JP3584475B2 - 乳飲料の製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はリング現象、油滴の分離、沈澱物の発生等の問題がない安定な乳飲料の製造法に関するものである。本発明の対象食品としては、コーヒー豆や紅茶の抽出液に乳製品を添加した紙パック入り乳飲料、瓶入り乳飲料、ペットボトル入り乳飲料、缶入り乳飲料等がある。又、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等の粉末物質を乳製品に添加し製造される紙パック入り乳飲料、瓶入り乳飲料、ペットボトル入り乳飲料、缶入り乳飲料等がある。
本発明でいう乳飲料とは、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、バターまたはチーズ等を単独あるいは併用する乳製品にコーヒー、紅茶の抽出液あるいは、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等を添加したもので、その脂肪含量が5%未満のもので無脂乳固形分の制限のない飲料を言う。
【0002】
次に、本発明を適用できる乳飲料の原材料となるコーヒー豆、紅茶、ココア末、甘味料等には特に制限はなく、またその成分量にも制限はない。例えば、コーヒー豆においてはアラビカ種のブラジル、コロンビア、ペルー、キリマンジャロ等があり、これらを単独あるいは複数ブレンドして使用してもよく、焙煎条件、粉砕条件、抽出条件も特に制限はない。紅茶においてはニルギリ茶、セイロン茶、ダージリン茶、アッサム茶等があり、これらを単独あるいは複数ブレンドしてもよく、抽出条件等についても何ら制限はない。ココア末においても脂肪含有量、粒子の大きさ等の違いがあるが、何ら制限はない。甘味料も何ら制限はなく砂糖、液糖等の糖類、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、シュークラロース等の甘味料からなる群の1種または2種以上でもよい。
【0003】
【従来の技術】
ミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティー、ミルクセ−キ、ミルクシェイク、ミルクしるこ、ス−プ類等、乳製品を使用した飲料を殺菌して紙パック等に充填するか、瓶に充填もしくは缶等に充填後殺菌するものであり、缶入りコーヒー、缶入りココア、缶入り紅茶に代表される乳飲料は、脂肪、蛋白を含む乳製品を使用する上、124℃20分等、強度の殺菌をして製造される為、乳化安定性が著しく劣化し、リング現象(環状の脂肪浮上)や油滴を生じたり、蛋白の熱変性により、沈澱物が発生し問題になっている。
上述の問題点を解決するため、食品用乳化剤とカラギーナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、カゼインナトリウム等を併用使用して、問題点を解決しようとする努力が払われてきた。例えば特開昭63−226266号公報、特開平1−157365号公報、特開平1−252273号公報、特開平2−76539号公報、特開平2−261366号公報、特開平2−31664号公報、特開平2−16959号公報、特開平3−266939号公報、特開平3−83543号公報、特開平3−175932号公報の特許出願がなされているが、乳飲料のリング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止において充分といえるものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はリング現象、油滴の分離、沈澱のない乳飲料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、長期保存可能な乳飲料を得ることに成功し、本発明を完成することができた。すなわち本発明はコ−ヒ−豆や紅茶の葉より抽出した液等に牛乳などの乳製品を混合した中に、食品用乳化剤、カラギーナン、およびガラクトマンナン(ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなどから選ばれた1種または2種以上)を添加することで、リング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止を実現した、乳飲料の製造法である。
食品用乳化剤としてはモノグリセリド、ポリグリセリド、有機酸モノグリセリド(クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンのいずれでもよい。HLB15以上のショ糖脂肪酸エステルまたはこのショ糖脂肪酸エステルと他の食品用乳化剤を併用することが好ましい。
【0006】
