JP3582255B2 - スロットル制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクセルペダルから機械的な連結機構を介さずにスロットルバルブの開閉を行なうスロットルアクチュエータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクセルペダルから機械的な連結機構を介さずにスロットルバルブの開閉を行なうスロットルアクチュエータの制御装置が知られている(例えば、特開平3−271537号公報参照)。
【0003】
自動車には、アクセルペダルを踏込んだ時または開放した時に、ドライブシャフトのねじれなどに起因して駆動系にガクガクとした振動が発生することがある。従来のスロットル制御装置では、アクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両の前後方向の加速度の速応性を損わずにこのようなガクガク振動を抑制し、アクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の収束性と応答性を両立させている。
【0004】
この制御技術をさらに具体的に説明すると、実験により求めたスロットル開度θtに対する駆動軸トルクTdの伝達特性Gp(s)と、アクセル開度θaに対する駆動軸トルクTdの目標伝達特性Gm(s)はそれぞれ、
【数1】
Figure 0003582255
ここで、ωp、ωmは駆動系の固有振動数、ζp、ζmは減衰係数、sはラプラス演算子、Hは定常特性、Lは無駄時間要素である。また、伝達特性Gp(s)は自車両の固有の伝達特性である。
【0005】
さらに、数式1の伝達特性Gp(s)とGm(s)を用いて、アクセル開度に対する駆動軸トルクの収束性と応答性を改善した位相補償特性W(s)を求める。
【数2】
Figure 0003582255
【0006】
この特性W(s)によりアクセル開度θaの位相補償を行なってスロットル開度指令値θt−comを求め、実際のスロットル開度θtが指令値θt−comに一致するようにスロットルアクチュエータを制御している。位相補償特性W(s)は、駆動系の実際の振動特性を示す伝達特性Gp(s)を打消し、アクセル開度θaに対する駆動軸トルクTdまたは車両前後加速度の伝達特性が目標特性Gm(s)となるように働くので、収束性と応答性を両立できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のスロットル制御装置をロックアップ機構付トルクコンバータを備えた駆動系(自動変速機構)に用いると、ロックアップ解除中にアクセル操作に対する駆動軸トルク(車両前後加速度)の応答性が緩慢になり過ぎるという問題がある。
【0008】
一般に車両には、ロックアップ締結中はアクセル操作に対して駆動軸トルクにガクガクとした振動が発生しやすく、ロックアップ解除中はトルクコンバータがダンパーとなるのでガクガクとした振動が発生しにくいという特性がある。したがって、従来装置による制御をロックアップ機構の締結/解除状態に関わらず常に作動させると、ロックアップ締結中はガクガク振動が抑制されて速い応答性を実現できるが、ロックアップ解除中は位相補償器の効果によりアクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の応答性が緩慢になり過ぎる。
【0009】
本発明の目的は、ロックアップ機構の締結/解除状態に関わらず、アクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の高収束性と高応答性を両立させたスロットル制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1) 請求項1の発明は、アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、スロットル開度に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の自車両固有の伝達特性を打消して、アクセル開度に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の伝達特性を目標伝達特性とするための位相補償器を有し、アクセル開度検出値に位相補償処理を施してスロットル開度指令値を演算するスロットル開度指令値演算手段と、スロットル開度検出値がスロットル開度指令値に一致するようにスロットルアクチュエータを制御するスロットル制御手段とを備えたスロットル制御装置に適用され、ロックアップ機構付トルクコンバータのロックアップ締結/解除状態に応じて位相補償器を有効状態または無効状態にする位相補償器制御手段を備える。
