JP3579168B2 - 敷居面フラットサッシ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車椅子の出入りが容易で、しかも雨水の排水を容易にした敷居面フラットサッシに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のサッシ下枠材は、内側壁より室外に向けてレール支持壁を下降傾斜し、該支持壁に内レールと外レール、及び網戸レールを突設するか、レール支持壁を室外に向け階段状に下降し、階段状の支持壁にレールを突設するもので、内側壁をレールより高く形成し、下枠材より室内に雨水が吹き込まないようにされている。(例えば実開昭54-154542 号公報、実開昭60-19673号公報)躯体開口部にサッシ枠を取付け、開口部の室外側にサンルームやベランダ、或いはバルコニー等を付設し、室内よりバルコニー等のアプローチに出入りし得るようにしたものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
サッシ下枠材のレールは傾斜支持壁、或いは段状支持壁に突設され、しかもレール頂面と内側壁頂面に大きな段差があるため、身障者が車椅子を利用して出入りすることが著しく困難になる問題点があった。またレールの間隔は障子が開閉走行し得る広さに突設し、バルコニー等のアプローチと下枠材の間にも大きな隙間が生じるため、それらの隙間に車椅子の車輪が落ち込んでしまい、介助者により引き上げてもらわなければならない等の不都合があった。
【0004】
サッシ下枠材の内側壁とレールの段差を少なくし、下枠材の上に渡り板を渡せば、車椅子でも出入りし得るが、段差を無くすると、下枠材に溜る雨水が室内側に吹き込み、飛散して室内を濡す問題点があった。
そこでこの発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車椅子の出入りを可能にした敷居面フラットサッシを提供することにある。
【0005】
【問題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の敷居面フラットサッシは、サッシ枠を構成する下枠材の内レールと外レール、及び下枠材の室外側に設ける網戸レールの高さを、下枠材室内壁の上縁と同等高さにし、網戸レールにベランダやバルコニー等のアプローチまで達する架設材を取付け得るようにし、少なくとも内外レール間の略半幅を、内外レールと同等高さまで達する嵩上材にて塞ぎ得るようにしたものである。
【0006】
下枠材の室外側に網戸レールを一体に設けるか、下枠材の室外側に張出壁を突設し、該張出壁に網戸レールを有する補助材を取付け、網戸レールに架設材を上下揺動可能に連結することによって、下枠材とアプローチの段差を無くす一方、嵩上材を内外レール間より室内向きに取付ける室内用嵩上材と、内外レール間より室外向きに取付ける室外用嵩上材から形成し、両嵩上材を選択的に使用することによって、車椅子の車輪の落込みを無くし、車椅子の出入りを容易にしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
先ず敷居面フラットサッシの構造を図1乃至図3に基づき説明すると、軽金属材より押出し成形する上枠材(図示せず)と下枠材2、及び縦枠材3より構成するサッシ枠1に、例えば障子を片引き式に嵌挿するか、室内障子Bと室外障子Cを引き違い式に嵌挿するもので、サッシ枠1を建物の玄関や浴室、トイレ、ベランダ、或いはバルコニー等の出入口に取付け、下枠材2の室内側に床材Fを、下枠材2の室外側に出入口のアプローチAを取付ける。
【0008】
次に本発明による敷居面フラットサッシの実施形態を図3乃至図7に基づき説明すれば、サッシ下枠材2のレール支持壁24に設ける内レール21と外レール22の高さを、下枠材室内壁20の上縁、又は上縁より室内向きに突出する天板25と略同等高さに形成する一方、外レール22の室外側に、外レール22と同等高さの網戸レール43を設け、該網戸レール43にベランダやバルコニー等のアプローチAまで達する架設材5を取付け得るようにすると共に、少なくともレール間Hの略半幅を、内外レール21,22と同等高さまで達する嵩上材6にて塞ぎ、車椅子Rの出入りを容易にしたものである。
【0009】
【実施例】
図4の下枠材2は、室内壁20より室外側にレール支持壁24を延長し、該支持壁24に内レール21と外レール22、及び網戸レール43を、下枠材室内壁20の上縁と略同等高さに設け、内外レール21,22間の支持壁24を室外側に向けて下降傾斜し、支持壁24の下に垂下壁27を、垂下壁27より室外側に延長壁28を設けるもので、内外レール間Hが、内レール21より室内壁20までの溝幅hの略2倍ある。
【0010】
