JP3915761B2 - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、力学特性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
従来、熱可塑性樹脂と未架橋のゴムをブレンドし、溶融混練を行いながらゴムの架橋を行って得られる熱可塑性エラストマーは、室温における物性がエラストマー的でありながら熱可塑性を示すため、加硫ゴム代替を主用途として大きく需要を伸ばしている。このような熱可塑性エラストマー材料として、エチレン/プロピレン系ゴム(EPR)からなるものが知られている。しかしながら、上記熱可塑性エラストマーは力学特性に劣り、用途が限定されているのが現状である。また、生産性向上の観点から、さらに架橋速度の向上が望まれていた。
現在、EPRはバナジウム系触媒あるいはチタン系触媒を使用して工業的に生産されている。そして、ここ数年メタロセン系触媒を使用したEPRの製造法が示されている。メタロセン化合物とアルミノキサンからなる触媒を使用し、分子量分布および組成分布が狭く、かつ透明性、非粘着性および力学物性に優れたEPRの製造方法が例示されている(例えば特許文献1参照。)。また、メタロセン化合物とアルミノキサンからなる触媒を使用し、高分子量EPRを製造する方法が記載されている(例えば特許文献2参照。)。しかしながら、このように製造されたEPRであっても架橋速度は遅く、前記と同様の問題は避けられていない。
一方、エチレン/スチレン共重合体のようなエチレンと芳香族ビニル化合物の共重合体は古くから知られている。チーグラー・ナッタ触媒によるエチレン/スチレン共重合体の製法が例示されている(例えば特許文献3、4、非特許文献1参照。)。また、プロピレン/スチレン共重合体の製法に関しても示されている(例えば特許文献5〜7参照。)。これらの方法では、満足される重合活性を得ることはできなかった。
また、新しいオレフィン重合触媒によるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体が、次の一連の先行文献に提案されている。すなわち、特定の遷移金属化合物とアルミノキサンからなる触媒系を用いて、アイソタクチック構造を有するエチレンとスチレンの交互共重合体を製造する方法が示されている(例えば特許文献8参照。)。また、拘束幾何形状錯体とアルミノキサンからなる触媒を使用し、エチレン/α−オレフィン/スチレン共重合体を高活性で製造する方法が示されている(例えば特許文献9参照。)。同様に、拘束幾何形状錯体とルイス酸を接触させてなる触媒を用いて、エチレン/プロピレン/スチレン共重合体の合成が例示されている(例えば特許文献10参照。)。さらに、特定の遷移金属化合物とアルモキサンからなる触媒を用いて、エチレン/スチレン共重合体を製造する方法が示されている(例えば特許文献11参照。)。
以上述べたように、現在までにエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物共重合体の製造方法とそのポリマー構造については報告されているものの、さらに非共役ジエンを用いたエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に関する報告およびそれを熱可塑性エラストマーへ応用した例はない。
本発明は、熱可塑性エラストマーの架橋速度を改良し、力学特性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供するものである。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂とエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体架橋物からなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関するものである。以下に、その詳細について説明する。
本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられるα−オレフィンは炭素数3以上のものであり、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコデセン等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。なかでも入手の容易さからプロピレン、1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が好ましい。
また、本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられる芳香族ビニル化合物としてはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
さらに、本発明で使用するエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体に用いられる非共役ジエンとしては1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエン、1,6−シクロオクタジエン、2−エチレン−2,5−ノルボナジエン、2−イソプロペニル−2,5−ノルボナジエン、ジシクロペンタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、トリシクロペンタジエンおよびジハイドロジシクロペンタジエニルオキシエチレンとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸とのエステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。そして、これらの1種もしくは2種以上が用いられる。
本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、以下のような組成および特性を有する。
(1)エチレンとα−オレフィンのモル比は30/70〜90/10の範囲にあることが好ましく、特に45/55〜85/15の範囲にあることが得られる熱可塑性エラストマーのゴム的性能および耐寒性向上の観点から好ましい。
(2)芳香族ビニル化合物の含量が0.01〜30モル%の範囲にあることが好ましく、特に0.1〜15モル%の範囲にあることが得られる熱可塑性エラストマーの低温特性、架橋剤との親和性および重合活性等の点で好ましい。
(3)非共役ジエンの含量が0.1〜30モル%の範囲にあることが好ましく、特に0.1〜10モル%の範囲にあることが得られる熱可塑性エラストマーの低温特性および架橋速度等の点で好ましい。非共役ジエン含量はヨウ素価で表すことも可能である。ヨウ素価は公知の方法によって測定可能である(例えば”ゴム試験法”p.657、日本ゴム協会編、(1963))。
