JP3579783B2 - レールの延伸構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レールを延伸する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールドトンネルでは、図4に示すようにシールド掘進機aによって地中を掘進した直後にセグメントbでトンネルの内面を覆工しつつ前進して行く。
そのために、セグメントbの運搬台車をセグメント組み立てのエレクターcの直下まで接近させなければならない。
あるいは掘削した土砂を排出するコンベアなどの設備も、掘削機aの前進に合わせて接近させて配置しておかなければならない。
そのような要求から、台車移動用のレールdの先端は、シールド掘進機aの掘進に合わせて、小刻みに延伸させる必要がある。
しかし一般の市販のレールdはJIS規格にしたがって長さが例えば5m、6m程度に決まっている。したがって、掘進機aの小刻みな前進にあわせてレールdを延伸してゆくことは困難である。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
そのために従来は、掘進機が十分に前進して定尺レールの長さが確保できるまでは延伸を中断するか、あるいは定尺のレールを切断した短いレールを繰り返し連結して延伸して行く方法を採用していた。
<イ>しかし前者の方法では、セグメントを供給する台車やその他の台車がエレクターや切羽に十分に接近できないために、セグメントの組み立て作業に時間と労力を必要とした。
<ロ>後者の方法では短いレールを頻繁に接続し、一定長さに達すると短尺レール群を撤去して定尺レールに切り替えるという繁雑な作業が必要となり、不経済なものであった。
<ハ>特にレールの曲線部分では、内外のレールの寸法差が生じるから、その調整作業が重複し、さらに効率の悪いものであった。
<ニ>以上の問題点はシールドトンネルを例に説明したが、一般のトンネルにおいても同様であった。
【0004】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、短時間でスムーズにレールを延伸することができる、レールの延伸構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明のレールの延伸構造は、規格品の定尺レールを平行に2本配置し、各定尺レールに沿って、その内側に延伸レールを設置し、両側の延伸レール間は、レールの延長方向と直する、横断方向の繋ぎ材で連結し、定尺レールと、延伸レールとは相互にスライド可能に構成したレールの延伸構造であって、延伸レールは、一定間隔で切断し、ひとつの切断位置から、次の切断位置までの一区間の間に、両側の延伸レールを連結する繋ぎ材を位置させ、一区間の繋ぎ材と、隣接する区間の繋ぎ材との間を、回転可能なリンクで連結したことを特徴としたものである。ここで、延伸レールの切断面をレールの延長方向に交差する角度に設定することができる。
【0006】
【本発明の実施の態様】
以下図面を参照しながら本発明のレールの延伸構造の実施例について詳細に説明する。
【0007】
<イ>定尺レールの配置。
切羽に接近した位置を除いて、規格品の定尺レール1を平行に2本配置する。この定尺レール1部分の構造は、通常のトンネル工事において従来から利用されているレールの構造であり、枕木などの配置、枕木とレールとの連結などは公知の構造であるから説明を要しない。
台車を走行させる場合には、この定尺レール1の踏面11の上に台車の車輪2を搭載して台車の移動を行う。
【0008】
<ロ>延伸レールの設置。
各定尺レール1に沿って、延伸レール3を設置する。延伸レール3の設置位置は、2本の定尺レール1の各々の内側である。
この延伸レール3は、断面が概略矩形の長い鋼材であり、延伸レール3の上面は車輪2のフランジ部21の踏面31として構成する。
そのために、定尺レール1の踏面11の高さと、延伸レール3の踏面31の差は、両者を組み合わせて設置した場合に、車輪2とフランジ21の高さの差と一致する寸法に形成する。
さらにこの延伸レール3の踏面31の内側には長手方向に、踏面31よりも高い壁板32を形成する。この壁板32の壁面によって、フランジ21の万一の脱輪を阻止することができる。
一方、延伸レール3の下面の一部は、定尺レール1の底板12の形成角度と同一の角度で形成し、定尺レール1への乗り上げ面として構成する。
延伸レール3は、トンネルの横断方向に配置した枕木4に固定する。固定方法は、例えば図2に示すようにプレートを介して枕木4の一部を挟んだ状態でボルト止めして固定する。その結果、延伸レール3の乗り上げ面の一部が定尺レール1の底板12に乗り上げた状態で固定されることになる。
【0009】
<ハ>延伸レール間の連結。
各定尺レール1の内側に設置した、両側の延伸レール3間は、レールの延長方向と直交する、横断方向の繋ぎ材33で連結する。繋ぎ材33は長い鋼板、あるいは鋼棒などを、延伸レール3の側面に溶接して固定する。
したがって両側の延伸レール3は繋ぎ材33によって平面状態がはしご状に形成されることになる。
【0010】
<ニ>延伸レールの切断。
はしご状に平行に配置した2本の延伸レール3は、両側のほぼ同一位置において、一定間隔で切断する。
その切断面34はレールの延長方向に直交する角度、あるいは交差する角度の平面に、あるいは円弧状の面に形成する。
