JP3575350B2 - 空気過剰率設定装置 - Google Patents
空気過剰率設定装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3575350B2 JP3575350B2 JP27328399A JP27328399A JP3575350B2 JP 3575350 B2 JP3575350 B2 JP 3575350B2 JP 27328399 A JP27328399 A JP 27328399A JP 27328399 A JP27328399 A JP 27328399A JP 3575350 B2 JP3575350 B2 JP 3575350B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- egr
- temperature
- gas
- amount
- excess air
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EGR量に基づいて空気過剰率を算出する空気過剰率設定装置及び空気過剰率設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば車両に搭載されるエンジンには、吸入空気の温度や排ガス再循環装置(EGR装置)により再循環させる排ガスの温度等を計測すべく温度センサが取り付けられており、これらの温度センサからの出力値をそのまま用いて吸入吸気量や排ガス再循環量(EGR量)等を算出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術のように温度センサからの出力値をそのまま用いるのでは、例えば加減速時のように過渡的に温度が急変する場合には、温度センサの応答遅れのために、現時点における実際の正確な流体の温度を得るのは難しい。
【0004】
例えば、加速時のように温度センサよりも高温の流体(ガス,空気)が流れてくる場合には、実際の流体の温度は高温であるにもかかわらず、温度センサの出力値は低いままであり、現時点における流体の温度を正確に検出することができない。一方、減速時のように温度センサよりも低温の流体(ガス,空気)が流れてくる場合には実際の流体の温度は低温であるにもかかわらず、温度センサの出力値は高いままであり、現時点における流体の温度を正確に検出することができない。
【0005】
また、例えばこれらの温度センサからの出力値を用いてEGR量,吸入空気量等の算出を行なったとしても、温度センサの出力値は現時点における流体(ガス,空気)の正確な温度を示していないため、EGR量,吸入空気量等として正確な算出値は得られない。さらに、これらの算出値を基にして空気過剰率制御を行なったとしても、精度の良い制御を行なうことはできない。
【0006】
これを排ガスの面から見ると、温度上昇に対する温度センサの応答遅れの場合、例えば加速時のように温度センサよりも高温の流体が急激に流れてくる場合には、この温度センサからの出力値を用いて算出された空気過剰率λを用いると実際の空気過剰率λは小さくなってしまうため、スモークが増大することになる。一方、温度下降に対する温度センサの応答遅れの場合、例えば減速時のように温度センサよりも低温の流体が急激に流れてくる場合には、この温度センサからの出力値を用いて算出された空気過剰率λを用いると実際の空気過剰率λが大きくなってしまうため、NOX が増大することになる。このように、温度センサの応答遅れがあると、排ガス特性を向上させうるような精度良い制御を行なうのは難しい。
【0007】
上述のように、温度センサの応答遅れのために現時点における実際の正確な流体の温度を得るのは難しいため、実際の正確な温度が得られるように、温度センサの出力値に対して補正を加えることが行なわれている。
このような技術として、例えば特開平5−171984号公報に開示された技術がある。この技術では、空気重量流量測定に用いられる温度検出方法であって、動特性を改良するために算出した温度値に補正値を印加するようにしている。しかし、この技術では、伝達関数の決定のために近似せざるを得ないので、これが精度上不利になる。また、この技術では、ガス流速に関する応答遅れの補正については考慮していない。
【0008】
また、例えば特開平7−174043号公報には、吸気温センサが内燃機関からの熱伝導による温度上昇の影響を受けて、高精度に吸気温度計測ができないことを改善するために、検出された吸気温度を適切に補正して高精度な吸気温度を得るようにした技術が開示されている。しかし、この技術では、あくまでも定常での値がそのまま使用できると考えており、吸気温センサの応答遅れそのものを考慮していない。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、例えば過渡的に温度が急変する場合等に温度センサの応答遅れがあったとしても、EGRガスの実際の温度を正確に推定してEGR量に基づいて空気過剰率を算出できるようにした、空気過剰率設定装置及び空気過剰率設定方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の空気過剰率設定装置では、EGRガス温度センサによってEGRガスの温度が検出されるとともに、流速推定手段によってEGRガスの流速が推定される。そして、温度補正手段によって、流速推定手段により推定されたEGRガスの流速に応じてEGRガス温度センサ出力が補正されて、実際のEGRガスの温度が推定される。また、EGR量設定手段によって、温度補正手段により推定されたEGRガス温度に基づいてEGR量が算出され、空気過剰率設定手段によって、EGR量設定手段により算出されたEGR量に基づいて空気過剰率が算出される。
【0011】
請求項2記載の本発明の空気過剰率設定装置では、温度補正手段によって、流速推定手段により推定されたEGRガスの流速が増大するにつれて補正量が小さくなるような特性に基づいて、EGRガス温度センサ出力がEGRガス温度センサ出力の変化度合に応じて補正される。
