JP3577232B2 - 液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶層を介在する一対のプラスチック基板に無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とが形成された液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子の薄型軽量化を図り、基板の加工性を向上するためにガラスのかわりにプラスチック素材を用いて液晶表示素子の基板を形成することが試みられている。しかし、プラスチック基板はガラス基板に比べてガス透過率が高く、このために外部から透過してきたガスが液晶層中に気泡を生じ、液晶表示素子の表示不良を生じる。
【0003】
このため、特開平3−138617号公報に示されるように、液晶表示素子のプラスチック基板表面に透光性を有するSi、Tiなどの金属酸化物あるいは金属窒化物のガスバリア膜をスパッタ法などによって形成し、プラスチック基板のガス透過性を抑制する構造が提案されている。
【0004】
図6は、従来の液晶表示素子1を示す断面図である。液晶表示素子1は、一対のプラスチック基板2間に液晶層3が封入され、シール材4によって封止されて形成される。前記一対のプラスチック基板2は、両面にハードコート膜6と、これに積層してSi、Tiなどのアモルファス金属酸化物あるいは金属窒化物から成るガスバリア膜7が形成され、さらに対向する面上にITO(インジウム錫酸化物)などの透光性を有する電極5が形成される。
【0005】
一方、前記ガスバリア膜7をPVA(ポリビニルアルコール)、EVOA(PVAとエチレンの共重合体)などの有機物で形成した液晶表示素子1も試みられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述のようなSi、Tiなどの酸化膜あるいは窒化膜、たとえばSiOx、SiNxなどから成るガスバリア膜7は、ガスバリア性が低いため、100nm以上の厚さに形成しなければ充分な機能を果たさない。
【0007】
図7は、基板2上に形成される成膜原子8の状態を示す断面図である。図7に示すように、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびCVD法などで基板上に形成される膜は、膜を構成する原子8が基板2上に積層されることによって成膜される。このとき、成膜原子8の第1層9の構造は、基板2表面の原子レベルの大きさでの凹凸および基板2表面を構成する原子および電子と成膜原子8との相互作用に依存しており、基板2表面の微視的状態を反映したものとなる。しかし、成膜原子8が積層していくにしたがって、上層の成膜原子8に対する基板2表面の影響は小さくなり、膜厚が大きくなると、膜と基板2表面との界面10と膜内部との構造が異なってくる。このため、膜内部が外に拡がろうとし、膜と基板2表面との界面10を圧縮する圧縮応力または膜内部が収縮し、膜と基板2表面との界面10を引張る引張応力などの内部応力を生じる。このような内部応力は、膜厚が大きいほど大きくなる。したがって、このように厚く形成されたガスバリア膜7は、膜の内部応力が大きくなり、プラスチック基板2が反るなどの不都合を生じる。
【0008】
図8は、基板2の曲げに対する膜7の強度と、膜7の膜厚との関係を説明するための断面図である。図8に示すように、膜7側が突部を形成するように基板2を曲げていくと、膜7の突部側表面の伸びが膜7の破壊伸度以上になったとき膜7の突部側表面に亀裂を生じる。また、同じ厚さの基板2上に膜7を形成する場合には、同じ曲げに対して膜7の膜厚42が大きいほど突部側膜7表面の伸び43が大きくなり、これに対して膜7の膜厚45を小さくすると、突部側膜7表面の伸び44は小さい。このように、ガスバリア膜7を100nm以上の厚さに形成すると、プラスチック基板2の曲げに対して弱く、基板2の曲げによってガスバリア膜7に亀裂を生じることがあり、この亀裂から進入したガスによって液晶層3内に気泡を生じる結果となる。
【0009】
また、これらの原因以外にもスパッタリング時に基板面上に異物が付着したり、スパッタリング時の異常放電などの原因によってガスバリア膜7に欠陥を生じ、これによって液晶層3内に気泡を生じる可能性がある。
【0010】
これらの問題を解決するために、無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とをプラスチック基板に形成した液晶表示素子が提案されているが、有機ガスバリア膜またはプラスチック基板に直接無機ガスバリア膜を積層すると、無機ガスバリア膜の密着性が十分ではない。
【0011】
