JP3578628B2 - 自動変速機のマニュアルバルブ操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機のマニュアルバルブ操作装置、特に主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置された自動変速機において、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換する機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機には大別してFR式とFF式とがある。図1に示すように、FR式の場合は入力軸や出力軸などの主軸が車体前後方向に配設され、FF式では主軸は車幅方向に配設される。一般に、変速操作用のコントロールシャフトは車幅方向に配置するのが、ケーブルなどの配索上望ましい。そのため、コントロールシャフトはFR式では主軸と直角方向に配設され、FF式では主軸と平行に配設されることになる。
【0003】
コントロールシャフトの動きをマニュアルバルブに伝えるには、実公平5−9563号公報に記載のように、コントロールシャフトとマニュアルバルブとを直角方向に配置するとともに、コントロールシャフトにディテントプレートを固定し、このディテントプレートに固定されたピンをマニュアルバルブの係合溝に係合させることで、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換している。このようにコントロールシャフトとマニュアルバルブとは直角方向に配置されるので、FR式とFF式とではマニュアルバルブの配設方向も異なることになる。つまり、FR式のマニュアルバルブは主軸に対して平行に配設され、FF式のマニュアルバルブは主軸と直角方向に配設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、オイルポンプの軸心は主軸と平行に配置されている。オイルポンプの吐出圧を調圧するレギュレータバルブは、オイルポンプの近傍でかつポンプ軸心と直角配置するのが、ロスを少なくし、バルブボデーを小型化する上で好ましい。そのため、レギュレータバルブはFR式およびFF式ともに主軸に対して直角方向に配設されることになる。
【0005】
したがって、FF式の場合には、レギュレータバルブとマニュアルバルブとを平行配置でき、バルブボデーを小型化できる利点がある。これに対し、FR式の場合には、レギュレータバルブとマニュアルバルブとが直角方向に配置されるので、FF式のバルブボデーと共用化できないだけでなく、バルブボデーが大型化するという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置された自動変速機において、マニュアルバルブの移動方向を共通化することにより、バルブボデーの小型化と共用化を実現できる自動変速機のマニュアルバルブ操作装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置され、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換し、各動作レンジへ切り換えるようにした自動変速機において、コントロールシャフトとマニュアルバルブとが平行に配置され、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換するクランク機構が設けられていることを特徴とする自動変速機のマニュアルバルブ操作装置を提供する。
【0008】
FR式自動変速機のように、主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置された自動変速機の場合には、コントロールシャフトとマニュアルバルブとを直角方向に配置すると、マニュアルバルブとレギュレータバルブが直角方向となるので、バルブボデーが大型化する。これに対し、本発明ではコントロールシャフトとマニュアルバルブとを平行配置し、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換するクランク機構を設けたので、マニュアルバルブとレギュレータバルブとを平行に配置でき、バルブボデーを小型化できる。しかも、FF式自動変速機と同様な構造のバルブボデーを用いることができるので、FF式とFR式とでバルブボデーを共通化することが可能である。
【0009】
クランク機構を、請求項2のように、コントロールシャフトに対して直交方向に移動自在に配置され、コントロールシャフトの先端部に設けられたディテントプレートのピンに係合する係合部を有するスライドコアと、コントロールシャフトおよびスライドコアに対して直交方向の軸を中心として回転自在に配置され、一端部がスライドコアの係合部に係合し、他端部がマニュアルバルブの係合部に係合するベルクランクとで構成するのが望ましい。この場合には、スライドコアを用いることで、コントロールシャフトの動きをマニュアルバルブに円滑に伝達できる。
【0010】
なお、本発明における主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置された自動変速機とは、必ずしもFR式自動変速機に限るものではなく、例えばFF式自動変速機であっても、コントロールシャフトが主軸に対して直角方向に配置されたものであればよい。その他、RR式などの他の形式の自動変速機も含まれる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図2〜図6は本発明にかかるマニュアルバルブ操作装置を備えたFR式自動変速機を示す。
図において、1は変速機ケース、2は変速機ケース1に固定されたバルブボデー、3は変速機ケース1の下面にバルブボデー2を覆うように固定されたオイルパンである。
【0012】
バルブボデー2にはマニュアルバルブ4などの各種バルブが水平方向に、かつ主軸5と直角方向、つまり車幅方向に配置されている。マニュアルバルブ4の一端部は図3に示すようにバルブボデー2から突出しており、この突出部に係合溝4aが形成されている。
【0013】
変速機ケース1の側部には、マニュアルバルブ4を操作するためのコントロールシャフト10が車幅方向、つまりマニュアルバルブ4と平行に挿入支持されている。コントロールシャフト10の外側端部にはアウタレバー12が固定され、このアウタレバー12にコントロールケーブル11の一端が連結され、コントロールケーブル11の他端は図示しないシフトレバーと接続されている。変速機ケース1内に挿入されたコントロールシャフト10の内側部分には、ディテントプレート13が固定されている。ディテントプレート13には半径方向に突出する扇型部13aが形成され、この扇型部13aの周面には複数のディテント溝13bが形成されている。ディテント溝13bには板ばねよりなるディテントスプリング14の先端に取り付けられたローラ15が嵌合しており、これによってディテントプレート13はP,R,N,D,2,Lなどの各位置で位置決めされる。
