JP3579749B2 - エラストマーブレンド組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、力学的性質に優れたエラストマーブレンド組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、エラストマーブレンドは、異種エラストマーの欠点を相補する目的で多用されている。特に、非ジエン系エラストマーとジエン系エラストマーのブレンドは、前者の耐候性、耐オゾン性及び耐熱老化性と後者の力学的性質、エラストマー的性質及びコストパフォーマンスを共に活かす手法として注目されている。しかしながら、一般に非ジエン系エラストマーとジエン系エラストマーの相溶性は悪く、また、架橋剤の両者に対する溶解性が異なるため、エラストマーブレンドに際しては凝集したジエン系ポリマーのみが主に架橋し、目的とする物性を発現することが極めて困難であった。特に、非ジエン系エラストマーの中で最も容易に入手可能なエチレン/プロピレンゴム(EPR)を用いた場合、この現象は顕著になり、物性低下が避けられない課題であった。
【0003】
現在、EPRはバナジウム系触媒あるいはチタン系触媒を使用して工業的に生産されている。そして、ここ数年メタロセン系触媒を使用したEPRの製造法が示されている。例えば、特開昭62−121711号公報には、メタロセン化合物とアルミノキサンからなる触媒を使用し、分子量分布及び組成分布が狭く、かつ透明性、非粘着性及び力学物性に優れたEPRの製造方法が例示されている。また、特開平2−64115号公報には、メタロセン化合物とアルミノキサンからなる触媒を使用し、高分子量EPRを製造する方法が記載されている。しかしながら、このように製造されたEPRでもジエン系エラストマーとの相溶性、架橋剤の溶解性は改善されておらず、前記と同様の問題は避けられていない。
【0004】
一方、エチレン/スチレン共重合体のようなエチレンと芳香族ビニル化合物の共重合体は古くから知られている。例えば、特開昭48−8385号公報、特開昭58−11511号公報、Polymer Bulletin,20,237(1988)等にチーグラー・ナッタ触媒によるエチレン/スチレン共重合体の製法が例示されている。また、プロピレン/スチレン共重合体の製法に関しては、特開昭60−26011号公報、特開平2−206602号公報、特開平4−318006号公報等に示されている。これらの方法では、満足される重合活性を得ることはできなかった。
【0005】
また、新しいオレフィン重合触媒によるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体が、次の一連の先行文献に提案されている。すなわち、特開平3−250007号公報には、特定の遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒系を用いて、アイソタクチック構造を有するエチレンとスチレンの交互共重合体を製造する方法が示されている。また、特開平3−163088号公報には、拘束幾何形状錯体とアルミノキサンからなる触媒を使用し、エチレン/α−オレフィン/スチレン共重合体を高活性で製造する方法が示されている。同様に、特開平5−194641号公報には、拘束幾何形状錯体とルイス酸を接触させてなる触媒を用いてエチレン/プロピレン/スチレン共重合体の合成が例示されている。さらに、特開平6−49132号公報には、特定の遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒を用いて、エチレン/スチレン共重合体を製造する方法が示されている。
【0006】
以上述べたように、現在までにエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体の製造方法とそのポリマー構造については報告されているものの、さらに非共役ジエンからなるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に関する報告及びそれをエラストマーブレンド組成物へ応用した例はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、力学的性質に優れたエラストマーブレンド組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体とエラストマーとの混合物を架橋してなるエラストマーブレンド組成物に関するものである。
【0009】
以下に、その詳細について説明する。
【0010】
本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられるα−オレフィンは炭素数3以上のものであり、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコデセン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。なかでも入手の容易さからプロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましい。
【0011】
また、本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0012】
さらに、本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられる非共役ジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエン、1,6−シクロオクタジエン、2−エチレン−2,5−ノルボナジエン、2−イソプロペニル−2,5−ノルボナジエン、ジシクロペンタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、トリシクロペンタジエン及びジハイドロジシクロペンタジエニルオキシエチレンとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸とのエステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。そして、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0013】
本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体は、以下のような組成及び特性を有する。
【0014】
(1)エチレンとα−オレフィンのモル比は30/70〜90/10の範囲にあることが好ましく、特に45/55〜85/15の範囲にあることが得られるエラストマーブレンドの柔軟性及び耐寒性向上の観点から好ましい。
【0015】
(2)芳香族ビニル化合物の含量が0.01〜30モル%の範囲にあることが好ましく、特に0.1〜15モル%の範囲にあることが得られるエラストマーブレンドの低温特性、架橋剤との親和性及び重合活性等の点で好ましい。
【0016】