本発明は、以上のような従来の問題点に鑑みなされたものであって、プラスチック基板に無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とを積層しても、十分な密着性でもって無機ガスバリア膜が形成された液晶表示素子を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1記載の液晶表示素子は、無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とがそれぞれに積層された一対のプラスチック基板間に、液晶層を介在して形成される液晶表示素子において、前記無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜及びプラスチック基板の何れにも直接積層されることなく、前記無機ガスバリア膜の密着性を向上させるシロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート層を介して積層されていることを特徴としている。
【0013】
本発明の液晶表示素子によれば、無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜及びプラスチック基板の何れにも直接積層されることなく、無機ガスバリア膜の密着性を向上させるシロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート層を介して積層されていることにより、十分な密着性でもって無機ガスバリア膜を積層することができ、無機ガスバリア膜にクラックが生じることを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の参考例である液晶表示素子11の全体の構成を示す断面図であり、図2は図1に示すプラスチック基板12とそれに形成されるガスバリア膜17の配置を示す断面図である。図1に示すように液晶表示素子11は、膜処理が施された一対のプラスチック基板18間に液晶層13が注入され、シール材14によって封止されて形成される。前記プラスチック基板18は、図2(a)に示すように、プラスチック基板12の片面のみ、あるいは図2(b)に示すようにプラスチック基板12の両面にガスバリア膜17が形成される。ガスバリア膜17がプラスチック基板12の片面のみに形成されたプラスチック基板18を用いて液晶表示素子11を形成する場合には、ガスバリア膜17はプラスチック基板12の液晶層13側に配置されてもよいし、反対側に配置されてもよい。また、あるいは図2(a)に示すように、プラスチック基板12の片面にガスバリア膜17を形成後、図2(c)に示すように、2枚のプラスチック基板12間にガスバリア膜17を介在させてもよい。前述のように、それぞれガスバリア膜17が形成されたプラスチック基板18には、液晶層13を介在して対向する表面にITOなどから成る電極15が形成される。前記電極15に積層して配向膜16が形成され、配向処理が施される。
【0015】
前述のガスバリア膜17は、SiおよびAlの酸化物と窒化物とが高次に結合した非晶質複合化合物であるSiAlONから成り、O2とN2との混合ガスを雰囲気とする反応性スパッタ法によって前述のプラスチック基板12面上に形成される。また、前述のスパッタリングに、スパッタターゲットとしてSiおよびAlの酸化物であるSiO2、Al2O3などを用いれば、N2ガスを雰囲気とする反応性スパッタ法によって、SiAlON薄膜を形成することができる。このようにして、プラスチック基板12上に形成されたSiAlON膜17は、Si、Alの単純窒化膜、単純酸化膜がそれぞれの原子間の結合距離が一定であるのに対し、Si−Al、Si−O、Si−N、Al−O、Al−NおよびO−Nの結合がランダムに生じるので、様々な原子が様々な結合距離で結合した構造を有する。このため、ガスバリア性に優れ、図6に示すSiOx、SiNxなどから成るガスバリア膜7と比較すると、ガスバリア膜17を膜厚100nm以下に形成した場合でも、100nm以上の膜厚に形成されたSiOx、SiNx膜7に匹敵するガスバリア性を示す。
【0016】
図3は基板12上にSiAlON膜17を形成する際の反応性スパッタ法を説明するための断面図であり、図4は反応性スパッタリングにおけるスパッタターゲット23の1例を示す平面図である。図3(a)に示すように、プラスチック基板12は充分な洗浄の後スパッタチャンバー20内に設置される。さらに、スパッタチャンバー20内を真空にし、スパッタチャンバー20の内圧を5×10−5torrとする。このとき、スパッタチャンバー20内の湿度は、ほぼ0%になる。その後、図3(b)に示すように、スパッタチャンバー20内にO2ガス21を導入し、スパッタチャンバー20の内圧を3×10−3torrとする。次に、プラスチック基板12表面にO2プラズマ処理を施す。O2プラズマ処理は、プラスチック基板12とガスバリア膜17との密着性を良好にするために行われる。前記O2プラズマ処理を施すことによって、プラスチック基板12の表面に原子レベルの単位で、すなわち数nm〜数10nmの凹凸を生じる。したがって、プラスチック基板12の表面積すなわち結合面の面積が増大し、プラスチック基板12とガスバリア膜17との密着性が向上する。また、O2プラズマ処理によって、プラスチック基板12表面にカルボニル基および水酸基を生成し(これを微視的酸化という)、ガスバリア膜17とプラスチック基板12の表面とが結合しやすくなる。O2プラズマ処理は、室温、湿度0%、O2ガス中気圧3×10−3torrにて1分間100Wで放電して行われる。放電は、直流電源または交流電源のいずれを用いて行ってもよい。この後、スパッタチャンバー20内にN2ガスを導入し、スパッタチャンバー20の内圧が大気圧に等しくなったらプラスチック基板を取出す。
