JP3582063B2 - ハロゲン化銀写真用処理剤組成物及び処理方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真用処理剤組成物及び処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、露光済みのハロゲン化銀写真感光材料を処理する写真用処理液の改良に関するものである。更に詳しくは、有害な作用をする金属イオンを封鎖するため、又は漂白剤として使用するために、写真用として新規なキレート剤を含有させたハロゲン化銀写真用処理剤組成物及び処理方法。
【0002】
【発明の背景】
一般に、露光済みのハロゲン化銀写真感光材料を処理して画像を得るためには、現像液、定着液をはじめとして、各種の処理液による処理が必要である。殊にカラー画像を得るためには、更に多くの処理工程が必要である。これらの処理に際して用いられる処理液は、多数の成分を含んでいるから、その調製の時用いる水の中にカルシウム、マグネシウム、鉄などの金属イオンが含まれていると、これらと反応して沈澱やスラッジを生ずる。そして自動現像処理機に付属しているフィルターの目づまりを起したり、或いは処理中の写真感光材料面に付着して汚染を生ずる等の欠点があった。又、処理液の調製の際純水を用いてこれを防いでも、写真感光材料から処理中に金属イオンが溶出したり、前の処理工程から金属イオンが持ち込まれたりするため、処理液中の沈澱やスラッジの発生を完全に防止するのは甚だ困難であった。更に、処理液中に含まれている各種成分中のあるものは、金属イオンの作用によりその酸化や分解が促進され効力を失うため、この処理液で処理すると、カブリの発生や感光度の低下を来す等の欠点があった。
【0003】
処理液に対する金属イオンの好ましくないこれらの作用を防止するため、金属イオンを封鎖するいわゆるキレート剤を写真処理剤組成物中に添加配合することが提案され実用されている。例えば、英国特許520,593号によって提案されたヘキサメタリン酸ナトリウムのようなポリリン酸塩、米国特許321,445号によって提案されたアルキリデンジホスホン酸、米国特許3,201,246号で提案されたアミノポリメチレンホスホン酸及びエチレンジアミン四酢酸で代表されるアミノポリカルボン酸などを挙げることができる。しかしながら、これらのキレート剤を配合した場合も、実用上は種々欠点があって満足し得ないのが実情である。即ち、ポリリン酸塩は金属イオン封鎖力が小さく、重金属イオンに対しては特に弱いため実用に供し得ない。
【0004】
アルキリデンジホスホン酸は、カルシウムイオンとナトリウムイオンとが、ある濃度以上共存するとき、固形沈澱物を発生して、自動現像処理機に障害を起す問題点がある。エチレンジアミン四酢酸で代表される通常のアミノポリカルボン酸や、アミノトリメチレンホスホン酸で代表されるアミノポリメチレンホスホン酸は金属イオン封鎖力が大きく優れたものであるが、ヒドロキシルアミンを含むカラー現像液では、金属イオンの共存下にヒドロキシルアミンを分解し、この現像液で処理するとカブリを発生する欠点があり、又黒白現像液においては、現像主薬の酸化を促進して保存性を劣化させ、高感度フィルムに対して著しいカブリを起す欠点がある。
【0005】
以上のように、従来提案されたキレート剤はいずれも何等かの欠点があり、写真用処理剤組成物に用いて充分満足する効果が得られていないのが実状である。更に、近年の低公害化等の社会環境的要請及び低コスト化等の経済的要請から写真用処理液の補充量は益々低減される傾向にあり、このため写真感光材料から溶出したカルシウム等の金属イオンも蓄積量が増加する傾向にある。
【0006】
又、写真用の素材に用いられる原材料も、コスト低減の目的から、より低いグレードの安価なものが用いられる傾向にあり、金属イオンの写真用処理液に蓄積される量は増加の一途にある。
【0007】
このため、近年では従来の技術をもってしては抑えきれない状況となってきつつある。
【0008】
ところで、ハロゲン化銀カラー写真感光材料の処理において、上述のキレート剤のアミノポリカルボン酸類は、該金属錯塩の形で、画像銀を除去するための漂白剤として漂白液及び漂白定着液に広く大量に用いられている。上述アミノポリカルボン酸の金属錯塩の例として、エチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、ジエチレントリアミン五酢酸第2鉄塩などが挙げられる。
【0009】
これらの漂白剤の中で、1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩は非常に高い酸化力を有しているため、特に高感度ハロゲン化銀カラー写真感光材料用の迅速処理という目的で、漂白液に用いられている。しかしながら、1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩は、その高い酸化力が原因で、処理工程の前浴から持ち込まれる発色現像主薬を酸化させ、感光材料中の未反応カプラーと色素を形成させ、いわゆる漂白カブリを引き起こしてしまうという欠点を有している。
【0010】
又、エチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩は、1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2錯塩と比べると酸化力は劣るが、処理工程の簡易化及び処理の迅速化のために、漂白工程と定着工程を1浴で行う漂白定着工程の漂白剤としてよく用いられる。漂白定着浴では、酸化剤である漂白剤と還元性素剤である定着剤(チオ硫酸イオン)が共存するため、漂白剤がチオ硫酸イオンを酸化することによりイオウに分解してしまうという現象が起こり、漂白定着液には通常保恒剤として亜硫酸イオンを添加して、チオ硫酸イオンの硫化を防止している。しかしながら、エチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩を漂白定着浴に用いた場合、エチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩は、鉄2価から鉄3価への酸化速度が非常に速いために、漂白定着浴中では常に鉄3価の状態を保ち、保恒剤である亜硫酸イオンを分解しつづけ、その結果、チオ硫酸イオンの硫化が早められ、液保存安定性が低下してしまうという欠点がある。
【0011】
この問題を解決する方法として、特開昭59−149358号公報、同59−151154号公報及び同59−166977号公報等にジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩を用いる技術が開示されている。
【0012】
これらの技術は、確かにエチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩を用いる漂白定着液にくらべ、液保存安定性にすぐれているものであった。しかし、ジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩を用いてカラーペーパー処理を行った場合、エッジ部に汚れが認められ、エッジペネトレーションと呼ばれる故障を生じやすいという問題点があった。
【0013】
更に近年、地球環境保護の立場から、生分解性の良い素材の使用が望まれてきているが、上述のエチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩及びジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩は極めて生分解性が悪いことが知られており、好ましくない。最近ではドイツにおいて、飲料水中のEDTA濃度が高くなっていることから、今後5年間でEDTA使用量を現在の半分にするという自主規制の動きがある。
【0014】
この問題を解決する手段として、ドイツ特許DE3,939,755号明細書、同DE3,939,756号明細書記載のニトリロモノプロピオン酸ジ酢酸(NMPDA)、ニトリロジプロピオン酸モノ酢酸(NDPMA)や、良生分解キレートとして一般的なニトリロトリ酢酸(NTA)を用いる技術がすでに開示されている。しかしながら、前記NMPDAやNDPMAは、通産省が生分解性の評価方法として認可している易分解性テスト“修正MITI法”(この方法で良分解と認定されれば、自然界で速やかに分解することを意味する)ではほとんど分解しないことが確認されており、この問題の根本的解決にはならない。
【0015】
また、前記NMPDA,NDPMAの第2鉄錯塩を漂白剤として用いると、前述の漂白カブリが発生してしまうことも確認されている。
【0016】
一方のNTAについては、MITI法での生分解性は良好であるが、第2鉄錯塩にしたときの酸化力が不十分であり、実用に適さない。
【0017】
従って、漂白カブリを起こすことなく迅速な脱銀性を有する漂白液及び迅速な脱銀性を有し、更にすぐれた液保存安定性を有し、エッジ部の汚れもなく、かつすぐれた生分解性を有する漂白定着液の出現が強く望まれている。
【0018】
【発明の目的】
本発明の第1の目的は、迅速な脱銀性を有し、エッジ部の汚れもなく、かつすぐれた液保存安定性を有するハロゲン化銀写真感光材料用の漂白能を有するハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物及び処理方法を提供することにある。
【0019】
第2の目的は、金属イオンの存在による沈澱やスラッジの発生がない、安定な処理液が得られるハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物及び処理方法を提供することにある。
【0020】
第3の目的は、自動現像処理機により処理を行う際、長期に亙って安定な処理ができ、付属フィルターの目詰まりを起さないハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物及び処理方法を提供することにある。
【0021】
第4の目的は、生分解性に優れ、地球環境の保護に適したハロゲン化銀写真感光材料用処理剤組成物及び処理方法を提供することにある。
【0022】
又、その他の目的は以下の明細文の中から自ら明らかとなろう。
【0023】
【発明の構成】
上記本発明の目的は下記1〜6の写真用処理剤組成物及び処理方法によって達成される。
【0024】
1.下記一般式[I]で示される化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真用処理剤組成物(但し、特許請求の範囲に示す態様Aを除く)
【0025】
【化2】
Figure 0003582063
式中、n′は1〜3の整数を、A〜A、B〜Bは、H,OH,C2n+1,または(CHX を表し、n,mはそれぞれ1〜3、0〜3の整数を表し、Xは−COOM(MはH、カチオン、またはアルカリ金属原子を表す。)、−NH,−OHを表す。ただしB〜BのすべてがHを表すことはない。
【0026】
2.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有する漂白液、漂白定着液であることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
3.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する現像液であることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
4.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する定着液であることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
5.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する安定液であることを特徴とする前記1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
6.ハロゲン化銀写真感光材料を像様露光後、発色現像を行い、その後漂白あるいは漂白定着を行うハロゲン化銀写真感光材料の処理方法において、該漂白液あるいは漂白定着液が前記一般式[I]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有するハロゲン化銀写真の処理方法(但し、前記漂白液及び漂白定着液が特許請求の範囲に示す態様Aの場合を除く)
また、別の態様として、次の態様を挙げることができ、以下、これらも本発明と表記する場合がある。
7.下記一般式[II]で示される化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真用処理剤組成物
【0027】
【化3】
Figure 0003582063
式中、B〜B、X〜XはそれぞれH,C2n+1,または(CH)lYを表し、n,lはそれぞれ1〜3、0〜3の整数を表し、Yは−COOM(MはH、カチオン、またはアルカリ金属原子を表す。)、−NH,−OHを表す。ただしB〜BのすべてがHを表すことなく、またX〜XのすべてがHを表すことはなく、またX〜Xのうちの2つが同時にOHを表すことはない。m〜mは1〜3の整数を表し、A,Aは−COOM,−COOM(M、MはH、カチオン、アルカリ金属原子を表す)、−NH,OHを表し、Z,Zは−COOM(MはH、カチオン、アルカリ金属原子を表す)、炭素数1〜3のアルキル基、あるいはOHを表す。
