に基づき求められる吸気圧PMとエンジン回転数NEとに基づき基本燃料噴射量Qbse をマップ演算する。ECU92は、燃料噴射弁40を駆動制御することにより、上記基本燃料噴射量Qbse に基づき求められる最終燃料噴射量Qfin に対応した量の燃料をエンジン11の吸気行程中に燃料噴射弁40から噴射させる。こうした燃料噴射に基づき燃焼室内に形成される混合気においては、その空燃比が理論空燃比若しくは理論空燃比よりも大きい値となる。更に、ECU92は、スロットル開度、点火時期、SCV34の開度、及びEGR量等が「均質燃焼」に適したものとなるよう、スロットル用モータ24、イグナイタ41a、スワール用モータ35、及びEGRバルブ43等を駆動制御する。
【0042】
エンジン11の燃焼方式を「成層燃焼」とした場合、ECU92は、アクセル踏込量ACCP及びエンジン回転数NEとから基本燃料噴射量Qbse を算出する。ECU92は、上記基本燃料噴射量Qbse から求められる最終燃料噴射量Qfin に基づき燃料をエンジン11の圧縮行程中に噴射させる。こうした燃料噴射により燃焼室16内に形成される混合気においては、その空燃比が「均質燃焼」時の空燃比よりもリーン側の値とされる。また、ECU92は、スロットル開度、点火時期、SCV34の開度、及びEGR量等が「成層燃焼」に適したものとなるよう、スロットル用モータ24、イグナイタ41a、スワール用モータ35、及びEGRバルブ43等を駆動制御する。
【0043】
こうした「成層燃焼」時において、エンジン11の圧縮行程中に燃料噴射弁40から噴射された燃料は、ピストン12の頭部に設けられた窪み12a(図1)内に入り込む。更に、上記スワール用モータ35の駆動制御によるSCV34の開度調節に基づきスワールが発生し、そのスワール及びピストン12の移動により上記燃料が点火プラグ41の周りに集められる。このように点火プラグ41の周りに燃料を集めることによって、燃焼室16内の混合気全体の平均空燃比を「均質燃焼」時よりリーン側の値にしても、同プラグ41周りの混合気の空燃比が着火に適したものとされて良好な混合気への着火が行われる。また、燃焼室16内の混合気全体の平均空燃比を「均質燃焼」時よりリーン側の値にするためにスロットル開度が開き側に制御されて吸入空気量が多くされるため、「成層燃焼」時にはエンジン11のポンピングロスが低減されるようになる。
【0044】
次に、スロットル開度制御に用いられる目標スロットル開度TRTの算出手順について図4を参照して説明する。図4は目標スロットル開度TRTを算出するための目標スロットル開度算出ルーチンを示すフローチャートである。この目標スロットル開度算出ルーチンは、ECU92を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0045】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS101の処理として、現在「成層燃焼」が実行されているか否かを判断する。そして、「成層燃焼」が実行されていなければステップS107に進む。ECU92は、ステップS107の処理として、エンジン回転数NEとアクセル踏込量ACCPとに基づき、周知のマップを参照して基本スロットル開度TRTBを算出する。こうして算出される基本スロットル開度TRTBは、アクセル踏込量ACCPが大きくなるほど大きい値になる。基本スロットル開度TRTBが算出された後、ステップS108に進む。ECU92は、ステップS108の処理として、基本スロットル開度TRTBにアイドル時のスロットル開度TISCを加算したものを目標スロットル開度TRTとした後、この目標スロットル開度算出ルーチンを一旦終了する。
【0046】
また、上記ステップS101の処理において、現在「成層燃焼」中である旨判断されると、ステップS102に進む。ECU92は、ステップS102の処理として、エンジン回転数NEと最終燃料噴射量Qfin とに基づき、周知のマップを参照して基本スロットル開度TRTBを算出する。こうして算出される基本スロットル開度TRTBは、最終燃料噴射量Qfin が大きくなるほど大きい値になる。基本スロットル開度TRTBが算出された後、続くステップS103に進む。
【0047】
ECU92は、ステップS103の処理として、エンジン回転数NEと最終燃料噴射量Qfin とに基づき、周知のマップを参照して目標スロットル開度TRTの下限ガード値TRTmnを算出する。こうして算出される下限ガード値TRTmnは、エンジン回転数NE及び最終燃料噴射量Qfin が大きくなるほど大きい値になる。ここで、エンジン回転数NEを一定とした条件下において、最終燃料噴射量Qfin の変化に応じて上記基本スロットル開度TRTB及び上記下限ガード値TRTmnがどのように推移するかを、図5のグラフにそれぞれ実線L1,L2で示す。
【0048】
ECU92は、続くステップS104の処理で、上記基本スロットル開度TRTBから閉込量DTRBKを減算し、その減算した値を目標スロットル開度TRTとして算出する。ECU92は、ステップS105の処理として、上記目標スロットル開度TRTが上記下限ガード値TRTmnよりも小さいか否か判断する。そして、「TRT<TRTmn」でなければこの目標スロットル開度算出ルーチンを一旦終了し、「TRT<TRTmn」であれば続くステップS106の処理で下限ガード値TRTmnを目標スロットル開度TRTとして設定し直す。その後、ECU92は、この目標スロットル開度算出ルーチンを一旦終了する。
【0049】
こうして算出される目標スロットル開度TRTは、上記ステップS104の処理で用いられる閉込量DTRBKが大きくなるほど小さい値になる。ECU92は、その算出された目標スロットル開度TRTと、スロットルポジションセンサ44からの検出信号に基づき求められる実際のスロットル開度とが近づくように、別のルーチンによってスロットル用モータ24を駆動制御する。従って、上記閉込量DTRBKを大きくすることで実際のスロットル開度が小さくなり、その閉込量DTRBKを小さくすることで実際のスロットル開度が大きくなる。
【0050】
その閉込量DTRBKは、ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50を駆動するのに必要な値に達してしないときには、上記閉込量DTRBKが大きくされてブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKを確保すべくスロットル開度が閉じ側に制御される。そして、こうしたスロットル開度の閉じ制御によってブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKが確保されると、スロットル開度を上記閉じ制御前の状態に戻すべく上記閉込量DTRBKが徐々に小さくされる。
【0051】
次に、上記閉込量DTRBKの算出手順について図6を参照して説明する。図6は、閉込量DTRBKを算出するための閉込量算出ルーチンを示すフローチャートである。この閉込量算出ルーチンは、ECU92を通じて例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0052】
同ルーチンにおいて、ステップS201の処理は、続くステップS202の判断処理で用いられるスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLの設定を行うためのものである。このスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLは、上述したスロットル閉じ制御の実行中に「1」に設定され、同スロットル閉じ制御が実行されていないときには「0」に設定される。ECU92は、ステップS202の処理として、「XBKIDL=1」であるか否か判断する。
【0053】
そして、「XBKIDL=1」であってスロットル閉じ制御の実行中である旨判断されると、ステップS203に進んで上記閉込量DTRBKの増減処理を実行する。即ち、ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な値に達していないときには閉込量DTRBKを大きくしてスロットル開度を閉じ側に制御し、ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な値に達しているときには閉込量DTRBKを小さくしてスロットル開度を開き側に制御する。
【0054】
なお、閉込量DTRBKを大きくしてスロットル開度を閉じ側に制御しているとき、ECU92は、同スロットル閉じ制御に応じてEGR量を減量すべくEGRバルブ43を閉じ側に制御する。これはブレーキ負圧PBKを確保するため、及び上記スロットル閉じ制御に基づき吸入空気量が減ってEGR量が同吸入空気量に対して過多になり、エンジン11の燃焼状態が悪化するのを防止するためである。
【0055】
上記ステップS203の処理を実行した後、続いてステップS204に進む。ステップS204,S205の処理は、閉込量DTRBKが負の値にならないように下限ガードするためのものである。ECU92は、ステップS204の処理として、閉込量DTRBKが「0」以下か否かを判断する。そして、「DTRBK≦0」でなければこの閉込量算出ルーチンを一旦終了し、「DTRBK≦0」であれば続くステップS205に進んで閉込量DTRBKを「0」にする。
