JP3579879B2 - 高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼、この鋼を用いた高周波焼入れ部品並びにこの高周波焼入れ部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼、この鋼を用いた高周波焼入れ部品並びにこの高周波焼入れ部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の動力伝達系を構成する部品、例えば等速ジョイント用アウターレース、アクスルシャフト、ドライブシャフトなどは、高周波焼入れ処理を施して使用するものである。近年、自動車の高出力化の進行にともなってこれらの動力伝達系の部品には、高い疲れ特性、耐摩耗性及び衝撃特性が要求されており、また高強度の材料が要望されている。更に製造コストを低下させるために中間熱処理の省略、被削性の改善が望まれており、強度と製造性を兼備した材料の開発が望まれていた。
【0003】
従来、上記の動力伝達系部品の多くは、JIS S40C、S55Cなどの機械構造用炭素鋼が主に使用されており、熱間鍛造によって部品の素形材を製造し、焼ならし処理を施して組織を均一なフェライト・パーライト組織にして軟化させた後に切削加工によって部品を製造し、さらに、高周波焼入れ処理が施されている。また近年では、高精度化やコスト低減を目的としてニアネットシェイプ化が進行しており、従来の熱間鍛造から1000℃以下の温度域、例えば700〜900℃の温度域で鍛造する温間鍛造工法が適用されつつある。
【0004】
しかしながら、上記機械構造用炭素鋼を用いて700〜900℃程度の温度域で温間鍛造した場合、鍛造冷却後に均一なフェライト・パーライト組織が得られず、被削性の低下を生じるとともに、高周波焼入れ処理時の硬さや硬化深さのバラツキを助長し品質が安定しないという問題があった。また、鍛造後の冷却過程においてセメンタイトの球状化が進行することがあり、Mn、Crなど焼入性を高める元素が炭化物中に固溶し、素地中のMn、Cr量が低下するために焼入れ性を低下させ、さらには、炭化物が生成されることによって素地中のC量が減少するなどのために、高周波焼入れ処理を行っても所望の表面硬さや硬化深さを得ることができず、また、硬化深さのバラツキが増大し品質が安定しないなどの問題がある。
特に、疲れ特性や静的強度を高くし、品質を安定させるためには、高周波焼入れ時の硬さを高く、かつ硬化深さを深くすることが必要であるので、現在の炭素鋼によって十分な性能を得ることは、極めて困難である。
【0005】
温間鍛造後の高周波焼入れ性を向上して品質を安定させ、必要とする高周波焼入れ特性を得るためには、C量を増加させる方法、鍛造後に焼きならし処理を施して均一なフェライト・パーライト組織にする方法などの対策が取られている。しかし、C含有量を高くした場合には、鍛造後の硬さが高くなるために被削性の低下を招くことになる。また、焼ならし処理を追加した場合には、被削性や高周波焼入性は改善されるもののエネルギーの損失や製造コストの上昇を招くなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、温間鍛造後に焼きならしなどの中間熱処理を行うことなく、温間鍛造ままの状態で優れた被削性及び高周波焼入性を有し、更に高強度、高靱性及び耐摩耗性に優れた温間鍛造用鋼、この温間鍛造用鋼を用いて製造した高周波焼入れ部品並びにこの高周波焼入れ部品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼においては、C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、必要に応じてMo≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含み、更に必要に応じてPb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部Fe及び不純物からなるものとしたことである。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の高周波焼入れ部品においては、C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、必要に応じてMo≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含み、更に必要に応じてPb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部Fe及び不純物からなる鋼であって、高周波焼入れ処理後の表面硬さが≧50HRC、硬化深さ比t(有効硬化深さ)/r(部品半径または部品厚さ)が0.2〜0.7であるものとしたことである。
【0009】