請求項3記載の本発明の空気過剰率設定方法では、EGRガスの流速を推定し(流速推定ステップ)、流速推定ステップにより推定されたEGRガスの流速に応じて実際のEGRガスの温度を推定し(温度推定ステップ)、温度推定ステップにより推定されたEGRガス温度に基づいてEGR量を算出する(EGR量算出ステップ)。そして、EGR量算出ステップにより算出されたEGR量に基づいて空気過剰率を算出する(空気過剰率算出ステップ)。特に、空気過剰率算出ステップでは、流速推定ステップ,温度推定ステップ及びEGR量算出ステップによる処理が繰り返し行なわれ、直前に算出されたEGR量との差が微小量よりも小さくなった時のEGR量に基づいて空気過剰率を算出する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置及び空気過剰率設定方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる内燃機関は、図2に示すように、ディーゼルエンジン(筒内噴射型内燃機関)1として構成される。
【0013】
このディーゼルエンジン1は、その燃焼室2に吸気通路3及び排気通路4が接続されており、吸気通路3と燃焼室2とが吸気弁5によって連通制御され、排気通路4と燃焼室2とが排気弁6によって連通制御されるようになっている。
また、燃焼室2に臨むように燃料噴射ノズル7も配設されており、この燃料噴射ノズル7には燃料噴射ポンプから図示しないラックアクチュエータにより制御されるラックの作動位置に応じた燃料が供給されるようになっている。
【0014】
また、吸気通路3には吸気絞り弁8が介装されている。そして、この吸気絞り弁8の開度を絞ることにより、後述するEGR量を増大させることができる。
ところで、このディーゼルエンジン1には、排気通路4に排出された排気ガスの一部を吸気通路に再循環させるためのEGR装置(排気ガス再循環装置)15も設けられている。
【0015】
このEGR装置15は、吸気通路3と排気通路4の上流側とを接続するように設けられた排気ガス再循環通路(EGR通路)15aと、このEGR通路15aに取り付けられたEGRバルブ15bと、再循環される排ガスの温度を低下させるべく設けられたEGRクーラ15cとを備えて構成される。なお、本実施形態では、EGRバルブ15bは、単なる開閉弁ではなく、その開度自体を変更できるような弁である。
【0016】
このEGRバルブ15bはEGR用アクチュエータ16に接続されており、後述するコントローラ50によりEGR用アクチュエータ16の作動が制御され、これによりEGRバルブ15bの開度が調整されて吸気通路3に還流される排気ガス(以下、EGRガス又は還流ガスという)の流量が調整されるようになっている。
【0017】
ここで、EGR用アクチュエータ16は、真空ポンプ17によるEGRバルブ15bの制御室15ba内へのバキュームの供給状態を電磁弁(ソレノイドバルブ)18a,18bにより切り換えることで、その作動位置が制御されるように構成されている。
なお、EGR用アクチュエータ16は、このような構成のものに限定されるものではなく、作動位置を段階的に調整できるようなもの(例えばステッパモータ)を用いてもよい。また、EGR用アクチュエータ16は、バキュームの給排により作動するものに限定されるものではなく、EGRバルブ15bの開度を調整することができるものであれば、他の構成のものを用いてもよい。
【0018】
このEGR用アクチュエータ16は、後述するコントローラ(ECU)50に接続されており、このコントローラ50からの制御信号に基づいてその作動が制御されるようになっている。つまり、エンジン1の運転状態に応じたコントローラ50からの制御信号に基づいて、EGR用アクチュエータ16の電磁弁18a,18bの作動が制御されるようになっている。
【0019】
このようなEGRバルブ15bの開度制御を行なうべく、本実施形態にかかるエンジン1には、EGRガス温度センサ(EGRガス温度検出手段,絶対温度センサ)31やEGRガス圧力センサ(EGRガス圧力検出手段,絶対圧センサ)32,33が取り付けられている。そして、これらのセンサ31,32,33はコントローラ50に接続され、各センサ31,32,33からの検出信号がコントローラ50へ送られるようになっている。
【0020】
これらのほかにも、エンジン1には、吸気温センサ(吸気温度検出手段,絶対温度センサ)34,吸気圧センサ(吸気圧検出手段,絶対圧センサ)35,クランク角センサ36等がの種々のセンサが配設されている。そして、これらのセンサはコントローラ50に接続され、各センサからの検出信号がコントローラ50へ送られるようになっている。
【0021】
なお、クランク角センサ36に基づいてエンジン回転速度Neを算出しうるので、クランク角センサ36を便宜上エンジン回転速度センサ(エンジン回転速度検出手段,エンジン回転数センサ)という。また、吸気圧センサ35は、吸気圧、即ちエンジン1のブースト圧を検出するものであるため、ブースト圧センサ(ブースト圧検出手段)ともいう。
【0022】
また、エンジン1の負荷を検出するための負荷センサ37も配設されており、この負荷センサ37からの検出信号もコントローラ50へ送られるようになっている。
この負荷センサ37としては、図示しないアクセルペダルの開度(又はアクセル踏込量)を検出するアクセル開度センサ(APS)を用いている。なお、負荷センサ37は、図示しない燃料噴射ポンプのラック位置を検出するラック位置センサを用いてもよい。
【0023】
しかし、上述のように、EGRガス温度センサ(EGRガス温度検出手段,絶対温度センサ)31を設け、このEGRガス温度センサ31の出力値を用いてEGRバルブ15bの開度制御を行なうとしても、例えば過渡的に温度が急変する場合には、EGRガス温度センサ31の応答遅れのために流体(ガス,空気)の正確な温度を得ることができない。つまり、例えば加速時のようにEGRガス温度センサ31の近傍の流体の温度よりも高温の流体が流れてくる場合や例えば減速時のようにEGRガス温度センサ31の近傍の流体の温度よりも低温の流体が流れてくる場合には、EGRガス温度センサ31の応答遅れのために流体の正確な温度を得ることができない。
【0024】
このため、このEGRガス温度センサ31からの出力値を用いて空気過剰率制御を行なったとしても、精度良い制御を行なうのは難しい。例えば、温度上昇に対するEGRガス温度センサ31の応答遅れの場合には、実際の空気過剰率λが小さくなってしまうため、スモークが増大することになる。一方、温度下降に対するEGRガス温度センサ31の応答遅れの場合には、実際の空気過剰率λが大きくなってしまうため、NOX が増大することになる。
