JP3582915B2 - スペクトル拡散通信方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、商用電源を送るための電灯線等を、情報の伝送路とするスペクトル拡散通信方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電灯線は、すべての建物の部屋に設置されているので、建物内での伝送路とした場合、経済性、拡張性に富んだ情報伝送路である。しかし、電灯線には、照明灯、空調機器、TV等の各種の電気機器が接続されているので、これらの電気機器の使用状態によって、電灯線の伝送特性が変化する。例えば、TVやスイッチング電源を使用している電灯線の場合には、位相特性が電源周波数に同期して急激に変化する。
【0003】
このように、電灯線の伝送特性は、平坦ではなく、不安定であるので、良質な伝送が難しいという問題がある。電灯線を伝送路として用いる場合、その対策として、例えば、特開平4−252531号公報に示されるスペクトル拡散(SS)通信装置を使用する。このスペクトル拡散通信装置は、伝送路の伝送特性の変動に強い特徴がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のスペクトル拡散通信装置には、次のような欠点がある。従来のスペクトル拡散通信装置は、情報を送信するために、位相の異なる2つのPN(Pseudo Noise:擬似雑音)系列符号を用いる。このために、PN系列符号を生成する回路等が2つ必要になる。また、従来のスペクトル拡散通信装置は、情報を受信するとき、同期追跡等の複雑な制御を必要とするので、回路構成が複雑になる。
【0005】
この発明の目的は、このような欠点を除き、装置内部の回路数を減らし、かつ、回路構成を簡単にすることができるスペクトル拡散通信方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
その目的を達成するため、請求項1の発明は、電灯線の商用電源波形から電源同期信号を生成し、データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングを、データ「0」の送出タイミングとデータ「1」の送出タイミングの間に空白時間を入れて、電源同期信号を基にして生成し、あらかじめ決められた1種類の擬似雑音符号を、送信するデータに対応する送出タイミングで電灯線の商用電源波形に加え、電灯線の商用電源波形に加えられた情報を取り出し、取り出した情報と擬似雑音符号との相関値から複数の相関ピークのピーク値及びピーク位置を求め、求めたピーク値のうちしきい値以上のピーク値があらかじめ設定された数以上ピーク位置を認識するウィンドウ内にある場合に、しきい値以上のピーク値に対応する送出タイミングを調べて、データの種類を判別する。
【0007】
請求項2の発明は、電灯線の商用電源波形に加えられた情報を取り出すと共に、電灯線の商用電源波形に、入力された符号系列を加えるインターフェース部と、電灯線の商用電源波形から電源同期信号を生成する同期信号生成部と、あらかじめ決められた1種類の擬似雑音符号を、入力された送出タイミングでインターフェース部に出力すると共に、インターフェース部が取り出した情報と擬似雑音符号との相関値から複数の相関ピークのピーク値及びピーク位置を求める変復調部と、データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングをデータ「0」の送出タイミングとデータ「1」の送出タイミングの間に空白時間を入れて同期信号生成部からの電源同期信号を基にして生成し、送信するデータに対応する送出タイミングを変復調部に送ると共に、変復調部が求めたピーク値のうちしきい値以上のピーク値があらかじめ設定された数以上ピーク位置を認識するウィンドウ内にある場合に、しきい値以上のピーク値に対応する送出タイミングを調べて、データの種類を判別する通信制御部とを備える。
【0008】
請求項2の発明では、同期信号生成部は、電灯線の商用電源波形から電源同期信号を生成する。通信制御部は、データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングをデータ「0」の送出タイミングとデータ「1」の送出タイミングの間に空白時間を入れて同期信号生成部からの電源同期信号を基にして生成する。
【0009】
データ「0」、「1」を送信するとき、通信制御部は、送信するデータに対応する送出タイミングを変復調部に送る。変復調部は、あらかじめ決められた1種類の擬似雑音符号を、入力された送出タイミングでインターフェース部に出力する。インターフェース部は、電灯線の商用電源波形に、入力された符号系列を加える。