【0028】
8.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[II]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有する漂白液、漂白定着液であることを特徴とする前記7記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0029】
9.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[II]で示される化合物を含有する現像液であることを特徴とする前記7記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
10.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[II]で示される化合物を含有する定着液であることを特徴とする前記7記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
11.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[II]で示される化合物を含有する安定液であることを特徴とする前記7記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物
12.ハロゲン化銀写真感光材料を像様露光後、発色現像を行い、その後漂白あるいは漂白定着を行うハロゲン化銀写真の処理方法において、該漂白液あるいは漂白定着液が前記一般式[II]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有するハロゲン化銀写真の処理方法
13.下記一般式[III]または[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
一般式[III] (R)(R)N−X−(Z−X−N(R)(R
式中、R〜Rはそれぞれ−L−Yを表す(Lは置換もしくは無置換の炭素数1〜3のアルキレン基を表し、Yは−OH,−NHまたは−COOM(Mは水素イオン、アルカリ金属イオンまたはその他のカチオン)を表す)。RはH、−CH、またはCを表わす。nは0〜4の整数を表す。Zはアルキレン基、−O−,−NH−,−N(L−Y)−または−CH(L−Y)−を表す(L,Lは置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Y,Yは水素原子、−OH,−NHまたは−COOM,−COOM(M、Mは水素イオン、アルカリ金属イオンまたはその他のカチオン)を表す)。X,Xは炭素数1〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基、または−CH(L−Y)−を表す(Lは置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Yは水素原子、−OH,−NHまたは−COOM,−COOM(M、Mは水素イオン,アルカリ金属イオンまたはその他のカチオン)を表す)。ただしn=0のときXは炭素数2〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。
一般式[IV] (R)HN−X−(Z−X−NH(R
式中、R,R,X,X,Z,nはそれぞれ一般式[III]のそれぞれと同義である。ただし、n=0のときXは炭素数3〜6の置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。
【0030】
14.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[III]及び[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物の第2鉄錯塩を含有する漂白液、漂白定着液であることを特徴とする前記13記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0031】
15.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[III]及び[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する現像液であることを特徴とする前記13記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0032】
16.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[III]及び[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する定着液であることを特徴とする前記13記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0033】
17.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[III]及び[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する安定液であることを特徴とする前記13記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0034】
18.ハロゲン化銀写真感光材料を像様露光後、発色現像を行い、その後漂白あるいは漂白定着が前記一般式[III]及び[IV]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物の第2鉄錯塩を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真の処理方法。
【0035】
19.下記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
一般式[V] (R)(R)N−(C=X)−W−(C=X)−N(R)(R
式中、R〜Rはそれぞれ水素原子または−(CHm3−CH〔(CHm2−Z2〕−(CHm1−Z1を表す。Z,Zは水素原子,−COOM(Mは水素イオン,アルカリ金属イオンまたはその他のカチオンを表す)、−OHまたは−NH,m〜mは0〜2の整数を表す。ただしR〜Rのすべてが水素原子とはならない。Wは炭素数0〜5の置換もしくは無置換のアルキレン基、−(DO)m4−Dまたは−O−(Dm5−O−(D〜Dは炭素数1〜3のメチレン鎖を表す)を表す。また、m,mは1〜3の整数を表す。X,Xは酸素原子または硫黄原子を表す。
一般式[VI] (R)(R)N−(C=X)−(R
式中、R〜RおよびXはそれぞれ一般式[V]のそれぞれと同義である。ただしR〜Rのすべてが水素原子とはならない。
一般式[VII] (R)N−〔(C=X)−R〕−〔(C=X)−R
式中、R〜RおよびX,Xはそれぞれ一般式[V]のそれぞれと同義である。ただしR〜Rのすべてが水素原子とはならない。
【0036】
20.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物の第2鉄錯塩を含有する漂白液、漂白定着液であることを特徴とする前記19記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0037】
21.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する現像液であることを特徴とする前記19記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0038】
22.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する定着液であることを特徴とする前記19記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0039】
23.前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する安定液であることを特徴とする前記19記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
【0040】
24.ハロゲン化銀写真を像様露光後、発色現像を行い、その後漂白あるいは漂白定着が前記一般式[V],[VI]及び[VII]で示される化合物の中から選ばれる少なくとも1種の化合物の第2鉄錯塩を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真の処理方法。
【0041】
以下、本発明について詳細を説明する。
以下に一般式[I]で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
【化4】
Figure 0003582063
【0043】
【化5】
Figure 0003582063
【0044】
【化6】
Figure 0003582063
これらの中でも、特に好ましい化合物は(I−1),(I−3),(I−6),(I−8),(I−14)及び(I−20)である。
【0045】
前記一般式[I]で示される化合物の合成例として、例示化合物(I−1)についての合成法の一例を以下に示す。
【0046】
例示化合物(I−1)の合成例
L−アスパラギン酸133.1g(1mol)を水100mlに懸濁させ、氷冷下撹拌しながら、水酸化ナトリウム128g(3.2mol)の30%水溶液を加える。これにアクリル酸86.5g(1.2mol)を室温下で撹拌しながら滴下した後一夜還流する。氷冷下6N塩酸でpH2.2に調製すると、ゆっくりと白色結晶が析出する。精製は、水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、6N塩酸を加えてpH2.2に調製して析出させる。これを瀘過し、水、エタノール、エーテルで洗浄し、90℃で1日乾燥する。収量96.6g(収率47.1%)
元素分析値 :C,40.980%;H,5.404%;N,6.827%
計算値(C11NO) :C,41.026%;H,5.353%;N,6.800%
前記一般式[I]で示される他の例示化合物についても、同様の一般に知られる方法で合成することができる。
【0047】
以下に前記一般式[II]で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるもではない。
【0048】
【化7】
Figure 0003582063
【0049】
【化8】
Figure 0003582063
これらの中でも特に好ましい化合物は(II−1),(II−2),(II−3),(II−4),(II−11),(II−12)及び(II−17)である。
【0050】
前記一般式[II]で示される化合物の合成例として、例示化合物(II−12)についての合成法の一例を以下に示す。
【0051】
例示化合物(II−1)の合成例
グリシン75g(1mol)を水100mlに入れて、氷冷下撹拌しながら、水酸化ナトリウム128g(3.2mol)の30%水溶液を加える。これにメタアクリル酸206.4g(2.4mol)を室温下で撹拌しながら滴下した後一夜還流する。氷冷下6N塩酸でpH2に調製すると、ゆっくりと白色結晶が析出する。精製は、水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、6N塩酸を加えてpH2に調製して析出する。これを瀘過し、水、エタノール、エーテルで洗浄し、90℃で1日乾燥する。
【0052】
収量160.5g(収率65.0%)
また、プロトンNMR,FD−MS,IRにより構造を確認した。
【0053】
前記一般式[II]で示される他の例示化合物についても、同様の一般に知られる方法で合成することができる。
【0054】
以下、一般式[III]または[IV]で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
【化9】
Figure 0003582063
【0056】
【化10】
Figure 0003582063
【0057】
【化11】
Figure 0003582063
【0058】
【化12】
Figure 0003582063
【0059】
【化13】
Figure 0003582063
【0060】
【化14】
Figure 0003582063
【0061】
【化15】
Figure 0003582063
【0062】
【化16】
Figure 0003582063
これらの中で特に好ましい化合物は(III−1),(III−6),(III−7),(III−17),(III−18),(IV−1),(IV−7),(IV−16)及び(IV−18)であり、最も好ましい化合物は(III−1)である。
【0063】
前記一般式[III]または[IV]で表される化合物については上野景平著「キレート化学」第5巻、第1章(南光堂)の記載の方法、その他一般に知られている方法に基づいて合成できる。