上記目的を達成するために、高周波焼入れ処理後の表面硬さが≧50HRC、硬化深さ比t(有効硬化深さ)/r(部品半径または部品厚さ)が0.2≦t/r≦0.7である高周波焼入れ部品の製造方法においては、C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%を含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、必要に応じてMo≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含み、更に必要に応じてPb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含み、残部Fe及び不純物からなる鋼を700〜900℃の温度域で鍛造加工し、加工後に500℃までを5℃/s以下の冷却速度で冷却し、更に高周波焼入れすることである。
【0010】
【作用】
本発明は、C、Si、Mnなどの固溶元素を上記組成範囲にしたことによって温間鍛造時の変形抵抗を下げるとともに、鍛造冷却後の硬さを低下させることによって被削性を改善することが可能となった。また、Pb、S、Caなどの快削元素の添加量を適正化することによってさらに良好な被削性と強度の劣化を防止することが可能となった。また、Bを添加することによって高周波焼入性を高め、温間鍛造ままの組織状態でも優れた高周波焼入性を確保することが可能となった。さらに、B、Mo及びNiを含有させることによって、焼入性、強度及び靱性をさらに向上することが可能となった。
【0011】
以下に合金元素の成分組成の限定理由、高周波焼入れ処理後の表面硬さ、高周波焼入れ深さ、鍛造温度及び冷却速度を特定した理由を説明する。
C:0.51〜0.60%
Cは、硬度を確保するために必要な元素である。高周波焼入れ処理によってHRC50以上の硬さを安定して得るためには0.51%以上を必要とするが、0.60%を超えて含有しても表面硬さが上昇せず、高周波焼入れ時に焼き割れを発生しやすくなるなどの問題があるために、その上限を0.60%とした。
【0012】
Si:0.21〜0.50%
Siは、脱酸剤として、また、高周波焼入性を高くする元素である。この効果を得るためには0.21%以上含有させる必要があるが、0.50%を超えて添加すると、鍛造冷却後の硬さが増加し、被削性の低下が著しいために、Si含有量の上限を0.50%とした。また、温間鍛造時の変形抵抗を減じ、さらに加工性を高くするためにはSi量を0.25%以下にすることが好ましい。
Mn:0.20〜1.50%
Mnは、Siと同様に脱酸剤として、また、焼入性を大幅に高くする元素である。この効果を得るためには0.20%以上を添加す必要があるが、1.50%を超えて添加してもその効果は飽和し、熱間加工性及び鍛造後の硬さを増加させ、被削性を低下させるので、その含有量の範囲を0.20〜1.50%とした。
【0013】
B:0.0005〜0.0033%
B(溶解性のBのこと。)は、鋼の温間鍛造性及び被削性を低下することなく焼入性を改善する元素である。この効果を得るためには少なくとも0.0005%を含有する必要があるが、0.0033%を超えて含有すると、熱間加工性を著しく低下させ、圧延工程などで割れが発生するので、その含有量の範囲を0.0005〜0.0033%とした。
【0014】
N:≦0.020%
Nは、鋼の溶製中に侵入する元素で、不純物であるので、少ないほうが望ましい。Nは鋼中のBと結合し、Bの焼入性改善効果を低下するので、好ましい含有量は0.010%以下である。しかし、Nを低減するには真空脱ガス処理などの溶製工程を必要とし、かつ、長時間の脱ガス処理を行うことが必要であるために、製造コストを上昇させるという問題がある。そのため、Bの焼入性改善効果に影響を及ぼさない範囲として上限を0.020%とした。
【0015】
Ti:≦0.10%
Tiは、Nと結合してTiNを生成することによって鋼中の溶解性のB量を増加させ、焼入性を安定化させるために添加する元素である。Ti量はN量に応じて添加され、Ti/N比率が3.42〜8.0の範囲になるようにする必要がある。Ti含有量を0.10%を超えて添加すると、大型のTiNの介在物が生成し、疲れ特性を低下させるとともに、温間鍛造時の割れ発生を助長するため、Ti含有量の上限を0.1%とした。
【0016】
Cr:≦1.0%
Crは、鋼の焼入性を改善し、高周波焼入性を高くする元素であるために添加する。なお、Cr量は高周波焼入れされる部品の寸法によって決定され、部品直径または厚さが25mm以下の場合には≦0.25%以下、25〜50mmでは≦0.50%以下、50mm以上では≦1.0%が好ましい範囲である。また、Cr量が1.0%を超えて多量に含有させると、鍛造後の硬さの上昇を招き、被削性が低下するとともに、鍛造加工時の変形抵抗を増大させて加工性を劣化させるため、上限を1.0%とした。
【0017】
Ni:≦1.0%、Mo:≦0.5%
Ni及びMoは、鋼の靱性を高くするとともに、焼入性を改善する元素であるので、特に靱性が要求される部材や大型部材でさらに焼入性の改善が必要な場合に添加する。Niは1.0%を、またMoは0.5%を超えて添加すると、鍛造後の硬さが上昇し、被削性を低下する。
【0018】
Pb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%
