JP3576678B2 - 板材加工機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板材加工機に関し、より詳しくは板材を加工して製品を得、この製品と残材とを仕分けする板材加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、板材加工機として例えば特開平5−293559号公報に、パンチ加工された製品または残材が、下方のスライドテーブルを開放して形成される開口を通してさらに下方の搬送手段上に落下され搬送される装置が開示されている。
【0003】
また、特開平4−52036号公報には前記特開平5−293559号公報と同様にパンチ加工された製品と残材とを同じ搬送手段上に落下させ搬送した後、この製品と残材とを仕分けする方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−293559号公報に開示されている装置によれば、製品が落下の際に搬送手段の搬送面により傷付けられたり逆にその搬送面を傷めたりするという問題がある。また、残材が落下の際に傾斜してその残材の端部がパンチ加工ヘッドと干渉するという問題もある。
【0005】
また、特開平4−52036号公報に開示の方法によれば、製品のパンチ加工速度を上昇させても下流側の製品と残材との仕分け機構の処理能力が律速因子となるためパンチ加工速度の上昇がシステム全体としての処理速度に反映されないという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、製品が落下により傷付かず、残材がパンチ加工ヘッド等の加工ヘッドと干渉することがなく、さらに残材と仕分けされた製品が迅速に得られる板材加工機を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
本発明による板材加工機は、前述された目的を達成するために、
略水平な搬送面に沿って搬送される板材を加工ヘッドにより加工してその板材から製品を切断し、この製品と残材とを仕分けする板材加工機であって、
(a)前記加工ヘッドの下方近傍に設けられ、多数のブラシが植設された搬送面を有し、この搬送面を略水平に維持したまま降下させた後、その搬送面を傾斜させて前記製品を前記ブラシ上で滑落させるワークシュータ、
(b)このワークシュータにて滑落されない製品または残材を搬送する、少なくとも第1コンベアとその第1コンベアに連設される第2コンベアを有するコンベア、
(c)このコンベアにて搬送される製品または残材をその搬送面に沿った方向に引出し搬送するグリップアンローダおよび
(d)前記第1コンベアに沿って前記残材が前記加工ヘッドから所定距離搬送された位置で前記第2コンベアを搬送面から降下させることによりその残材を降下させる残材降下機構を備えることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の板材加工機において、搬送面において加工されて得られる製品は、ワークシュータによって搬送面を略水平に維持したまま一旦降下された後滑落される、またはグリップアンローダによりその搬送面に沿った方向に引出されるので、落下により傷付くことがない。また、前記ワークシュータによって搬送面が一旦降下されるので、搬送面上の製品を残材から確実に分離することができ、製品の滑落の際に、その製品が板材にひっかかるのを防止することができる。
【0009】
一方、残材は加工ヘッドから搬送面に沿って所定距離搬送されたところで搬送面から降下されるので降下の際に傾斜してもその残材の端部が加工ヘッドと干渉することがない。また、残材がグリップアンローダにより搬出される場合にも、この残材は搬送面に沿って引き出されるので傾斜せずその残材の端部が加工ヘッドと干渉することはあり得ない。
【0010】
また、本発明の板材加工機によれば、製品はワークシュータにより搬送され、残材は残材降下機構により降下され搬送面から搬送されるので、前記従来技術のように混在状態で排出されてくる製品と残材とを改めて仕分けする必要がないので、残材と仕分けされた製品が迅速に得られる。加えて、グリップアンローダによって搬送される製品の大きさと、ワークシュータによって搬送される製品の大きさが異なるように設定すれば、加工ヘッドによって加工して得られる製品を、大きさに応じて仕分けすることもできる。同様にグリップアンローダと、残材降下機構から、それぞれ異なる大きさの残材を搬出するようにすることにより、残材を大きさに応じて仕分けることができる。