本発明において用いられるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の分子量は特に制限されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した数平均分子量がポリエチレン換算で10000〜1000000であることが好ましく、さらに好ましくは10000〜600000である。この範囲のものは特にゴム性能、流動性、加工性に優れている。
上述のエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の製造方法は特に限定されず、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン系の触媒など種々の触媒を用いて製造することができる。なかでも、共重合性に優れたメタロセン触媒を用い製造することが好ましい。この方法により高活性で、分子量分布および組成分布の狭い共重合体を得ることが可能である。
本発明に用いる熱可塑性樹脂は特に限定を受けないが、得られる熱可塑性エラストマーの物性、加工性等の向上の観点から結晶性の樹脂が好ましく用いられ、このような樹脂として、例えばポリプロピレン、エチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1系共重合体、シンジオタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリブテン、ポリアミド樹脂などが挙げられ、さらに、これらのうち耐熱性、加工性等の観点からポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。
エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の添加量は、得られる熱可塑性エラストマーの硬度と成形加工性のバランスを考え、熱可塑性樹脂100重量部に対して60重量部以上1000重量部以下、さらには100重量部以上800重量部以下とすることが望ましい。
本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、架橋剤を適宜選択することによって架橋速度が向上する。具体的には架橋剤の分散性が向上し、その結果、圧縮永久歪特性に代表されるゴム物性の向上、さらには架橋時間の短縮という利点を有する。これはポリマーと架橋剤との溶解度パラメーターが近くなることによって理解ができる。一般に、ポリマーと異種化合物との相溶性は溶解度パラメーターの差によって整理でき、小さいほど良好な相溶性を示す。例えば、代表的な架橋剤である硫黄は溶解度パラメーターが14.55cal1/2cc−3/2であり、一般的なエチレン/プロピレン系共重合体の値(7.95cal1/2cc−3/2)とは大きく異なる。ところが、本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は溶解度パラメーターが大きく、硫黄との相溶性が良好になる。このように本発明に用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、硫黄架橋を施す場合に架橋時間が短縮可能であり、有機過酸化物架橋によっても上述と同様の現象が生じ、架橋時間が短縮できる。
ここで用いられる有機過酸化物架橋剤としては、t−ブチルパーオキサイド、ジ(t−ブチル)パーオキサイド,t−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クメンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチル)パーオキシヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン等が挙げられ、これらは単独でまたは混合して使用される。また、硫黄と併用して用いることも可能である。
この架橋剤の添加量は、本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体100重量部あたり0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満では架橋が十分に進行しないおそれがあり、10重量部を越えると臭気が残ることがある。
また、本発明において架橋促進剤を併用すると架橋速度が向上するため、架橋促進剤が好ましくは併用される。さらに、本発明で用いるエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体は、架橋促進剤との相溶性も良好であるため、その効果は特に顕著になる。
架橋促進剤としてはN,N−ジフェニルグアニジン、N,N−ジ(o−トリル)グアニジン、N,N−o−トリルグアニジンなどのようなグアニジン誘導体;N,N−ジブチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素、2−メルカプトイミダゾリン、トリメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素などのようなチオ尿素;ジブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛などのようなキサントゲン酸塩;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸テリリウム、ピペリジニウムペンタメチレンジチオカルバメート、ピペコリンピペリジメチルジチオカルバメート、ジメチルジチオカルバミン酸鉄などのようなジチオカルバミン酸塩;ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアニリン、ブチルアルデヒドアニリンなどのようなアルデヒドアンモニア系化合物;メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾチアゾールナトリウム塩、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛などのようなチアゾール系化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラエチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのようなチウラムスルフィド;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチルベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのようなスルフェンアミド化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの架橋促進剤は単一でも、2種以上を組み合わせて用いても良い。
架橋促進剤を用いる場合は、その使用量はエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体100重量部当たり10重量部以下であり、好ましくは5重量部以下である。10重量部を超えると得られる熱可塑性エラストマーの物性が低下するおそれがある。
