JP3583046B2 - 乗客コンベア - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人を乗せて移動する乗客コンベアに係り、特に建築構造体や土木構造体など（以下、特に記載しない限り「構造体」という）に設置されるエスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の乗客コンベアとしては、例えば特開昭６１−７５４８３ 号公報に開示されたものが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術においては、地震発生時に、本体枠の両端に形成した受枠が構造体側の支持台から外れるのをある程度、防止することは可能であるが、地震動などの後で乗客コンベアを速やかに原状に復するという思想はなかった。
【０００４】
本発明の目的は、地震時構造体と乗客コンベアが変位しても、地震後に、速やかに復旧することができる乗客コンベアを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、乗客コンベアの本体枠の上側端部を離間する構造体の一方に固定すると共に、本体枠の下部水平部を構造体の他方に対して相対移動できるように回転体を介して支持させたのである。
【０００６】
上記構成によれば、本体枠の下側を構造体の他方に対して相対移動できるように支持させたので、大地震などにより離間する構造体間に大きなずれ、例えば一方が上層階で他方が下層階である場合には、層間変位角が発生しても本体枠の長手方向に対して大きな圧縮力や引張力が加わらず、本体枠を圧縮変形させたり、引張破断させたりすることがない。
【０００７】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る乗客コンベアの一実施の形態を図１〜図２に基づいて説明する。
【０００８】
乗客コンベアの一種であるエスカレーター１は、一方の側の乗降口となり下階床Ｆ１に連なる下部乗降床２と、例えば階段Ｆ２に沿って他方の側の乗降口となり上階床Ｆ３に連なる上部乗降床３との間で無端状に連結されて移動する複数の踏板４（動く歩道の場合は踏板と称する）と、この踏板４とともに同期移動するハンドレール５と、このハンドレール５の走行路を形成する欄干６（踏段４の両側に立設される）と、これら前記踏段４，ハンドレール５及び欄干６などの構造部品を支持する本体枠７とを備え、これが上階床Ｆ３の建築構造体８と下階床
Ｆ１の土木構築体９との間に設置される。
【０００９】
ここで、本体枠７の上側の端部７ａを建築構造体８に溶接接合などにより移動不可能で、かつ離脱不可能に固着，支持させている。また、本体枠７は、下側が土木構造体９にＵ字溝状に構築されたピット１０内に収納され、かつ本体枠７の下部水平部７ｂを、ピット１０に対し低摩擦部材である回転体１１を介して相対移動できるように支持している。即ち、本体枠７の長手方向の移動（地震動などの層間変位角の発生による）によるピット底面１０Ａとの位置ずれに対して、本体枠７に固定された複数の回転体１１の回転移動により追随可能に支持させている。そして、回転体１１の回転による移動量（層間変位角による移動の最大値相当）に見合った寸法の隙間ｇが本体枠７と土木構造体９との間に形成されている。
【００１０】
また、本体枠７の下部水平部７ｂには、上記回転体１１を構成する支持体１１Ａと、この支持体１１Ａにピン１１Ｂで軸支される回転ローラ１１Ｃがボルト１１Ｄで本体枠７に固定的に設けられ、この回転体１１を介して上記本体枠７などの構造部品が、ピット底面１０Ａ上の支持台１０Ｂの上で移動可能に支持される構成となっている。
【００１１】
そして、この回転体１１により、本体枠７の下部側の荷重を負担するとともに、地震動などで発生する本体枠７の移動（図１に符号Ｐで示すピット１０との長手方向の位置ずれ）が自在となって追随し、建築構造体８または土木構造体９の上部側と下部側に大きな層間変位角が発生しても本体枠７の長手方向に対して大きな圧縮力や引張力が作用せず、本体枠７を圧縮変形させたり、引張破断させることがなくなり、全体の耐震性を高めることになる。したがって、地震後は速やかに復旧することができる。
【００１２】
次に、上記回転体１１は、上記実施形態の目的のものに限定されず、下記に説明するように設置工事に際しても活用される。
【００１３】
図３は、土木構造体９に設置される以前の状態を示したエスカレーター１の下部側約半分を示すもので、下部側の本体枠７に対して回転体１１が図１および図２と同じく固定的に取付けられ、図３の状態で設置工事中に下階床Ｆ１上を運搬されるものである。そして、図３のように運搬された後に本体枠７などの組立ユニット品をピット１０の中に収納，設置する構造として、運搬作業の効率化を図り、設置工事費低減の一要素とするものである。
【００１４】
一方、上記図３の考え方をエスカレーター１の上部側のみ約半分に適用した例を図１を解体した状態の側面図である図４に示す。この場合も上記下部側約半分（図３）と同様に本体枠７に固定的に設けられた回転体１１を活用して上階床
Ｆ３上を運搬した後で、回転体１１を取外してから図１の状態で設置するものである。
【００１５】
以上説明した実施の形態によれば、エスカレーター１の耐震性が向上する一方、設置工事費の低減にも寄与できる。なお、上記実施形態においては、エスカレーター１に適用する場合について説明したが、これに限らず、動く歩道など他の乗客コンベアにも適用できることは勿論である。
【００１６】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、地震後に速やかに復旧でき、耐震性に優れた乗客コンベアを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の乗客コンベアの一部破断側面図。
【図２】図１のＩ−Ｉ線に沿う断面図。
【図３】図１の要部拡大図相当の下部側面図。
【図４】図１の要部拡大図相当の上部側面図。
【符号の説明】
１…エスカレーター、２，３…乗降床、７…本体枠、７ａ…上側端部、７ｂ…下部水平部、８…建築構造体、９…土木構造体、１１…回転体、１１Ｃ…回転ローラ。

Claims (1)

1. 一方の乗降床と他方の乗降床との間で無端状に連結されて移動する踏段と、この踏段と同期移動するハンドレールと、このハンドレールの走行路を形成する欄干と、これらを支持し離間する構造体に跨って設置される本体枠とを備えた乗客コンベアにおいて、前記本体枠の上側端部を前記構造体の一方に固着支持し、前記本体枠の下部水平部を前記構造体の他方に回転体を介して支持させ、前記回転体は、前記本体枠の輸送に供される輸送具であることを特徴とする乗客コンベア。

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