【0064】
代表的化合物(III−1)である1.3−プロパンジアミン−N,N,N′−3酢酸の具体的合成例としては、第42回錯体化学討論会要旨集(1992年)67頁に詳細な記載がしてある。
【0065】
以下、前記一般式[V],[VI],[VII]で示される化合物の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
【化17】
Figure 0003582063
【0067】
【化18】
Figure 0003582063
【0068】
【化19】
Figure 0003582063
【0069】
【化20】
Figure 0003582063
【0070】
【化21】
Figure 0003582063
【0071】
【化22】
Figure 0003582063
【0072】
【化23】
Figure 0003582063
【0073】
【化24】
Figure 0003582063
【0074】
【化25】
Figure 0003582063
これらの中で、特に好ましい化合物は(V−1),(V−2),(VI−1)及び(VI−14)及び[VII−2]である。
【0075】
前記一般式[V]〜[VII]で示される化合物の合成例として、例示化合物(V−1)についての合成法の一例を以下に示す。
【0076】
例示化合物(V−1)の合成例
イミノジ酢酸266.2g(2mol)と水酸化ナトリウム280g(7mol)を氷冷下に水1500mlに溶解し、氷冷下(5℃)でかき混ぜながら塩化マロニル141g(1mol)をゆっくり滴下する。2時間かき混ぜた後、6N塩酸を加えpHを2に調整しさらにエタノール1リットルを加えた。得られた結晶を、水/エタノールを用いて再結晶することにより白色結晶の目的物V−1を251g(収率75%)を得た。またプロトンNMR,FD−MS,IRより構造を確認した。
【0077】
前記一般式[V]〜[VII]で示される他の化合物についても同様の一般に知られている方法で合成することができる。
【0078】
まず、本発明の処理液が漂白能を有する処理液すなわち、漂白液又は漂白定着液の場合について説明する。
【0079】
本発明において、漂白液又は漂白定着液には、前記一般式[I]〜[VII]で示される化合物を第2鉄錯塩の形で使用することが特に好ましい。
【0080】
これらの化合物の漂白能を有する処理液への添加量は、1l当たり0.05〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0モルの範囲で含有することである。
【0081】
本発明において漂白液又は漂白定着液には、漂白剤として上記一般式[I]〜[VII]で示される化合物の鉄錯塩以外に下記化合物の第2鉄錯塩等を用いることができる。
〔A′−1〕エチレンジアミン四酢酸
〔A′−2〕トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸
〔A′−3〕ジヒドロキシエチルグリシン酸
〔A′−4〕エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸
〔A′−5〕ニトリロトリスメチレンホスホン酸
〔A′−6〕ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸
〔A′−7〕ジエチレントリアミン五酢酸
〔A′−8〕エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸
〔A′−9〕ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸
〔A′−10〕エチレンジアミンプロピオン酸
〔A′−11〕エチレンジアミンジ酢酸
〔A′−12〕ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
〔A′−13〕ニトリロトリ酢酸
〔A′−14〕ニトリロ三プロピオン酸
〔A′−15〕トリエチレンテトラミン六酢酸
〔A′−16〕エチレンジアミン四プロピオン酸
上記有機酸第2鉄錯塩の添加量は漂白液又は漂白定着液1l当たり0.05〜2.0モルの範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.10〜1.5モル/lの範囲である。
【0082】
漂白液及び漂白定着液には、特開昭64−295258号公報に記載のイミダゾール及びその誘導体又は同公報記載の一般式〔I〕〜〔IX〕で示される化合物及びこれらの例示化合物の少なくとも一種を含有させることにより処理の迅速性に対して効果を奏しうる。
【0083】
上記の促進剤の他、特開昭62−123459号公報の第51頁から第115頁に記載の例示化合物及び特開昭63−17445号公報の第22頁から第25頁に記載の例示化合物、特開昭53−95630号、同53−28426号等各公報記載の化合物等も同様に用いることができる。
【0084】
漂白液及び漂白定着液の温度は20℃〜50℃で使用されるのがよいが、望ましくは25℃〜45℃である。
【0085】
漂白液のpHは6.0以下が好ましく、より好ましくは1.0以上5.5以下にすることである。漂白定着液のpHは5.0〜9.0が好ましく、より好ましくは6.0〜8.5である。なお、漂白液又は漂白定着液のpHはハロゲン化銀感光材料の処理時の処理槽のpHであり、いわゆる補充液のpHとは明確に区別されうる。
【0086】
漂白液又は漂白定着液には、上記以外に臭化アンモニウム、臭化カリウム、臭化ナトリウムの如きハロゲン化物、各種の蛍光増白剤、消泡剤或いは界面活性剤を含有せしめることもできる。
【0087】
漂白液又は漂白定着液の好ましい補充量はハロゲン化銀カラー写真感光材料1m当たり500ml以下であり、好ましくは20mlないし400mlであり、最も好ましくは40mlないし350mlであり、低補充量になればなる程、本発明の効果がより顕著となる。
【0088】
本発明においては漂白液又は漂白定着液の活性度を高める為に処理浴中及び処理補充液貯蔵タンク内で所望により空気の吹き込み、又は酸素の吹き込みを行ってよく、或いは適当な酸化剤、例えば過酸化水素、臭素酸塩、過硫酸塩等を適宜添加してもよい。
【0089】
本発明に係わる漂白定着液又は定着液に用いられる定着剤としては、チオシアン酸塩、チオ硫酸塩が好ましく用いられる。チオシアン酸塩の含有量は少なくとも0.1モル/l以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/l以上であり、特に好ましくは1.0モル/l以上である。またチオ硫酸塩の含有量は少なくとも0.2モル/l以上が好ましく、カラーネガフィルムを処理する場合、より好ましくは0.5モル/l以上である。
【0090】
本発明に係わる漂白定着液又は定着液には、これら定着剤の他に各種の塩から成るpH緩衝剤を単独或いは2種以上含むことができる。更にアルカリハライド又はアンモニウムハライド、例えば臭化カリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化アンモニウム等の再ハロゲン化剤を多量に含有させることが望ましい。またアルキルアミン類、ポリエチレンオキサイド類等の通常漂白定着液に添加することが知られている化合物を適宜添加することができる。
【0091】
尚、本発明に係わる漂白定着液から公知の方法で銀回収してもよい。
漂白定着液には、特開昭64−295258号明細書第56頁に記載の下記一般式〔FA〕で示される化合物及びこの例示化合物を添加するのが好ましく、本発明の効果をより良好に奏するばかりか、少量の感光材料を長時間にわたって処理する際に定着能を有する処理液中に発生するスラッジも極めて少ないという別なる効果が得られる。
【0092】
一般式〔FA〕
【0093】
【化26】
Figure 0003582063
同明細書の一般式〔FA〕で示される化合物は米国特許3,335,161号明細書及び米国特許3,260,718号明細書に記載されている如き一般的な方法で合成できる。これら、前記一般式〔FA〕で示される化合物はそれぞれ単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0094】
又、これら一般式〔FA〕で示される化合物の添加量は処理液1l当たり0.1〜200gの範囲で好結果が得られる。
【0095】
漂白液及び漂白定着液による処理時間は任意であるが、各々3分30秒以下であることが好ましく、より好ましくは10秒〜2分20秒、特に好ましくは20秒〜1分20秒の範囲である。また漂白定着液による処理時間は4分以下が好ましく、より好ましくは10秒〜2分20秒の範囲である。
【0096】
本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感光材料用処理液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際には、本発明の目的の効果がより良好であるばかりでなく、臭気も少ないために、本発明の好ましい態様の1つである。とりわけ30モル%以下が好ましく、特に好ましくは10モル%以下である。
【0097】
本発明に係る漂白液及び漂白定着液には、特願平4−64897号記載の一般式[II]で示される化合物及びヒドロキシ酢酸を含有することができる。
【0098】
次に本発明の処理液が漂白液又は漂白定着液以外である場合について説明する。本発明の処理液が漂白液又は漂白定着液以外の処理液である場合、これらの処理液1l当り前記一般式[I]〜[VII]の化合物を0.1〜50g、好ましくは0.5〜10g添加することによって良好な結果が得られる。配合に際しては、2種以上の前記一般式で示される化合物を用いてもよく、又他のキレート剤と組み合わせて使用しても差支えない。配合には、処理液を調製するとき他の成分と共に処理液中に加えてもよいし、又、他の成分と共に粉末状のままキットの中に、或いは濃厚液キットの中に配合してもよい。
【0099】
本発明の写真用処理剤組成物は、ハロゲン化銀写真感光材料を処理するためのあらゆる処理液に適用することができる。例えば、一般の黒白用現像液、リス用伝染現像液、カラー用発色現像液、漂白液、定着液、漂白定着液、停止液、硬膜液、安定液、カブリ液及び調色液等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、本発明の写真用処理剤組成物はカラーフィルム、カラー印画紙、一般用黒白フィルム、X線用フィルム、印刷用リスフィルム及びマイクロフィルム等、全てのハロゲン化銀写真感光材料の処理に使用することができる。
【0100】
本発明において採用される漂白定着処理の後には、安定液による安定化処理が採用されることが好ましい。
【0101】
安定液には鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤を含有することが、本発明の目的のために特に好ましい。ここにキレート安定度定数とは、L.G.Sillen, A.E.Marttell著“ StabilityConstants of Metal−ion Complexes ” The Chemical Society,London(1964)、S.Chaberek, A.E.Martell著“ Organic Sequestering Agents ” Wiley(1959)等により一般に知られた定数を意味する。
【0102】
鉄イオンに対するキレート安定度定数が8以上であるキレート剤としては、有機カルボン酸キレート剤、有機リン酸キレート剤、無機リン酸キレート剤、ポリヒドロキシ化合物等が挙げられる。なお上記鉄イオンとは、第2鉄イオン(Fe3+)を意味する。
【0103】
第2鉄イオンとのキレート安定度定数が8以上であるキレート剤の具体的化合物例としては、本発明及びの一般式[I]〜[VII]で示される化合物以外に、下記化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。即ち、エチレンジアミンジオルトヒドロキシフェニル酢酸、ジアミノプロパン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレンジアミン二酢酸、エチレンジアミン二プロピオン酸、イミノ二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジアミノプロパノール四酢酸、トランスシクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、1,1−ジホスホノエタン−2−カルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシ−1−ホスホノプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、カテコール−3,5−ジホスホン酸、ピロリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、へキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられ、特に好ましくはジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等であり、中でも1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸が最も好ましく用いられる。
