JP3586059B2 - 半導体回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体基板上に形成される半導体回路に関し、例えば、複数のインバータを直列に接続して構成した発振回路などを対象とする。
【0002】
【従来の技術】
入力信号を反転して出力するインバータを複数直列に接続すると発振回路を構成できることが従来から知られており、インバータをMOSトランジスタで構成することにより発振回路全体を半導体基板上に形成することが可能となる。
【0003】
図11はこの種の発振回路の一例を示す回路図である。図11の発振回路は、一点鎖線で図示したインバータINV11〜INV16を6段直列接続して、最終段のインバータINV16の出力をNANDゲートG1を介して初段のインバータINV11に帰還させる構成になっている。
【0004】
図11のPMOSトランジスタP1〜P8とNMOSトランジスタN1〜N8は、インバータINV11〜INV16に流れる電流を制限するリミッタとして作用する。PMOSトランジスタP1には直列に抵抗素子R1が接続され、抵抗素子R1を流れる電流IはPMOSトランジスタP1で検出される。また、PMOSトランジスタP1〜P8のゲート端子は互いに接続されており、これらトランジスタP1〜P8のゲート電圧はすべて等しいため、PMOSトランジスタP2〜P8を流れる電流も、抵抗素子R1を流れる電流Iでリミットされる。
【0005】
また、PMOSトランジスタP2にはNMOSトランジスタN2が直列に接続され、NMOSトランジスタN2〜N8のゲート端子は互いに接続されているため、NMOSトランジスタN3〜N8を流れる電流も同様に、抵抗R1を流れる電流Iでリミットされる。
【0006】
さらに、インバータINV11〜INV16を構成するPMOSトランジスタP9〜P14のサイズをPMOSトランジスタP3〜P8よりも大きくし、かつ、NMOSトランジスタN9〜N14のサイズをNMOSトランジスタN3〜N8よりも大きくすることで、図示のノードn1〜n6を流れる電流量も、抵抗R1を流れる電流Iでリミットされる。
【0007】
ノードn1〜n6にはそれぞれ、PMOSトランジスタ構成のコンデンサPC1〜PC6と、NMOSトランジスタ構成のコンデンサNC1〜NC6とが1つずつ接続されており、これらコンデンサは、ノードn1〜n6の電圧レベルに応じて充放電を繰り返す。
【0008】
ここで、ノードn1〜n6の電荷量は、各ノードn1〜n6の容量Cと電源電圧VDDで定まり、図示の発振回路のインバータ一段当たりの遅延時間Tは、(1)式で表される。
【0009】
T=C×VDD/I …(1)
また、抵抗素子R1を流れる電流Iは、電源電圧VDDと抵抗素子R1の抵抗値Rによって定まり、(2)式で表される。
【0010】
I=VDD/R …(2)
したがって、インバータ一段当たりの遅延時間Tは、(3)式のようになる。
T=C×R …(3)
(3)式からわかるように、遅延時間Tは、電源電圧VDDには依存せず、抵抗R1の抵抗値Rとノードn1〜n6の容量Cによって定まる。
【0011】
図12は図11の発振回路の等価回路であり、PMOSトランジスタP2〜P8を抵抗R13〜R18に置き換え、NMOSトランジスタN3〜N8を抵抗R23〜R28に置き換えるとともに、図11のノードn1〜n6に接続されるコンデンサPC1〜PC6およびNC1〜NC6を、それぞれコンデンサC11〜C16に置き換えて簡略化している。
【0012】
図12の等価回路に示すように、発振周波数はコンデンサC11〜C16の容量を変えることで調整することができる。また、図12の等価回路では省略している図11の抵抗素子R1の抵抗値を変えることで、図12の等価回路の抵抗R13〜R18およびR23〜R28を流れる電流が変化し、これによっても、発振周波数を変えることができる。
【0013】
このように、図11に示す従来の発振回路は、電源電圧の変動の影響を受けることなく発振周波数を設定できるという特徴を有し、また、MOSトランジスタの組み合わせにより発振回路を構成できることから、半導体基板上に直接形成できるという特徴も有する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図11の発振回路を半導体基板上に形成する場合には、図示の抵抗素子R1を拡散抵抗で形成するのが一般的であるが、半導体基板上に形成されるMOSトランジスタの耐圧改善などを行うと、それに応じて拡散層の濃度が変わるおそれがあり、拡散層の濃度が変わると抵抗素子の抵抗値が変化することから、回路の変更が必要となる。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、拡散層の濃度等の影響を受けないようにインピーダンスを設定できる半導体回路を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明は、第1の電圧に設定される第1のノードと、それよりも低電圧の第2の電圧に設定される第2のノードとの間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタを備え、前記第1のNMOSトランジスタは、前記第1の電圧に設定されるドレイン端子と、前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に設定されるゲート端子と、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子に接続されるソース端子と、を有し、前記第2のNMOSトランジスタは、前記第2の電圧に設定されるソース端子と、前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有する。