(2) 請求項2のスロットル制御装置は、位相補償器制御手段によって、ロックアップ締結中は位相補償器を有効状態とし、ロックアップ解除中は位相補償器を無効状態とする。
(3) 請求項3のスロットル制御装置は、位相補償器制御手段によて、位相補償器の入出力差が所定値以下になってから位相補償器を有効状態から無効状態に切り換える。
(4) 請求項4のスロットル制御装置は、位相補償器をコンピュータのソフトウエア形態で構成したディジタルフィルタとし、位相補償器制御手段によってディジタルフィルタの定数を変更して位相補償器を有効状態または無効状態に切り換える。
【0011】
【発明の効果】
(1) 請求項1の発明によれば、ロックアップ機構の締結/解除状態に応じて、アクセル開度に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の伝達特性を目標伝達特性とするための位相補償器を有効状態または無効状態にするようにしたので、ロックアップ機構の締結/解除状態に関わらず、駆動系がガクガクとする振動が抑止されるとともに、駆動軸トルクまたは車両前後加速度の速応性が向上し、アクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の高収束性と高応答性を両立させることができる。
(2) 請求項2の発明によれば、ロックアップ締結中は位相補償器を有効状態とし、ロックアップ解除中は位相補償器を無効状態としたので、ロックアップ締結中のみならずロックアップ解除中にもアクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の高収束性と高応答性を両立させることができる。
(3) 請求項3の発明によれば、位相補償器の入出力差が所定値以下になってから位相補償器を有効状態から無効状態に切り換えるようにしたので、切換時の位相補償器出力に段差が発生せず、駆動軸トルクおよび車両前後加速度を滑らかに推移させることができる。
(4) 請求項4の発明では、位相補償器をコンピュータのソフトウエア形態で構成したディジタルフィルタとし、ディジタルフィルタの定数を変更して位相補償器を有効状態または無効状態に切り換えるようにした。無効状態ではディジタルフィルタの定数が初期化されており、その状態から定数を変更して有効状態に切り換えると位相補償器出力に段差が発生せず、連続的に速やかに切り換えることができるので、駆動軸トルクおよび車両前後加速度を滑らかに推移させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は一実施の形態の構成を示す。
アクセルセンサ1は乗員が操作するアクセルペダルの開度θaを検出し、エンジン回転数センサ2はエンジン回転数Neを検出する。スロットルアクチュエータ3は、エンジン4の吸入空気量を調節するためのスロットルバルブをDCモータなどにより開閉する。このスロットルアクチュエータ3には、スロットルバルブ開度θtを検出するスロットルセンサ3aが設置されている。トルクコンバータ5はロックアップ機構付であり、燃費向上のために低負荷域でロックアップ締結状態とされる。ロックアップ完全締結中はロックアップクラッチのみから自動変速機6にトルクが伝達され、ロックアップ完全解除中はトルクコンバータのみから自動変速機6にトルクが伝達される。そして、ドライブシャフトを介して駆動輪7が駆動される。
【0013】
自動変速機コントローラ8は、トルクコンバータ5の変速機構とロックアップ機構を駆動制御するとともに、ロックアップ機構の締結/解除状態と変速ギア位置の情報をスロットルコントローラ9へ送る。
【0014】
スロットルコントローラ9は、マイクロコンピュータとその周辺部品から構成され、スロットルアクチュエータ3を駆動制御する。このスロットルコントローラ9は、マイクロコンピュータのソフトウエア形態により演算制御ブロック9A〜9Fを構成する。9Aは変換部であり、エンジン回転数Neとエンジン非線形定常特性マップにより、アクセル開度θaをエンジントルク指令値Te1に変換する。9Bは上述したロックアップ締結時のガクガク振動を防止するための位相補償器であり、マイクロコンピュータによるディジタルフィルタで構成され、エンジントルク指令値Te1を位相補償処理してエンジントルク指令値Te2を出力する。9Cは変換部であり、エンジン回転数Neとエンジン非線形定常特性マップにより、エンジントルク指令値Te2をスロットル開度指令値θt−comに変換する。
【0015】