(3)非共役ジエンの含量が0.1〜30モル%の範囲にあることが好ましく、特に0.1〜10モル%の範囲にあることが得られるエラストマーブレンドの低温特性及び架橋性等の点で好ましい。非共役ジエンの含量はヨウ素価で表すことも可能である。ヨウ素価は公知の方法によって測定可能である(例えば”ゴム試験法”p.657、日本ゴム協会編、(1963))。
【0017】
本発明において用いられるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した数平均分子量が、ポリエチレン換算で10000〜1000000であることが好ましく、さらに好ましくは10000〜600000である。この範囲のものは特に引張強さ、流動性、加工性に優れている。
【0018】
上述のエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の製造方法は特に限定されず、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン系の触媒等種々の触媒を用いて製造することができる。なかでも、共重合性に優れたメタロセン触媒を用い製造することが好ましい。この方法により高活性で、分子量分布及び組成分布の狭い共重合体を得ることが可能である。
【0019】
本発明ではエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体とエラストマーをブレンドすることを特徴とするが、このとき用いられるエラストマーは特に限定を受けない。例えば、エチレン/プロピレンゴム、ブチルゴム、アクリル酸エステル共重合体ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルフォン化ポリエチレン、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン/ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等に代表されるエラストマー等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上が目的に応じて使用される。
【0020】
特に、ジエン系エラストマー(架橋成分としてジエンを共重合させたエチレン/プロピレンゴム、ブチルゴム及びアクリル酸エステル共重合体ゴム等も含む)とブレンドした場合、ジエン系エラストマーの欠点であった耐熱性、耐候性、耐オゾン性等が改良されるため好んで使用される。また、さらにSBR、天然ゴム、イソプレンゴム、NBR及びCR等の主鎖骨格にジエンを有するエラストマーは耐オゾン性の改良効果が著しいため好んで用いられる。
【0021】
エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体とブレンドされるエラストマーの総量は、エラストマーブレンドにより期待される効果、例えば、引張強さの向上、耐摩耗性の向上等の効果を考え、エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体100重量部に対して10重量部〜1000重量部、さらには20重量部〜500重量部とすることが望ましい。
【0022】
本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、エラストマーとの相溶性に優れるため、エラストマーブレンドに適している。これは異種エラストマー間の溶解度パラメーターが近くなることによって理解ができる。一般に、ポリマーと異種化合物との相溶性は溶解度パラメーターの差によって整理でき、小さいほど良好な相溶性を示す。例えば、EPRの溶解度パラメーターは7.95(cal1/2cc−3/2)であるのに対してNRは8.10、SBRは8.33、BRは8.44、CRは8.85(”ポリマーブレンド−相溶性と界面−”秋山、井上、西共著、CMC(1987)による)であり、溶解度パラメーターに大きな差がある。ところが本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は溶解度パラメーターが大きく、エラストマーとの相溶性が良好になる。また、代表的な架橋剤である硫黄は溶解度パラメーターが14.55と大きく、有機過酸化物架橋剤も同様に大きな値を示し、EPRとは溶解度パラメーターに大きな差が生じる。そのためEPRとの相溶性が低下し、架橋剤がブレンドした異種エラストマー中へ拡散し、その結果、EPRの生ゴム残りの問題、共架橋性の低下が生じた。しかしながら、エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重体を用いると、前記と同様の理由でこうした問題も回避することができる。
【0023】
このように本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、エラストマーブレンドに際し架橋体となる。
【0024】
ここで用いられる有機過酸化物架橋体としては、t−ブチルパーオキサイド、ジ(t−ブチル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ (t−ブチル)パーオキシヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン等が挙げられ、これらは単独で又は混合して使用される。また、硫黄と併用して用いることも可能である。
【0025】
この架橋剤の添加量は、本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体100重量部あたり0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では架橋が十分に進行しないおそれがあり、10重量部を越えると臭気が残ることがある。
【0026】
また、本発明において架橋促進剤を併用すると架橋速度が向上するため、架橋促進剤は好ましくは併用される。さらに、本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、架橋促進剤との相溶性も良好であるため、その効果は特に顕著になる。
【0027】
架橋促進剤としてはN,N−ジフェニルグアニジン、N,N−ジ(o−トリル)グアニジン、N,N−o−トリルグアニジン等のようなグアニジン誘導体;N,N−ジブチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素、2−メルカプトイミダゾリン、トリメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素等のようなチオ尿素;ジブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛等のようなキサントゲン酸塩;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸テリリウム、ピペリジニウムペンタメチレンジチオカルバメート、ピペコリンピペリジメチルジチオカルバメート、ジメチルジチオカルバミン酸鉄等のようなジチオカルバミン酸塩;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドアニリン等のようなアルデヒドアンモニア系化合物;メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール等のようなチアゾール系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のようなチウラムスルフィド;メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛等のようなチアゾール系化合物;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミド等のようなスルフェンアミド化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの架橋促進剤は単一でも、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0028】
