JP3584277B2 - 照明光学系、アライメント光学系及び投影露光装置 - Google Patents

照明光学系、アライメント光学系及び投影露光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、照明光学系、この照明光学系を用いたアライメント光学系及びこのアライメント光学系を用いた投影露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
投影露光装置のアライメント光学系において、アライメントマークを照明する照明光学系として、例えば可動ステージ上の指標板に設けられた透光性アライメントマークを照明してそこから発光させたい時など、動きのある目標物を照明するために送光すること自体に自由度を持たせる必要がある場合、光ファイバからなるライトガイドを備えた照明光学系を用いていた。図12にこのような従来の光ファイバを用いた照明光学系を示す。
【0003】
図12において、光源の水銀ランプ300から放射された光は、楕円鏡301での反射によって集光され、レンズ系302を介して光ファイバ303に入射する。この最、光ファイバ303の入射端には十分なNAおよび径をもつ光源像が形成されていて、光ファイバ303から射出された光は、コンデンサレンズ304を通って適当な径と照明NAをもった照野を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在、投影用露光装置のアライメント装置の光源としても、エキシマレーザが使用されているが、石英ファイバなど、耐久性においてエキシマレーザに対応できる光ファイバも開発され、エキシマレーザを光源に自由度のある光ファイバ光学系からなるアライメント用照明光学系も考えられる。
【0005】
しかしながら、エキシマレーザは、指向性の高い平行光束であり、そのまま照明光として使用すると、照明NAがほとんど0である。従って、単に上記の図12の如き従来の技術の光ファイバ光学系を用いた場合には、図13に示すように、レンズ系312、光ファイバ313、コンデンサレンズ314を介したレーザ光では、必要な照度分布が得られないのはもちろんまず照野自体形成することができず、アライメント装置の照明光学系として用いることはできない。
【0006】
そこで、この種の照明光学系では、レーザの照度ムラを無くし、かつ照明NAをもたせるため、第14図に示すようにフライアイレンズ401にレーザ光を通過させて2次光源を形成し、この2次光源からの光をコンデンサーレンズ402を介してケーラー照明で照野を形成する方法や、第15図に示すように拡散板411の拡散作用によりこれの射出面上にレーザ光の2次光源を形成して、この2時光源からの光をコンデンサーレンズ412を介してケーラー照明で照野を形成する方法を用いた照明光学系が考えられる。
【0007】
しかしながら、第14図のフライアイレンズ401を用いたものに関しては、フライアイレンズ401の各レンズ個数が十分多くない(図14では4個構成)と、入射するレーザーの照度ムラが十分補正しきれず、一方十分多くするにはコスト的に不利であった。また、エキシマレーザーのようなそれほどコヒーレンシーの良くないレーザーでさえも、隣り合う各要素レンズ間の2光束干渉により照野上で干渉縞が現れ、均一な照明が得られないといった問題があった。
【0008】
さらに、第15図の拡散板411を用いたものに関しては照野上の照度ムラ分布が拡散板通過後の角度特性により正規分布のような形状になってしまい、通常のコンデンサレンズ412では均一な照度分布は得られず、照明ムラを無視し得る照野中心の限られた領域しか使用できないため照明効率が悪いという問題があった。さらに加えて、エキシマレーザーのようなそれほどコヒーレンシーの良くないレーザーでさえも照野上でスペックルが発生しランダムな照度ムラが発生するといった問題があった。
このような問題を持った照明光学系では、アライメント装置に用いた場合にアライメント精度に問題が生じる。以上のように、エキシマレーザのように角度をもたない光源を用いた照明光学系において、十分なものはなかった。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、送光自由度が高く、簡便な構成でありながら、均一な照度分布が得られる照明光学系、この照明光学系を用いたアライメント光学系、このアライメント光学系を用いた投影露光装置を提供することを目的とする。また、送光自由度が高く簡便な構成でありながら、均一な照度分布でかつ照野内での照明NAが一定の値を示すような照野が得られる照明光学系、この照明光学系を用いたアライメント光学系、このアライメント光学系を用いた投影露光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る照明光学系では、平行光束を供給する平行光束供給手段と、該平行光束供給手段からの平行光束を被照明物体側へ導くライトガイドを有する照明光学系において、前記平行光束供給手段と前記ライトガイドの入射端との間に、前記平行光束を拡散させる拡散手段を設け、前記平行光束が前記拡散手段に入射する方向と直交する平面に対する前記ライトガイドの入射端面の傾斜角度をθとしたとき、