さらに、9Dはスロットル開度制御部であり、スロットルセンサ3aにより検出されたスロットルバルブ開度θtがその指令値θt−comに一致するようにフィードバック制御し、制御結果に基づいてスロットルアクチュエータ3のDCモータのPWMデューティー比を演算する。9Eはモータ駆動回路であり、演算結果のPWMデューティー比にしたがってスロットルアクチュエータ3のDCモータを駆動する。9Fは演算部であり、位相補償器9Bの入力と出力の差を演算する。9Gは制御部であり、ロックアップの締結/解除状態と位相補償器9Bの入出力差とに基づき、位相補償器9Bのディジタルフィルタの定数を変更することによって、位相補償器9Bを有効状態と無効状態に切り換える。
【0016】
次に、図2により、一実施の形態の動作を説明する。スロットルコントローラ9のマイクロコンピュータは、所定時間間隔、この実施の形態では10msごとに図2に示す処理を実行する。
ステップ1において、アクセルセンサ1によりアクセル開度θaを、エンジン回転数センサ2によりエンジン回転数Neを、スロットルセンサ3aからスロットルバルブ開度θtをそれぞれ計測する。続くステップ2で、自動変速機コントローラ8から変速ギア位置情報とロックアップ締結/解除情報を入力する。なお、自動変速機コントローラ8では、アクセル開度と車速に基づいて変速ギア位置とロックアップ機構の締結/解除を制御する。
【0017】
図3にロックアップ制御例を示す。
図において、横軸は車速を表わし、縦軸はアクセル開度を表わす。また、3は変速ギアの第3速におけるロックアップ解除位置を表わし、4は第4速におけるロックアップ解除位置を表わす。さらに3L/Uは第3速におけるロックアップ締結位置を表わし、4L/Uは第4速におけるロックアップ締結位置を表わす。ロックアップ機構の締結と解除は変速ギア位置の第3速と第4速において行ない、第3速ではアクセル開度に対して締結/解除の切り換えヒステリシスを設け、第4速ではアクセル開度と車速に対して締結/解除の切り換えヒステリシスを設ける。なお、この実施の形態では第4速をオーバードライブ(OD)とする。
【0018】
次にステップ3において、図4aに示すように、メモリ内に予め記憶したエンジン非線形定常特性マップ(図4c)とエンジン回転数Neとを用いて、アクセル開度θaをエンジントルク指令値Te1に変換する。ステップ4では次の基準に基づいて位相補償の実施判断を行なう。実施の判断基準は基本的にロックアップ締結中は位相補償器9Bを有効状態として位相補償を行ない、ロックアップ解除中は位相補償器9Bを無効状態として位相補償を行なわない。ただし、位相補償器9Bの1サンプル周期前の入出力差の絶対値が所定値α以下の場合にのみ、有効状態から無効状態への切り換えを許可する。この所定値αには、切り換え時に位相補償器9Bの出力が大きく不連続にならない値を設定する。位相補償制御を行なう場合はステップ5へ進み、位相補償制御を行なわない場合はステップ8へ進む。
【0019】
位相補償制御を行なう場合は、ステップ5で変速ギア位置を確認し、オーバードライブ(OD)であればステップ6へ進み、第3速であればステップ7へ進む。オーバードライブの場合は、ステップ6で離散時間系で記述された位相補償特性W(z−1)の各定数にOD用の定数を設定する。まず、上記数式2に示す連続時間系の位相補償特性W(s)において、各定数に例えば次の値を設定する。
【数3】
Figure 0003582255
自車両の固有振動数ωpは変速ギア位置に応じて異なるので、ギアシフトにともなって位相補償器9Bの特性を切り換える必要がある。なお、自車両の固有振動数ωpは実験により予め定めておく。
【0020】
マイクロコンピュータで処理するために、数式2の特性W(s)を離散化した位相補償器特性W(z−1)は、
【数4】
W(z−1)=(k1+k2・z−1+k3・z−2)/(1+k4・z−1+k5・z−2
となる。これをさらにプログラミング可能な漸化式に変形したものが次式である。ただし、位相補償器9Bの入力をエンジントルク指令値Te1(k)、出力をTe2(k)とする。また、(k)は現在値を示し、(k−n)はnサンプル前の値を示す。
【数5】
Te2(k)=k1・Te1(k)+k2・Te1(k−1)+k3・Te1(k−2)−k4・Te2(k−1)−k5・Te2・(k−2)
この位相補償特性W(z−1)の各定数k1〜k5を変速ギア位置に応じて変更する。
【0021】
ステップ6では、これらの定数k1〜k5にOD状態の固有振動数ωp(この実施の形態では40rad/s)に対応する値を設定する。一方、ステップ7では定数k1〜k5に第3速状態の固有振動数ωp(この実施の形態では34rad/s)に対応する値を設定する。なお、位相補償制御を行なわない場合は、ステップ8で位相補償器9Bを無効状態にするために位相補償特性W(z−1)の定数[k1,k2,k3,k4,k5]に[1,0,0,0,0]を設定し、Te2(k)=Te1(k)とする。