【0010】
データを受信するとき、インターフェース部は、電灯線の商用電源波形に加えられた情報を取り出す。変復調部は、インターフェース部が取り出した情報と擬似雑音符号との相関値から複数の相関ピークのピーク値及びピーク位置を求める。通信制御部は、変復調部が求めたピーク値のうちしきい値以上のピーク値があらかじめ設定された数以上ピーク位置を認識するウィンドウ内にある場合に、しきい値以上のピーク値に対応する送出タイミングを調べて、データの種類を判別する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に係るスペクトル拡散通信装置を示すブロック図である。このスペクトル拡散通信装置は、インターフェース部10と、変復調部20と、同期信号生成部30と、通信制御部40とを備える。
【0013】
インターフェース部10は、電灯線100と変復調部20との間を接続する。インターフェース部10の一例を図2に示す。このインターフェース部10は、フィルタ11,15と、増幅器12,16と、トランス13と、コンデンサ14A,14Bと、リミッタ17と、コンパレータ18とを備える。
【0014】
インターフェース部10のフィルタ11は、変復調部20から出力される、スペクトル拡散変調をされた送信信号bの高域成分をカットして、送信信号b1を出力する。規定により、電灯線100に加えることができる信号は、10[kHz]〜450[kHz]に制限されている。フィルタ11は、この制限を満たすためのものである。
【0015】
増幅器12は、送信信号b1を増幅して、送信信号b2を出力する。
【0016】
トランス13は、コンデンサ14A,14Bを介して電灯線100に接続されている。トランス13とコンデンサ14A,14Bとは、電灯線100から装置を絶縁して保護する。同時に、トランス13とコンデンサ14A,14Bとは、50[Hz]または60[Hz]の商用電源電圧をカットするためのハイパスフィルタである。トランス13とコンデンサ14A,14Bの回路は、送信信号b2を電灯線100の商用電源波形に加える。また、この回路は、電灯線100の商用電源波形に加えられている情報を取り出して、受信信号c1として出力する。
【0017】
フィルタ15は、受信信号c1の雑音を除去して、図3に示す受信信号c2を出力する。増幅器16は、受信信号c2を増幅して、受信信号c3を出力する。
【0018】
リミッタ17は、受信信号c3の振幅を制限して、受信信号c4を出力する。コンパレータ18は、所定レベルを越える受信信号c4を取り出して、デジタルの受信信号cに変換する。
【0019】
インターフェース部10は、このようにして電灯線100から情報を取り出すと共に、送信信号bを電灯線100の商用電源波形に加える。
【0020】
変復調部20は、図4に示すように、スペクトル拡散変調をするPN系列発生器21と、スペクトル拡散復調をする相関検出器22とを備える。
【0021】
PN系列発生器21は、スペクトル拡散変調をされた送信信号bとして、マンチェスタ符号化されたM系列符号を発生する。PN符号の一種であるM系列符号は、帰還符号発生器が発生することができる最も長い符号系列である。
【0022】
PN系列発生器21の一例を図5に示す。このPN系列発生器21は、セット端子211Aを備える5段シフトレジスタ211と、EX−OR回路212,213と、AND回路214と、制御回路215とを備える。
【0023】
5段シフトレジスタ211の1段目には、5段目からの出力信号と、制御回路215からのクロックイネーブル信号fとクロック信号gが加えられる。なお、クロックイネーブル信号fとクロック信号gは、5段シフトレジスタ211の1段目の他にも、2段目〜5段目に加えられる。EX−OR回路212は、5段シフトレジスタ211の2段目からの出力信号と5段目からの出力信号の排他的論理和を演算する。EX−OR回路213は、5段シフトレジスタ211の5段目からの出力信号とクロック信号gとの排他的論理和を演算する。
【0024】
5段シフトレジスタ211およびEX−OR回路212の回路は、1種類のM系列符号を生成する。そして、5段シフトレジスタ211およびEX−OR回路212の回路が生成するM系列の符号長、つまり、5段シフトレジスタ211の5段目が出力する符号長は、
25−1=31
の計算から31チップとなる。M系列符号の生成を開始する際、例えば、5段シフトレジスタ211のすべてのセット端子211Aは、「1」が加えられる。これにより、5段シフトレジスタ211の状態は、
「11111」→「01111」→…→「11100」→「11110」
