JP3584793B2 - 吸着剤の造粒方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカゲル等の吸着剤の造粒方法に関し、詳しくは、吸着式冷凍機の吸着コア等に好適に使用される、高品質の球状吸着剤の造粒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用または車両用空調装置等に、吸着剤を充填した吸着コアを備える吸着式冷凍機を用いることが検討されている。吸着式冷凍機は、冷媒となる水を吸脱着する複数の吸着コアと、水の蒸発を利用して外気を冷却する蒸発器、水蒸気を液化する凝縮器とで、冷凍サイクルを構成するもので、各吸着コアは蒸発器または凝縮器に交互に接続される。そして、蒸発器に接続する吸着コアに水蒸気を吸着させて、蒸発器における水の蒸発を促進するとともに、凝縮器に接続する吸着コアから水蒸気を離脱させて凝縮器に供給することにより、蒸発器の冷却作用を、効果的にかつ継続して発揮することができる。
【0003】
かかる吸着式冷凍機の吸着剤には、例えば、シリカゲル、ゼオライト等が用いられ、これらの粉末を所定のサイズに造粒して吸着剤としている。その造粒方法としては、従来、原料粉末にバインダーを添加してプレス型で圧粉した後、得られた圧粉体を容器内で回転するハンマーを用いて解砕し、さらにボールミルで形状を整える方法が一般に採用され、その後、篩機で選別して所定のサイズの粒子を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法のように、圧粉体をハンマーで解砕する方法では、得られる吸着剤の粒子形状がいびつとなり、ボールミルで整形しても理想的な球状とすることは困難であった。そして、いびつな粒子形状であるため、吸着コアへの充填率が低く、また、造粒密度も低いことから、吸着コアの処理能力を十分大きくすることができなかった。また、吸着コアでは、粒子間の空隙が水蒸気の通路となるが、粒子形状がいびつであると、この通路の確保が難しく、さらに、全ての工程がロット生産で、かつ手作業であるため、能率が悪く、生産コストが増大するという問題があった。
【0005】
このように、従来の方法では、高品質の吸着剤を、安定的に、しかも安価に得ることは難しかった。そこで、本発明では、吸着剤粒子を球に近い形状に造粒すること、造粒密度を高くすること、さらに、造粒を連続的に行うことを目的とし、吸着剤性能の向上とコストの低減を図るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の吸着剤の造粒方法は、吸着剤の原料粉末を圧縮して圧粉体とする圧粉工程と、得られた圧粉体を、所定の間隙を有して対向する一対のグラインダー間で破砕しつつ研磨することにより、略球状の吸着剤粒子とする磨砕工程とを有する。
【0007】
上記方法において、原料粉末を圧縮して得た圧粉体を、一対のグラインダー間に投入すると、上記圧粉体は、相対回転する両グラインダー間に生じる衝撃、剪断、圧縮、ころがり摩擦等の力を受ける。これにより、上記圧粉体は、破砕されながらその表面が研磨されることで、徐々に形を整え、略球形に造粒される。この時、得られる粒子のサイズは、上記一対のグラインダー間の間隙の大きさによって決まるので、これを調整することで、所望の粒サイズの略球形の吸着剤粒子を、効率よく得ることができる。
【0008】
このようにして得られた略球形の吸着剤粒子は、例えば、吸着式冷凍機に好適に使用される。そして、吸着コアへの充填率が向上するので、処理可能な水蒸気量が増大し、また、吸着剤粒子間が点接触となるので粒子間に水蒸気の通路となる空隙が確保される。よって、水蒸気の吸着と離脱を単位時間内に能率よく繰り返すことができ、吸着コアの小型化、高性能化を可能にする。
【0009】
請求項2の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末の脱気を行う。上記圧粉工程で、例えば真空ポンプを用いて脱気すると、原料粉末間の空気が吸引されて圧縮率が高まる。よって、得られる圧粉体の密度、強度が向上し、上記磨砕工程を経て得られる吸着剤粒子は、より高品質で、耐久性の高いものとなる。また、強度が向上することで、上記磨砕工程において、上記圧粉体が細かく破壊されるのを防止し、収率を向上させることができる。
【0010】
請求項3の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末に添加剤を加えないものとする。上記圧粉体がバインダー等の添加剤を含有しないことで、得られる吸着剤粒子の密度をより高くすることができる。また、吸脱着に寄与しない部分がなくなるので、吸着能力が高まり、品質が向上する。
【0011】
請求項4の方法では、上記磨砕工程の前に、上記圧粉体を粗粒に解砕する解砕工程を行う。上記圧粉体を上記グラインダーに投入する前に、解砕機を用いて、予め、ある程度の大きさの粗粒にしておくことで、上記グラインダーの負担を軽減できる。また、造粒全体に要する時間を短縮できるので、生産性を高めてコストを低減できる。
【0012】
