JP7381385B2 - ホイストレールの取付け構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ホイストレールの取付け構造に関し、特に、シールド掘進工法において、ホイストレールをトンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能に設置するためのホイストレールの取付け構造に関する。
シールド工法は、シールド掘進機の先端の切端面を、泥土、泥水、圧気等によって押さえ付けつつカッターにより地山を掘削すると共に、シールド掘進機の後方にセグメントによるトンネル覆工体(セグメントリング)を組み立てながら、発進立坑から到達立坑に向けて、地中にトンネルを形成してゆく工法であり、都市部や平野部における主要なトンネル工事のための工法として広く採用されている。
また、シールド工法に用いるシールド掘進機は、スキンプレートと呼ばれる金属製の外殻体の前部に切羽面を切削する回転カッターや、隔壁、カッター駆動装置、排土機構等を備えると共に、スキンプレートの後部に、シールドジャッキ、エレクター装置等を備えており、エレクター装置を用いてセグメントによるセグメントリングを組み立て、組み立てたセグメントリングによるトンネル覆工体から反力をとりつつ、シールドジャッキによってスキンプレートと共に回転カッターを押し出すことで、切羽面を切削しながらトンネルを掘進して行くようになっている。
そして、シールド工法では、例えば搬送用の台車により発進立抗からトンネル内の所定の位置まで積み重ねた状態で搬送されてきた、セグメントリングを形成するためのセグメントを、個々に吊り上げて、シールド掘進機のスキンプレートに後続する部分までさらに搬送するための装置として、公知のホイスト装置が用いられている。ホイスト装置は、個々のセグメントを吊り上げた状態で、トンネルの上部にトンネルの軸方向に延設して設置された、好ましくはI形鋼からなるホイストレールに沿って、スキンプレートに後続する部分まで走行移動して、例えば送出し台車の上に好ましくは90°向きを変えた状態で受け渡すようになっており、受け渡されたセグメントは、送出し台車によりエレクター装置が設けられたスキンプレートの後部まで送り出された後に、エレクター装置によって、リング状に組み立てられることになる。
ここで、ホイスト装置を走行移動させるホイストレールは、先端部分をシールド掘進機に支持させると共に、後端部分を支持架台に支持させて、シールド掘進機の掘進に伴ってシールド掘進機と共に前方に移動可能な状態で、トンネルの軸方向に直線状に延設して取り付けられるものが一般的であるが、湾曲部分を含むトンネルをシールド掘進機の掘進によって形成する場合には、ホイストレールが直線状に配置されたままでは、湾曲部分においける掘進に支障をきたすことから、ホイスト装置を移動させる搬送レール(ホイストレール)を、屈曲可能に構成して、トンネルの湾曲部分にも対応できるようにしたシールドトンネル用テルハクレーンも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4274061号公報
しかしながら、特許文献1に記載のシールドトンネル用テルハクレーンでは、搬送レール(ホイストレール)は、シールド掘進機の後端部に先端部をピン接合したシールド側搬送レールと、シールド側搬送レールの後端部に先端部をピン接合した可撓性搬送レールと、可撓性搬送レールの後端部に先端部をピン接合した抗口側搬送レールとによって構成されており、可撓性搬送レールの部分で屈曲可能となるように、可撓性搬送レールは、相互に回動自在に連結された複数のジョイント部材で構成されると共に、搬送レール湾曲機構を介して支持架台から吊持されるようになっており、搬送レール湾曲機構は、所定の幅だけ離間させるとともに支持架台の軸線と平行に配置された一対の吊持板と、可撓性搬送レールの連結部、複数のジョイント部材、及び抗口側搬送レールの連結部のそれぞれの頂部に突設された吊持部に形成されたロッド孔に挿通される、複数の吊持用ロッドとによって構成されており、且つ各吊持用ロッドの各々の端部が、各一対の吊持板に形成された長孔状のガイド孔にそれぞれ挿通されている共に、各吊持用ロッドの長さが、それらの両端部に設けてある頭部と一対の吊持板の外面との間にクリアランスが形成されるように設定されているといった、複雑な構成を備えるものとなっていることから、より簡易な構成によって、セグメントを吊り上げたホイスト装置を、トンネルの湾曲部分(曲線部分)においてもスムーズに走行移動させることができるようにする新たな技術の開発が望まれている。
また特に、近年、例えば曲率半径が10m程度、交角が130°程度といった、急曲線部分を含むトンネル(図2参照)がシールド掘進機を掘進させることで形成されるようになってきており、このようなトンネルの急曲線部分を通過させるためには、ホイストレールに屈曲可能な部分を複数箇所に設ける必要があることから、より一層、トンネルの曲線部分においても、セグメントを吊り上げたホイスト装置をスムーズに走行移動させることを可能にする新たな技術の開発が望まれている。