【0025】
そこで、本実施形態では、EGRガス温度センサ31を実際に段階的に温度設定された高温ガス(又は低温ガス)中へ導入した場合のEGRガス温度センサ31の応答遅れ特性を基にして、現時点での流体温度(ガス温度)を遅れなく計測できるようにしている。これにより、その時点の流体量(空気量,ガス量)の正確な値を算出できるようにし、これに基づいて算出された正確な空気過剰率に基づいて精度良いEGR制御が行なえるようになっている。
【0026】
すなわち、本実施形態では、温度センサ出力を流体の流速により補正することで、現時点における流体の実際の温度値を正確に推定し、このようにして推定された温度値に基づいてEGR制御を行なうべく、コントローラ(ECU,電子制御コントロールユニット)50には、図1に示すように、EGR量設定手段51と、流速推定手段52と、温度補正手段53と、空気過剰率設定手段54と、EGR制御手段55とが備えられている。
【0027】
ここで、EGR量設定手段51は、EGRバルブ15bを通過するガス量(EGR量,EGR重量流量)を、EGRバルブ15bの前後の圧力P1,P2(絶対圧力)とEGRバルブ15bの前のガス温度T1(絶対温度)から次のようにして求めるようになっている。
(a)EGRバルブ15bの前後の差圧が小さい場合
EGRバルブ15bを通過するEGR量(EGRガスの重量流量)Gegr は、EGRバルブ15bの上流のEGRガスの比重量をγ1とし、EGRガスの体積流量をQegr とし、EGRバルブリフトに相応した有効開口面積(流量係数を含む)をA1とし、EGRバルブ15bを通過するEGRガスの流速をvegr として、次式(1)により求められる。
【0028】
ここで、EGRバルブ15bを通過するEGRガスの流速vegr は、EGRバルブ15bの前後の圧力P1,P2の差圧をΔP=P1−P2とすると、次のベルヌイの式(2)から求められる。
【0029】
但し、重力加速度をgとし、EGRバルブ15bの上流のEGRガスの比重量をγ1〔=P1/(R1×T1)〕とする。なお、R1はガス定数である。
したがって、上述の式(1)は以下のように表される。
【0030】
Gegr =A1×〔2g×{P1/(R1×T1)}×ΔP〕1/2
(b)EGRバルブ15bの前後の差圧が大きい場合
EGRバルブ15bを通過するEGR量Gegr は、EGRバルブリフトに相応した有効開口面積(流量係数を含む)をA1とし、EGRバルブ15bを通過するEGRガスの流速をvegr とし、EGRバルブ15bの上流のEGRガスの比重量をγ1〔=P1/(R1×T1)〕として、次式(4)により算出される。なお、κはガスの比熱比であり、R1はガス定数である。
【0031】
また、EGRバルブ15b部分を絞り(ノズル)と見なすと、EGRバルブ15bを通過するEGRガスの流速vegr は、圧縮性流体のノズルの式(3)から求められる。
なお、上述の(a), (b)のいずれの場合も、EGRバルブ15bを通過するEGRガスの流量vegr は、ガス温度の平方根に逆比例する。したがって、温度計測誤差がEGR量に影響を及ぼす程度は、温度計測誤差の1/2である。
【0032】
ところで、流速推定手段52は、EGR量設定手段51により設定されたEGR量Gegr に基づいてEGRガスの流速vegr を推定するものである。
ここでは、流速推定手段52は、EGRガスの重量流量をGegr とし、EGRバルブリフトに相応した有効開口面積(流量係数を含む)をA1とし、EGRバルブ15bの上流のガスの比重量をγ1として、次式(5)によりEGRバルブを通過するEGRガスの流速vegr を推定するものである。
【0033】
vegr =Gegr /(A1×γ1) ・・・(5)
ここで、比重量γ1は、EGRガス温度センサ31により検出された温度値をT1とし、EGRガス圧力センサ32により検出された圧力値をP1とし、ガス定数をR1として、次式(6)により表される。
γ1=P1/(R1×T1) ・・・(6)
このため、上述の式(5)は、次式(7)により表せる。
【0034】
vegr =Gegr /〔A1×P1/(R1×T1)〕 ・・・(7)
つまり、EGRガスの流速vegr は、EGR量設定手段51で求められたEGRガスの重量流量Gegr と、EGRバルブ15bの開度から算出される有効開口面積(流量係数を含む)A1と、EGRガス圧力センサ32により検出された圧力値P1と、EGRガス温度センサ31により検出された温度値T1と、ガス定数R1とから算出される。
【0035】
温度補正手段53は、所定時間Δtの温度勾配θに応じた温度差ΔΘを求め、この温度差ΔΘに基づいて実際のEGRガスの温度Tgas を推定するものである。
ここでは、温度補正手段53は、流速推定手段52により推定されたEGRバルブ15bを通過するEGRガスの流速vegr に基づいて温度差ΔΘを求めるようになっている。
【0036】
ところで、EGRガス温度センサ31により計測される温度値の変化特性は、以下に示すようになる。ここでは、EGRガス温度センサ31を流体中に投げ入れることは、EGRガス温度センサ31を固定した場合に急にこの温度の流体が流れてくることと同じであると考える。
まず、温度上昇時、即ちEGRガス温度センサ31の近傍の流体の温度よりも高温の流体が流れてくる時の温度センサ出力の変化特性は、図3(A), (B)に示すようになる。
【0037】
図3中、Aは、室温(RT)から573K(300℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
図3中、Bは、室温(RT)から473K(200℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
図3中、Cは、室温(RT)から373K(100℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
【0038】
図3中、Dは、373K(100℃)から673K(400℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
