JPH11258583A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JPH11258583A
JPH11258583A JP1396199A JP1396199A JPH11258583A JP H11258583 A JPH11258583 A JP H11258583A JP 1396199 A JP1396199 A JP 1396199A JP 1396199 A JP1396199 A JP 1396199A JP H11258583 A JPH11258583 A JP H11258583A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック基板に無機ガスバリア膜と有機
ガスバリア膜とを積層しても、十分な密着性でもって無
機ガスバリア膜が形成された液晶表示素子を提供する。 【解決手段】 無機ガスバリア膜37と有機ガスバリア
膜38とがそれぞれに積層された一対のプラスチック基
板32間に、液晶層33を介在して形成される液晶表示
素子において、無機ガスバリア膜37は、有機ガスバリ
ア膜38またはプラスチック基板32に直接積層される
ことなく、シロキサン系をベースにSi粒子を混入した
ハードコート層36を介して積層することで、十分な密
着性でもって無機ガスバリア膜37を積層することがで
きる。したがって、プラスチック基板32をガスが透過
し液晶層33内に気泡を生じることを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶層を介在する
一対のプラスチック基板に無機ガスバリア膜と有機ガス
バリア膜とが形成された液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子の薄型軽量化を図り、基板
の加工性を向上するためにガラスのかわりにプラスチッ
ク素材を用いて液晶表示素子の基板を形成することが試
みられている。しかし、プラスチック基板はガラス基板
に比べてガス透過率が高く、このために外部から透過し
てきたガスが液晶層中に気泡を生じ、液晶表示素子の表
示不良を生じる。
【0003】このため、特開平3−138617号公報
に示されるように、液晶表示素子のプラスチック基板表
面に透光性を有するSi、Tiなどの金属酸化物あるい
は金属窒化物のガスバリア膜をスパッタ法などによって
形成し、プラスチック基板のガス透過性を抑制する構造
が提案されている。
【0004】図6は、従来の液晶表示素子1を示す断面
図である。液晶表示素子1は、一対のプラスチック基板
2間に液晶層3が封入され、シール材4によって封止さ
れて形成される。前記一対のプラスチック基板2は、両
面にハードコート膜6と、これに積層してSi、Tiな
どのアモルファス金属酸化物あるいは金属窒化物から成
るガスバリア膜7が形成され、さらに対向する面上にI
TO(インジウム錫酸化物)などの透光性を有する電極
5が形成される。
【0005】一方、前記ガスバリア膜7をPVA(ポリ
ビニルアルコール)、EVOA(PVAとエチレンの共
重合体)などの有機物で形成した液晶表示素子1も試み
られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のような
Si、Tiなどの酸化膜あるいは窒化膜、たとえばSi
x、SiNxなどから成るガスバリア膜7は、ガスバリ
ア性が低いため、100nm以上の厚さに形成しなけれ
ば充分な機能を果たさない。
【0007】図7は、基板2上に形成される成膜原子8
の状態を示す断面図である。図7に示すように、真空蒸
着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびCV
D法などで基板上に形成される膜は、膜を構成する原子
8が基板2上に積層されることによって成膜される。こ
のとき、成膜原子8の第1層9の構造は、基板2表面の
原子レベルの大きさでの凹凸および基板2表面を構成す
る原子および電子と成膜原子8との相互作用に依存して
おり、基板2表面の微視的状態を反映したものとなる。
しかし、成膜原子8が積層していくにしたがって、上層
の成膜原子8に対する基板2表面の影響は小さくなり、
膜厚が大きくなると、膜と基板2表面との界面10と膜
内部との構造が異なってくる。このため、膜内部が外に