架橋促進剤を用いる場合は、その使用量はエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体100重量部当たり10重量部以下であり、好ましくは5重量部以下である。10重量部を超えると得られるエラストマーブレンドの物性が低下するおそれがある。
【0029】
また、架橋の際に亜鉛華、活性亜鉛華、表面処理亜鉛華、炭酸亜鉛、リサージ及び酸化マグネシウム等に代表される架橋促進助剤及び分散剤を併用することも可能である。
【0030】
さらに、本発明において共架橋剤を使用すると架橋効果が向上するので有効である。
【0031】
共架橋剤としては、例えば、P・キノンジオキシム、P・Pジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N’−4−ジニトロソアニリン、ジニトロソベンゼン、ラウリルメタアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、アリールメタアクリレート、マレイミド、フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニルベンゼン、ジアリールメラミン、ジフェニルグアニジン、ジビニルアジペート、ビニールトルエン、1,2−ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、メルカプトベンゾチアゾール、硫黄等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上が必要に応じて使用される。
【0032】
また、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、ニトロソ化合物に代表されるスコーチ防止剤、クマロン樹脂、テルペン樹脂、石油系炭化水素化合物、ロジン誘導体に代表される粘着付与剤、パラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤、アロマ系軟化剤、アスファルト、ワセリン、オゾケライト等に代表される軟化剤等を必要に応じて添加することが可能である。
【0033】
さらに、必要に応じて炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、セリサナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、アタパルジャイト、ウォラストナイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、カーボンブラック、石膏、石英等の無機充填剤や補強剤、さらには有機又は無機顔料を配合することもできる。また、離型剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、滑剤、耐熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、耐候性安定剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、防黴剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0034】
本発明のエラストマーブレンドの製造方法は特に限定を受けず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー等のバッチ式混練機や押出機、ローター型連続混練機等の連続混練機等で混練したのち、射出、カレンダー、圧縮、ブロー、発泡及びトランスファー成形等任意の成形法で成形し、架橋して得られる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例をあげて本発明を説明するが、これらは例示的なものであって、限定的なものではない。実施例中の各種測定は下記の方法により行った。
【0036】
<エチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体中のプロピレン、スチレン及び5−エチリデン−2−ノルボルネン含量の測定>
1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とし、400MHz、1H−NMRスペクトル(日本電子(株)製 JNM GX400)測定により算出した。
【0037】
<分子量、分子量分布の測定>
溶媒にo−ジクロロベンゼンを用いて、140℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ミリポア(株)製 150C型GPC)を用いてポリエチレン換算で求めた。
【0038】
参考例1 エチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体の合成例
5 lのオートクレーブにトルエン2100ml及びスチレン450ml、5−エチリデン−2−ノルボルネン 45ml、プロピレン240mlを加え、撹拌しながら内温を80℃まで上昇させた。この時の内圧は4kg/cm2であり、ここにエチレンを導入し、全圧を12kg/cm2まで上昇させた。次に、別の反応容器にトルエン10ml、メチルアルミノキサン20mmol、公知の方法にて合成した(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン 10μmolを加え、この混合溶液を20分間撹拌した後、オートクレーブに導入し、重合を開始した。この重合は、エチレンを連続的に導入することで全圧を16kg/cm2に保ち、85℃で30分間行った。
【0039】
重合終了後、多量のエタノールによりポリマーを洗浄し、80℃で8時間減圧乾燥を行った。その結果、5−エチリデン−2−ノルボルネン含量1.6mol%、スチレン含量4.4mol%、プロピレン含量39.2mol%のエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2ノルボルネン共重合体を48g得た。この共重合体は重量平均分子量118000、Mw/Mn=1.8であった。
【0040】
また、公知の方法によってムーニー粘度を求めたところ、ML1+4(100℃)60であった。
【0041】
【実施例】
実施例1