【0017】
また、本発明は、第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器とを備え、前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、そのゲート端子を前記差動増幅器の出力に基づいて前記第1の電圧より低く前記基準電圧より高い電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有する。
【0018】
請求項3の発明は、前記第1のNMOSトランジスタと同一構造の第3のNMOSトランジスタを備え、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン電圧が前記第1のNMOSトランジスタのスレッショルド電圧の影響を受けないように、前記差動増幅器の出力端子と前記第1のNMOSトランジスタのゲート端子との間に前記第3のNMOSトランジスタを接続する。
【0019】
また、本発明は、第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器とを備え、前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、そのゲート端子を前記差動増幅器の出力に基づいて前記基準電圧より低く前記第2の電圧より高い電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有する。
【0020】
また、本発明は、第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器と、前記差動増幅器の出力に応じて変化する電圧を抵抗分圧して、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下で前記第2の電圧以上の異なる複数の電圧を出力する抵抗分圧回路と、外部からの制御信号に基づいて、前記抵抗分圧回路から出力された電圧のいずれか一つを選択する電圧選択回路とを備え、前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、ゲート端子を前記電圧選択回路で選択された電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有する。
【0021】
請求項6の発明は、前記所定の電圧を前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧にする。
【0022】
請求項7の発明は、前記所定の電圧を、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下より低く、前記第2の電圧より高い電圧にする。
【0023】
請求項8の発明は、抵抗分圧により、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下で前記第2の電圧以上の異なる複数の電圧を出力する抵抗分圧回路と、外部からの制御信号に基づいて、前記抵抗分圧回路から出力された電圧のいずれか一つを前記所定の電圧として選択する電圧選択回路とを備える。
【0024】
請求項9の発明の前記第1のNMOSトランジスタは、スレッショルド電圧が略0ボルトのItypeのNMOSトランジスタである。
【0025】
請求項10の発明の前記第1のNMOSトランジスタは、スレッショルド電圧が正の値のエンハンスメント型のNMOSトランジスタである。
【0026】
また、本発明は、一端が第1の電圧に設定され、他端が前記第1の電圧よりも低電圧の第2の電圧に設定される抵抗回路を備えた半導体回路において、前記第1および第2の電圧端子間に直列接続された複数の抵抗素子と、これら抵抗素子間の接続箇所の電圧のうちいずれか一つの電圧を外部からの制御信号によって選択するスイッチとを備え、前記抵抗回路の抵抗値は、前記スイッチの一端と前記第2の電圧端子との間のインピーダンスで決定される。
【0027】
また、本発明は、直列接続された複数のインバータと、電源電圧または接地端子と前記各インバータの出力との間に接続されたコンデンサと、前記インバータの電源端子から接地端子に流れる電流を制限する抵抗とを備え、前記抵抗の抵抗値と前記コンデンサの容量との積に応じた発振周波数で発振する半導体回路であって、前記NMOSトランジスタのゲート−ドレイン間抵抗を前記抵抗として利用する。
【0028】
請求項1の発明を例えば図1に対応づけて説明すると、第1のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN15に、第2のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN16に、第1の電圧端子はNMOSトランジスタN15のドレイン端子すなわち電源電圧より若干低い電圧端子に、第2の電圧端子は接地端子に、それぞれ対応する。
【0029】