図5の下枠材2は、レール支持壁24に内レール21と外レール22を、下枠材室内壁20の上縁と略同等高さに設け、外レール22より室外側に、外レール22より低い室外突条23を一体に設け、室内壁20の上縁より室内側に天板25を突設するものである。
図8の下枠材2は、レール支持壁24に内レール21と外レール22を、下枠材室内壁20の上縁と略同等高さに設け、垂下壁27より室外側に張出壁26を突設し、該延長壁28の先部に室外突条23を起立するものである。
【0011】
網戸レール43を一体に設ける下枠材2にあっては、網戸レール43に直接補助材4を取付け、該補助材4の室外側に架設材5を取付けるものであるし、内レール21より室外突条23を低く形成する下枠材2にあっては、室外突条23と張出壁26の少なくとも一方を利用して、内レール21と略同等高さまで達する網戸レール43付きの補助材4を取付け、該補助材4の室外側に架設材5を取付けるものである。
【0012】
網戸レール43に取付ける補助材4は、図9(A)の如く網戸レール43に外接してビス止めする取付壁41と、取付壁41の上縁より室外向きに突出する連結手44、及び連結手44の先部に設ける横軸45から形成する。室外突条23に取付ける補助材4は、図9(B)の如く室外突条23の上部に嵌挿してビス止めする取付壁41と、取付壁41より外レール22と同等高さまで突出する網戸レール43、網戸レール43より室外向きに突出する連結手44、及び連結手44の先部に設ける横軸45から形成する。
【0013】
室外突条23と張出壁26を利用して取付ける補助材4は、図9(C)の如く下枠材2の張出壁26にビス止めする取付壁41と、取付壁41より外レール22と同等高さまで突出する網戸レール43、網戸レール43より室外向きに突出する連結手44、連結手44の先部に形成する横軸45、取及び付壁41より垂下し下枠材2の室外突条23に係止する脚壁42から形成するもので、網戸レール43に排水孔46を穿設する場合もある。
【0014】
架設材5は図10の如く、一方に補助材4の横軸45に嵌合する弧状部51を、他方にアプローチAに重なる取付片52を有するもので、掛渡幅Lに合わせて少なくとも2種類以上を形成しておく。架設材5の弧状部51として採用し得る範囲は180〜270度、望ましい範囲は180〜210度、最適な範囲は180〜190度で、該弧状部51を補助材4の横軸45に嵌合するものであるから、横軸45を中心にして上下方向に揺動可能となる。
【0015】
嵩上材6は図6と図7の如く、下枠材2の上部に嵌挿する挿入部7に、少なくとも内外レール間Hの略半幅を塞ぐ載置部8を形成するもので、内外レール間Hより室内向きに取付ける室内用嵩上材6Aと、内外レール間Hより室外向きに取付ける室外用嵩上材6Bに区分され、室内障子Bと室外障子Cを引き違い式に嵌挿するサッシ枠1において、例えば外動片引きとする場合、図3と図1に示すように、障子閉鎖状態での室内障子Bと縦枠材3の間、すなわち室外障子Cの室内側位置に室内用嵩上材6Aを取付け、内動片引きする場合、図3と図2に示すように、障子閉鎖状態での室外障子Cと縦枠材3の間、すなわち室内障子Bの室外側位置に室外用嵩上材6Bを取付ける。
【0016】
室内用嵩上材6Aは図11の如く、挿入部7を下枠材2の支持壁24に載置する脚片71と、該脚片71より内レール21に向けて突出し、内レール21の下部に当接する内向振止片72から形成せしめ、載置部8を脚片71の上端より室内側に延長し、内レール21の上方から天板25の上まで達するものである。内向振止片72の代わりに外レール22の下部に圧接する外向振止片73を突出することも可能であるし、載置部8の室内側に、内レール21の室内側上部に係止する係止片84と、該係止片84より支持壁24に圧接する内向傾斜片85を設けることも可能である。
【0017】
室外用嵩上材6Bは図12の如く、挿入部7を下枠材2の支持壁24に載置する脚片71と、該脚片71より内レール21の下部に当接する内向振止片72から形成し、載置部8を脚片71の上端より外レール22の上まで延長する外向片81と、外向片81より張出壁26の外縁部に向けて延長し、張出壁26の外縁部に圧接する外向傾斜片82、及び外レール22の室内側上部に係止する係止爪83より形成する。脚片71に内レール21の下部に当接する内向振止片72と、外レール22の下部に圧接する外向振止片73を突出すれば、外向傾斜片82と係止爪83を省略することも可能であるし、載置部8を補助材4の網戸レール43まで延長することも可能である。
【0018】