拡がろうとし、膜と基板2表面との界面10を圧縮する
圧縮応力または膜内部が収縮し、膜と基板2表面との界
面10を引張る引張応力などの内部応力を生じる。この
ような内部応力は、膜厚が大きいほど大きくなる。した
がって、このように厚く形成されたガスバリア膜7は、
膜の内部応力が大きくなり、プラスチック基板2が反る
などの不都合を生じる。
【0008】図8は、基板2の曲げに対する膜7の強度
と、膜7の膜厚との関係を説明するための断面図であ
る。図8に示すように、膜7側が突部を形成するように
基板2を曲げていくと、膜7の突部側表面の伸びが膜7
の破壊伸度以上になったとき膜7の突部側表面に亀裂を
生じる。また、同じ厚さの基板2上に膜7を形成する場
合には、同じ曲げに対して膜7の膜厚42が大きいほど
突部側膜7表面の伸び43が大きくなり、これに対して
膜7の膜厚45を小さくすると、突部側膜7表面の伸び
44は小さい。このように、ガスバリア膜7を100n
m以上の厚さに形成すると、プラスチック基板2の曲げ
に対して弱く、基板2の曲げによってガスバリア膜7に
亀裂を生じることがあり、この亀裂から進入したガスに
よって液晶層3内に気泡を生じる結果となる。
【0009】また、これらの原因以外にもスパッタリン
グ時に基板面上に異物が付着したり、スパッタリング時
の異常放電などの原因によってガスバリア膜7に欠陥を
生じ、これによって液晶層3内に気泡を生じる可能性が
ある。
【0010】これらの問題を解決するために、無機ガス
バリア膜と有機ガスバリア膜とをプラスチック基板に形
成した液晶表示素子が提案されているが、有機ガスバリ
ア膜またはプラスチック基板に直接無機ガスバリア膜を
積層すると、無機ガスバリア膜の密着性が十分ではな
い。
【0011】本発明は、以上のような従来の問題点に鑑
みなされたものであって、プラスチック基板に無機ガス
バリア膜と有機ガスバリア膜とを積層しても、十分な密
着性でもって無機ガスバリア膜が形成された液晶表示素
子を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明の請求項1記載の液晶表示素子は、無機
ガスバリア膜と有機ガスバリア膜とがそれぞれに積層さ
れた一対のプラスチック基板間に、液晶層を介在して形
成される液晶表示素子において、前記無機ガスバリア膜
は、有機ガスバリア膜またはプラスチック基板に直接積
層されることなく、シロキサン系をベースにSi粒子を
混入したハードコート層を介して積層されていることを
特徴としている。
【0013】本発明の液晶表示素子によれば、無機ガス
バリア膜は、有機ガスバリア膜またはプラスチック基板
に直接積層されることなく、シロキサン系をベースにS
i粒子を混入したハードコート層を介して積層されてい
ることにより、十分な密着性でもって無機ガスバリア膜
を積層することができ、無機ガスバリア膜にクラックが
生じることを防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の参考例である液晶
表示素子11の全体の構成を示す断面図であり、図2は
図1に示すプラスチック基板12とそれに形成されるガ
スバリア膜17の配置を示す断面図である。図1に示す
ように液晶表示素子11は、膜処理が施された一対のプ
ラスチック基板18間に液晶層13が注入され、シール
材14によって封止されて形成される。前記プラスチッ
ク基板18は、図2(a)に示すように、プラスチック
基板12の片面のみ、あるいは図2(b)に示すように
プラスチック基板12の両面にガスバリア膜17が形成
される。ガスバリア膜17がプラスチック基板12の片
面のみに形成されたプラスチック基板18を用いて液晶
表示素子11を形成する場合には、ガスバリア膜17は
プラスチック基板12の液晶層13側に配置されてもよ
いし、反対側に配置されてもよい。また、あるいは図2
(a)に示すように、プラスチック基板12の片面にガ
スバリア膜17を形成後、図2(c)に示すように、2
枚のプラスチック基板12間にガスバリア膜17を介在
させてもよい。前述のように、それぞれガスバリア膜1
7が形成されたプラスチック基板18には、液晶層13
を介在して対向する表面にITOなどから成る電極15
が形成される。前記電極15に積層して配向膜16が形
成され、配向処理が施される。
