JP3579980B2 - 温度補償型リング発振器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度によらず一定の発振周波数にて発振する温度補償型リング発振器に関し、特にMOS型半導体集積回路に適した温度補償型発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、発振回路の一つとして、図9に示すように、奇数個(図では3段)の反転回路INVをリング状に連結してなるリング発振器OSCが知られている。なお、反転回路INVは、ソースを電源Vddに接続したPチャネルMOS型電界効果トランジスタ(以下、PMOSトランジスタとよぶ)Tr1と、ソースを接地したNチャネルMOS型電界効果トランジスタ(以下、NMOSトランジスタとよぶ)Tr2とからなり、互いに接続されたゲートを入力端子とし、互いに接続されたドレインを出力端子とする周知のCMOSインバータにより構成されている。
【0003】
このようなリング発振器OSCの発振周波数fは、各反転回路INVの立上がり遅延時間をtpdr、立下がり遅延時間をtpdf、反転回路INVの連結段数をNとすると、一般に次式にて与えられる。
f=1/{N(tpdr+tpdf)} ・・・(1)
なお、遅延時間tpdr,tpdfは、反転回路INVを構成するトランジスタTr1,Tr2のドレイン電流の駆動能力(以下、電流駆動能力とよぶ)と、反転回路INVの負荷容量とで決まる時定数に依存する。
【0004】
そして、トランジスタTr1,Tr2の電流駆動能力は、温度が上昇する程、低下するという温度特性を有するため、これに応じて各反転回路INVの遅延時間tpdr,tpdfは増大し、その結果、リング発振器OSCの発振周波数は温度に応じて変動し、安定した発振周波数が得られないという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するものとして、例えば、特開平4−139911号公報には、図10に示すように、PMOSトランジスタTr1及びNMOSトランジスタTr2からなるCMOSインバータに、各トランジスタTr1,Tr2に流れるドレイン電流を制御するための制御用トランジスタTr3(PMOS),Tr4(NMOS)を、各トランジスタTr1,Tr2のソース側に夫々直列に接続してなる反転回路INVaを、奇数個リング状に連結することにより構成されたリング発振器OSCaと、トランジスタTr1,Tr2に流れるドレイン電流が温度によらず一定となるように制御用トランジスタTr3,Tr4のゲート電圧を制御し、各反転回路INVaの遅延時間が一定となるようにする温度補償回路70とにより構成された温度補償型のリング発振器が開示されている。
【0006】
そして、温度補償回路70は、周囲温度を検出する温度センサ72と、温度センサ72の検出値をデジタル値に変換するA/D変換回路74と、A/D変換回路74からのデジタル値をアドレスとして、予め記憶された所定値を出力するROM76,78と、ROM76,78の出力値を夫々制御用トランジスタTr3,Tr4のゲートを駆動するための電圧値に変換するD/A変換回路80,82とにより構成され、ROM76,78には、トランジスタTr1,Tr2のドレイン電流が温度よらず一定となるようなゲート電圧を発生させるためのデータが予め記憶されてる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この装置では、リング発振器OSCaに付加される温度補償回路70が、温度センサ72の検出信号を一旦デジタル値に変換し、デジタル的にデータを処理した後、再度アナログ値に変換しているため、構成が複雑になると共に、装置が大型化し、例えば、集積回路として構成した場合にも、その占有面積を増大させてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために、温度変動に対して発振周波数を安定させることができ、しかも、小型化が可能な温度補償型リング発振器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、
入力信号を反転して出力すると共に、温度に応じて反転動作の遅延時間が変動する反転回路を奇数個リング状に連結してなるリング発振器と、
該リング発振器を構成する各反転回路の遅延時間を制御することにより、該リング発振器の発振周波数を温度によらず一定となるように温度補償する温度補償手段と、
からなる温度補償型リング発振器において、
上記温度補償手段は、
非反転入力端子を、第1の設定電圧が印加される第1の制御端子に接続した演算増幅器と、
該演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に接続された第1の素子、及び上記演算増幅器の反転入力端子とグランドとの間に接続され、しかも、第2の制御端子に印加される第2の設定電圧に応じて温度特性を変更可能な第2の素子からなり、上記演算増幅器の出力端子から出力される補償電圧を分圧して該演算増幅器の反転入力端子に印加する分圧回路と、
を備え、上記補償電圧により、上記反転回路への印加電圧、或いは上記反転回路を構成する素子を制御するように構成されていると共に、上記補償電圧の温度特性に基づく上記反転回路の遅延時間の変動によって、上記反転回路の温度に応じた遅延時間の変動が相殺されるように、該補償電圧の温度特性を決定する上記第1及び第2の素子の温度特性の極性や前記第1及び第2設定電圧が選択,設定されていることを特徴とする。
【0010】