請求項5の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末を一対の回転ローラー間で加圧圧縮する。具体的には、上記原料粉末を回転ローラー間に投入し、所定の圧力で加圧することにより、上記圧粉体とすることができる。また、一対の回転ローラーを用いることで、上記原料粉末の投入から圧縮、上記圧粉体の取出しまでを、連続的に行うことができるので、能率よく安定した品質の圧粉体を得ることができる。
【0013】
請求項6の方法では、上記圧粉工程から上記磨砕工程までの一連の工程を連続的に行う。上記請求項5の一対の回転ローラーを用い、上記回転ローラー間で圧縮された上記圧粉体が、上記磨砕工程における上記一対のグラインダー間に投入されるように配置すれば、これら工程を連続して行うことができる。請求項4の解砕工程を有する場合も、上記回転ローラーと上記グラインダーの間に、解砕機を配して、上記圧粉体を解砕したものが上記グラインダーに供給されるようにすることで、一連の工程を連続して行うことができる。よって、量産が可能で、生産性が向上し、大幅なコスト低減が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸着剤の造粒方法を、図1の工程図に従って説明する。本発明方法を用いて造粒される吸着剤としては、例えば、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシービングカーボン等が挙げられ、用途や必要特性等に応じて適宜、選択することができる。本発明方法では、これら吸着剤の原料粉末を、図1に示すように、(1)圧粉工程、(2)磨砕工程、(3)分級工程を経て、所定の大きさの球状粒子に造粒する。以下、各工程について詳述する。
【0015】
(1)の圧粉工程では、吸着剤の原料粉末1を圧縮して圧粉体2とする。この時、バインダー等の添加剤を一切加えずに、原料粉末1のみで圧粉体2とするのがよい。バインダー等を添加すると、造粒品の密度が十分上昇せず、また、吸着離脱作用を有しない部分があることにより、吸着性能も低下する。ただし、吸着剤の原料粉末1は、通常、微粉状で、そのまま加圧すると粒子間に存在する空気が抜けず、圧粉体2の密度を十分高くすることが難しいため、真空ポンプ等を用いて脱気するとよい。具体的には、原料粉末1の脱気を行った後に加圧を開始しても、脱気しながら加圧を行ってもよく、得られる圧粉体2の密度および強度を増加させることができる。
【0016】
圧縮方法は、特に制限されないが、例えば、図2に示すような真空脱気機構付のローラー式圧粉機3を使用すると、効果的に圧縮できる。図2において、ローラー式圧粉機3は、ホッパー31内に回転スクリュー32を有し、投入された原料粉末1を攪拌しつつ下方へ移送する間に予備圧縮する。この際、ホッパー31内を真空脱気すると、粒子間の空気が吸引除去されて、圧縮が促進される。予備圧縮された原料粉末1は、その下方の一対のローラー33、34間に供給されて、ローラー表面の凹凸によって圧縮され、その表面形状に応じた圧粉体2となって、取り出される。一対のローラー33、34は、一方を固定ローラー33とし、他方をアキュムレータ付油圧シリンダーにて加圧可能な加圧ローラー34としており、通常、0.5〜5ton/cm2 、例えば、3.0ton/cm2 程度の圧力で加圧することにより、安定した圧粉が可能である。ここでは、ローラー表面が幅方向に多数の平行な凹溝を有する形状となっているため、図1に示すような表面に凹凸を有する板状の圧粉体2が得られるが、所定の密度が得られればどのような形状であってもよい。この工程において得られる圧粉体2の密度は、通常、1.0g/cm3 以上、好ましくは1.3g/cm3 以上となるようにするのがよく、1.0g/cm3 より低密度であると、強度が不十分で、磨砕時に破壊されやすく、粒度の揃った球形粒子を収率よく得ることができない。
【0017】
圧粉工程で得られた圧粉体2は、次に、(2)の磨砕工程において、一対のグラインダー間で磨砕を行うことによって、所定の大きさの略球状の吸着剤粒子とする。具体的には、一方が固定され、他方が任意の速度で回転可能な一対のグラインダーを所定の間隙を有して対向させ、これら一対のグラインダー間に生じる力によって圧粉体2を所定の大きさに破砕しつつ表面研磨して球状とする。この時、一対のグラインダーの間隙によって、得られる吸着剤粒子の大きさ(最大径)が決まるので、これが所望の大きさとなるように上記間隙の大きさを調整する。例えば、後述する吸着式冷凍機の吸着コアに用いられる吸着剤粒子は、通常、直径0.05〜2mm程度の球状顆粒が好適であるので、この範囲内で適宜設定すればよい。これらグラインダーは、高硬度で無気孔の材料、例えば炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラミックスやダイヤモンド等からなり、吸着剤の種類によって最適な材料を選択すればよい。磨砕工程において吸着剤に不純物が混入すると、吸着コアに充填された時にその内部の水と反応して吸着剤の性能を阻害するおそれがあるが、これら高硬度で無気孔の材料からなるグラインダーを採用することで、不純物の混入がほとんどなく、安定した品質の造粒品を得ることができる。
【0018】