【0015】前述のガスバリア膜17は、SiおよびA
lの酸化物と窒化物とが高次に結合した非晶質複合化合
物であるSiAlONから成り、O2とN2との混合ガス
を雰囲気とする反応性スパッタ法によって前述のプラス
チック基板12面上に形成される。また、前述のスパッ
タリングに、スパッタターゲットとしてSiおよびAl
の酸化物であるSiO2、Al23などを用いれば、N2
ガスを雰囲気とする反応性スパッタ法によって、SiA
lON薄膜を形成することができる。このようにして、
プラスチック基板12上に形成されたSiAlON膜1
7は、Si、Alの単純窒化膜、単純酸化膜がそれぞれ
の原子間の結合距離が一定であるのに対し、Si−A
l、Si−O、Si−N、Al−O、Al−NおよびO
−Nの結合がランダムに生じるので、様々な原子が様々
な結合距離で結合した構造を有する。このため、ガスバ
リア性に優れ、図6に示すSiOx、SiNxなどから成
るガスバリア膜7と比較すると、ガスバリア膜17を膜
厚100nm以下に形成した場合でも、100nm以上
の膜厚に形成されたSiOx、SiNx膜7に匹敵するガ
スバリア性を示す。
【0016】図3は基板12上にSiAlON膜17を
形成する際の反応性スパッタ法を説明するための断面図
であり、図4は反応性スパッタリングにおけるスパッタ
ターゲット23の1例を示す平面図である。図3(a)
に示すように、プラスチック基板12は充分な洗浄の後
スパッタチャンバー20内に設置される。さらに、スパ
ッタチャンバー20内を真空にし、スパッタチャンバー
20の内圧を5×10-5torrとする。このとき、ス
パッタチャンバー20内の湿度は、ほぼ0%になる。そ
の後、図3(b)に示すように、スパッタチャンバー2
0内にO2ガス21を導入し、スパッタチャンバー20
の内圧を3×10-3torrとする。次に、プラスチッ
ク基板12表面にO2プラズマ処理を施す。O2プラズマ
処理は、プラスチック基板12とガスバリア膜17との
密着性を良好にするために行われる。前記O2プラズマ
処理を施すことによって、プラスチック基板12の表面
に原子レベルの単位で、すなわち数nm〜数10nmの
凹凸を生じる。したがって、プラスチック基板12の表
面積すなわち結合面の面積が増大し、プラスチック基板
12とガスバリア膜17との密着性が向上する。また、
2プラズマ処理によって、プラスチック基板12表面
にカルボニル基および水酸基を生成し(これを微視的酸
化という)、ガスバリア膜17とプラスチック基板12
の表面とが結合しやすくなる。O2プラズマ処理は、室
温、湿度0%、O2ガス中気圧3×10-3torrにて
1分間100Wで放電して行われる。放電は、直流電源
または交流電源のいずれを用いて行ってもよい。この
後、スパッタチャンバー20内にN2ガスを導入し、ス
パッタチャンバー20の内圧が大気圧に等しくなったら
プラスチック基板を取出す。
【0017】さらに、図3(c)に示すように、スパッ
タチャンバー20内にO2+N2の混合ガス22を導入す
る。O2とN2の混合比、N2/O2は、1/2〜2であれ
ばよく、N2/O2=1が望ましい。このO2+N2の混合
ガス22を雰囲気として、前述のO2プラズマ処理を施
された基板12をスパッタターゲット23によってスパ
ッタリングする。スパッタリングは、基板12の温度を
20〜120℃とし、N2+O2混合ガス中気圧5×10
-4〜3×10-3torr、湿度0%、印加電力40〜2
00W(直流でも交流でもよい)で行われ、プラスチッ
ク基板12表面上にSiAlON膜17を100nmの
膜厚に形成する。このときの印加電力およびスパッタリ
ング時間は装置によって異なり、印加電力とスパッタリ
ング時間の関係は表1に示す。また、プラスチック基板
12とスパッタターゲット23との距離は30mmが望
ましい。
【0018】
【表1】
【0019】スパッタターゲット23は、Si−Alの
合金あるいは図4に示すようなAl基板24上にSiの
小片25を配置したものを用いる。スパッタターゲット
23は、Si−Alの合金を用いる場合、Si/Alが
1/4〜4であればよく、Si/Al=1が望ましい。
またスパッタターゲット23として、図4に示すような
Al基板24上にSiの小片25を配置したものを用い
る場合には、SiとAlの面積比Si/Alが1/4〜
4となるよう、好ましくはSi/Al=1となるよう配