このように構成された請求項1に記載の温度補償型リング発振器において、温度補償手段に備えられた演算増幅器、第1の素子、第2の素子は、周知の非反転増幅回路を構成する。
即ち、第1の素子の抵抗値をR1(T)、第2の素子の抵抗値をR2(T)、非反転入力端子に印加される第1の設定電圧をVrefとすると、演算増幅器の出力端子から出力される補償電圧Vcは、次式にて表される。
【0011】
Vc=(R1(T)/R2(T)+1)・Vref ・・・(2)
なお、Tは温度であり、R1(T),R2(T)は、抵抗値が温度特性を有することを表す。
そして、本発明では、抵抗値R1(T),R2(T)の温度特性が互いに異なることから、周囲温度Tの変化に応じてR1(T)/R2(T)の値が変化し、補償電圧Vcは所定の温度特性を有することになる。例えば、R1(T)/R2(T)の値が、温度Tに対して単調に増加する場合、補償電圧Vcは、図6に実線にて示すような特性を有する。なお、簡単のために、温度特性を直線にて示す。
【0012】
ここで、第1の設定電圧Vrefの設定値を変化させると、(2)式から明かなように、補償電圧Vcの電圧レベルが変化し、従って、補償電圧の温度特性は、図6に点線にて示すように、その傾きを保持したまま、設定電圧Vrefに応じてシフトする。
【0013】
一方、第2の設定電圧Vqを変更して、第2の素子の抵抗値R2(T)の温度特性を変化させると、これに応じてR1(T)/R2(T)の値が変化し、延いては、図6に一点鎖線にて示すように、温度特性の傾きが変化する。
つまり、第1の素子及び第2の素子の温度特性の極性(温度Tに対して抵抗値が増加/減少のいずれの方向に変化するか)、第1の設定電圧Vref及び第2の設定電圧Vqを適宜選択,設定することにより、任意の温度特性(電圧レベル、傾き)を有する補償電圧Vcを生成できる。
【0014】
従って、本発明の温度補償型リング発振器によれば、演算増幅器と分圧回路とにより温度に応じて生成される補償電圧Vcの温度特性を任意に設定できるため、この補償電圧Vcをそのままリング発振器の遅延時間を制御するための制御信号として用いることができ、その結果、従来装置において温度センサの検出信号を、リング発振器の制御に適した制御信号に変換するために用いられていたA/D変換器74,ROM76,78,D/A変換回路80,82といった構成を省略できるため、当該温度補償型リング発振器を大幅に小型化できる。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の温度補償型リング発振器において、
上記第1の素子は、ソースを上記演算増幅器の出力端子に接続し、ドレイン及びゲートを該演算増幅器の反転入力端子に接続したPチャネルMOS型トランジスタからなると共に、
上記第2の素子は、ソースを接地し、ドレインを上記演算増幅器の反転入力端子に接続し、ゲートを第2の制御端子に接続したNチャネルMOS型トランジスタからなり、
上記第2の制御端子には、第2の設定電圧として、NチャネルMOS型トランジスタのしきい値近傍の所定電圧を印加することを特徴とする。
【0016】
このように構成された請求項2に記載の温度補償型リング発振器においては、第1の素子としてのPチャネルMOS型トランジスタは、温度上昇に対してドレイン電流の駆動能力が低下するため導通抵抗(式(2)のR1(T)に相当)が大きくなり、一方、第2の素子としてのNチャネルMOS型トランジスタは、温度上昇に対してドレイン電流の駆動能力が向上するため導通抵抗(式(2)のR2(T)に相当)が小さくなる。
【0017】
ここで、図7は、MOS型トランジスタのドレイン電流Idの特性である。
図7に示すように、MOS型トランジスタのドレイン電流Idは、ドレイン・ソース間電圧Vdを一定とした場合、ゲート・ソース間電圧Vgの増大に応じて指数関数的に増大し、しかも、ゲート・ソース間電圧Vgが所定電圧Vaより大きい領域では、温度Tの上昇に応じて減少し、所定電圧Vaより小さい領域では、温度Tの上昇に応じて増大する特性を有する。そして、温度Tに対してドレイン電流Idが変化しない所定電圧Vaにおける特性曲線の接線を延長し、ドレイン電流Id=0となるゲート・ソース間電圧Vgをしきい値Vtと呼ぶ。
【0018】
即ち、ドレインとゲートとが接続された第1の素子としてのPチャネルMOS型トランジスタでは、ゲート・ソース間電圧Vgとドレイン・ソース間電圧Vdとが等しく、しかも、ドレイン・ソース間電圧Vdは、通常、所定電圧Vaより十分に大きくなることから、温度Tの上昇に応じて導通抵抗が大きくなるのであり、また、ゲートが第2の制御端子に接続された第2の素子としてのNチャネルMOS型トランジスタは、ゲート・ソース間電圧Vgがしきい値近傍に設定されるため、温度Tの上昇に応じて導通抵抗が小さくなるのである。
【0019】
このように、本発明によれば、第1及び第2の素子のいずれもが、温度Tの上昇に対して、(2)式におけるR1(T)/R2(T)の値を増大させるように変化するため、温度Tに対する感度のよい補償電圧Vcを生成することができる。
また、本発明において所定の温度特性を有する補償電圧Vcを発生させるための主要な構成要素である分圧回路は、PチャネルMOS型トランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのドレインを互いに接続してなり、CMOSインバータと略同様の構成をしているため、特に、当該温度補償型リング発振器をCMOS集積回路上に構成する場合、容易にしかも小型に作製することができる。
【0020】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の温度補償型リング発振器において、