図3中、Eは、373K(100℃)から573K(300℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
図3中、Fは、373K(100℃)から473K(200℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
【0039】
一方、温度下降時、即ちEGRガス温度センサ31の近傍の流体の温度よりも低温の流体が流れてくる時の温度センサ出力の変化特性は、図4に示すようになる。
図4中、Gは、初期温度573K(300℃)から373K(100℃)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
【0040】
図4中、Hは、初期温度573K(300℃)から室温(RT)の流体中にEGRガス温度センサ31を投げ入れたときの温度センサ出力例を示している。
このように、温度上昇時及び温度下降時のいずれの場合も、センサ初期温度(例えばA,B,Cの場合のRT)と流体温度との温度差(ΔΘ)が大きければ大きいほど、単位経過時間(Δt)に対する温度変化量(ΔT)の比(図示RTからの傾き:温度勾配と称する)θ=ΔT/Δtは大きくなるという特性がある。このような温度勾配θと温度差ΔΘとの間の特性は、図5に示すようになる。
【0041】
このような温度勾配θと温度差ΔΘとの間の特性は、ガス流速vegr の影響を受ける。つまり、図5に示すように、ガス流速が大きい場合は、熱伝達率も大きくなるので、同じ温度差ΔΘでも温度勾配(比)θは大きくなる。逆に、ガス流速が小さい場合は、熱伝達率が小さくなるので、同じ温度差ΔΘでも温度勾配(比)θは小さくなる。
【0042】
このため、図5に示すような温度勾配θと温度差ΔΘとの間の特性マップをガス流速をパラメータとして予め用意しておき、このマップを用いて温度勾配θから温度差ΔΘを求めるようにしている。
このため、温度補正手段53は、温度上昇時は、所定時間(Δt0)における温度変化ΔT0から求められた温度勾配θ0と、EGR通路(管路)15a内のEGRガスの流速vegr とから、図5に示すようなマップにより温度差ΔΘ0を求め、この温度差ΔΘ0と、所定時間Δt0前のセンサ温度T0とから、次式(8)により現時点における実際のEGRガスの温度Tgas を推定するようになっている。
【0043】
Tgas =ΔΘ0+T0 ・・・(8)
これによれば、常に次の時間間隔において別の温度勾配θが求まり、それに対する温度差ΔΘが決まるので、刻々、ガス流速vegr に応じてEGRガスの現時点での温度を推定していくことができる。
一方、温度下降時は、図5に示すような特性図をそのまま用いて温度を推定することができる。
【0044】
ここでは、温度下降時には温度勾配θ0は負値になるので、まずθ0の符号の判別を行ない、負の時は温度勾配θ0の絶対値をとり、これに基づいて図5により温度差ΔΘを求めると、次式(9)のような関係が成り立つ。
−ΔΘ=Tgas −T0 ・・・(9)
このため、この温度差ΔΘ0と、所定時間Δt0前のセンサ温度T0とから、次式(10)により現時点における実際のEGRガスの温度Tgas を推定するようになっている。
【0045】
Tgas =T0−ΔΘ ・・・(10)
このようにして実際のEGRガスの温度Tgas が推定され、このようにして推定された実際のEGRガスの温度Tgas に基づいて、EGR量設定手段51によりEGR量Gegr が設定される。
EGR量設定手段51は、EGRバルブ15bの前後の圧力P1,P2(絶対圧力)と、EGRバルブ15bの前のガス温度(絶対温度)T1とから温度補正手段53により補正されて算出された補正温度値T1′を用いて、EGRバルブ15bを通過するガス量(EGR量,EGR重量流量)Gegr を算出し、これをEGR量(EGR重量流量)として設定するようになっている。なお、具体的な算出方法は、上述のガス温度(絶対温度)T1を用いてEGR量Gegr を算出する場合と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0046】
空気過剰率設定手段54は、EGR量設定手段51により設定されたEGR量Gegr に基づいて、空気過剰率λを算出するものである。
ここでは、EGR量設定手段51により設定されたEGR量Gegr を用いて、まず吸入空気量Ga を算出し、この吸入空気量Ga から空気過剰率λを算出するようになっている。
【0047】
まず、吸入空気量Ga は、以下のようにして算出される。
ここでは、EGRガスを導入し、吸入新気とEGRガスとを混合しているため、筒内に導入されるガス量Gcyl は、吸入新気量をGa とし、EGR量をGegr として、次式(11)により算出される。
Gcyl =Ga +Gegr ・・・(11)
ここでは、筒内に導入されるガス量Gcyl は、インマニ温度(絶対温度)Tmani,インマニ圧(絶対圧)Pmaniで定義された体積効率ηvを用いて、次式(12)により算出される。
【0048】
Gcyl =〔Ne×Vh×γmani(Pmani,Tmani)×ηv〕/120・・・(12)
ここで、エンジン回転速度をNeとし、エンジン行程容積をVhとし、インマニ内の空気の比重量(kg/m3 )をγmani(Pmani,Tmani)とする。
比重量γmani(Pmani,Tmani)は、インマニ圧力(絶対圧)をPmaniとし、インマニ温度(絶対温度)をTmaniとして、次式(13)により表される。なお、ガス定数をR3〔kg・m/(kg・K)〕とする。
【0049】
γmani=Pmani/(R3×Tmani) ・・・(13)
体積効率ηvは、インマニ温度Tmaniによって変化するため、温度変化にかかわらず体積効率ηvは一定として取り扱って単にエンジン回転速度Ne,負荷に対して体積効率ηvを求めるのではなく、インマニ温度Tmaniの影響も取り入れ、体積効率ηvを求める際に温度補正を行なうようにしている。これにより、正確に求められた体積効率ηvを用いて吸入空気量Ga を正確に算出することができるようになる。
【0050】