本発明は、シールド掘進工法において、搬送されてきたセグメントを吊り上げたホイスト装置をトンネルの軸方向に走行移動させるホイストレールを、トンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能に設置するためのホイストレールの取付け構造であって、セグメントリングによって覆われたトンネルの上部内周面に支持させて、トンネルの軸方向に間隔をおいて横幅方向に延設して固定された、下面フランジプレート部を有する複数のレール支持架台と、少なくとも一対の前記レール支持架台に支持させて、トンネルの軸方向に延設して取り付けられたI形鋼又はH型鋼による前記ホイストレールと、前記レール支持架台と前記ホイストレールとの間に介在して設けられて、前記ホイストレールがトンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能となるように前記レール支持架台に支持させる走行移動治具とを含んで構成されており、前記ホイストレールは、複数の単位ホイストレールを、長さ方向に連設することによって構成され、これらの単位ホイストレールの連設部分において折曲り可能となっており、各々の前記単位ホイストレールには、一方の端部の上下のフランジプレート部に弧状凹部が形成されていると共に、一方の端部のリブプレート部に、雌側回転連結部が形成されており、他方の端部の上下のフランジプレート部に弧状凸部が形成されていると共に、他方の端部のリブプレート部に、雄側回転連結部が形成されており、一方の端部の前記雌側回転連結部と、他方の端部の前記雄側回転連結部とを重ね合わせ、合致させたピン挿通孔にピン部材を嵌め込むようにして挿通することによって、複数の前記単位ホイストレールが、これらの連設部分において、折曲り可能となっており、前記走行移動治具は、前記レール支持架台の下面フランジ部の上面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分に載置される、少なくとも一対の横行車輪と、前記ホイストレールの上面フランジプレート部の下面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分を載置させる、少なくとも一対の軸方向車輪とを含んで構成されており、前記走行移動治具は、上下に一体として接合された、横行車輪取付け基台部と、軸方向車輪取付け基台部とを含んで構成されており、前記横行車輪取付け基台部は、平板状の接合プレート部と、該接合プレート部から一体として上方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部とを備えており、各々の車軸支持プレート部に回転軸を軸支させて、少なくとも一対の前記横行車輪が、各々の車軸支持プレート部の内側に回転可能に取り付けられており、前記軸方向車輪取付け基台部は、平板状の接合プレート部と、接合プレート部から一体として下方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部とを備えており、各々の車軸支持プレート部に回転軸を軸支させて、少なくとも一対の前記軸方向車輪が、各々の車軸支持プレート部の内側に回転可能に取り付けられており、前記走行移動治具は、前記横行車輪取付け基台部の接合プレート部と、前記軸方向車輪取付け基台部の接合プレート部とを、前記横行車輪の回転軸の方向及び前記軸方向車輪の回転軸の方向を垂直に立体交差状に交差させた状態で、溶接等により上下に重ね合わせて一体として接合することにより形成されているホイストレールの取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明は、シールド掘進工法において、搬送されてきたセグメントを吊り上げたホイスト装置をトンネルの軸方向に走行移動させるホイストレールを、トンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能に設置するためのホイストレールの取付け構造であって、セグメントリングによって覆われたトンネルの上部内周面に支持させて、トンネルの軸方向に間隔をおいて横幅方向に延設して固定された、下面フランジプレート部を有する複数のレール支持架台と、少なくとも一対の前記レール支持架台に支持させて、トンネルの軸方向に延設して取り付けられた前記ホイストレールと、前記レール支持架台と前記ホイストレールとの間に介在して設けられて、前記ホイストレールがトンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能となるように前記レール支持架台に支持させる走行移動治具とを含んで構成されており、該走行移動治具は、前記レール支持架台の下面フランジプレート部の上面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分に載置される、少なくとも一対の横行車輪と、前記ホイストレールの上面フランジプレート部の下面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分を載置させる、少なくとも一対の軸方向車輪とを含んで構成されているホイストレールの取付け構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