置する。スパッタリングは、プラスチック基板12が過
熱しないよう40〜200Wで行う。このようにして、
スパッタターゲット23から飛来するSiとAlは、N
2+O2混合ガス22と反応しながらプラスチック基板1
2面上に積層され、SiAlON薄膜17を形成する。
また、図4に示すように、スパッタターゲット23は同
面積の正方形状のSi面25と、Al面24とが上下左
右方向に交互に配置されているが、スパッタターゲット
23としてはSi原子とAl原子がむらなくプラスチッ
ク基板12に放出されればよく、Si面25とAl面2
4とが図4に示す例とは異なるパターンに配置されても
よい。
【0020】さらにスパッタターゲット23には、石英
ガラス基板上にAlの小片を配置したもの、石英ガラス
基板上にサファイアの小片を配置したもの、あるいはS
iAlOから成る焼成酸化物などを用いてもよい。また
スパッタターゲット23として、前述のうちSiAlO
の焼成酸化物を用いる場合、N2ガスを雰囲気としてス
パッタリングを行うのが好ましいが、N2+O2混合ガス
22を用いて行ってもよい。また、スパッタターゲット
23として、SiAlONセラミクスを用いる場合に
は、スパッタリングの雰囲気としてArガスを用いるこ
とができる。
【0021】以上のようにして、本発明の参考例の液晶
表示素子11は、液晶層13を介在する一対のプラスチ
ック基板12上にそれぞれ膜厚100nmのSiAlO
Nから成るガスバリア膜17が形成される。前記ガスバ
リア膜17は、SiOxから成る膜厚200nmのガス
バリア膜7より優れたガスバリア性を示し、前記ガスバ
リア膜17をプラスチック基板12上に形成した液晶表
示素子11と、ガスバリア膜7をプラスチック基板2上
に形成した液晶表示素子1とを比較すると、室温、湿度
50%、大気中10気圧下に12時間放置した場合、基
板2上に200nmにSiOx膜を形成した液晶表示素
子1には液晶層3中に気泡が発生したが、基板12上に
100nmの膜厚でSiAlON膜17を形成した液晶
表示素子11には液晶層13中に気泡の発生が認められ
なかった。
【0022】さらに、厚さ0.2mmのポリカーボネー
トシートから成るプラスチック基板12の表面上にガス
バリア膜17をそれぞれ50nm、100nm、200
nmおよび400nmの膜厚に形成し、前記各プラスチ
ック基板12を曲率半径R=40mm、20mm、10
mmおよび5mmに曲げ、プラスチック基板12の曲げ
に対するガスバリア膜17のクラック発生の有無を測定
した。表2に示すように、曲率半径40mmでは、いず
れの膜厚でもガスバリア膜17にクラックの発生は認め
られず、曲率半径20mmでは膜厚400nmに形成さ
れたガスバリア膜17にクラックが発生した。また、曲
率半径10mmでは、膜厚400nmおよび200nm
のガスバリア膜17にクラックの発生が認められ、曲率
半径5mmでは、全てのプラスチック基板12が割損し
た。このように、プラスチック基板12の曲げに対して
は、ガスバリア膜17の膜厚が薄いほどガスバリア膜1
7にクラックを生じにくく、膜厚100nm以下ではガ
スバリア膜17はプラスチック基板12とほぼ等しい膜
強度を示すことが判る。
【0023】
【表2】
【0024】このように本参考例によれば、プラスチッ
ク基板12上にSiAlONから成るガスバリア膜17
を形成することによって、ガスバリア膜17の膜厚を1
00nm程度に薄くしても充分に液晶層13中に気泡が
発生することを防止することができる。これによって、
ガスバリア膜17を薄くすることができるので、プラス
チック基板12のガスバリア膜17の内部応力による反
りを防止することができるとともに、ガスバリア膜17
のプラスチック基板12の曲げに対するクラックの発生
を低減することができ、前記プラスチック基板12の加
工性を向上することができる。
【0025】図5は、本発明の実施の形態である液晶表
示素子31の全体の構成を示す断面図である。図5
(a)に示すように、液晶表示素子31は、2枚のプラ
スチック基板32に有機ガスバリア膜38を介在し、そ
の両面にハードコート膜36および無機ガスバリア膜3
7を形成した一対の基板41間に液晶層33を介在して
形成される。液晶表示素子31のプラスチック基板32
には、300mm×324mm、厚さ0.2mmのアク