【0017】
さらに、図3(c)に示すように、スパッタチャンバー20内にO2+N2の混合ガス22を導入する。O2とN2の混合比、N2/O2は、1/2〜2であればよく、N2/O2=1が望ましい。このO2+N2の混合ガス22を雰囲気として、前述のO2プラズマ処理を施された基板12をスパッタターゲット23によってスパッタリングする。スパッタリングは、基板12の温度を20〜120℃とし、N2+O2混合ガス中気圧5×10−4〜3×10−3torr、湿度0%、印加電力40〜200W(直流でも交流でもよい)で行われ、プラスチック基板12表面上にSiAlON膜17を100nmの膜厚に形成する。このときの印加電力およびスパッタリング時間は装置によって異なり、印加電力とスパッタリング時間の関係は表1に示す。また、プラスチック基板12とスパッタターゲット23との距離は30mmが望ましい。
【0018】
【表1】
< ID=000001 HE=026 WI=154 LX=0000 LY=0000>
【0019】
スパッタターゲット23は、Si−Alの合金あるいは図4に示すようなAl基板24上にSiの小片25を配置したものを用いる。スパッタターゲット23は、Si−Alの合金を用いる場合、Si/Alが1/4〜4であればよく、Si/Al=1が望ましい。またスパッタターゲット23として、図4に示すようなAl基板24上にSiの小片25を配置したものを用いる場合には、SiとAlの面積比Si/Alが1/4〜4となるよう、好ましくはSi/Al=1となるよう配置する。スパッタリングは、プラスチック基板12が過熱しないよう40〜200Wで行う。このようにして、スパッタターゲット23から飛来するSiとAlは、N2+O2混合ガス22と反応しながらプラスチック基板12面上に積層され、SiAlON薄膜17を形成する。また、図4に示すように、スパッタターゲット23は同面積の正方形状のSi面25と、Al面24とが上下左右方向に交互に配置されているが、スパッタターゲット23としてはSi原子とAl原子がむらなくプラスチック基板12に放出されればよく、Si面25とAl面24とが図4に示す例とは異なるパターンに配置されてもよい。
【0020】
さらにスパッタターゲット23には、石英ガラス基板上にAlの小片を配置したもの、石英ガラス基板上にサファイアの小片を配置したもの、あるいはSiAlOから成る焼成酸化物などを用いてもよい。またスパッタターゲット23として、前述のうちSiAlOの焼成酸化物を用いる場合、N2ガスを雰囲気としてスパッタリングを行うのが好ましいが、N2+O2混合ガス22を用いて行ってもよい。また、スパッタターゲット23として、SiAlONセラミクスを用いる場合には、スパッタリングの雰囲気としてArガスを用いることができる。
【0021】
以上のようにして、本発明の参考例の液晶表示素子11は、液晶層13を介在する一対のプラスチック基板12上にそれぞれ膜厚100nmのSiAlONから成るガスバリア膜17が形成される。前記ガスバリア膜17は、SiOxから成る膜厚200nmのガスバリア膜7より優れたガスバリア性を示し、前記ガスバリア膜17をプラスチック基板12上に形成した液晶表示素子11と、ガスバリア膜7をプラスチック基板2上に形成した液晶表示素子1とを比較すると、室温、湿度50%、大気中10気圧下に12時間放置した場合、基板2上に200nmにSiOx膜を形成した液晶表示素子1には液晶層3中に気泡が発生したが、基板12上に100nmの膜厚でSiAlON膜17を形成した液晶表示素子11には液晶層13中に気泡の発生が認められなかった。
【0022】
さらに、厚さ0.2mmのポリカーボネートシートから成るプラスチック基板12の表面上にガスバリア膜17をそれぞれ50nm、100nm、200nmおよび400nmの膜厚に形成し、前記各プラスチック基板12を曲率半径R=40mm、20mm、10mmおよび5mmに曲げ、プラスチック基板12の曲げに対するガスバリア膜17のクラック発生の有無を測定した。表2に示すように、曲率半径40mmでは、いずれの膜厚でもガスバリア膜17にクラックの発生は認められず、曲率半径20mmでは膜厚400nmに形成されたガスバリア膜17にクラックが発生した。また、曲率半径10mmでは、膜厚400nmおよび200nmのガスバリア膜17にクラックの発生が認められ、曲率半径5mmでは、全てのプラスチック基板12が割損した。このように、プラスチック基板12の曲げに対しては、ガスバリア膜17の膜厚が薄いほどガスバリア膜17にクラックを生じにくく、膜厚100nm以下ではガスバリア膜17はプラスチック基板12とほぼ等しい膜強度を示すことが判る。