より具体的には、例えば、図3に示すような、円環状の一対のグラインダー41、42を有する磨砕機4を用いると、効率よく磨砕を行うことができる。図3において、磨砕機4は、固定の上部グラインダー41と回転機構を備えた下部グラインダー42を所定の間隙tで対向させ、円環の中央部にホッパー43から圧粉体2が供給されるようになしてある。これらグラインダー41、42は、対向する表面に、溝部44とフラットな周縁部45をそれぞれ有し、遠心力によって両グラインダー41、42間の間隙に導入される圧粉体2に、衝撃、剪断、圧縮、ころがり摩擦等の力を作用させる。この時、溝部44を、向き、高さ、幅等を変えた複数の溝で構成することで、圧粉体2に上記種々の力を効果的に作用させることができるが、グラインダーの材質によっては、溝部44を形成しなくても同様の効果が得られる。これにより、圧粉体2は、グラインダー41、42間で破砕、整形されながら、外周方向へ押し出され、フラットな周縁部45にて球状に整えられる。
【0019】
ここで、下部グラインダー42の回転数を上げると、磨砕の速度が増して収率が上がるが、得られる吸着剤の形状をより球形に近づけるには、回転数を下げるほどよい。通常は、グラインダー42の回転数を100〜800rpm程度とし、この範囲で所望の収率または品質に応じて適宜選択するのがよい。なお、磨砕機4の下部グラインダー42の中央にカッター46(図3では3枚羽の回転式カッター)を設けると、両グラインダー41、42間で磨砕される前に、粗解砕することができ、磨砕をスムーズに行うことができる。さらに、磨砕機4で磨砕する工程に先立って、圧粉体2を粗粒に予備解砕する解砕工程に追加することもできる。この場合には、容器内に回転するハンマーもしくはプロペラ式のカッターを有する公知の解砕機を用いることができ、予め圧粉体2を解砕しておくことで、磨砕工程に要する時間を短縮できるので、吸着剤の量産に有利である。
【0020】
このようにして略球形の造粒品21が得られるが、このままでは、サイズが不揃いであるため、さらに、図1(3)の分級工程において、篩5にかけることにより所定の粒サイズに揃える。なお、所定のサイズ以外の吸着剤粒子のうち、小さいものは原料粉末として再利用し、大きいものは再度磨砕を行うことで、歩留りを向上させることができる。以上の工程により、効率よく所定のサイズの略球状の吸着剤粒子を得ることができる。
【0021】
図4は、上述した真空脱気機構付のローラー式圧粉機3と磨砕機4および篩5を上下方向に同軸的に配置し、重力落下方式で、圧粉工程から分級工程までを連続して行うようにした例である。図4において、ローラー式圧粉機3のホッパー31に原料粉末1を投入し、真空ポンプ35で脱気すると、回転スクリュー32で予備圧縮された後、一対の回転ローラー33、34間に供給される。これらローラー33、34間で圧縮された圧粉体2は、ローラー33、34から放出されて落下する間にスティック状に分解し、磨砕機4のホッパー43に投入される。ここで、圧粉体2は、中央のカッター46で粗解砕された後、遠心力で一対のグラインダー41、42間の間隙に送られ、磨砕されて、球状に造粒される。ここで、両グラインダー41、42の内周縁間の間隙は、粗解砕した圧粉体2の導入を容易にするため、所望の造粒品粒度に応じた設定値(外周縁間の間隙tに相当)よりやや広くなっている。球状の造粒品21は、グラインダー41、42外周縁から押し出されて、磨砕機4の下部開口より落下し、篩5で分級される。このようにして、粒度の揃った球状の吸着剤粒子を連続造粒することができ、生産性を高めてコスト低減が可能である。
【0022】
図5は、上記図4のローラー式圧粉機3と磨砕機4の間に、解砕機6を配置した例である。解砕機6は、上下が開口する容器61内に複数の回転するハンマー62を有し、このハンマー62の回転により、圧粉機3から落下する圧粉品を解砕する。なお、容器61の側面および底面には、金網63が配設してあり、この金網63を通過した解砕品が磨砕機4に供給される。解砕品は図示されるようないびつ形状であり、その後、上記図4の場合と同様に、磨砕機4にて球形状に整えられた後、篩5にて所定サイズに分級される。このように、解砕工程を加えた連続工程とすることもでき、造粒に要する時間をさらに短縮することができるのて、大量生産する場合に有利である。また、解砕機6を用いることにより、磨砕機4のグラインダー41、42への負荷が小さくなるので、磨砕時の不純物の混入を最小限に抑えることができる。
【0023】
本発明方法で造粒される粒度の揃った球状の吸着剤は、例えば、吸着式冷凍機の吸着コア用吸着剤として好適に使用される。図6は、吸着式冷凍機の概略構成を示すもので、第1吸着コア71と、第2吸着コア72を有している。これら吸着コア71、72は、密閉容器73、74にそれぞれ収容され、通路75、76を介して、三方弁77、78とそれぞれ連通している。三方弁77は、冷媒(通常、水)を蒸発させて外気との熱交換を行う蒸発器79に、三方弁78は、冷媒を液化する凝縮器80に連通しており、図示の状態では、蒸発器79から導入される気化冷媒(通常、水蒸気)を第2吸着コア72に吸着させるとともに、第1吸着コア71から放出させた気化冷媒を凝縮器80に導入するようになっている。凝縮器80と蒸発器79の間には、気液分離器81、ポンプ82が直列に接続されて、冷媒回路83を構成している。
【0024】