上記反転回路は、ソース及びバルクを電源ラインに接続したPチャネルMOS型トランジスタと、ソース及びバルクを接地したNチャネルMOS型トランジスタとを、ゲート同士を互いに接続して入力とし、ドレイン同士を互いに接続して出力としてなるCMOSインバータからなり、
上記電源ラインを、上記演算増幅器の出力端子に接続して、上記補償電圧が上記反転回路に印加されるように構成し、
温度上昇による上記反転回路の遅延時間の増大を、温度上昇に応じて上記反転回路に印加される補償電圧が増大することによる遅延時間の減少により相殺して、上記反転回路の遅延時間を一定とすることを特徴とする。
【0021】
このように構成された請求項3に記載の温度補償型リング発振器においては、反転回路に電源を供給する電源ラインに、温度補償手段からの補償電圧が印加されており、温度Tの上昇に応じて、反転回路の電源電圧は大きくなる。
ところで、反転回路を構成する各MOS型トランジスタは、その導通時のゲート・ソース間電圧Vgが反転回路に印加される電源電圧に略等しく、温度特性の極性が反転する所定電圧Vaに比べて十分に大きいため、温度Tが上昇するとドレイン電流Idの駆動能力が低下する。
【0022】
一方、反転回路の電源電圧を大きくすると、導通状態となるトランジスタのゲート・ソース間電圧Vgが大きくなるため、ドレイン電流Idの駆動能力が向上する。つまり、ドレイン電流Idの駆動能力と反転回路の負荷容量とにより決まる反転回路の遅延時間は、温度上昇に応じて増大し、また、電源電圧の増大に応じて減少する。
【0023】
従って、本発明の温度補償型リング発振器によれば、温度上昇による反転回路の遅延時間の増大は、温度上昇に応じて補償電圧Vc、即ち反転回路の電源電圧が増大することによる遅延時間の減少により相殺されるため、反転回路の遅延時間を温度Tによらず略一定とすることができ、その結果、安定した発振周波数を得ることができる。
【0024】
また、本発明によれば、反転回路の遅延時間の制御を行うために、反転回路に何等加工を施す必要がなく、従来のリング発振器に温度補償手段を付加するという最小限の構成の追加にて、リング発振器の発振周波数を安定化させることができる。
【0025】
また次に、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の温度補償型リング発振器において、
上記分圧回路を構成する第1の素子としてのPチャネルMOS型トランジスタは、バルクがソースに接続されていることを特徴とする。
【0026】
このように構成された請求項4に記載の温度補償型リング発振器においては、第1の素子としてのPチャネルMOS型トランジスタの特性が、電源電圧とは関係なく決定されるため、温度補償手段が出力する補償電圧も、電源電圧の影響を受けることなく生成される。
【0027】
従って、本発明の温度補償型リング発振器によれば、当該装置に印加される電源電圧が変更されたとしても、第1及び第2の設定電圧を変更することなく同じ設定にて、様々な電源電圧の装置にて使用することができる。また、このように電源電圧の影響を受けないため、電源の安定度が悪く、使用中に電源電圧が変動するような場合であっても、安定した発振周波数を得ることができる。
【0028】
更に、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の温度補償型リング発振器において、
上記反転回路は、出力または入力に、一方のドレインを他方のソースに夫々接続したPチャネルMOS型トランジスタ及びNチャネルMOS型トランジスタからなるアナログスイッチを備えると共に、
上記リング発振器は、上記補償電圧発生手段からの補償電圧を上記アナログスイッチのNチャネルMOS型トランジスタのゲートに印加すると共に、該補償電圧を、上記反転回路の出力の中心電圧に対して、該補償電圧とは対称的な電圧レベルに変換して上記アナログスイッチのPチャネルMOS型トランジスタのゲートに印加するレベル変換回路を備え、上記補償電圧により上記アナログスイッチの導通状態が制御されるように構成し、
更に、上記温度補償手段では、温度上昇に応じて上記補償電圧が増大するように該補償電圧の温度特性を設定することにより、
温度上昇による上記アナログスイッチの電流駆動能力の低下を、温度上昇に応じて該アナログスイッチを構成する各トランジスタのゲート・ソース間電圧が増大することによる該アナログスイッチの電流駆動能力の向上により相殺して、上記反転回路の遅延時間を一定とすることを特徴とする温度補償型リング発振器。
【0029】
このように構成された請求項5に記載の温度補償型リング発振器においては、レベル変換回路が、温度補償手段からの補償電圧、及びこの補償電圧をレベル変換した電圧を、アナログスイッチを構成するNチャネルMOS型トランジスタ及びPチャネルMOS型トランジスタのゲートに夫々印加する。そして、補償電圧が印加されるNチャネルMOS型トランジスタのゲート電圧は、温度Tの上昇に応じて大きくなり、レベル変換回路にてレベル変換された電圧が印加されるPチャネルMOS型トランジスタのゲート電圧は、温度Tの上昇に応じて小さくなる。
【0030】
ところで、MOS型トランジスタにて構成されたアナログスイッチでは、温度Tの上昇に応じて、各トランジスタのドレイン電流Idの駆動能力が低下するため、アナログスイッチの電流駆動能力は低下する。
一方、アナログスイッチを構成するNチャネルMOS型トランジスタは、ゲート電圧が大きい程、また、PチャネルMOS型トランジスタは、ゲート電圧が小さい程、ドレイン電流Idの駆動能力が向上するため、温度Tの上昇に応じて、アナログスイッチの電流駆動能力は向上する。