そして、本発明のホイストレールの取付け構造は、前記レール支持架台の下面フランジプレート部に設けられた前記走行移動治具を挟んだ両側に、前記走行移動治具のトンネルの横幅方向の移動を規制するストッパー部材が、規制位置を調整可能な状態で、前記下面フランジプレート部に着脱可能に固定されていることが好ましい。
また、本発明は、上記ホイストレールの取付け構造による施工方法であって、トンネルの軸方向の最後部に配置されたレール支持架台を、前記ホイストレールが通過した後に前方に移設して、トンネルの軸方向の最前部のレール支持架台として転用するようになっている
さらに、本発明は、上記ホイストレールの取付け構造による施工方法であって、前記ホイストレールを、チェーン又はワイヤーを介して前方から引っ張ることで、トンネルの軸方向に移動させるようになっている
本発明のホイストレールの取付け構造によれば、より簡易な構成によって、トンネルの曲線部分においても、セグメントを吊り上げたホイスト装置をスムーズに走行移動させることができる。
本発明の好ましい一実施形態に係るホイストレールの取付け構造が設けられたシールド掘進機によるシールドトンネルを説明する略示断面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るホイストレールの取付け構造を用いて施工されるシールドトンネルの急曲線部分の説明図である。 図1のA-Aに沿った略示断面図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るホイストレールの取付け構造を説明する、(a)は図3の要部拡大図、(b)は(a)をC方向から見た部分拡大図である。 本発明の好ましい一実施形態に係るホイストレールの取付け構造を説明する、図1のB-Bに沿った略示断面図である。 (a)~(c)は、複数の単位ホイストレールによる折曲り可能な連設部分の説明図である。
本発明の好ましい一実施形態に係るホイストレールの取付け構造10(図4(a)、(b)参照)は、図1に示すように、シールド掘進機30として例えば泥土圧式のシールド掘進機を用いたシールド工法において、セグメントリング32による覆工体によって周囲を覆われたトンネル33を介して、例えば発進立抗からシールド掘進機30の後方の所定の位置まで、搬送用の台車31によって積み重ねられた状態で搬送されてきたセグメント20を、個々に吊り上げた状態で、シールド掘進機30に後続する部分までさらに搬送する際に、セグメント20を吊り上げる公知のホイスト装置16のトンネル33の軸方向Xに沿った走行を案内するホイストレール11を、トンネル33の内部に移動可能に設置できるようにするための取付け構造として採用されたものである。
また特に、図2に示すような、急曲線部分33aを含む、シールド掘進機30を掘進させて形成されたトンネル33(図2参照)においては、例えばI形鋼やH形鋼からなる直線状のホイストレールを、急曲線部分33aに追随できるように設置することが困難であったことから、本実施形態のホイストレールの取付け構造10は、ホイストレール11の位置を、簡易な構成によってトンネル33の軸方向X及び横幅方向Y(図3参照)に調整可能とすることで、湾曲する急曲線部分33aにも追随させてホイストレール11を容易に設置できるようにしたものである。
そして、本実施形態のホイストレールの取付け構造10は、図1、図3、図4(a)、(b)に示すように、シールド掘進工法において、搬送されてきたセグメント20を吊り上げたホイスト装置16をトンネル33の軸方向Xに走行移動させるホイストレール11を、トンネル33の軸方向X及び横幅方向Y(図3参照)に移動可能に設置するための取付け構造であって、セグメントリング32によって覆われたトンネル33の上部内周面に支持させて、トンネル33の軸方向X(図1参照)に間隔をおいて横幅方向Y(図3参照)に延設して固定された、下面フランジプレート部13aを有する複数のレール支持架台13と、少なくとも一対のレール支持架台13に支持させて、トンネル33の軸方向Xに延設して取り付けられたホイストレール11と、レール支持架台13とホイストレール11との間に介在して設けられて、ホイストレール11がトンネル33の軸方向X及び横幅方向Yに移動可能となるようにレール支持架台13に支持させる走行移動治具14とを含んで構成されている。走行移動治具14は、レール支持架台13の下面フランジプレート部13aの上面におけるリブプレート部13bを挟んだ両側の部分に載置される、少なくとも一対の横行車輪14aと、ホイストレール11の上面フランジプレート部11aの下面におけるリブプレート部11b挟んだ両側の部分を載置させる、少なくとも一対の軸方向車輪14bとを含んで構成されている。