糊料としてはカラギーナン、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム等のガム類がある。カラギーナンは紅藻類のスギノリ目のミリン科、スギノリ科の海藻から抽出されるものであらゆるタイプを使用することができる。市販されているものとしてはカッパータイプカラギーナン、アイオータタイプカラギーナン、ラムダータイプカラギーナンなどがある。ローカストビーンガム、グァーガム及びタラガムは、いずれもD−マンノース主鎖にD−ガラクトース側鎖をもつガラクトマンナンである。これらについても制限はなく、市販されているものを使用することができる。カラギーナンとローカストビーンガム、グァーガム、タラガムとの組み合わせについては、プリンやゼリーのデザート類においては従来より知られているが、得られる効果はカラギーナンの二重ラセン構造にD−マンノース主鎖が会合することにより、網目構造が形成されカラギーナン単独では得られない弾力性に富むテクスチャーを得ることができるというものである。本発明はカラギーナンとガラクトマンナンとを組み合わせることにより、従来ではできなかったリング現象防止や油滴の分離防止及び沈澱防止を可能としたものである。糊料の添加量は0.0002〜0.2%(重量%、以下同じ)が好ましく、このうちカラギーナンは0.0001〜0.1%、ガラクトマンナンは0.0001〜0.1%が好ましい。食品用乳化剤の添加量は0.005〜0.5%がよく、0.01〜0.3%が好ましい。
次に実験例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0007】
実験例1
ブラジル産アラビカ種コーヒー豆をL値22〜24になるよう焙煎し、コーヒーミルにて細かく粉砕し、100gをドリップ式ペーパーに入れ、95℃の熱湯を注ぎ1000gの抽出液を得た。この抽出液1000gに牛乳200g、グラニュー糖100gを加えた。一方400gの水に乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、糊料として表1に示す糊料各1gを75℃で溶解した後に、先のコーヒー抽出液、牛乳、グラニュー糖の混合液と撹拌混合を行い10%の煮沸した炭酸水素ナトリウム溶液でpH6.8に調整し、加水して全量を2000gにした後75℃まで加温を行い、75℃で均質化を行った。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した液を250ml容の耐熱瓶に充填し124℃30分間レトルト殺菌を行い、40℃まで水冷後コーヒー乳飲料を取得し55℃2週間保存した。結果は表1に示すように、単一の糊料ではリング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止効果は十分ではなかった。
【0008】
【表1】
記号 リングの有無
−:リングの発生無し
±:わずかにリングを発生するが少しの振動で消失する
+:リングの発生あり
油滴の有無
−:油滴なし
±:油滴わずかあり
+:油滴多い
沈澱物の有無
−:沈澱物なし
±:沈澱物わずかあり
+:沈澱物多い
【0009】
実験例2
実験例1と同様の方法で乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、糊料として表2に示す糊料の組み合わせを試みた。
記号の意味は実験例1と同じである。
結果を表2に示すように、カラギーナンとガム類(ガラクトマンナンを含む)の組み合わせではカッパーカラギーナンとグァーガム、アイオータカラギーナンとローカストビーンガム、ラムダーカラギーナンとタラガムの併用したものが、リング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止によい結果を得た。この3組はいずれもカラギーナンとガラクトマンナンの組み合わせであり、他の組み合わせでは三つの問題点を解消できなかった。
【0010】
【表2】
実験例3
実験例1と同様の方法で糊料としてカッパーカラギーナン0.1g、ローカストビーンガム0.06g、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6gの代わりに表3の各種乳化剤0.6gを試みた。記号の意味は実験例1と同じである。
結果は表3に示すように乳化剤の種類にかかわらず、全て良い結果を得た。
【0011】
【表3】
実験例4
実験例3と同様の方法でローカストビーンガムを抜いて試みた。
結果は表4に示すようにローカストビーンガムを併用しないとどんな乳化剤を併用しても三つの問題を満足することはできなかった。
【0012】
【表4】
【0013】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