図7に示すように、吸着コア71、72は、図の左右方向に所定間隔をおいて平行配設され、冷却媒体または加熱媒体の通路となる複数の偏平チューブ84と、これら偏平チューブ84間に配設される波板状の伝熱フィン85、および各フィン85表面に接着され、チューブ84間の隙間を埋めるように充填される吸着剤86を有している。各チューブ84の両端は、上下タンク87、88にそれぞれろう付けにより接合してあり、上部タンク87から各チューブ84に分配供給される媒体が、各チューブ84間を流通する間に吸着剤86を冷却ないし加熱した後、下部タンク88から回収されるようになしてある。そして、蒸発器79から導入される気化冷媒を吸着させる場合には、チューブ84に冷却媒体を流通させて吸着を促進し、冷媒を離脱させて凝縮器80に導出する場合には、チューブ84に加熱媒体を流通させて離脱を促進することで、冷凍機の性能を高めている。
【0025】
吸着剤86の各粒子は、粉体接着剤を介して互いに接着されており、粒子間の間隙が、図6の通路75、76から導入される気化冷媒の通路となっている。従って、吸着コア71、72に充填される吸着剤86の必要特性としては、冷媒の吸着と離脱を単位時間内に能率よく繰り返すことができること、また、吸着コア71、72への充填率を高め、かつ冷媒の通路を確保することが要求される。そして、上述したように、本発明の造粒方法で得られる吸着剤は、略球状の粒子形状であるので、充填率を高めることができ、しかも粒子間が点接触となるので、冷媒の通路の確保も容易である。また、造粒密度が高いので、吸着能力が高く、吸脱着を効率よく行って、優れた性能を発揮することができる。
【0026】
なお、本発明で造粒される吸着剤の用途としては、吸着式冷凍機の吸着コアに限らず、排ガス処理装置の吸着剤等、種々の用途に利用できることはもちろんできる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認するため、上記図4に示した工程に従って、実際に吸着剤の造粒を行った。原料粉末1としてはシリカゲルを使用し、圧粉、磨砕、分級の各工程を経て吸着剤を得た。まず、真空脱気機構付のローラー式圧粉機3(新東工業(株)製ブリケッタBCS型)のホッパー31に、原料粉末1であるシリカゲルを投入し、回転スクリュー32で予備圧縮した後、一対の回転ローラー33、34間に供給し、加圧、圧縮してスティック状の圧粉体2を得た。この際、真空ポンプ35で脱気することによりホッパー31内を真空度200mmHgに保持し、回転スクリュー32の回転数を33rpm、回転ローラー33、34(幅48mm)による加圧の圧力を22ton、回転数を4rpmとした。
【0028】
得られた圧粉体2を、次いで、磨砕機4(増幸産業(株)製スーパーマスコロイダー(登録商標))のホッパー43に投入し、カッター46で粗解砕した後、一対のグラインダー41、42間で磨砕した。ここで、両グラインダー41、42の間隙tを0.5mmに設定し、下部グラインダー42の回転数は300rpmとした。磨砕機4の下部開口から得られる造粒品を、さらに篩5(70メッシュ)にかけて分級した。図8は、このようにして得られた吸着剤粒子の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、粒度の揃った球状の吸着剤粒子が得られることが分かる。
【0029】
一方、比較のため、同様の方法で得た圧粉体2を、上記図5に示した解砕機6で解砕し、磨砕することなく、吸着剤粒子とした。図9は、得られた吸着剤粒子の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、従来のように、解砕のみで磨砕を行わない方法では、吸着剤粒子の形状がいびつで、球状粒子が得られないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の造粒方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明の圧粉工程で用いられるローラー式圧粉機の概略構成図である。
【図3】本発明の磨砕工程で用いられる磨砕機の概略構成図である。
【図4】本発明による造粒工程の一例を説明するための工程図である。
【図5】本発明による造粒工程の他の例を説明するための工程図である。
【図6】本発明方法により造粒した吸着剤が適用される吸着式冷凍機の全体概略構成図である。
【図7】吸着式冷凍機を構成する吸着コアの概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の造粒方法により得られた吸着剤の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図9】従来の造粒方法により得られた吸着剤の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【符号の説明】
1 原料粉末
2 圧粉体
21 造粒品
3 ローラー式圧粉機
33、34 一対の回転ローラー
4 磨砕機
41、42 一対のグラインダー
5 篩
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカゲル等の吸着剤の造粒方法に関し、詳しくは、吸着式冷凍機の吸着コア等に好適に使用される、高品質の球状吸着剤の造粒方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