内容積120cc、設定温度50℃のインターナルミキサー((株)東洋精機製作所製、ラボプラストミル)にHAFカーボン(三菱化学(株)製、ダイヤブラックH)30g、ステアリン酸0.6g、亜鉛華(堺化学工業(株)製、3号)1.8gを投入し、1分間混練した。
【0042】
【表1】
【0043】
その後、表1に示す配合に従い、参考例1で得られたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体とスチレン/ブタジエン共重合体エラストマー(SBR:日本合成ゴム(株)製、JSR1502、結合スチレン量23.5wt%、ML1+4(100℃)52)とを所定の比率で合計60g投入し、5分間混練した。混練終了後、表面温度を50℃に設定した8インチロール成形機に投入し、硫黄0.9g、架橋促進剤N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾル−スルフェンアミドを1.2g添加し、さらに5分間混練した。得られたロールシートを150℃に設定した圧縮成形機にて30分間100kg/cm2の圧力下で架橋した。得られた1mm厚の架橋シートを、JIS
K 6301に準拠し、JIS K 6301 3号ダンベル形状に打ち抜き、引張速度500mm/分で引張試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0044】
エラストマーブレンド組成物の性能評価は、ブレンド組成物の力学的性質がこれを構成する成分単独の力学的性質を加性則によって予想した値からの逸脱度で評価されることが一般的である。ここでは引張強さにより評価した。表1の低下量とは、引張強さの加性則からの逸脱量を表したもので次式で示す。
【0045】
低下量 = 〔xSc+(1−x)Se〕 − Sb
Sb:ブレンド組成物の引張強さ(MPa)
Sc:共重合体(ここでは参考例1)の引張強さ(MPa)
Se:エラストマー(ここではSBR)の引張強さ(MPa)
x :共重合体(ここでは参考例1)の重量分率
比較例1
実施例1においてエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のかわりに、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー(日本合成ゴム(株)製、JSREP24、5−エチリデン−2−ノルボルネン含量:1.5mol%、ML1+4(100℃)65)を用いた以外は実施例1と同様の方法で試験を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
内容積120cc、設定温度50℃のインターナルミキサー((株)東洋精機製作所製、ラボプラストミル)にHAFカーボン23.6g、ステアリン酸0.5g、亜鉛華2.4g、ナフテンオイル(日本サン石油製、サンセン4240)14.2gを投入し、1分間混練した。
【0047】
【表2】
【0048】
その後、表2に示す配合に従い、参考例1で得られたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体とあらかじめ素練りを行ってムーニー粘度を65ML1+4(100℃)に調整した天然ゴム(RSS#3)とを、所定の比率で合計47.3g投入し、5分間混練した。混練終了後、表面温度を50℃に設定した8インチロール成形機に投入し、硫黄1.4g、架橋促進剤N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾル−スルフェンアミドを0.6g添加し、さらに5分間混練した。得られたロールシートを150℃に設定した圧縮成形機にて30分間100kg/cm2の圧力下で架橋した。得られた1mm厚の架橋シートを実施例1と同様の方法で引張試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0049】
比較例2
実施例2においてエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のかわりに、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー(JSREP24)を用いた以外は同様の方法で試験を行った。その結果を表2に示す。
【0050】
実施例3
内容積120cc、設定温度50℃のインターナルミキサー((株)東洋精機製作所製、ラボプラストミル)にHAFカーボン25.6g、ステアリン酸0.5g、亜鉛華2.6g、ナフテンオイル5.1gを投入し、1分間混練した。
【0051】
【表3】
【0052】
その後、表3に示す配合に従い、参考例1で得られたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体とクロロプレンゴム(東ソー(株)製、スカイプレンB−30、ML1+4(100℃)48)とを、所定の比率で合計51.1g投入し、5分間混練した。混練終了後、表面温度を50℃に設定した8インチロール成形機に投入し、硫黄0.8g、架橋促進剤エチレンチオウレアを0.5g、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛を1.0g、テトラメチルチウラムジスルフィドを0.3g、2−メルカプトベンゾチアゾールを0.5g添加し、さらに5分間混練した。得られたロールシートを150℃に設定した圧縮成形機にて30分間100kg/cm2の圧力下で架橋した。得られた1mm厚の架橋シートを実施例1と同様の方法で引張試験を実施した。その結果を表3に示す。
【0053】
比較例3
実施例3においてエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のかわりに、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体エラストマー(JSREP24)を用いた以外は同様の方法で試験を行った。その結果を表3に示す。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体とエラストマーとの混合物を架橋してなるエラストマーブレンド組成物は、従来のエチレン/α−オレフィン共重合体ゴムとのブレンド物と比較して物性低下が小さく、力学的性質に優れた架橋ゴムである。
Claims (3)
- エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体とエラストマーとの混合物を架橋してなるエラストマーブレンド組成物。
- エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体のエチレンとα−オレフィンとのモル比が30/70〜90/10、芳香族ビニル化合物含量が0.01〜30モル%、非共役ジエン含量が0.1〜30モル%であることを特徴とする請求項1に記載のエラストマーブレンド組成物。
- エラストマーがジエン系エラストマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエラストマーブレンド組成物。
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