Pb、S、Bi、Te及びCaは、被削性を改善する元素である。しかし、Pbが0.20%、Sが0.10%、Biが0.20%、Teが0.10%及びCaが0.01%を超えて添加すると、転動疲れ特性の劣化が顕著となるので、その添加量の上限を上記のとおりとした。
【0019】
高周波焼入れ処理後の表面硬さ:≧50HRC
高周波焼入れ処理後の表面硬さは、おおむねC量で決定されるが、動力伝達部品としての疲れ特性、転動疲れ特性、静的強度を維持するためには、少なくとも50HRC以上必要であるので、その下限を50HRC以上とした。
【0020】
高周波焼入れ処理後の硬化深さ比:0.2〜0.7
硬化深さ比、すなわち有効硬化深さ(t)と部品半径または部品厚さ(r)との比t/rは、0.2〜0.7の範囲にすることによって、疲れ特性、衝撃特性を安定化することができる。硬化深さ比が0.2より小さい、すなわち硬化深さが浅い場合には、静的強度特性が低下し、硬化深さ比を0.7より大きく、すなわち硬化深さが深くなった場合には、高周波焼入れ処理時に焼き割れを生じ易くなるため、t/rを0.2〜0.7とした。
【0021】
鍛造温度:700〜900℃、冷却速度:500℃までを5℃/s以下
鍛造、すなわち温間鍛造は、フェライト+オーステナイトの二相域またはAc3 温度の直上の温度域での加工が望ましいので、その温度範囲は700〜900℃とした。900℃より高い温度で加工すると、加工抵抗は減少して加工は容易となるが、部品加工精度が低下し、また結晶粒が粗大化して強度や靱性が低下するので、上限温度を900℃とした。また500℃より低い温度で加工すると、加工抵抗が増加し、割れが発生し易くなるので、下限温度を500℃とした。
また、鍛造後の冷却速度を5℃/sを超えて冷却すると、冷却時にベイナイトまたはマルテンサイトを生成し、鍛造後の硬さが増加して被削性を低下するので、鍛造後の冷却速度の上限を5℃/s以下とした。また、冷却速度を5℃/s以下とした場合、500℃以下の温度域であればフェライト・パーライト変態を完了するので、冷却速度を制御する温度範囲の下限を500℃とした。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を説明する。
下記表1に示した成分組成の鋼を通常の方法で溶製し、ビレットにした後このビレットを熱間圧延してφ50mmの丸棒にした。
この成分組成の鋼の温間鍛造性を評価するため、φ50mmの丸棒からφ30mm、高さ45mmの円柱状試験片を機械加工によって製造した。この円柱状試験片を720℃及び780℃に加熱し、プレス加工機によって加工率50%の温間鍛造を行い、1℃/sで500℃まで冷却した。このとき変形抵抗を求めることによって温間鍛造性を評価した。その結果を表2に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
また、高周波焼入性を評価するため、上記φ50mmの丸棒を750℃で温間鍛造した後500℃までを1℃/sで冷却し、φ30mmの丸棒を得た後に、φ25mm、長さ150mmの高周波焼入れ試験片を機械加工によって製造した。この試験片を高周波焼入れ装置によって焼入れ処理し、表面硬さ及び50HRCの得られる深さを測定した。なお、高周波焼入れは、周波数10kHz、出力55KW、加熱時間4秒の条件で行い、また冷却は水冷とした。また硬さの測定には、ロックウエル試験機を使用した。その結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】
また、被削性を評価するため、上記と同様に温間鍛造して得られたφ30mmの丸棒の試験片の旋削試験を行い、工具磨耗量が0.2mmとなる時間で評価した。なお、切削速度は100m/分、切り込み量は0.1mm、工具はハイスを使用した。表4に旋削試験の結果及び試験片のブリネル硬さを示した。
【0028】
【表4】
【0029】
また、疲れ特性を評価するため、φ30mmの温間鍛造材から機械加工によってφ12mm、長さ20mmの円柱試験片を製造し、この円柱試験片を硬化深さ3mm狙い(t/r=0.5)の高周波焼入れ処理を行い、転動寿命試験をした。試験は円筒型転動寿命試験機であり、負荷応力は5.8GPaである。寿命の評価はワイブル累積損傷確率が10%を示す繰り返し数をB10寿命と定義して評価した。この結果を表5に示す。
【0030】
また、静的ねじり強度を評価するため、φ30mmの温間鍛造材から直径10mmのねじり試験片を製造し、硬化深さ3mm狙いの高周波焼入れ処理を行った後、ねじり試験機によって最大剪断応力を求めた。その結果を表5に示す。
【0031】
さらに、衝撃特性を評価するため、φ30mmの温間鍛造材からシャルピー試験片を製造した。焼入れは、高周波焼入れによって全面焼入れ(中心部まで焼入れした。)を行った。なお、ノッチは、10Rノッチとし常温の衝撃値を求めた。この結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