家庭用または車両用空調装置等に、吸着剤を充填した吸着コアを備える吸着式冷凍機を用いることが検討されている。吸着式冷凍機は、冷媒となる水を吸脱着する複数の吸着コアと、水の蒸発を利用して外気を冷却する蒸発器、水蒸気を液化する凝縮器とで、冷凍サイクルを構成するもので、各吸着コアは蒸発器または凝縮器に交互に接続される。そして、蒸発器に接続する吸着コアに水蒸気を吸着させて、蒸発器における水の蒸発を促進するとともに、凝縮器に接続する吸着コアから水蒸気を離脱させて凝縮器に供給することにより、蒸発器の冷却作用を、効果的にかつ継続して発揮することができる。
【0003】
かかる吸着式冷凍機の吸着剤には、例えば、シリカゲル、ゼオライト等が用いられ、これらの粉末を所定のサイズに造粒して吸着剤としている。その造粒方法としては、従来、原料粉末にバインダーを添加してプレス型で圧粉した後、得られた圧粉体を容器内で回転するハンマーを用いて解砕し、さらにボールミルで形状を整える方法が一般に採用され、その後、篩機で選別して所定のサイズの粒子を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法のように、圧粉体をハンマーで解砕する方法では、得られる吸着剤の粒子形状がいびつとなり、ボールミルで整形しても理想的な球状とすることは困難であった。そして、いびつな粒子形状であるため、吸着コアへの充填率が低く、また、造粒密度も低いことから、吸着コアの処理能力を十分大きくすることができなかった。また、吸着コアでは、粒子間の空隙が水蒸気の通路となるが、粒子形状がいびつであると、この通路の確保が難しく、さらに、全ての工程がロット生産で、かつ手作業であるため、能率が悪く、生産コストが増大するという問題があった。
【0005】
このように、従来の方法では、高品質の吸着剤を、安定的に、しかも安価に得ることは難しかった。そこで、本発明では、吸着剤粒子を球に近い形状に造粒すること、造粒密度を高くすること、さらに、造粒を連続的に行うことを目的とし、吸着剤性能の向上とコストの低減を図るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の吸着剤の造粒方法は、吸着剤の原料粉末を圧縮して圧粉体とする圧粉工程と、得られた圧粉体を、所定の間隙を有して対向する一対のグラインダー間で破砕しつつ研磨することにより、略球状の吸着剤粒子とする磨砕工程とを有する。
【0007】
上記方法において、原料粉末を圧縮して得た圧粉体を、一対のグラインダー間に投入すると、上記圧粉体は、相対回転する両グラインダー間に生じる衝撃、剪断、圧縮、ころがり摩擦等の力を受ける。これにより、上記圧粉体は、破砕されながらその表面が研磨されることで、徐々に形を整え、略球形に造粒される。この時、得られる粒子のサイズは、上記一対のグラインダー間の間隙の大きさによって決まるので、これを調整することで、所望の粒サイズの略球形の吸着剤粒子を、効率よく得ることができる。
【0008】
このようにして得られた略球形の吸着剤粒子は、例えば、吸着式冷凍機に好適に使用される。そして、吸着コアへの充填率が向上するので、処理可能な水蒸気量が増大し、また、吸着剤粒子間が点接触となるので粒子間に水蒸気の通路となる空隙が確保される。よって、水蒸気の吸着と離脱を単位時間内に能率よく繰り返すことができ、吸着コアの小型化、高性能化を可能にする。
【0009】
請求項2の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末の脱気を行う。上記圧粉工程で、例えば真空ポンプを用いて脱気すると、原料粉末間の空気が吸引されて圧縮率が高まる。よって、得られる圧粉体の密度、強度が向上し、上記磨砕工程を経て得られる吸着剤粒子は、より高品質で、耐久性の高いものとなる。また、強度が向上することで、上記磨砕工程において、上記圧粉体が細かく破壊されるのを防止し、収率を向上させることができる。
【0010】
請求項3の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末に添加剤を加えないものとする。上記圧粉体がバインダー等の添加剤を含有しないことで、得られる吸着剤粒子の密度をより高くすることができる。また、吸脱着に寄与しない部分がなくなるので、吸着能力が高まり、品質が向上する。
【0011】
請求項4の方法では、上記磨砕工程の前に、上記圧粉体を粗粒に解砕する解砕工程を行う。上記圧粉体を上記グラインダーに投入する前に、解砕機を用いて、予め、ある程度の大きさの粗粒にしておくことで、上記グラインダーの負担を軽減できる。また、造粒全体に要する時間を短縮できるので、生産性を高めてコストを低減できる。
【0012】
請求項5の方法では、上記圧粉工程において、上記原料粉末を一対の回転ローラー間で加圧圧縮する。具体的には、上記原料粉末を回転ローラー間に投入し、所定の圧力で加圧することにより、上記圧粉体とすることができる。また、一対の回転ローラーを用いることで、上記原料粉末の投入から圧縮、上記圧粉体の取出しまでを、連続的に行うことができるので、能率よく安定した品質の圧粉体を得ることができる。
【0013】