【0056】
一方、上記ステップS202の処理で「XBKIDL=1」でない旨判断されたときも、ステップS205に進んで「DTRBK=0」とされる。従って、スロットル閉じ制御の実行中(「XBKIDL=1」)以外のときは、閉込量DTRBKが「0」とされる。閉込量DTRBKが「0」のときには、上記目標スロットル開度算出ルーチン(図4)のステップS104等の処理に基づき、基本スロットル開度TRTBが、そのまま目標スロットル開度TRTとして設定される。
【0057】
上記ステップS205の処理が実行された後、ステップS206に進む。ECU92は、ステップS206の処理で、初回閉込フラグXBK1stとして「1」をRAM95の所定領域に記憶した後、この閉込量算出ルーチンを一旦終了する。上記初回閉込フラグXBK1stは、上記スロットル閉じ制御に基づく初回のスロットルバルブ23の閉じ込みが行われたか否か判断するためのものである。即ち、初回閉込フラグXBK1stは、上記初回の閉じ込みがおこなわれた後であって上記スロットル閉じ制御が行われている間は「0」に維持され、同スロットル閉じ制御が終了するときに上記ステップS206の処理によって「1」に設定される。
【0058】
次に、閉込量算出ルーチンにおけるステップS201の処理について図7を参照して詳細に説明する。図7は、上記スロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLの設定を行うためのスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチンを示すフローチャートである。このスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチンは、閉込量算出ルーチンのステップS201に進む毎にECU92を通じて実行される。
【0059】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS301の処理として、以下の(1)〜(4)に示すスロットル閉じ制御の実行条件が全て成立しているか否かを判断する。
【0060】
(1)車速センサ28からの検出信号に基づき求められる自動車の車速SPDが所定値a(例えば10km/h)よりも小さいこと
(2)アクセル踏込量ACCPが「0」であること
(3)「成層燃焼」実行中であること
(4)ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な要求値Xよりも大気圧側の値であること
以上の各種条件が全て成立していればステップS302に進み、その各種条件のうちのいずれか一つでも成立していない場合にはステップS303に進む。ステップS301からステップS302に進む状況としては、自動車の低速走行中にブレーキペダル51を踏込操作する際、ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な値に達しなくなったとき等があげられる。ECU92は、ステップS302の処理で、スロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLとして「1」をRAM95の所定領域に記憶する。その後、このスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチン(図6)に戻る。
【0061】
こうしてスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「1」に設定されると、閉込量算出ルーチンにおけるステップS203(図6)の処理が実行され、スロットル開度を小さくすべく閉込量DTRBKが大きくされる。このように閉込量DTRBKを大きくすることでスロットル開度が閉じ側に制御されると、吸気圧PMが小さくなってブレーキ負圧PBKが要求値Xに近づく。
【0062】
また、上記ステップS301の処理において、スロットル閉じ制御の実行条件の内、いずれか一つでも成立していない旨判断されると、ステップS303に進む。ECU92は、ステップS303の処理として、以下の(5)及び(6)に示すスロットル閉じ制御の終了条件が全て成立しているか否かを判断する。
【0063】
(5)ブレーキ負圧PBKが要求値Xよりも真空側の値であること
(6)閉込量DTRBKが「0」であること
以上の各種条件が全て成立していればステップS304に進み、その各種条件のうちのいずれか一つでも成立していなければこのスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチン(図6)に戻る。ステップS303からステップS304に進む状況としては、上記スロットル閉じ制御が開始された後、その閉じ制御によってブレーキ負圧PBKが要求値Xに達し、その後にスロットル開度を元に戻すべく閉込量DTRBKを小さくして「0」に到達させたとき等があげられる。ECU92は、ステップS304の処理で、スロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLとして「0」をRAM95の所定領域に記憶する。その後、このスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチン(図6)に戻る。
【0064】
こうしてスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「0」に設定されると、閉込量算出ルーチンにおけるステップS202(図6)の処理でNOと判断され、ステップS203における閉込量DTRBKの増減処理に基づくスロットル開度制御が行われなくなる。従って、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達し、且つ閉込量DTRBKが「0」になったとき、「XBKIDL=0」とされて上記スロットル閉じ制御が終了することとなる。
【0065】
次に、閉込量算出ルーチン(図6)のステップS203の処理について図8を参照して詳しく説明する。図8は、閉込量DTRBKの増減処理を実行するための閉込量増減処理ルーチンを示すフローチャートである。この閉込量増減ルーチンは、閉込量算出ルーチンのステップS203に進む毎にECU92を通じで実行される。
【0066】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS401の処理として、スロットル閉じ制御における初回閉込量DTRT1stを算出する。即ち、現在の基本スロットル開度TRTBから下限ガード値TRTmnを減算し、その減算値から更に所定値αを減算した値を初回閉込量DTRT1stとして算出する。こうして算出された初回閉込量DTRT1stは、後述するステップS404の処理で用いられる。初回閉込量DTRT1stを算出した後、続いてステップS402に進む。
【0067】
ECU92は、ステップS402の処理として、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しているか否かを判断する。ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していなければ、ステップS402の処理でNOと判断されてステップS403に進む。ECU92は、ステップS403の処理として、初回閉込フラグXBK1stが「1」に設定されているか否か、即ちスロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが既に行われているか否かを判断する。そして、「XBK1st=1」であって初回のスロットル閉じ込みが行われていない旨判断されると、ステップS404に進む。
【0068】
ECU92は、ステップS404の処理で上記ステップS401の処理で算出された初回閉込量DTRT1stを閉込量DTRBKとして設定し、続くステップS405の処理で初回閉込フラグXBK1stとして「0」をRAM95の所定領域に記憶する。その後、閉込量増減処理ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチン(図6)に戻る。このように設定された閉込量DTRBKに基づき、目標スロットル開度算出ルーチン(図4)のステップS104の処理によって目標スロットル開度TRTが小さくされる。
【0069】
ここで、上記にように小さくされた目標スロットル開度TRTは、エンジン回転数NEを一定とした条件のもとでは、最終燃料噴射量Qfin の変化に対して図5に破線L3で示すように推移する。従って、スロットル閉じ制御における初回のスロットルバルブ23の閉じ込みにより、スロットル開度が下限ガード値TRTmnの近傍で且つ同ガード値TRTmnよりも所定値αだけ開き側の値とされる。このように初めにスロットルバルブ23を下限ガード値TRTmnの近傍まで閉じることで、吸気圧PMが速やかに低下してブレーキ負圧PBKが速やかに要求値Xに近づけられるようになる。
【0070】
