JP3578240B2 - 無杼織機用搦み糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は無杼織機用搦み糸に関するものであり、より詳しくはポリエステル系マルチフィラメント糸より構成される無杼織機用搦み糸に関する。
【0002】
【従来の技術】
無杼織機はシャットル織機のような有杼織機と異なり緯入運動が往復運動ではないため織物の耳部が中央部に比べて大変弛み易く品質上の重要問題点のひとつとなっている。無杼織機に於いては上記のような従来の問題点を解決すべく、さまざまな耳組織、耳糸張力調製機構等々が考案されてきている。耳形成についてはタックイン装置を使用するグリッパー織機や一部のレピア織機、レノ装置を使用するウォータージェット織機やエアージェット織機及び一部のレピア織機、溶着による方法を使用するものがその主な種類として挙げられる。
特にポリエステルやポリアミドのマルチフィラメント織物に多用されているウォータージェット織機やエアージェット織機等々はレノ装置を用いた搦組織にて耳形成を行うものであり、高速化に伴い、搦み綜絖の原理を応用した各種の搦み耳織装置が提案されている。搦み耳織装置によってレノ組織は搦組織と捩り組織に分類される。耳用経糸は搦組織形成装置では織機の反ノズル側に設置された耳糸パッケージより供給され緯糸に搦んで耳を形成、一方の捩り組織形成装置では捩り糸(耳用経糸)を巻いた2個のボビンが、開口軸の回転に従い耳用経糸を捩りながら緯糸を織り込み耳を形成するものである。従来より該耳用経糸として広く衣料用織物用途として使用されているものは30デニールクラスのポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸であったが、該耳用経糸は捲縮を有するために耳用経糸パッケージ或いはボビンに巻くには嵩高く、多量に巻くことが出来ないばかりか仮撚加工によって破断強力、破断伸度が低下しており、作業性や物性面等で更に改善を求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点を改善し、布帛の染色加工やその他後加工の各加工工程中にも耳ほつれ等の支障のない無杼織機用搦み糸に関するものであり、更に詳しくには多角断面糸を用いることによって緯糸と面接触に近い型で接触させることによる充分な緯糸保持力、ひいては強度的に優れた布帛の耳を与えることが出来る無杼織機用搦み糸を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成よりなる。ポリエステルフィラメントの延伸糸であって、繊維断面が4〜10葉の多角断面糸であり尚且つ以下の数式を満足することを特徴とする無杼織機用搦み糸である。
破断強力;DT≧3.0g/d
160℃乾熱収縮率;18%≦SHD≦25%
沸水収縮率;16%≦SHW≦20%
【0005】
本発明の無杼織機用搦み糸に用いる繊維はポリエステルが好ましく、特にエチレンテレフタレート単位を85重量%以上含むものであることが望ましい。該エチレンテレフタレート単位が85重量%未満の構成であると、布帛構造物に製織した後の染色加工工程に於けるアルカリ減量加工によって脆化が著しく、耳ほつれや耳の強力不足による加工トラブルを誘発してしまい好ましくない。ポリエステル織物の場合には地組織及び耳組織を構成するポリエステル繊維よりエチレンテレフタレート単位の重量分率が同等かそれより大きいものが望ましい。
【0006】
また、本発明の無杼織機用搦み糸に用いるポリエステルは極限粘度数〔η〕が0.50以上0.90以下であることが望ましい。該極限粘度数〔η〕が0.50未満のポリエステルでは布帛のアルカリ減量加工による脆化を抑制することが出来ず、耳強度の低下を引き起こしてしまい望ましくない。また該極限粘度数〔η〕が0.90を著しく超過する高重合度のポリエステルはポリエステルタイヤコードなど産業資材用途に重用されており強度的にも優れ、アルカリ減量加工による脆化も極僅かとなり得るが衣料用布帛用途には高性能過ぎる他、価格的に高いものになってしまうため実用的ではない。該該極限粘度数〔η〕は布帛がポリエステル繊維の場合、地組織及び耳組織を構成するポリエステル繊維と同等かそれより大きいものが望ましい。
【0007】
