JP3583030B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機外の水を機内の槽の内部に供給するポンプを、機内に具えた洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、洗濯機においては、浴槽内の風呂水など機外の水を機内の槽の内部に供給するポンプを、機内に具えたものが供されている。このものは、その機内に具えたポンプにより、機外の水を吸水ホースを介して吸入し、そして機内の槽の内部に供給するようになっている。
【0003】
又、ポンプ自体は、図17に示すように、羽根1aを偶数枚有する羽根車1を、2つのボリュート2,3で囲繞し、その羽根車1に最も近接する両ボリュート2,3の基端部2a,3aが羽根車1の中心部1oを挟んで対称に位置する構成となっている。
【0004】
なお、図17には、そのほか、一方のボリュート2の先端部2bと他方のボリュート3の基端部3aとで形成した出水口4、及び他方のボリュート3の先端部3bと一方のボリュート2の基端部2aとで形成した出水口5、ポンプ全体の外殻を成すケース6、ケース6内の吐出室7、吐出室7中に形成した吸込路8、吐出口9、呼び水吸込口10等をも示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のものの場合、ポンプ作動時には、まず、呼び水吸込口10から吐出室7内に呼び水が供給され、この状態で、羽根車1が図示しないモータにより矢印Aで示すように回転駆動されることによって、機外の水が図示しない吸水ホースから吸込路8を介してボリュート2,3内に吸入され、そして、出水口4,5から吐出室7及び吐出口9を順に通してケース6外に吐出され、機内の図示しない槽の内部へと給水されるようになっている。このとき、発生する振動が大きく、騒音も大きくなっていた。
【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、主として、機内に具えたポンプで機外の水を機内の槽の内部に供給するときの振動、騒音の発生を少なくし得る洗濯機を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機においては、第1に、羽根車を2つのボリュートで囲繞し、その羽根車に最も近接する両ボリュートの基端部が羽根車の中心部を挟んで対称に位置するポンプを、機内に具え、このポンプにより機外の水を吸水ホースを介し吸入して機内の槽の内部に供給するようにしたものにおいて、そのポンプの一方のボリュートの基端部に、羽根車の回転方向に凹となる欠除部を形成したことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0008】
従来のもので、ポンプ作動時に、振動、騒音が大きくなる原因を探ったところ、下記のことが判明した。
羽根車1が回転するとき、ボリュート2,3の出口4,5の部分では、ボリュート2,3の各基端部2a,3aの部分にそれぞれ羽根1aが向かう段階で、圧力が高まり、すなわち昇圧する。これに対して、ボリュート2,3の各基端部2a,3aの部分にそれぞれ羽根1aが達した段階では、出口4,5からそれぞれ水が吐出されることにより、高まった圧力が低まり、すなわち減圧する。
【0009】
このように、ボリュート2,3の出口4,5の部分では、昇圧、減圧がそれぞれ繰返されるもので、この場合、羽根1aを偶数枚有する羽根車1に対し、ボリュート2,3の各基端部2a,3aが羽根車1の中心部1oを挟んで対称に位置するため、ボリュート2,3の出口4,5の部分では、昇圧、減圧が両方で同時に起こり、すなわち、昇圧、減圧のサイクルが両方で合致し、このため、ポンプの振動のエネルギーが大きくなって、洗濯機への振動の伝播が大きくなり、騒音も大きくなっていたのである。
【0010】
これに対して、上述のように、ポンプの一方のボリュートの基端部に、羽根車の回転方向に凹となる欠除部を形成したものでは、両ボリュートの出口の部分で起こる昇圧、減圧の時期がずれ、すなわち、昇圧、減圧のサイクルが両方で合致しなくなり、これによって、圧力が分散され、ポンプの振動のエネルギーが小さくなって、洗濯機への振動の伝播が小さくなり、騒音も小さくなる。
【0014】
この場合、ポンプの羽根車の吸込み側の側板に吸水口とは別の吸水用開口部を形成すると良い(請求項の発明)。
このものでは、形成した吸水用開口部からも水が吸入され、その分、ポンプの吐出量が増えることにより、ポンプが吸水ホースの内部に残っている空気を排出して水を吸い上げるようになるまでの時間を短縮できると共に、吐出圧力が小さくなることによって、振動、騒音も更に低減される。
