JP3581722B2 - ジエナミド誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はジエナミド誘導体、とくにレチノイン酸様の生物活性を有するジエナミド誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
レチノイン酸(ビタミンA酸)は、ビタミンAの活性代謝産物として考えられている物質であり、発生途上にある未熟な細胞を特有な機能を有する成熟細胞へと分化させ、細胞の増殖を促進する等、生命維持作用にきわめて重要な生理作用を有する。これまでに合成された種々のビタミンA酸誘導体、たとえば特開昭61−22047号公報や、特開昭61−76440号公報記載の安息香酸誘導体、およびジャーナルオブメディシナルケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry,1988,Vol31,No.11,p.2182)、The retinoids.Spornら編,RAVAN PRESS(1994)、Adv.Drug.Res.24,81−119(1993) なども同様な生理活性を有する。
【0003】
レチノイン酸を含め、レチノイン酸様の生物活性を有するこれらの化合物は、レチノイドと呼ばれ、臨床的にはビタミンA欠乏症、上皮組織の角化症、リウマチ、遅延型アレルギー、白血病やある種の癌の治療に有用であることが見出されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでに報告されたレチノイドはいずれも脂溶性が高く、また生体内で容易に分解されず細胞障害を惹起することから、臨床上の適用には制限があった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は親水性でしかも生体内で容易に分解されるレチノイドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、ある種の置換ジエナミド誘導体が強いレチノイン酸様の生物活性を有すること、並びに該化合物が親水性で生体内で容易に分解されるので、細胞損傷性が軽減されていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の請求項1記載の置換ジエナミド誘導体は、下記一般式化3
【化3】
Figure 0003581722
(式中、R,RおよびR(ま独立に水素またはアルキル基を示す)
で示される。
また、請求項2記載の置換ジエナミド誘導体は、下記一般式一般式化4
【化4】
Figure 0003581722
(式中、 R,RおよびRは独立に水素またはアルキル基を示す)
で示される。
【0006】
前記化3ないし化4において、R,RおよびRは独立に水素またはアルキル基を示す。Rがアルキル基を示す場合には、カルボニル基がRに対してシスになっていてもよい。RまたはRのいずれか一方がアルキル基を示す場合には、アルキル基は末端のカルボキシル基に対してα位、β位、γ位またはδ位の任意の位置に置換してもよい。両者がアルキル基を示す場合には、同種または異種のアルキル基が置換してもよい。アルキル基としては、たとえば炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などを挙げることができる。
【0007】
化3で示される化合物の例としては、
4−[N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)カルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=H,R=H,R=H)
4−[2−((2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−N−メチルカルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=CH,R=H,R=H)
3−メチル−4−[N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−カルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=H,R=γ−CH,R=H)
1−[N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)カルバモイル]−1,3−ヘキサジエン−4−カルボン酸:(R=H,R=H,R=α−CHCH
2,3−ジメチル−4−[N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−N−メチルカルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=CH,R=γ−CH,R=β−CH
等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0008】
化4で示される化合物としては、例えば、
4−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニルカルボキサミド]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸(R=H,R=H,R=H)