なお、上記初回のスロットル閉じ込みによりスロットル開度を下限ガード値TRTmnよりも所定値αだけ開き側の値としたのは、同スロットル閉じ込みに応じてEGRバルブ43が閉じ側に制御されるが、その際にEGRバルブ43の閉じ動作及びEGR量の減量に応答遅れが生じるためである。即ち、スロットルバルブ23を下限ガード値TRTmnまで閉じ込んだ状態で上記のようにEGRバルブ43の閉じ動作やEGR量の減量に応答遅れが生じると、上記スロットル閉じ込み時に吸入空気量に対するEGR量が過多になって燃焼状態が悪化してしまう。従って、初回のスロットル閉じ込みを上記のように所定値αだけ少なくすることで、吸入空気量の減量が緩やかになって上記EGRバルブ43の閉じ遅れ及びEGR量の減量遅れに基づく燃焼状態の悪化防止が図られる。
【0071】
さて、こうしてスロットル閉じ制御における所定のスロットル閉じ込みが行われると、ステップS405の処理によって「XBK1st=0」とされるため、次回のステップS403の処理ではNOと判断され、ステップS406に進むようになる。ECU92は、ステップS406の処理として、現在の閉込量DTRBKに所定値yを加算したものを新たな閉込量DTRBKとして設定する。その後、この閉込量増減処理ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチンに戻る。
【0072】
なお、上記所定値yは、ステップS401の処理で算出される初回閉込量DTRT1stよりも小さい値とされる。従って、上記ステップS406の処理によって閉込量DTRBKが徐々に大きくなり、その閉込量DTRBKに基づき目標スロットル開度算出ルーチン(図4)のステップS104の処理によって目標スロットル開度TRTが徐々に小さくされる。その結果、スロットルバルブ23が徐々に閉じて吸気圧PMが低下し、ブレーキ負圧PBKが徐々に要求値Xに近づくこととなる。このようにスロットルバルブ23を徐々に閉じることで、同バルブ23が過度に閉じられること、所謂オーバシュートに基づきエンジン11の運転状態が悪化することはなくなる。
【0073】
そして、スロットル閉じ制御によってブレーキ負圧PBKが要求値Xに達すると、上記ステップS402の処理でYESと判断されてステップS407に進むようになる。ECU92は、ステップS407の処理として、現在の閉込量DTRBKから所定値xを減算したものを新たな閉込量DTRBKとして設定する。その後、この閉込量増減処理ルーチンを一旦終了して閉込量算出ルーチンに戻る。上記ステップS407の処理によって、閉込量DTRBKが所定値xの分だけ徐々に小さくなり、その閉込量DTRBKに基づき目標スロットル開度算出ルーチン(図4)のステップS104の処理によって目標スロットル開度TRTが徐々に大きくされる。
【0074】
そして、閉込量DTRBKが徐々に小さくなって「0」以下になると、閉込量算出ルーチンのステップS204(図6)でYESと判断され、続くステップ205の処理で閉込量DTRBKが「0」に維持されるようになる。この状態にあっては、閉込量DTRBKが「0」であって且つブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していることから、スロットル閉じ制御終了条件が満たされてスロットル閉じ制御実行フラグ設定ルーチン(図7)のステップS303の処理でYESと判断されるようになる。
【0075】
その結果、続くステップS304の処理でスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「0」に設定され、ブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKを確保するためのスロットル閉じ制御が終了する。こうして同スロットル閉じ制御が終了すると、「XBKIDL=0」となることから閉込量算出ルーチン(図6)におけるステップS202の処理でNOと判断され、ステップS203等の処理に基づきスロットル開度が増減することはなくなる。
【0076】
最後に、本実施形態における負圧制御装置の動作について図9のタイムチャートを参照して総括する。
自動車の低速走行中に「成層燃焼」が行われており、その状態でブレーキペダル51が踏込操作されると、ブレーキブースタ50が駆動される。このブレーキブースタ50の駆動に基づき、図9(c)に示すようにブレーキ負圧PBKが同ブースタ50の駆動に必要な要求値Xに達しなくなり、図9(a)に示すようにスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「0」から「1(スロットル閉じ制御実行)」に設定される。こうしてスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「1」に設定された直後は、図9(d)に示す初回閉込フラグXBK1stは「1(初回スロットル閉込未実行)」に設定されている。
【0077】
この状態にあっては、図9(b)に示すように、目標スロットル開度TRTが初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされ、それに応じて実際のスロットル開度が下限ガード値TRTmn付近で且つ同ガード値TRTmnよりも所定値αだけ開き側の値まで小さくされる。このようにスロットル開度が小さくされることで、吸気圧PMが速やかに低下するとともに、ブレーキ負圧PBKが速やかに要求値Xに近づけられる。また、上記スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが行われると、図9(d)に示す初回閉込フラグXBK1stが「1」から「0(初回スロットル閉込実行済)」に設定される。
【0078】
初回閉込フラグXBK1stが「0」に設定されると、図9(b)に示すように目標スロットル開度TRTが徐々に小さくされ、それに応じて実際のスロットル開度も徐々に小さくされる。このようにスロットル開度を徐々に小さくすることで、スロットルバルブ23が過度に閉じられること、所謂オーバシュートに基づくエンジン11の運転状態悪化が防止される。そして、スロットル開度が下限ガード値TRTmnに達すると、この状態に維持されることで、吸気圧PMが低下してブレーキ負圧PBKが要求値Xに到達する。
【0079】
ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達すると、図9(b)に示すように、目標スロットル開度TRTが徐々に大きくされ、それに応じて実際のスロットル開度もスロットル閉じ制御実行前の状態まで徐々に大きくされる。そして、目標スロットル開度TRTが本来の開度に戻されると、図9(a)に示すようにスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「1」から「0(スロットル閉じ制御終了)」に設定される。また、初回閉込フラグXBK1stは、図9(d)に示すように「0」から「1」に設定される。
【0080】
以上詳述した処理が行われる本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な要求値Xに達しないとき、初めにスロットルバルブ23が下限ガード値TRTmn付近で且つ同ガード値TRTmnよりも開き側の値まで閉じられる。そのため、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったときのスロットル開度が大きくても、ブレーキ負圧PBKが速やかに要求値Xに近づけられる。その後、スロットル開度が徐々に閉じ側に制御されるため、スロットル開度が過度に閉じられる、所謂オーバシュートに基づきエンジン11の運転状態が悪化することもない。従って、スロットル開度が大きいときにおいても速やかにブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKを確保し、且つエンジン11の運転状態悪化を的確に防止することができる。
【0081】
すなわち、上記スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉込量(初回閉込量DTRT1st)は、エンジン回転数NE及びアクセル踏込量ACCPといった機関運転状態に基づき求められる基本スロットル開度TRTB及び下限ガード値TRTmnに応じて定められる。従って、エンジン11の運転状態及びスロットル開度がどのような状態であっても、上記スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みによって、スロットル開度を下限ガード値TRTmn付近で且つ同ガード値TRTmnよりも開き側の値まで的確に小さくすることができる。そのため、エンジン11の運転状態及びスロットル開度がどのような状態であっても、ブレーキ負圧PBKを速やかに要求値Xに近づけることができる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図10〜図12に基づいて説明する。本実施形態では、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉込量を決定するための初回閉込量DTRT1stを算出する仕方が第1実施形態と異なる。従って、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一部分については詳細な説明を省略する。
【0083】
図10は、本実施形態の閉込量増減処理ルーチンを示すフローチャートである。同ルーチンにおいては、第1実施形態の閉込量増減処理ルーチン(図8)に対してステップS501の処理が加わるとともに、ステップS401に相当する処理(ステップS502)が第1実施形態と異なっている。本実施形態の閉込量増減処理ルーチンも、閉込量算出ルーチン(図6)のステップS203に進む毎にECU92を通じて実行される。