【0023】
【表2】
< ID=000002 HE=066 WI=154 LX=0000 LY=0000>
【0024】
このように本参考例によれば、プラスチック基板12上にSiAlONから成るガスバリア膜17を形成することによって、ガスバリア膜17の膜厚を100nm程度に薄くしても充分に液晶層13中に気泡が発生することを防止することができる。これによって、ガスバリア膜17を薄くすることができるので、プラスチック基板12のガスバリア膜17の内部応力による反りを防止することができるとともに、ガスバリア膜17のプラスチック基板12の曲げに対するクラックの発生を低減することができ、前記プラスチック基板12の加工性を向上することができる。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態である液晶表示素子31の全体の構成を示す断面図である。図5(a)に示すように、液晶表示素子31は、2枚のプラスチック基板32に有機ガスバリア膜38を介在し、その両面にハードコート膜36および無機ガスバリア膜37を形成した一対の基板41間に液晶層33を介在して形成される。液晶表示素子31のプラスチック基板32には、300mm×324mm、厚さ0.2mmのアクリル系プラスチック基板が用いられ、プラスチック基板32の表面上にはEVOAがスピンコート法にて塗布され、前記EVOAから成る有機ガスバリア膜38が膜厚2〜4μm程度に形成される。その後、この面に前記アクリル系プラスチック基板32が積層され、プラスチック基板32間にEVOA層38が介在されるよう接着される。前記スピンコート法は、1000〜3000rpmで回転するステージ上にプラスチック基板32を乗載し、回転中心部にEVOAから成る溶液を滴下して行われる。その後、前記プラスチック基板32は、ディップ法によってシロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート剤を塗布され、焼結によって膜厚1.5〜2μmのハードコート層36がプラスチック基板32の両面に形成される。
【0026】
前記ディップ法とは、一定粘度に調整されたハードコート溶液槽中に有機ガスバリア膜38を介在したプラスチック基板32を浸し、前記プラスチック基板32面を地面に対して垂直な状態で徐々に引上げ、前記基板32の表面に均一にハードコート膜36を形成する方法である。さらに、このようにして塗布されたハードコート膜36は、140℃オーブン炉内で約2時間焼結による硬化が行われる。前記ハードコート処理は、下地となるプラスチック基板32の保護およびこれに引続いてスパッタ法によって形成される無機ガスバリア膜37の密着性の向上を目的とする前処理として行われる。
【0027】
次に、スパッタ法によって前記ハードコート層36上にSiNx、SiOx層が積層され、膜厚約600Åの無機ガスバリア膜37が形成される。本実施の形態においては、前記無機ガスバリア膜37はSiNx層を膜厚200Åに形成した後、さらにSiOx層を膜厚400Åに積層形成した。前述のように、各処理を施された前記プラスチック基板41の電極面となる側の表面上には、スパッタ法によってITO層35が形成された後、エッチングなどの既知の方法を用いて電極パターンが形成され、これに積層して図示しない配向膜が形成される。前記配向膜には、配向処理が施される。この後、前記プラスチック基板41と、前述と同様にして形成されたプラスチック基板41とが配向面が対向するようにスペーサを介して貼り合わされる。さらに、前記基板41間に液晶33が注入され、シール材34で封止される。
【0028】
以上のようにして形成された液晶表示素子31を、恒温槽内でそれぞれ温度40℃湿度95%、温度60℃湿度95%および温度70℃湿度95%の条件下で通電状態あるいは通電しない状態で保存したが、前記いずれの場合にも1000時間まで液晶層33内に気泡の発生が見られなかった。さらに、温度50℃、気圧5kgf/cm2空気中で12時間保存した場合も、液晶層33内に気泡の発生は見られなかった。
【0029】
図5(b)に示す液晶表示素子39は、300mm×324mm、厚さ0.4mmのアクリル系プラスチック基板32の一方表面上にEVOAをスピンコート法によって塗布し、有機ガスバリア膜38が形成された後、ディップ法によってハードコート剤が基板32の両面に塗布され、焼結によって前記基板32の両面にハードコート層36が形成される。さらに、スパッタ法によって前記基板32の両面にSiNx、SiOx層が積層され、それぞれ無機ガスバリア膜37が膜厚が約600Åとなるよう形成される。さらに、前記基板41の有機ガスバリア膜38が形成された側の面上にITOから成る電極35が形成され、これに積層して配向膜が形成され、配向処理が施される。以下、図5(a)に示す液晶表示素子31と同様にして液晶表示素子39が形成される。このようにして、形成された液晶表示素子39は、前述の液晶表示素子31と同様の条件下、すなわち温度40℃湿度95%、温度60℃湿度95%および温度70℃湿度95%の条件下で通電あるいは非通電状態で保存された。この場合も、前記いずれの条件下においても1000時間まで液晶層33内に気泡の発生が見られなかった。さらに、温度50℃、気圧5kgf/cm2空気中で12時間保存した場合にも液晶層33内に気泡の発生が認められなかった。
