JP3575911B2 - 水酸化カルシウムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水酸化カルシウムの製造方法に関するもので、大きな比表面積を持ち、しかもサイロやタンクでの貯蔵時や配管等での輸送時に棚つりや付着、固結が起こりにくい流動性が良好な粉末水酸化カルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工業的に水酸化カルシウムを製造する方法として、原料となる酸化カルシウムを消化機に装入しここで酸化カルシウムが水酸化カルシウムに水和するのに必要な理論量の1.3〜2倍の水を加え、酸化カルシウムと水を強力に撹拌して消化させ、さらに熟成機で撹拌しながら消化ムラを無くし過剰の水分を蒸発させて排出後必要に応じて粉砕、分級するいわゆる乾式消化法が知られている。この方法で得られた水酸化カルシウムは一般に付着水分0.5%以下、粒度−150μm以下の不定形の粉末で比表面積が小さく流動性も悪い。従ってサイロやタンクでの貯蔵時や配管等での輸送時に棚つりや付着、固結が起こりやすい。またこれらの問題を解決するために、水、アルコール、界面活性剤を消化水として用いる方法が提唱されているが、アルコール処理のための設備が必要となるためコスト的に高くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は乾式消化装置において特別な装置を付加することなく、比表面積が大きく流動性の良好な水酸化カルシウム粉末を安価に得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の水酸化カルシウムの製造方法は、酸化カルシウムに消化遅延剤を溶解した水を添加、混合し、消化反応中あるいは消化反応後にさらに水を撹拌しながら添加して得られた含水状態の水酸化カルシウムを乾燥させることを特徴する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は乾式消化装置において消化遅延剤を原料酸化カルシウム100重量部に対して0.05〜3重量部添加した水により消化反応を開始させることが望ましい。
この時に使用される消化遅延剤としてはセメントの硬化消化遅延剤として知られるクエン酸、酒石酸、リグニンスルホン酸およびこれらの塩あるいはしょ糖などが例示される。
また消化水の添加量は通常の乾式消化と同様に酸化カルシウムが水酸化カルシウムを水和するに必要な理論水量の1.3〜2倍で良い。
次に消化反応中あるいは消化反応終了後にさらに水を撹拌しながら添加する。添加される水の量は、生成した水酸化カルシウム100重量部に対し水が15〜35重量部になるように調整する。
水が添加される場所は消化機内や熟成機入り口近付が好ましい。
上記のようにして得られた水酸化カルシウム含水物は熟成機で撹拌しながら熟成した後乾燥し、必要に応じて粉砕、分級する。
【0006】
一般に乾式消化装置で製造される水酸化カルシウムは、原料である酸化カルシウムと水が反応する際に短時間で大きな発熱反応を伴うために結晶面が発達せず不定形粒子になりやすい。この消化反応中あるいは消化反応終了後に過剰の水を加えて撹拌するとその水分により水酸化カルシウムの団粒化が起きる。団粒化した粒子の大きさは水分量を調節することにより容易に調整できる。
しかしこの場合団粒化した粒子を構成する水酸化カルシウムは不定形であるため、団粒化した粒子は気孔率が小さく見かけの表面積が低くなり水酸化カルシウムの反応性の低下が懸念される。
【0007】
一方前述したような消化遅延剤を添加した水を用いて消化反応を行うと結晶化が促進され板状の水酸化カルシウムが生成しやすいことが知られている。この水酸化カルシウム粒子の比表面積は大きいが板状のため不定形粒子よりもかえって流動性が悪化することがある。
従って酸化カルシウムに消化遅延剤を添加した水を用いて消化反応を行い、その消化反応中あるいは消化反応終了後にさらに水を加えて団粒化を行うことで流動性が改善できる。またこのようにして得られた団粒化した粒子は板状結晶がカードハウス状に凝集しているため見かけの表面積も低下せず反応性を低下しない。
【0008】