ここでは、基準インマニ温度をTmani0とし、この基準インマニ温度Tmani0に対する基準体積効率をηv0とし、体積効率指数をmとして、任意のインマニ温度Tmaniに対する体積効率ηvを、エンジン回転速度Ne,負荷毎に、次式(14)により求める。
ηv/ηv0=(Tmani/Tmani0)m ・・・(14)
具体的には、まず対象となるエンジン1について、エンジン回転速度Ne,負荷毎にインマニ温度Tmaniと体積効率ηvとの間の特性を台上試験によって求める。
【0051】
ここで、図6はインマニ温度Tmaniと体積効率ηvとの間の特性例を示す図である。なお、図6は所定のエンジン回転速度Ne,負荷に対する体積効率ηvをインマニ温度Tmani毎にプロットし、その特性を直線で示したものである。また、インマニ温度Tmaniに対する体積効率ηvの変化は噴射時期等にかかわらず、図6に示すようになる。
【0052】
次に、このようなインマニ温度Tmaniと体積効率ηvとの間の特性に基づいて、体積効率ηvを算出するためのマップを作成する。
つまり、各エンジン回転速度Ne,負荷毎に、基準インマニ温度Tmani0(例えば約25℃)に対する基準体積効率ηv0を台上試験により計測し、これを基準インマニ温度Tmani0(例えば約25℃)におけるエンジン回転速度Ne,負荷と基準体積効率ηv0とを対応づけた基準体積効率マップを作成する。
【0053】
また、各エンジン回転速度Ne,負荷毎に、インマニ温度Tmaniと体積効率ηvとの関係を示す特性を台上試験により計測し、これに基づいて各エンジン回転速度Ne,負荷毎の体積効率指数mも求め、これを基準インマニ温度Tmani0(例えば約25℃)におけるエンジン回転速度Ne,負荷と体積効率指数mとを対応づけた体積効率指数マップを作成する。
【0054】
そして、任意のインマニ温度Tmani,エンジン回転速度Ne,負荷に対する体積効率ηvを、基準インマニ温度Tmani0(例えば約25℃),基準体積効率マップから求められる基準体積効率ηv0,体積効率指数マップから求められる体積効率指数mにより算出するようになっている。
そして、吸入空気量Ga は、このようにして算出された筒内に導入されるガス量(吸入量)Gcyl と、上述のEGR量Gegr とから、上述の式(11)を変形した次式(15)により算出される。
【0055】
Ga =Gcyl −Gegr ・・・(15)
ここでは、エンジン行程容積Vh,ガス定数R3は定数であり、エンジン回転速度Ne,インマニ圧Pmani,インマニ温度Tmaniはそれぞれエンジン回転速度センサ36,吸気圧センサ35,吸気温センサ34により検出された検出値を用い、体積効率ηvは上述のように予め台上試験により求められたものを用いて吸入空気量Ga を算出する。
【0056】
なお、ここでは、インマニ圧Pmaniは絶対圧センサにより検出される絶対圧としているため、大気圧Pa を考慮する必要はないが、吸気圧センサ35が絶対圧を検出するものでない場合は、大気圧センサを別に設け、この大気圧センサにより検出される大気圧Pa を考慮する必要がある。
次に、空気過剰率λは、上述のようにして算出された吸入空気量Ga とEGR量Gegr とから算出されるようになっている。
【0057】
ここで、空気過剰率λは、所期の出力特性を得るための燃料噴射量(kg/s)をGfとし、理論上1kgの燃料を完全燃焼するために必要な理論空気量(kg/kg)をL0として、次式(16)により表される。なおEGR中の残存空気量をGa,e とする。
λ=(Ga +Ga,e )/(L0×Gf)
=(Ga +Gegr )/(L0×Gf)−Gegr /Ga ・・・(16)
このうち、燃料噴射量Gfは、エンジン回転速度センサ36により検出されたエンジン回転速度、及び負荷センサ37により検出されたアクセル踏込量(アクセル開度)等の負荷に基づいて、そのエンジン回転速度,負荷領域での燃料噴射量マップから求めるようになっている。
【0058】
EGR制御手段55は、空気過剰率設定手段54により算出された空気過剰率λに基づいてEGRバルブ15bの開度を制御すべく、EGRバルブ15bへ制御信号を出力するようになっている。これにより、EGRバルブ15bの開度が制御されて、吸気通路3内へ再循環されるEGR量が調整される。
【0059】
本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置は、上述のように構成され、この装置による温度検出は、以下のように行なわれる。
つまり、図7のフローチャートに示すように、まずステップS10で、時刻t(i),t(i+1)でのEGRガス温度センサ31の出力値T(i),T(i+1)をそれぞれ読み込んで、ステップS20で、時刻t(i+1)から時刻t(i)を引いて時間Δt〔=t(i+1)−時刻t(i)〕を算出する。ここでは、水温,吸気温等は、いずれも所定周期毎(例えば500msec毎)に検出しているため、所定時間Δtは固定値(例えば500msec)となる。なお、時刻t(i)は前回の検出周期であり、時刻t(i+1)は今回の検出周期である。
【0060】
次に、ステップS30で、EGRガス温度センサ31の出力値T(i+1)からEGRガス温度センサ31の出力値T(i)を引いて温度差ΔT〔=T(i+1)−T(i)〕を算出する。
そして、ステップS40で、温度差ΔTを所定時間Δtで除算して温度勾配θ〔=ΔT/Δt〕を算出する。
【0061】
次に、ステップS50で、温度勾配θが正の値であるか、負の値であるかを判定する。つまり、温度勾配θが0よりも大きいか否かを判定する。
この判定の結果、温度勾配θが0よりも大きいと判定した場合は、ステップS60へ進み、EGRガス温度センサ31の出力値T(i)を基にEGRバルブ15bを通過するEGR量Gegr (i)を算出し、ステップS70へ進む。
【0062】
ステップS70では、EGRガスの温度計測位置でのEGRガスの流速vegr (i)を次式により算出する。
vegr (i)=Gegr (i)/(A1×γ1)
次いで、ステップS80で、この流速vegr (i)に応じたマップから温度勾配θに基づいて温度差ΔΘを求め、ステップS90へ進み、EGRガス温度Tgas を次式により求める。
【0063】
Tgas =ΔΘ+T(i)
次に、ステップS100で、このガス温度Tgas を使ってEGR量Gegr (i+1)を算出して、ステップS110へ進む。