【0104】
上記キレート剤の使用量は安定液1リットル当り0.01〜50gが好ましく、より好ましくは0.05〜20gの範囲で良好な結果が得られる。
【0105】
また安定液に添加する好ましい化合物としては、アンモニウム化合物が挙げられる。これらは各種の無機及び有機のアンモニウム塩によって供給されるが、具体的には例えば水酸化アンモニウム、臭化アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、亜リン酸アンモニウム、フッ化アンモニウム、酸性フッ化アンモニウム、フルオロホウ酸アンモニウム、ヒ酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム、ラウリントリカルボン酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、ジエチルジチオカルバミン酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、リンゴ酸水素アンモニウム、シュウ酸水素アンモニウム、フタル酸水素アンモニウム、酒石酸水素アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸第2鉄アンモニウム、乳酸アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ピクリン酸アンモニウム、ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、スルファニル酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、チオグリコール酸アンモニウム、2,4,6−トリニトロフエノールアンモニウム等である。これらは単用でも2以上の併用でもよい。アンモニウム化合物の添加量は安定液1リットル当り0.001モル〜1.0モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.002〜0.8モルの範囲である。
【0106】
更に安定液には、亜硫酸塩を含有させることが好ましい。該亜硫酸塩は、亜硫酸イオンを放出するものであれば、有機物、無機物いかなるものでもよいが、好ましくは無機塩である。好ましい具体的化合物としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム及びハイドロサルファイト等が挙げられる。上記亜硫酸塩は安定液中に少なくとも1×10−3モル/リットルになるような量が添加されることが好ましく、更に好ましくは5×10−3モル/リットル〜10−1モル/リットルになるような量が添加されることであり、特にステインに対して防止効果がある。添加方法としては安定液に直接添加してもよいが、安定補充液に添加することが好ましい。
【0107】
この他に一般に知られている安定液に添加できる化合物としては、ポリビニルピロリドン(PVPK−15、K−30、K−90)、有機酸塩(例えばクエン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸等)、pH調整剤(例えばリン酸塩、ホウ酸塩、塩酸、硫酸等)、防カビ剤(例えばフェノール誘導体、カテコール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、サイアベンダゾール誘導体、有機ハロゲン化合物、その他紙−パルプ工業のスライムコントロール剤として知られている防カビ剤等)あるいは蛍光増白剤、界面活性剤、防腐剤、Bi、Mg、Zn、Ni、Al、Sn、Ti、Zr等の金属塩等がある。これらの化合物は本発明の効果を損なわない範囲で任意に1又は2以上を選択使用できる。
【0108】
安定化処理の後には水洗処理を全く必要としないが、極く短時間内での少量水洗によるリンス、表面洗浄等は必要に応じて任意に行うことができる。
【0109】
安定液に可溶性鉄塩が存在することが本発明の効果を奏する上で好ましい。可溶性鉄塩は安定液に少なくとも5×10−3モル/リットルの濃度で用いられることが好ましく、より好ましくは8×10−3〜150×10−3モル/リットルの範囲であり、さらに好ましくは12×10−3〜100×10−3モル/リットルの範囲である。また、これら可溶性鉄塩は安定液補充液中に添加することで、安定液(タンク液)に添加してもよいし、感光材料から安定液中で溶出させることで安定液(タンク液)に添加してもよいし、さらに前浴から処理する感光材料に付着させ持ち込むことで安定液(タンク液)に添加してもよい。
【0110】
また、本発明においては、イオン交換樹脂処理を行ないカルシウムイオン及びマグネシウムイオンを5ppm以下にした安定液を使用してもよいし、更にこれに前記防バイ剤やハロゲンイオン放出化合物を含有させる方法を用いてもよい。
【0111】
本発明において、安定液のpHは、5.5〜10.0の範囲が好ましい。安定液に含有することができるpH調整剤は、一般に知られているアルカリ剤または酸剤のいかなるものでもよい。
【0112】
安定化処理に際しての処理温度は15℃〜70℃が好ましく、より好ましくは20℃〜55℃の範囲である。また処理時間は120秒以下であることが好ましいが、より好ましくは3秒〜90秒であり、最も好ましくは6秒〜50秒である。
【0113】
安定液補充量は、迅速処理性及び色素画像の保存性の点から感光材料単位面積当り前浴(漂白定着液)の持込量の0.1〜50倍が好ましく、特に0.5〜30倍が好ましい。
【0114】
安定化槽は複数の槽より構成されることが好ましく、好ましくは2槽以上6槽以下にすることであり、特に好ましくは2〜3槽、更に好ましくは2槽としカウンターカレント方式(後浴に供給して前浴からオーバーフローさせる方式)にすることが好ましい。
【0115】
発色現像処理工程に用いられる発色現像主薬としては、アミノフェノール系化合物及びp−フェニンレンジアミン系化合物があるが、本発明においては、水溶性基を有するp−フェニンレンジアミン系化合物が好ましい。かかる水溶性基は、p−フェニレンジアミン系化合物のアミノ基またはべンゼン核上に少なくとも1つ有するもので、具体的な水溶性基としては、−(CH−CHOH、−(CH−NHSO−(CH−CH、−(CH−O−(CH−CH、−(CHCHO)−C2m+1(m及びnはそれぞれ0以上の整数を表す。)、−COOH基、−SOH基等が好ましいものとして挙げられる。
【0116】
本発明に好ましく用いられる発色現像主薬の具体的例示化合物を以下に示す。
【0117】
【化27】
Figure 0003582063
【0118】
【化28】
Figure 0003582063
上記例示した発色現像主薬の中でも本発明に用いて好ましいのは(A−1)、(Α−2)、(A−3)、(A−4)、(A−6)、(A−7)及び(A−15)で示した化合物であり、特に(A−1)又は(A−3)である。
【0119】
上記発色現像主薬は通常、塩酸塩、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等の塩のかたちで用いられる。発色現像主薬の添加量は、発色現像液1リットル当り0.5×10−2モル以上であることが好ましく、より好ましくは1.0×10−2〜1.0×10−1モルの範囲であり、最も好ましく1.5×10−2〜7.0×10−2モルの範囲であることである。
【0120】
発色現像処理工程に用いられる発色現像液は、現像液に通常用いられるアルカリ剤、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム又は硼砂等を含むことができる。更に種々の添加剤、例えばべンジルアルコール、ハロゲン化アルカリ、例えば臭化カリウム又は塩化カリウム等、あるいは現像調節剤として、例えばシトラジン酸等、保恒剤としてヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体(例えばジエチルヒドロキシルアミン、ジスルホエチルヒドロキシルアミン、ジカルボキシエチルヒドロキシルアミン等)、ヒドラジン誘導体(例えばヒドラジノジ酢酸)又は亜硫酸塩等を含むことができる。さらにまた、各種消泡剤や界面活性剤を、またメタノール、ジメチルフォルムアミド又はジメチルスルフォキシド等の有機溶剤等を適宜含有せしめることができる。
【0121】
発色現像液のpHは通常7以上であり、好ましくは約9〜13である。
発色現像液には必要に応じて酸化防止剤として、例えばテトロン酸、テトロンイミド、2−アニリノエタノール、ジヒドロキシアセトン、芳香族第2アルコール、ヒドロキサム酸、ぺントースまたはへキソース、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル等が合有されてもよい。
【0122】
発色現像液中には、金属イオン封鎖剤として、種々なるキレート剤を併用することができる。本発明の一般式[I]〜[VII]で示される化合物はもちろん、その他にキレート剤として例えばエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等の有機ホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)もしくはエチレンジアミンテトラリン酸等のアミノポリホスホン酸、クエン酸もしくはグルコン酸等のオキシカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホノカルボン酸、トリポリリン酸もしくはへキサメタリン酸等のポリリン酸等が挙げられる。
【0123】
連続処理における発色現像液の好ましい補充量はカラーネガテイブフイルムについては感光材料1m当り1500ml以下が好ましく、より好ましくは250ml〜900mlであり、更に好ましくは300ml〜700mlである。カラーペーパーの処理の場合は20〜300ml、好ましくは30〜160mlである。
【0124】
【実施例】
次に、本発明の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【0125】
実施例1
ハロゲン化銀カラー写真感光材料(カラーペーパー)の作成
紙支持体の片面にポリエチレンを、別の面の第1層側に酸化チタンを含有するポリエチレンをラミネートした支持体上に以下に示す構成の各層を塗設し、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料を作成した。塗布液は下記のごとく調製した。
第1層塗布液
イエローカプラー(Y−1)26.7g、色素画像安定化剤(ST−1)100g、(ST−2)6.67g、添加剤(HQ−1)0.67gを高沸点有機溶媒(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する10%ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。この分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳剤(銀9.5g含有)と混合し第1層塗布液を調製した。
【0126】
第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液と同様に調製した。
又、硬膜剤として第2層及び第4層に(H−1)を、第7層に(H−2)を添加した。塗布助剤としては、界面活性剤(SU−2)、(SU−3)を添加し、表面張力を調整した。
【0127】
【表1】
Figure 0003582063
【0128】
【表2】
Figure 0003582063
【0129】
【化29】
Figure 0003582063
【0130】
【化30】
Figure 0003582063
【0131】
【化31】
Figure 0003582063
【0132】
【化32】
Figure 0003582063
〔青感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〕
40℃に保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制御しつつ30分かけて同時添加し、さらに下記(C液)及び(D液)をpAg=7.3、pH=5.5に制御しつつ180分かけて同時添加した。
【0133】
この時、pAgの制御は特開昭59−45437号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸又は水酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。
【0134】
Figure 0003582063
添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、粒径分布の変動係数7%、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0135】
上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン化銀乳剤(Em−A)を得た。