更に、本発明の無杼織機用搦み糸に用いるポリエステルフィラメントは繊維断面が4葉以上10葉以下の多角断面、より好ましくは6葉以上10葉以下の多角断面糸であることを要する。繊維断面が4葉未満、即ち3葉断面糸などではフィラメントのマイグレーション効果による細密充填構造を取り難く、緯糸の保持力を期待出来ず、強度的に優れた耳を形成出来ない。また11葉となると限りなく丸断面糸に近い形状となりフィラメントのマイグレーション効果による細密充填構造を取り易くなるが、点接触に極近い型で緯糸と接触するため強度な緯糸保持力を得ることが出来ず、スリップ等々の問題を引き起こしてしまう恐れがある。従来から用いられてきた仮撚加工糸は仮撚加工によって繊維断面が歪み、多角断面となっており、その効果も奏して緯糸を強固に保持していると考えられるが搦み糸として使用する場合、仮撚加工工程を省くことが出来ない為、割高となっしまう。それ故、紡糸の際には多角断面糸を直に得ることが出来る異型紡糸口金採用しておくことが望ましく、安定的に且つ安価に多角断面糸を得ることが出来、非常に好ましい。発明者らが鋭意検討を重ねた結果、4葉以上10葉以下の多角断面、より好ましくは6葉以上10葉以下の多角断面を採用することによって緯糸と面接触に近い型で接触させることが可能となり充分な緯糸保持力を得ることが出来、ひいては、強度的に優れた耳を提供し得るということを見出したのである。
【0008】
本発明の無杼織機用搦み糸に用いるポリエステルフィラメントの総デニール、及び構成単糸デニールに関しては特に限定を加えるものではないが、一般衣料用布帛に供する際には総デニールとして10デニールから100デニール、構成単糸デニールとして1デニールから10デニールの範囲で適宜組み合わせて使用すればよい。繊維本数についてはマルチフィラメントに限定されるものではなく、構成繊維本数が1本であるモノフィラメントも当然のことながら含まれる。
【0009】
本発明の無杼織機用搦み糸に用いるポリエステルフィラメント糸は一般的に使用される溶融紡糸方法によって得ることが出来る。該フィラメント糸に適度な強度、伸度を与える延伸処理に関しては紡糸工程と別工程、即ち延撚機を使用して延伸する方法、或いは紡糸工程と同工程にて延伸処理を行うスピンドロー法の何れの方法であっても構わない。また紡糸、延伸の際には帯電防止や取扱性向上の為にオイリングを施しておくことが望ましい。
また本発明の無杼織機用搦み糸は製織に供する前に撚糸機を用い適当数の撚りを付与してもよいが撚糸工賃が余分にかかるうえに、卓越した効果も期待出来ない為、生フィラメントパッケージからの解舒の際に糸条に付与される解舒撚りで充分であり、特別な撚糸工程は特に必要ではない。
【0010】
また本発明の無杼織機用搦み糸に用いるポリエステルフィラメント糸の結晶化度χc は15%以上30%以下の範囲であることが好ましい。結晶化度χc が15%未満の範囲では結晶化度が小さすぎアルカリ減量加工工程に於ける脆化による物性低下を抑制することが出来ず、実用的に好ましい領域ではない。
また該結晶化度χc が30%を超過する範囲となれば実用的強度は充分であり、且つアルカリ減量加工による脆化を抑制することが出来るが収縮性能に乏しく緯糸を強固に保持することが出来ない。該結晶化度χc は15%以上30%以下、より好ましくは20%以上25%以下のものを用いることによって充分な緯糸保持力を得ることが出来、ひいては、強度的に優れた耳を提供することが可能となる。
【0011】
更に破断強力については3.0g/d 以上7.0g/d 以下の範囲、より好ましくは4.0g/d 以上6.0g/d 以下の範囲であることを要する。該破断強力については紡糸、延伸時の延伸倍率や熱処理等々によって種々設定可能であるが、該破断強力DTが3.0g/d 未満の範囲であれば、緯糸を保持し得るに足る物性を満足しないばかりか、出来上がった布帛耳部の引裂強力が弱くなり過ぎ実用的に満足し得るものとはならない。また7.0g/d を超過する範囲であれば、緯糸を保持するに足る物性を満足し、且つ布帛耳部の引裂強力も実用上充分なものとなり得るが、地組織を構成する糸条の破断強力より大きい値、即ち過剰性能を持つことによって地組織と耳組織の強度バランスが著しく崩れてしまい性能的に望ましいものとはならず、一般衣料用途に限定する場合には7.0g/d 以下、より好ましくは6.0g/d 以下程度にしておくことが望ましい。