また、本実施形態では、レール支持架台13の下面フランジプレート部13aに設けられた走行移動治具14を挟んだ両側に、走行移動治具14のトンネルの横幅方向Yの移動を規制する、例えばシャコマンからなるストッパー部材17が、規制位置を調整可能な状態で、下面フランジプレート部13aに着脱可能に固定されている。
さらに、本実施形態では、図5に示すように、ホイストレール11は、複数の単位ホイストレール12を、長さ方向に連設することによって構成されており、これらの単位ホイストレール12の連設部分12aにおいて折曲り可能となっている。
本実施形態では、シールド掘進機30は、曲線施工が可能な例えば泥土圧式の公知のシールド掘進機となっており、図1に示すように、肉厚が例えば28~50mm程度の金属製プレートからなる円筒形状の外殻体である、前胴部34a及び後胴部34bを有するスキンプレート34の先端部に、回転カッター(図示せず)を備えると共に、スキンプレート34の内側には、隔壁によって仕切られた泥土圧室(図示せず)、カッター駆動装置(図示せず)、中折れジャッキ(図示せず)、スクリューコンベアによる排土機構35、シールドジャッキ(図示せず)、セグメント組立用のエレクター装置36等を備えている。シールド掘進機30は、公知のエレクター装置36によって、送出し台車37に載置されてローラーコンベア39に沿って送り出されてきた各々のセグメント20を、周方向に組み立てて、覆工体となるセグメントリング32を形成すると共に、形成されたセグメントリング32から反力をとりつつ、シールドジャッキによってスキンプレート34と共に回転カッターを前方に押し出すことで、切羽面を切削し、切削した土砂を泥土として排土機構35を介して排出しながら掘進して、トンネル33を形成して行くようになっている。
また、本実施形態では、スキンプレート34の後部内側において、エレクター装置36によりセグメントリング32としてリング状に組み立てられるセグメント20は、複数のセグメント20が例えば搬送用の台車31に積み重ねられた状態で、発進立抗(図示せず)からトンネル33の坑内におけるスキンプレート34の後方の所定の位置として、例えばシールド掘進機30と連結された後続台車38(図3参照)に横付けされる位置まで搬送された後に、ホイスト装置16により個々に吊り上げられて、ホイストレール11に案内されてスキンプレート34に後続する部分まで走行移動し、ローラーコンベア39に沿って送り出される上述の送出し台車37に、好ましくは90度方向を変換した状態で、受け渡されて載置されることになる。ホイストレール11は、本実施形態の取付け構造10によって、後述するように、トンネル33の坑内において、トンネル33の軸方向Xに移動可能に、且つ横幅方向Yの位置を調整可能に取り付けられていることによって、トンネル33の急曲線部分33aにおいても、ホイスト装置16をスムーズに案内して、個々のセグメント20を、後続台車38に横付けされた位置から、スキンプレート34に後続する部分に敷設された、送出し台車37が送り出されるローラーコンベア39の直上部分まで、安定した状態で走行移動させることができるようになっている。
そして、本実施形態では、ホイストレールの取付け構造10を構成するレール支持架台13は、好ましくは鋼製のプレート部材を用いて形成されており、図3及び図4(a)、(b)に示すように、トンネル33の横幅方向Yに横長に延設するリブプレート部13bの下端部に、溶接等を介して下面フランジプレート部13aを、リブプレート部13bの両側に張り出すようにして一体として固着することによって、倒立したT字状の断面形状を備えている。下面フランジプレート部13aのリブプレート部13bを挟んだ両側の上面には、上述のように、走行移動治具14の横行車輪14aが、走行可能に各々載置される。レール支持架台13のリブプレート部13bには、横幅方向Yの両端部から突出して、ボルト締着孔を有する接合凸片部13cが連続して設けられている。接合凸片部13cのボルト締着孔を、例えば鋼製のセグメント20によるセグメントリング32の主桁や補強桁32aの所定の位置に形成された締着孔に合致させて、接合ボルト13dを締着させることによって、レール支持架台13を、セグメントリング32によって覆われたトンネル33の上部内周面に支持させて、好ましくは下面フランジプレート部13aを水平に配置した状態で、着脱可能に強固に固定できるようになっている。