【0084】
本実施形態の閉込量増減処理ルーチンにおいて、ECU92は、ステップS501の処理として、図11のマップを参照してエンジン回転数NEに基づき要求スロットル開度TRTCLを算出する。この要求スロットル開度TRTCLは、ブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKの要求値Xに対応したスロットル開度であって、図11から明らかなようにエンジン回転数NEが大きくなるほど開き側の値になる。
【0085】
ECU92は、続くステップS502の処理として、スロットル閉じ制御における初回閉込量DTRT1stを算出する。即ち、現在の基本スロットル開度TRTBから上記要求スロットル開度TRTCLを減算し、その減算値から更に所定値βを減算した値を初回閉込量DTRT1stとして算出する。
【0086】
ECU92は、ステップS503の処理として、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しているか否かを判断する。そして、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していなければ、ステップS504〜S507の処理が実行される。即ち、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが未実行ならば、ステップS505等の処理によって上記ステップS502の処理で算出された初回閉込量DTRT1stの分だけ目標スロットル開度TRTが小さくされる。また、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが実行済みならば、ステップS507等の処理によってステップS507における所定値yの分だけ徐々に目標スロットル開度TRTが小さくされる。
【0087】
ここで、エンジン回転数NEを一定とした条件のもとで最終燃料噴射量Qfin を変化させたとき、上記初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされた目標スロットル開度TRTがどのように推移するかを図12に破線L4で示す。この図から明らかなように、スロットル閉じ制御における初回のスロットルバルブ23の閉じ込みが行われる際、目標スロットル開度TRTは図中実線L5で示す要求スロットル開度TRTCLの近傍で且つ同開度TRTCLよりも所定値βだけ開き側の値に設定される。従って、上記初回のスロットルバルブ23の閉じ込みでは、スロットル開度が要求スロットル開度TRTCLよりも所定値β側だけ開き側の値とされる。このように初めにスロットルバルブ23を要求スロットル開度TRTCL付近まで閉じることで、吸気圧PMが速やかに低下してブレーキ負圧PBKが速やかに要求値Xに近づけられるようになる。
【0088】
なお、上記初回のスロットル閉じ込みによりスロットル開度を要求スロットル開度TRTCLよりも所定値βだけ開き側の値としたのは、同スロットル閉じ込みに応じてEGRバルブ43が閉じ側に制御されるが、その際にEGRバルブ43の閉じ動作及びEGR量の減量に応答遅れが生じるためである。即ち、下限ガード値TRTmnは最終燃料噴射量Qfin の変化に対し、図12に実線L2で示すように推移する。スロットルバルブ23を下限ガード値TRTmn直前の要求スロットル開度TRTCLまで閉じ込んだ状態で上記のようにEGRバルブ43の閉じ動作やEGR量の減量に応答遅れが生じると、上記スロットル閉じ込み時に吸入空気量に対するEGR量が過多になって燃焼状態が悪化してしまう。従って、初回のスロットル閉じ込みを上記のように所定値βだけ少なくすることで、吸入空気量の減量が緩やかになって上記EGRバルブ43の閉じ遅れ及びEGR量の減量遅れに基づく燃焼状態の悪化防止が図られる。
【0089】
さて、こうしてスロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが行われた後、ステップS507等の処理によって所定値yの分だけ徐々にスロットルバルブ23が閉じられる。その結果、吸気圧PMが低下するとともに、ブレーキ負圧PBKが徐々に要求値Xに近づくこととなる。このようにスロットルバルブ23を徐々に閉じることで、同バルブ23が過度に閉じられること、所謂オーバシュートに基づきエンジン11の運転状態が悪化することはなくなる。
【0090】
そして、上記スロットル閉じ制御によってブレーキ負圧PBKが要求値Xに達すると、上記ステップS503の処理でYESと判断されてステップS508に進むようになる。ECU92は、ステップS508の処理として、現在の閉込量DTRBKから所定値xを減算したものを新たな閉込量DTRBKとして設定する。このステップS508等の処理により、閉込量DTRBKが所定値xの分だけ徐々に大きくされる。そして、閉込量DTRBKが「0」で且つブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していることを条件に、上記スロットル閉じ制御が終了することとなる。
【0091】
以上詳述した処理が行われる本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(2)ブレーキ負圧PBKがブレーキブースタ50の駆動に必要な要求値Xに達しないとき、初めにスロットルバルブ23が上記要求値Xに対応した要求スロットル開度TRTCL付近で且つ同開度TRTCLよりも開き側の値まで閉じられる。そのため、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったときのスロットル開度が大きくても、ブレーキ負圧PBKが速やかに要求値Xに近づけられる。その後、スロットル開度が徐々に閉じ側に制御されるため、スロットル開度が過度に閉じられることに基づきエンジン11の運転状態が悪化することもない。従って、スロットル開度が大きいときにおいても速やかにブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKを確保し、且つエンジン11の運転状態悪化を的確に防止することができる。
【0092】
すなわち、上記スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉込量(初回閉込量DTRT1st)は、エンジン回転数NE及びアクセル踏込量ACCPといった機関運転状態に基づき求められる基本スロットル開度TRTB及び要求値Xに対応した要求スロットル開度TRTCLに応じて定められる。従って、エンジン11の運転状態及びスロットル開度がどのような状態であっても、上記スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みによって、スロットル開度を要求スロットル開度TRTCL付近で且つ同開度TRTCLよりも開き側の値まで的確に小さくすることができる。そのため、エンジン11の運転状態及びスロットル開度がどのような状態であっても、ブレーキ負圧PBKを速やかに要求値Xに近づけることができる。
【0093】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図13及び図14に基づいて説明する。本実施形態では、スロットル閉じ制御によりブレーキ負圧PBKを要求値Xに到達させた後、スロットル開度を徐々に大きくして本来の開度に復帰させる際にブレーキペダル51が踏み込まれるなどして、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったときの処理が第1実施形態と異なる。本実施形態は、上記スロットル開度の復帰中にブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったとき、第1実施形態よりも速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに再び到達させることができるようにしている。なお、本実施形態においては、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第1実施形態と同一部分については詳細な説明を省略する。
【0094】
先ず、本実施形態におけるスロットル閉じ制御の概要について図13のタイムチャートを参照して説明する。図13(a)〜(d)においては、第1実施形態の場合におけるスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDL、目標スロットル開度TRT、ブレーキ負圧PBK、及び初回閉込フラグXBK1stの推移が実線で示される。また、本実施形態の場合におけるスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDL、目標スロットル開度TRT、ブレーキ負圧PBK、及び初回閉込フラグXBK1stの推移が破線で示される。
【0095】