【0031】
従って、本発明の温度補償型リング発振器によれば、温度上昇によるアナログスイッチの電流駆動能力の低下分が、補償電圧Vcによりゲート電圧が制御されることによる電流駆動能力の向上分にて相殺されるため、アナログスイッチの電流駆動能力を温度Tによらず略一定とすることができる。
【0032】
ここで、このアナログスイッチの電流駆動能力を、CMOSインバータの温度補償範囲内における電流駆動能力の最悪値より小さく設定すれば、アナログスイッチの電流駆動能力が反転回路の電流駆動能力となるため、反転回路の遅延時間は、CMOSインバータの電流駆動能力には関係なく、アナログスイッチの電流駆動能力と、負荷容量とにより決定される。
【0033】
その結果、反転回路の遅延時間が温度によらず略一定となるため、リング発振器の発振周波数を安定化させることができる。
なお、本発明によれば、リング発振器にアナログスイッチとレベル変換回路とを追加する必要があるが、温度補償手段の演算増幅器を、電流駆動能力の小さい素子にて構成することができ、温度補償手段をより小型に構成できるため、全体として、当該温度補償型リング発振器を小型化することができる。
【0034】
即ち、本発明においては、演算増幅器は、アナログスイッチのゲート信号を発生させればよく、請求項3に記載の温度補償型リング発振器のように、反転回路の電源を供給するものではないため、電流駆動能力の小さい素子を用いて構成することができるのである。
【0035】
また更に、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の温度補償型リング発振器において、
上記温度補償手段は、更に、上記第1及び第2の制御端子の夫々に、該各制御端子への印加電圧を設定するための設定手段を備え、
該設定手段は、
デジタル値を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されるデジタル値に応じた電圧を生成して上記制御端子に印加するD/A変換器と、
からなることを特徴とする。
【0036】
このように構成された請求項6に記載の温度補償型リング発振器においては、記憶手段に記憶されたデジタル値が、D/A変換器にて所定のアナログ値に変換され、第1或は第2の設定電圧として、第1及び第2の制御端子に印加される。なお、記憶手段は、従来装置のROMのように、所定温度毎に、その温度に応じたデータを記憶するためものではなく、設定電圧を微調整するためのものであるため、僅かなビット数(nビットあれば2n 段階の調整が可能)でよく、これに対応して、D/A変換器もビット数の小さな小型のものを用いることができる。
【0037】
従って、本発明によれば、従来装置と同様に、記憶手段及びD/A変換器を備えているにも関わらず、従来装置に比べて小型に構成できる。
また、本発明によれば、第1及び第2の設定電圧を設定するための手段を、当該温度補償型リング発振器の外部に外付けする必要がなく、当該温度補償型リング発振器を用いて構成される装置を小型化できる。
【0038】
しかも記憶手段は、第1及び第2の設定電圧を最適な値に設定することができ、このため、特に、当該温度補償型リング発振器を集積回路上に構成する場合には、リング発振器の発振周波数の精度を高いレベルに維持することができる。
即ち、当該温度補償型リング発振器を集積回路上に構成する場合、半導体プロセス上のばらつきにより、リング発振器や温度補償手段を構成する各種素子の特性が変動すると、リング発振器の遅延時間の温度特性と、温度補償手段にて生成される補償電圧の温度特性とがずれてしまい、遅延時間の温度変動が相殺されず、発振周波数の精度を悪化させてしまうのであるが、記憶手段の記憶内容を設定するだけで、第1及び第2の設定電圧を調整でき、簡単に補償電圧の特性を微調整できるため、リング発振器の発振周波数の精度を悪化させてしまうことがないのである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施例の温度補償型リング発振器の全体構成を表す電気回路図である。
【0040】
図1に示すように、本実施例の温度補償型リング発振器2は、奇数個の反転回路12をリング状に連結してなるリング発振器10と、反転回路12の遅延時間を温度補償する温度補償回路20とにより構成されている。
このうちリング発振器10を構成する反転回路12は、ソース及びバルクを電源ラインLに接続したPMOSトランジスタ14と、ソース及びバルクを接地したNMOSトランジスタ16とからなり、互いに接続されたゲートを入力端子とし、互いに接続されたドレインを出力端子とする周知のCMOSインバータにより構成されている。
【0041】
一方、温度補償回路20は、非反転入力端子を所定の第1の設定電圧Vrefが印加される制御端子T1に接続した演算増幅器22と、演算増幅器22の出力電圧を分圧して反転入力端子に印加する分圧回路24とからなり、所謂非反転増幅回路として構成されている。
【0042】
そして、演算増幅器22の出力端子が、温度補償回路20の出力端子として、リング発振器10を構成する各反転回路12の電源ラインLに接続されており、温度補償回路20は、リング発振器10の各反転回路12に、分圧回路24の分圧比と設定電圧Vrefとにより決まる補償電圧Vcを供給している。
【0043】