4°≦θ≦10°
の範囲を満足することを特徴とする
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る照明光学系では、請求項1に記載の照明光学系において、前記ライトガイドがランダムライトガイドを備えることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明に係る照明光学系においては、請求項1又は2に記載の照明光学系において、前記ライトガイドの射出端には2次光源が形成され、該2次光源からの光を照野へ導くためのコンデンサ手段をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明に係る照明光学系においては、請求項1〜3の何れか一項に記載の照明光学系において、前記拡散手段が、拡散板、位相型グレーティング、またはディフューザーを有することを特徴とする。
また、請求項5記載の発明に係る照明光学系においては、請求項1〜4の何れか一項に記載の照明光学系において、前記平行光束供給手段が、レーザ光源を備えることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明に係るアライメント光学系においては、投影露光装置に用いられるアライメント光学系において、請求項1〜5の何れか一項に記載の照明光学系を備え、該照明光学系を用いてアライメントマークを照明することを特徴とする。
また、請求項7記載の発明に係る投影露光装置においては、露光用光源からの露光光に基づいてレチクルを照明するメイン照明系と、前記レチクルからの露光光をウエハに照射する投影系とを備える投影露光装置において、アライメントマークを照明するために請求項1〜5の何れか一項に記載の照明光学系を備えることを特徴とする。
また、請求項8記載の発明に係る投影露光装置においては、請求項7記載の投影露光装置において、前記露光用光源が前記平行光束供給手段と共用されることを特徴とする。
また、請求項9記載の発明に係る投影露光装置においては、請求項8記載の投影露光装置において、アライメント時に前記露光用光源からの光を前記照明光学系へ導くための切り換え手段を備えることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明の照明光学系は、平行光束供給手段から供給される平行光束をライトガイドによって被照明物体側へ導く照明光学系であり、平行光束供給手段とライトガイドの入射端との間に設けた拡散手段によって平行光束を拡散させると共に、該平行光束が拡散手段へ入射する方向と直交する平面に対しライトガイドの入射端面が所定の角度傾斜するように配置したものである。
【0013】
ここで用いられるライトガイドは、細いガラスファイバーを束ね、かつ入射側での各単線の配列が射出側でランダム配列となるようなライトガイド(以下、ランダムライトガイドと記す)である。以下に、このランダム性の高いランダムライトガイドの光学的性質について説明する。
【0014】
図7(a)に示すように、完全に整列した光ファイバーを束にしたライトガイド200においてはほぼ入射角θ と射出角θ は同じとなり、方向はランダムになるため光束断面がドーナツ状になるように広がる。また、入射端面での光量分布は、射出端面でも維持される(図7(b))。但し、光ファイバを束ねた時に光を通すのはコア部分だけなので、クラッドの部分と光ファイバー間の隙間は光量0となる。
【0015】
これに対して、ランダムライトガイドにおいては、図8(a)に示すように、内部にて各光ファイバがランダムにねじれ合っているため、射出角は入射角に対して広がりを持った形で維持され、これは、ランダムライトガイドに角度拡散効果があることを意味する。また、方向もランダムであるためやはり光束断面はドーナツ状となり、光量分布は中心対称になる。また、入射端面での光量分布は射出端面ではほぼ均一と考えることができる。
【0016】
このような光学的性質を持つランダムライトガイド210の入射端面211に、輝度が角度によらず一定値を示す完全拡散面220をおいたような理想的な場合(図9(a))でも、射出側の輝度の角度特性は一定でなく、図9(b)の実線で示す如く最大入射角度に向かって低下している。
【0017】
なお、ここでは、θ (最大入射角度)は光ファイバのコアの屈折率n 、クラッドの屈折率n としたときの以下の式で決まる開口数から求まるものとしている。sinθ =NA =√(n −n
【0018】