4−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニル−N−メチルカルボキサミド]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=CH,R=H,R=H)
4−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニルカルボキサミド]−1,3−ヘキサジエン−1−カルボン酸:(R=H,R=δ−CHCH,R=H)
2−イソプロピル−4−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニルカルボキサミド]−1,3−ブタジエン−1−カルボン酸:(R=H,R=H,R=β−CH(CH
2−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニルカルボキサミド]−2,4−ヘプタジエン−5−カルボン酸:(R=H,R=δ−CH,R=α−CHCH
等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0009】
前記化3で示される本発明のジエナミド誘導体は、例えばβ−イオノンを水酸化ナトリウム及び臭素で処理して末端のアセチル基をカルボキシル基に変換した後、塩化チオニル等で処理して酸クロライドとし、引続きアジ化ナトリウムと反応させて酸アジドとし、さらにメタノールを用いて対応するカルバメートとする。これをメチル基などで一方のカルボキシル基を保護して得られるムコン酸クロライドと反応させてから、ジエナミドの脱保護を行なうことにより製造することができる。脱保護を行なう前に水素化ナトリウムとヨウ化アルキルで処理することにより、Rがアルキル基の化合物が得られる。R及び/またRがアルキル基である化合物は、上記の反応工程においてムコン酸の代りにモノ或いはジアルキルムコン酸を用いて反応を行なうことにより製造される。
【0010】
化4で示されるジエナミド誘導体は、例えばメチル基などで一方のカルボキシル基を保護したムコン酸モノエステルを塩化チオニルなどで処理して酸クロライドとした後、アジ化ナトリウムで酸アジドとし、さらにメタノールを用いて対応するカルバメートとする。これをβ−イオノンを水酸化ナトリウム及び臭素で処理して末端のアセチル基をカルボキシル基に変換した後、塩化チオニルなどで処理して酸クロライドとしたものと反応させてから、ジエナミドの脱保護を行なうことにより製造される。脱保護を行なう前に水素化ナトリウムとヨウ化アルキルで処理することによりRがアルキル基の化合物が得られる。R及び/又はRがアルキル基の化合物は、上記の反応工程においてムコン酸の代りにモノ或いはジアルキルムコン酸を用いて反応を行なうことにより製造される。
【0011】
本発明のジエナミド誘導体は、レチノイン酸様の生物活性を有するので、ビタミンA欠乏症、上皮組織の角化症、リウマチ、アレルギー疾患、白血病及び癌の治療に有用である。また、皮膚の老化防止や光障害の抑制にも有用である。
本発明の化合物は、当業者に周知の方法により経口用或いは非経口用の医薬組成物に変換される。経口投与に適する医薬用組成物の例としては、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤ないしシロップ、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、及び塗布剤などを挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、薬理学的、製剤的に許容しうる添加物を加えて製造してもよい。薬理学的、製剤学的に許容しうる添加物の例としては、例えば賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤及び粘着剤を挙げることができる。患者に対する上記医薬用組成物の投与量は、通常経口投与の場合には成人1日当り0.1〜1000mgであるが、投与量は年齢や症状などにより適宜増減することができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0013】
実施例1 ムコン酸モノメチルエステル
ムコン酸10g(70mmol)を500mlのメタノールに溶解し、濃硫酸25mlを添加して攪拌しながら3時間還流を続けた後、エバポレーターで溶媒を留去した。酢酸エチル(500ml)と冷水(500ml)を加えて分液し、有機層を冷水(500ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。得られた白色固体をメタノールで再結晶し、ムコン酸ジメチルエステル9.9gを得た。このムコン酸ジメチルエステル5.0g(29.4mmol)をメタノール300mlに加え、60℃の水浴上で攪拌・溶解し、ここにメタノール20mlと水5mlの混合物に溶解した水酸化カリウム溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後60℃で2時間攪拌してから、溶媒を留去し、酢酸エチル(300ml)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300ml)で分液後、水相がほぼpH1になるまで2N塩酸を加えて酢酸エチルで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去した。得られた白色固体をベンゼンから再結晶し、3.81gのムコン酸モノメチルエステルを得た。
