JP3582067B2 - 蓄電池 - Google Patents

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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
蓄電池には注液状態で出荷されるものと未注液で出荷されるものとがある。未注液で出荷されるのは保存中や在庫中における性能劣化を防止するためで、使用時に電解液を注入するだけで使用可能になり即用式蓄電池とよばれている。
【0003】
即用式蓄電池の場合、ユーザーが電解液容器から蓄電池に電解液を注液しなければならないので、容易に注液が行えるよう種々の提案がなされている。
【0004】
図1は、従来の即用式蓄電池の注液部の一例を示す図である。これは蓄電池蓋部に底部が開口した注液用凹部1を設け、この凹部内に支持体20で支持された注液用筒状体を立設したものである。注液用筒状体3の上面6と底面7とは、互いに逆方向の傾斜状に形成されている。この注液用凹部に電解液容器(図示せず)の注液部を嵌め合わせ、注液用筒状体で電解液容器注液部の封口部材を破ることにより注液が行える。注液に際しては、電解液と蓄電池の中の空気等とが効率よく置換される必要があるが、注液用筒状体の筒状壁部にスリット21を設けることにより、スリット部を電解液が滴下し、筒状体内部を空気が通るので、安定してスムーズに注液を行うことができる。
【0005】
図2は上記注液部の横断面図である。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、このような注液部の場合、小型の蓄電池では、寸法上の制約から筒状体に十分な内径を与えることができないので、電解液の表面張力により注液筒内部の空気の流れが妨げられ、スムーズな注液ができないという問題や、電解液の通り道となるスリットの機能が不充分で流量が確保しにくく、電解液の流れが不安定で注液が途中で止まるという問題があった。そのため、注液用筒状体に界面活性剤などを塗布して表面張力を弱めたり、振動を与えてたりして、注液せざるをえなかった。
【0007】
本は発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小型であっても、注液が安定してスムーズに注液を行うことができる注液部構造を有する蓄電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、蓄電池蓋部に形成された注液用凹部と、注液用凹部の底面を貫通して立設された注液用筒状体と、注液用筒状体の上下端面であって同一方向に傾斜するものと、注液用筒状体の壁部に形成されたスリットであって注液用筒状体上端面の傾斜下端部から注液用筒状体下端面の傾斜下端部に至るものと、スリット部に形成された2つのスリット壁体であって注液用筒状体内部に突出するとともに注液用筒状体上端面から注液用筒状体下端面近傍まで延びるものと、注液用筒状体の壁部に形成された切り欠き部であって注液用筒状体下端面の傾斜上端部から注液用筒状体上端面の方向に、注液用筒用筒状体上端面(6)に至ることなく、伸びるものと、を備えたことを特徴とする蓄電池、さらには、注液用凹部の底面と側壁とに設けられた第一の開口部であってスリットと連通するものと、注液用凹部の底面と側壁とに設けられた第二の開口部であって、切り欠き部と連通するものとを備えたことを特徴とする前記蓄電池を採用することにより、前記課題を解決せんとするものである。
【0009】
【作用】
本発明における注液機構は、注液用筒状体にスリット及び周壁切り欠き部を設けることにより生ずる水位の差による圧力差を利用し、電解液と空気との置換をスムースに行わせんとするものである。より具体的には、注液用筒状体上端面の傾斜下端部から注液用筒状体下端面の傾斜下端部注液用筒状体の壁部にスリットを形成するとともに、注液用筒状体内部に突出するとともに注液用筒状体上端面から注液用筒状体下端面近傍まで延びる2つのスリット壁体を設けることにより、電解液がこのスリット及び2つのスリット壁体の通路を通って滴下させ、注液用筒状体のスリットと反対方向には、注液用筒状体下端面の傾斜上端部から注液用筒状体上端面の方向に、注液用筒用筒状体上端面(6)に至ることなく、伸びる切り欠き部を設けることにより、ここから空気を上昇させることにより、スムーズに電解液と空気とを置換させるものである。つまり上下端面を同一方向に傾斜させた一つの注液用筒状体に、空気通路である周壁部切り欠き部と電解液通路であるスリット部とを設けたことにより、注液用筒状体内部に水位の差による圧力差が発生するので、この圧力差により連続して安定した注液が行えるとともに、一旦電解液の流出が始まると、スリット壁体により流量が確保されており液の流れが非常に安定するので、注液が途中で止まることがない。従って、小形の蓄電池であっても、良好に注液を行う事ができる。
【0010】
尚、開口部の空気の保持をより確実なものにするため、注液用筒状体の切り欠き部前面の注液用凹部底面および液口側壁面にも開口部を設け、スリット側の液の流れを妨げなようにスリットに対面する注液用凹部底面および注液用凹部側壁面にも注液スリットを設けてもよい。
【0011】
また、2つのスリット壁体の間隔を変えることにより流量が変化するので、注液スピードの制御も可能である。
【0012】
【実施例】
本発明を実施例を示す図面により詳述する。
【0013】
図3は、本発明の1実施例にかかる蓄電池の一部欠裁図である。同図において、1は蓄電池蓋部14に設けられた注液用凹部、3は注液口凹部の底面2を貫通して立設された注液用筒状体である。