ここで、分圧回路24は、ソース及びバルクを演算増幅器22の出力端子に接続し、ドレイン及びゲートを反転入力端子に接続したPMOSトランジスタ26と、ソース及びバルクを接地し、ドレインを演算増幅器22の反転入力端子に接続し、ゲートを制御端子T2に接続したNMOSトランジスタ28とにより構成されている。なお、制御端子T2には、しきい値近傍の所定電圧が設定電圧Vqとして印加され、NMOSトランジスタ28のドレイン電流が正の温度特性を有するようにされている。
【0044】
このように構成された分圧回路24において、PMOSトランジスタ26の導通抵抗R1(T)は、温度Tの上昇に応じて増大し、NMOSトランジスタ28の導通抵抗R2(T)は、温度Tの上昇に応じて減少する。
このため、演算増幅器22の反転入力端子への印加電圧は、温度Tの上昇に応じて低下し、その結果、演算増幅器22の出力端子に表れる電圧、即ち、補償電圧Vcは、これに応じて増大する。
【0045】
ところで、反転回路12は、これを構成するMOSトランジスタ14,16の特性により、温度Tの上昇に応じて電流駆動能力が低下する。すると、次段の反転回路12の入力に印加される電圧信号の立上がり、立下がりが鈍るため、遅延時間が増大する。一方、電源ラインLに印加される電圧、即ち補償電圧Vcが大きくなると、これに応じて、MOSトランジスタ14,16の導通時におけるゲート・ソース間電圧Vgが大きくなるため、反転回路12は電流駆動能力が向上し、遅延時間が減少する。この様子を図8に示す。
【0046】
図8は、反転回路12の電流駆動能力の変化、即ち、反転回路12を構成するMOSトランジスタ14,16のドレイン電流の変化量△Idを表す説明図であり、特性Aは、温度Tをパラメータとし、また特性Bは、補償電圧Vcをパラメータとして表したものである。なお、温度To,補償電圧Voの時のドレイン電流Idを基準としている。
【0047】
即ち、第1の設定電圧Vrefを適宜設定して、リング発振器10に電源電圧として印加される補償電圧Vcを調整することにより、リング発振器10の発振周波数を所定値に設定すると共に、第2の設定電圧Vqを適宜設定して、補償電圧Vcの温度特性を調整し、図8に示すように、補償電圧Vcに対するドレイン電流の変化量△Idの特性が、温度Tに対するドレイン電流の変化量△Idの特性とは、対称的なものとなるように設定すれば、ドレイン電流の変化量△Idが互いに相殺され、反転回路12の電流駆動能力が一定となり、反転回路12の遅延時間が一定となるのである。
【0048】
以上説明したように、本実施例の温度補償型リング発振器2によれば、温度上昇による反転回路12の遅延時間の増大を、温度上昇に応じて補償電圧Vc、即ち反転回路12の電源電圧が上昇することによる遅延時間の減少により相殺するようにされているので、反転回路12の遅延時間は温度によらず略一定となり、その結果、リング発振器10の発振周波数を安定化することができる。
【0049】
また、本実施例の温度補償型リング発振器2によれば、リング発振器10に遅延を制御するための手段を何等付加することなく、温度補償回路20を付加するという最小限の構成変更にて作製することができ、しかも温度補償回路20は、演算増幅器22と、MOSトランジスタ26,28からなる分圧回路24とにより構成された極めて簡易なものであるため、容易にしかも小型に構成できる。
【0050】
また、本実施例においては、分圧回路24を構成するPMOSトランジスタ26のバルクがソースに接続され、補償電圧Vcが温度T及び設定電圧Vref,Vqのみの影響を受け、電源電圧の影響を受けることのないようにされており、また、反転回路12を構成するPMOSトランジスタ14のバルクもソースに接続され、反転回路12の遅延時間の特性が、温度T及び補償電圧Vcのみの影響を受け、電源電圧の影響を受けることがないようにされている。
【0051】
従って、本実施例の温度補償型リング発振器2によれば、使用する電源電圧の大きさを変更したとしても、補償電圧Vcは変化しないため、設定電圧Vref,Vqの設定を変更することなくそのまま使用することができ、また、電源の精度が悪く、電源電圧が変動するような場合であっても、発振周波数が変動することがないため、装置の操作性,信頼性を向上させることができる。
【0052】
次に、第2実施例について説明する。
本実施例の温度補償型リング発振器4は、第1実施例と同様に、リング発振器10と、温度補償回路30とにより構成されている。なお、リング発振器10は、第1実施例にて説明したものと全く同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0053】
一方、温度補償回路30は、図2に示すように、第1実施例の温度補償回路20と同様に、非反転増幅回路を構成する演算増幅器22及び分圧回路24を備え、更に、第1の設定電圧Vrefを発生させるためのデジタル値を記憶するメモリ32と、第2の設定電圧Vqを発生させるためのデジタル値を記憶するメモリ34と、メモリ32に記憶されたデジタル値に基づいて所定の電圧値を発生させ、制御端子T1に印加するD/A変換回路36と、メモリ34に記憶されたデジタル値に基づいて電圧値を発生させ、制御端子T2に印加するD/A変換回路38とを備えることにより構成されている。
【0054】
ここで、図3は、メモリ32,34及びD/A変換回路36,38の詳細な構成を表す電気回路図である。
図3に示すように、メモリ32(メモリ34も全く同じ構成)は、夫々が1ビットのデータを記憶するメモリセル56を4個備えてなる周知の4ビットEPROMとして構成されている。即ち、メモリセル56は、ソースを接地し、ゲートをデータ書込端子Wに接続したセルトランジスタ58と、ドレインをセルトランジスタ58のドレインに接続し、ソースを電源Vddに接続し、ゲートを接地したPチャネルMOS型トランジスタからなる負荷トランジスタ60と、セルトランジスタ58のドレイン電位を、所定のしきい値にてコンパレートして出力するインバータ62とにより構成されている。