本発明における消化遅延剤の添加量は原料となる酸化カルシウムと水との反応性、いわゆる活性や粒度との兼ね合いで決定される。消化遅延剤が少ないと消化が速く水酸化カルシウムの結晶が十分に成長しないし多すぎると消化反応が終了するまでの時間が長くなりすぎるため装置全体の効率の低下を招くため、原料酸化カルシウム100重量部に対し消化遅延剤0.05〜3重量部用いるのが良い。
さらに原料の酸化カルシウムは均一な遅延効果を得るために3mm以下の粉粒物が好ましい。
消化反応中あるいは消化反応終了後に添加する水の量は生成する水酸化カルシウムの飽和含水量との兼ね合いで決定される。少なすぎると団粒化が不十分になり、得られた水酸化カルシウムの流動性が悪化する。多すぎると大きな塊あるいは粘土状になってしまうため、生成した水酸化カルシウム100重量部に対して水15〜35重量部になるように調整することが望ましい。
【0009】
乾燥は一般的に用いられる方法で行えば良いが、約550℃で水酸化カルシウムが脱水して酸化カルシウムに変化するためこの温度以下で行う必要がある。また燃料ガス等酸性ガスを多く含むもので直接加熱することは水酸化カルシウムと酸性ガスが反応してカルシウム塩を生成してしまうため避けなければならない。
【0010】
そのほかに乾燥を補助する目的で、生成した含水水酸化カルシウムに酸化カルシウムを添加すれば酸化カルシウムの水和のために必要な水分と水和熱による水分の蒸発により含水量を低下させることは可能であるが、あまり多くの酸化カルシウムを添加すると乾燥のために添加した酸化カルシウムは通常の乾式消化と同じため比表面積の低下や流動性の悪化を招く恐れがある。
【0011】
【発明の効果】
本発明の水酸化カルシウムの製造方法によれば消化遅延剤の溶解装置と加水装置を既存の設備に追加し、排ガス等の熱を利用して乾燥することで安価に比表面積が大きく流動性の良好な水酸化カルシウムが得られる。
【0012】
【実施例】
実施例1
自社製生石灰(JIS工業用石灰 生石灰特号)を−1mmに粉砕して酸化カルシウム原料とした。この時のDIN1060による反応性はtu=10.8分であった。消化遅延剤としてクエン酸ナトリウムを酸化カルシウム100重量部に対して0.2重量部になるように調整した消化水を酸化カルシウムが水酸化カルシウムに消化するのに必要な理論水量の1.3倍になるように原料酸化カルシウムと撹拌、混合した。その後水をさらに原料酸化カルシウム100重量部に対して50重量部添加して生成した含水水酸化カルシウムの水分を測定すると水酸化カルシウム100重量部に対して水25.3重量部であった。このようにして得られた含水水酸化カルシウムを熟成、乾燥後−150μmに粉砕分級して得られた水酸化カルシウム粉末の見かけ比重、安息角、比表面積の測定結果を表1に示す。なお見かけ比重、安息角の測定にはホソカワミクロン製パウダーテスターを用い、比表面積の測定には窒素吸着法によるBET比表面積計を用いた。
【0014】
比較例1
実施例1で用いた−1mmの生石灰粉を酸化カルシウム原料として消化遅延剤を用いず酸化カルシウムが水酸化カルシウムに消化するのに必要な理論水量の1.3倍の水とを撹拌、混合した。その後加水せずに得られた水酸化カルシウムの水分を測定すると水酸化カルシウム100重量部に対し水0.2重量部であった。このようにして得られた含水水酸化カルシウムを熟成、乾燥後−150μmに粉砕分級して得られた水酸化カルシウム粉末の見かけ比重、安息角、比表面積の測定結果を表1に示す。
表1からも判るとおり本発明による得られた水酸化カルシウムは比表面積が大きく流動性も良好である。
【0015】
【表1】
Claims (2)
- 酸化カルシウム100重量部に対して0.05〜3重量部の消化遅延剤が溶解され、酸化カルシウムの水和に必要な理論量の1.3〜2倍の量の水を、酸化カルシウムに添加、混合して乾式消化を行い、含水率が生成した水酸化カルシウム100重量部に対して15〜35重量部となるように消化反応中あるいは消化反応後にさらに水を撹拌しながら添加して、得られた含水状態の水酸化カルシウムを乾燥させることにより板状結晶がカードハウス状に凝集した水酸化カルシウムを生成することを特徴とした水酸化カルシウムの製造方法。
- 乾式消化機内から熟成機の入り口付近までの間で水を添加する請求項1に記載の水酸化カルシウムの製造方法。
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