請求項6の方法では、上記圧粉工程から上記磨砕工程までの一連の工程を連続的に行う。上記請求項5の一対の回転ローラーを用い、上記回転ローラー間で圧縮された上記圧粉体が、上記磨砕工程における上記一対のグラインダー間に投入されるように配置すれば、これら工程を連続して行うことができる。請求項4の解砕工程を有する場合も、上記回転ローラーと上記グラインダーの間に、解砕機を配して、上記圧粉体を解砕したものが上記グラインダーに供給されるようにすることで、一連の工程を連続して行うことができる。よって、量産が可能で、生産性が向上し、大幅なコスト低減が可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の吸着剤の造粒方法を、図1の工程図に従って説明する。本発明方法を用いて造粒される吸着剤としては、例えば、シリカゲル、活性アルミナ、活性炭、ゼオライト、モレキュラーシービングカーボン等が挙げられ、用途や必要特性等に応じて適宜、選択することができる。本発明方法では、これら吸着剤の原料粉末を、図1に示すように、(1)圧粉工程、(2)磨砕工程、(3)分級工程を経て、所定の大きさの球状粒子に造粒する。以下、各工程について詳述する。
【0015】
(1)の圧粉工程では、吸着剤の原料粉末1を圧縮して圧粉体2とする。この時、バインダー等の添加剤を一切加えずに、原料粉末1のみで圧粉体2とするのがよい。バインダー等を添加すると、造粒品の密度が十分上昇せず、また、吸着離脱作用を有しない部分があることにより、吸着性能も低下する。ただし、吸着剤の原料粉末1は、通常、微粉状で、そのまま加圧すると粒子間に存在する空気が抜けず、圧粉体2の密度を十分高くすることが難しいため、真空ポンプ等を用いて脱気するとよい。具体的には、原料粉末1の脱気を行った後に加圧を開始しても、脱気しながら加圧を行ってもよく、得られる圧粉体2の密度および強度を増加させることができる。
【0016】
圧縮方法は、特に制限されないが、例えば、図2に示すような真空脱気機構付のローラー式圧粉機3を使用すると、効果的に圧縮できる。図2において、ローラー式圧粉機3は、ホッパー31内に回転スクリュー32を有し、投入された原料粉末1を攪拌しつつ下方へ移送する間に予備圧縮する。この際、ホッパー31内を真空脱気すると、粒子間の空気が吸引除去されて、圧縮が促進される。予備圧縮された原料粉末1は、その下方の一対のローラー33、34間に供給されて、ローラー表面の凹凸によって圧縮され、その表面形状に応じた圧粉体2となって、取り出される。一対のローラー33、34は、一方を固定ローラー33とし、他方をアキュムレータ付油圧シリンダーにて加圧可能な加圧ローラー34としており、通常、0.5〜5ton/cm2 、例えば、3.0ton/cm2 程度の圧力で加圧することにより、安定した圧粉が可能である。ここでは、ローラー表面が幅方向に多数の平行な凹溝を有する形状となっているため、図1に示すような表面に凹凸を有する板状の圧粉体2が得られるが、所定の密度が得られればどのような形状であってもよい。この工程において得られる圧粉体2の密度は、通常、1.0g/cm3 以上、好ましくは1.3g/cm3 以上となるようにするのがよく、1.0g/cm3 より低密度であると、強度が不十分で、磨砕時に破壊されやすく、粒度の揃った球形粒子を収率よく得ることができない。
【0017】
圧粉工程で得られた圧粉体2は、次に、(2)の磨砕工程において、一対のグラインダー間で磨砕を行うことによって、所定の大きさの略球状の吸着剤粒子とする。具体的には、一方が固定され、他方が任意の速度で回転可能な一対のグラインダーを所定の間隙を有して対向させ、これら一対のグラインダー間に生じる力によって圧粉体2を所定の大きさに破砕しつつ表面研磨して球状とする。この時、一対のグラインダーの間隙によって、得られる吸着剤粒子の大きさ(最大径)が決まるので、これが所望の大きさとなるように上記間隙の大きさを調整する。例えば、後述する吸着式冷凍機の吸着コアに用いられる吸着剤粒子は、通常、直径0.05〜2mm程度の球状顆粒が好適であるので、この範囲内で適宜設定すればよい。これらグラインダーは、高硬度で無気孔の材料、例えば炭化珪素、アルミナ、窒化珪素等のセラミックスやダイヤモンド等からなり、吸着剤の種類によって最適な材料を選択すればよい。磨砕工程において吸着剤に不純物が混入すると、吸着コアに充填された時にその内部の水と反応して吸着剤の性能を阻害するおそれがあるが、これら高硬度で無気孔の材料からなるグラインダーを採用することで、不純物の混入がほとんどなく、安定した品質の造粒品を得ることができる。
【0018】
より具体的には、例えば、図3に示すような、円環状の一対のグラインダー41、42を有する磨砕機4を用いると、効率よく磨砕を行うことができる。図3において、磨砕機4は、固定の上部グラインダー41と回転機構を備えた下部グラインダー42を所定の間隙tで対向させ、円環の中央部にホッパー43から圧粉体2が供給されるようになしてある。これらグラインダー41、42は、対向する表面に、溝部44とフラットな周縁部45をそれぞれ有し、遠心力によって両グラインダー41、42間の間隙に導入される圧粉体2に、衝撃、剪断、圧縮、ころがり摩擦等の力を作用させる。この時、溝部44を、向き、高さ、幅等を変えた複数の溝で構成することで、圧粉体2に上記種々の力を効果的に作用させることができるが、グラインダーの材質によっては、溝部44を形成しなくても同様の効果が得られる。これにより、圧粉体2は、グラインダー41、42間で破砕、整形されながら、外周方向へ押し出され、フラットな周縁部45にて球状に整えられる。