セイロン茶葉30gに熱湯1500gを加え紅茶エキスを得た。この紅茶エキス1200gに牛乳400g、砂糖140gを加えた。一方、約200gのお湯にカッパーカラギーナン0.1g、グァーガム0.05g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルS−570、三菱化成(株))0.4g、カゼインナトリウム1gを加え、80℃10分間撹拌溶解した。紅茶エキス、牛乳、砂糖の混合液に乳化剤、糊料、カゼインナトリウム溶液を加え、70℃10分間撹拌混合して、全量を2000gにした後、圧力150kg/cm2のホモゲナイザーにより均質化を行った。この均質液を135℃30秒プレート式熱交換機にて殺菌し、ペットボトル容器にホット充填を行い40℃まで水冷し、55℃2週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の紅茶が得られた。
【0014】
実施例2
ブラジル産アラビカ種コーヒー豆をL値22〜24になるよう焙煎し、コーヒーミルにて粉砕し、100gをネル袋に入れ95℃の熱湯を注ぎ1000gの抽出液を得た。この抽出液1000gに牛乳500g、グラニュー糖100gを加えた。一方、300gの水にショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルS−570、三菱化成(株))0.4g、アイオータカラギーナン0.2g、ローカストビーンガム0.05gを75℃で溶解した後に、先のコーヒー抽出液、牛乳、グラニュー糖の混合液と撹拌混合を行い、10%の煮沸した炭酸水素ナトリウム溶液でpH6.8に調製し、加水して全量を2000gにした後、75℃まで加温を行い75℃で均質化を行った。このときのホモゲナイザーの圧力は第1段150kg/cm2、第2段50kg/cm2であった。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した液を190ml溶の缶に充填、巻き締めを行い121℃40分間レトルト殺菌を行い40℃まで水冷後、缶コーヒーを収得し、55℃4週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の缶入りコーヒーが得られた。
【0015】
実施例3
40℃の水1000gにバンホーテンのココア末20g、砂糖140g、ショ糖脂肪酸エステル:エステルP−1670(三菱化成(株))1.0g、DKエステルF−20(第一工業製薬(株))0.2g、アビセルRC−N81(旭化成工業(株))10g、アイオータカラギーナン1.4g、グァーガム0.2g、タラガム0.2g、ローカストビーンガム0.2gを加え、75℃で15分間撹拌した。一方、800gの水に全脂粉乳50g、脱脂粉乳30gを加え撹拌溶解した。先のココア、砂糖、乳化剤、カラギーナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガムの溶液と、全脂粉乳と脱脂粉乳の溶液を混合し、全量2000gにした後75℃まで加温を行い、75℃で均質化を行った。このときのホモゲナイザーの圧力は第1段150kg/cm2、第2段50kg/cm2であった。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した後、190ml容の缶に充填し、124℃30分缶レトルト殺菌を行い、40℃まで水冷後、缶入り乳飲料を収得し、55℃4週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の缶入りココア乳飲料が得られた。
【0016】
【発明の効果】
コーヒー豆や紅茶の抽出液に乳製品を添加した紙パック入り乳飲料/瓶入り乳飲料/ペットボトル入り乳飲料/缶入り乳飲料や、ココア末/抹茶/粉末あん/コーン等の粉末物質を乳製品に添加し製造される紙パック入り乳飲料/瓶入り乳飲料/ペットボトル入り乳飲料/缶入り乳飲料、といった乳飲料つまり、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、バターまたはチーズ等を単独あるいは併用する乳製品にコーヒー、紅茶の抽出液あるいは、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等を添加したもので、その脂肪含量が5%未満のもので無脂乳固形分の制限のない飲料については、充填後124℃20分等、強度の殺菌をして製造されており、これらには脂肪、蛋白質が含まれているため、殺菌処理により乳化安定性が著しく劣化し、リング現象(環状の脂肪浮上)や油滴を生じたり、蛋白の熱変性により沈澱が発生したりして問題になっている。従来の技術ではこうした問題に対する十分な効果を示すものがなかった。
発明者らはカラギーナンとガラクトマンナンとの組み合わせで上述の問題が解決されることを発見した。この組み合わせに食品用乳化剤を加えることで、沈澱物の少ない従来にない安定性に優れた缶入りココア乳飲料を得ることができた。
【産業上の利用分野】
本発明はリング現象、油滴の分離、沈澱物の発生等の問題がない安定な乳飲料の製造法に関するものである。本発明の対象食品としては、コーヒー豆や紅茶の抽出液に乳製品を添加した紙パック入り乳飲料、瓶入り乳飲料、ペットボトル入り乳飲料、缶入り乳飲料等がある。又、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等の粉末物質を乳製品に添加し製造される紙パック入り乳飲料、瓶入り乳飲料、ペットボトル入り乳飲料、缶入り乳飲料等がある。