また、架橋の際に亜鉛華、活性亜鉛華、表面処理亜鉛華、炭酸亜鉛、リサージおよび酸化マグネシウムなどに代表される架橋促進助剤および分散剤を併用することも可能である。
さらに、本発明において共架橋剤を使用すると架橋効果が向上するので有効である。
共架橋剤としては、例えばP・キノンジオキシム、P・Pジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N’−4−ジニトロソアニリン、ジニトロソベンゼン、ラウリルメタアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ジアリールフマレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、アリールメタアクリレート、マレイミド、フェニルマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、イタコン酸、ジビニルベンゼン、ジアリールメラミン、ジフェニルグアニジン、ジビニルアジペート、ビニールトルエン、1,2−ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、メルカプトベンゾチアゾール、硫黄等が挙げられ、これらのうち1種もしくは2種以上が必要に応じて使用される。
また、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、ニトロソ化合物に代表されるスコーチ防止剤、クマロン樹脂、テルペン樹脂、石油系炭化水素化合物、ロジン誘導体に代表される粘着付与剤、パラフィン系軟化剤、ナフテン系軟化剤、アロマ系軟化剤、アスファルト、ワセリン、オゾケライト等に代表される軟化剤などを必要に応じて添加することが可能である。
さらに、必要に応じて炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフェライト、ベントナイト、セリサナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、アタパルジャイト、ウォラストナイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、カーボンブラック、石膏、石英などの無機充填剤や補強剤、さらには有機,無機顔料を配合することもできる。また、離型剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、帯電防止剤、滑剤、耐熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、耐候性安定剤、発泡剤、消泡剤、防錆剤、防黴剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、結晶核剤、透明化剤等を必要に応じて添加しても良い。
さらに、本発明の熱可塑性エラストマーを他の樹脂と混合して用いても構わない。この場合、第3成分として相溶化剤を添加することも可能である。特に、加工性を向上する目的で低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどは好ましく使用される。
本発明の熱可塑性エラストマーの製造方法は特に限定を受けないが、力学特性向上の観点から、熱可塑性樹脂とエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体を溶融混練し、剪断を与えながら、硫黄および/または有機過酸化物を用いてエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体を架橋させる方法が好ましい。このとき用いる製造機は特に限定されないが、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどのバッチ式混練機やスクリュー押出機、ローター型連続混練機などの連続混練機などで溶融混練およびゴム成分の架橋が行われる。混練機内の温度は120〜280℃、滞留時間は1〜30分の範囲が好ましい。ただし、温度は使用する熱可塑性樹脂の融点以上でなければならない。製造した熱可塑性エラストマーは、混練機から取り出した後、必要に応じてシートペレタイズ機、押出機などによってペレットとし、最終的に押出、射出、カレンダー、圧縮、ブロー、発泡およびトランスファー成形など任意の成形法で成形できる。
以上述べたように、本発明のエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体架橋物と熱可塑性樹脂からなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物は、力学特性に優れるとともに、従来のエチレン/α−オレフィン共重合体と比較して架橋に要する時間が短く、生産性に優れた熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、これらは例示的なものであって、限定的なものではない。実施例中の各種測定は下記の方法により行った。
(エチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体中のプロピレン、スチレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネン含量の測定)
1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とし、400MHz、1H−NMRスペクトル(日本電子(株)製 JNM GX400)測定により算出した。
1,1,2,2−テトラクロロエタンを溶媒とし、400MHz、1H−NMRスペクトル(日本電子(株)製 JNM GX400)測定により算出した。
(分子量、分子量分布の測定)
溶媒にo−ジクロロベンゼンを用いて、140℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ミリポア(株)製 150C型GPC)を用いてポリエチレン換算で求めた。
溶媒にo−ジクロロベンゼンを用いて、140℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ミリポア(株)製 150C型GPC)を用いてポリエチレン換算で求めた。
エチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体の合成例
5lのオートクレーブにトルエン2400mlおよびスチレン150ml、5−エチリデン−2−ノルボルネン45ml、プロピレン250mlを加え、撹拌しながら内温を80℃まで上昇させた。この時の内圧は4kg/cm2であり、ここにエチレンを導入し、全圧を16kg/cm2まで上昇させた。次に、別の反応容器にトルエン10ml、メチルアルミノキサン15mmol、公知の方法にて合成した(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン15μmolを加え、この混合溶液を20分間撹拌した後、オートクレーブに導入し、重合を開始した。この重合は、エチレンを連続的に導入することで全圧を16kg/cm2に保ち、80℃で40分間行った。