【0022】
ステップ9で、ステップ6〜8で設定された定数k1〜k5を用いて数式5のディジタルフィルタ演算を行ない、エンジントルク指令値Te2を算出する。続くステップ10では、図4bに示すように、エンジン非線形定常特性マップ(図4c)とエンジン回転数Neとを用いて、エンジントルク指令値Te2をスロットル開度指令値θt−comに変換する。ステップ11において、実スロットル開度θtがスロットル開度指令値θt−comに一致するようにフィードバック制御を行ない、制御結果に基づいてスロットルアクチュエータ3のDCモータを駆動するためのPWMデューティー比を演算する。そして、演算したPWMデューティー比でスロットルアクチュエータ3のDCモータを駆動制御する。
【0023】
図5は、ロックアップ締結状態においてアクセル開度をステップ状に変化させた時のスロットル制御結果を示す。図において、(a)はアクセル開度とスロットル開度TVOの時間変化を示し、(b)は車両の前後加速度Gの時間変化を示す。また、図中の特性曲線1は従来のスロットル制御装置による制御結果を示し、特性曲線2はこの実施の形態による制御結果を示す。さらに、特性曲線3は参考までに位相補償制御なしの場合の特性を示す。
ロックアップ締結中にアクセルペダルを0度から10度までステップ状に踏込んだ場合、位相補償制御を行なわないと車両前後加速度Gの立上がりが急俊になり、乗員に衝撃を与えるとともに、車両前後加速度Gが大きく振動する。この実施の形態および従来の装置では、位相補償器により車両前後加速度Gの立上がりが緩やかになって衝撃がなくなるとともに、振動が抑止される。
なお、図5にはアクセル操作に対する車両前後加速度Gの特性を示したが、アクセル操作に対する駆動軸トルクTdの特性も車両前後加速度Gと同様な変化となる。
【0024】
図6は、ロックアップ解除状態においてアクセル開度をステップ状に変化させた時のスロットル制御結果を示す。図において、(a)はアクセル開度とスロットル開度TVOの時間変化を示し、(b)は車両の前後加速度Gの時間変化を示す。また、図中の特性曲線1は従来のスロットル制御装置による制御結果を示し、特性曲線2はこの実施の形態による制御結果を示す。
ロックアップ解除中にアクセルペダルを10度から20度までステップ状に踏込んだ場合、車両前後加速度は位相補償制御なしでもトルクコンバータのダンパー効果によって緩やかに立上がり、振動しないので、上述した位相補償制御を行なう必要はない。しかし、ロックアップ機構付トルクコンバータを備えた自動変速機に従来のスロットル制御装置を用いると、ロックアップ解除中も締結中と全く同じ位相補償制御を行なうので、スロットル開度TVOおよび車両前後加速度Gの立ち上がりが緩慢になり過ぎ、加速フィーリングを悪化させる。これに対しこの実施の形態では、ロックアップ解除中は位相補償器を無効状態として位相補償制御を行なわないようにしたので、スロットル開度TVOおよび車両前後加速度Gの立ち上がりが速くなり、良好な加速特性が得られる上に、車両前後加速度Gの振動が発生しない。
なお、図6にはアクセル操作に対する車両前後加速度Gの特性を示したが、アクセル操作に対する駆動軸トルクTdの特性も車両前後加速度Gと同様な変化となる。
【0025】
このように、この実施の形態ではロックアップの締結/解除状態に関わらず、アクセル操作に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の高収束性と高応答性を両立させることができ、良好な加速特性を実現できる。
【0026】
図7は、ロックアップ機構の締結/解除の切り換え時の位相補償器の有効/無効の切り換え制御を示す図であり、(a)は位相補償器に台形状の信号(エンジントルクTe1に相当)を入力した時の出力(エンジントルクTe2に相当)の時間変化を示し、(b)はロックアップ機構の締結(L)と解除(R)を示し、(c)は位相補償器の有効状態(on)と無効状態(off)を示す。
上述したように、この実施の形態では、基本的にロックアップ締結中は位相補償器を有効状態にして位相補償制御を行ない、ロックアップ解除中は位相補償器を無効状態にして位相補償制御を行なわない。ただし、位相補償器を有効状態から無効状態に切り換える際には、位相補償器の入出力差が所定値α以下になったら切り換える。図7の例では、ロックアップ機構が解除された後、位相補償器の入出力差が所定値以下になった時点t1において、位相補償器を有効状態から無効状態に切り換えている。ロックアップ機構の解除直後の過渡時には位相補償器の入出力差が大きいので、この状態で無効状態(出力=入力)に切り換えると出力に大きな段差が生じて制御が不連続になり、駆動軸トルクおよび車両前後加速度が急激に変化して乗員に衝撃を与える。この実施の形態では位相補償器の入出力差が所定値以下になってから無効状態に切り換えるので、位相補償器の出力に段差が発生せず、駆動軸トルクおよび車両前後加速度が滑らかに変化する。