のように変化する。5段シフトレジスタ211は、32番目の状態で再び次の周期に入り、「11111」となる。
【0025】
AND回路214は、5段シフトレジスタ211の状態が「11111」になると、「H」レベルの信号を発生する。つまり、AND回路214は、M系列符号の1周期を検出する。AND回路214は、この信号を制御回路215に送る。
【0026】
EX−OR回路213は、5段シフトレジスタ211の5段目の出力信号、つまり、5段シフトレジスタ211の状態の
「11111」、「01111」、…、「11100」、「11110」
の5段目のそれぞれの出力信号
「11…00」
とクロック信号との排他的論理和を演算して、マンチェスタ符号化された、31チップの符号長のM系列符号を出力する。
【0027】
制御回路215は、データ「0」およびデータ「1」に応じて、マンチェスタ符号化された、31チップのM系列符号を生成するための制御をする。
【0028】
制御回路215は、データ「0」を送信するための送出タイミングを示すタイミング信号aを、通信制御部40から受け取ると、データ「0」の送出タイミングでクロックイネーブル信号fを「H」レベル(アクティブ)にする。同時に、制御回路215は、5段シフトレジスタ211のすべてのセット端子211Aに「1」を加える。これにより、5段シフトレジスタ211は、データ「0」の送出タイミングでM系列符号を生成する。この後、制御回路215は、AND回路214の出力信号を調べ、5段シフトレジスタ211が所定数のM系列符号、例えば6個のM系列符号を生成すると、クロックイネーブル信号fを「L」レベル(非アクティブ)にして、M系列符号の生成を止める。
【0029】
同様にして、制御回路215は、データ「1」を送信するための送出タイミングを示すタイミング信号aを、通信制御部40から受け取ると、データ「1」の送出タイミングでクロックイネーブル信号fを「H」レベル(アクティブ)にする。同時に、制御回路215は、5段シフトレジスタ211のすべてのセット端子211Aに「1」を加える。これにより、5段シフトレジスタ211は、データ「1」の送出タイミングでM系列符号を生成する。この後、制御回路215は、AND回路214の出力信号を調べ、5段シフトレジスタ211が6個のM系列符号を生成すると、クロックイネーブル信号fを「L」レベル(非アクティブ)にして、M系列符号の生成を止める。
【0030】
変復調部20のPN系列発生器21は、このようにして、データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングで、マンチェスタ符号化された、6個のM系列符号を送信信号bとしてインターフェース部10に送る。
【0031】
変復調部20の相関検出器22は、図6に示すように、整合フィルタ22Aと、ピーク検出器22Bと、カウンタ22Cとを備える。
【0032】
整合フィルタ22Aは、マンチェスタ符号化されたM系列符号と受信信号cとの相関関係を調べて、相関値を出力する相関器である。整合フィルタ22Aの一例を図7に示す。この整合フィルタ22Aは、シフトレジスタ221と、PNコードパターン発生器222と、乗算器2231〜223nと、加算器224とを備える。
【0033】
シフトレジスタ221は、インターフェース部10からの受信信号cを入力信号とする。
【0034】
PNコードパターン発生器222は、PNコードパターンとして、マンチェスタ符号化されたM系列符号を発生する。
【0035】
乗算器2231〜223nは、シフトレジスタ221の各段の値と、PNコードパターン発生器222の各段の値の排他的論理和を演算する。つまり、乗算器2231〜223nは、シフトレジスタ221の各段の値と、PNコードパターン発生器222の各段の値との乗算値を算出する。ここで、添字nは、PN系列発生器21の5段シフトレジスタ211が生成する31チップのM系列符号の2倍に等しい数、
n=31×2=62
である。乗算器2231〜223nは、算出した乗算値を加算器224に送る。
【0036】
加算器224は、乗算器2231〜223nからの乗算値を加算する。この加算により、加算器224は、相関信号hを出力する。この相関信号hは、デジタル信号であるが、相関信号hが表す波形を図8に示す。この相関信号hは、PN系列発生器21が6個のM系列符号を生成するので、それぞれ6個のピーク501〜506を持つ。
【0037】
相関検出器22の整合フィルタ22Aは、このようにして相関信号hを生成して、ピーク検出器22Bに出力する。
【0038】
相関検出器22のカウンタ22Cは、M系列符号の1周期をカウントして、カウント値jをピーク検出器22Bに出力する。
【0039】