5lのオートクレーブにトルエン2400mlおよびスチレン150ml、5−エチリデン−2−ノルボルネン45ml、プロピレン250mlを加え、撹拌しながら内温を80℃まで上昇させた。この時の内圧は4kg/cm2であり、ここにエチレンを導入し、全圧を16kg/cm2まで上昇させた。次に、別の反応容器にトルエン10ml、メチルアルミノキサン15mmol、公知の方法にて合成した(ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シラン)ジクロライドチタン15μmolを加え、この混合溶液を20分間撹拌した後、オートクレーブに導入し、重合を開始した。この重合は、エチレンを連続的に導入することで全圧を16kg/cm2に保ち、80℃で40分間行った。
重合終了後、多量のエタノールによりポリマーを洗浄し、100℃で8時間減圧乾燥を行った。その結果、5−エチリデン−2−ノルボルネン含量0.6mol%、スチレン含量1mol%、プロピレン含量31mol%のエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体を42g得た。この共重合体は、数平均分子量50000、Mw/Mn=2.2であった。
また、公知の方法によってヨウ素価とムーニー粘度を求めたところ、ヨウ素価8.8mg/g、ML1+4(100℃)59であった。
実施例1
合成例で得られたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体40g、ナフテンオイル40g、亜鉛華2g、ステアリン酸0.4gを内容積100cc、設定温度50℃、回転数70rpm.のインターナルミキサー(ラボプラストミル、東洋精機製作所製)で5分混練し、コンパウンドを得た。コンパウンドを表面温度50℃に設定した8インチロール混練機にて混練し、架橋剤(パーヘキサ25B−40,日本油脂(株)製)2g、ジビニルベンゼン0.6gを添加した。
合成例で得られたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体40g、ナフテンオイル40g、亜鉛華2g、ステアリン酸0.4gを内容積100cc、設定温度50℃、回転数70rpm.のインターナルミキサー(ラボプラストミル、東洋精機製作所製)で5分混練し、コンパウンドを得た。コンパウンドを表面温度50℃に設定した8インチロール混練機にて混練し、架橋剤(パーヘキサ25B−40,日本油脂(株)製)2g、ジビニルベンゼン0.6gを添加した。
架橋剤が添加されたコンパウンドをポリプロピレン(東ソーポリプロJ5100A、東ソー(株)製)15gと共に内容積100cc、設定温度50℃、回転数70rpm.のインターナルミキサーに投入し、混練を行い、トルク変化を記録した。
実施例2
実施例1において超低密度ポリエチレン(LUMITAC12−1、東ソー(株)製)5gをポリプロピレンと共に添加した以外は同様の手法で製造を行った。
実施例1において超低密度ポリエチレン(LUMITAC12−1、東ソー(株)製)5gをポリプロピレンと共に添加した以外は同様の手法で製造を行った。
比較例1
実施例1において用いたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のかわりにエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(JSREP93,日本合成ゴム(株)製、ヨウ素価9.5mg/g、ML1+4(100℃)54)を用いた以外は同様の手法で製造した。
実施例1において用いたエチレン/プロピレン/スチレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体のかわりにエチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(JSREP93,日本合成ゴム(株)製、ヨウ素価9.5mg/g、ML1+4(100℃)54)を用いた以外は同様の手法で製造した。
比較例2
比較例1において超低密度ポリエチレン(LUMITAC12−1、東ソー(株)製)5gをポリプロピレンと共に添加した以外は同様の手法で製造を行った。
比較例1において超低密度ポリエチレン(LUMITAC12−1、東ソー(株)製)5gをポリプロピレンと共に添加した以外は同様の手法で製造を行った。
以上の製造時におけるトルク挙動によって製造時間を見積もった。結果を表1に記す。
(製造時間の見積り)
動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造に要する時間の目安として混練時のトルク挙動を評価した。トルクは混練開始と共に一旦低下した後、再び上昇し、ピークを迎えた後、再び低下し平衡値を迎える。このときトルクがピーク値を迎えるまでに要した時間をTmとし、製造に要する時間の目安とした。
動的架橋型熱可塑性エラストマーの製造に要する時間の目安として混練時のトルク挙動を評価した。トルクは混練開始と共に一旦低下した後、再び上昇し、ピークを迎えた後、再び低下し平衡値を迎える。このときトルクがピーク値を迎えるまでに要した時間をTmとし、製造に要する時間の目安とした。
(引張試験)
JIS K6301に準じ、引張試験を行った。温度は23℃、ダンベルは3号、引張速度500mm/分にて実施した。
JIS K6301に準じ、引張試験を行った。温度は23℃、ダンベルは3号、引張速度500mm/分にて実施した。
Claims (3)
- 熱可塑性樹脂とエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体架橋物からなる熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
- エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体のエチレンとα−オレフィンのモル比が30/70〜90/10の範囲であり、芳香族ビニル化合物含量が0.01〜30モル%の範囲であり、非共役ジエン含量が0.1〜30モル%の範囲である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
- エチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体架橋物がメタロセン触媒用い製造されたエチレン/α−オレフィン/芳香族ビニル化合物/非共役ジエン共重合体の架橋物である請求項1又は2のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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