【0015】
又、上記吸水用開口部は、孔で、ポンプの羽根車の羽根の各間に位置させて形成すると良い(請求項の発明)。
このものでは、吸水口をポンプの羽根車の吸込み側の側板に形成することが、容易にできるようになる。
【0016】
更に、ポンプの羽根車の吸水口周囲のリブに、1個又は複数個の欠除部を形成するのも良い(請求項の発明)。
このものでは、ポンプの羽根車の吸水口周囲のリブに、機外から吸入された水が均等に接することが避けられ、羽根車を回転駆動するモータにかかる負荷の変動が緩和される。しかも、この場合、吸入された空気が、リブの欠除部により細かい泡となることもあり、振動が小さくされる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施例につき、図1ないし図6を参照して説明する。
まず図4には、洗濯機、中でもいわゆる全自動タイプの脱水兼用洗濯機の全体構成を示しており、外箱21内に、槽の1つである外槽22を収容して、複数組あるうちの一部のみ図示した弾性吊持機構23により支持している。
外槽22内には、槽の他の1つである内槽24を配設しており、この内槽24は洗濯槽であり、且つ脱水槽でもあるもので、例えば最上部に脱水孔25を周囲一列状に有しており、内部の最下部に撹拌体26を配設している。
【0020】
外槽22の外下部には中央部に駆動装置27を配設しており、この駆動装置27は、この場合、モータ28単体から成っている。このモータ28は、例えばアウターロータ形であり、そのロータ28aに洗濯軸29を取付けている。洗濯軸29は中空の脱水軸30の内部に挿通しており、この脱水軸30に対するロータ28aの回転動力の伝達、解離を行うクラッチ(図示せず)を、モータ28の内部に配設している。
【0021】
更に、洗濯軸29には前記撹拌体26を取付けており、脱水軸30には内槽24を取付けているもので、これらにより、その撹拌体26及び内槽24の選択的回転駆動をモータ28により直接的に行い、洗い、すすぎ、脱水を行うようにしている。
このほか、外槽22の外下方部には、排水弁31や排水ホース32等をも配設している。又、内槽24の内周部には、多孔状(詳しく図示せず)の内バスケット33を設けており、内槽24の最上部の内周には、例えば液体封入構造の回転バランサ34を取付けている。
【0022】
そして、外箱21の最上部には、トップカバー35を装着している。このトップカバー35は、図5に示す洗濯物出入口36を有するもので、それを例えば2つ折りタイプの蓋37(図4参照)により開閉するようにしている。洗濯機の機内である、このトップカバー35内の前部には、操作パネルやマイクロコンピュータ等の制御装置(いずれも図示せず)を設けており、後部(洗濯機の機後部)に、ポンプ38と、給水ケース39、及び図5に示す給水弁40を設けている。
【0023】
ここで、図3はポンプ38の構成を詳細に示しており、このポンプ38の外殻を成すポンプケース41は、上下の縦方向に、モータ側ケース42と、反モータ側ケース43とに分けて、それぞれ例えばプラスチックの型成形により形成し、それらをパッキン44を介して合わせ、図1に示す孔45に挿通した複数のねじ(図示せず)によって水密に締付けている。
【0024】
上記両ケース42,43のうち、上部のモータ側ケース42には、左側部にモータ室46を内部の隔壁47により隔離して形成しており、このモータ室46は、縦向きの筒状で、上端部が開放している。しかして、このモータ室46には、その上端の開放部からモータ48を収納しており、この場合、モータ48は、回転軸49が縦(下向き)となる縦軸状態に収納している。更に、モータ48は上端部の外側部に接続端子50を有しており、これを、モータ室46の上端部の外側部から外方に導出させている。
【0025】
一方、モータ室46の底部には、中空のモータ支え部51を形成しており、このモータ支え部51によってモータ48の軸受ハウジング部52を支持している。又、モータ支え部51には、周囲に複数の孔53を形成しており、内部の中心部にモータ48の前記回転軸49を位置させている。
【0026】
このモータ48の回転軸49には羽根車54を取付けており、この羽根車54は、取付ボス54aを有する円形の主板54bと、これと対向する円環状の側板54cとの間に、羽根54dを偶数枚均等間隔で有するものである。又、この羽根車54の側板54cの中央部は吸水口54eとなっており、この吸水口54eの周囲部に、リブ54fを下方へ突出させて円筒状に形成している。
【0027】