本発明でいう乳飲料とは、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、バターまたはチーズ等を単独あるいは併用する乳製品にコーヒー、紅茶の抽出液あるいは、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等を添加したもので、その脂肪含量が5%未満のもので無脂乳固形分の制限のない飲料を言う。
【0002】
次に、本発明を適用できる乳飲料の原材料となるコーヒー豆、紅茶、ココア末、甘味料等には特に制限はなく、またその成分量にも制限はない。例えば、コーヒー豆においてはアラビカ種のブラジル、コロンビア、ペルー、キリマンジャロ等があり、これらを単独あるいは複数ブレンドして使用してもよく、焙煎条件、粉砕条件、抽出条件も特に制限はない。紅茶においてはニルギリ茶、セイロン茶、ダージリン茶、アッサム茶等があり、これらを単独あるいは複数ブレンドしてもよく、抽出条件等についても何ら制限はない。ココア末においても脂肪含有量、粒子の大きさ等の違いがあるが、何ら制限はない。甘味料も何ら制限はなく砂糖、液糖等の糖類、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、シュークラロース等の甘味料からなる群の1種または2種以上でもよい。
【0003】
【従来の技術】
ミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティー、ミルクセ−キ、ミルクシェイク、ミルクしるこ、ス−プ類等、乳製品を使用した飲料を殺菌して紙パック等に充填するか、瓶に充填もしくは缶等に充填後殺菌するものであり、缶入りコーヒー、缶入りココア、缶入り紅茶に代表される乳飲料は、脂肪、蛋白を含む乳製品を使用する上、124℃20分等、強度の殺菌をして製造される為、乳化安定性が著しく劣化し、リング現象(環状の脂肪浮上)や油滴を生じたり、蛋白の熱変性により、沈澱物が発生し問題になっている。
上述の問題点を解決するため、食品用乳化剤とカラギーナン、キサンタンガム、タマリンドシードガム、カゼインナトリウム等を併用使用して、問題点を解決しようとする努力が払われてきた。例えば特開昭63−226266号公報、特開平1−157365号公報、特開平1−252273号公報、特開平2−76539号公報、特開平2−261366号公報、特開平2−31664号公報、特開平2−16959号公報、特開平3−266939号公報、特開平3−83543号公報、特開平3−175932号公報の特許出願がなされているが、乳飲料のリング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止において充分といえるものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はリング現象、油滴の分離、沈澱のない乳飲料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、長期保存可能な乳飲料を得ることに成功し、本発明を完成することができた。すなわち本発明はコ−ヒ−豆や紅茶の葉より抽出した液等に牛乳などの乳製品を混合した中に、食品用乳化剤、カラギーナン、およびガラクトマンナン(ローカストビーンガム、グァーガム、タラガムなどから選ばれた1種または2種以上)を添加することで、リング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止を実現した、乳飲料の製造法である。
食品用乳化剤としてはモノグリセリド、ポリグリセリド、有機酸モノグリセリド(クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、酢酸酒石酸混合モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド)、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンのいずれでもよい。HLB15以上のショ糖脂肪酸エステルまたはこのショ糖脂肪酸エステルと他の食品用乳化剤を併用することが好ましい。
【0006】