【0012】
本発明において、前記第2コンベアは、無限軌道式のコンベアであり、降下させていない状態において前記製品または残材を前記搬送面に沿って搬送し得るものであるのが好ましい。このような残材降下機構の構成により、加工すべき板材および得られる製品または残材の搬送をスムーズに行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による板材加工機の具体的実施例につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本発明の一実施例に係る板材加工機1が図1(a)(b)に示されている。この板材加工機1においては、水平なパスライン(搬送面)2に沿って搬送される板材3を、上方に配されるパンチ加工ヘッド4および/またはレーザー加工ヘッド5により加工して製品を得るようにされ、この得られた製品と残材とは加工後に仕分けするようにされている。このパンチ加工ヘッド4,レーザー加工ヘッド5に板材3の加工部位を位置合わせするために、この板材3は端部(図1(a)では上端部)が複数のクランパ6により把持されて移動されるように構成されている。
【0016】
この板材加工機1は、前記パンチ加工ヘッド4,レーザー加工ヘッド5の下方近傍にワークシュータ7を備えている。このワークシュータ7周辺の部分的拡大図が図2に示されている。また、図2のA−Aライン側断面図が図3(a)(b)に示されている。
【0017】
このようにワークシュータ7は揺動板8に多数のブラシ9が植設されてなり、この揺動板8の右端部は略中央部が折れ曲がった支持アーム10の先端部に揺動可能に取り付けられている。この支持アーム10の基端部は昇降ジャッキ11に取り付けられている。また、前記揺動板8の下面は、揺動用ジャッキ12の先端に揺動自在に取り付けられた支持フレーム13により支持されている。
【0018】
このような構成において、このワークシュータ7から滑落すべき製品がない場合は図3(a)に示されているようにワークシュータ7はパスライン2と平行に支持されている。ここで、例えば前記レーザ加工ヘッド5により板材3にレーザ加工が施されワークシュータ7から滑落すべき製品14が切断されると、この板材3はその製品14がワークシュータ7の上に来るように移動される。次に、図3(b)に示されているように、前記昇降ジャッキ11が降下することによりワークシュータ7が垂直方向に降下され、この後揺動用ジャッキ12が収縮することにより、ワークシュータ7が傾けられ、製品14がワークシュータ7上を滑り落ちる。このワークシュータ7の下方にはワークコンベア15が設けられており、滑り落ちてくる製品14はそのワークコンベア15により所定の位置まで搬送される。なお、昇降ジャッキ11によりワークシュータ7を降下させるのは、ワークシュータ7を降下させないで傾斜させると製品14が傾くときその製品14が板材3にひっかかり落ちない場合があるので、このように一旦降下させることにより製品14と板材3とを上下に分離してその製品14が傾くときに製品14と板材3とが触れないようにしたのである。
【0019】
また、本実施例の板材加工機1は、図1(a)(b)に示されているように、第1コンベア16,第2コンベア17,第3コンベア18を有する。この第1コンベア16は幅広のベルトコンベアであり、この第2コンベア17は同じく幅広のベルトコンベアであって揺動可能なものであり、第3コンベア18は平行に配された4本のベルトコンベアからなり、いずれも表面にブラシが植設されている。前述のワークシュータ7で滑落されなかった製品および残材は、これら第1コンベア16,第2コンベア17,第3コンベア18により矢印aで示される方向に搬送される。
【0020】
この図1(b)の部分的拡大図が図4に示されている。図示されているように、第2コンベア17はジャッキ19により揺動可能に設けられており2点鎖線で示すように前傾姿勢(退避状態)をとることができる。また、この第2コンベア17の斜め下方には残材コンベア20が設けられている。この残材コンベア20は基端側に設けられる支点21を中心にジャッキ22により先端側が揺動されるようになっている。