上記羽根車54とモータ支え部51内、ひいてはモータ室46との間は、シール55によって水密に封鎖しており、又、羽根車54が位置する部分の周囲に位置してモータ側ケース42には、2つのボリュート56,57を形成している。ここで、図1は上記ボリュート56,57を詳細に示しており、すなわち、この両ボリュート56,57は、その2つで羽根車54を囲繞しており、1つ1つは、基端部56a,57aが羽根車54に最も近接して、先端部56b,57bに向かうほど羽根車54から離間しつつ前記モータ48による該羽根車54の回転方向(矢印B方向)に延びるうず壁となっており、その各基端部56a,57aは、羽根車54の中心部54oを挟んで対称に位置している。
【0028】
そして、それらのうち、一方、この場合、図中下方のボリュート56の基端部56aには、羽根車54の回転方向に凹となる欠除部58を形成している。図2は、この欠除部58を詳細に示しており、すなわち、欠除部58は、羽根車54の羽根54dの外側部のピッチLより短く、例えばそのピッチLのほゞ1/2の長さ範囲(L/2)だけ、羽根車54の回転方向に凹となる矩形の切欠き状に形成している。
【0029】
又、この場合、欠除部58はボリュート56の基端部56aの角部に形成しているが、それよりモータ側ケース42寄り(図2中下側)の中間部や根元部に形成しても良い。更に、この欠除部58は、矩形以外の形状に形成しても良く、特に三角形に形成する場合には、斜辺部の長さが、羽根54dのピッチLの長さ範囲となるようにしても良い。このほか、欠除部58は、ボリュート56の基端部56aに形成するのに代えて、ボリュート57の基端部57aに形成するようにしても良い。
【0030】
なお、図1には、そのほか、ボリュート56の先端部56bとボリュート57の基端部57aとで形成した出水口59、及びボリュート57の先端部57bとボリュート56の基端部56aとで形成した出水口60をも示している。
【0031】
又、図3に示すように、前記モータ室46の下部の外側部には、モータ側ケース42外(ポンプケース41外)に通じる水抜口61を形成している。加えて、モータ側ケース42には、右側部の上壁部のほゞ中央に吸込口62を、筒部63により上方へ突出させて形成しており、この吸込口62にはストレーナ64を内装している。又、吸込口62より下方、すなわちモータ側ケース42内には、管部65により延長させて吸込路66を形成している。
【0032】
そして、モータ側ケース42内の前記モータ室46と吸込路66とを除く残りスペース部分は、気水分離室を兼ねる吐出室67として機能させるようにしており、従って、吸込路66はこの吐出室67の内部に位置している。更に、吐出室67に連通して、モータ側ケース42の右側部の側壁上部の前後部には、吐出口68と、呼び水吸込口69とを、それぞれ筒部70,71により外側方に突出させて形成している。
【0033】
これらに対して、反モータ側ケース43には、これの内部を上下に仕切る仕切板72を内装しており、これによって、反モータ側ケース43内の下部に吸込室73を形成し、この吸込室73と前記モータ側ケース42の吐出室67とを仕切板72により仕切るようにしている。又、この仕切板72には2つの通水口74,75を形成しており、そのうちの通水口74を前記羽根車54に臨ませて、上面をボリュート56,57の各下端部に当接させている。更に、仕切板72の通水口74の周囲部には、リブ76を下方へ突出させて円筒状に形成し、このリブ76の下端部内周に口枠77を形成している。
【0034】
仕切板72の残る通水口75は、前記吸込路66の下端の開口部にパッキン78を介して水密に結合しており、更に、その通水口75と吸込路66との連通部分に対しては、逆止弁79を有する逆止弁ユニット80を吸込室73内に設けている。この逆止弁ユニット80の逆止弁79は、常時は吸込室73と吸込路66との間を実線で示すように閉塞する例えば弾性材から成るもので、吸込室73が負圧となったときに、二点鎖線で示すように吸込室73内側に離間してそれらの間を開放するようになっている。
【0035】
この構成で、吐出口68は、図5に示すように、前記給水ケース39の上部に形成した水受口81との間を接続パイプ82により接続しており、給水ケース39は、それより前方に延出形成した給水口83を前記内槽24内に臨ませている。又、呼び水吸込口69には、前記給水弁40の2つある出口部の一つを、呼び水供給パイプ84により接続しており、給水弁40の他の出口部は給水ケース39内に側方より臨ませている。
【0036】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