【0055】
そして、セルトランジスタ58は、ゲート・基板間に周囲から絶縁されたフローティングゲートを有し、このフローティングゲートに電荷が蓄積されているか否かにより、メモリセル56の出力が決まる。即ち、フローティングゲートに電荷が蓄積されていない場合、セルトランジスタ58は導通状態となり、ドレイン電位がLow レベルとなるため、インバータ62を介することによりメモリセル56の出力はHighレベルとなる。一方、フローティングゲートに電荷が蓄積されている場合、セルトランジスタ58は非導通状態となり、ドレイン電位がHighレベルとなるためメモリセルの出力はLow レベルとなる。
【0056】
なお、メモリセル56へのデータの書込、即ちフローティングゲートへの電荷の蓄積は、ゲート及びドレインに高電圧(10〜20V)を印加してドレイン電流を流すことにより行い、データの消去、即ちフローティングゲートに蓄積された電荷の放出は、セルトランジスタ58に紫外線を照射することにより行う。
【0057】
一方、D/A変換回路36(D/A変換回路38も全く同じ構成)は、抵抗値Rの抵抗を3個,及び抵抗値2Rの抵抗を5個用いてなるはしご形抵抗回路64を中心に構成された周知のR−2R型D/A変換回路であり、4ビットのデジタル値を入力する入力端子の夫々には、デジタル入力バッファとしてのインバータ66が設けられ、抵抗回路64にて生成された電圧信号を外部に出力する出力端子には、アナログ出力バッファとして構成された演算増幅器68が設けられている。
【0058】
そして、このD/A変換回路36,38は、メモリ32,34に記憶されたデジタル値に応じて16段階の電圧値を設定する。
以上説明したように、本実施例の温度補償型リング発振器4は、第1実施例の温度補償型リング発振器4に、メモリ32,34と、D/A変換回路36,38を付加したものであるため、第1実施例と同様の効果が得られるだけでなく、本実施例によれば、設定電圧Vref,Vqを変更することにより、補償電圧Vcの温度特性を容易に微調整できるため、装置の信頼性を向上させることができる。
【0059】
即ち、例えば、当該温度補償型リング発振器4をCMOS集積回路として構成した場合、製造上のばらつきにより、反転回路12や分圧回路24を構成するMOSトランジスタ14,16,26,28等の特性がばらつき、反転回路12の遅延時間の温度特性や、補償電圧Vcの温度特性が、設計時とはずれてしまうことがあるが、設定電圧Vref,Vqの設定を変更することにより、補償電圧Vcの温度特性を、ずれてしまった特性に合わせて微調整できるため、発振周波数の温度に対する安定性を悪化させることがなく、信頼性を向上させることができるのである。
【0060】
また、本実施例によれば、設定電圧Vref,Vqを設定するための設定器具を外付けする必要がないので、当該温度補償型リング発振器4を用いて構成される装置をより小型化できる。
なお、本実施例においては、設定電圧Vref,Vqを4ビットにて設定するようにされているが、必要に応じてビット数を増減させてもよい。
【0061】
また、メモリ32,34として、EPROMを用いているが、記憶された内容が保持されるものであればどのようなものでもよく、例えば、EEPROM,フラッシュメモリ,バッテリバックアップされたRAM,ヒューズ等でもよい。
更に、D/A変換回路36,38としてR−2R型を用いているが、△Σ型等を用いてもよい。
【0062】
次に、第3実施例について説明する。
本実施例の温度補償型リング発振器6は、図4に示すように、第1及び第2実施例と同様に、リング発振器40と、温度補償回路20aとにより構成されている。
なお、温度補償回路20aは、第1実施例の温度補償回路20において、分圧回路24に代えて、PMOSトランジスタ26のバルクを、ソースではなく、電源Vddに接続してなる分圧回路24aを用いている以外は、第1実施例の温度補償回路20と全く同様である。
【0063】
これは、本実施例では、第1及び第2実施例とは異なり、後述するリング発振器40が電源Vddに接続され、電源電圧の変動の影響を受けるように構成されているため、分圧回路24aも電源電圧の変動の影響が反映されるように、ソースではなく、電源Vddに接続されているのである。
【0064】
一方、リング発振器40は、リング状に連結された奇数個の反転回路42と、温度補償回路20aからの補償電圧Vcに基づき、反転回路42の遅延時間を制御するため、補償電圧Vcをレベル変換した電圧を補償電圧Vcと共に各反転回路42に供給するレベル変換回路46とにより構成されている。
【0065】
このうち反転回路42は、ソース及びバルクを電源Vddに接続したPMOSトランジスタ14、及びソース及びバルクを接地したNMOSトランジスタ16を、互いに接続されたゲートを入力端子とし、互いに接続されたドレインを出力端子としてなる周知のCMOSインバータと、一方のドレインを他方のソースに夫々接続し、その一端をCMOSインバータの出力に接続し、他端を当該反転回路42の出力端子としたNMOSトランジスタ48及びPMOSトランジスタ50からなる周知のアナログスイッチ44とにより構成されている。
【0066】
なお、アナログスイッチ44は、NMOSトランジスタ48のゲートが第1の制御ラインLnに接続され、PMOSトランジスタ50のゲートが第2の制御ラインLpに接続され、これら第1及び第2の制御ラインLn,Lpの電圧レベルに応じて、反転回路42の出力の電流駆動能力を制御するようにされている。