【0136】
Figure 0003582063
〔緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〕
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.43μm、粒径分布の変動係数8%、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0137】
EMP−2に対し、下記化合物を用いて55℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤(Em−B)を得た。
【0138】
Figure 0003582063
〔赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法〕
(A液)と(B液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.50μm、粒径分布の変動係数8%、塩化銀含有率99.5モル%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0139】
EMP−3に対し、下記化合物を用いて60℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(Em−C)を得た。
【0140】
Figure 0003582063
【0141】
【化33】
Figure 0003582063
この試料を常法に従って露光後、次の処理工程と処理液を使用して処理を行った。
【0142】
Figure 0003582063
発色現像液
Figure 0003582063
水を加えて全量を1リットルとし、水酸化カリウム又は硫酸でpH10.10に調整する。
発色現像補充液
Figure 0003582063
水を加えて全量を1リットルとし、水酸化カリウム又は硫酸でpH10.40に調整する。
【0143】
漂白定着液
Figure 0003582063
アンモニア水、水酸化カリウム、酢酸を適宜用いてpH7.0にし、全量を1リットルに仕上げる。
【0144】
ただし、表3及び表中に示す様に、漂白定着液中のアンモニウムチオンの比率(モル%)を調整するために、上記添加剤のアンモニウム塩とカリウム塩を適宜用いた。
【0145】
漂白定着補充液
上記、漂白定着液中の各添加剤の濃度を1.6にし、pH5.8にして用いた。
【0146】
安定液及び補充液
Figure 0003582063
アンモニア水又は硫酸でpH7.8とすると共に水で1リットルとする。
【0147】
作成したカラーペーパー及び処理液を用いて、ランニング処理を行った。
ランニング処理は自動現像機に上記の発色現像タンク液を満たすと共に、漂白定着タンク液及び安定タンク液を満たし、前記カラーペーパー試料を処理しながら3分間隔毎に上記した発色現像補充液と漂白定着補充液と安定補充液を定量ポンプを通じて補充しながら行った。
【0148】
ランニング処理は漂白定着タンク液中に補充された漂白定着タンク液の量が漂白定着タンク液の容量の3倍になるまで、連続処理を行った。なお1Rというのは漂白定着タンク容量分の漂白定着補充液が補充されることを意味する。
【0149】
処理後、曝射露光部を2つに分け、1つは蛍光X線残存銀量を測定した。さらに、ランニングテスト終了時の処理済みカラーペーパーのエッジ部の汚れの状況を観察した。又、ランニング終了時の漂白定着タンク液の様子(硫化物の生成)の目視評価を行った。これらの結果をこれらの結果を表3及び表4に示す。
【0150】
尚、表3及び表4中の硫化の発生状況の欄の記号の意味は下記のとおりである。
【0151】
◎硫化物は全く認められない
○液表面に極めて僅かに浮遊物が認められる
△僅かに硫化物の発生が認められる
× 明らかに硫化物の発生が認められる
×× 多量の硫化物の発生が認められる
又、エッジ汚れの欄の記号の意味は下記のとおりである
◎エッジ汚れが全く認められない
○極めて僅かにエッジ汚れが認められる
Δ 僅かにエッジ汚れが認められる
× 明らかに間題となる程エッジ汚れが認められる
×× 著しくエッジ汚れが認められる
【0152】
【表3】
Figure 0003582063
【0153】
【表4】
Figure 0003582063
【0154】
上記表3及び表4より、本発明の有機酸第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、エッジ汚染も良好であり、漂白定着液の保存性も良好であることが分かる。更に、漂白定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で最も良好であることが判かる。
【0155】
実施例2
以下の実施例において、ハロゲン化銀写真感光材料中の添加量は特に記載のない限り1m当たりのグラム数を示す。またハロゲン化銀とコロイド銀は銀に換算して示した。以下の如くにして、沃臭化銀カラー写真感光材料を作成した。
【0156】
沃臭化銀カラー写真感光材料トリアセチルセルロースフィルム支持体(60μm)の片面(表面)に下引加工を施し、次いで支持体をはさんで、当該下引加工を施した面と反対側の面(裏面)に下記に示す組成の各層を順次支持体側から形成した。
Figure 0003582063
次いで、下引加工したトリアセチルセルロースフィルム支持体の表面上に、下記に示す組成の各層を順次支持体側から形成して多層カラー写真感光材料(a−1)を作成した。
Figure 0003582063
Figure 0003582063
Figure 0003582063
Figure 0003582063
尚、上記のカラー写真感光材料は、更に、化合物Su−1、Su−2、粘度調整剤、硬膜剤H−1、H−2、安定剤ST−1、カブリ防止剤AF−1、AF−2(重量平均分子量10000のもの及び1100000のもの)、染料AI−1、AI−2及び化合物DI−1(9.4mg/m)を含有する。
【0157】
【化34】
Figure 0003582063
【0158】
【化35】
Figure 0003582063
【0159】
【化36】
Figure 0003582063
【0160】
【化37】
Figure 0003582063
【0161】
【化38】
Figure 0003582063
【0162】
【化39】
Figure 0003582063
【0163】
【化40】
Figure 0003582063
【0164】
【化41】
Figure 0003582063
【0165】
【化42】
Figure 0003582063
[乳剤の調製]
第10層に使用した沃臭化銀乳剤は以下の方法で調製した。平均粒径0.33μmの単分散沃臭化銀粒子(沃化銀含有率2モル%)を種結晶として、沃臭化銀乳剤をダブルジェット法により調製した。
【0166】
溶液〈G−1〉を温度70℃、pAg7.8、pH7.0に保ち、よく撹拌しながら0.34モル相当の種乳剤を添加した。
【0167】
(内部高沃度相−コア相−の形成)
その後、〈H−1〉と〈S−1〉を1:1の流量比を保ちながら、加速された流量(終了時の流量が初期流量の3.6倍)で86分を要して添加した。
【0168】
(外部低沃度相−シェル相−の形成)
続いて、pAg10.1、pH6.0に保ちながら、〈H−2〉と〈S−2〉を1:1の流量比で加速された流量(終了時の流量が初期流量の5.2倍)で65分を要して添加した。
【0169】
粒子形成中のpAgとpHは、臭化カリウム水溶液と56%酢酸水溶液を用いて制御した。粒子形成後に、常法のフロキュレーション法によって水洗処理を施し、その後ゼラチンを加えて再分散し、40℃にてpH及びpAgをそれぞれ5.8及び8.06に調整した。
【0170】
得られた乳剤は、平均粒径0.80μm、粒径分布の変動係数が12.4%、沃化銀含有率9.0モル%の八面体沃臭化銀粒子を含む単分散乳剤であった。
Figure 0003582063
化合物−1の構造式を以下に示す。
【0171】
【化43】
Figure 0003582063
同様の方法で、種結晶の平均粒径、温度、pAg、pH、流量、添加時間及びハライド組成を変化させ、平均粒径及び沃化銀含有率が異なる前記各乳剤を調製した。
【0172】
いずれも粒径分布の変動係数20%以下のコア/シェル型単分散乳剤であった。各乳剤は、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸及びチオシアン酸アンモニウムの存在下にて最適な化学熟成を施し、増感色素、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを加えた。
【0173】
ただし、上記沃臭化銀カラー写真感光材料試料は平均沃化銀含有率が8モル%になるように調製した。
【0174】
このようにして作成した感光材料試料を常法に従ってウェッジ露光後、下記の処理工程に従ってランニング処理を行った。ただし、ランニング処理は、漂白定着タンク槽の容量の2倍量が補充されるまで
(2R)、連続的に行った。
【0175】
Figure 0003582063
発色現像液
Figure 0003582063
水を加えて1lとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.00に調整する。
発色現像補充液
Figure 0003582063
水を加えて1lとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.15に調整する。
漂白タンク液
Figure 0003582063
アンモニア水、酢酸によりpHを4.5に調整し、水を加えて1リットルに仕上げる。
【0176】
ただし、表5及び表6に示す様に、漂白定着液中のアンモニウムイオンの比率(モル%)を調整するため、上記添加剤のアンモニウム塩とカリウム塩を適宜用いた。
【0177】
漂白補充液
上記漂白液中の各添加剤の濃度を1.2倍とし、pHを3.5として用いた。
定着液(タンク液及び補充液)
Figure 0003582063
安定化液(タンク液及び補充液)
Figure 0003582063
【0178】
【化44】
Figure 0003582063
KOHにてpH8.0に調整し、水を加えて1リットルに仕上げる。
【0179】
実施例1と同様のランニング処理を行い、フィルム試料の未露光部のマゼンタ透過濃度(緑色光濃度)を測定し、同時に曝射露光部の残留銀量を蛍光X線法で測定した。
【0180】
以上の結果を表5及び表6にまとめて示す。
【0181】
【表5】
Figure 0003582063
【0182】
【表6】
Figure 0003582063
【0183】
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.00に調整する。
【0184】
上記現像液を試料(A)とし、これに前記例示化合物(I−1)を2g/lの割合で加えたものを試料(B)とした。同様の例示化合物(I−3)を2g/l加えたものを試料(C)、(I−6)を2g加えたものを(D)、(I−8)を2g加えたものを(E)、(I−14)を2g加えたものを(F)、(I−20)を2g加えたものを(G)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(HMPと略す)を2g/l加えたものを試料(H)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDPと略す)の60%溶液を3.3g/lを加えたものを試料(I)、エチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/l加えたものを試料(J)及びニトリロトリメチレンホスホン酸(NTPと略す)を2g/l加えたものを試料(K)とし7種の試料を作成した。 各試料は加えた物質によりpHが変化しているので、水酸化カリウム又は希硫酸を用いて、pHをそれぞれ10.0となるよう調整し、次の各実験を行った。各実験の結果は最後にまとめて示す。
【0185】
実験1上記の現像液試料(A)〜(K)に、第2鉄イオン1,5ppmと銅イオン0.7ppmをそれぞれ添加し、35℃で8日間放置した後、ヒドロキシルアミンを定量分析し、その減少率を求めた。
【0186】
実験2実施例2で使用したものと同じ感光材料に、感光計を用いて白色階段露光を与えた後、実験1で7日間放置した後の現像液試料(A)〜(K)をそれぞれ用いて、次の工程に従って発色現像処理を行った。
【0187】
Figure 0003582063
上記工程に用いた処理液の組成は以下の通りである。
漂白液
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0188】
定着液及び安定液
実施例2で使用したものと同じ。
【0189】
上記発色現像処理を終ったものについて、PDA65型光電濃度計(コニカ株式会社製)を用いて未露光部ブルー反射濃度のカブリ濃度を測定した。
【0190】
実験3
現像液試料(A)〜(K)にそれぞれカルシウムイオン200ppmとナトリウムイオン3000ppmとを加え、室温で8日間放置し沈澱の発生状況を観察した。
【0191】
以上の実験1〜3の結果をまとめて表7に示す。
【0192】
【表7】
Figure 0003582063
【0193】