また、本実施形態では、複数のレール支持架台13は、セグメントリング32によって覆われたトンネル33の上部内周面において、トンネル33の軸方向Xに例えば1m程度の間隔をおいて配設されると共に、トンネル33の軸方向Xに連設して設置されるセグメントリング32の各リング毎に、取り付けられていることが好ましい。各々のレール支持架台13が、セグメントリング32によって覆われたトンネル33の上部内周面に着脱可能に固定されていることにより、トンネル33の軸方向Xの最後部に配置されたレール支持架台13を、ホイストレール11が通過した後に前方に移設して、トンネル33の軸方向Xの最前部のレール支持架台13として、転用することが可能になる。
本実施形態のホイストレールの取付け構造10を構成するホイストレール11は、公知のホイストレールと同様に、上面フランジプレート部11aと、リブプレート部11bと、下面フランジプレート部11cとからなり、I形鋼又はH型鋼を用いて形成することができる。ホイストレール11は、後述する走行移動治具14を介してレール支持架台13によって支持されることで、これらのレール支持架台13に対して、トンネル33の軸方向X及び横幅方向Yに移動可能に設置されている。ホイストレール11の下面フランジプレート部11cの上面には、リブプレート部11bを挟んだ両側に、公知のホイスト装置16の走行車輪16aが、各々載置されるようになっている(図4(b)参照)。これによって、セグメント20を吊り上げたホイスト装置16を、駆動モータ16bを駆動させることで、ホイスト装置16を、ホイストレール11に案内させて、当該ホイストレール11に沿ってトンネル33の軸方向Xに走行移動させることができるようになっている。
また、本実施形態では、ホイストレール11は、複数の単位ホイストレール12として、例えば4本の1.5m程度の長さの単位ホイストレール12を、長さ方向に連設させることにより(図1参照)、全体として6m程度の長さを有するように形成されている。連設された単位ホイストレール12は、図5に示すように、これらの連設部分12aにおいて、折曲り可能となっている。すなわち、各々単位ホイストレール12には、例えば図6(a)~(c)に示すように、一方の端部の上下のフランジプレート部11a,11cに弧状凹部12bが形成されていると共に、一方の端部のリブプレート部11bに、雌側回転連結部12cが形成されており、他方の端部の上下のフランジプレート部11a,11cに弧状凸部12dが形成されていると共に、他方の端部のリブプレート部11bに、雄側回転連結部12eが形成されている(図6(a)参照)。一方の端部の雌側回転連結部12cと、他方の端部の雄側回転連結部12eとを重ね合わせ、合致させたピン挿通孔12fにピン部材12gを嵌め込むようにして挿通することによって(図6(b)参照)、複数の単位ホイストレール12を、これらの連設部分12aにおいて、折曲り可能とすることができるようになっている(図6(c)参照)。またこれによって、ホイストレール11を、複数の単位ホイストレール12による多関節レールとして機能させることができるようなっている。なお、ホイストレール11を形成する複数の単位ホイストレール12は、上述の本数や長さに限られず、トンネル曲線部の曲率半径や長さによって適宜変更することができる。
レール支持架台13とホイストレール11との間に介在して設けられる走行移動治具14は、鋼製の治具であって、図4(a)、(b)に示すように、上下に一体として接合された、横行車輪取付け基台部15と、軸方向車輪取付け基台部18とを含んで構成されている。横行車輪取付け基台部15は、平板状の接合プレート部15aと、接合プレート部15aから一体として上方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部15bとを備えており、各々の車軸支持プレート部15bに回転軸を軸支させて、少なくとも一対(本実施形態では二対)の横行車輪14aが、各々の車軸支持プレート部15bの内側に回転可能に取り付けられている。軸方向車輪取付け基台部18は、平板状の接合プレート部18aと、接合プレート部18aから一体として下方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部18bとを備えており、各々の車軸支持プレート部18bに回転軸を軸支させて、少なくとも一対(本実施形態では二対)の軸方向車輪14bが、各々の車軸支持プレート部18bの内側に回転可能に取り付けられている。