【0030】
図5(c)に示す液晶表示素子40は、図5(b)に示す液晶表示素子39と同様にしてプラスチック基板32の一方表面上にEVOAから成る有機ガスバリア膜38が形成され、該基板32の両面にハードコート層36および無機ガスバリア膜37が形成された後、有機ガスバリア膜38が形成されていない側の無機ガスバリア膜37に積層してITOから成る電極35および配向膜が形成される。以下、図5(a)に示す液晶表示素子31と同様にして液晶表示素子40が形成される。このようにして形成された液晶表示素子40は、前述の液晶表示素子31と同様の条件下においても液晶層33内に気泡の発生が認められなかった。
【0031】
以上のように本実施の形態によれば液晶表示素子31、39、40は、プラスチック基板32の両面にSiNx、SiOxから成る無機ガスバリア膜37が形成され、その下層にEVOAから成る有機ガスバリア膜38が積層されているので、前記無機ガスバリア膜37にスパッタリング時の異物付着や異常放電によって欠陥が生じていても、あるいは基板32の曲げによって無機ガスバリア膜37に亀裂が生じても、下層に積層された有機ガスバリア膜38によってプラスチック基板32からのガス透過が防止でき、液晶層33内に気泡が生じることを防止することができる。
【0032】
また本実施の形態においては、SiOx、SiNxから成る無機ガスバリア膜37を基板32の両面に形成したが、いずれか一方の基板32表面に形成してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明のように、本発明の液晶表示素子によれば、無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜及びプラスチック基板の何れにも直接積層されることなく、無機ガスバリア膜の密着性を向上させるシロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート層を介して積層されていることにより、十分な密着性でもって無機ガスバリア膜を積層することができ、無機ガスバリア膜にクラックが生じることを防止することができる。したがって、表示信頼性に優れた液晶表示素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例である液晶表示素子11の全体の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すプラスチック基板12と、それに形成されるガスバリア膜17とを示す断面図である。
【図3】基板12上にSiAlON膜17を形成する際の反応性スパッタ法を説明するための断面図である。
【図4】反応性スパッタリングにおけるスパッタターゲット23の1例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態である液晶表示素子31の全体の構成を示す断面図である。
【図6】従来のガスバリア膜7を備えるプラスチック基板液晶表示素子1を示す断面図である。
【図7】基板2上に形成される成膜原子8の状態を示す断面図である。
【図8】基板2の曲げに対する膜7の強度と、膜7の膜厚との関係を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、11、31、39、40 液晶表示素子
2、12、32 プラスチック基板
3、13、33 液晶層
4、14、34 シール材
5、15、35 電極
6、36 ハードコート膜
7 ガスバリア膜
8 成膜原子
9 成膜原子の第1層
10 界面
16 配向膜
17 SiAlON膜(ガスバリア膜)
18、41 膜処理を施したプラスチック基板
20 スパッタチャンバー
21 O2ガス
22 O2+N2の混合ガス
23 スパッタターゲット
24 Al基板
25 Siの小片
37 無機ガスバリア膜
38 有機ガスバリア膜
42、45 膜厚
43、44 膜表面の伸び
Claims (1)
- 無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とがそれぞれに積層された一対のプラスチック基板間に、液晶層を介在して形成される液晶表示素子において、
前記無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜及びプラスチック基板の何れにも直接積層されることなく、前記無機ガスバリア膜の密着性を向上させるシロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート層を介して積層されていることを特徴とする液晶表示素子。
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