【0067】
また、レベル変換回路46は、ソース及びバルクを電源Vddに接続したPMOSトランジスタ52と、ソース及びバルクを接地し、ドレインをPMOSトランジスタ52のドレイン及びゲートに接続したNMOSトランジスタ54と、により構成され、NMOSトランジスタ54のゲートに、温度補償回路20aの出力、及び第1の制御ラインLnが接続され、PMOSトランジスタ52のドレイン及びゲートに、第2の制御ラインLpが接続されている。
【0068】
そして、レベル変換回路46では、NMOSトランジスタ54が補償電圧Vcに応じた導通状態となり、補償電圧Vcが大きいほどNMOSトランジスタ54のドレイン電位が下降し、逆に、補償電圧Vcが小さいほどドレイン電位は上昇する。しかもその電位は、PMOSトランジスタ52のゲートと同電位にされているため、PMOSトランジスタ52に、NMOSトランジスタ54と同じ大きさのドレイン電流を流すような電位となり、通常、電源電圧の1/2に対して、補償電圧Vcとは略対称的な電位となる。
その結果、補償電圧Vcの上昇に応じて、アナログスイッチ44を構成するNMOSトランジスタ48のゲート電圧は大きくなり、またPMOSトランジスタ50のゲート電圧は小さくなることにより、いずれのトランジスタ48,50もドレイン電流の駆動能力が向上し、即ちアナログスイッチ44の電流駆動能力が向上する。
【0069】
ところで、アナログスイッチ44の電流駆動能力は、PMOSトランジスタ14及びNMOSトランジスタ16からなるCMOSインバータの電流駆動能力より小さくなるように設定されており、反転回路42の電流駆動能力は、アナログスイッチ44の電流駆動能力のみにより決定される。
【0070】
そして、アナログスイッチ44は、これを構成するMOSトランジスタ48,50の特性により、温度Tの上昇に応じて電流駆動能力が低下するが、この温度に対する電流駆動能力の特性は、第2の設定電圧Vqを適宜設定し、補償電圧Vcに対する電流駆動能力の特性を調整することにより相殺することができ、その結果、アナログスイッチ44の電流駆動能力,延いては反転回路42の遅延時間を、温度によらず略一定とすることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施例の温度補償型リング発振器6によれば、反転回路42の電流駆動能力は、CMOSインバータによらずアナログスイッチ44により決定されるようにされており、しかも、アナログスイッチ44の電流駆動能力が温度によらず一定となるように温度補償されているため、反転回路42の遅延時間が一定となり、延いては、リング発振器40の発振周波数を安定化することができる。
【0072】
また本実施例によれば、反転回路42を構成するCMOSインバータ、アナログスイッチ44、及びレベル変換回路46は、すべてPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを組み合わせて構成されているため、当該温度補償型リング発振器6を容易にCMOS集積回路として実現することができる。
【0073】
更に、本実施例によれば、補償電圧Vcは、レベル変換回路46及びアナログスイッチ44の各NMOSトランジスタ54,48のゲートに所定電圧を印加するものであり、第1及び第2実施例のように、反転回路42に電源を供給するためのものではないため、演算増幅器22を電流駆動能力の小さい素子を用いて構成することができ、温度補償回路20aをより小型化できる。
【0074】
次に、第4実施例について説明する。
本実施例の温度補償型リング発振器8は、第1ないし第3実施例と同様に、リング発振器40と温度補償回路30aとにより構成されている。
そして、図5に示すように、リング発振器40は、第3実施例にて説明したものと全く同様であり、また、温度補償回路30aは、第2実施例の温度補償回路30において、分圧回路24に代えて、PMOSトランジスタ26のバルクを、ソースではなく、電源Vddに接続してなる分圧回路24aを用いている以外は、第2実施例の温度補償回路30と全く同様である。
【0075】
従って、本実施例によれば、第3実施例と同様に、温度補償回路30aからの補償電圧Vcにより、アナログスイッチ44の電流駆動能力を制御して、各反転回路42の遅延が温度によらず一定となるようにされているので、安定した発振周波数を得ることができる。
【0076】
また、第2実施例と同様に、メモリ32,34及びD/A変換回路36,38により設定電圧Vref,Vqを設定し、補償電圧Vcの温度特性を微調整できるようにされているので、当該温度補償型リング発振器8をCMOS集積回路上に構成する場合であっても、発振周波数の温度に対する安定性を劣化させることがなく、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の温度補償型リング発振器の全体構成を表す電気回路図である。
【図2】第2実施例の温度補償型リング発振器の全体構成を表す一部ブロック図を含む電気回路図である。
【図3】メモリとD/A変換回路の詳細構成を表す電気回路図である。
【図4】第3実施例の温度補償型リング発振器の全体構成を表す電気回路図である。
【図5】第4実施例の温度補償型リング発振器の全体構成を表す一部ブロック図を含む電気回路図である。
【図6】補償電圧Vcと、第1及び第2の設定電圧Vref,Vqとの関係を表す説明図である。
【図7】MOS型トランジスタの電流特性を表すグラフである。
【図8】反転回路において遅延が相殺される原理を表す説明図である。