リル系プラスチック基板が用いられ、プラスチック基板
32の表面上にはEVOAがスピンコート法にて塗布さ
れ、前記EVOAから成る有機ガスバリア膜38が膜厚
2〜4μm程度に形成される。その後、この面に前記ア
クリル系プラスチック基板32が積層され、プラスチッ
ク基板32間にEVOA層38が介在されるよう接着さ
れる。前記スピンコート法は、1000〜3000rp
mで回転するステージ上にプラスチック基板32を乗載
し、回転中心部にEVOAから成る溶液を滴下して行わ
れる。その後、前記プラスチック基板32は、ディップ
法によってシロキサン系をベースにSi粒子を混入した
ハードコート剤を塗布され、焼結によって膜厚1.5〜
2μmのハードコート層36がプラスチック基板32の
両面に形成される。
【0026】前記ディップ法とは、一定粘度に調整され
たハードコート溶液槽中に有機ガスバリア膜38を介在
したプラスチック基板32を浸し、前記プラスチック基
板32面を地面に対して垂直な状態で徐々に引上げ、前
記基板32の表面に均一にハードコート膜36を形成す
る方法である。さらに、このようにして塗布されたハー
ドコート膜36は、140℃オーブン炉内で約2時間焼
結による硬化が行われる。前記ハードコート処理は、下
地となるプラスチック基板32の保護およびこれに引続
いてスパッタ法によって形成される無機ガスバリア膜3
7の密着性の向上を目的とする前処理として行われる。
【0027】次に、スパッタ法によって前記ハードコー
ト層36上にSiNx、SiOx層が積層され、膜厚約6
00Åの無機ガスバリア膜37が形成される。本実施の
形態においては、前記無機ガスバリア膜37はSiNx
層を膜厚200Åに形成した後、さらにSiOx層を膜
厚400Åに積層形成した。前述のように、各処理を施
された前記プラスチック基板41の電極面となる側の表
面上には、スパッタ法によってITO層35が形成され
た後、エッチングなどの既知の方法を用いて電極パター
ンが形成され、これに積層して図示しない配向膜が形成
される。前記配向膜には、配向処理が施される。この
後、前記プラスチック基板41と、前述と同様にして形
成されたプラスチック基板41とが配向面が対向するよ
うにスペーサを介して貼り合わされる。さらに、前記基
板41間に液晶33が注入され、シール材34で封止さ
れる。
【0028】以上のようにして形成された液晶表示素子
31を、恒温槽内でそれぞれ温度40℃湿度95%、温
度60℃湿度95%および温度70℃湿度95%の条件
下で通電状態あるいは通電しない状態で保存したが、前
記いずれの場合にも1000時間まで液晶層33内に気
泡の発生が見られなかった。さらに、温度50℃、気圧
5kgf/cm2空気中で12時間保存した場合も、液
晶層33内に気泡の発生は見られなかった。
【0029】図5(b)に示す液晶表示素子39は、3
00mm×324mm、厚さ0.4mmのアクリル系プ
ラスチック基板32の一方表面上にEVOAをスピンコ
ート法によって塗布し、有機ガスバリア膜38が形成さ
れた後、ディップ法によってハードコート剤が基板32
の両面に塗布され、焼結によって前記基板32の両面に
ハードコート層36が形成される。さらに、スパッタ法
によって前記基板32の両面にSiNx、SiOx層が積
層され、それぞれ無機ガスバリア膜37が膜厚が約60
0Åとなるよう形成される。さらに、前記基板41の有
機ガスバリア膜38が形成された側の面上にITOから
成る電極35が形成され、これに積層して配向膜が形成
され、配向処理が施される。以下、図5(a)に示す液
晶表示素子31と同様にして液晶表示素子39が形成さ
れる。このようにして、形成された液晶表示素子39
は、前述の液晶表示素子31と同様の条件下、すなわち
温度40℃湿度95%、温度60℃湿度95%および温
度70℃湿度95%の条件下で通電あるいは非通電状態
で保存された。この場合も、前記いずれの条件下におい
ても1000時間まで液晶層33内に気泡の発生が見ら
れなかった。さらに、温度50℃、気圧5kgf/cm
2空気中で12時間保存した場合にも液晶層33内に気
泡の発生が認められなかった。
【0030】図5(c)に示す液晶表示素子40は、図
5(b)に示す液晶表示素子39と同様にしてプラスチ
ック基板32の一方表面上にEVOAから成る有機ガス
バリア膜38が形成され、該基板32の両面にハードコ