ピーク検出器22Bは、相関信号hとカウント値jから、相関信号hのピーク値とピーク位置を検出する。ピーク検出器22Bの一例を図9に示す。このピーク検出器22Bは、ピーク検出回路225と、信号発生回路226とを備える。さらに、ピーク検出回路225は、コンパレータ225Aと、ラッチ225B〜225Eとを備える。コンパレータ225Aと、ラッチ225B〜225Eとは、クロック信号に同期してそれぞれ動作する。
【0040】
コンパレータ225Aは、相関信号hと、前回の比較結果であるラッチ225Bの出力信号とを比較する。そして、コンパレータ225Aは、
相関信号h>ラッチ225Bの出力信号
のとき、アクティブのイネーブル信号を出力する。これにより、ラッチ225Bは、相関信号hを取り込む。
【0041】
一方、ラッチ225Cにもラッチ225Bと同じイネーブル信号が加えられる。この結果、ラッチ225Cは、そのときの、カウンタ22Cからのカウント値jを取り込む。ピーク検出回路225は、この処理をM系列符号の1周期について行う。これにより、ラッチ225Bおよびラッチ225Cが、M系列符号の1周期の相関値のピーク値およびピーク位置を出力する。
【0042】
信号発生回路226は、カウント値jにより、M系列符号の1周期が終了するときを検出すると、アクティブのイネーブル信号をラッチ225D,225Eに送る。これにより、ラッチ225Dおよび225Eは、ラッチ225Bおよびラッチ225Cのピーク値およびピーク位置をそれぞれ取り込む。
【0043】
この後、同じようにして、ピーク検出回路225は、次のM系列符号の1周期の相関ピーク値とピーク位置を検出する。
【0044】
このようにして、変復調部20は、受信信号cに発生するピークのピーク値およびピーク位置を検出し、検出したピーク値およびピーク位置を受信信号dとして出力する。
【0045】
同期信号生成部30は、商用電源波形から電源同期信号eを生成する。同期信号生成部30の一例を図10に示す。この同期信号生成部30は、抵抗31,32,34と、フォトカプラ33とを備える。抵抗31,32は、電灯線100の商用電源波形を分圧する。これにより、抵抗31,32は、図11に示す分圧波形を生成する。フォトカプラ33のフォトダイオード33Aは、分圧波形に応じて発光する。このとき、フォトダイオード33Aは、分圧波形のゼロクロスポイントt1,t2で発光しない。
【0046】
フォトカプラ33のフォトダイオード33Aが発光しているとき、フォトカプラ33のフォトトランジスタ33Bのコレクタが抵抗34でプルアップをされているので、コレクタが「L」レベルになる。また、フォトダイオード33Aが発光していないとき、フォトトランジスタ33Bのコレクタが「H」レベルになる。
【0047】
フォトカプラ33は、このようにして、「H」レベル、「L」レベルにより電源同期信号eを生成する。
【0048】
通信制御部40は、同期信号生成部30からの電源同期信号eを用いて、データ「0」およびデータ「1」のタイミング信号aを、次のようにして生成する。
【0049】
通信制御部40は、同期信号生成部30から図12に示す電源同期信号eを受け取ると、電源同期信号eの周期Tの間、つまり、電源同期信号eのパルスe1とパルスe2の間に、データ「0」用およびデータ「1」用のタイミング信号を生成する。周期Tは、商用電源波形の半周期である。
【0050】
データ「0」用のタイミング信号は、タイミングパルスa11,a12,a13を含む。タイミングパルスa11,a12,a13は、
パルスe1の立ち下がりから時間T1の経過後、時間T2の間
パルスa11の立ち下がりから時間T3の経過後、時間T2の間
パルスa12の立ち下がりから時間T3の経過後、時間T2の間
レベルが「H」のパルスである。
【0051】
また、データ「1」用のタイミング信号は、タイミングパルスa21,a22,a23を含む。タイミングパルスa21,a22,a23は、
パルスe1の立ち下がりから時間T4の経過後、時間T5の間
パルスa21の立ち下がりから時間T6の経過後、時間T5の間
パルスa22の立ち下がりから時間T6の経過後、時間T5の間
レベルが「H」のパルスである。
【0052】
このようなタイミング信号のタイミングパルスa21は、タイミングパルスa11とタイミングパルスa12との間に位置し、タイミングパルスa22は、タイミングパルスa12とタイミングパルスa13との間に位置する。また、タイミングパルスa23は、タイミングパルスa13とパルスe2との間に位置する。
【0053】
通信制御部40は、このようにして、データ「0」用およびデータ「1」用のタイミング信号を生成する。
【0054】