【0012】
破断伸度に関しては10%以上45%以下の範囲であることが好ましい。該破断伸度も破断強力と同様に紡糸、延伸時の延伸倍率や熱処理等々によって種々設定可能であるが、該破断伸度が10%未満の範囲となると製織中の断糸等のトラブルが予想される他、出来上がった布帛の耳部の物性も実用上満足し得るものとはならない。また該破断伸度が45%を超過する範囲となると製織中の張力付与によって糸条がダラダラと伸長してしまい、緯糸を充分な強度で保持しておくことが出来ず、結果耳部のスリップ等々のトラブルを引き起こしてしまい望ましくない。
【0013】
更に160℃乾熱収縮率SHDに関しては6%以上25%以下の範囲、より好ましくは10%以上20%以下の範囲であることを要する。該160℃乾熱収縮率については紡糸、延伸時の熱処理等々によって適宜設定することが可能であるが、6%未満の範囲では染色加工工程に於ける乾熱処理、湿熱処理によっても糸条の収縮は極軽度なものとなり充分な緯糸保持力を得ることが出来す、結果として耳ホツレやスリップ等々の諸問題を引き起こし易くなる。また160℃乾熱収縮率SHDが25%を超過する範囲となれば緯糸の保持力は充分なものとなり得るが、耳部を構成する搦み糸のみ熱収縮率が大きくなり過ぎると布帛の耳端が極端にうねってしまう等、耳品位を損ねる恐れがあり好ましいものとはならない。
【0014】
また沸水収縮率SHWに関しては5%以上20%以下の範囲、より好ましくは7%以上20%以下の範囲であることを要する。該沸水収縮率についても紡糸、延伸時の熱処理等々によって適宜設定することが可能であるが、7%未満の範囲であれば染色加工工程に於ける乾熱処理、湿熱処理によっても糸条の収縮は極軽度なものとなり充分な緯糸保持力を得ることが出来す、結果として耳ホツレやスリップ等々の諸問題を引き起こし易くなる。また沸水収縮率SHWが20%を超過する範囲となれば緯糸の保持力は充分なものとなり得るが、耳部を構成する搦み糸のみ熱収縮率が大きくなり過ぎると布帛の耳端が極端にうねってしまう等、耳品位を損ねる恐れがあり好ましくない。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。勿論、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。尚、本文中及び実施例中の各物性値は以下の測定方法によるものである。
(1) 極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用し20℃±0.5℃の恒温条件下で粘度数ηsp/cを求め、ηsp/cを溶媒濃度cに対しプロットし、c→0にηsp/cを外挿することによって〔η〕を求める。
【0016】
(2) 160℃乾熱収縮率SHD
試料に1/30g/dの荷重を掛け、その長さL1(mm)を測定する。次いで、その荷重を取り除き、試料を乾燥機に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後冷却し、再度試料に1/30g/dの荷重を掛けてその長さL2(mm)を測定する。上記L1、L2を下記式に代入し、160℃乾熱収縮率SHDを算出する。測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
SHD(%)={(L1−L2)/L1}×100
【0017】
(3) 沸水収縮率SHW
試料を枠周1.125mの検尺器を用い、0.1g/dの荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き回数が20回の小綛を作成し、初荷重の40倍の重りを掛けて、綛長L3(mm)を測定する。続いて重りを外し、収縮が実質的に妨げられないような方法で沸騰水(100℃)中に30分間浸漬した後、取り出して吸取紙或いは綿布で水を拭き取り、水平状態にて風乾する。風乾後、再度重りを掛けて綛長L4(mm)を測定する。上記L3、L4を下記式に代入し、沸水収縮率SHWを測定する。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
SHW(%)={(L3−L4)/L3}×100