上表の結果が示すように、本発明による現像液試料((G)はヒドロキシルアミンの分解が少なく、カブリも少なく金属イオンの存在による沈澱の発生もないことがわかる。
【0194】
一方、比較の試料(I)においては、ヒドロキシルアミンの分解抑制とカブリ発生についてはある程度効果があるものの、金属イオンの存在による沈澱発生には全く効果がなく使用に耐えない。
【0195】
更に比較試料(J)は、沈澱発生に対しては本発明に用いるキレート剤同様効果があるが、ヒドロキシルアミンの分解を促進し、著しいカブリを発生し使用に耐えない。試料(A)、(H)及び(K)も、ヒドロキシルアミンを分解しカブリを生じる上、金属イオンの存在による沈澱発生防止力も弱く、実用に適しないものである。
実施例4
写真用処理剤組成物として、下記組成のリバーサルフィルム用第1現像液(黒白現像液)を調整した。
【0196】
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。
【0197】
上記現像液を試料(L)とし、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/lの割合で加えたものを試料(M)とした。同様に例示化合物(I−1)を2g/lの割合で加えたものを試料(N)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPと略す)を2g/lを加えたものを試料(O)とし、計4種の試料を作成した。各試料は水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて、pHが9.90となるように調整した。
【0198】
以上の各試料に、第2鉄イオンを2.5ppm及びカルシウムイオンを200ppm添加し、37℃で8日間保存した後、定量分析を行ってフェニドンの減少率を測定し、又沈澱の発生状況を観察した。
【0199】
得られた結果を表8に示す。
【0200】
【表8】
Figure 0003582063
【0201】
上記の結果が示すように、比較試料(M)は金属イオンの存在による沈澱の発生を有効に防止するものの、現像主薬であるフェニドンの分解を促進させる。
【0202】
一方の比較試料(L)及び(O)はフェニドンの分解に効果がないか、あるいは少なく、沈澱発生防止にも余り効果がない。これに反し、参考のキレート剤を含む試料(N)は、沈澱発生を有効に防止すると共に、フェニドンの分解も良好に抑制していることがわかる。
実施例5
写真用処理剤組成物として、下記組成の定着液と漂白定着液とを調製し、両液について金属イオンによる沈澱発生に対する例示化合物の効果を試験した。
【0203】
定着液
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。
【0204】
漂白定着液
Figure 0003582063
水にて 1リットルとする。
上記定着液及び漂白定着液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(I−1)、(I−3)、(I−6)、(I−8)、(I−14)及び(I−20)をそれぞれ5g/lの割合で添加し、各8種の試料を作った。これらの液はアンモニウム水又は酢酸を用いて、定着液についてはpH6.8、漂白定着液についてはpH7.1となるよう調整し、それぞれの液にカルシウムイオン(CaCl2として添加)を200ppm添加した。
【0205】
これを放置したとき、何も加えない比較用のものは定着液及び漂白定着液のいずれも甚だしい沈澱を生じたが、例示化合物(I−1)、(I−3)、(I−6)、(I−8)、(I−14)及び(I−20)添加のものは何等沈澱が発生しなかった。
実施例6
写真用処理剤組成物として、下記組成の安定液(水洗代替安定液とも呼ぶ。)を調整し、実施例3で用いた漂白定着液を10%添加し、硫化による浮遊物の発生防止効果を試験した。
安定液
Figure 0003582063
水で1リットルとし、水酸化カリウム及び20%硫酸でpH8.0に調整した。
【0206】
上記安定液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(I−1)、(I−3)、(I−6)、(I−8)、(I−14)及び(I−20)をそれぞれ3.5g/lの割で添加し、各6種の試料を作った。
【0207】
これらの安定液は、KOH又は20%硫酸で、pH8.0となる様に調整し、それぞれの液に、カルシウムイオンを100ppm添加して放置した。この結果、何も加えない比較用のものは、2日で沈澱が生じ表面に浮遊物が発生したが、例示化合物(I−1)、(I−3)、(I−6)、(I−8)、(I−14)及び(I−20)を添加したものは10日後でも何ら異常が認められなかった。更に、徽の発生についても効果が認められた。
実施例7
写真用に一般的に用いることが知られているキレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、例示化合物(I−1)、(I−3)及び(I−8)について、OECD化学品テストガイドラインの301C修正MITI試験(I)(1981年5月12日採択)に従って生分解性度を求めた。
【0208】
結果を表9に示す。
【0209】
【表9】
Figure 0003582063
上記表9より、参考のキレート剤は生分解性が極めて良好であるのに対して、EDTA、DTPAは殆ど分解せず、地球環境保護の立場から本発明のキレート剤は極めて好ましいものであることが判る。
実施例8
実施例1において漂白定着液中の有機第2鉄錯塩を表10及び表11に記載の化合物に替え、添加量を0.13モル、漂白定着液のpHを7.2、補充液のpHを6.0に変更した以外は実施例1と同様にして試料を作成し同様の評価を行った。(評価基準は実施例1と同じ)結果を表10、表11に示す。
【0210】
【表10】
Figure 0003582063
【0211】
【表11】
Figure 0003582063
表10及び表11並びに以下の表において、EDTA・Feはエチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、PDTA・Feは1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、DTPA・Feはジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩、NTA・Feはニトリロ三酢酸第2鉄錯塩、(NMPDA)Feはニトリロモノプロピオン酸ジ酢酸第2鉄錯塩、(II−1)・Feは例示化合物(II−1)の第2鉄錯塩、(II−2)・Feは例示化合物(II−2)の第2鉄錯塩、(II−3)・Feは例示化合物(II−3)の第2鉄錯塩を表す。その他も同様である。
【0212】
上記表10及び表11より、本発明の有機酸第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、エッジ汚染も良好であり、漂白定着液の保存性も良好であることが分かる。更に、漂白定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で最も良好であることが分かる。また、本実験での漂白定着液pHは7.0であり、このpH領域では、NMPDA・Feは酸化力が劣り、脱銀不良を招ねき好ましくない。
実施例9
実施例2において漂白タンク液中の有機酸第2鉄塩を表12、表13記載の化合物に変更し添加量を0.36モル、氷酢酸の量を27mlに変更した以外実施例2と同様にして試料を作成し同様な評価を行った。
【0213】
結果を表12、表13に示す。
【0214】
【表12】
Figure 0003582063
【0215】
【表13】
Figure 0003582063
上記表12及び表13より、本発明の有機酸の第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、未露光部のマゼンタ透過濃度の上昇も少ないことが分かる。さらに、漂白液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で、最も良好であることが分かる。また、NMPDA−Feを漂白剤として用いると、漂白カブリが高くなり、好ましくない結果であった。
実施例10
写真用処理液として、下記組成の発色現像液を調製した。
【0216】
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.00に調整する。
【0217】
上記現像液を試料(A)とし、これに前記例示化合物(II−1)を2g/lの割合で加えたものを試料(B)とした。同様の例示化合物(II−2)を2g/l加えたものを試料(C)、(II−3)を2g加えたものを(D)、(II−4)を2g加えたものを(E)、(II−11)を2g加えたものを(F)、(II−12)を2g加えたものを(G)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(HMPと略す)を2g/l加えたものを試料(H)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDPと略す)の60%溶液を3.3g/lを加えたものを試料(I)、エチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/l加えたものを試料(J)及びニトリロトリメメチレンホスホン酸(NTPと略す)を2g/l加えたものを試料(K)とし7種の試料を作成した。
【0218】
各試料は加えた物質によりpHが変化しているので、水酸化カリウム又は希硫酸を用いて、pHをそれぞれ10.2となるよう調整し、次の各実験を行った。各実験の結果は最後にまとめて示す。
【0219】
実験1
上記の現像液試料(A)〜(K)に、第2鉄イオン1,5ppmと銅イオン0.6ppmをそれぞれ添加し、35℃で8日間放置した後、ヒドロキシルアミンを定量分析し、その減少率を求めた。
【0220】
実験2
実施例2で使用したものと同じ感光材料に、感光計を用いて白色階段露光を与えた後、実験1で7日間放置した後の現像液試料(A)〜(K)をそれぞれ用いて、次の工程に従って発色現像処理を行った。
【0221】
Figure 0003582063
上記工程に用いた処理液の組成は以下の通りである。
【0222】
漂白液
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0223】
定着液及び安定液
実施例2で使用したものと同じ。
【0224】
上記発色現像処理を終ったものについて、PDA65型光電濃度計(コニカ株式会社製)を用いて未露光部ブルー反射濃度のカブリ濃度を測定した。
【0225】
実験3
現像液試料(A)〜(K)にそれぞれカルシウムイオン200ppmとナトリウムイオン3200ppmとを加え、室温で6日間放置し沈澱の発生状況を観察した。
【0226】
以上の実験1〜3の結果をまとめて表14に示す。
【0227】
【表14】
Figure 0003582063
(注)実験3において、
○は沈澱発生が全くないことを示し、
×の数が多いほど沈澱発生の多いことを示す。
【0228】
上表の結果が示すように、本発明による現像液試料(B)〜(G)はヒドロキシルアミンの分解が少なく、カブリも少なく金属イオンの存在による沈澱の発生もないことがわかる。
【0229】
一方、比較の試料(I)においては、ヒドロキシルアミンの分解抑制とカブリ発生についてはある程度効果があるものの、金属イオンの存在による沈澱発生には全く効果がなく使用に耐えない。
【0230】
更に比較試料(J)は、沈澱発生に対しては本発明に用いるキレート剤同様効果があるが、ヒドロキシルアミンの分解を促進し、著しいカブリを発生し使用に耐えない。試料(A)、(H)及び(K)も、ヒドロキシルアミンを分解しカブリを生じる上、金属イオンの存在による沈澱発生防止力も弱く、実用に適しないものである。
実施例11
写真用処理剤組成物として、下記組成のリバーサルフィルム用第1現像液(黒白現像液)を調整した。
【0231】
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。
【0232】
上記現像液を試料(L)とし、これにエチレンジアミン四酢酸(EDTAと略す)を2g/lの割合で加えたものを試料(M)とした。同様に例示化合物(II−1)を2g/lの割合で加えたものを試料(N)、エチレンジアミン四メチレンホスホン酸(EDTPと略す)を2g/lを加えたものを試料(O)とし、計4種の試料を作成した。各試料は水酸化カリウム又は20%硫酸を用いて、pHが9.90となるように調整した。
【0233】
以上の各試料に、第2鉄イオンを3.0ppm及びカルシウムイオンを200ppm添加し、35℃で8日間保存した後、定量分析を行ってフェニドンの減少率を測定し、又沈澱の発生状況を観察した。
【0234】
得られた結果を表15に示す。
【0235】
【表15】
Figure 0003582063
(注)表中○は全く沈澱発生のないもの、×の多い程沈澱発生の多いことを示す。
【0236】
上記の結果が示すように、比較試料(M)は金属イオンの存在による沈澱の発生を有効に防止するものの、現像主薬であるフェニドンの分解を促進させる。
【0237】