請求項2の発明を例えば図5に対応づけて説明すると、第1のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN15に、第2のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN16に、差動増幅器はオペアンプOP1に、第1の電圧端子はNMOSトランジスタN15のドレイン端子電圧すなわち電源電圧より若干低い電圧端子に、第2の電圧端子は接地端子に、それぞれ対応する。
【0030】
請求項3の発明を例えば図7に対応づけて説明すると、第3のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN18に対応する。
【0031】
請求項4の発明を例えば図8に対応づけて説明すると、第1のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN15に、第2のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN16に、差動増幅器はオペアンプOP1に、第1の電圧端子はNMOSトランジスタN15のドレイン端子すなわち電源電圧より若干低い電圧端子に、第2の電圧端子は接地端子に、それぞれ対応する。
【0032】
請求項5の発明を例えば図9に対応づけて説明すると、第1のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN15に、第2のNMOSトランジスタはNMOSトランジスタN16に、差動増幅器はオペアンプOP1に、抵抗分圧回路は抵抗分圧回路81に、電圧選択回路は電圧選択回路82に、第1の電圧端子はNMOSトランジスタN15のドレイン端子すなわち電源電圧より若干低い電圧端子に、第2の電圧端子は接地端子に、それぞれ対応する。
【0033】
請求項6は例えば図1のように、NMOSトランジスタN16のゲート電圧を電源電圧VDDに設定する。第3の電圧は電源電圧に対応する。
【0034】
請求項7は例えば図2のように、NMOSトランジスタN16のゲート電圧を電源電圧未満の正の電圧に設定する。第3の電圧は電源電圧に対応する。
【0035】
請求項8の発明を例えば図3に対応づけて説明すると、抵抗分圧回路は抵抗分圧回路31に、電圧選択回路は電圧選択回路32に、それぞれ対応する。
【0036】
請求項9は例えば図1のように、NMOSトランジスタN16として、Itypeのものを用いる。
【0037】
請求項10は例えば図4のように、NMOSトランジスタN16として、Etypeのものを用いる。
【0038】
請求項11の発明を例えば図10に対応づけて説明すると、複数の抵抗素子は抵抗素子R1,R2,R3に対応し、スイッチはトランスファーゲートT1,T2,T3に、それぞれ対応する。
【0039】
請求項12の発明を例えば図11に対応づけて説明すると、インバータはインバータINV11〜INV16に、コンデンサはコンデンサPC1〜PC6,NC1〜NC6に、それぞれ対応する。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した半導体回路について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0041】
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態に係る半導体回路は、図11に示した発振回路と基本的な構成は同じであり、図11の抵抗素子R1を2個のNMOSトランジスタN15,N16に置き換えたことを特徴とする。
【0042】
図1は第1の実施形態の発振回路の構成を示す回路図であり、図11に示した従来の発振回路と異なる構成部分を示している。図1の一点鎖線部1は、図11の抵抗素子R1に置き換わるインピーダンス素子であり、その他の構成は図11と同じである。
【0043】
図1の一点鎖線部1内には、スレッショルド電圧Vthが略0ボルト(いわゆるItype)のNMOSトランジスタN15,N16が設けられており、NMOSトランジスタN15のドレイン端子はPMOSトランジスタP1のソース端子に、NMOSトランジスタN15のソース端子はNMOSトランジスタN16のドレイン端子にそれぞれ接続され、NMOSトランジスタN16のソース端子は接地されている。また、NMOSトランジスタN16のゲート端子には電源電圧VDDが印加され、NMOSトランジスタN16のゲート端子には電源電圧VDDよりも低電圧の基準電圧VREFが印加される。
【0044】
図1に示すENABLE信号がハイレベルのときに図示の発振回路は発振動作を行い、PMOSトランジスタP1のソース端子電圧はほぼ電源電圧VDDに等しくなる。
【0045】
また、NMOSトランジスタN16のドレイン電圧VDは、(4)式で表される。
【0046】
VD=VREF−Vth …(4)
NMOSトランジスタN16はItypeであるため、スレッショルド電圧Vthはほぼ0ボルトであり、(4)式に示すドレイン電圧VDは基準電圧VREFとほぼ等しくなる。すなわち、NMOSトランジスタN16のドレイン電圧VDは、電源電圧VDDに影響されない一定値となる。
【0047】
また、NMOSトランジスタN16のゲート端子に電源電圧VDDを入力するため、ゲート端子がドレイン端子よりも高電位になり、NMOSトランジスタN16は線形領域(3極間領域)で動作する。したがって、NMOSトランジスタN16のドレイン電流とゲート電圧は線形的に変化し、ゲート電圧をドレイン電流で割った値がNMOSトランジスタN16のドレイン−ソース間のインピーダンスになる。