ブレーキペダル51の踏み込みに基づくブレーキブースタ50の駆動などによってブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなると、スロットル閉じ制御が実行開始される。目標スロットル開度TRTは、そのスロットル閉じ制御により、初めに初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされ、その後に下限ガード値TRTmnまで徐々に小さくされる。そして、同スロットル閉じ制御によりブレーキ負圧PBKが要求値Xに達すると、スロットル開度をスロットル閉じ制御開始前の状態に復帰させるべく、目標スロットル開度TRTが徐々に大きくされる。
【0096】
目標スロットル開度TRTが上記初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされたときの値よりも大きくなった後、例えばブレーキペダル51が踏み込まれると、ブレーキブースタ50が駆動されてブレーキ負圧PBKが再び要求値Xに達しなくなる。このとき、第1実施形態の場合においては、図13(b)に実線で示すように徐々に大きくされていた目標スロットル開度TRTが再び徐々に小さくされるようになる。第1実施形態においては、ブレーキペダル51が二度目に踏み込まれ(踏み直され)、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなってから再び要求値Xに達するまでに時間t2がかかる。
【0097】
これに対し、本実施形態においては、ブレーキペダル51の踏み直しに基づき、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったときには、目標スロットル開度TRTが図13(b)に破線で示すように上記初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされたときの値まで再び小さくされ、その後に徐々に小さくされるようになる。従って、本実施形態においては、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなってから再び要求値Xに達するまでにかかる時間t1が、上記第1実施形態の場合における時間t2よりも短くてすむ。
【0098】
次に、図14を参照して本実施形態の閉込量増減処理ルーチンについて説明する。同ルーチンにおいては、第1実施形態における閉込量増減処理ルーチン(図8)のステップS403以降の処理に相当する処理(ステップS603以降の処理)が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態の閉込量増減処理ルーチンも、閉込量算出ルーチン(図6)のステップS203に進む毎にECU92を通じて実行される。
【0099】
本実施形態の閉込量増減処理ルーチンにおいて、ECU92は、ステップS601の処理で初回閉込量DTRT1stを算出し、ステップS602の処理でブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しているか否か判断する。そして、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していなければステップS603に進み、初回閉込フラグXBK1stが「1」に設定されているか否か、即ちスロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みが未実行か否かを判断する。上記スロットル閉じ制御が行われていないときにブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなった場合、上記ステップS603の処理でYESと判断されてステップS604に進むこととなる。こうしてステップS604に進んだ場合には、スロットル閉じ制御が行われていないことから閉込量DTRBKが「0」となる。
【0100】
ECU92は、ステップS604の処理として、上記ステップS601の処理で算出された初回閉込量DTRT1stと現在の閉込量DTRBKとを比較する。即ち、初回閉込量DTRT1stが現在の閉込量DTRBKよりも小さいか否かを判断する。今、上記閉込量DTRBKが「0」であるため、今回のステップS604の処理ではNOと判断され、続くステップS605の処理として、上記ステップS601で算出された初回閉込量DTRT1stがそのまま閉込量DTRBKとして設定される。
【0101】
このステップS605の処理により、上記初回閉込量DTRT1stが閉込量DTRBKとして設定されると、図13(b)に実線で示すように、目標スロットル開度TRTが上記閉込量DTRBK(初回閉込量DTRT1st)の分だけ小さくなる。上記ステップS605の処理が行われた後、ステップS607に進む。ECU92は、ステップS607の処理として、初回閉込フラグXBK1stを「0」にセットし、この閉込量増減処理ルーチンを一旦終了する。
【0102】
このように初回閉込フラグXBK1stが「0」に設定されると、次回の上記ステップS603の処理ではNOと判断され、ステップ608に進むようになる。そして、ステップS608の処理が実行されることにより、閉込量DTRBKが所定値yの分だけ徐々に大きくなる。その結果、目標スロットル開度TRTが図13(b)に実線で示すように下限ガード値TRTmnまで徐々に小さくされ、そのガード値TRTmnに維持されるようになる。
【0103】
上記のように目標スロットル開度TRTが小さくされて下限ガード値TRTmnに維持されることで、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達するようになる。こうしてブレーキ負圧PBKが要求値Xに達すると、上記ステップS602の処理でYESと判断され、ステップS609に進むようになる。そして、ステップS609の処理が実行されることにより、閉込量DTRBKが徐々に小さくなる。その結果、目標スロットル開度TRTが図13(b)に実線で示すように、下限ガード値TRTmnから徐々に大きくされる。
【0104】
また、ECU92は、続くステップS610の処理で、初回閉込フラグXBK1stとして「1」をRAM95の所定領域に記憶した後、この閉込量増減処理ルーチンを一旦終了する。このように初回閉込フラグXBK1stを「1」に設定することで、本実施形態では第1実施形態と異なり初回閉込フラグXBK1stが図13(d)に破線で示すように「0」から「1(初回スロットル閉込未実行)」に変化する。そして、目標スロットル開度TRTが徐々に大きくなってスロットル閉じ制御開始前の開度に復帰する過程においては、ブレーキペダル51の踏み直し等に基づき再びブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなることがある。
【0105】
こうした状況下において第1実施形態では、図13(d)に実線で示すように「XBK1st=0(初回スロットル閉込実行済み)」のままであるため、目標スロットル開度TRTが再び徐々に小さくされる。そして、目標スロットル開度TRTが下限ガード値TRTmnに維持されることで、ブレーキ負圧PBKが再び要求値Xに達するようになる。このような目標スロットル開度TRTの変化により、第1実施形態の場合ではブレーキペダル51の踏み直しに基づきブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなってから再び同要求値Xに達するまでに図13に示すように時間t2を要する。
【0106】
これに対し、本実施形態では、目標スロットル開度TRTが本来の開度に復帰する過程において、ブレーキペダル51の踏み直し等に基づきブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなると、図13(d)に破線で示すように「XBK1st=1(初回スロットル閉込未実行)」となる。そのため、上記のような状況下においては、次回の上記ステップS602,S603の処理で共にYESと判断され、ステップS604以降の処理が実行されるようになる。この場合、ステップS604の処理において、現在の閉込量DTRBKが「0」ではなく正の値になっており、初回閉込量DTRT1stが現在の閉込量DTRBKよりも小さいか否かが判断される。
【0107】
このとき、目標スロットル開度TRTが最初に初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされたときの値よりも開き側の開度ならば、上記ステップS604の処理で「DTRT1st<DTRBK」でない旨判断される。その結果、ステップS605の処理が実行され、上記ステップS601の処理で新たに設定された初回閉込量DTRT1stが、新たに閉込量DTRBKとして設定される。この閉込量DTRBKに基づき目標スロットル開度TRTが算出されると、その目標スロットル開度TRTは、図13(b)に破線で示すように最初に初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくされたときの値まで再び小さくされることとなる。
【0108】
その後、ステップS607の処理で「XBK1st=0」とされることで、上記ステップS603の処理でNOと判断されるようになり、ステップS608の処理が実行されることとなる。このステップS608の処理が実行されることにより、目標スロットル開度TRTが徐々に小さくされる。そして、目標スロットル開度TRTが下限ガード値TRTmnに維持されることで、ブレーキ負圧PBKが再び要求値Xに達するようになる。
【0109】