従って、必要な照野に応じた角度(必要角度)まで一定の輝度となるような角度特性を得るには、入射側の輝度の角度特性が、図9(b)の実線で示したものに対して相補的な形、即ち図9(b)に点線で示したような角度特性になるようにすればよい。本発明においては、拡散手段を用いて平行光束に角度の広がりを持たせる(輝度の角度特性は図10(a))と共に、ライトガイド入射端に角度をつけて入射させることにより、図9(b)に点線で示した輝度の角度特性に近い図10(b)に示した角度特性とすることができる。よって、射出側では輝度が必要角度までほぼ一定な角度特性(図10(c))とすることができる。
【0019】
即ち、例えば、図6に示すようにレーザ光束を、拡散手段としての拡散板213を介してランダムライトガイド210の入射端面211へ入射させる際、レーザ光束が拡散板211へ入射する方向と直交する平面に対しランダムライトガイド210の入射端面211が角度θだけ傾斜する配置とした場合、射出端面212の光量分布はランダムライトガイドの性質により均一と考えられるため、ランダムライトガイド210射出端には必要角度まで完全拡散面と同等な完全拡散性をもつ2次光源が形成できる。この時、必要角度以上の余分な部分の光量が小さくできるので、光学系全体のエネルギー損失もより低減できる。
【0020】
なお、本発明の照明光学系は、前述したような、入射側からある角度をもって一方向から平行光束を入射すると、射出側での角度は多少拡散されるがほぼ維持されその方向はまったくランダムに分布するというランダムライトガイドの光学的性質が利用されているが、ここで、入射側レーザー光の径をランダムライトガイド入射端面211の径に合わせることにより、効率の高いエネルギー伝送が行える。
【0021】
このようにして形成した2次光源を利用して、コンデンサレンズ214により、照度分布の均一なかつ、照明NAも照野内で一定な所望の照野が形成されることになる。
以上のように、本発明によれば、引き回しの自由度が高く、簡便な構成でありながら、均一な照度分布で、且つ照明NAも照野内で一定な照野が得られることになる。
【0022】
また、本発明の照明光学系は、平行光束が拡散手段に入射する方向と直交す平面に対するライトガイドの入射端面の傾斜角度θが、4°≦θ≦10°を満足するものである。傾斜角度θが4°未満である場合、前記の図9(b)に示したように、傾斜不足で図中実線で示した輝度の角度特性を補うような点線の輝度の角度特性が入射側で得られず、ライトガイドの射出端での輝度の角度特性は、図11(a)のように最大入射角度に向かって急激に低下し、必要角度まで一定の輝度の角度特性は得られない。
【0023】
また、傾斜角度θが10°を越えた場合には、傾斜過剰であり、必要角度までの範囲において輝度が低下してしまう。例えばθを12°とした場合を例に図11(b)に示すが、輝度の角度特性は最大入射角度θ 付近がピークとなり、必要角度範囲内は輝度が非常に低くなっている。従って、上記条件式を満足すれば、ライトガイド射出端において、必要角度まで一定で且つ高い輝度の角度特性が得られる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって説明する。
(実施例1)
まず、本発明の第1実施例として、投影露光装置のISS(イメージスリットセンサ)系アライメント装置に用いられる照明光学系を図1に示す。この露光装置において、エキシマレーザ光源100から出力された露光光は、ビームエキスパンダ101で適当な径の平行光束に調整された後、フライアイインテグレータ113、リレーレンズ114、ミラー115、コンデンサレンズ116からなるメイン照明系を介してレチクル110に入射する。レチクル110を透過した露光光は、投影レンズ109を透過してステージ上のウエハテーブルに載置されたウエハ(不図示)に照射され、レチクル110のパターンがウエハ面上に投影される。
【0025】
本実施例におけるレチクル110の位置座標検出のためのアライメント装置は、露光用のエキシマレーザ光源100を共用する構成とした。また、アライメント時には、光源100側とメイン照明系との間に切り換えミラー102を挿入し、光源からのレーザ光をアライメント装置の照明光学系へ導くものとした。照明光学系は、拡散板104とランダムライトガイド105とコンデンサレンズ106からなる。
【0026】
上記の如き構成において、エキシマレーザ光源100からのレーザ光は、ビームエキスパンダ101を介して切り換えミラー102で反射され、アライメント用照明光学系へ入射する。照明光学系において、ビームエキスパンダ103によって適当なビーム径に調整された平行光束は、拡散板104によって拡散された後ランダムライトガイド105へ入射する。このとき、平行光束の拡散板104への入射方向と直交する平面に対するランダムライトガイド105の入射端面が所定の傾斜角度θとなるように配置されている。ここでは、平行光束は拡散板104面に対して直交方向に入射させ、ランダムライトガイド105の入射端面を拡散板104面に対してθ=約7°傾けて配置した。