【0019】
ここで、下部グラインダー42の回転数を上げると、磨砕の速度が増して収率が上がるが、得られる吸着剤の形状をより球形に近づけるには、回転数を下げるほどよい。通常は、グラインダー42の回転数を100〜800rpm程度とし、この範囲で所望の収率または品質に応じて適宜選択するのがよい。なお、磨砕機4の下部グラインダー42の中央にカッター46(図3では3枚羽の回転式カッター)を設けると、両グラインダー41、42間で磨砕される前に、粗解砕することができ、磨砕をスムーズに行うことができる。さらに、磨砕機4で磨砕する工程に先立って、圧粉体2を粗粒に予備解砕する解砕工程に追加することもできる。この場合には、容器内に回転するハンマーもしくはプロペラ式のカッターを有する公知の解砕機を用いることができ、予め圧粉体2を解砕しておくことで、磨砕工程に要する時間を短縮できるので、吸着剤の量産に有利である。
【0020】
このようにして略球形の造粒品21が得られるが、このままでは、サイズが不揃いであるため、さらに、図1(3)の分級工程において、篩5にかけることにより所定の粒サイズに揃える。なお、所定のサイズ以外の吸着剤粒子のうち、小さいものは原料粉末として再利用し、大きいものは再度磨砕を行うことで、歩留りを向上させることができる。以上の工程により、効率よく所定のサイズの略球状の吸着剤粒子を得ることができる。
【0021】
図4は、上述した真空脱気機構付のローラー式圧粉機3と磨砕機4および篩5を上下方向に同軸的に配置し、重力落下方式で、圧粉工程から分級工程までを連続して行うようにした例である。図4において、ローラー式圧粉機3のホッパー31に原料粉末1を投入し、真空ポンプ35で脱気すると、回転スクリュー32で予備圧縮された後、一対の回転ローラー33、34間に供給される。これらローラー33、34間で圧縮された圧粉体2は、ローラー33、34から放出されて落下する間にスティック状に分解し、磨砕機4のホッパー43に投入される。ここで、圧粉体2は、中央のカッター46で粗解砕された後、遠心力で一対のグラインダー41、42間の間隙に送られ、磨砕されて、球状に造粒される。ここで、両グラインダー41、42の内周縁間の間隙は、粗解砕した圧粉体2の導入を容易にするため、所望の造粒品粒度に応じた設定値(外周縁間の間隙tに相当)よりやや広くなっている。球状の造粒品21は、グラインダー41、42外周縁から押し出されて、磨砕機4の下部開口より落下し、篩5で分級される。このようにして、粒度の揃った球状の吸着剤粒子を連続造粒することができ、生産性を高めてコスト低減が可能である。
【0022】
図5は、上記図4のローラー式圧粉機3と磨砕機4の間に、解砕機6を配置した例である。解砕機6は、上下が開口する容器61内に複数の回転するハンマー62を有し、このハンマー62の回転により、圧粉機3から落下する圧粉品を解砕する。なお、容器61の側面および底面には、金網63が配設してあり、この金網63を通過した解砕品が磨砕機4に供給される。解砕品は図示されるようないびつ形状であり、その後、上記図4の場合と同様に、磨砕機4にて球形状に整えられた後、篩5にて所定サイズに分級される。このように、解砕工程を加えた連続工程とすることもでき、造粒に要する時間をさらに短縮することができるのて、大量生産する場合に有利である。また、解砕機6を用いることにより、磨砕機4のグラインダー41、42への負荷が小さくなるので、磨砕時の不純物の混入を最小限に抑えることができる。
【0023】
本発明方法で造粒される粒度の揃った球状の吸着剤は、例えば、吸着式冷凍機の吸着コア用吸着剤として好適に使用される。図6は、吸着式冷凍機の概略構成を示すもので、第1吸着コア71と、第2吸着コア72を有している。これら吸着コア71、72は、密閉容器73、74にそれぞれ収容され、通路75、76を介して、三方弁77、78とそれぞれ連通している。三方弁77は、冷媒(通常、水)を蒸発させて外気との熱交換を行う蒸発器79に、三方弁78は、冷媒を液化する凝縮器80に連通しており、図示の状態では、蒸発器79から導入される気化冷媒(通常、水蒸気)を第2吸着コア72に吸着させるとともに、第1吸着コア71から放出させた気化冷媒を凝縮器80に導入するようになっている。凝縮器80と蒸発器79の間には、気液分離器81、ポンプ82が直列に接続されて、冷媒回路83を構成している。
【0024】
図7に示すように、吸着コア71、72は、図の左右方向に所定間隔をおいて平行配設され、冷却媒体または加熱媒体の通路となる複数の偏平チューブ84と、これら偏平チューブ84間に配設される波板状の伝熱フィン85、および各フィン85表面に接着され、チューブ84間の隙間を埋めるように充填される吸着剤86を有している。各チューブ84の両端は、上下タンク87、88にそれぞれろう付けにより接合してあり、上部タンク87から各チューブ84に分配供給される媒体が、各チューブ84間を流通する間に吸着剤86を冷却ないし加熱した後、下部タンク88から回収されるようになしてある。そして、蒸発器79から導入される気化冷媒を吸着させる場合には、チューブ84に冷却媒体を流通させて吸着を促進し、冷媒を離脱させて凝縮器80に導出する場合には、チューブ84に加熱媒体を流通させて離脱を促進することで、冷凍機の性能を高めている。
