JP3580647B2 - 地下水流の遮水構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、地層中の一定の広さの部位に地下水が流れ込むのを低減する遮水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、地表面上に設けられる一般廃棄物や産業廃棄物の処分場や、放射性廃棄物の処分場や、あるいは有害物質で汚染された土壌にあっては、これ等の下を流れる地下水流の流速を低減する必要がある。地下水流の流速を低減して、上記処分場,土壌中から地下水流に浸入した有害汚染水で地下水が下流に流れて下流側が汚染されないようにするためである。
従来の地下水の流速を低減させる方法としては、つぎの方法がある。
イ グラウトなどにより地盤全体の透水係数を小さくする図9(a),(b)に示す方法。
ロ コンクリート地中壁などの遮水壁により地下水流を遮断して壁内側への地下水の流入量を小さくする図10(a),(b)に示す方法。
イの図9(a),(b)に示す方法は、一定の広さの処分場1に対応する地層2中の一定の広さの部位に、地表面4より難透水性地盤5までの深さのボーリング孔3を多数設けて、このボーリング孔3中にグラウトを高圧充てんすることにより、ボーリング孔3の回りの地盤にこのグラウトを注入する。グラウトの注入により図示ハッチングの地下水流抑止部分7が地盤中に形成されるので、処分場1の下の地中全体の地盤の透水係数を小さくできる。
上記ロの図10(a),(b)に示す方法は、処分場1に対応する地層2中の一定の広さの部位を、地表面4より難透水性地盤5のやや下部まで達する深さのコンクリート壁,SMW等より成る遮水壁7で囲むものである。図10(a),(b)中、8は自然状態の地下水位で、遮水壁7はこの地下水位8よりも下部方向に突出されて難透水性地盤5に根入れされることになる。これにより、地下水位を、線分9で示すように水平状態に設定できる。
この方法は、地下水流6を遮断して壁内側への地下水流の流入量を小さくするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のイの方法では、つぎの課題がある。
・地下水流の抑止領域はグラウト注入範囲のみであり、処分場全域の地下水流を低減するためにはグラウト改良範囲が広大となり多大なコストがかかる。
・グラウトは地表面から行うことになり、処分場操業後には遮水工を破損することになるため適用できない。
・グラウトによる効果の確認が困難である。
・グラウト不良箇所があるとその点が水みちとなり効果がなくなる。
ロの方法では、つぎの課題がある。
・短期間では効果があるが、長期にはその内側まで圧力が伝搬され自由地盤と同等の動水勾配が生じる。
・遮水壁は、壁と同等またはそれ以下の透水係数である難透水性地盤(粘土層や岩盤など)まで完全に根入れをしないと効果がない(難透水性地盤が浅地層にない場合はコストが高くなる)。
・確定な根入れ地盤の調査などの事前調査のために多数のボーリング調査が必要となる。
・根入れの不良箇所が一部でもあると、地下水はその箇所を回り込み、効果が全くなくなる。
【0004】
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、イのグラウト注入による課題を改善して、コスト低減を図り、処分場操業後の遮水工の破損を不要とし、あるいはロの遮水壁の問題点を改善して、長期間にも遮水効果を発揮し、難透水性地盤への根入れ、根入れ調査,根入れ不良にそれ程注意を払う必要がないようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この請求項1に係る発明は、地表面から一定の深さまで埋設されて一定の広さの部位を囲む遮水構造において、地下水流を遮断する遮水壁と、この遮水壁の内側又は外側又は内部に設けられて地下水を下流側に迂回させて上記一定の広さの部位内の地下水位を水平レベルにする透水層とから成る地下水流の遮水構造とした。
【0006】
この請求項2に係る発明では、透水層としてレキや玉石等の透水性材料より形成する。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1(a),(b),図2,図3は本発明による地下水流の遮水構造の一実施の形態を示す平面図,断面図及び要部断面図であり、各図において、地表面10の上の一定の広さの処分場11には例えば一般廃棄物,産業廃棄物,放射性廃棄物,有害物質等が配置されることで、これ等に含まれる物質が溶けて処分場11の下の地層中は多少なりともこれ等が浸入して汚染される可能性を有する。
本実施の形態では、上記処分場11の下の一定の広さの部位の地層12中を囲む遮水構造20を設ける。
上記遮水構造20は、図示の例では矩形の筒状となって、地表面10から難透水性地盤21のやや下部に根入れされる。
この遮水構造20は、図2に示すように外側に位置するコンクリート壁等の遮水壁20aと、その内側に位置する透水層20bとより成るもので、上記遮水壁20aは地層中に壁面を作りつつ切削して溝を形成し、この溝に鉄筋を収納した後、コンクリートを骨材とともに打設し固化養生して形成する工法の、いわゆる連続地中壁工法で施工される。
【0008】
上記透水層20bは、地層中の深く切削した溝中に、レキや玉石等を投入して構成されるもので、水分が容易にレキや玉石の間隙をぬって透過する。これで地下水が透水層20中を、その周方向に渡って透過して流れることになる。
【0009】