白色結晶(融点163−164℃)
元素分析(C
計算値 C:53.66%;H:5.12%
実測値 C:53.85%;H:5.16%
H−NMR(400MHz,CDCl)δ6.23(m,2H),7.37(m,2H)
IR1700κ(カルボニル)、1640,1610κ(trans−trans伸縮)、2600κ(カルボン酸OH伸縮)
【0014】
実施例2 N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキサン−1−イル)エステル)カルバミン メチル
3−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−プロペン酸5.60g(28.8mmol)を乾燥ベンゼン150mlに溶解し、室温(26℃)下で塩化チオニル20ml(283mmol)を加え、反応溶液をアルミホイルで遮光して6時間攪拌した後、減圧下で塩化チオニルを留去し、残渣に乾燥ベンゼン30mlを加えて共沸留去する操作を3回繰返し、淡黄色の粘性のある油状物を得た。この油状物を100mlのアセトンに溶解し、氷冷下(−10℃)で攪拌しながら、水5mlとアセトン100mlの混合物に溶解したアジ化ナトリウム2.5g(34.6mmol)を−10℃に冷却して滴下した。さらに4時間攪拌した後に、反応液に氷冷した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlを加え、ベンゼン(200ml)で4回抽出した。有機層を氷冷水(200ml)及び冷却した飽和食塩水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後にエバポレーターで溶媒を300mlまで留去した。このベンゼン溶液に乾燥メタノール300mlを加え攪拌し、室温より少しずつ温度を上げ還流させ、そのままさらに3時間攪拌を続けた。反応溶液をエバポレーターで留去し、得られたカルバメート(ウレタン)を酢酸エチル/n−ヘキサン混合液から再結晶し、無色の結晶5.15gを得た。
無色結晶(融点118〜119℃)
元素分析(C1321N)
計算値 C:69.91%;H:9.48%;N:6.72%
実測値 C:69.89%;H:9.59%;N:6.31%
H−NMR(400MHz,CDOD) δ1.00(s,6H),1.48(m,2H),1.62(m,2H),1.78(s,3H),2.10(m,2H),3,78(s,3H),5,78(d,1H,J=15Hz),7.30(s,1H,NH),7.57(d,J=15Hz)
IR 1720κ(カルボニル),1620κ
【0015】
実施例3 4−[N−(2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)カルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン
実施例2で得たカルバメート2.23g(10mmol)を100mlの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、氷冷下攪拌しながら、ヘキサンで油分を洗った水素化ナトリウム480mgを加え、実施例1にしたがって製造したムコン酸モノメチルエステルの酸クロライド2.0g(12mmol)を冷却した乾燥ベンゼン50mlに溶解したものを一度に加え、さらに1時間氷冷下で攪拌を続けた。減圧下で溶媒を留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加えて酢酸エチル(200ml)で2回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し、淡黄色の固体を得た。これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シリカ350ml,n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製した。
【0016】
このカルバメート誘導体の2.1g(5.8mmol)を50mlのDMFに溶解し、ヨウ化リチウム2水和物1.13g(5.9mmol)を加えて8時間攪拌・還流した。溶媒を留去した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加えて酢酸エチル(100ml)で2回抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色の固体1.98gを得た。
これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シリカ150ml,n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、ジエナミドメチルエステルを分離した。
【0017】
このジエナミドメチルエステル100mg(0.33mmol)をメタノール20mlに溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えて室温で12時間攪拌し、1N塩酸30mlに移し、酢酸エチル(50ml)で3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色の固体88.5mgを得た。n−ヘキサンと酢酸エチル混合溶媒から再結晶し、68.7mg(0.238mmol)の目的化合物を得た。