まず、ポンプ38の吸込口62に、風呂の浴槽内など機外水源に連通させた吸水ホース(図示せず)を接続し、この状態で、ポンプ給水行程を開始させる。すると、最初に、給水弁40が開放されることにより、この給水弁40から呼び水供給パイプ84を通じてポンプ38の吐出室67に呼び水が供給される。このポンプ38の吐出室67に供給された呼び水は、ボリュート56,57の出口部59,60を通ってボリュート56,57内に至り、このボリュート56,57内から更に吸込室73内に至って、このとき、逆止弁79により吸込室73と吸込路66との間が閉塞されていることにより、吸込室73内、ボリュート56,57内、及び吐出室67内を満たす。
【0037】
次いで、モータ48が起動されることにより、羽根車54が回転駆動され、ボリュート56,57内及び吸込室73内の水がボリュート56,57の出口部59,60から吐出室67内に吐出されることによって、吸込室73が負圧となる。よって、逆止弁79が図3に二点鎖線で示すように吸込室73と吸込路66との間を開き、前記風呂の浴槽内など機外水源の水が吸水ホース及び吸込口62を通じて吸込路66内及び吸込室73内に流入する。そして、この流入した水が、羽根車54により吐出室67内に吐出され、吐出口68から接続パイプ82、給水ケース39を順に通じて内槽24内に供給される。
【0038】
このように本構成のものでは、機内に配設したポンプ38により、機外の水を吸水ホースを介し吸入して内槽24内に供給し得るもので、そのとき、ボリュート56,57の出口59,60の部分では、回転する羽根車54の羽根54dがそれぞれボリュート56,57の各基端部56a,57aの部分に向かう段階で、圧力が高まり、すなわち昇圧する。これに対して、羽根54dが、それぞれボリュート56,57の各基端部56a,57aの部分に達した段階では、出口59,60からそれぞれ水が吐出されることにより、高まった圧力が低まり、すなわち減圧する。
【0039】
このように、ボリュート56,57の出口59,60の部分では、昇圧、減圧がそれぞれ繰返されるもので、それに対し、本構成のものでは、羽根車54の回転方向に凹となる欠除部58を形成しており、これによって、ボリュート56,57の出口59,60の部分で起こる昇圧、減圧の時期がずれる。すなわち、出口59の部分で昇圧が起こるとき、出口60の部分では、水がボリュート56の欠除部58から吐出されることにより、減圧が起こり、出口59の部分で減圧が起こるとき、出口60の部分では、羽根車54の羽根54dがボリュート56の欠除部58に続く非欠除部分に向かうことにより、昇圧が起こる。
【0040】
かくして、本構成のものの場合、ボリュート56,57の出口59,60の部分で起こる昇圧、減圧のサイクルが両方で合致しなくなり、これによって、圧力が分散され、ポンプ38の振動のエネルギーが小さくなって、洗濯機への振動の伝播が小さくなるから、洗濯機の振動が少なくなり、騒音も小さくなる。
【0041】
図6はこのことを発明者の実験に基づいて表しており、この場合、従来のものと本発明のものとで、洗濯機は同じとし、ポンプのみ、ボリュート2,3のいずれにも欠除部のないものと、ボリュート56,57のうち、一方のボリュート56に欠除部58のあるものとで違えて、ポンプを作動させたときの洗濯機の騒音値を測定したものである。
【0042】
結果は、ポンプが吸水ホースに残っている空気を吸い出して水を吸い上げるようになる自吸時の騒音値が、従来のものの約42〔dB〕に対し、本発明のものは約39〔dB〕であり、ポンプが吸水ホースに残っている空気と水とを混合状態で吸い上げる半自吸時の騒音値が、従来のものの約55.5〔dB〕に対し、本発明のものは約45.5〔dB〕であり、そして、ポンプが吸水ホース及びポンプに残っている空気を排出し切って水を吸い上げる揚水時の騒音値が、従来のものの約43.5〔dB〕に対し、本発明のものは約40〔dB〕であった。
【0043】
すなわち、本発明によれば、自吸時から半自吸時及び揚水時までの全体の騒音値を従来のものより低減し得、特に、圧力変動の大きな半自吸時の騒音値を自吸時及び揚水時の騒音値に近づけ得て、耳障り音をなくし得たのである。
加えて、本構成のものの場合、ポンプ38を洗濯機の機後部に配設している。これにより、ポンプ38が作動するときの振動が、洗濯機の前に立つ使用者に感じられることが少なくなり、騒音が聞こえることも少なくし得る。
【0044】
以上に対して、図7ないし図16は、第1ないし第5参考例と、本発明の第2ないし第実施例を示すもので、それぞれ、第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。
【0045】
[第1参考例]