【0021】
このような構成において、前述のようにパンチ加工ヘッド4によりパンチ加工等が施されて残材23が生じると、まず、この残材23は第1コンベア16によりそのパンチ加工ヘッド4から離れる方向に搬送される。この残材23が第2コンベア17に達する前に、その第2コンベア17は前述のようにジャッキ19により2点鎖線で示す前傾姿勢(退避状態)にされ、また残材コンベア20は前述のようにジャッキ22により2点斜線で示す傾斜状態にされる。この結果、第2コンベア17まで搬送されたきた残材23は第2コンベア17の傾斜面上を滑り落ち、傾斜状態の残材コンベア20上に載る。このように第2コンベア17はスケルトン(残材)シュータとして機能するものである。次に、この残材23を載せた残材コンベア20はジャッキ22により再び実線で示す水平状態に戻され、図4の紙面に垂直な方向(図1(a)において矢印bで示す方向)にその残材23を搬送する。
【0022】
本実施例の板材加工機1において第1コンベア16が設けられているのは、第1コンベア16により残材23をパンチ加工ヘッド4から遠ざけることにより、前傾姿勢の第2コンベア17に沿って傾むいた残材23の端部24(図4参照)とパンチ加工ヘッド4(レーザー加工ヘッド5)の下端部25等との干渉を避けるためである。また、残材コンベア20を傾斜状態にするのは第2コンベア17から滑り落ちてきた残材23を途中でひっかかることなくスムーズに残材コンベア20上に載置するためである。
【0023】
この第2コンベア17において滑り落とされない残材および前記ワークシュータ7において滑り落とされない製品は、第3コンベア18によりさらに搬送され第3コンベア18の終端部に至る。この第3コンベアの終端部の位置には、図1に一部分が示されているようにグリップアンローダ30が設けられている。このグリップアンローダ30の全体図が図5(a)(b)に示されている。
【0024】
図5(a)(b)に示されているように、このグリップアンローダ30には複数のグリッパ31が並設されている。これらグリッパ31は、モータ32の駆動によりレール33に沿って移動する移動体34に取り付けられており、実線で示されるXの位置から2点鎖線で示されるYの位置まで移動することができるようになっている。図1に示されているグリッパ31は、このYの位置に相当する。また、前記複数のグリッパ31の移動面の下方にはローラーコンベア35が設けられている。
【0025】
前述のように第3コンベア18の終端部まで搬送された製品または残材は前記グリッパ31により(Yの位置において)把持され、前記ローラーコンベア35上をXの位置の方向に引っ張られ搬送される。
【0026】
また、前記ローラーコンベア35の下方には、図5(a)(b)に示されているように製品台車40および残材台車41がそれぞれ設けられている。この製品台車40は図5の左側面図である図6にも示されているようにローラーコンベア35の搬送方向に直交する向きに延設されるレール42に沿って移動される。前述のようにグリッパ31により搬送されてくる製品,残材は適宜この製品台40,残材台車41に載せられて所定の行き先に搬送される。
【0027】
以上のような本実施例の板材加工機1において、例えば、板材3から切り出される製品および残材に関して予め入力されたNCデータにより制御されて次のように板材3の加工が行われる。
【0028】
まず、図1に示されているように板材3を複数のクランパ6により把持して板材の所定の加工部位をパンチ加工ヘッド4またはレーザー加工ヘッド5に位置合わせする。
【0029】
このパンチ加工ヘッド4,レーザー加工ヘッド5による加工により得られる断片が中程度の製品である場合、前記ワークシュータ7を傾斜させる指令が出され、その中程度の製品は前述のようにそのワークシュータ7上を滑り落ちて排出される。この中程度の製品は滑落は図示しない光電スイッチにより確認される。また、滑落後はワークシュータ7は水平状態に戻される。
【0030】
加工により得られる断片が比較的小さな残材である場合、前記第2コンベア17と残材コンベア20とを傾斜させる指令が出され、その比較的小さな残材は前述のように傾斜した第2コンベア17上を滑落し残材コンベア20により搬出される。この滑落は、この第2コンベア17と残材コンベア20との間に設けられた光電スイッチ50により確認される。所定の小さな残材が滑落されたことが確認されるとその第2コンベアおよび残材コンベア20は元の水平状態に戻される。