糊料としてはカラギーナン、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム等のガム類がある。カラギーナンは紅藻類のスギノリ目のミリン科、スギノリ科の海藻から抽出されるものであらゆるタイプを使用することができる。市販されているものとしてはカッパータイプカラギーナン、アイオータタイプカラギーナン、ラムダータイプカラギーナンなどがある。ローカストビーンガム、グァーガム及びタラガムは、いずれもD−マンノース主鎖にD−ガラクトース側鎖をもつガラクトマンナンである。これらについても制限はなく、市販されているものを使用することができる。カラギーナンとローカストビーンガム、グァーガム、タラガムとの組み合わせについては、プリンやゼリーのデザート類においては従来より知られているが、得られる効果はカラギーナンの二重ラセン構造にD−マンノース主鎖が会合することにより、網目構造が形成されカラギーナン単独では得られない弾力性に富むテクスチャーを得ることができるというものである。本発明はカラギーナンとガラクトマンナンとを組み合わせることにより、従来ではできなかったリング現象防止や油滴の分離防止及び沈澱防止を可能としたものである。糊料の添加量は0.0002〜0.2%(重量%、以下同じ)が好ましく、このうちカラギーナンは0.0001〜0.1%、ガラクトマンナンは0.0001〜0.1%が好ましい。食品用乳化剤の添加量は0.005〜0.5%がよく、0.01〜0.3%が好ましい。
次に実験例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0007】
実験例1
ブラジル産アラビカ種コーヒー豆をL値22〜24になるよう焙煎し、コーヒーミルにて細かく粉砕し、100gをドリップ式ペーパーに入れ、95℃の熱湯を注ぎ1000gの抽出液を得た。この抽出液1000gに牛乳200g、グラニュー糖100gを加えた。一方400gの水に乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、糊料として表1に示す糊料各1gを75℃で溶解した後に、先のコーヒー抽出液、牛乳、グラニュー糖の混合液と撹拌混合を行い10%の煮沸した炭酸水素ナトリウム溶液でpH6.8に調整し、加水して全量を2000gにした後75℃まで加温を行い、75℃で均質化を行った。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した液を250ml容の耐熱瓶に充填し124℃30分間レトルト殺菌を行い、40℃まで水冷後コーヒー乳飲料を取得し55℃2週間保存した。結果は表1に示すように、単一の糊料ではリング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止効果は十分ではなかった。
【0008】
【表1】
記号 リングの有無
−:リングの発生無し
±:わずかにリングを発生するが少しの振動で消失する
+:リングの発生あり
油滴の有無
−:油滴なし
±:油滴わずかあり
+:油滴多い
沈澱物の有無
−:沈澱物なし
±:沈澱物わずかあり
+:沈澱物多い
【0009】
実験例2
実験例1と同様の方法で乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、糊料として表2に示す糊料の組み合わせを試みた。
記号の意味は実験例1と同じである。
結果を表2に示すように、カラギーナンとガム類(ガラクトマンナンを含む)の組み合わせではカッパーカラギーナンとグァーガム、アイオータカラギーナンとローカストビーンガム、ラムダーカラギーナンとタラガムの併用したものが、リング現象防止、油滴の分離防止、沈澱防止によい結果を得た。この3組はいずれもカラギーナンとガラクトマンナンの組み合わせであり、他の組み合わせでは三つの問題点を解消できなかった。
【0010】
【表2】
実験例3
実験例1と同様の方法で糊料としてカッパーカラギーナン0.1g、ローカストビーンガム0.06g、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6gの代わりに表3の各種乳化剤0.6gを試みた。記号の意味は実験例1と同じである。
結果は表3に示すように乳化剤の種類にかかわらず、全て良い結果を得た。
【0011】
【表3】
実験例4
実験例3と同様の方法でローカストビーンガムを抜いて試みた。
結果は表4に示すようにローカストビーンガムを併用しないとどんな乳化剤を併用しても三つの問題を満足することはできなかった。
【0012】
【表4】
【0013】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
セイロン茶葉30gに熱湯1500gを加え紅茶エキスを得た。この紅茶エキス1200gに牛乳400g、砂糖140gを加えた。一方、約200gのお湯にカッパーカラギーナン0.1g、グァーガム0.05g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルS−570、三菱化成(株))0.4g、カゼインナトリウム1gを加え、80℃10分間撹拌溶解した。紅茶エキス、牛乳、砂糖の混合液に乳化剤、糊料、カゼインナトリウム溶液を加え、70℃10分間撹拌混合して、全量を2000gにした後、圧力150kg/cm2のホモゲナイザーにより均質化を行った。この均質液を135℃30秒プレート式熱交換機にて殺菌し、ペットボトル容器にホット充填を行い40℃まで水冷し、55℃2週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の紅茶が得られた。
【0014】
実施例2