表2には、温間鍛造時の変形抵抗と冷却後の硬さを示したが、本発明鋼の変形抵抗は比較例鋼と同等レベルの値を示しており、本発明の成分組成の範囲であれば、JISS45CまたはS50Cと同等の温鍛性を有していることが分かる。 表3には、高周波焼入性の結果を示したが、本発明鋼の1〜6は、高周波焼入れ後の表面硬さが50HRC以上であるのに対して、比較例鋼1は所定のC量を含有していないため、41HRCと低くなっている。また、硬化深さ比(t/r)をみると、本発明鋼はいずれも0.5〜0.7の範囲になっている。これに対して比較例鋼は、いずれも0.5以下の範囲にあり、いずれも硬化深さが浅くなっていることが分かる。このように、比較例鋼ではC含有量が低い場合には、十分な表面硬さが得られず、また、C量を高めることによって表面硬さを増加することは可能とされても、十分な硬化深さを得ることができない。一方、本発明鋼では温間鍛造ままの組織であっても、優れた高周波焼入性を得ることができることが分かる。
【0034】
表4には、被削性試験の結果を示したが、比較例鋼2(JIS S45C)と本発明鋼を比較すると、いずれの鋼種においても2〜3倍の寿命延長が確認された。このように、本発明鋼では、現在の炭素鋼に比べて被削性が向上している。また、本発明鋼2〜4はPb、Te、Biなどの切削性を改善する元素を添加したものであるが、さらに工具寿命が延長しており、大幅な被削性の改善が認められた。
【0035】
表5には、転動寿命疲労試験の結果、静的ねじり試験で得られた最大剪断応力の結果及び衝撃試験の結果を示した。比較例鋼のB10転動寿命は、0.1〜0.6×107 の範囲にあるが、本発明鋼では比較例鋼に対して約5〜10倍以上の寿命延長が確認された。
また、剪断応力はC量の増加にともなって上昇する傾向がある。本発明鋼4及び5は本発明鋼2にMo及びNi又はMoを添加したものであるが、これらを添加すると強度が増加することが分かる。
また、本発明鋼はいずれも130J以上の高い衝撃値が得られるのに対して、比較例鋼では40J以下の値であり、本発明鋼は衝撃値においても優れていることが分かる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、上記構成にしたことにより、次のような優れた効果を奏する。
(1)本発明鋼及び本発明の高周波焼入れ部品は、温間鍛造ままの状態において も優れた高周波焼入れ性と被削性を有している。
(2)また、疲れ特性、衝撃特性及び静的強度が従来の炭素鋼に比較して大幅に 向上する。
(3)温間鍛造後の焼きならし処理などの中間熱処理を省略することが可能であ るため、製造コストを低下することができる。
Claims (9)
- 重量%で(以下同じ)、C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、残部Fe及び不純物からなることを特徴とする高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼。
- Mo:≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼。
- Pb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の高周波焼入れ性及び被削性に優れた温間鍛造用鋼。
- C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、残部Fe及び不純物からなる鋼であって、高周波焼入れ処理後の表面硬さが≧50HRC、硬化深さ比t(有効硬化深さ)/r(部品半径または部品厚さ)が0.2〜0.7であることを特徴とする高周波焼入れ部品。
- Mo:≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項4記載の高周波焼入れ部品。
- Pb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4または請求項5記載の高周波焼入れ部品。
- C:0.51〜0.60%、Si:0.21〜0.50%、Mn:0.20〜1.50%、Cr:≦1.0%、B:0.0005〜0.0033%、N:≦0.020%、Ti:≦0.10%含み、TiとNの含有量の比率Ti/Nが3.42〜8.0であり、残部Fe及び不純物からなる鋼を700〜900℃の温度域で鍛造加工し、加工後に500℃までを5℃/s以下の冷却速度で冷却し、更に高周波焼入れすることを特徴とする高周波焼入れ処理後の表面硬さが≧50HRC、硬化深さ比t(有効硬化深さ)/r(部品半径または部品厚さ)が0.2〜0.7である高周波焼入れ部品の製造方法。
- Mo:≦0.5%及びNi:≦1.0%のうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項7記載の高周波焼入れ部品の製造方法。
- Pb:≦0.20%、S:≦0.10%、Bi:≦0.20%、Te:≦0.10%及びCa:≦0.01%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項7または請求項8記載の高周波焼入れ部品の製造方法。
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