【0048】
このように、第1の実施形態は、NMOSトランジスタN16を線形領域で動作させるため、NMOSトランジスタN16自体がインピーダンス素子として作用する。したがって、別個に抵抗素子を設ける必要がなくなり、拡散層の濃度によるインピーダンス(抵抗分)の変動も生じなくなる。また、第1の実施形態は、NMOSトランジスタN15のゲート端子に基準電圧VREFを印加することで、NMOSトランジスタN16のドレイン端子電圧VDが電源電圧VDDの影響を受けないようにしたため、電源電圧VDDが変動してもインピーダンスが変化しなくなる。したがって、図11に示した発振回路のインバータ一段当たりの遅延時間を正確に設定できるようになる。
【0049】
〔第2の実施形態〕
図2は第2の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第2の実施形態の発振回路は、図1のNMOSトランジスタN16のゲート端子に抵抗分圧回路21を接続したことを特徴とする。抵抗分圧回路21は、2つの抵抗R2,R3を直列接続し、抵抗R2の一端に電源電圧VDDを、抵抗R3の一端にNMOSトランジスタN17のドレイン端子を接続したものである。NMOSトランジスタN17のソース端子は接地され、ゲート端子にはENABLE信号が入力される。
【0050】
発振回路の動作時にはENABLE信号がハイレベルになり、NMOSトランジスタN17がオンして抵抗R3の一端は接地レベルになる。したがって、NMOSトランジスタN16のゲート端子には、電源電圧VDDを抵抗R2とR3で分圧した電圧Vgが入力される。この分圧電圧Vgは(5)式で表される。
【0051】
Vg=K・VDD …(5) (ただし、K=R3/(R2+R3))
なお、NMOSトランジスタN16を線形領域で動作させるためには、分圧電圧Vgを基準電圧VREFよりも高電圧にする必要があり、Vg>VREFとなるように抵抗R2とR3の抵抗比が設定される。
【0052】
このように、第2の実施形態の発振回路は、NMOSトランジスタN16のゲート端子電圧を第1の実施形態よりも低くするため、図1の一点鎖線部2内のインピーダンスが第1の実施形態よりも大きくなり、発振回路を構成するインバータ一段当たりの遅延時間を長く設定できる。
【0053】
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態は、図1,2に示したNMOSトランジスタN16のゲート端子電圧を外部からの制御信号によって切り換えるものである。
【0054】
図3は第3の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第3の実施形態の発振回路は、3種類の異なる電圧V1,V2,V3を出力する抵抗分圧回路31と、抵抗分圧回路31から出力された3電圧V1,V2,V3のいずれか一つを選択する電圧選択回路32とを備えており、電圧選択回路32の出力がNMOSトランジスタN16のゲート端子に入力される。
【0055】
抵抗分圧回路31は、直列接続された3つの抵抗R2,R3,R4を備えており、電源電圧VDDと抵抗R2との接続点の電圧V1と、抵抗R2とR3との接続点の電圧V2と、抵抗R3と抵抗R4との接続点の電圧V3とを出力する。
【0056】
電圧選択回路32は、外部からの制御信号CTL1〜CTL3によりオン、オフする3つのトランスファーゲートT1,T2,T3を備えており、制御信号CTL1〜CTL3の論理によってNMOSトランジスタN16のゲート端子電圧が変化する。
【0057】
なお、制御信号CTL1〜CTL3は、不図示の制御回路から出力され、必要に応じて任意に信号の状態が切り換えられる。あるいは、ディップスイッチなどの機械的なスイッチによって制御信号CTL1〜CTL3を切り換えてもよい。なお、トランスファーゲートT1,T2,T3は、同時に複数がオンしないように制御信号CTL1〜CTL3により切換制御される。
【0058】
このように、第3の実施形態の発振回路は、外部からの制御信号CTL1〜CTL3によってNMOSトランジスタのゲート端子電圧を変更するため、図11に示したインバータ一段当たりの遅延時間を必要に応じてプログラマブルに切り換えることができ、発振周波数を自動調整できるようになる。
【0059】
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態は、ItypeのNMOSトランジスタの代わりに、エンハンスメント型(以下、Etypeと呼ぶ)のNMOSトランジスタを用いて発振回路を構成するものである。
【0060】
図4は第4の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第4の実施形態の発振回路は、図1に示したItypeのNMOSトランジスタN15をEtypeのNMOSトランジスタN15に変える以外は図1と同じ構成を有する。
【0061】
図4のNMOSトランジスタN15のドレイン電圧VDは(6)式で表される。
【0062】
VD=VREF−Vth …(6)