一方の比較試料(L)及び(O)はフェニドンの分解に効果がないか、あるいは少なく、沈澱発生防止にも余り効果がない。これに反し、本発明に用いるキレート剤を含む試料(N)は、沈澱発生を有効に防止すると共に、フェニドンの分解も良好に抑制していることがわかる。
実施例12
写真用処理剤組成物として、下記組成の定着液と漂白定着液とを調製し、両液について金属イオンによる沈澱発生に対する例示化合物の効果を試験した。
定着液
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。漂白定着液
Figure 0003582063
水にて 1リットルとする
上記定着液及び漂白定着液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−4)、(II−11)及び(II−12)をそれぞれ4g/lの割合で添加し、各8種の試料を作った。これらの液はアンモニウム水又は酢酸を用いて、定着液についてはpH6.8、漂白定着液についてはpH7.1となるよう調整し、それぞれの液にカルシウムイオンを200ppm添加した。
【0238】
これを放置したとき、何も加えない比較用のものは定着液及び漂白定着液のいずれも甚だしい沈澱を生じたが、例示化合物(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−4)、(II−11)及び(II−12)添加のものは何等沈澱が発生しなかった。
実施例13
写真用処理剤組成物として、下記組成の安定液(水洗代替安定液とも呼ぶ。)を調整し、実施例3で用いた漂白定着液を10%添加し、硫化による浮遊物の発生防止効果を試験した。
安定液
Figure 0003582063
水で1リットルとし、水酸化カリウム及び20%硫酸でpH8.0に調整した。
【0239】
上記安定液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−4)、(II−11)及び(II−12)をそれぞれ3g/lの割で添加し、各3種の試料を作った。
【0240】
これらの安定液は、KOH又は20%硫酸で、pH8.0となる様に調整し、それぞれの液に、カルシウムイオンを100ppm添加して放置した。この結果、何も加えない比較用のものは、2日で沈澱が生じ表面に浮遊物が発生したが、例示化合物(II−1)、(II−2)、(II−3)、(II−4)、(II−11)及び(II−12)を添加したものは10日後でも何ら異常が認められなかった。更に、徽の発生についても効果が認められた。
実施例14
写真用に一般的に用いることが知られているキレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、例示化合物(II−1)、(II−2)及び(II−12)について、OECD化学品テストガイドラインの301C修正MITI試験(I)(1981年5月12日採択)に従って生分解性度を求めた。
【0241】
結果を表16に示す。
【0242】
【表16】
Figure 0003582063
上記表16より、本発明のキレート剤は生分解性が極めて良好であるのに対してEDTA、DTPAは殆ど分解せず、地球環境保護の立場から本発明のキレート剤は極めて好ましいものであることが分かる。
実施例15
実施例1において発色現像液中のトリエタノールアミンの添加量を8.0g、亜硫酸カリウムの添加量を6×10−4モル、発色現像補充液のトリエタノールアミン12.0g、漂白定着液中の有機酸第2鉄錯塩を表16及び表17に記載の化合物に替え、添加量を0.19モル及び漂白定着液のpHを6.8、漂白定着補充液のpHを5.7、安定液及び補充液中の1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(60%溶液)の添加量を1.5gに変更した以外は実施例1と同様にして試料を作成し、同様の評価を行った。(評価基準も実施例1と同様)
結果を表17及び表18に示す。
【0243】
【表17】
Figure 0003582063
【0244】
【表18】
Figure 0003582063
表17及び表18並びに以下の表において、EDTA・Feはエチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、PDTA・Feは1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、DTPA・Feはジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩、NTA・Feはニトリロ三酢酸第2鉄錯塩、(III−1)・Feは例示化合物(III−1)の第2鉄錯塩、(III−4)・Feは例示化合物(III−4)の第2鉄錯塩以下同様には例示化合物の第2鉄錯塩を表す。
実施例16
実施例2において発色現像液中のヒドロキシルアミン硫酸塩の添加量を2.4g、発色現像補充液中のヒドロキシルアミン硫酸塩の添加量を3.4g、漂白タンク液中の有機酸第2鉄錯塩を表19及び表20に記載化合物に変更し、添加量を0.37モル、エチレンジアミン四酢酸の添加量を3g、臭化物塩の添加量を1.0モル、氷酢酸の添加量を25ml、又漂白補充液のpHを3.7にした以外は実施例2と同様にして試料を作成し、同様の評価を行った。(評価法も実施例2に同じ)
結果を表19及び表20に示す。
【0245】
【表19】
Figure 0003582063
【0246】
【表20】
Figure 0003582063
上記表17及び表18より、本発明の有機酸第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、エッジ汚染も良好であり、漂白定着液の保存性も良好であることが分かる。更に、漂白定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で最も良好であることが分かる。
【0247】
上記表19及び表20より、本発明の有機酸の第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、未露光部のマゼンタ透過濃度の上昇も少ないことが分かる。さらに、漂白液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で、最も良好であることが分かる。
実施例17
写真用処理液として、下記組成の発色現像液を調製した。
【0248】
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.05に調整し、次の各実験を行った。
【0249】
実験1
上記の現像液試料(17−1)〜(17−11)に、第2鉄イオン1,5ppmと銅イオン0.7ppmをそれぞれ添加し、33℃で10日間放置した後、ヒドロキシルアミンを定量分析し、その減少率を求めた。
【0250】
実験2
実施例2で使用したものと同じ感光材料に、感光計を用いて白色階段露光を与えた後、実験1で10日間放置した後の現像液試料(17−1)〜(17−11)をそれぞれ用いて、次の工程に従って発色現像処理を行った。
【0251】
Figure 0003582063
上記工程に用いた処理液の組成は以下の通りである。
【0252】
漂白液
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0253】
定着液及び安定液
実施例2で使用したものと同じ。
【0254】
上記発色現像処理を終ったものについて、PDA65型光電濃度計(コニカ株式会社製)を用いて未露光部ブルー反射濃度のカブリ濃度を測定した。
【0255】
実験3
現像液試料(17−1)〜(17−11)にそれぞれカルシウムイオン190ppmとナトリウムイオン2800ppmとを加え、室温で10日間放置し沈澱の発生状況を観察した。
【0256】
以上の実験1〜3の結果をまとめて表21に示す。
【0257】
【表21】
Figure 0003582063
ここで表21において、HMPはヘキサメタリン酸ナトリウム、HEDPは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、EDTAはエチレンジアミン4酢酸、NTPはニトリロトリメチレンホスホン酸を表す。
【0258】
(注)実験3において、
○は沈澱発生が全くないことを示し、
×の数が多いほど沈澱発生の多いことを示す。
【0259】
上表の結果が示すように、本発明による現像液試料(17−2)〜(17−7)はヒドロキシルアミンの分解が少なく、カブリも少なく金属イオンの存在による沈澱の発生もないことがわかる。
【0260】
一方、比較の試料(17−8)においては、ヒドロキシルアミンの分解抑制とカブリ発生についてはある程度効果があるものの、金属イオンの存在による沈澱発生には全く効果がなく使用に耐えない。
【0261】
更に比較試料(17−10)は、沈澱発生に対しては本発明に用いるキレート剤同様効果があるが、ヒドロキシルアミンの分解を促進し、著しいカブリを発生し使用に耐えない。試料(17−1)、(17−8)及び(17−11)も、ヒドロキシルアミンを分解しカブリを生じる上、金属イオンの存在による沈澱発生防止力も弱く、実用に適しないものである。
実施例18
写真用処理剤組成物として、下記組成のリバーサルフィルム用第1現像液(黒白現像液)試料(18−1)〜(18−5)を調整した。
【0262】
Figure 0003582063
水にて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH9.9に調整した。
【0263】
以上の各試料に、第2鉄イオン(塩化第2鉄として添加)を2.8ppm及びカルシウムイオンを200ppm添加し、35℃で10日間保存した後、定量分析を行ってフェニドンの減少率を測定し、又沈澱の発生状況を観察した。
【0264】
得られた結果を表22に示す。
【0265】
【表22】
Figure 0003582063
(注)表中○は全く沈澱発生のないもの、×の多い程沈澱発生の多いことを示す。
【0266】
上記の結果が示すように、比較試料(18−2)は金属イオンの存在による沈澱の発生を有効に防止するものの、現像主薬であるフェニドンの分解を促進させる。
【0267】
一方の比較試料(18−1)及び(18−3)はフェニドンの分解に効果がないか、あるいは少なく、沈澱発生防止にも余り効果がない。これに反し、本発明に用いるキレート剤を含む試料(18−4)及び(18−5)は、沈澱発生を有効に防止すると共に、フェニドンの分解も良好に抑制していることがわかる。
実施例19
写真用処理剤組成物として、下記組成の定着液と漂白定着液とを調製し、両液について金属イオンによる沈澱発生に対する例示化合物の効果を試験した。
定着液
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。
漂白定着液
Figure 0003582063
水にて 1リットルとする。
【0268】
上記定着液及び漂白定着液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(III−1)、(III−11)、(IV−1)及び(IV−16)をそれぞれ4g/lの割合で添加し、各8種の試料を作った。これらの液はアンモニウム水又は酢酸を用いて、定着液についてはpH6.8、漂白定着液についてはpH7.1となるよう調整し、それぞれの液にカルシウムイオンを200ppm添加した。
【0269】
これを放置したとき、何も加えない比較用のものは定着液及び漂白定着液のいずれも甚だしい沈澱を生じたが、例示化合物(III−1)、(III−2)、(IV−1)及び(IV−16)添加のものは何等沈澱が発生しなかった。
実施例20
写真用処理剤組成物として、下記組成の安定液(水洗代替安定液とも呼ぶ。)を調整し、実施例17で用いた漂白定着液を10%添加し、硫化による浮遊物の発生防止効果を試験した。
安定液
Figure 0003582063
水で1リットルとし、水酸化カリウム及び20%硫酸でpH7.8に調整した。
【0270】
上記安定液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(III−1)、(III−17)及び(IV−16)をそれぞれ3g/lの割で添加し、各3種の試料を作った。
【0271】
これらの安定液は、KOH又は20%硫酸で、pH8.0となる様に調整し、それぞれの液に、カルシウムイオンを100ppm添加して放置した。この結果、何も加えない比較用のものは、2日で沈澱が生じ表面に浮遊物が発生したが、例示化合物(III−1)、(III−17)及び(IV−16)を添加したものは10日後でも何ら異常が認められなかった。更に、徽の発生についても効果が認められた。
実施例21
写真用に一般的に用いることが知られているキレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、例示化合物A−1)及びA−2について、OECD化学品テストガイドラインの301C修正MITI試験(I)(1981年5月12日採択)に従って生分解性度を求めた。
【0272】
この際、例示化合物(III−1)の成分解度を100とした時の相対分解度を求め結果を表23に示す。
【0273】
【表23】
Figure 0003582063