【0027】
これによって、ランダムライトガイド105の入射端では図10(a)に示した輝度の角度特性となり、射出端では、図10(c)のように必要角度まで一定の輝度の角度特性をもって射出される。ランダムライトガイド105を射出した照明光は、2次光源となりコンデンサレンズ106、ミラー10を介して均一な照度分布で適当な照野をもってステージの内側からステージ上のウエハ表面位置と同位置(投影レンズ109の結像面)に設置された指標板108のマークSMを照明する。
【0028】
本実施例において、マークSMは透光性スリットであり、このマークを下から照明することによりスリットから照明光が発せられる構成となっている。指標板108と両側テレセントリックの投影レンズ109を挟んで共役な位置にあるレチクル110にレチクルマークRMが設けられているが、このマークも透光性スリットである。
【0029】
ここでは、ステージ上の指標板108に対して投影レンズ109を介してレチクル110が光学的に重なっているとき、マークSMからの光は投影レンズ109を通ってレチクルマークRMを透過し、露光用のメイン照明系を逆行し、切り換えミラー111(アライメント時にのみ光路中へ挿入される)で光路を偏向されて検出光学系へ導かれ、検出器(フォトマル)112で検出されるように設定されている。
【0030】
ステージの移動に伴う、レチクルマークRMとマークSMとの相対的な移動によって、検出器112で検出される光量は変化する(図1(b))。検出光量が最大になるよう、即ち、レチクルマークRMとマークSMとが投影レンズ109を介して重なるよう駆動系を制御してステージを移動させ、検出光量が最大となる位置でのステージ座標を干渉計等によって求めることができる。
【0031】
例えば、図1(c)に示すように、レチクル110上のレチクル中心から予め定められた距離にレチクルマークRMを複数(ここでは3ケ所)設け、各レチクルマークRMについてステージ座標を計測すれば、レチクル中心のステージ換算座標が得られる。なお、投影レンズ109内の光束の広がりを露光時と同様にするため、照明光学系による照明NAは、露光用のメイン照明系のウエハ上に換算したものと同等にすることが精度上望ましい。
【0032】
(実施例2)
次に、本発明の第2実施例として、投影露光装置のRA(レチクルアライメント)系アライメント装置に用いられる照明光学系を図2に示す。この露光光学系は実施例1と同様のものであり、エキシマレーザ光源120から出力された露光光は、ビームエキスパンダ121で適当な径の平行光束に調整された後、フライアイインテグレータ134、リレーレンズ135、ミラー136、コンデンサレンズ137からなるメイン照明系を介してレチクル130に入射する。レチクル130を透過した露光光は、投影レンズ129を透過してステージ上のウエハテーブルに載置されたウエハ(不図示)に照射され、レチクル130のパターンがウエハ面上に投影される。
【0033】
本実施例におけるレチクル130の位置合わせのためのアライメント装置は、露光用のエキシマレーザ光源120を共用する構成とした。また、アライメント時には、光源120側とメイン照明系との間に切り換えミラー122を挿入し、光源からのレーザ光をアライメント装置の照明光学系へ導くものとした。照明光学系は、拡散板124とランダムライトガイド125とコンデンサレンズ126からなる。
【0034】
上記の如き構成において、エキシマレーザ光源130からのレーザ光は、ビームエキスパンダ121を介して切り換えミラー122で反射され、アライメント用照明光学系へ入射する。照明光学系において、ビームエキスパンダ123によって適当なビーム径に調整された平行光束は、拡散板124によって拡散された後ランダムライトガイド125へ入射する。このとき、平行光束の拡散板124への入射方向と直交する平面に対するランダムライトガイド125の入射端面が所定の傾斜角度θとなるように配置されている。ここでは、平行光束は拡散板124面に対して直交方向に入射させ、ランダムライトガイド125の入射端面を拡散板124面に対してθ=約7°傾けて配置した。
【0035】
これによって、ランダムライトガイド125の入射端では図10(a)に示した輝度の角度特性となり、射出端では、図10(c)のように必要角度まで一定の輝度の角度特性をもって射出される。ランダムライトガイド125を射出した照明光は、2次光源となりコンデンサレンズ126、ミラー12を介して均一な照度分布で適当な照野をもってステージの内側からステージ上のウエハ表面位置と同位置(投影レンズ129の結像面)に設置された指標板128を照明する。
【0036】
指標板128には透光性マークSMが形成されており、このマークSMを下から照明することによりここから照明光が発せられる構成となっている。指標板128と両側テレセントリックの投影レンズ129を挟んで共役な位置にあるレチクル130には、図2(b)に示すような十字状の透光性レチクルマークRMが設けられている。