【0031】
残りの比較的大きな製品および比較的大きな残材は、前述のように第1コンベア16,第2コンベア17,第3コンベア18により搬送されグリッパ31により把持されて引き出されるが、複数あるうちのいずれのグリッパ31を作動させるか、また製品台車40,残材台車41のいずれの位置まで引き出すかはNCデータにより判断される。
【0032】
また、前記中程度の製品もグリップアンローダ30により搬出することができる。また、極めて小さい製品は加工後とりあえず板材から分離せず、板材と一体の状態でグリップアンローダ30により本実施例の板材加工機から搬出し、別途板材から分離させることができる。
【0033】
このように本実施例の板材加工機1によれば、製品と残材とが仕分けされた状態で搬出されてくるので前記従来技術のように後の仕分けの手間がかからない。
【0034】
本実施例においては、残材をパスライン2から降下させて搬出するために第2コンベア17が傾けられてその第2のコンベア17上をその残材が滑り落とされているが、この第2コンベアを傾けずそのままパスラインから上昇させてパスラインに開いた開口から残材を落下させてもよい。
【0035】
また、本実施例の板材加工機1には、前記パンチ加工ヘッド4およびレーザー加工ヘッド5による加工において発生するカスを排出するためのカスシュータがそのパンチ加工ヘッド4およびレーザー加工ヘッド5の下方に設けられてもよい。
【0036】
また、本実施例においては中程度の製品をワークシュータ7により、比較的小さい残材を第2コンベア17により、比較的大きい製品および残材をグリップアンローダ30により搬出しているが、このような組み合わせは限定的なものではなく、例えば、ワークシュータ7は使用せずに、またはグリップアンローダ30は使用せずに製品と残材とを搬出することも可能である。また、切断カスをワークシュータ7から搬出してもよい。
【0037】
ここで前記本実施例の板材加工機1による仕分けの一態様を表1に示す。
【0038】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る板材加工機を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】ワークシュータを示す拡大平面図である。
【図3】ワークシュータの動作を説明する側断面図である。
【図4】第2コンベアの動作を説明する側断面図である。
【図5】グリップアンローダを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図6】図5の左側面図である。
【符号の説明】
1 板材加工機
2 パスライン
3 板材
4 パンチ加工ヘッド
5 レーザー加工ヘッド
7 ワークシュータ
14 残材
16 第1コンベア
17 第2コンベア(スケルトンシュータ)
30 グリップアンローダ
31 グリッパ
40 製品台車
41 残材台車
Claims (2)
- 略水平な搬送面に沿って搬送される板材を加工ヘッドにより加工してその板材から製品を切断し、この製品と残材とを仕分けする板材加工機であって、
(a)前記加工ヘッドの下方近傍に設けられ、多数のブラシが植設された搬送面を有し、この搬送面を略水平に維持したまま降下させた後、その搬送面を傾斜させて前記製品を前記ブラシ上で滑落させるワークシュータ、
(b)このワークシュータにて滑落されない製品または残材を搬送する、少なくとも第1コンベアとその第1コンベアに連設される第2コンベアを有するコンベア、
(c)このコンベアにて搬送される製品または残材をその搬送面に沿った方向に引出し搬送するグリップアンローダおよび
(d)前記第1コンベアに沿って前記残材が前記加工ヘッドから所定距離搬送された位置で前記第2コンベアを搬送面から降下させることによりその残材を降下させる残材降下機構を備えることを特徴とする板材加工機。 - 前記第2コンベアは、無限軌道式のコンベアであり、降下させていない状態において前記製品または残材を前記搬送面に沿って搬送し得るものであることを特徴とする請求項1に記載の板材加工機。
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