これにより、地下水流16は、一担遮水壁20a中に流れ込んでもこの水透過率の良い透水層20bに取込まれて下流方向に流れて下流側の遮水壁20aの外部に放出される。特に、遮水壁20bの下端が、難透水性地盤21中に根入れされずに多少浮き上がって施工されても、遮水壁20bの中に入り込んだ地下水流16は透水層20bを経て迂回され、下流方向にしみ出るように放出される。
【0010】
地下水位は、自然の状態では線分22に示すように傾斜しているが、遮水壁20aと透水層20bとより成る複合遮水壁の遮水構造20にもとづいて線分23に示すように水平な状態となる。
【0011】
本実施の形態では、遮水構造20が複合遮水壁を成すもので、従来のコンクリートなどの地中連続壁の内側または外側または内部に、レキや玉石などの透水性材料で作った透水層20bを設けたものであり、処分場11の全周を囲むように配置する。この方法によって、処分場内部の地下水流は複合遮水壁内部の透水層20bを支配的に流れることになり、地下水位は水平レベルとなって流速が抑止されることになる。この方法は、透水層の設置により、地下水流は透水層内の流れが支配的となり、壁内側への水圧の伝搬が減少し、動水勾配を低減させる効果をもち、簡単な事前調査のみで地盤の対象領域の外側から地下水流の抑止を可能としたものである。
【0012】
ここで、複合遮水壁による地下水流抑止効果がどの程度であるのか評価するために、処分場モデルを作成し地下水流解析を行い、数値解析的に検討した結果について示す。
図3は処分場の解析モデルである。解析は、壁のない場合(Case−1)、遮水壁単独(Case−2)、内側が透水層の複合遮水壁(Case−3)、外側が透水層の複合遮水壁(Case−4)の4ケースについて実施した。図4は、処分場内部の地下水流の抑止効果をみるため、処分場中央部の流速を壁のないCase−1の流速で除した低減率について整理したものである。処分場の流速は、遮水壁(Case−2)や複合遮水壁(Case−3と4)を設置すると低減するが、透水層を設けた複合遮水壁の方がさらに1オーダー程度小さくなっており、地下水流の抑制には複合遮水壁がより効果があることが分かる。
【0013】
本発明の実施の形態ではつぎの効果が得られる。
・複合遮水壁で囲まれた部分の地下水位は水平となり、動水勾配がほぼ0となり地下水流速が抑止される。
・地下水流が抑止されることにより物質の拡散・移動が抑制される。
・複合遮水壁で囲まれた全域の地下水流を抑止することができる。
・遮水壁単独よりも流速の低減率は大きい。
・根入れ地盤は難透水層(粘土層や岩盤など)でなくても効果がある(遮水壁単独よりも根入れする地盤を浅くできる)。
・根入れ不良箇所があっても効果がある。
・遮水壁単独の機能も有する。
・自然の地下水位が変動した場合においても効果がある。
【0014】
なお、透水層20を施工する方法としては、図5に示すように遮水壁20aの内側の溝20c中に水を良好に通過させるポーラスなコンクリートPC(プレキャスト)板20dを上から挿入して施工するようにしてもよい。
【0015】
あるいは、図6に示すように遮水壁20aの内側の溝に、壁面に水分通過用の多数の孔20eを有する塩化ビニール等の筒体20fを挿入して並べるようにして施工してもよい。
【0016】
あるいは、図7に示すように螺旋状の合成樹脂成形部材20gを密に積層して、その内側に複数本の棒材20hを一体化した筒体20iを溝に挿入して並べたものから構成してもよい。
これによれば、積層された状態の合成樹脂成形部材20g,20g間でスリットが形成されて、水の透性部が形成される。
【0017】
また、図8に示すように、透水層20bは遮水壁20aの内部に一体に設けてもよい。あるいは内,外2個の遮水壁間にサンドイッチ構造としてもよい。
【0018】
また、透水層20bは遮水壁20aの内側に設けることに限定されず、外側に設けてもよい。
【0019】
また、本発明の遮水構造は処分場の下地構造とすることに限定されず、工場等の汚染が現に発生した個所を囲むことにより汚染の広がりを防止する汚染抑制部材として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の地下水流の遮水構造の実施の形態を示す平面図及び断面図。
【図2】この発明の地下水流の遮水構造の実施の形態を示す要部断面図。
【図3】この発明の地下水流の遮水構造の実施の形態の特性を示す構成図。
【図4】この発明の地下水流の遮水構造の実施の形態の特性を示すグラフ。
【図5】この発明の地下水流の遮水構造の他の実施の形態を示す図。
【図6】この発明の地下水流の遮水構造の他の実施の形態を示す図。
【図7】この発明の地下水流の遮水構造の他の実施の形態を示す図。
【図8】この発明の地下水流の遮水構造の他の実施の形態を示す図。
【図9】従来の地下水流の遮水構造の一例を示す平面図及び断面図。
【図10】従来の地下水流の遮水構造の一例を示す平面図及び断面図。
【符号の説明】
10 地表面
11 処分場
12 地層中
20 遮水構造
20a 遮水壁
20b 透水層
Claims (2)
- 地表面から一定の深さまで埋設されて一定の広さの部位を囲む遮水構造において、地下水流を遮断する遮水壁と、この遮水壁の内側又は外側又は内部に設けられて地下水を下流側に迂回させて上記一定の広さの部位内の地下水位を水平レベルにする透水層とから成る地下水流の遮水構造。
- 透水層はレキ又は玉石等の透水性材料から成る請求項1に記載の地下水流の遮水構造。
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