【0027】
また、この実施の形態ではマイクロコンピュータのソフトウエア形態で位相補償器のディジタルフィルタを構成している。この位相補償器は、無効状態では出力=入力であるからディジタルフィルタの内部変数がすべて初期化されており、その状態から定数を変更して有効状態に切り換えるので、位相補償器出力に段差が発生せず、連続的に速やかに切り換えることができる。
【0028】
なお、エンジン非線形定常特性マップ(図4c)を用いて、アクセル開度をエンジントルクに変換した後に位相補償制御を施すのは、エンジンの動作点(スロットル開度、エンジン回転数)に無関係に振動抑制効果を発揮させるためである。上述した位相補償器は線形補償器であり、駆動軸トルクおよび車両前後加速度とできるだけ線形な関係にあるエンジントルクなどの信号に位相補償制御を施すことによって、常に上記と同様な効果が得られる。
【0029】
以上の一実施形態の構成において、アクセルセンサ1がアクセル開度検出手段を、スロットルセンサ3aがスロットル開度検出手段を、スロットルコントローラ9の演算制御部9A〜9Cがスロットル開度指令値演算手段を、位相補償器9Bが位相補償器を、スロットルコントローラ9の演算制御部9Fおよび9Gが位相補償器制御手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】ロックアップ制御例を示す図である。
【図4】エンジン非線形定常特性マップとエンジン回転数とを用いてスロットル開度からエンジントルクへ変換する方法と、エンジントルクからスロットル開度へ変換する方法を説明する図である。
【図5】ロックアップ締結状態においてアクセル開度をステップ状に変化させた時のスロットル制御結果を示す図である。
【図6】ロックアップ解除状態においてアクセル開度をステップ状に変化させた時のスロットル制御結果を示す図である。
【図7】位相補償器へ台形状の信号を入力した時の位相補償器出力、ロックアップ機構の締結/解除状態および位相補償器の有効/無効状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アクセルセンサ
2 エンジン回転数センサ
3 スロットルアクチュエータ
3a スロットルセンサ
4 エンジン
5 ロックアップ機構付トルクコンバータ
6 自動変速機
7 駆動輪
8 自動変速機コントローラ
9 スロットルコントローラ

Claims (4)

  1. アクセル開度を検出するアクセル開度検出手段と、
    スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、
    スロットル開度に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の自車両固有の伝達特性を打消して、アクセル開度に対する駆動軸トルクまたは車両前後加速度の伝達特性を目標伝達特性とするための位相補償器を有し、前記アクセル開度検出値に位相補償処理を施してスロットル開度指令値を演算するスロットル開度指令値演算手段と、
    前記スロットル開度検出値が前記スロットル開度指令値に一致するようにスロットルアクチュエータを制御するスロットル制御手段とを備えたスロットル制御装置において、
    ロックアップ機構付トルクコンバータのロックアップ締結/解除状態に応じて前記位相補償器を有効状態または無効状態にする位相補償器制御手段を備えることを特徴とするスロットル制御装置。
  2. 請求項1に記載のスロットル制御装置において、
    前記位相補償器制御手段は、ロックアップ締結中は前記位相補償器を有効状態とし、ロックアップ解除中は前記位相補償器を無効状態とすることを特徴とするスロットル制御装置。
  3. 請求項2に記載のスロットル制御装置において、
    前記位相補償器制御手段は、前記位相補償器の入出力差が所定値以下になってから前記位相補償器を有効状態から無効状態に切り換えることを特徴とするスロットル制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかの項に記載のスロットル制御装置において、
    前記位相補償器をコンピュータのソフトウエア形態で構成したディジタルフィルタとし、前記位相補償器制御手段は前記ディジタルフィルタの定数を変更して前記位相補償器を有効状態または無効状態に切り換えることを特徴とするスロットル制御装置。
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