【0014】
ディテントプレート13には、扇型部13aから斜め後方へ延びる延長部13c(図6参照)が形成されており、この延長部13cの側面にはスライドコア16の周溝16aに係合するピン17が固定されている。スライドコア16は、変速機ケース1の支持部1aとバルブボデー2の支持部2aの間に上下方向に支持されたシャフト18にスライド自在に挿通されている。なお、ここではスライドコア16がシャフト18に対してスライド自在な例を示したが、シャフト18とスライドコア16とを固定し、シャフト18を変速機ケース1に対して上下にスライド自在としてもよい。
【0015】
スライドコア16の周溝16aには、図6に示すようにベルクランク19の一端部に固定されたピン20も係合している。ベルクランク19は、車体前後方向に延びる軸21によって回転自在に支持されており、ベルクランク19の他端部には、マニュアルバルブ4の係合溝4aに係合するピン22が固定されている。
【0016】
上記スライドコア16およびベルクランク19によって、コントロールシャフト10の回転をマニュアルバルブ4の軸方向移動へ変換する本発明のクランク機構CRを構成している。なお、スライドコア16のスライド方向は上下方向に限るものではなく、ベルクランク19の回転軸21も車体前後方向に限るものではない。
【0017】
また、ディテントプレート13の扇型部13aと反対側の部位には、上方へ延びる突片部13dが設けられ、この突片部13dには、パーキングロックカム24を備えたパーキングロックシャフト23の一端が取り付けられている。パーキングロックカム24は、図3に示すように、パーキングポール25を押し上げ、変速機の出力軸26に設けられたパーキングギヤ27に噛み合わせることで、車両の移動を規制する。
【0018】
次に、上記クランク機構CRの動作を図6にしたがって説明する。
シフトレバーの操作に伴ってコントロールシャフト10が矢印A方向に回転すると、ディテントプレート13に固定されたピン17がスライドコア16を操作して上下方向Bに移動させる。スライドコア16にはベルクランク19の一端部のピン20も係合しているので、ベルクランク19はスライドコア16の上下動に伴って矢印C方向へ回転する。ベルクランク19の回転は、他端部に設けられたピン22を介してマニュアルバルブ4へ伝えられ、マニュアルバルブ4を軸方向Dへ移動させ、P,R,N,D,2,Lなどの各位置へ移動させることができる。
【0019】
上記のように、コントロールシャフト10とマニュアルバルブ4とを共に車幅方向に配置できるので、同じく車幅方向に配置されるレギュレータバルブとマニュアルバルブとが平行になる。レギュレータバルブおよびマニュアルバルブ4は、共にバルブボデー2の中で大きなスペースを占める大型バルブであるから、これら2本のバルブを互いに平行に配置することで、バルブボデー2を小型化できる。しかも、このバルブボデー2(各種バルブを含む)をFF式自動変速機のバルブボデーと共通化できる。つまり、コントロールシャフト10を取り替え、スライドコア16およびベルクランク19を追加することにより、FF式のバルブボデーをそのままFR式自動変速機に適用することができる。
【0020】
なお、上記実施例では、クランク機構CRとしてスライドコア16を用いたが、スライドコアを省略し、ベルクランク19のみでクランク機構を構成することも可能である。すなわち、ベルクランク19の一端部をコントロールシャフト10のディテントプレート13に係合させ、他端部をマニュアルバルブ4に係合させればよい。ただ、ディテントプレート13とベルクランク19はその回転軸が直交しているので、ピンなどによる接触だけではベルクランク19に偏った力が作用し、ベルクランク19の円滑な回転が阻害される可能性があるので、スライドコア16を用いるのが望ましい。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1の発明によれば、コントロールシャフトとマニュアルバルブとを平行配置し、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換するクランク機構を設けたので、マニュアルバルブとレギュレータバルブとを平行に配置でき、バルブボデーを小型化できる。
また、マニュアルバルブとレギュレータバルブとを平行配置できること、つまりFF式自動変速機と同様な構造のバルブボデーを用いることができるので、FF式とFR式とでバルブボデーを共通化することが可能であり、製造コストを大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なFR式およびFF式自動変速機の外観斜視図である。
【図2】本発明を適用したFR式自動変速機の側面図である。
【図3】図2のIII −III 線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図4の底面図である。
【図6】クランク機構の斜視図である。
【符号の説明】
1 変速機ケース
2 バルブボデー
4 マニュアルバルブ
10 コントロールシャフト
13 ディテントプレート
16 スライドコア
19 ベルクランク
CR クランク機構
Claims (2)
- 主軸に対してコントロールシャフトが直角方向に配置され、コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換し、各動作レンジへ切り換えるようにした自動変速機において、
コントロールシャフトとマニュアルバルブとが平行に配置され、
コントロールシャフトの回転をマニュアルバルブの軸方向移動に変換するクランク機構が設けられていることを特徴とする自動変速機のマニュアルバルブ操作装置。 - 上記クランク機構は、
コントロールシャフトに対して直交方向に移動自在に配置され、コントロールシャフトの先端部に設けられたディテントプレートのピンに係合する係合部を有するスライドコアと、
コントロールシャフトおよびスライドコアに対して直交方向の軸を中心として回転自在に配置され、一端部がスライドコアの係合部に係合し、他端部がマニュアルバルブの係合部に係合するベルクランクと、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のマニュアルバルブ操作装置。
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