JP3581724B2 - 印字装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、プラテンの回転によって印字後の連続用紙を下流側用紙ガイドを通して用紙カット位置の方向へ前進動可能かつカット後の連続用紙の先端を予め設定された印字開始位置の方向へ後退動可能に形成された印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5において、対向配設されたプラテン2と印字ヘッド3とから印字部1が形成されている。この印字ヘッド3は、サマール型式で、支軸5を中心に傾斜回動可能なホルダー4に保持されかつバネ9で図で下方に付勢されている。ホルダー4のピン6を固定部材7のフック8に係止させることによって、印字部1に所定のギャップが確立される。
【0003】
連続用紙Pは、上流側用紙ガイド11,印字部1,下流側用紙ガイド12を通り、用紙カット位置P20に搬送される。用紙カット位置P20には、自動用紙カット機構16が設けられているが、手動でカットするように構成される場合もある。また、上流側用紙ガイド11には、用紙先端検出器15が設けられている。
【0004】
プラテン2は、図示しないモータ(ステッピングモータ)で可逆回転され、印字後の連続用紙Pを下流側用紙ガイド12を通して用紙カット位置P20の方向へ前進動可能かつカット後の連続用紙Pの先端Ptを予め決められた印字開始位置P11の方向へ後退動可能に形成されている。
【0005】
なお、用紙検出位置P1から印字位置P10までの間隔はX10であり、印字位置P10から間隔X11だけ離れたところに頭出し量を確保するための印字開始位置P11がある。また、この印字開始位置P11と用紙カット位置P20との間隔はX20である。
【0006】
かかる印字装置では、印字開始指令(図7のST30のYES)があると、モータが回転起動されプラテン2と同期回転する搬入ローラ(図示省略)によって連続用紙Pを図5で左方向に前進動(ST32)させる。そして、連続用紙Pの先端Ptが用紙検出位置P1に配設された用紙先端検出器15で検出(ST33のYES)されてから、間隔(X10+X11)だけさらに前進動させ、その先端Ptを印字開始位置P11に位置付けする(ST34)。なお、印字開始位置P11に用紙先端検出器(15)を設ける場合は、先端Ptが検出されたときにモータを停止させればよい。
【0007】
連続用紙Pの先端Ptが印字開始位置P11に到達すると、印字ヘッド3を作動させ印字処理(ST35)が行われる。プラテン2は、連続用紙Pを印字開始P10へ1行送りする。印字処理が終了(ST36のYES)すると、プラテン2が回転され連続用紙Pは下流側用紙ガイド12を通して用紙カット位置P20の方向へ搬送される。連続用紙P上の印字領域が用紙カット位置P20を図5で左方向に通過するまで搬送される。
【0008】
連続用紙Pがカット(ST37のYES)された後に、プラテン2が逆回転され図5に2点鎖線で示すカット後の連続用紙Pを図で右方向に後退動させ、その先端Ptを印字開始位置P11まで引戻す(ST38)。
【0009】
なお、2回目以降は、連続用紙Pの先端Ptが印字開始位置P11にある(ST31のYES)ので、直ちに印字処理(ST35)に入れる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、印字処理運転が比較的長時間停止された場合、さらに連続処理用紙Pの紙厚変化,バネ9の付勢力の変化,印字部1のギャップ変化等があった場合、連続用紙Pの先端Ptが印字ヘッド3によって円形のプラテン2に押圧されたまま待機する状態となってしまうので、図5に示すようにプラテン2の外周面に対応した曲りぐせが発生することがある。
【0011】
すると、印字処理の再開によって連続用紙Pを1行ずつ前進動させた場合に、図6に示すようにその先端Ptはもとよりこれに連なる後部Ptmがプラテン2に密着したまま移動し、下流側用紙ガイド12へ進入できない事態が生ずる。つまり、ジャムが発生し易くなる。
【0012】
だからと言って、下流側用紙ガイド12の先端を印字部1により接近させることは、機構上、許されない。また、バネ9の付勢力を印字停止中だけ小さく調整することも、装置大型化やコスト高を招くので、実現は難しい。