上記表23より、本発明のキレート剤は生分解性が極めて良好であるのに対して、EDTA、DTPAは殆ど分解せず、地球環境保護の立場から本発明のキレート剤は極めて好ましいものであることが判る。
実施例22
実施例1において発色現像液中の発色現像主薬の添加量を5.7g、発色現像補充液中亜硫酸カリウムの添加量を6×10−4モル、漂白定着液中の有機酸第2鉄錯塩を表24及び表25に記載化合物に変更し添加量0.17モル/lで、チオ硫酸塩の添加量を0.52モル、安定液及び補充液中のエチレンジアミン四酢酸の添加量を3.2gに変更した以外は実施例1と同様にして試料を作成し、同様の評価を行った。
【0274】
以下結果を表24、表25及び表26に示す。(評価基準も実施例1と同様)
【0275】
【表24】
Figure 0003582063
【0276】
【表25】
Figure 0003582063
【0277】
【表26】
Figure 0003582063
表24、表25及び表26並びに以下の表において、EDTA・Feはエチレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、PDTA・Feは1,3−プロピレンジアミン四酢酸第2鉄錯塩、DTPA・Feはジエチレントリアミン五酢酸第2鉄錯塩、NTA・Feはニトリロ三酢酸第2鉄錯塩、(V−1)・Feは例示化合物(VI−1)の第2鉄錯塩、(VI−4)・Feは例示化合物(VII−2)の第2鉄錯塩、以下同様に( )・Feは例示化合物( )の第2鉄錯塩を表す。
【0278】
上記表表24、表25及び表26より、本発明の有機酸第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、エッジ汚染も良好であり、漂白定着液の保存性も良好であることが分かる。更に、漂白定着液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で最も良好であることが分かる。
実施例23
実施例2において発色現像液中のヒドロキシルアミン硫酸塩の添加量を2.3g、発色現像補充液中のヒドロキシルアミン硫酸塩の添加量3.3g、漂白タンク液中の有機酸第2鉄錯塩を表27、表28及び表29に記載の化合物に変更し、該化合物の添加量を0.32モル、エチレンジアミン四酢酸の添加量を7g、臭化物塩の添加量を1.1モル及び氷酢酸の添加量を45mlに変更した以外は実施例2と同様にして試料を作成し、同様の評価を行った。(評価法も実施例2に同じ)
結果を以下表27、表28及び表29に示す。
【0279】
【表27】
Figure 0003582063
【0280】
【表28】
Figure 0003582063
【0281】
【表29】
Figure 0003582063
上記表27、表28及び表29より、本発明の有機酸第2鉄錯塩を用いた際には、残留銀量も少なく、未露光部のマゼンタ透過濃度の上昇も少ないことが分かる。さらに、漂白液中の全カチオンに対するアンモニウムイオンの比率が50モル%以下の際に、上記効果がより良好であり、30モル%以下の際に特に良好となり、10モル%以下で、最も良好であることが分かる。
実施例24
写真用処理液として、下記組成の発色現像液を調製した。
【0282】
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH10.00に調整し、次の各実験を行った。
【0283】
各実験の結果は最後にまとめて示す。
実験1
上記の現像液試料(24−1)〜(24−18)に、第2鉄イオン1,5ppmと銅イオン0.4ppmをそれぞれ添加し、36℃で7日間放置した後、ヒドロキシルアミンを定量分析し、その減少率を求めた。
【0284】
実験2
実施例2で使用したものと同じ感光材料に、感光計を用いて白色階段露光を与えた後、実験1で10日間放置した後の現像液試料(24−1)〜(24−18)をそれぞれ用いて、次の工程に従って発色現像処理を行った。
【0285】
Figure 0003582063
上記工程に用いた処理液の組成は以下の通りである。
漂白液
Figure 0003582063
水を加えて1リットルとし、アンモニア水又は氷酢酸を用いてpH4.4に調整する。
【0286】
定着液及び安定液
実施例2で使用したものと同じ。
【0287】
上記発色現像処理を終ったものについて、PDA65型光電濃度計(コニカ株式会社製)を用いて未露光部ブルー反射濃度のカブリ濃度を測定した。
【0288】
実験3
現像液試料(24−1)〜(24−18)にそれぞれカルシウムイオン180ppmとナトリウムイオン3000ppmとを加え、室温で7日間放置し沈澱の発生状況を観察した。
【0289】
以上の実験1〜3の結果をまとめて表30に示す。
【0290】
【表30】
Figure 0003582063
尚、表30中並び以下の表において、HMPはヘキサメタリン酸ナトリウム、HEDPは1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、EDTAはエチレンジアミン四酢酸、NTAはニトリロ三酢酸、PDTAはトリメチレンジアミン四酢酸を表す。
【0291】
(注)実験3において、
○は沈澱発生が全くないことを示し、
×の数が多いほど沈澱発生の多いことを示す。
【0292】
上表の結果が示すように、本発明による現像液試料(24−2)〜(24−13)はヒドロキシルアミンの分解が少なく、カブリも少なく金属イオンの存在による沈澱の発生もないことがわかる。
【0293】
一方、比較の試料(24−15)においては、ヒドロキシルアミンの分解抑制とカブリ発生についてはある程度効果があるものの、金属イオンの存在による沈澱発生には全く効果がなく使用に耐えない。
【0294】
更に比較試料(24−16)及び(24−18)は、沈澱発生に対しては本発明に用いるキレート剤同様効果があるが、ヒドロキシルアミンの分解を促進し、著しいカブリを発生し使用に耐えない。試料(24−1)、(24−14)及び(24−17)も、ヒドロキシルアミンを分解しカブリを生じる上、金属イオンの存在による沈澱発生防止力も弱く、実用に適しないものである。
【0295】
実施例25
写真用処理剤組成物として、下記組成のリバーサルフィルム用第1現像液(黒白現像液)試料(25−1)〜(25−8)を調整した。
【0296】
Figure 0003582063
水にて1リットルとし、水酸化カリウム又は20%硫酸を用いてpH9.90に調整した。
【0297】
以上の各試料に、第2鉄イオンを2.5ppm及びカルシウムイオンを180ppm添加し、35℃で7日間保存した後、定量分析を行ってフェニドンの減少率を測定し、又沈澱の発生状況を観察した。
【0298】
得られた結果を表31に示す。
【0299】
【表31】
Figure 0003582063
(注)表中○は全く沈澱発生のないもの、×の多い程沈澱発生の多いことを示す。
【0300】
上記の結果が示すように、比較試料(25−8)は金属イオンの存在による沈澱の発生を有効に防止するものの、現像主薬であるフェニドンの分解を促進させる。
【0301】
一方の比較試料(25−1)及び(25−7)はフェニドンの分解に効果がないか、あるいは少なく、沈澱発生防止にも余り効果がない。これに反し、本発明に用いるキレート剤を含む試料(25−2)及び(25−6)は、沈澱発生を有効に防止すると共に、フェニドンの分解も良好に抑制していることがわかる。
実施例26
写真用処理剤組成物として、下記組成の定着液と漂白定着液とを調製し、両液について金属イオンによる沈澱発生に対する例示化合物の効果を試験した。
定着液
Figure 0003582063
水にて1リットルとする。
漂白定着液
Figure 0003582063
水にて 1リットルとする。
【0302】
上記定着液及び漂白定着液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(II−1)、(III−2)、(VI−1)及び(VI−14)をそれぞれ4g/lの割合で添加し、各8種の試料を作った。これらの液はアンモニウム水又は酢酸を用いて、定着液についてはpH6.8、漂白定着液についてはpH7.1となるよう調整し、それぞれの液にカルシウムイオンを200ppm添加した。
【0303】
これを放置したとき、何も加えない比較用のものは定着液及び漂白定着液のいずれも甚だしい沈澱を生じたが、例示化合物(V−1)、(V−2)、(VI−1)及び(VI−14)添加のものは何等沈澱が発生しなかった。
実施例27
写真用処理剤組成物として、下記組成の安定液(水洗代替安定液とも呼ぶ。)を調整し、実施例3で用いた漂白定着液を10%添加し、硫化による浮遊物の発生防止効果を試験した。
安定液
Figure 0003582063
水で1リットルとし、水酸化カリウム及び20%硫酸でpH7.8に調整した。
【0304】
上記安定液について、そのままのものを比較用とし、一部には例示化合物(V−1)、(V−2)及び(VI−1)をそれぞれ3g/lの割で添加し、各3種の試料を作った。
【0305】
これらの安定液は、KOH又は20%硫酸で、pH8.0となる様に調整し、それぞれの液に、カルシウムイオンを200ppm添加して放置した。この結果、何も加えない比較用のものは、2日で沈澱が生じ表面に浮遊物が発生したが、例示化合物(V−1)、(V−2)及び(VI−1)を添加したものは10日後でも何ら異常が認められなかった。更に、徽の発生についても効果が認められた。
実施例28
写真用に一般的に用いることが知られているキレート剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、例示化合物(V−1)、(V−2)、(VI−1)及び(VII−2)について、OECD化学品テストガイドラインの301C修正MITI試験(I)(1981年5月12日採択)に従って生分解性度を求めた。
【0306】
この際、例示化合物(V−2)の成分解度を100とした時の相対分解度を求め結果表32に示す。
【0307】
【表32】
Figure 0003582063
上記表32より、本発明のキレート剤は生分解性が極めて良好であるのに対して、EDTA、DTPAは殆ど分解せず、地球環境保護の立場から本発明のキレート剤は極めて好ましいものであることが判る。
【0308】
【発明の効果】
本発明の写真用処理剤組成物及び処理方法は、迅速な脱銀性を有し、エッジ部の汚れもなく、かつすぐれた液保存安全性を有し、金属イオンの存在による沈殿やスラッジの発生がない、安定な処理液が得られ、かつ写真用処理液生分解生に優れ、地球環境の保護に適している。

Claims (6)

  1. 下記一般式[I]で示される化合物の少なくとも1つを含むことを特徴とするハロゲン化銀写真用処理剤組成物(但し、次に示す態様Aを除く)。
    Figure 0003582063
    〔式中、n′は1〜3の整数を、A1〜A4、B1〜B5は、H,OH,Cn2n+1,または(CH2mX を表し、n,mはそれぞれ1〜3、0〜3の整数を表し、Xは−COOM(MはH、カチオン、またはアルカリ金属原子を表す。)、−NH2,−OHを表す。ただしB1〜B5のすべてがHを表すことはない。〕
    態様A
    下記一般式(I)で表される化合物又はその塩を含有するハロゲン化銀写真感光材料用の処理組成物。
    Figure 0003582063
    (式中、G1及びG2がヒドロキシ基またはカルボキシル基を表わし、L1、L2及びL3はそれぞれ二価の脂肪族基又はこれと二価の芳香族基との組合せからなる二価の連結基を表わし、m及びnはそれぞれ0または1を表わし、Xは水素原子又は脂肪族基を表わし、Mは水素原子又はカチオンを表わす。)
  2. 前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有する漂白液、漂白定着液であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
  3. 前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する現像液であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
  4. 前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する定着液であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
  5. 前記ハロゲン化銀写真用処理剤組成物が、前記一般式[I]で示される化合物を含有する安定液であることを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀写真用処理剤組成物。
  6. ハロゲン化銀写真感光材料を像様露光後、発色現像を行い、その後漂白あるいは漂白定着を行うハロゲン化銀写真の処理方法において、該漂白液あるいは漂白定着液が前記一般式[I]で示される化合物の第2鉄錯塩を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真の処理方法。(但し、前記漂白液及び漂白定着液が前記態様Aの場合を除く。)
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