走行移動治具14は、横行車輪取付け基台部15の接合プレート部15aと、軸方向車輪取付け基台部18の接合プレート部18aとを、例えば横行車輪14aの回転軸の方向と、軸方向車輪14bの回転軸の方向とを、垂直に立体交差状に交差させた状態で、溶接等により上下に重ね合わせて一体として接合することにより形成される。これによって走行移動治具14は、レール支持架台13とホイストレール11との間に介在して、横行車輪取付け基台部15に設けられた二対の横行車輪14aを、レール支持架台13の下面フランジプレート部13aの上面におけるリブプレート部13bを挟んだ両側の部分に、各々回転可能に載置すると共に、二対の軸方向車輪14bの上に、ホイストレール11の上面フランジプレート部11aの下面におけるリブプレート部11bを挟んだ両側の部分を、これらの軸方向車輪14bが回転可能な状態で各々載置させることによって、ホイストレール11を構成する、連設部分12aにおいて折曲り可能な各々の単位ホイストレール12を、各々レール支持架台13に対して、トンネル33の軸方向Xに移動可能に、且つ横幅方向Yに位置を調整可能に、取り付けることができるようになっている。
さらに、本実施形態では、上述のように、レール支持架台13の下面フランジプレート部13aに設けられた走行移動治具14を挟んだ両側に、走行移動治具14のトンネルの横幅方向Yの移動を規制する、例えばシャコマンからなるストッパー部材17が、規制位置を調整可能な状態で、下面フランジプレート部13aに着脱可能に固定されている。ストッパー部材17は、レール支持架台13の下面フランジプレート部13aにおいて固定される位置を、レール支持架台13が設置される部分に応じて付け替えて変化させることによって、ホイストレール11がトンネルの横幅方向Yに動く際の許容範囲を規制して、例えばホイスト装置16によって吊り上げられたセグメント20が、ホイスト装置16のホイストレール11に沿ったトンネルの軸方向Xへの移動中に、周囲の機器や設備に干渉して影響を与えることになるのを、効果的に回避することが可能になる。
本実施形態のホイストレールの取付け構造10によってトンネル33の坑内に設置されたホイストレール11は、好ましくはチェーン又はワイヤー19(図1参照)を介して、前方から引っ張ることで、シールド掘進機30による掘進に伴って、トンネル33の軸方向Xに移動させることが可能になる。ホイストレール11は、チェーン又はワイヤー19を介して、シールド掘進機30のスキンプレート34等に直接に連結して、シールド掘進機30の前進に追随させて、トンネル33の軸方向Xに移動させることができる他、例えばチェーンブロックやレバーブロック(登録商標)等の引張り用の機材を用いることで、シールド掘進機30の前進とは別個に移動させることもできる。これによって、セグメント20によるセグメントリング32の組み立てを、さらに効率良く行うことが可能になる。
そして、上述の構成を備える本実施形態のホイストレールの取付け構造10によれば、より簡易な構成によって、トンネル33の急曲線部分33aにおいても、セグメント20を吊り上げたホイスト装置16をスムーズに走行移動させることが可能になる。
すなわち、本実施形態のホイストレールの取付け構造10によれば、トンネル33の上部内周面に支持させてトンネル33の横幅方向Yに延設して固定された、複数のレール支持架台13と、少なくとも一対のレール支持架台13に支持させて、トンネル33の軸方向Xに延設して取り付けられたホイストレール11と、レール支持架台13とホイストレール11との間に介在して設けられて、ホイストレール11がトンネル33の軸方向X及び横幅方向Yに移動可能となるようにレール支持架台13に支持させる走行移動治具14とを含んで構成されおり、これによってホイストレール11は、走行移動治具14を介してレール支持架台13に取り付けられるだけの簡易な構成によって、トンネル33の坑内において、横幅方向Yの位置を適宜調整しながらトンネル33の軸方向Xに移動することができるようになるので、トンネル33の急曲線部分33aにおいても、セグメント20を吊り上げたホイスト装置16を、湾曲部分に沿ってスムーズに走行移動させることが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。
10 ホイストレールの取付け構造
11 ホイストレール
11a 上面フランジプレート部
11b リブプレート部
11c 下面フランジプレート部
12 単位ホイストレール
12a 連設部分
12b 弧状凹部
12c 雌側回転連結部
12d 弧状凸部
12e 雄側回転連結部
12f ピン挿通孔
12g ピン部材
13 レール支持架台
13a 下面フランジプレート部
13b リブプレート部
13c 接合凸片部
13d 接合ボルト
14 走行移動治具
14a 横行車輪
14b 軸方向車輪
15 横行車輪取付け基台部
15a 接合プレート部
15b 車軸支持プレート部
16 ホイスト装置
16a 走行車輪
16b 駆動モータ
17 ストッパー部材
18 軸方向車輪取付け基台部
18a 接合プレート部
18b 車軸支持プレート部
19 チェーン又はワイヤー