【0013】
本発明の目的は、連続用紙の頭出し量の確保に起因するジャムの発生を確実に防止できる印字装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
従来、カット後の連続用紙Pの先端Ptは、用紙カット位置P20から一気に印字開始位置へ間隔X20だけ後退動されている。しかし、この間隔X20を例えば2段階に分けて後退動させてもかつプラテン2の回動起動・停止工程を勘案しても印字高速化にほとんど影響を与えることはない、例えばプラテン2を回転させるモータがステッピングモータとされかつ自起動周波数域内で回転制御されるのであれば全く影響を与えないことに着目し、本発明は用紙先端を下流側用紙ガイド12に係合する位置で待機させるように構成し、前記課題を解消しその目的を達成するものである。
【0015】
すなわち、本発明に係る印字装置は、対向配設されたプラテンと印字ヘッドとから印字部を形成するとともに、プラテンの回転によって印字後の連続用紙を下流側用紙ガイドを通して用紙カット位置の方向へ前進動可能かつカット後の連続用紙の先端を予め決められた印字開始位置の方向へ後退動可能に形成された印字装置において、前記連続用紙の先端が前記下流側用紙ガイドに係合可能として、前記プラテンの曲りぐせが前記先端に発生しないように決定された待機位置を記憶する待機位置記憶手段と、前記用紙カット位置においてカットされた後の前記連続用紙の先端を前記プラテンを逆回転して該待機位置へ後退動させる第1の後退動制御手段と、次の印字に先立ち該待機位置にある前記連続用紙の先端を前記プラテンを逆回転して前記印字開始位置へ後退動させる第2の後退動制御手段と、を設けたことを特徴とする。
【0016】
【作用】
上記構成による本発明の場合、待機位置記憶手段に連続用紙の先端が下流側用紙ガイドに係合可能として決定した待機位置を記憶させてから印字処理運転に入る。印字が終了すると、プラテンが回転され印字後の連続用紙を下流側用紙ガイドを通して用紙カット位置の方向へ前進動させる。これにより印字処理が終了する。そして、用紙カット位置において自動的または手動でカットされると、第1の後退動制御手段が働きプラテンを逆回転させて連続用紙Pの先端Ptを待機位置へ後退動させる。したがって、印字処理運転の停止時間が長くても、連続用紙の先端が下流側用紙ガイドに係合された状態であるから曲りぐせが発生しない。
【0017】
印字処理運転の再開に際しては、これに先立ち第2の後退動制御手段が働く。すなわち、プラテンを逆回転させて,待機位置にある連続用紙の先端を印字開始位置へ後退動させる。つまり、頭出し量を確保する。しかる後に1行送りをしつつ印字処理が再開される。この場合、先端に曲りぐせが無いので、その先端を下流側用紙ガイドに円滑に通すことができる。よって、ジャムの発生を確実に防止できる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
本印字装置は、図1〜図3に示す如く、基本的構成が従来例(図5,図6)と同じとされ、かつ待機位置記憶手段22Mと,第1の後退動制御手段(21,22)と,第2の後退動制御手段(21,22)とを設け、用紙カット位置P20においてカットされた連続用紙Pの先端Ptをプラテン2の曲りぐせが先端Ptに発生しないように決定された待機位置P15に後退動させて待機させるとともに、次の印字に先立ちその先端Ptをさらに印字開始位置P11へ後退動させて頭出し量を確保可能に構成されている。
【0019】
なお、従来例(図5,図6)の場合と共通する構成要素については同一の符号を付し、それらについての説明は簡略化または省略する。
【0020】
図1において、制御部20は、CPU21と,ROM22と,RAM23と、上位機器(図示省略)から印字データ等を受発信するためのインターフェイス(I/F)24と,入出力ポート(I/O)25等を含み、装置全体を駆動制御する。
【0021】