そして、ひとつの切断面34から、次の切断面34までの一区間の間に、少なくとも2本の繋ぎ材33を位置させる。
こうして切断後の両側の延伸レール3を2本の繋ぎ材33で連結すれば、平面形状が井桁状の枠体を形成することができる。
【0011】
<ホ>延伸レールの連結。
このままでは、一区間の延伸レール3は井桁状に形成したままであり、延長することができない。
そこで一区間の延伸レール3の繋ぎ材33と、隣接する区間の繋ぎ材33との間を、ピン36を介して回転可能なリンク35で連結し、長いはしご状に構成する。このリンク35とピン36の間に多少の余裕を持たせておくことによって、隣接する区間の繋ぎ材33は相互に多少の移動、回転ができる。その結果、井桁状の延伸レール3の一区間と隣接する延伸レール3の区間とは、中心軸を自由に変更させることが可能となる。
またシールドトンネルの上下方向の蛇行に対しても対応が可能となる。
【0012】
<ヘ>定尺レールからの引き出し。
こうして形成したはしご状の延伸レール3は、両側の定尺レール1間に設置してある。したがって延伸レールを引き出していない状態では、車輪2とそのフランジ21とが、各々定尺レール1と延伸レール3の踏面11、31に乗った状態で台車が移動する。
切羽が前進して延伸する際には、延伸レール3だけは枕木4とのボルト連結を解除し、チェーンブロックなどを使用して延伸レール3をトンネルの切羽側へ牽引する。すると延伸レール3と定尺レール1は相互にスライド可能に構成してあるから、例えどのような中途半端な距離であっても、必要とするだけの距離を切羽側へ延伸することができる。延伸後は、横断方向に配置してある枕木4などを介して下からボルトで固定する。
【0013】
<ト>台車の移動。
セグメント台車などは、定尺レール1の位置では車輪2が定尺レール1の踏面11の上を通過して移動する。
延伸レール3に至ると、延伸レール3の踏面31の上に、車輪2のフランジ21が乗り、そのまま延伸レール3の先端まで移動することができる。
したがって、シールド掘進機の小刻みな前進、あるいは切羽の不規則な前進に合わせて自由な位置まで台車を前進させることできる。
【0014】
<チ>定尺レールへの盛り替え。
こうして引き出した延伸レール3が、市販レールの規格寸法に達したら、延伸レール3の両側に定尺レール1を配置し、枕木4に対して強固に固定する。
したがって定尺レール1は内側に延伸レール3を抱き込んだ状態で敷設され、再度必要に応じて自由な寸法だけ延伸レール3を引き出すことができる。
【0015】
【本発明の効果】
本発明の延伸レールの構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>セグメントを切羽に供給する台車を、エレクターに十分に接近させることができる。したがってシールドトンネルの場合には、シールド掘進機がどの位置にあっても、迅速にセグメントの組み立て作業を完了することができる。
<ロ>従来のように短いレールを頻繁に接続し、一定長さに達すると短尺レール群を撤去して定尺レールに切り替えるという繁雑な作業が不要となり、経済な延長作業を行うことができる。
<ハ>さらにレールの曲線部分でも、延伸レールは中間で自由に角度を変更することができるから、スムーズに曲線になじんだ敷設を行うことができる。この角度の変更は水平面上での変更に限らず、鉛直方向の蛇行、すなわち上下方向の蛇行に対しても追従させることができる。
<ニ>シールドトンネルに限らず、一般のトンネルあるいは推進工法においても切羽の小刻みな前進、あるいは切羽の不規則な前進に合わせて、中途半端な寸法でも自由な位置まで延伸することができるから、台車、その他のレールに搭載する設備を自由に前進させることできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレールの延伸構造の実施例の説明図。
【図2】定尺レールと延伸レールの組み合わせ状態の説明図。
【図3】延伸レールの切断部分の実施例の説明図。
【図4】一般的なシールド掘進機の実施例の説明図。

Claims (2)

  1. 規格品の定尺レールを平行に2本配置し、各定尺レールに沿って、その内側に延伸レールを設置し、両側の延伸レール間は、レールの延長方向と直交する、横断方向の繋ぎ材で連結し、定尺レールと、延伸レールとは相互にスライド可能に構成したレールの延伸構造であって、
    延伸レールは、一定間隔で切断し、ひとつの切断位置から、次の切断位置までの一区間の間に、両側の延伸レールを連結する繋ぎ材を位置させ、一区間の繋ぎ材と、隣接する区間の繋ぎ材との間を、回転可能なリンクで連結したことを特徴とする、
    レールの延伸構造
  2. 規格品の定尺レールを平行に2本配置し、各定尺レールに沿って、その内側に延伸レールを設置し、両側の延伸レール間は、レールの延長方向と直交する、横断方向の繋ぎ材で連結し、定尺レールと、延伸レールとは相互にスライド可能に構成したレールの延伸構造であって、
    延伸レールは、一定間隔で切断し、その切断面はレールの延長方向に交差する角度に設定し、ひとつの切断位置から、次の切断位置までの一区間の間に、両側の延伸レールを連結する繋ぎ材を位置させ、一区間の繋ぎ材と、隣接する区間の繋ぎ材との間を、回転可能なリンクで連結したことを特徴とする、
    レールの延伸構造
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