【0037】
ステージ上の指標板128に対してレチクル130が所定の位置にあるとき、マークSMからの光は投影レンズ139を通ってレチクルマークRMを透過した後、45°ミラー131で光路を偏向され、対物レンズ132を介してCCDカメラ133へ入射し、ここでレチクルマークRMの画像検出が行われる。この画像検出結果に基づいて、対物レンズ132の光軸中心にレチクルマークRM中心が来るようにアライメントすることができる。
【0038】
また、例えば、図2(c)に示すように、本露光装置に用いる各レチクルについて、レチクル中心に対するレチクルマークを規格化しておけば、レチクルが交換されても、常にレチクル中心が同じ位置に来るようをレチクル位置を再現できる。なお、レチクルマークRMの像がCCDカメラ133の受光面上に結像する際に良好な像強度分布を形成するためには、照明系による照明NAが適当量必要である。
【0039】
上記第1及び第2実施例の照明光学系では、平行光束は拡散板面に対して直交方向に入射させ、ランダムライトガイドの入射端面を拡散板面に対して所定角度θ傾けて配置したが、平行光束の拡散板への入射方向と直交する平面に対するランダムライトガイドの入射端面を所定の傾斜角度θとする他の方法を用いた照明光学系の変形例を図3に示す。
【0040】
これは、拡散板142面に対してランダムライトガイド143の入射端面144を平行に配置し、光源から送光された平行光束をケプラー型リレーレンズ系141を介し、拡散板142面に直交する方向に対して所定角度傾斜させて入射させるものである。ここでは、ケプラー型リレーレンズ系141の光源側のレンズを拡散板142側レンズに対して偏心させることによって、ケプラー型リレーレンズ系141からの光束の射出方向を該リレーレンズ系への入射方向に対して傾斜させる構成としている。
【0041】
従って、ランダムライトガイド143の射出端145において、照明光は図10(c)に示すような輝度の角度特性を持ち、コンデンサレンズ146を通って、均一な照度分布を持つ適当な照野を形成する。
【0042】
また、図4に照明光学系の他の変形例を示す。これは、図4と同様に拡散板152面に対してランダムライトガイド153の入射端面154を平行に配置したものであるが、図4の光源側の偏心レンズの代わりにフライアイレンズ150(4個構成)を用いて、レンズ151からの光束の射出方向をフライアイレンズ150への入射方向に対して傾斜させる、即ち拡散板154への入射方向を拡散板154と直交する方向に対して傾斜させた光学系である。この照明光学系は、ランダムライトガイド154入射端面154での光量ムラを均一化させる効果があるため、入射するレーザー光の照度ムラに対してより強い系といえる。
【0043】
なお、以上のような照明光学系にて形成された照野においては、拡散板の拡散効果およびランダムライトガイドによる角度の拡散効果、さらにランダムライトガイドの光ファイバ配列がランダムなことによる入射側の位置関係が保存されない、ことの相乗効果にてスペックルや干渉縞といった問題は、特にコヒーレンシーのあまりよくないエキシマレーザーなどでは問題にならないことが見出された。
【0044】
次に、参考として主にランダムライトガイド163の角度拡散効果のみから所望の照野を得ようとした照明光学系を図5に示す。ここでは入射側にフライアイレンズ161を一つの拡散手段として用いているが、上記の実施例のように拡散板による角度特性の広がりがないため、図10(c)に示すような必要角度までの一定な輝度の角度特性は得られず、照野の照明ムラに関して多少劣る。このような照明光学系は、一定な輝度の角度特性の必要ない場合に用いることができる。この場合、フライアイレンズ161系は単なるリレーレンズ系でもよい。
【0045】
なお、上記実施例では、拡散手段として拡散板を用いたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば位相型グレーティングやディフュザー等、拡散効果を有するものであれば使用可能である。また、上記実施例では、投影露光装置のアライメント装置用の照明光学系について説明したが、本発明による照明光学系は、それ以外の光学系、特に、エキシマレーザのような照明NA、角度のない光源を用いた送光自由度の必要な光学系などに使用できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、エキシマレーザーのような指向性の高い平行光束であるレーザ光源を用いた場合でも、送光自由度が高く、簡便な構成でありながら照度ムラがなく、且つ照明NAも照野内で一定な照野が得られるという効果がある。
【0047】