ステップS110で、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量εよりも小さいか否かを判定し、この判定の結果、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量ε以上であると判定した場合は、ステップS120へ進み、前回の検出周期で検出されたEGRガス温度センサ31の出力値T(i)に基づいて算出されたEGR量Gegr (i)をEGR量Gegr (i+1)に更新して、ステップS70へ戻り、以降、ステップS70からステップS110の処理が繰り返される。
【0064】
これにより、最初の推定に対しては、EGRガス温度センサ31からの出力値で決まる温度からEGR量を算出して、ガス流速vegr を求めるので、精度は劣るが、このような処理を数回繰り返すことで実際のガス流速vegr 及びガス温度に近い値に到達させることができることになる。
その後、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量εよりも小さいと判定したら、ステップS130へ進み、この時のEGR量Gegr (i+1)をEGR量として設定する。
【0065】
そして、ステップS140で、このEGR量Gegr (i+1)に基づいて空気過剰率λを算出して、リターンする。
ところで、ステップS50で、温度勾配θが0以下であると判定した場合は、ステップS150へ進み、温度勾配θの絶対値をとり、ステップS60で、温度センサ出力T(i)を基にEGRバルブを通過するEGR量Gegr (i)を算出し、ステップS170へ進む。
【0066】
ステップS170では、温度計測位置の流速vegr (i)を次式により算出する。
vegr (i)=Gegr (i)/(A1×γ1)
次いで、ステップS180で、この流速vegr (i)に応じたマップから温度勾配θに基づいて温度差ΔΘを求め、ステップS190へ進み、EGRガス温度Tgas を次式により求める。
【0067】
Tgas =T(i)−ΔΘ
次に、ステップS200で、このEGRガス温度Tgas (i+1)を使ってEGR量Gegr (i+1)を算出して、ステップS210へ進む。
ステップS210で、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量εよりも小さいか否かを判定し、この判定の結果、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量ε以上であると判定した場合は、ステップS220へ進み、前回の検出周期で検出されたEGRガス温度センサ31の出力値T(i)に基づいて算出されたEGR量Gegr (i)をEGR量Gegr (i+1)に更新して、ステップS170へ戻り、以降、ステップS170からステップS210の処理が繰り返される。
【0068】
これにより、最初の推定に対しては、EGRガス温度センサ31からの出力値で決まる温度からEGR量Gegr を算出して、ガス流速vegr を求めるので、精度は劣るが、このような処理を数回繰り返すことで実際のガス流速vegr 及びガス温度に近い値に到達させることができることになる。
その後、EGR量Gegr (i+1)からEGR量Gegr (i)を引いた値の絶対値が微小量εよりも小さいと判定したら、ステップS230へ進み、この時のEGR量Gegr (i+1)をEGR量として設定する。
【0069】
そして、ステップS240で、このEGR量Gegr (i+1)に基づいて空気過剰率λを算出して、リターンする。
したがって、本実施形態にかかる空気過剰率設定装置及び空気過剰率設定方法によれば、過渡的に温度が急変する場合にEGRガス温度センサ31自体に応答遅れがあったとしても、EGRガスの実際の温度を正確に推定することができるという利点がある。
【0070】
特に、加減速時等の過渡的な運転状態における急激な温度変化が生ずる場合であっても、EGRガスの実際の温度を正確に推定することができ、これにより、EGR量を正確に算出することができる。このため、この算出値を基にして空気過剰率λの制御を行なうことで、精度良く、かつ応答性良く、空気過剰率制御を行なうことができるという利点がある。
【0071】
また、ある時間でのガス温度を遅れなく計測することができ、これにより、その時のガス量の正確な値を算出できるため、空気過剰率λの制御によって精度の高い排ガスの制御が可能になるという利点がある。
つまり、温度上昇に対する遅れによって、実際の空気過剰率λが小さくなってスモークが増大するのを防止できる一方、温度降下に対する遅れによって、実際の空気過剰率λが大きくなってNOX が増大するのを防止でき、いずれにしても、排ガスの精度良い制御を行なうことができるという利点がある。
【0072】
また、ガス流速をパラメータとした温度勾配θと温度差ΔΘとの関係を示すマップが、実測データを基に補間して作成されるため、精度をより高めることができるという利点がある。さらに、ガス流速に対する応答遅れも考慮してマップを作成しているため、実際に流れているガスの温度計測をより精度を良く行なうことができる。
【0073】
また、使用するEGRガス温度センサ31は、シース,白金側温抵抗体,サーミスタ等であり、熱伝導による誤差は、EGRガス温度センサ31をEGR通路(管路)15aの中央に配しておけば、通常の自動車用エンジンの管路の径を考慮するとほとんど誤差を生じることなく、精度良く計測を行なえるという利点がある。
【0074】
なお、上述の実施形態では、空気過剰率設定装置により算出された空気過剰率λが目標空気過剰率になるようにEGRバルブの開度制御を行なっているが、空気過剰率設定装置により算出された空気過剰率λの用途はこれに限られるものではなく、例えば空気過剰率λが目標空気過剰率になるように吸入空気量の制御(即ちエアバイパスバルブやスロットルバルブの開度制御)を行なうようにしても良い。
【0075】
また、上述の実施形態では、EGR量の設定に際して流速推定手段52によりEGRガスの流速を推定し、これに基づいてEGRガス温度センサ31の出力値を補正しているが、さらに、これと同様に、空気過剰率設定手段54による空気過剰率λの設定に際しても流速推定手段により吸入空気の流速を推定し、これに基づいて温度補正手段により吸気温センサ34の出力値を補正するようにしても良い。