EtypeのNMOSトランジスタN15のスレッショルド電圧Vthは、0ボルトよりも大きい正の値であるため、第1の実施形態よりもドレイン電圧VDが低くなり、NMOSトランジスタN16のゲート端子に入力される電圧値を低くしても、NMOSトランジスタN16は線形領域で動作するようになる。すなわち、EtypeのNMOSトランジスタN16を用いることで、電源電圧VDDの選択範囲が広がり、低消費電力での動作が可能となる。
【0063】
〔第5の実施形態〕
第5の実施形態は、図1に示したNMOSトランジスタN15のゲート端子電圧をオペアンプOP1を用いて制御するものである。
【0064】
図5は第5の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第5の実施形態の発振回路は、オペアンプOP1と、オペアンプOP1の出力がゲート端子に入力されるPMOSトランジスタP15と、NMOSトランジスタN19と、直列接続された抵抗R5,R6とを備えている。PMOSトランジスタP15のドレイン端子は電源電圧VDDに設定され、ソース端子にはNMOSトランジスタN15のベース端子が接続される。また、オペアンプOP1の(−)入力端子には基準電圧VREFが入力され、(+)入力端子には抵抗R5,R6との接続点の電圧VGが入力される。
【0065】
図6は図5で用いるオペアンプOP1の詳細構成を示す回路図である。図6のPLUS端子が図5の(+)入力端子に対応し、MINUS端子が図5の(−)入力端子に対応する。DISABLE端子がハイレベルのときは、出力段のNMOSトランジスタN101がオンして出力はローレベル固定になる。また、DISABLE端子がローレベルで、PLUS端子がMINUS端子よりも高電位のときは、PMOSトランジスタP101がオンして出力はハイレベルになる。一方、PLUS端子がMINUS端子よりも低電位のときは出力はローレベルになる。
【0066】
図5に示すオペアンプOP1は、基準電圧VREFと分圧電圧VGが一致するような制御を行うため、オペアンプOP1の出力は一定レベルに維持される。また、NMOSトランジスタN16のゲート端子電圧VOUTは、電源電圧VDDより低く基準電圧VREFより高くなり、また電源電圧VDDの影響を受けないため、NMOSトランジスタN15のドレイン電圧VDも電源電圧VDDの影響を受けなくなる。したがって、ドレイン電圧VDの選択範囲を広げることができる。なお、図5のNMOSトランジスタN19は、ENABLE信号がローレベルのときに抵抗R5,R6に電流が流れないようにするためのものである。
【0067】
〔第6の実施形態〕
第6の実施形態は、第5の実施形態にNMOSトランジスタを1個追加して、NMOSトランジスタN15のスレッショルド電圧の影響を相殺するものである。
図7は第6の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第6の実施形態の発振回路は、図6のPMOSトランジスタP15のソース端子と抵抗R5との間に、NMOSトランジスタN15と同じ構造のNMOSトランジスタN18を接続したものである。
【0068】
NMOSトランジスタN18のソース端子と抵抗R5との接続点の電圧をVout、NMOSトランジスタN15のゲート端子電圧をVout1とすると、(7)式の関係が成り立つ。
【0069】
Vout1=Vout+Vth …(7)
また、NMOSトランジスタのドレイン電圧VDは、(8)式で表される。
【0070】
VD=Vout1−Vth=(Vout+Vth)−Vth=Vout …(8)
(8)式に示すように、ドレイン電圧VDは、スレッショルド電圧Vthの影響を受けないため、半導体プロセスのばらつきや温度特性などを考慮に入れる必要がなくなる。
【0071】
なお、NMOSトランジスタN15とN18は同一構造であればよいため、ItypeとEtypeのどちらを用いて構成してもよい。
【0072】
〔第7の実施形態〕
第7の実施形態は、第5の実施形態の変形例であり、NMOSトランジスタのゲート端子に印加する電圧を、基準電圧VREFよりも低くしたものである。
【0073】
図8は第7の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。オペアンプOP1の(+)入力端子にはPMOSトランジスタP15のソース端子電圧VGが入力され、NMOSトランジスタN15のゲート端子には抵抗R5とR6の接続点の電圧が入力される。図5に示す第5の実施形態と比べて、NMOSトランジスタN15のゲート端子電圧が低くなるため、NMOSトランジスタN16のドレイン端子電圧VDが第5の実施形態よりも低くなり、NMOSトランジスタN16のゲート端子電圧である電源電圧VDDをより低く設定できる。すなわち、電源電圧VDDの選択範囲を広げることができる。
【0074】
〔第8の実施形態〕
第8の実施形態は、第7の実施形態の変形例であり、NMOSトランジスタN15のゲート端子に印加する電圧を、外部からの制御信号によって切換制御できるようにしたものである。
【0075】
図9は第8の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第8の実施形態の発振回路は、3種類の異なる電圧VG1,VG2,VG3を出力する抵抗分圧回路81と、抵抗分圧回路81から出力された3電圧VG1,VG2,VG3のいずれか一つを選択する電圧選択回路82とを備えており、電圧選択回路82の出力がNMOSトランジスタN15のゲート端子に入力される。
【0076】