上記のような目標スロットル開度TRTの変化により、本実施形態の場合ではブレーキペダル51の踏み直しに基づきブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなってから再び同要求値Xに達するまでに図13に示す時間t1を要する。この図13から、上記時間t1は第1実施形態の場合の時間t2よりも短いことがわかる。即ち、本実施形態では、目標スロットル開度TRTがスロットル閉じ制御前の開度へと復帰する過程において、例えばブレーキペダル51が踏み直されてブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなった場合に、第1実施形態に比べて速やかに同ブレーキ負圧PBKが要求値Xに到達する。
【0110】
ところで、上記ブレーキペダルの踏み直し等に基づきブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなったとき、徐々に大きくなる目標スロットル開度TRTが最初に初回閉込量DTRT1stの分だけ小さくなったときの値よりも小さい場合もある。この場合、目標スロットル開度TRTは、例えば図13(b)の点Pで示す値となる。このような状況では、現在の閉込量DTRBKがステップS601の処理によって算出される初回閉込量DTRT1stよりも大きくなる。従って、ステップS604の処理では、「DTRT1st<DTRBK」である旨判断される。
【0111】
こうしてステップS604の処理でYESと判断されると、続くステップS606の処理が実行され、閉込量DTRBKが所定値yの分だけ大きくされる。そのため、この場合にはステップS606,S608等の処理に基づき、目標スロットル開度TRTが図13(b)の点Pから下限ガード値TRTmnまで徐々に小さくされることで、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに近づけられる。
【0112】
以上詳述した処理が行われる本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)に記載した効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(3)スロットル閉じ制御によって小さくされていた目標スロットル開度TRTを本来の開度へと復帰させる過程において、ブレーキペダル51の踏み直し等が行われると、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなることがある。こうした場合においても、速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに到達させ、ブレーキブースタ50の駆動に必要なブレーキ負圧PBKを確保することができる。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図15〜図19に基づき説明する。本実施形態では、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなって、スロットル閉じ制御により初回にスロットルバルブ23が閉込量DTRBK分だけ閉じ込まれた後の処理が第1実施形態と異なる。
【0114】
即ち、上記初回のスロットル閉じ込みによりエンジン11の運転状態が変化すると、その運転状態の変化に応じてブレーキ負圧PBKを速やかに要求値Xに近づけるために閉じ込むべき閉込量も変化する。その初回のスロットル閉じ込みが行われた後においては、本来は上記閉じ込むべき閉込量の変化に追従してスロットル開度を変化させることが、速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに近づけるためには好ましい。
【0115】
しかし、上記第1実施形態においては、初回にスロットル閉じ込みが行われた後、機関運転状態の変化に伴い上記閉じ込むべき閉込量が変化しても、実際には閉込量DTRBKを所定値yの分だけ徐々に大きくするのみである。従って、ブレーキ負圧PBKを速やかに要求値Xに近づけることに関し、初回のスロットル閉じ込みに基づき本来閉じ込むべき閉込量が変化する場合に改善の余地がある。
【0116】
本実施形態では、上記閉じ込むべき閉込量が変化しても、その変化に追従してスロットル開度を変化させ、一層速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに近づけることを可能としており、その点が第1実施形態と異なる。従って、本実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳しく説明し、第1実施形態と同一部分については詳細な説明を省略する。
【0117】
先ず、ECU92を通じて実行される本実施形態の負圧制御の概要について図15のタイムチャートを参照して説明する。図15においては、第1実施形態の場合におけるスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDL、閉込量DTRBK、最終燃料噴射量Qfin 、及びブレーキ負圧PBKの推移が実線で示される。また、本実施形態の場合におけるスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDL、閉込量DTRBK、最終燃料噴射量Qfin 、及びブレーキ負圧PBKの推移が破線で示される。
【0118】
ブレーキペダル51の踏み込みに基づくブレーキブースタ50の駆動などによってブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しなくなると、スロットル閉じ制御が実行開始される。図15(b)に示すように、スロットルバルブ23の閉込量DTRBKは、初回の閉じ込みの際には後述する一気閉込量DTRTSPと同じ値になる。この一気閉込量DTRTSPは、第1実施形態の初回閉込量DTRT1stと同じく、基本スロットル開度TRTB及び下限ガード値TRTmn等に基づき算出される。また、基本スロットル開度TRTB及び下限ガード値TRTmnは、エンジン回転数NE及び最終燃料噴射量Qfin に基づき求められる。
【0119】
そして、上記スロットルバルブ23の初回の閉じ込みに伴いポンピングロスが増大すると、ECU92は、そのポンピングロス増大によるエンジン回転数NEの低下を抑制すべく図15(c)に示すように最終燃料噴射量Qfin を増量する。こうして最終燃料噴射量Qfin が増量されると、求められる基本スロットル開度TRTB及び下限ガード値TRTmnが変化し、それに伴い一気閉込量DTRTSPも変化することとなる。従って、速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに近づけるためには、エンジン回転数NEの低下を抑制すべく最終燃料噴射量Qfin を増量した後の一気閉込量DTRTSPに従いスロットルバルブ23を閉じ込むことが好ましい。
【0120】
しかし、第1実施形態においては、初回にスロットルバルブ23を閉じ込んだ後には、所定値yの分だけ徐々に閉込量DTRBKが大きくされるのみである。そのため、スロットル閉じ制御が実行されてからブレーキ負圧PBKが要求値Xに達するまでに、図15(d)に示す時間t4を要する。
【0121】
これに対し、本実施形態では、最終燃料噴射量Qfin の増量に伴い一気閉込量DTRTSPが変化しても、スロットルバルブ23の実際の閉込量が変化後の一気閉込量DTRTSPよりも小さいときには、ECU92が同一気閉込量DTRTSPに基づくスロットルバルブ23閉じ込みを継続する。その結果、図15(b)に破線で示すように、閉込量DTRBKは、初回閉じ込み後において最終燃料噴射量Qfin の増量に基づく一気閉込量DTRTSPの変化に応じて速やかに大きくなる。そして、スロットルバルブ23の閉込量DTRBKが変化後の一気閉込量DTRTSP以上になると、ECU92は、スロットル開度を下限ガード値TRTmnに向けて徐々に閉じ込むように所定値yの分だけ徐々に閉込量DTRBKを大きくする。
【0122】
上記のように閉込量DTRBKを推移させることで、スロットル閉じ制御が実行されてからブレーキ負圧PBKが要求値Xに達するのに必要な時間は、図15(d)に示すように上記時間t4よりも短い時間t3となる。
【0123】
次に、本実施形態の目標スロットル開度算出ルーチンについて図16を参照して説明する。同ルーチンにおいては、第1実施形態における目標スロットル開度算出ルーチン(図4)に対してステップS707,S708の処理が追加されているのみであり、その他の処理は第1実施形態と同じである。本実施形態の目標スロットル開度算出ルーチンも、ECU92を通じて所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0124】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS701の処理として、現在「成層燃焼」が実行されているか否かを判断する。そして、「成層燃焼」が実行されていなければ、ステップS709,S710の処理を順次実行し、「成層燃焼」以外での基本スロットル開度TRTB及び目標スロットル開度TRTを算出し、その後にこの目標スロットル開度算出ルーチンを一旦終了する。
【0125】