図7に示す第1参考例においては、ポンプ38のボリュート56,57のうち、一方、この場合、ボリュート56の基端部56cを、前述の基端部56aの欠除部58だけでなくそれより更に根元側(図2中下側)の部分も全部ないものとして、これが、他方、この場合、ボリュート57の基端部57aに対し、羽根車54の中心部54oを挟んで非対称に位置するようにしている。
このようにしたものでも、ボリュート56,57の出口59,60の部分で起こる昇圧、減圧の時期がずれ、すなわち、昇圧、減圧のサイクルが両方で合致しなくなるから、第1実施例同様に振動、騒音の発生を少なくすることができる。
【0046】
[第2参考例]
図8に示す第2参考例においては、モータ側ケース42に、前述のボリュート56,57に代えて、羽根車54より高さの低いボリュート91,92を形成しており、すなわち、ボリュート91,92の高さを、羽根車54の高さより低くしている。
【0047】
このものでは、ボリュート56,57の出口59,60の部分で起こる昇圧、減圧の時期が合致するものの、両ボリュート56,57の高さが羽根車54の高さより低い分、両ボリュート56,57の内方から水が抜け気味となって、圧力が全体として低減されるため、ポンプ38の振動のエネルギーも全体として小さくなり、洗濯機への振動の伝播が小さくなって、振動、騒音を小さくすることができる。
【0048】
[第3参考例]
図9に示す第3参考例においては、ポンプ38の羽根車54の羽根54dの枚数を奇数としている。
このものでも、ボリュート56,57の出口59,60の部分で起こる昇圧、減圧の時期がずれ、すなわち、昇圧、減圧のサイクルが両方で合致しなくなるから、第1実施例同様に振動、騒音の発生を少なくすることができる。
【0049】
[第実施例]
図10及び図11に示す第実施例においては、ポンプ38の羽根車54の吸込み側の側板54cに、吸水口54eとは別の吸水用開口部101を形成している。この吸水用開口部101は、詳細には、例えば、側板54cを、中心側の内側側板54c1 と、内径がこの内側側板54c1 の外径より大きな外側側板54c2 の2つに分けて設けることにより、それら内側側板54c1 と外側側板54c2 との間に円環状に形成したものである。
【0050】
このものでは、形成した吸水用開口部101からも水が吸入され、その分、ポンプの吐出量が増えることにより、前述のポンプが吸水ホースに残っている空気を吸い出して水を吸い上げるようになる自吸時間を短縮できると共に、吐出圧力が小さくなることによって、振動、騒音を更に低減することができる。
【0051】
[第実施例]
図12に示す第実施例においては、ポンプ38の羽根車54の側板54cに、上述の吸水用開口部101に代えて、吸水用開口部111を、孔で、羽根車54の羽根54dの各間に位置させて形成している。
このものでは、吸水用開口部111を、羽根車54の側板54cを上述のような2つに分けることなく形成できるから、その吸水用開口部111の形成が容易にできて、コストの上昇を少なく抑えることができる。
【0052】
[第実施例]
図13及び図14に示す第実施例においては、ポンプ38の羽根車54の吸水口54e周囲のリブ54fに、三角形状を成す欠除部121を複数個、例えば3個形成している。
【0053】
このものでは、欠除部121によって、羽根車54のリブ54fに、機外から吸入された水が均等に接することが避けられるようになり、羽根車54を回転駆動するモータ48にかかる負荷の変動が緩和される。しかも、この場合、吸入された空気は、リブ54fの欠除部121により細かい泡となることもあって、振動が小さくなり、騒音も小さくできる。
なお、この場合、欠除部121は三角形以外の形状、例えば四角形であっても良く、又、その個数も、3個未満、例えば1個でも良く、反対に3個を超える数であっても良い。
【0054】
[第4参考施例]
図15に示す第4参考例においては、ポンプ38の羽根車54に臨む通水口74を有する仕切板72に、その通水口74の周囲に部分的に位置させてリブ131及び口枠132を形成している。この場合、リブ131及び口枠132は、詳細には、通水口74の周囲の中でも特に吸水路66側とは反対の側に形成しており、更に、吸水路66側に180°以内、好ましくは45〜180°の開口を生じさせるように、それとは反対の側に180〜315°の範囲で形成している。
【0055】
このものでは、羽根車54に吸入される機外の水がリブ131に邪魔されにくくなって、羽根車54に吸入されやすくなり、その分、振動、騒音の一層の低減ができる。
なお、この場合、リブ131には口枠132を形成していなくても良い。
【0056】
[第5参考例]
図16に示す第5参考例においては、上述の仕切板72を、通水口74の周囲にリブ及び口枠を全く有しないものとしている。