この制御部20には、サーマル型の印字ヘッド3(ドライバ3D)と,ステッピングモータからなるモータ2M(ドライバ2D)とが接続され、かつ入出力ポート25を介して用紙先端検出器15と自動用紙カット機構(CTR)16〔ドライバ16D〕とが接続されている。また、ステッピングモータ(2M)は、ドライバ2Dによって、自起動周波数域内で後退動可能とされている。
【0022】
ここに、待機位置記憶手段22Mは、ROM22の一部データ格納エリアから形成され、この実施例では図2,図3に示す待機位置P15が固定データとして記憶されている。この待機位置P15は、連続用紙Pの先端Ptが、図3に実線で示すように、下流側用紙ガイド12に係合可能として、プラテン2の曲りぐせが先端Ptに発生しないように決定されたものであり、具体的にはモータ2Mのドライバ2Dに加えるパルス信号の数として記憶されている。他の位置P10,P11,P20も同様に決めてある。
【0023】
第1の後退動制御手段は、用紙カット位置P20においてカット(図4のST18のYES)された後の連続用紙Pの先端Ptをプラテン2を逆回転して待機位置P15へ後退動させる手段で、第1の後退動制御プログラムを格納させたROM22とCPU21とから形成され図4のST19で実行される。
【0024】
また、第2の後退動制御手段は、次の印字(図4のST10のYES)に先立ち待機位置P15にある連続用紙Pの先端Ptをプラテン2を逆回転して印字開始位置P11へ後退動させる手段で、第2の後退動制御プログラムを格納させたROM22とCPU21とから形成され図4のST20で実行される。
【0025】
次に、この実施例の作用を説明する。
連続用紙Pの先端Ptが図3に実線で示すように待機位置P15にあるところ、印字開始指令がある(図4のST10のYES)と、CPU21がそれを確認(ST11のNO,ST12のYES)する。
【0026】
すると、第2の後退動制御手段(21,22)が働き、ドライバ2Dに信号を加えモータ2Mを逆回転させることにより、図3に示す待機位置P15にある連続用紙Pの先端Ptをプラテン2を逆回転させて、図2に示すように印字開始位置P11へ後退動させる(ST20)。
【0027】
かくして、CPU21は、先端Ptが印字開始位置P11により所定の頭出し量が確保されたことを確認(ST11のYES)すると、印字処理(ST16)を実行させる。印字が終ると、プラテン2を回転させ連続用紙Pを下流側用紙ガイド12を通して用紙カット位置P20の方向へ前進動させる。連続用紙P上の印字領域が用紙カット位置P20を過ぎてから停止する。ここに、印字処理が終了(ST17のYES)する。
【0028】
引続き、CPU21は、自動用紙カット機構16を駆動して連続用紙Pを自動カットさせる(ST18のYES)。この状態におけるカット後の連続用紙Pの先端Ptは、図3に2点鎖線で示す通りである。
【0029】
すると、第1の後退動制御手段(21,22)が、プラテン2を逆回転させて連続用紙Pを後退動させ、その先端Ptを待機位置記憶手段12Mに記憶されている待機位置P15へ図3に実線で示すように引戻す(ST19)。この状態で待機となる。
【0030】
この待機位置P15は、先端Ptが下流側用紙ガイド12に係合可能として決定されている。すなわち、先端Ptが従来例(図5)の場合と異なり図2に示す印字開始位置P11で待機されず図3に示す待機位置P15で待機される。したがって、印字停止時間が長くなっても、先端Ptにプラテン2の外周面に対応する曲りぐせが発生しない。
【0031】
かくして、次の印字(ST10のYES)に際し、第2の後退動制御手段(21,22)によって先端Ptが印字開始位置P11に戻され(ST20,ST11のYES)、再印字処理(ST16)された場合、先端Ptに曲りぐせがないので、下流側用紙ガイド12へ円滑に通すことができる。よって、頭出し量を確保することに起因するジャムの発生を確実に防止できる。
【0032】
なお、初期の連続用紙Pの頭出し(図4のST13〜15)は従来例の場合と同じである。
【0033】