通信制御部40は、タイミング信号を用いて、データ「0」、データ「1」を送信するための処理をする。通信制御部40は、送信するデータを受け取ると、このデータの種類に応じたタイミング信号を変復調部20に送る。通信制御部40は、データ「0」を送信するとき、データ「0」用のタイミング信号をタイミング信号aとして変復調部20に送る。逆に、通信制御部40は、データ「1」を送信するとき、データ「1」用のタイミング信号をタイミング信号aとして変復調部20に送る。
【0055】
つまり、通信制御部40は、
タイミングパルスa11とタイミングパルスa21
タイミングパルスa12とタイミングパルスa22
タイミングパルスa13とタイミングパルスa23
により、データ1ビットをそれぞれ送る。
【0056】
このようにして、通信制御部40は、データ「0」、データ「1」を送信するための処理をする。
【0057】
また、通信制御部40は、タイミング信号を発生するための送出タイミングを用いて、変復調部20が復調により生成した受信信号cのデータ「0」、データ「1」を判別する。通信制御部40は、受信信号dおよび電源同期信号eを受け取ると、
パルスe1の立ち下がりから時間T1の経過後、時間T2の間
または、
パルスe1の立ち下がりから時間T4の経過後、時間T5の間
のどちらの送出タイミングにピークが有るかどうかを調べる。例えば、図13に示すように、タイミングパルスa11の送出タイミングに、相関信号hのピークがあると、通信制御部40は、最初のピーク511のピーク値が、あらかじめ設定されているしきい値以上、例えば値「50」以上かどうかを調べる。ピーク511のピーク値が「100」であるので、しきい値「50」を越える。
【0058】
通信制御部40は、さらに、ピーク値がしきい値「50」を越えると、ピーク511のピーク位置がピーク位置を認識するウィンドウ内にあるかどうかを調べる。
【0059】
このウィンドウは、あらかじめ次のように設定されている。カウンタ22Cが31チップのM系列符号の1周期をカウントする。カウンタ22Cが1周期を「0〜247」までカウントすると、ピーク位置が「0〜247」の範囲になる。このとき、ピーク位置の中心が「124」であるので、
124±32
の範囲にあるピークをM系列符号によるピークと判断する。つまり、ピーク位置を認識するウィンドウを「92〜156」にあらかじめ設定する。
【0060】
通信制御部40は、ピークが「92〜156」内にあるかどうかを調べる。ピーク511のピーク位置が「124」であるので、ウィンドウ「92〜156」内にある。このとき、通信制御部40は、ピーク511をM系列符号と判断する。
【0061】
通信制御部40は、同様にして、ピーク512〜516がM系列符号であるかどうかを判断する。この結果、ピーク515のピーク値が「40」であるので、通信制御部40は、ピーク515をM系列符号と判断しない。
【0062】
このようにして、通信制御部40は、タイミングパルスa11の送出タイミングで、あらかじめ設定された数以上の、5個のM系列符号を検出したので、データ「0」を受信したことを示す信号を出力する。
【0063】
逆に、通信制御部40は、タイミングパルスa21の送出タイミングで、あらかじめ設定された数以上のM系列符号を検出すると、データ「1」を受信したことを示す信号を出力する。
【0064】
このようにして、通信制御部40は、データ「0」、データ「1」を判別するための処理をする。なお、同期信号生成部30からの電源同期信号eが、送信と受信で多少ずれる可能性があるので、受信に必要な送出タイミングを、タイミング信号より長くしてもよい。
【0065】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
【0066】
同期信号生成部30は、商用電源波形から電源同期信号eを生成し、電源同期信号eを通信制御部40に送る。通信制御部40は、電源同期信号eを用いて、データ「0」用およびデータ「1」用のタイミング信号を生成する。
【0067】
このタイミング信号を用いた、データ「0」、データ「1」の送信は、次のようにして行われる。
【0068】
通信制御部40は、データ「0」を送信する指示を受け取ると、
タイミングパルスa11とタイミングパルスa21
の中の、タイミングパルスa11を、データ「0」用のタイミング信号aとして変復調部20に送る。変復調部20のPN系列発生器21は、タイミング信号aを受け取ると、タイミング信号aのタイミングパルスa11の部分で、マンチェスタ符号化された6個のM系列符号を生成する。変復調部20は、生成したM系列符号を送信信号bとしてインターフェース部10に送る。
【0069】