【0014】
図4は、本発明の1実施例にかかる蓄電池の要部拡大図である。同図において、9は注液用筒状体の壁部8に形成されたスリットであり、注液用筒状体上端面6の傾斜下端部6aから注液用筒状体下端面7の傾斜下端部7aに至るよう形成されている。10はスリット部に形成された2つのスリット壁体であり、注液用筒状体内部5に突出するとともに、注液用筒状体上端面6から注液用筒状体下端面7近傍まで延びている。この例では、注液用凹部から上の部分のスリット壁体10を注液用筒状体外部にも突出させているが、これは注液用凹部に電解液容器(図示せず)の注液部を嵌め合わせ、注液用筒状体で電解液容器注液部の封口部材を破ったとき、封口部材がスリットを閉息するのを防ぐためである。
【0015】
12は注液用筒状体の壁部8に形成された切り欠き部であって、注液用筒状体下端面7の傾斜上端部(図示せず)から注液用筒状体上端面6の方向に伸びている。11は注液用凹部の底面2と側壁15とに設けられた第一の開口部であり、スリット9と連通している。切り欠き部12は注液用筒状体上端面6には至らないよう構成されているので、切り欠き部12の上部には注液用筒状体の壁部8が存在する。13は注液用凹部の底面2と側壁15とに設けられた第二の開口部であり、切り欠き部12と連通している。
【0016】
図5はその横断面図である。
【0017】
図6は、上記注液用凹部の上面図であり、13は注液用凹部の底面2と側壁(図示せず)とに設けられた第二の開口部、11は注液用凹部の底面2と側壁(図示せず)とに設けられた第一の開口部であり、スリット9と連通している。3は注液用筒状体、6は注液用筒状体上端面、5は注液用筒状体内部、10はスリット9部に形成された2つのスリット壁体である。
【0018】
図7は、本発明にかかる蓄電池の注液部に電解液容器を嵌合させる直前の状態を示す断面図であり、16は電解液容器、17は電解液容器注液部、18は電解液容器注液部の封口部材、19は電解液である。
【0019】
図8は、本発明にかかる蓄電池の注液部に電解液容器を嵌合させた状態を示す断面図であり、電解液と空気との流れを示している。前述したように、上下端面が同一方向に傾斜する注液用筒状体の傾斜下部側にスリットを形成し、傾斜上部側に切り欠き部を形成しているので、注液用筒状体内部ので水位の差hによる圧力差が発生するので、電解液容器内の電解液はスリット側から滴下し、蓄電池内部の空気は欠き部から上昇し、それぞれスムーズに置換が行われる。
【0020】
【発明の効果】
次表に上記本発明の実施例品と従来品の各々50個について行った注液性能試験結果をあげる。
【0021】
【表1】
Figure 0003582067
上表に示すように、本考案の実施例にかかるものは、従来のものに比べて、注液時間のばらつきが少ない、注液の中断がない、界面活性剤処理が不要等の効果がある。また、口径が小さい注液用筒状体を有する小形の蓄電池の場合でも、良好に電解液と空気との置換が行えるので、注液作業を安定的かつスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の蓄電池の注液部構造を示す図である。
【図2】従来の蓄電池の注液部の横断面図である。
【図3】本発明にかかる蓄電池の1部欠裁図である。
【図4】本発明にかかる蓄電池の要部を示す図である。
【図5】本発明にかかる蓄電池の注液用凹部の横断面図である。
【図6】本発明にかかる蓄電池の注液用凹部の平面図である。
【図7】本発明にかかる蓄電池の注液部に電解液容器を嵌合させる直前の状態を示す断面図である。
【図8】本発明にかかる蓄電池の注液部に電解液容器を嵌合させた状態を示す断面図であり、電解液と空気との流れを示している。
【符号の説明】
1 注液用凹部
2 注液用凹部の底面
3 注液用筒状体
5 注液用筒状体内部
6 注液用筒状体の上端面
6a 注液用筒状体の上端面の傾斜下端部
6b 注液用筒状体の上端面の傾斜上端部
7 注液用筒状体の下上端面
7a 注液用筒状体の下端面の傾斜下端部
8 注液用筒状体の壁部
9 スリット(9)
10 スリット壁体
11 第一の開口部
12 切り欠き部
13 第二の開口部
15 側壁

Claims (2)

  1. 蓄電池蓋部に形成された注液用凹部(1)と、注液用凹部の底面(2)を貫通して立設された注液用筒状体(3)と、注液用筒状体の上下端面(6、7)であって、同一方向に傾斜するものと、注液用筒状体の壁部(8)に形成されたスリット(9)であって、注液用筒状体上端面(6)の傾斜下端部(6a)から注液用筒状体下端面(7)の傾斜下端部(7a)に至るものと、スリット部に形成された2つのスリット壁体(10)であって、注液用筒状体内部(5)に突出するとともに、注液用筒状体上端面(6)から注液用筒状体下端面(7)近傍まで延びるものと、注液用筒状体の壁部(8)に形成された切り欠き部(12)であって、注液用筒状体下端面(7)の傾斜上端部から注液用筒状体上端面(6)の方向に、注液用筒用筒状体上端面(6)に至ることなく、伸びるものと、を備えたことを特徴とする蓄電池。
  2. 注液用凹部の底面(2)と側壁(15)とに設けられた第一の開口部(11)であって、スリット(9)と連通するものと、
    注液用凹部の底面(2)と側壁(15)とに設けられた第二の開口部(13)であって、切り欠き部(12)と連通するものと、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載の蓄電池。
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