【0025】
吸着剤86の各粒子は、粉体接着剤を介して互いに接着されており、粒子間の間隙が、図6の通路75、76から導入される気化冷媒の通路となっている。従って、吸着コア71、72に充填される吸着剤86の必要特性としては、冷媒の吸着と離脱を単位時間内に能率よく繰り返すことができること、また、吸着コア71、72への充填率を高め、かつ冷媒の通路を確保することが要求される。そして、上述したように、本発明の造粒方法で得られる吸着剤は、略球状の粒子形状であるので、充填率を高めることができ、しかも粒子間が点接触となるので、冷媒の通路の確保も容易である。また、造粒密度が高いので、吸着能力が高く、吸脱着を効率よく行って、優れた性能を発揮することができる。
【0026】
なお、本発明で造粒される吸着剤の用途としては、吸着式冷凍機の吸着コアに限らず、排ガス処理装置の吸着剤等、種々の用途に利用できることはもちろんできる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認するため、上記図4に示した工程に従って、実際に吸着剤の造粒を行った。原料粉末1としてはシリカゲルを使用し、圧粉、磨砕、分級の各工程を経て吸着剤を得た。まず、真空脱気機構付のローラー式圧粉機3(新東工業(株)製ブリケッタBCS型)のホッパー31に、原料粉末1であるシリカゲルを投入し、回転スクリュー32で予備圧縮した後、一対の回転ローラー33、34間に供給し、加圧、圧縮してスティック状の圧粉体2を得た。この際、真空ポンプ35で脱気することによりホッパー31内を真空度200mmHgに保持し、回転スクリュー32の回転数を33rpm、回転ローラー33、34(幅48mm)による加圧の圧力を22ton、回転数を4rpmとした。
【0028】
得られた圧粉体2を、次いで、磨砕機4(増幸産業(株)製スーパーマスコロイダー(登録商標))のホッパー43に投入し、カッター46で粗解砕した後、一対のグラインダー41、42間で磨砕した。ここで、両グラインダー41、42の間隙tを0.5mmに設定し、下部グラインダー42の回転数は300rpmとした。磨砕機4の下部開口から得られる造粒品を、さらに篩5(70メッシュ)にかけて分級した。図8は、このようにして得られた吸着剤粒子の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、粒度の揃った球状の吸着剤粒子が得られることが分かる。
【0029】
一方、比較のため、同様の方法で得た圧粉体2を、上記図5に示した解砕機6で解砕し、磨砕することなく、吸着剤粒子とした。図9は、得られた吸着剤粒子の光学顕微鏡写真(倍率100倍)であり、従来のように、解砕のみで磨砕を行わない方法では、吸着剤粒子の形状がいびつで、球状粒子が得られないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の造粒方法を説明するための工程図である。
【図2】本発明の圧粉工程で用いられるローラー式圧粉機の概略構成図である。
【図3】本発明の磨砕工程で用いられる磨砕機の概略構成図である。
【図4】本発明による造粒工程の一例を説明するための工程図である。
【図5】本発明による造粒工程の他の例を説明するための工程図である。
【図6】本発明方法により造粒した吸着剤が適用される吸着式冷凍機の全体概略構成図である。
【図7】吸着式冷凍機を構成する吸着コアの概略構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の造粒方法により得られた吸着剤の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【図9】従来の造粒方法により得られた吸着剤の光学顕微鏡写真(倍率100倍)である。
【符号の説明】
1 原料粉末
2 圧粉体
21 造粒品
3 ローラー式圧粉機
33、34 一対の回転ローラー
4 磨砕機
41、42 一対のグラインダー
5 篩
Claims (6)
- 吸着剤の原料粉末を圧縮して圧粉体とする圧粉工程と、得られた圧粉体を、所定の間隙を有して対向する一対のグラインダー間で破砕しつつ研磨することにより、略球状の吸着剤粒子とする磨砕工程とを有することを特徴とする吸着剤の造粒方法。
- 上記圧粉工程において、上記原料粉末の脱気を行う請求項1記載の吸着剤の造粒方法。
- 上記圧粉工程において、上記原料粉末に添加剤を加えない請求項1または2記載の吸着剤の造粒方法。
- 上記磨砕工程の前に、上記圧粉体を粗粒に解砕する解砕工程を有する請求項1ないし3のいずれか記載の吸着剤の造粒方法。
- 上記圧粉工程において、上記原料粉末を一対の回転ローラー間で加圧圧縮する請求項1ないし4のいずれか記載の吸着剤の造粒方法。
- 上記圧粉工程から上記磨砕工程までの一連の工程を連続的に行う請求項5記載の吸着剤の造粒方法。
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