また、ステップS701の処理において、現在「成層燃焼」実行中である旨判断されると、ステップS702〜S704の処理を順次実行する。これらの処理により、「成層燃焼」中における基本スロットル開度TRTB、下限ガード値TRTmn 、及び目標スロットル開度TRTを算出した後、ステップS705に進む。
【0126】
ECU92は、ステップS705の処理として、「成層燃焼」中における目標スロットル開度TRTが下限ガード値TRTmnよりも小さいか否かを判断し、「TRT<TRTmn」ならばステップS706に進む。ECU92は、ステップS706の処理で現在の下限ガード値TRTmnを目標スロットル開度TRTとし、続くステップS707の処理でスロットル下限フラグFとして「1」をRAM95の所定領域に記憶する。そのスロットル下限フラグFは、スロットルバルブ23が下限ガード値TRTmnまで閉じ込まれているか否かを判断するためのものであって、後述する閉込量増減処理ルーチン(図19)におけるステップS904の処理で使用される。
【0127】
また、上記ステップS705の処理において、「TRT<TRTmn」でない旨判断されると、ステップS708に進む。ECU92は、ステップS708の処理で、スロットル下限フラグFとして「0」をRAM95の所定領域に記憶する。上記ステップS707及びステップS708のいずれかの処理を実行した後、ECU92は、この目標スロットル開度算出ルーチンを一旦終了する。
【0128】
次に、本実施形態の閉込量算出ルーチンについて図17を参照して説明する。同ルーチンにおいては、第1実施形態における閉込量算出ルーチン(図6)のステップS206に相当する処理が省略されており、その他の処理は第1実施形態と同じである。本実施形態の閉込量算出ルーチンも、ECU92を通じて所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
【0129】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS801の処理としてスロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLの設定処理を行い、ステップS802の処理として同スロットル閉じ制御実行フラグXBKIDLが「1」か否かを判断する。そして、「XBKIDL=1」でないならばステップS805に進み、「XBKIDL=1」ならばステップS803に進む。ECU92は、ステップS803の処理として閉込量DTRBKの増減処理を実行し、続くステップS804として閉込量DTRBKが「0」以下か否かを判断する。そして、「DTRBK≦0」でないならばこの閉込量算出ルーチンを一旦終了し、「DTRBK≦0」ならばステップS805に進む。ECU92は、ステップS805の処理として、閉込量DTRBKを「0」にした後、この閉込量算出ルーチンを一旦終了する。
【0130】
次に、本実施形態の閉込量増減処理ルーチンについて図19を参照して説明する。同ルーチンにおいては、第1実施形態における閉込量増減処理ルーチン(図8)に対してステップS901,S904の処理が追加されるとともに、第1実施形態におけるステップS405に相当する処理が省略され、またステップS404に相当する処理が変更されている。その他の処理は第1実施形態と同じである。本実施形態の閉込量増減処理ルーチンは、ECU92を通じて上記閉込量算出ルーチン(図17)のステップS803に進む毎に実行される。
【0131】
同ルーチンにおいてECU92は、ステップS901の処理として、後述するステップS902の処理で用いられる所定値γを、エンジン回転数NE及び最終燃料噴射量Qfin に基づき算出する。ECU92は、続くステップS902の処理として、基本スロットル開度TRTBから下限ガード値TRTmnを減算し、その減算した値から更に上記所定値γをひいたものを一気閉込量DTRTSPとする。
【0132】
こうして算出された一気閉込量DTRTSPは、スロットル閉じ制御におけるスロットルバルブ23の初回の閉じ込みから、スロットルバルブ23の閉込量DTRBKが一気閉込量DTRTSP以上となるまでは、後述するステップS906の処理によって閉込量DTRBKとして設定される。この閉込量DTRBK(一気閉込量DTRTSP)等に基づき、目標スロットル開度算出ルーチン(図16)のステップS704の処理によって目標スロットル開度TRTが算出されるようになる。
【0133】
ここで、エンジン回転数NEを一定とした条件下において、目標スロットル開度TRT、基本スロットル開度TRTB、下限ガード値TRTmn、及び所定値γが最終燃料噴射量Qfin の変化に対してどのようにする推移するか、並びに目標スロットル開度TRTと、基本スロットル開度TRTB、下限ガード値TRTmn、及び所定値γとの関係を図18に示す。この図18において、実線L2,L5及び破線L6は、それぞれ下限ガード値TRTmn、基本スロットル開度TRTB、及び目標スロットル開度TRTの推移を示す。
【0134】
同図から明らかなように、エンジン回転数NEを一定とした条件下においては、最終燃料噴射量Qfinが大きくなるほど一気閉込量DTRTSPが大きくなる。従って、スロットル閉じ制御において、スロットルバルブ23の初回の閉じ込み後にポンピングロス増大に伴うエンジン回転数NEの低下を抑制すべく最終燃料噴射量Qfin を増量する際には、その最終燃料噴射量Qfin の増量によって一気閉込量DTRTSPが大きくなる。
【0135】
ECU92は、続くステップS903の処理として、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しているか否かを判断する。そして、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達しているならば、ステップS908の処理によって閉込量DTRBKを所定値xだけ小さくした後、閉込量算出ルーチン(図17)に戻る。また、ステップS903の処理において、ブレーキ負圧PBKが要求値Xに達していない旨判断されると、ステップS904に進む。
【0136】
ECU92は、ステップS904の処理として、スロットル下限フラグFが「1」か否か、即ちスロットル開度が下限ガード値TRTmnに達しているか否かを判断する。そして、「F=1(到達済)」ならばステップS908に進み、「F=0(未到達)」ならばステップS905に進む。ECU92は、ステップS905の処理として、現在の閉込量DTRBKが現在の一気閉込量DTRTSP以上か否かを判断する。
【0137】
そして、「DTRBK≧DTRTSP」ならばステップS907に進み、閉込量DTRBKを所定値yだけ大きくした後、閉込量算出ルーチン(図17)に戻る。また、上記ステップS905の処理において「DTRBK≧DTRTSP」でないならばステップS906に進み、現在の一気閉込量DTRTSPを閉込量DTRBKとして設定した後、この閉込量算出ルーチンを一旦終了する。
【0138】
従って、スロットル閉じ制御の初回スロットル閉じ込み後に最終燃料噴射量Qfin が増量され、その増量に基づき一気閉込量DTRTSPが大きくなった場合、ステップS905の処理でNOと判断されてステップS906の処理が実行されるようになる。その結果、初回のスロットル閉じ込みが実行された後においても、上記のように大きくなった一気閉込量DTRTSPが閉込量DTRBKとして設定される。
【0139】
こうしたステップS905,S906の処理によって、一気閉込量DTRTSPが上記最終燃料噴射量Qfin の増量に基づき変化しても、その変化に閉込量DTRBKを追従させて該一気閉込量DTRTSPに基づくスロットルバルブ23の閉じ込みを継続することができるようになる。そして、現在の閉込量DTRBKが上記一気閉込量DTRTSP以上になると、閉込量DTRBKが所定値yの分だけ徐々に大きくされるようになる。その結果、閉込量DTRBKが図15(b)に破線で示すように推移し、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みに応じて最終燃料噴射量Qfin が大きくなっても、速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに近づけることができるようになる。
【0140】
以上詳述した処理が行われる本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)に記載した効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(4)スロットル閉じ制御における一気閉込量DTRTSPに基づく初回のスロットル閉じ込みによってポンピングロスが増大するとき、そのポンピングロスの増大に伴いエンジン回転数NEが低下するのを抑制すべく最終燃料噴射量Qfin が増量される。こうした最終燃料噴射量Qfin の増量に基づき、算出される一気閉込量DTRTSPが変化するが、現在の閉込量DTRBKが該一気閉込量DTRTSPよりも小さいときには、その変化後の一気閉込量DTRTSPが閉込量DTRBKとして設定される。従って、閉込量DTRBKが一気閉込量DTRTSP以上になるまでは、その一気閉込量DTRTSPに基づくスロットル閉じ込みが継続され、上記のように一気閉込量DTRTSPが変化した場合に、速やかにブレーキ負圧PBKを要求値Xに近づけることができる。