【0076】
この場合、流速推定手段は、吸入空気量Ga に基づいて吸入空気の流速vを推定するものとして構成される。
ここでは、流速推定手段は、吸入空気量をGa とし、吸入空気の体積流量をQa とし、エアバイパスバルブ(又はスロットルバルブ)のリフトに相応した有効開口面積(流量係数を含む)をA3とし、エアバイパスバルブ(又はスロットルバルブ)上流の吸入空気の比重量をγ3〔=P3/(R3×T3)〕として、次式(17)によりエアバイパスバルブ(又はスロットルバルブ)を通過する吸入空気の流速va を推定するものである。
【0077】
va =Ga /(A3×γ3) ・・・(17)
ここで、比重量γ3は、吸気温センサ34により検出された温度値をT3とし、吸気圧センサ35により検出された圧力値をP3とし、ガス定数をR3として、次式(18)により表される。
γ3=P3/(R3×T3) ・・・(18)
このため、上述の式(17)は、次式(19)により表せる。
【0078】
va =Ga /〔A3×P3/(R3×T3)〕 ・・・(19)
また、温度補正手段は、所定時間Δtの温度勾配θに応じた温度差ΔΘを求め、この温度差ΔΘに基づいて実際の吸入空気の温度Tgas を推定するものである。ここでは、温度補正手段は、流速推定手段により推定されたエアバイパスバルブ(又はスロットルバルブ)を通過する吸入空気の流速va に基づいて温度差ΔΘを求めるようになっている。なお、温度補正手段による実際の吸入空気の温度Tgas の具体的な推定方法は、上述の実施形態と同様であるため、ここではその説明は省略する。
【0079】
このように、空気過剰率λを算出する際に求められる吸入空気量Ga は、上述のように体積効率ηvを用いて算出されるが、体積効率ηvもインマニ温度Tmaniによって変化するが、吸入空気の流速に基づいて吸気温センサ34の出力値を補正するため、従来の計測法よりもはるかにセンサの応答遅れを改善することができ、体積効率ηvの見積もり精度を向上させることができるという利点がある。
【0080】
また、上述の実施形態では、流体の流速vに応じて温度勾配θから温度差ΔΘを求め、この温度差ΔΘを所定時間前の温度値に加算して流体の温度を推定しているが、温度勾配θ、即ち温度の変化度合から補正値を求め、この補正値を所定時間前の温度値に加算したり、積算したりするなどして流体の温度を推定するようにしても良い。
【0081】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3記載の本発明の空気過剰率設定装置及び空気過剰率設定方法によれば、過渡的に温度が急変する場合に温度センサ自体に応答遅れがあったとしても、EGRガスの実際の温度を正確に推定することができる。特に、加減速時等の過渡的な運転状態における急激な温度変化が生ずる場合であっても、EGRガスの実際の温度を正確に推定することができ、これにより、EGR量を正確に算出することができる。このため、この算出値を基にして空気過剰率の制御を行なうことで、精度良く、かつ応答性良く、空気過剰率制御を行なうことができるという利点がある。
また、ある時間でのガス温度を遅れなく計測することができ、これにより、その時のガス量の正確な値を算出できるため、空気過剰率の制御によって精度の高い排ガスの制御が可能になるという利点がある。つまり、温度上昇に対する遅れによって、実際の空気過剰率が小さくなってスモークが増大するのを防止できる一方、温度降下に対する遅れによって、実際の空気過剰率が大きくなってNO X が増大するのを防止でき、いずれにしても、排ガスの精度良い制御を行なうことができるという利点がある。
特に、請求項3記載の本発明の空気過剰率設定方法によれば、実際のガス温度に近い値に到達させることができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置の機能ブロック図を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置を備える内燃機関の全体構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置に用いられる温度センサによる計測結果の温度上昇時の時間変化例を示す図であり(A)は、室温からの温度センサ出力の時間変化例、(B)は初期温度100℃からの温度センサ出力の時間変化例を示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置に用いられる温度センサによる計測結果の温度下降時の時間変化例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置によるガス流速をパラメータとした温度勾配θと温度差ΔΘとの関係を示すマップである。
【図6】本発明の一実施形態にかかる内燃機関の過給圧制御装置におけるインマニ温度に対する体積効率の変化例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる空気過剰率設定装置による制御(空気過剰率設定方法)を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
15b EGRバルブ
31 EGRガス温度センサ
32,33 EGRガス圧力センサ
34 吸気温センサ
35 吸気圧センサ
36 エンジン回転速度センサ
37 負荷センサ
50 コントローラ(ECU)
51 EGR量設定手段
52 流速推定手段
53 温度補正手段
54 空気過剰率設定手段
55 EGR制御手段
Claims (3)
- EGRガスの温度を検出するEGRガス温度センサと、
EGRガスの流速を推定する流速推定手段と、
該流速推定手段により推定されたEGRガスの流速に応じて該EGRガス温度センサ出力を補正して実際のEGRガスの温度を推定する温度補正手段と、
該温度補正手段により推定されたEGRガス温度に基づいてEGR量を算出するEGR量設定手段と、