ブラジル産アラビカ種コーヒー豆をL値22〜24になるよう焙煎し、コーヒーミルにて粉砕し、100gをネル袋に入れ95℃の熱湯を注ぎ1000gの抽出液を得た。この抽出液1000gに牛乳500g、グラニュー糖100gを加えた。一方、300gの水にショ糖脂肪酸エステル(エステルP−1670、三菱化成(株))0.6g、ショ糖脂肪酸エステル(エステルS−570、三菱化成(株))0.4g、アイオータカラギーナン0.2g、ローカストビーンガム0.05gを75℃で溶解した後に、先のコーヒー抽出液、牛乳、グラニュー糖の混合液と撹拌混合を行い、10%の煮沸した炭酸水素ナトリウム溶液でpH6.8に調製し、加水して全量を2000gにした後、75℃まで加温を行い75℃で均質化を行った。このときのホモゲナイザーの圧力は第1段150kg/cm2、第2段50kg/cm2であった。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した液を190ml溶の缶に充填、巻き締めを行い121℃40分間レトルト殺菌を行い40℃まで水冷後、缶コーヒーを収得し、55℃4週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の缶入りコーヒーが得られた。
【0015】
実施例3
40℃の水1000gにバンホーテンのココア末20g、砂糖140g、ショ糖脂肪酸エステル:エステルP−1670(三菱化成(株))1.0g、DKエステルF−20(第一工業製薬(株))0.2g、アビセルRC−N81(旭化成工業(株))10g、アイオータカラギーナン1.4g、グァーガム0.2g、タラガム0.2g、ローカストビーンガム0.2gを加え、75℃で15分間撹拌した。一方、800gの水に全脂粉乳50g、脱脂粉乳30gを加え撹拌溶解した。先のココア、砂糖、乳化剤、カラギーナン、グァーガム、タラガム、ローカストビーンガムの溶液と、全脂粉乳と脱脂粉乳の溶液を混合し、全量2000gにした後75℃まで加温を行い、75℃で均質化を行った。このときのホモゲナイザーの圧力は第1段150kg/cm2、第2段50kg/cm2であった。この均質液をプレート式熱交換機により、85℃まで加温した後、190ml容の缶に充填し、124℃30分缶レトルト殺菌を行い、40℃まで水冷後、缶入り乳飲料を収得し、55℃4週間保存した。
結果はリング現象、油滴の分離、沈澱のすべてを実用上問題なく防止し、従来にない安定性に優れた品質の缶入りココア乳飲料が得られた。
【0016】
【発明の効果】
コーヒー豆や紅茶の抽出液に乳製品を添加した紙パック入り乳飲料/瓶入り乳飲料/ペットボトル入り乳飲料/缶入り乳飲料や、ココア末/抹茶/粉末あん/コーン等の粉末物質を乳製品に添加し製造される紙パック入り乳飲料/瓶入り乳飲料/ペットボトル入り乳飲料/缶入り乳飲料、といった乳飲料つまり、牛乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳、バターまたはチーズ等を単独あるいは併用する乳製品にコーヒー、紅茶の抽出液あるいは、ココア末、抹茶、粉末あん、コーン等を添加したもので、その脂肪含量が5%未満のもので無脂乳固形分の制限のない飲料については、充填後124℃20分等、強度の殺菌をして製造されており、これらには脂肪、蛋白質が含まれているため、殺菌処理により乳化安定性が著しく劣化し、リング現象(環状の脂肪浮上)や油滴を生じたり、蛋白の熱変性により沈澱が発生したりして問題になっている。従来の技術ではこうした問題に対する十分な効果を示すものがなかった。
発明者らはカラギーナンとガラクトマンナンとの組み合わせで上述の問題が解決されることを発見した。この組み合わせに食品用乳化剤を加えることで、沈澱物の少ない従来にない安定性に優れた缶入りココア乳飲料を得ることができた。
Claims (3)
- ミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティの製造に際し、該飲料に対しガラクトマンナンとカラギーナンの組み合わせからなる糊料並びに、モノグリセリド、ポリグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンのいずれかから選ばれる食品用乳化剤を添加することを特徴とするミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティの製造法。
- ガラクトマンナンがローカストビーンガム、グァーガム、タラガムのうち1種又は2種以上である請求項1記載のミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティの製造法。
- ガラクトマンナンの添加量が、0.0001〜0.1%(重量%)、カラギーナンの添加量が0.0001〜0.1%(重量%)、食品用乳化剤の添加量が0.005〜0.5%(重量%)である請求項1又は2に記載のミルクコーヒー、ミルクココア、ミルクティの製造法。
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