このものでは、羽根車54に吸入される機外の水が仕切板72の通水口74周囲で全く邪魔されなくなって、羽根車54に一層吸入されやすくなり、その分、振動、騒音の更に一層の低減ができる。
【0057】
なお、上記第ないし第実施例と、第4、第5参考例の構造は、それらをそれぞれ単独でなく、適宜組合わせて実施するようにしても良い
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0058】
【発明の効果】
本発明は以上説明したとおりのもので、下記の効果を奏する。
請求項1の洗濯機によれば、ポンプの2つあるボリュートのうちの一方のボリュートの基端部に、羽根車の回転方向に凹となる欠除部を形成したことによって、両ボリュートの出口の部分で起こる昇圧、減圧のサイクルが両方で合致しなくなり、ポンプの振動のエネルギーが小さくなって、洗濯機への振動の伝播が小さくなるから、振動、騒音を小さくでき、特にポンプの自吸時から半自吸時及び揚水時までの全体の騒音値を従来のものより低減し得るばかりでなく、圧力変動の大きな半自吸時の騒音値を自吸時及び揚水時の騒音値に近づけ得て、耳障り音をなくすことができる。
【0061】
請求項の洗濯機によれば、ポンプの羽根車の吸込み側の側板に吸水口とは別の吸水用開口部を形成したことによって、その吸水用開口部からも水が吸入され、その分、ポンプの吐出量が増えるから、ポンプの自吸時間を短縮できると共に、吐出圧力が小さくなって、振動、騒音を更に低減することができる。
請求項の洗濯機によれば、上記吸水用開口部を、孔で、ポンプの羽根車の羽根の各間に位置させて形成したことによって、吸水用開口部の形成が容易にできて、コストの上昇を少なく抑えることができる。
【0062】
請求項の洗濯機によれば、ポンプの羽根車の吸水口周囲のリブに、1個又は複数個の欠除部を形成したことによって、羽根車の吸水口周囲のリブに、機外から吸入された水が均等に接することが避けられ、羽根車を回転駆動するモータにかかる負荷の変動が緩和されると共に、吸入された空気が細かい泡となることもあって、振動が小さくなり、騒音も小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すポンプのモータ側ケース部分の下面図
【図2】主要部分の分解正面図
【図3】ポンプの縦断面図
【図4】洗濯機全体の破断側面図
【図5】洗濯機のポンプ配設部分の破断平面図
【図6】従来との比較で表す騒音性能図
【図7】第1参考例を示す図1相当図
【図8】第2参考例を示す図3相当図
【図9】第3参考例を示す図1相当図
【図10】本発明の第実施例を示す図3部分相当拡大図
【図11】ポンプの羽根車の下面図
【図12】本発明の第実施例を示す図11相当図
【図13】本発明の第実施例を示す図10相当図
【図14】図11相当図
【図15】第4参考例を示す図10相当図
【図16】第5参考例を示す図10相当図
【図17】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
24は内槽(槽)、35はトップカバー、38はポンプ、39は給水ケース、48はモータ、54は羽根車、54cは羽根車の側板、54dは羽根車の羽根、54eは羽根車の吸水口、54fは羽根車のリブ、54oは羽根車の中心部、56,57はボリュート、56a,57a,56cはボリュートの各基端部、58は欠除部、72は仕切板、74は通水口、91,92はボリュート、101,111は吸水用開口部、121は欠除部、131はリブを示す。

Claims (4)

  1. 羽根車を2つのボリュートで囲繞し、その羽根車に最も近接する両ボリュートの基端部が羽根車の中心部を挟んで対称に位置するポンプを、機内に具え、このポンプにより機外の水を吸水ホースを介し吸入して機内の槽の内部に供給するようにしたものにおいて、
    そのポンプの一方のボリュートの基端部に、羽根車の回転方向に凹となる欠除部を形成したことを特徴とする洗濯機。
  2. ポンプの羽根車の吸込み側の側板に吸水口とは別の吸水用開口部を形成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
  3. 吸水用開口部を、孔で、ポンプの羽根車の羽根の各間に位置させて形成したことを特徴とする請求項2記載の洗濯機。
  4. ポンプの羽根車の吸水口周囲のリブに、1個又は複数個の欠除部を形成したことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
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