【0141】
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・上記各実施形態において、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉込量(初回閉込量DTRT1st,一気閉込量DTRTSP)の算出を、エンジン回転数NEや最終燃料噴射量Qfin といった機関運転状態に基づくマップ演算による算出に代えてもよい。
【0142】
・上記各実施形態において、スロットル閉じ制御における初回のスロットル閉じ込みの後、徐々に閉じ側に制御されるスロットル開度の閉じる速さを、ステップS406(図8),S507(図10),S606,S608(図14),S907(図19)の処理で用いられる所定値yの値を変更することで調整するようにしてもよい。例えば、この所定値yを機関運転状態に応じて可変にすることが好ましい。
【0144】
・上記各実施形態では、成層燃焼時にスロットル閉じ制御を行い必要なブレーキ負圧PBKの確保を行ったが、本発明はこれに限定されない。即ち、均質燃焼時であっても空燃比がリーンとされスロットルバルブ23が比較的開き側に制御されるときには、必要なブレーキ負圧PBKを確保することが困難になる。そこで、このような均質リーン燃焼時に上述したスロットル閉じ制御を行い必要なブレーキ負圧PBKの確保を行ってもよい。
【0145】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ブレーキ負圧が要求値に達しないとき、始めに吸気調整手段を吸入空気量減量側の要求制御位置の近傍で且つ同要求制御位置よりも吸入空気量増量側の所定制御位置に制御することで、吸気調整手段の制御位置にかかわらずブレーキ負圧が要求値に速やかに近づけられる。その後、吸気調整手段が吸入空気量減量側に徐々に制御されるため、その吸入空気量減量側への制御が過度なものとなって車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。従って、吸気調整手段の制御位置が吸入空気量増量側の位置にあったとしても、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保し、且つ車載内燃機関の運転状態悪化を防止することができる。
さらに、機関運転状態に基づき所定制御位置を可変とすることで、ブレーキ負圧が要求値に達しないときの機関運転状態にかかわらず、前記所定制御位置を吸入空気量減量側の適切な位置とすることが可能になる。そして、このように設定された所定制御位置へと吸気調整手段を制御することにより、ブレーキ負圧が要求値に速やかに近づけられ、また、このときに吸気調整手段が過度に吸入空気量減量側に制御されて車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。従って、吸気調整手段が吸入空気量増大側へと大きく制御されていても、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保し、且つ車載内燃機関の運転状態悪化を防止することを一層的確に行うことができる。
加えて、ブレーキ負圧が要求値に達しないときには、まず始めに、スロットルバルブ開度の下限ガード値に応じて定められる所定制御位置へとスロットルバルブが閉じられる。こうして設定される所定制御位置にスロットルバルブが閉じられることで、ブレーキ負圧が要求値に達しなくなったときのスロットルバルブの開度にかかわらず、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧が確保されるようになり、また、スロットルバルブが過度に閉じられることに基づき車載内燃機関の運転状態が悪化することもない。
【0146】
請求項2記載の発明によれば、吸気調整手段を本来の制御位置へ復帰させる途中でのブレーキ操作等に基づきブレーキ負圧が要求値に達しなくなった場合でも、速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保することができるようになる。
【0150】
請求項記載の発明によれば、機関運転状態の変化によって所定制御位置が変化しても、吸気調整手段の制御位置が同所定制御位置以下になるまで、継続して吸気調整手段が所定制御位置に制御される。そのため、吸気調整手段の制御位置を機関運転状態に応じて変化する所定制御位置に追従させ、より速やかにブレーキブースタの駆動に必要なブレーキ負圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の負圧制御装置が適用されたエンジン全体を示す断面図。
【図2】同エンジンにおける吸気及び排気ポートの形状を示すシリンダヘッドの断面図。
【図3】上記負圧制御装置の電気的構成を示すブロック図。
【図4】第1実施形態の目標スロットル開度算出手順を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態において、エンジン回転数NEを一定とした条件のもとでの最終燃料噴射量Qfin の変化に対する基本スロットル開度TRTB、下限ガード値TRTmn、及び目標スロットル開度TRTの推移を示すグラフ。
【図6】第1実施形態の閉込量算出手順を示すフローチャート。
【図7】スロットル閉じ制御実行フラグの設定手順を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態の閉込量増減処理手順を示すフローチャート。
【図9】第1実施形態の負圧制御装置によるスロットル閉じ制御の概要を示すタイムチャート。
【図10】第2実施形態の閉込量増減処理手順を示すフローチャート。
【図11】要求スロットル開度TRTCLを算出する際に参照されるマップ。
【図12】第2実施形態において、エンジン回転数NEを一定とした条件のもとでの最終燃料噴射量Qfin の変化に対する基本スロットル開度TRTB、要求スロットル開度TRTCL、下限ガード値TRTmn、及び目標スロットル開度TRTの推移を示すグラフ。
【図13】第3実施形態の負圧制御装置によるスロットル閉じ制御の概要を示すタイムチャート。
【図14】第3実施形態の閉込量増減処理手順を示すフローチャート。
【図15】第4実施形態の負圧制御装置によるスロットル閉じ制御の概要を示すタイムチャート。
【図16】第4実施形態の目標スロットル開度算出手順を示すフローチャート。
【図17】第4実施形態の閉込量算出手順を示すフローチャート。
【図18】第4実施形態において、エンジン回転数NEを一定とした条件のもとでの最終燃料噴射量Qfin の変化に対する基本スロットル開度TRTB、下限ガード値TRTmn、及び目標スロットル開度TRTの推移を示すグラフ。
【図19】第4実施形態の閉込量増減処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
11…エンジン、23…スロットルバルブ、24…スロットル用モータ、32…吸気通路、34…スワールコントロールバルブ(SCV)、35…スワール用モータ、36…バキュームセンサ、40…燃料噴射弁、44…スロットルポジションセンサ、49…負圧通路、50…ブレーキブースタ、50a…ブースタ圧力センサ、92…電子制御ユニット(ECU)。

Claims (3)

  1. 車載内燃機関の吸気系に生じる負圧をブレーキ負圧として蓄圧し、そのブレーキ負圧によって駆動されるブレーキブースタと、前記内燃機関の吸入空気量を調整する吸気調整手段とを備え、前記ブレーキ負圧が前記ブレーキブースタを作動させるのに必要な要求値に達しないとき、前記吸気調整手段を吸入空気量減量側へ制御する車載内燃機関の負圧制御装置において、
    前記ブレーキ負圧が前記ブレーキブースタを作動させるのに必要な要求値に達しないとき、始めに前記吸気調整手段を吸入空気量減量側の要求制御位置の近傍で且つ同要求制御位置よりも吸入空気量増量側の所定制御位置へと制御し、その後に同吸気調整手段を吸入空気量減量側へ徐々に制御する制御手段を備え
    前記吸気調整手段は前記内燃機関の吸気系に設けられたスロットルバルブであり、前記所定制御位置は前記スロットルバルブの開度制御に用いるために機関運転状態に基づき求められる同バルブ開度の下限ガード値に応じて可変設定される
    ことを特徴とする車載内燃機関の負圧制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記吸気調整手段を吸入空気量減量側へ制御して前記ブレーキ負圧を前記要求値へと到達させた後に前記吸気調整手段を吸入空気量増量側へ徐々に制御して本来の制御位置に復帰させるものであり、その復帰途中で前記ブレーキ負圧が前記要求値に達しなくなったときには始めに前記吸気調整手段を前記所定制御位置へと制御し、その後に同吸気調整手段を吸入空気量減量側へ徐々に制御する
    請求項1記載の車載内燃機関の負圧制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記吸気調整手段の制御位置が前記所定制御位置以下になるまで、継続して前記吸気調整手段を前記所定制御位置へと制御する
    請求項1又は2記載の車載内燃機関の負圧制御装置。
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