淡黄色結晶(融点226〜228℃)
元素分析(C1723N)
計算値 C:70.55%;H:8.02%;N:4.84%
実測値 C:70.26%;H:8.00%;N:4.82%
H−NMR(400MHz,CDOD) δ0.99(s,6H),1.49(m,2H),1.61(m,2H),1.72(s,3H),2.10(m,2H),3.80(s,3H),5.71(d,1H),6.05(s,2H),6.15−6.25(m,2H),7.81(dd,1H),7.32−7.42(m,2H)
IR 950,1000,1630,1725κ(カルボニル)、2800κ(幅広い)
【0018】
実施例4 4−[2−((2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−N−メチルカルバモイル]−1,3−ブタジエン−1−カルボン
実施例3の中間体として得られたジエナミドメチルエステル303mg(1mmol)を20mlの乾燥DMFに溶解し、氷冷下で攪拌しながら、ヘキサンで油分を洗った水素化ナトリウム45mgを加え、約5分後に淡黄色の溶液が赤色に変り持続するのを確認してから乾燥ヨウ化メチルを2ml添加した。氷冷下で1時間攪拌し、溶媒を減圧留去した後、氷冷水(50ml)を加え、氷冷酢酸エチル(50ml)で5回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して323mgの淡黄色固体を得、これを酢酸エチルとn−ヘキサン混合溶媒より再結晶し、目的化合物288mgを得た。
無色結晶(融点105〜106℃)
元素分析(C1825N)
計算値 C:71.89%;H:8.57%;N:4.41%
実測値 C:72.04%;H:8.71%;N:4.50%
H−NMR(400MHz,CDOD) δ1.00(s,6H),1.49(m,2H),1.62(m,2H),1.71(s,3H),2.05(m,2H),3.23(s,2.3H)/3.25(s,0.7H),5.51−5.60(m,1H),6.18−6.23(m,1H),6.56(m,1H),6.70−6.80(m,1H),7.29−7.42(m,2H)
IR 950,1000,1250,1600,1720κ(カルボニル)
【0019】
実施例5 N−(4−メトキシカルボニル−1,3−ブタジエニル)カルバミン メチル
実施例1で得たムコン酸モノメチルエステル4.00g(25.6mmol)に、室温(26℃)下で塩化チオニル20ml(283mmol)を加え、反応溶液をアルミホイルで遮光して2時間攪拌後、60℃に加温して3時間攪拌し、減圧下で塩化チオニルを留去した。残渣に乾燥ベンゼン30mlを加えて共沸留去する操作を3回繰返し、灰色の固体(酸アジド)を得た。この固体を50mlの乾燥アセトンに溶解し、氷冷下(−10℃)で攪拌しながら、乾燥アセトン100mlに懸濁させたアジ化ナトリウム1.99g(27.6mmol)を−10℃に冷却して滴下した。さらに4時間攪拌した後に、反応液に氷冷したo−キシレン400mlを加え、氷冷した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml)、氷冷水(200ml)、氷冷飽和食塩水(200ml)で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを敷いたグラスフィルターを通した後に、エバポレーターで溶媒を200mlまで留去した。このo−キシレン溶液に乾燥メタノール400mlを加え攪拌し、室温より少しずつ温度を上げ還流させ、そのままさらに3時間攪拌を続けた。反応溶液を減圧留去し、得られたカルバメート(ウレタン)を酢酸エチル/n−ヘキサン混合液から再結晶し、淡黄色の結晶3.41gを得た。
淡黄色結晶(融点176〜178℃)
元素分析(C11N)
計算値 C:51.81%;H:5.99%;N:7.56%
実測値 C:51.69%;H:5.89%;N:7.49%
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.21(s,3H),2.28(s,3H),4.20−4.33(m,2H),5.13−5.21(s,NH),5.50−5.60(m,1H),5.47−5.81(m,1H)
IR 1250,1620,1720κ(カルボニル)
【0020】
実施例6 4−[2−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−エテニルカルボキサミド−1,3−ブタジエン−1−カルボン
実施例5で得たカルバメート1.85g(10mmol)を50mlの乾燥DMFに溶解し、氷冷下で攪拌しながら、ヘキサンで油分を洗った水素化ナトリウム480mgを加え、3−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−プロペン酸の酸クロライド2.0g(12mmol)を冷却した乾燥ベンゼン50mlに溶解したものを一度に加え、さらに1時間氷冷下で攪拌を続けた。溶媒を減圧留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加えて酢酸エチル(200ml)で3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色油状物を得た。これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シリカ350ml,n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製した。