補助材4の連結手44に設ける横軸44と、嵩上材6に設ける弧状部51を、図13の如く反対に設けても同様の目的を達成する。下枠材2のレール間Hに嵩上材6を嵌挿し、室外側に補助材4を取付け、該補助材4を介してアプローチAに架設材5を掛け渡すことにより、図14の如く車椅子Rの走行が容易になる。補助材4と架設材5、及び嵩上材6は、サッシ枠1を構成する上下枠材1,2や縦枠材3と同様に、アルミニウム合金より押出し成形するものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明による敷居面フラットサッシは上記構造のとおりであるから、次に記載する効果を奏する。下枠材の内外レールが同等高さを成し、しかも下枠材の室外側にレールと同等高さの網戸レールを設け、該網戸レールより補助材を介してバルコニー等のアプローチに架設材を取付けるものであるから、下枠材の室内側に取付ける床板から室外側のアプローチまで段差を無くすることができる。
【0020】
下枠材に対する補助材の取付けが容易であるし、補助材に対する架設材の連結手段も、補助材の連結手横軸に架設材の弧状部を嵌合し、横軸を中心にして上下方向に揺動可能となるものであるから、補助材の連結手とアプローチの間に多少の段差があっても、傾斜状態に取付け得る。しかも内外レール間に、内外レールと同等高さまで達する嵩上材を嵌挿し、該嵩上材にて内外レール間の少なくとも略半幅を塞ぐものであるから、室内側の床板から室外側のアプローチまで車椅子を出入りしても、車椅子の車輪が落ち込むことなく容易に出入りし得る。
【0021】
内外レール間に嵌挿する嵩上材は、内外レール間より室内向きに取付ける室内用嵩上材と、内外レール間より室外向きに取付ける室外用嵩上材に区分されているので、両嵩上材をサッシの使用目的に応じて選択的に使用し得るし、両嵩上材は弾力を利用して下枠材に取付けるものであるから、簡単に着脱し得る。特に下枠材の天板まで載置部が達する嵩上材にあっては、一段と車椅子の出入りが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による敷居面フラットサッシの使用例を示す要部縦断面図である。
【図2】他の使用例を示す要部断面図である。
【図3】架設材の使用例を示すサッシの横断面図である。
【図4】補助材の取付例を示す側面図である。
【図5】補助材の取付例を示す側面図である。
【図6】架設材と室外用嵩上材の使用例を示す要部断面図である。
【図7】架設材と室内用嵩上材の使用例を示す要部断面図である。
【図8】下枠材の側面図である。
【図9】(A)(B)(C)
補助材の形状例を示す断面図である。
【図10】(A)(B)
架設材の形状例を示す側面図である。
【図11】(A)(B)(C)(D)
室内用嵩上材の形状例を示す側面図である。
【図12】(A)(B)(C)(D)
室外用嵩上材の形状例を示す側面図と断面図である。
【図13】補助材と架設材の連結手段を示す分解側面図である。
【図14】使用例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 サッシ枠
2 下枠材
3 縦枠材
4 補助材
5 架設材
6,6A,6B 嵩上材
7 嵩上材の挿入部
8 嵩上材の載置部
20 内側壁、21,22 レール、23
室外突条、24 レール支持壁
25 天板、26 張出壁、27 垂下壁、28 延長壁
41 取付壁、42 脚壁、43
網戸レール、44 連結手、45 横軸
B 室内障子、C 室外障子
A アプローチ
F 床材
R 車椅子、r 車輪
H 内外レール間、L 掛渡幅
h 内レールより室内壁までの溝幅
Claims (2)
- サッシ枠(1)を構成する下枠材(2)の内レール(21)と外レール(22)、及び下枠材(2)の室外側に設ける網戸レール(43)の高さを、下枠材室内壁(20)の上縁と同等高さにし、先端に横軸(45)を有する連結手(44)を網戸レール(43)の室外側に突出形成し、横軸(45)にベランダやバルコニー等のアプローチ(A)まで達する架設材(5)を回動自在に取付けてあり、下枠材(2)に、内外レール(21,22)と同等高さまで達する室内用嵩上材(6A)と室外用嵩上材(6B)の何れか一方を、室内用嵩上材(6A)にあっては障子閉鎖状態での室外障子(C)の室内側位置に、室外用嵩上材(6B)にあっては障子閉鎖状態での室内障子(B)の室外側位置に取付けることを特徴とする敷居面フラットサッシ。
- サッシ枠(1)を構成する下枠材(2)の室外側に張出壁(26)を突設し、該張出壁(26)に網戸レール(43)を有する補助材(4)を取付け、下枠材の内レール(21)と外レール(22)、及び網戸レール(43)の高さを、下枠材室内壁(20)の上縁と同等高さにし、先端に横軸(45)を有する連結手(44)を網戸レール(43)の室外側に突出形成し、横軸(45)にベランダやバルコニー等のアプローチ(A)まで達する架設材(5)を回動自在に取付けてあり、少なくとも内外レール間(H)の略半幅を、内外レールと同等高さまで達する嵩上材(6)にて塞ぎ、車椅子(R)の出入りを容易にした敷居面フラットサッシ。
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1996
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