20 セグメント
30 シールド掘進機
31 搬送用の台車
32 セグメントリング
33 トンネル
33a 急曲線部分
34 スキンプレート
35 排土機構
36 エレクター装置
37 送出し台車
39 ローラーコンベア
X トンネルの軸方向
Y トンネルの横幅方向

Claims (4)

  1. シールド掘進工法において、搬送されてきたセグメントを吊り上げたホイスト装置をトンネルの軸方向に走行移動させるホイストレールを、トンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能に設置するためのホイストレールの取付け構造であって、
    セグメントリングによって覆われたトンネルの上部内周面に支持させて、トンネルの軸方向に間隔をおいて横幅方向に延設して固定された、下面フランジプレート部を有する複数のレール支持架台と、少なくとも一対の前記レール支持架台に支持させて、トンネルの軸方向に延設して取り付けられたI形鋼又はH型鋼による前記ホイストレールと、前記レール支持架台と前記ホイストレールとの間に介在して設けられて、前記ホイストレールがトンネルの軸方向及び横幅方向に移動可能となるように前記レール支持架台に支持させる走行移動治具とを含んで構成されており、
    前記ホイストレールは、複数の単位ホイストレールを、長さ方向に連設することによって構成され、これらの単位ホイストレールの連設部分において折曲り可能となっており、
    各々の前記単位ホイストレールには、一方の端部の上下のフランジプレート部に弧状凹部が形成されていると共に、一方の端部のリブプレート部に、雌側回転連結部が形成されており、他方の端部の上下のフランジプレート部に弧状凸部が形成されていると共に、他方の端部のリブプレート部に、雄側回転連結部が形成されており、
    一方の端部の前記雌側回転連結部と、他方の端部の前記雄側回転連結部とを重ね合わせ、合致させたピン挿通孔にピン部材を嵌め込むようにして挿通することによって、複数の前記単位ホイストレールが、これらの連設部分において、折曲り可能となっており、
    前記走行移動治具は、前記レール支持架台の下面フランジ部の上面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分に載置される、少なくとも一対の横行車輪と、前記ホイストレールの上面フランジプレート部の下面におけるリブプレート部を挟んだ両側の部分を載置させる、少なくとも一対の軸方向車輪とを含んで構成されており、
    前記走行移動治具は、上下に一体として接合された、横行車輪取付け基台部と、軸方向車輪取付け基台部とを含んで構成されており、
    前記横行車輪取付け基台部は、平板状の接合プレート部と、該接合プレート部から一体として上方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部とを備えており、各々の車軸支持プレート部に回転軸を軸支させて、少なくとも一対の前記横行車輪が、各々の車軸支持プレート部の内側に回転可能に取り付けられており、
    前記軸方向車輪取付け基台部は、平板状の接合プレート部と、接合プレート部から一体として下方に立設する、対向して配置された一対の車軸支持プレート部とを備えており、各々の車軸支持プレート部に回転軸を軸支させて、少なくとも一対の前記軸方向車輪が、各々の車軸支持プレート部の内側に回転可能に取り付けられており、
    前記走行移動治具は、前記横行車輪取付け基台部の接合プレート部と、前記軸方向車輪取付け基台部の接合プレート部とを、前記横行車輪の回転軸の方向及び前記軸方向車輪の回転軸の方向を垂直に立体交差状に交差させた状態で、溶接等により上下に重ね合わせて一体として接合することにより形成されているホイストレールの取付け構造。
  2. 前記レール支持架台の下面フランジプレート部に設けられた前記走行移動治具を挟んだ両側に、前記走行移動治具のトンネルの横幅方向の移動を規制するストッパー部材が、規制位置を調整可能な状態で、前記下面フランジプレート部に着脱可能に固定されている請求項1記載のホイストレールの取付け構造。
  3. 請求項1又は2に記載のホイストレールの取付け構造による施工方法であって、
    トンネルの軸方向の最後部に配置されたレール支持架台を、前記ホイストレールが通過した後に前方に移設して、トンネルの軸方向の最前部のレール支持架台として転用するようになっているホイストレールの取付け構造による施工方法
  4. 請求項1又は2に記載のホイストレールの取付け構造による施工方法であって、前記ホイストレールを、チェーン又はワイヤーを介して前方から引っ張ることで、トンネルの軸方向に移動可させるホイストレールの取付け構造による施工方法
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