ート層36および無機ガスバリア膜37が形成された
後、有機ガスバリア膜38が形成されていない側の無機
ガスバリア膜37に積層してITOから成る電極35お
よび配向膜が形成される。以下、図5(a)に示す液晶
表示素子31と同様にして液晶表示素子40が形成され
る。このようにして形成された液晶表示素子40は、前
述の液晶表示素子31と同様の条件下においても液晶層
33内に気泡の発生が認められなかった。
【0031】以上のように本実施の形態によれば液晶表
示素子31、39、40は、プラスチック基板32の両
面にSiNx、SiOxから成る無機ガスバリア膜37が
形成され、その下層にEVOAから成る有機ガスバリア
膜38が積層されているので、前記無機ガスバリア膜3
7にスパッタリング時の異物付着や異常放電によって欠
陥が生じていても、あるいは基板32の曲げによって無
機ガスバリア膜37に亀裂が生じても、下層に積層され
た有機ガスバリア膜38によってプラスチック基板32
からのガス透過が防止でき、液晶層33内に気泡が生じ
ることを防止することができる。
【0032】また本実施の形態においては、SiOx
SiNxから成る無機ガスバリア膜37を基板32の両
面に形成したが、いずれか一方の基板32表面に形成し
てもよい。
【0033】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の液晶表示
素子によれば、無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜
またはプラスチック基板に直接積層されることなく、シ
ロキサン系をベースにSi粒子を混入したハードコート
層を介して積層されていることにより、十分な密着性で
もって無機ガスバリア膜を積層することができ、無機ガ
スバリア膜にクラックが生じることを防止することがで
きる。したがって、表示信頼性に優れた液晶表示素子を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例である液晶表示素子11の全体
の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示すプラスチック基板12と、それに形
成されるガスバリア膜17とを示す断面図である。
【図3】基板12上にSiAlON膜17を形成する際
の反応性スパッタ法を説明するための断面図である。
【図4】反応性スパッタリングにおけるスパッタターゲ
ット23の1例を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態である液晶表示素子31の
全体の構成を示す断面図である。
【図6】従来のガスバリア膜7を備えるプラスチック基
板液晶表示素子1を示す断面図である。
【図7】基板2上に形成される成膜原子8の状態を示す
断面図である。
【図8】基板2の曲げに対する膜7の強度と、膜7の膜
厚との関係を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1、11、31、39、40 液晶表示素子 2、12、32 プラスチック基板 3、13、33 液晶層 4、14、34 シール材 5、15、35 電極 6、36 ハードコート膜 7 ガスバリア膜 8 成膜原子 9 成膜原子の第1層 10 界面 16 配向膜 17 SiAlON膜(ガスバリア膜) 18、41 膜処理を施したプラスチック基板 20 スパッタチャンバー 21 O2ガス 22 O2+N2の混合ガス 23 スパッタターゲット 24 Al基板 25 Siの小片 37 無機ガスバリア膜 38 有機ガスバリア膜 42、45 膜厚 43、44 膜表面の伸び

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機ガスバリア膜と有機ガスバリア膜と
    がそれぞれに積層された一対のプラスチック基板間に、
    液晶層を介在して形成される液晶表示素子において、 前記無機ガスバリア膜は、有機ガスバリア膜またはプラ
    スチック基板に直接積層されることなく、シロキサン系
    をベースにSi粒子を混入したハードコート層を介して
    積層されていることを特徴とする液晶表示素子。
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