【0018】
(4) 破断強力DT、破断伸度DE
オリエンテック社製テンシロンを使用し、試料長(ゲージ長)200mm、伸長速度100%/分、記録速度(チャート速度)500mm/分、初荷重1/30g/dの条件で糸条の応力−歪み曲線を作成し、糸条の破断点より破断強力DT(g/d)及び破断伸度DE(%)を算出する。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
【0019】
(5) 結晶化度χc
n−ヘプタンと四塩化炭素よりなる密度勾配管を作成し、30℃±0.1℃に調温された密度勾配管中に充分に脱泡した試料を入れ、5時間放置後の密度勾配管中の試料位置を、密度勾配管の目盛りで読み取った値を、標準ガラスフロートによる密度勾配管目盛り〜比重キャリブレーショングラフから比重値に換算し、測定値を小数点以下4桁まで読む。測定回数5回の平均値を以て比重値の測定値とし、以下の数式に代入し結晶化度χc を求める。
χc (%)=〔dk×(d−da)/{d×(dk−da)}〕×100
d;試料の比重
dk;PET完全結晶の比重 dk=1.455
da;PET完全非晶の比重 da=1.331
【0020】
(実施例)
〔η〕が0.64、Tgが71℃、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度295℃、紡糸引取速度2600m/分で45デニール5フィラメントのポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を得た。尚、紡糸ノズルは丸断面、三角断面、八角断面のものを使用した。該ポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を延撚機を使用し、延伸倍率1.5倍、延伸速度600m/分の条件で熱処理温度を種々変更し、表1に示す物性のポリエステルマルチフィラメント30デニール5フィラメント通常延伸糸を得た。また該ポリエステルマルチフィラメント丸断面未延伸糸を三菱重工業社製LS−6型仮撚装置を用い延伸倍率1.5倍、延伸速度100m/分、仮撚ヒーター(第1ヒーター)温度185℃、仮撚施撚撚数4000回/mの条件で表1中の30デニール5フィラメント仮撚加工糸を得た。(サンプルNo.1〜7)。
【0021】
〔η〕が0.64、Tgが71℃、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度295℃、紡糸引取速度2600m/minで36デニール5フィラメントのポリエステルマルチフイラメント丸断面未延伸糸を得た。該未延伸を延伸糸を延撚機を使用し、延伸倍率1.2倍、延伸速度600m/minで下記に示す物性のポリエステルマルチフイラメント30デニール5フィラメント通常延伸糸を得た(サンプルNo.8)。
【0022】
〔η〕が0.64、Tgが71℃、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度295℃、紡糸引取速度2600m/minで45デニール5フィラメントのポリエステルマルチフイラメント丸断面未延伸糸を得た。該未延伸糸を延撚機を使用し、延伸倍率1.5倍、延伸速度600m/min、熱処理温度200℃で下記に示す物性のポリエステルマルチフイラメント30デニール5フィラメント通常延伸糸を得た(サンプルNo.9)。
【0023】
〔η〕が0.64、Tgが71℃、Tmが256℃のポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを通常の溶融紡糸装置を用い、紡糸温度295℃、紡糸引取速度2600m/minで45デニール5フィラメントのポリエステルマルチフイラメント丸断面未延伸糸を得た。該未延伸糸を延撚機を使用し、延伸倍率1.5倍、延伸速度600m/min、熱処理温度80℃で下記に示す物性のポリエステルマルチフイラメント30デニール5フィラメント通常延伸糸を得た(サンプルNo.10)。
表1に上記サンプルの諸物性を示す。
【0024】
【表1】
【0025】