また、平行光束が拡散手段を入射する方向と直交する平面に対するライトガイドの入射端面の傾斜角度θを特定の範囲内に設定することによって、常に、ライトガイド射出端に必要角度まで一定の輝度を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による照明光学系をアライメント光学系に用いたISS系投影露光装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施例による照明光学系をアライメント光学系に用いたRA系投影露光装置の概略構成図である。
【図3】実施例1、2に示した照明光学系の変形例を示す概略構成図である。
【図4】実施例1、2に示した照明光学系の他の変形例を示す概略構成図である。
【図5】本発明の一部を応用した照明光学系の概略構成図である。
【図6】本発明の作用の説明に用いた照明光学系の概略構成図である。
【図7】ライトガイド(整列した光ファイバの束からなる)の光学特性を示す説明図で、(a)光路図、(b)はライトガイド射出光の輝度の角度特性を示す線図である。
【図8】ランダムライトガイドの光学特性を示す説明図で、(a)光路図、(b)はライトガイド射出光の輝度の角度特性を示す線図である。
【図9】ランダムライトガイドの入射面を完全拡散面とした場合の光学特性を示す説明図で、(a)は光路図、(b)はライトガイド射出光の輝度の角度特性を示す線図である。
【図10】本発明の作用を説明するための線図である。
【図11】本発明の作用を説明するための線図で、(a)は傾斜角度θが4°未満の場合のライトガイド射出光の輝度の角度特性、(b)傾斜角度θが12°の場合のライトガイド射出光の輝度の角度特性を示すものである。
【図12】従来技術による照明光学系を示す概略構成図である。
【図13】従来技術の照明光学系にエキシマレーザ光源を用いた場合の概略構成図である。
【図14】フライアイレンズを用いた照明光学系を示す概略構成図である。
【図15】拡散板を用いた照明光学系を示す概略構成図である。
【符号の説明】
100,120:エキシマレーザ光源
101,103,121,123:ビームエキスパンダ
102,111,122:切り換えミラー
104,124,142,152,213:拡散板
105,125,143,153,163,210:ランダムライトガイド
106,126,146,156,166,214:コンデンサレンズ
107,127:ミラー
108,128:指標板
109,129:投影レンズ
110,130:レチクル
112:検出器
132:対物レンズ
133:CCDカメラ
220:完全拡散面
SM:(指標板)マーク
RM:レチクルマーク

Claims (9)

  1. 平行光束を供給する平行光束供給手段と、該平行光束供給手段からの平行光束を被照明物体側へ導くライトガイドを有する照明光学系において、
    前記平行光束供給手段と前記ライトガイドの入射端との間に、前記平行光束を拡散させる拡散手段を設け、前記平行光束が前記拡散手段に入射する方向と直交する平面に対する前記ライトガイドの入射端面の傾斜角度をθとしたとき、以下の範囲を満足することを特徴とする照明光学系。
    4°≦θ≦10°
  2. 前記ライトガイドはランダムライトガイドを備えることを特徴とする請求項1に記載の照明光学系。
  3. 前記ライトガイドの射出端には2次光源が形成され、
    該2次光源からの光を照野へ導くためのコンデンサ手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明光学系。
  4. 前記拡散手段は、拡散板、位相型グレーティング、またはディフューザーを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の照明光学系。
  5. 前記平行光束供給手段は、レーザ光源を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の照明光学系。
  6. 投影露光装置に用いられるアライメント光学系において、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の照明光学系を備え、
    該照明光学系を用いてアライメントマークを照明することを特徴とするアライメント光学系。
  7. 露光用光源からの露光光に基づいてレチクルを照明するメイン照明系と、前記レチクルからの露光光をウエハに照射する投影系とを備える投影露光装置において、
    アライメントマークを照明するために請求項1〜5の何れか一項に記載の照明光学系を備えることを特徴とする投影露光装置。
  8. 前記露光用光源は前記平行光束供給手段と共用されることを特徴とする請求項7に記載の投影露光装置。
  9. アライメント時に前記露光用光源からの光を前記照明光学系へ導くための切り換え手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の投影露光装置。
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