図9の回路では、NMOSトランジスタN15のゲート端子電圧をプログラマブルに可変できるため、図11に示した発振回路のインバータ一段当たりの遅延時間を自動的に変更できる。
【0077】
〔第9の実施形態〕
上述した第1〜第8の実施形態では、抵抗素子をNMOSトランジスタN15,N16に置き換える例を説明したが、従来と同様の抵抗素子を用いて抵抗値をプログラマブルに可変できるようにしてもよい。
【0078】
図10は第9の実施形態の発振回路の構成を示す回路図である。第9の実施形態の発振回路は、直列接続された3つの抵抗素子R2,R3,R4と、各抵抗の端部に接続されたトランスファーゲートT1,T2,T3とを備える。これらトランスファーゲートT1,T2,T3は、外部からの制御信号CTL1〜CTL3によって切換制御され、各トランスファーゲートT1,T2,T3の他端はいずれもPMOSトランジスタP1のソース端子に接続されている。
【0079】
制御信号CTL1〜CTL3を切り換えることにより、PMOSトランジスタP1のソース端子電圧を3通りに変更できるため、仮に拡散層の濃度のばらつき等によって各抵抗素子の抵抗値が変動しても、制御信号CTL1〜CTL3の切り換えにより、最適な抵抗値を選択することができる。
【0080】
なお、以上に説明した第1〜第8の実施形態は、任意に組み合わせて実施することができる。例えば、第1〜第4の実施形態のそれぞれを、第5〜第9の実施形態に適用することができる。すなわち、第1〜第4の実施形態のいずれかを利用してNMOSトランジスタN16のゲート電圧を設定し、第5〜第9の実施形態のいずれかを利用してNMOSトランジスタN15のゲート電圧を設定してもよい。
【0081】
また、上述した第1〜第9の実施形態では、図11の発振回路内の抵抗素子R1を置き換える例について説明したが、第1〜第9の実施形態の半導体回路は発振回路以外にも適用可能である。すなわち、第1〜第9の実施形態の半導体回路を各種の回路の抵抗として利用できる。
【0082】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、第1および第2のNMOSトランジスタを直列接続して、第2のNMOSトランジスタを線形領域で動作させるため、第2のNMOSトランジスタは擬似的に抵抗素子と同じ働きを行い、別個に抵抗素子を設ける必要がなくなる。したがって、抵抗素子に特有の問題である拡散層の濃度の影響を受けることがなく、電気的特性を安定化できる。また、第1のNMOSトランジスタを設けて、第2のNMOSトランジスタのドレイン電圧が第1の電圧の影響を受けないようにしたため、第2のNMOSトランジスタをインピーダンス素子として利用しても電源電圧の変動の影響を受けなくなる。また、外部からの制御信号によって、第1のNMOSトランジスタか第2のNMOSトランジスタのゲート電圧を切換制御すれば、インピーダンスをプログラマブルに設定変更でき、インピーダンスの自動調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図2】第2の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図3】第3の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図4】第4の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図5】第5の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図6】図5で用いるオペアンプの詳細構成を示す回路図。
【図7】第6の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図8】第7の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図9】第8の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図10】第9の実施形態の発振回路の構成を示す回路図。
【図11】この種の発振回路の一例を示す回路図。
【図12】図11の発振回路の等価回路図。
【符号の説明】
1〜9 インピーダンス部
N15,N16 NMOSトランジスタ
Claims (12)
- 第1の電圧に設定される第1のノードと、それよりも低電圧の第2の電圧に設定される第2のノードとの間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタを備え、
前記第1のNMOSトランジスタは、
前記第1の電圧に設定されるドレイン端子と、
前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に設定されるゲート端子と、
前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子に接続されるソース端子と、を有し、
前記第2のNMOSトランジスタは、
前記第2の電圧に設定されるソース端子と、
前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有することを特徴とする半導体回路。 - 第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、
前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器とを備え、