上記ポリエステルマルチフィラメント延伸糸、仮撚加工糸を搦み糸として使用し、津田駒工業社製ウォータージェットルームによってポリエステルサテン織物を織成した。経糸は50デニール36フィラメントのポリエステルマルチフィラメントS撚300回/m、緯糸には75デニール72フィラメントのポリエステルマルチフィラメントS、Z撚各2500回/mがS撚、Z撚が2本交互の構成となるように織上密度が経270本/インチ、緯93本/インチに製織した。該ポリエステルサテン織物をそれぞれ通常の染色加工工程を通し、仕上密度として経317本/インチ、緯106本/インチに仕上げた。外観、風合いに関しては何れも光沢感に富む滑らかな表面タッチを有する織物となった。それぞれの織物の耳部の状態は以下の表2に示す通りであった。
【0026】
【表2】
【0027】
上記実施例1、参考例1は何れも耳ホツレやスリップの問題はなく、強固に緯糸を保持しており、強度的にも優れた耳を形成していた。対して比較例1については丸断面糸使いであり実施例1、参考例1と比較しやや緯糸と点接触で接している為に若干ながら緯糸保持力が不足していると感じられた。また比較例2については比較例1と比べ熱収縮性に乏しい為、比較例1と比べて更に緯糸保持力が不足していると感じられた。
【0028】
比較例3、4については三角断面糸であり糸条自体マイグレートし難い為、経糸との接触が更に困難なものとなり非常にスリッピーなものとなっている。その為比較例1、2と比較してみてもかなりの程度、緯糸保持力が不足していると思われた。比較例5に関しては仮撚加工糸であり仮撚の施撚効果によって断面が歪んでおり不均一な多角断面糸となっているが、仮撚時の熱処理によって熱収縮能が低下している為、実施例1、参考例1と比較して緯糸保持力が低下しており、従来では普通の程度であるが実施例1、参考例1の方が更に強固に緯糸を保持しており、耳ホツレやスリップの問題のない、強度的にも優れた耳を形成するものであった。
【0029】
比較例6に関しては搦み糸としての強度が弱すぎ、若干の引張でも搦み糸が破断に至ってしまい、結果耳糸のスリップが抑制されず、品位のよい耳を形成させることが出来なかった。また製織時に於いても搦み糸の破断が生じ、製織性に支障を来すなどの問題が生じた。
比較例7については搦み糸の熱収縮性が地組織を形成する糸条に比べ低過ぎる為、経糸及び緯糸を充分に保持することが出来ず、耳ホツレ及びスリップがいたる部分で生じており品位的みて、全く商品価値のないものとなってしまった。
比較例8については搦み糸の熱収縮性が地組織を形成する糸条に比べ高過ぎる為、経糸及び緯糸を強固に保持することが可能となった耳端のパッカリングが生じてしまい織物をテンターに掛ける際、耳部分のパッカリング(波うち)により緯方向に均一に張力を掛けることが出来ず、作業性に支障を来してしまい好ましいものではなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されており、従来より使用されてきたポリエステルマルチフィラメント仮撚加工糸と比較し強度的に改善された、優れた布帛の耳を与えるものである。更に該仮撚加工糸は嵩高であり耳用経糸パッケージ或いはボビンには少量しか巻くことが出来なかったが本発明糸はマルチフィラメント通常延伸糸を用いている為に前記仮撚加工糸と比べ多量に巻けるようになり作業性、コスト面で大幅に改善されるものとなる。また多角断面糸である為に緯糸と面接触に近い型で接触することが出来、緯糸保持力が向上し、耳ホツレやスリップの生じ難い、強度的に優れた布帛の耳を与えることが可能となる。
Claims (3)
- ポリエステルフィラメントの延伸糸であって、繊維断面が4〜10葉の多角断面糸であり、且つ下記式を満足することを特徴とする無杼織機用搦み糸。
破断強力;DT≧3.0g/d
160℃乾熱収縮率;18%≦SHD≦25%
沸水収縮率;16%≦SHW≦20% - エチレンテレフタレート単位を85重量%以上含有する極限粘度[η]が0.50〜0.90で破断伸度(DE)が10〜45%であることを特徴とする請求項1記載の無杼織機用搦み糸。
- 密度勾配管法による結晶化度χc が下記範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の無杼織機用搦み糸。
結晶化度;15%≦χc ≦30%
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