インターフェース部10のフィルタ11は、送信信号bを受け取ると、この送信信号bの高域成分をカットする。増幅器12は、フィルタ11からの送信信号b1を増幅し、トランス13およびコンデンサ14A,14Bの回路は、増幅器12からの送信信号b2を電灯線100に加える。
【0070】
これにより、データ「0」を示す、マンチェスタ符号化されたM系列符号が、タイミングパルスa11の送出タイミングで商用電源波形に加えられて、データ「0」が送信される。この後のデータの送信は、同様にして、
タイミングパルスa12とタイミングパルスa22
タイミングパルスa13とタイミングパルスa23
により、データ1ビットをそれぞれ送る。
【0071】
データ「0」、データ「1」の受信は、次のようにして行われる。
【0072】
インターフェース部10のトランス13およびコンデンサ14A,14Bの回路は、電灯線100に加えられている情報を取り出して、受信信号c1を出力する。フィルタ15は、受信信号c1から雑音を除去し、増幅器16は、フィルタ15からの受信信号c2を増幅する。リミッタ17は、増幅器16からの受信信号c3の振幅を制限し、コンパレータ18は、所定レベルを越える、リミッタ17からの受信信号c4を取り出して、デジタルの受信信号cに変換する。
【0073】
変復調部20の相関検出器22は、あらかじめ保持しているPNコードパターン、つまりマンチェスタ符号化されたM系列符号と、受信信号cとの相関関係を調べて、相関信号hを生成する。さらに、相関検出器22は、相関信号hのピーク値およびピーク位置を検出する。そして、相関検出器22は、検出したピーク値およびピーク位置を、受信信号dとして通信制御部40に送る。
【0074】
通信制御部40は、受信信号dおよび電源同期信号eを受け取ると、
タイミングパルスa11とタイミングパルスa21
の中のどちらの送出タイミングにピークが有るかどうかを調べる。例えば、タイミングパルスa11の送信タイミングに、相関信号hのピークがあると、通信制御部40は、ピークのピーク値が、あらかじめ設定されているしきい値以上かどうかを調べる。ピーク値がしきい値を越えると、通信制御部40は、ピークのピーク位置が、あらかじめ設定されているウィンドウ内にあるかどうかを調べる。ピーク位置がウィンドウ内にあると、通信制御部40は、ピークをM系列符号と判断する。そして、通信制御部40は、データ「0」を受信したことを示す信号を出力する。
【0075】
このようにして、実施の形態1により、1つのM系列符号を用いて、データ「0」、データ「1」の送信および受信をすることができる。これにより、変復調部20のPN系列発生器21に必要な、5段シフトレジスタおよびEX−OR回路が1組で済み、かつ、変復調部20の相関検出器22に必要な整合フィルタの数が1つで済むので、装置の回路を少なくすることができる。
【0076】
また、同期追跡等の複雑な制御を不要にすることができるので、装置の回路構成の簡単化が可能である。
【0077】
[実施の形態2]
この発明の実施の形態2では、先に説明した発明の実施の形態1とは、変復調部のPN系列発生器と、変復調部の相関検出器の整合フィルタのみが相違し、その他は同様である。以下の説明では、この相違する点のみを説明する。
【0078】
実施の形態2では、図14に示すPN系列発生器51を用いる。PN系列発生器51は、M系列発生器51A,51Bと、EX−OR回路51Cとを備える。
【0079】
M系列発生器51Aは、M系列符号を生成し、M系列発生器51Bは、M系列発生器51Aとは異なるM系列符号を生成する。そして、M系列発生器51A,51Bは、クロック信号により、最終段の状態をEX−OR回路51Cに送る。
【0080】
EX−OR回路51Cは、M系列発生器51Aからの出力信号と、M系列発生器51Bからの出力信号との排他的論理和を演算して、ゴールド符号を出力する。
【0081】
変復調部の整合フィルタのPNコードパターン発生器は、PN系列発生器51が生成するゴールド符号と同じ符号パターンを生成する。
【0082】
このような変復調部20により、N段のシフトレジスタを2個用いると、
2N−1
種類の符号を生成することができる。これにより、異なる装置に異なる符号を与えると、装置間の干渉の可能性を低くすることができる。
【0083】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1および請求項2の発明により、1つの符号系列を用いるので、この符号系列を生成するための回路を少なくすることができる。
【0084】
また、同期捕捉等の複雑な制御を不要にしているので、回路構成を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係るスペクトル拡散通信装置を示すブロック図である。