このカルバメート誘導体の2.0g(5.5mmol)を70mlの乾燥DMFに溶解し、ヨウ化リチウム2水和物0.94g(5.5mmol)を加えて8時間攪拌・還流した。溶媒を減圧留去後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100ml)を加えて酢酸エチル(100ml)で2回抽出し、有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、淡黄色固体2.01gを得た。これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(シリカ180ml,n−ヘキサン:酢酸エチル=8:1)により精製し、ジエナミドメチルエステルを分離した。
【0021】
このジエナミドメチルエステル107mg(0.35mmol)をメタノール10mlに溶解し、2N−水酸化ナトリウム水溶液4mlを加えて室温で24時間攪拌し、1N−塩酸30mlに移し、酢酸エチル(30ml)で3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去し淡黄色の固体81mgを得た。n−ヘキサンと酢酸エチル混合溶媒から再結晶し、68.4mg(0.237mmol)の目的化合物を得た。
淡黄色結晶(融点221〜223℃)
元素分析(C1723N)
計算値 C:70.55%;H:8.02%;N:4.84%
実測値 C:70.31%;H:8.24%;N:5.06%
H−NMR(400MHz,CDOD) δ0.98(s,6H),1.46(m,2H),1.59(m,2H),1.71(s,3H),2.00(m,2H),3.80(s,3H),5.71(d,1H),6.05(s,2H),6.15−6.25(m,2H),7.81(dd,1H),7.32−7.42(m,2H)
IR 950,995,1250,1595,1720κ(カルボニル),2800κ(幅広い)
【0022】
次に、本発明にかかる化合物の作用について検討した。
試験例1
上記化合物の細胞分化誘導能を、前骨髄球性白血病細胞株HL−60を用い、特開昭61−76440号公報に記載された方法に準じて、顆粒球系細胞への分化を核の形態観察及びニトロブルーテトラゾリウム(NBT)の還元能を測定することにより判定した。本方法はレチノイドの細胞分化誘導活性をよく反映するものとして周知の方法である。対象としてレチノイン酸を用いた。結果を次の表1に示す。
【0023】
【表1】
Figure 0003581722
上記表1より明らかなように、本実施例にかかるジエナミド誘導体は顕著な分化誘導性を有し、レチノイン酸様の生物活性に優れることが理解される。
【0024】
試験例2
前記実施例の化合物の体内分解性をラット肝臓ホモジネートを用いたin vitro試験で検討した。一定量の肝ホモジネート(ラット肝25gを1.1%KClで等張としたpH7のリン酸緩衝液100mlとホモジネートしたものを、25%ホモジネートとする)中に、エタノールに溶解した被検物質を終濃度6ppm(約2×10−5M)となるように添加し、経時的にサンプリングを行ない、酢酸エチルにより抽出し、高速液体クロマトグラフィーにより被検物質の定量を行なった。結果を以下の表2に示す。
【0025】
【表2】
Figure 0003581722
上記表2より、本実施例にかかるジエナミド誘導体は体内分解性を有することが示唆される。
【0026】
試験例3
上記の実施例の化合物の安定性を検討した。被検物質を300ppmエタノール溶液として50℃でXe光を30時間照射した。この条件は真夏日10日間の日光暴露に相当すると考えられている。照射後の被検物質残存量をバレロフェノン内部標準として、高速液体クロマトグラフィーにより定量した。同時にアルミホイルで遮光し、同条件下に置いた場合の照射後の被検物質残存量も定量した。その結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003581722
上記表3より、本発明にかかるジエナミド誘導体は、熱、光に対して優れた安定性を有することが理解される。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる化合物は、レチノイン酸様の生物活性を有し、しかも親水性にすぐれ、生体内で容易に分解されるので細胞障害を惹起することがない。

Claims (2)

  1. 下記一般式化1
    Figure 0003581722
    (式中、R,RおよびRは独立に水素またはアルキル基を示す)
    で示される置換ジエナミド誘導体。
  2. 下記一般式化2
    Figure 0003581722
    (式中、R,RおよびRは独立に水素またはアルキル基を示す)
    で示される置換ジエナミド誘導体。
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