しかして、この実施例によれば、待機位置記憶手段22Mと,第1の後退動制御手段(21,22)と,第2の後退動制御手段(21,22)とを設け、用紙カット位置P20においてカットされた連続用紙Pの先端Ptを下流側用紙ガイド12に係合可能として、プラテン2の曲りぐせが先端Ptに発生しないように決定された待機位置P15に後退動させて待機させるとともに、次の印字に先立ちその先端Ptをさらに印字開始位置P11へ後退動させて頭出し量を確保可能に構成されているので、待機中に印字ヘッド3によってプラテン2に押圧された連続用紙Pの先端Ptにプラテン2の形状に対応する曲りぐせが生じないので、次の印字処理の際にその先端Ptを下流側用紙ガイド2に円滑に通すことができる。よって、頭出し量を確保することに起因するジャムの発生を確実に防止することができる。
【0034】
また、待機位置P15は、モータ2Mのドライバ2Dに加えるパルス信号の数として記憶されているので、用紙カット位置P20から定量的に後退動できるとともに、待機位置P15を下流側用紙ガイド12との関係において最適な位置に選択決定することが容易である。
【0035】
また、ステッピングモータ(2M)が自起動周波数内で後退動されるものと形成されているので、印字高速化を妨げずにジャム発生を防止できる。
【0036】
なお、以上の実施例では待機位置記憶手段をROM22から形成していたが、待機位置P15に配設した光電センサやリミットスイッチ等から形成してもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、待機位置記憶手段と,第1の後退動制御手段と,第2の後退動制御手段とを設け、用紙カット位置においてカットされた連続用紙の先端を下流側用紙ガイドに係合可能として、プラテンの曲りぐせが先端に発生しないように決定された待機位置に後退動させて待機させるとともに、次の印字に先立ちその先端をさらに印字開始位置へ後退動させて頭出し量を確保可能に構成されているので、待機中に印字ヘッドによってプラテンに押圧された連続用紙の先端にプラテンの形状に対応する曲りぐせが生じないので、次の印字処理の際にその先端を下流側用紙ガイドに円滑に通すことができる。よって、頭出し量を確保することに起因するジャムの発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すブロック図である。
【図2】同じく、頭出し量の確保状態を説明するための図である。
【図3】同じく、待機状態を説明するための図である。
【図4】同じく、動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】従来例の場合の待機状態を説明するための図である。
【図6】従来例の問題点を説明するための図である。
【図7】従来例の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 印字部
2 プラテン
2M モータ
3 印字ヘッド
9 バネ
11 上流側用紙ガイド
12 下流側用紙ガイド
15 用紙先端検出器
16 自動用紙カット機構
20 制御部
21 CPU(第1の後退動制御手段,第2の後退動制御手段)
22 ROM(第1の後退動制御手段,第2の後退動制御手段)
22M 待機位置記憶手段
23 RAM
P 連続用紙
Pt 先端
P1 用紙検出位置
P10 印字位置
P11 印字開始位置
P15 待機位置
P20 用紙カット位置

Claims (1)

  1. 対向配設されたプラテンと印字ヘッドとから印字部を形成するとともに、プラテンの回転によって印字後の連続用紙を下流側用紙ガイドを通して用紙カット位置の方向へ前進動可能かつカット後の連続用紙の先端を予め決められた印字開始位置の方向へ後退動可能に形成された印字装置において、
    前記連続用紙の先端が前記下流側用紙ガイドに係合可能として、前記プラテンの曲りぐせが前記先端に発生しないように決定された待機位置を記憶する待機位置記憶手段と、
    前記用紙カット位置においてカットされた後の前記連続用紙の先端を前記プラテンを逆回転して該待機位置へ後退動させる第1の後退動制御手段と、
    次の印字に先立ち該待機位置にある前記連続用紙の先端を前記プラテンを逆回転して前記印字開始位置へ後退動させる第2の後退動制御手段と、
    を設けたことを特徴とする印字装置。
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