【図9】従来のリング発振器の構成を表す電気回路図である。
【図10】従来の温度補償型リング発振器の構成を表す説明図である。
【符号の説明】
2,4,6…温度補償型リング発振器 10…リング発振器
12,42…反転回路 14,26,50,52…PMOSトランジスタ
16,28,48,54…NMOSトランジスタ
20,20a,30,30a…温度補償回路 22,68…演算増幅器
24,24a…分圧回路 32,34…メモリ 36,38…D/A変換回路
40…リング発振器 44…アナログスイッチ 46…レベル変換回路
56…メモリセル 58…セルトランジスタ 60…負荷トランジスタ
62,66…インバータ 64…抵抗回路
Claims (6)
- 入力信号を反転して出力すると共に、温度に応じて反転動作の遅延時間が変動する反転回路を奇数個リング状に連結してなるリング発振器と、
該リング発振器を構成する各反転回路の遅延時間を制御することにより、該リング発振器の発振周波数を温度によらず一定となるように温度補償する温度補償手段と、
からなる温度補償型リング発振器において、
上記温度補償手段は、
非反転入力端子を、第1の設定電圧が印加される第1の制御端子に接続した演算増幅器と、
該演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間に接続された第1の素子、及び上記演算増幅器の反転入力端子とグランドとの間に接続され、しかも、第2の制御端子に印加される第2の設定電圧に応じて温度特性を変更可能な第2の素子からなり、上記演算増幅器の出力端子から出力される補償電圧を分圧して該演算増幅器の反転入力端子に印加する分圧回路と、
を備え、上記補償電圧により、上記反転回路への印加電圧、或いは上記反転回路を構成する素子を制御するように構成されていると共に、上記補償電圧の温度特性に基づく上記反転回路の遅延時間の変動によって、上記反転回路の温度に応じた遅延時間の変動が相殺されるように、該補償電圧の温度特性を決定する上記第1及び第2の素子の温度特性の極性や前記第1及び第2設定電圧が選択,設定されていることを特徴とする温度補償型リング発振器。 - 上記第1の素子は、ソースを上記演算増幅器の出力端子に接続し、ドレイン及びゲートを該演算増幅器の反転入力端子に接続したPチャネルMOS型トランジスタからなると共に、
上記第2の素子は、ソースを接地し、ドレインを上記演算増幅器の反転入力端子に接続し、ゲートを第2の制御端子に接続したNチャネルMOS型トランジスタからなり、
上記第2の制御端子には、第2の設定電圧として、NチャネルMOS型トランジスタのしきい値近傍の所定電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の温度補償型リング発振器。 - 請求項2に記載の温度補償型リング発振器において、
上記反転回路は、ソース及びバルクを電源ラインに接続したPチャネルMOS型トランジスタと、ソース及びバルクを接地したNチャネルMOS型トランジスタとを、ゲート同士を互いに接続して入力とし、ドレイン同士を互いに接続して出力としてなるCMOSインバータからなり、
上記電源ラインを、上記演算増幅器の出力端子に接続して、上記補償電圧が上記反転回路に印加されるように構成し、
温度上昇による上記反転回路の遅延時間の増大を、温度上昇に応じて上記反転回路に印加される補償電圧が増大することによる遅延時間の減少により相殺して、上記反転回路の遅延時間を一定とすることを特徴とする温度補償型リング発振器。 - 請求項3に記載の温度補償型リング発振器において、
上記分圧回路を構成する第1の素子としてのPチャネルMOS型トランジスタは、バルクがソースに接続されていることを特徴とする温度補償型リング発振器。 - 請求項2に記載の温度補償型リング発振器において、
上記反転回路は、出力または入力に、一方のドレインを他方のソースに夫々接続したPチャネルMOS型トランジスタ及びNチャネルMOS型トランジスタからなるアナログスイッチを備えると共に、
上記リング発振器は、上記補償電圧発生手段からの補償電圧を上記アナログスイッチのNチャネルMOS型トランジスタのゲートに印加すると共に、該補償電圧を、上記反転回路の出力の中心電圧に対して、該補償電圧とは対称的な電圧レベルに変換して上記アナログスイッチのPチャネルMOS型トランジスタのゲートに印加するレベル変換回路を備え、上記補償電圧により上記アナログスイッチの導通状態が制御されるように構成し、
更に、上記温度補償手段では、温度上昇に応じて上記補償電圧が増大するように該補償電圧の温度特性を設定することにより、
温度上昇による上記アナログスイッチの電流駆動能力の低下を、温度上昇に応じて該アナログスイッチを構成する各トランジスタのゲート・ソース間電圧が増大することによる該アナログスイッチの電流駆動能力の向上により相殺して、上記反転回路の遅延時間を一定とすることを特徴とする温度補償型リング発振器。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の温度補償型リング発振器において、
上記温度補償手段は、更に、上記第1及び第2の制御端子の夫々に、該各制御端子への印加電圧を設定するための設定手段を備え、
該設定手段は、
デジタル値を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されるデジタル値に応じた電圧を生成して上記制御端子に印加するD/A変換器と、
からなることを特徴とする温度補償型リング発振器。
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