前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、そのゲート端子を前記差動増幅器の出力に基づいて前記第1の電圧より低く前記基準電圧より高い電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、
前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有することを特徴とする半導体回路。 - 前記第1のNMOSトランジスタと同一構造の第3のNMOSトランジスタを備え、
前記第2のNMOSトランジスタのドレイン電圧が前記第1のNMOSトランジスタのスレッショルド電圧の影響を受けないように、前記差動増幅器の出力端子と前記第1のNMOSトランジスタのゲート端子との間に前記第3のNMOSトランジスタを接続したことを特徴とする請求項2記載の半導体回路。 - 第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、
前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器とを備え、
前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、そのゲート端子を前記差動増幅器の出力に基づいて前記基準電圧より低く前記第2の電圧より高い電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、
前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有することを特徴とする半導体回路。 - 第1の電圧端子と、それよりも低電圧の第2の電圧端子との間に直列に接続された第1および第2のNMOSトランジスタと、
前記第1の電圧より低く前記第2の電圧より高い所定の基準電圧に基づいて、出力レベルが変動しないように帰還制御を行う差動増幅器と、
前記差動増幅器の出力に応じて変化する電圧を抵抗分圧して、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下で前記第2の電圧以上の異なる複数の電圧を出力する抵抗分圧回路と、
外部からの制御信号に基づいて、前記抵抗分圧回路から出力された電圧のいずれか一つを選択する電圧選択回路とを備え、
前記第1のNMOSトランジスタのドレイン端子を前記第1の電圧に設定し、ゲート端子を前記電圧選択回路で選択された電圧に設定することにより、前記第2のNMOSトランジスタのドレイン端子が前記第1の電圧の影響を受けないようにし、
前記第2のNMOSトランジスタのゲート電圧とドレイン電流とが線形に変化する線形領域で動作するように所定の電圧に設定されるゲート端子と、を有することを特徴とする半導体回路。 - 前記所定の電圧は、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体回路。
- 前記所定の電圧は、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下で前記第2の電圧以上の電圧であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体回路。
- 抵抗分圧により、前記第1の電圧より高電圧の第3の電圧以下で前記第2の電圧以上の異なる複数の電圧を出力する抵抗分圧回路と、
外部からの制御信号に基づいて、前記抵抗分圧回路から出力された電圧のいずれか一つを前記所定の電圧として選択する電圧選択回路とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体回路。 - 前記第1のNMOSトランジスタは、スレッショルド電圧が略0ボルトのItype のNMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体回路。
- 前記第1のNMOSトランジスタは、スレッショルド電圧が正の値のエンハンスメント型のNMOSトランジスタであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体回路。
- 一端が第1の電圧に設定され、他端が前記第1の電圧よりも低電圧の第2の電圧に設定される抵抗回路を備えた半導体回路において、
前記第1および第2の電圧端子間に直列接続された複数の抵抗素子と、
これら抵抗素子間の接続箇所の電圧のうちいずれか一つの電圧を外部からの制御信号によって選択するスイッチとを備え、
前記抵抗回路の抵抗値は、前記スイッチの一端と前記第2の電圧端子との間のインピーダンスで決定されることを特徴とする半導体回路。 - 直列接続された複数のインバータと、
電源電圧または接地端子と前記各インバータの出力との間に接続されたコンデンサと、
前記インバータの電源端子から接地端子に流れる電流を制限する抵抗とを備え、
前記抵抗の抵抗値と前記コンデンサの容量との積に応じた発振周波数で発振する半導体回路であって、
前記NMOSトランジスタのゲート−ドレイン間抵抗を前記抵抗として利用することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体回路。
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