【図2】インターフェース部の一例を示すブロック図である。
【図3】インターフェース部の中で処理される波形を示す波形図である。
【図4】変復調部を示すブロック図である。
【図5】PN系列発生器の一例を示す回路図である。
【図6】相関検出器の一例を示すブロック図である。
【図7】整合フィルタの一例を示すブロック図である。
【図8】相関信号を示す波形図である。
【図9】ピーク検出器の一例を示す回路図である。
【図10】同期信号生成部の一例を示す回路図である。
【図11】同期信号生成部の中で処理される波形を示す波形図である。
【図12】タイミング信号の生成を説明するための波形図である。
【図13】相関信号の処理を説明するための図である。
【図14】実施の形態2に用いられるPN系列発生器を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 インターフェース部
20 変復調部
30 同期信号生成部
40 通信制御部
100 電灯線
Claims (2)
- 電灯線の商用電源波形から電源同期信号を生成し、
データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングを、データ「0」の送出タイミングとデータ「1」の送出タイミングの間に空白時間を入れて、電源同期信号を基にして生成し、
あらかじめ決められた1種類の擬似雑音符号を、送信するデータに対応する送出タイミングで電灯線の商用電源波形に加え、
電灯線の商用電源波形に加えられた情報を取り出し、
取り出した情報と擬似雑音符号との相関値から複数の相関ピークのピーク値及びピーク位置を求め、
求めたピーク値のうちしきい値以上のピーク値があらかじめ設定された数以上ピーク位置を認識するウィンドウ内にある場合に、しきい値以上のピーク値に対応する送出タイミングを調べて、データの種類を判別するスペクトル拡散通信方法。 - 電灯線の商用電源波形に加えられた情報を取り出すと共に、電灯線の商用電源波形に、入力された符号系列を加えるインターフェース部と、
電灯線の商用電源波形から電源同期信号を生成する同期信号生成部と、
あらかじめ決められた1種類の擬似雑音符号を、入力された送出タイミングでインターフェース部に出力すると共に、インターフェース部が取り出した情報と擬似雑音符号との相関値から複数の相関ピークのピーク値及びピーク位置を求める変復調部と、
データ「0」およびデータ「1」の送出タイミングをデータ「0」の送出タイミングとデータ「1」の送出タイミングの間に空白時間を入れて同期信号生成部からの電源同期信号を基にして生成し、送信するデータに対応する送出タイミングを変復調部に送ると共に、変復調部が求めたピーク値のうちしきい値以上のピーク値があらかじめ設定された数以上ピーク位置を認識するウィンドウ内にある場合に、しきい値以上のピーク値に対応する送出タイミングを調べて、データの種類を判別する通信制御部と
を備えることを特徴とするスペクトル拡散通信装置。
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---|---|---|---|
JP27406395A JP3582915B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | スペクトル拡散通信方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP27406395A JP3582915B2 (ja) | 1995-10-23 | 1995-10-23 | スペクトル拡散通信方法および装置 |
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JPH09116525A JPH09116525A (ja) | 1997-05-02 |
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JP5172486B2 (ja) * | 2008-06-12 | 2013-03-27 | パナソニック株式会社 | 同期点検出方法及び通信装置 |
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- 1995-10-23 JP JP27406395A patent/JP3582915B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09116525A (ja) | 1997-05-02 |
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