該EGR量設定手段により算出されたEGR量に基づいて空気過剰率を算出する空気過剰率設定手段とを備えることを特徴とする、空気過剰率設定装置。 - 該温度補正手段が、該流速推定手段により推定されたEGRガスの流速が増大するにつれて補正量が小さくなるような特性に基づいて、該EGRガス温度センサ出力を該EGRガス温度センサ出力の変化度合に応じて補正するように構成されることを特徴とする、請求項1記載の空気過剰率設定装置。
- EGRガスの流速を推定する流速推定ステップと、
該流速推定ステップにより推定されたEGRガスの流速に応じて実際のEGRガスの温度を推定する温度推定ステップと、
該温度推定ステップにより推定されたEGRガス温度に基づいてEGR量を算出するEGR量算出ステップと、
該EGR量算出ステップにより算出されたEGR量に基づいて空気過剰率を算出する空気過剰率算出ステップとを含み、
該空気過剰率算出ステップでは、該流速推定ステップ,該温度推定ステップ及び該EGR量算出ステップによる処理が繰り返し行なわれ、直前に算出されたEGR量との差が微小量よりも小さくなった時のEGR量に基づいて空気過剰率を算出することを特徴とする、空気過剰率設定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27328399A JP3575350B2 (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 空気過剰率設定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27328399A JP3575350B2 (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 空気過剰率設定装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001091370A JP2001091370A (ja) | 2001-04-06 |
JP3575350B2 true JP3575350B2 (ja) | 2004-10-13 |
Family
ID=17525698
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27328399A Expired - Fee Related JP3575350B2 (ja) | 1999-09-27 | 1999-09-27 | 空気過剰率設定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3575350B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006336547A (ja) * | 2005-06-02 | 2006-12-14 | Hino Motors Ltd | Egr装置 |
JP4719784B2 (ja) * | 2007-11-30 | 2011-07-06 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | エンジンの制御装置および制御方法 |
JP5060415B2 (ja) * | 2008-07-18 | 2012-10-31 | 富士重工業株式会社 | エンジンの制御装置 |
JP5608614B2 (ja) * | 2011-07-25 | 2014-10-15 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | エンジンのegr流量検出装置 |
CN106568535B (zh) * | 2016-10-10 | 2023-10-20 | 首凯高科技(江苏)有限公司 | 一种机动车尾气排放温度传感器的精度检测系统 |
JP2022018819A (ja) * | 2020-07-16 | 2022-01-27 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の制御装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59203931A (ja) * | 1983-05-04 | 1984-11-19 | Kawasaki Steel Corp | 流体温度計の補正方法 |
JPH02112739A (ja) * | 1988-10-21 | 1990-04-25 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の吸入空気温度推定装置 |
JP3239575B2 (ja) * | 1993-08-31 | 2001-12-17 | 株式会社デンソー | 内燃機関の温度予測装置及び温度制御装置 |
-
1999
- 1999-09-27 JP JP27328399A patent/JP3575350B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001091370A (ja) | 2001-04-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6088661A (en) | Ambient temperature learning algorithm for automotive vehicles | |
US7715975B2 (en) | Engine control system and control method thereof | |
JP4154991B2 (ja) | 内燃機関の吸気量推定装置 | |
US6840215B1 (en) | Engine torque control with desired state estimation | |
US6701247B2 (en) | Diagnostic method and system for a manifold air pressure sensor | |
US20120290193A1 (en) | Internal Combustion Engine Control Device | |
US6748313B2 (en) | Method and system for estimating cylinder air charge for an internal combustion engine | |
JP2901613B2 (ja) | 自動車用エンジンの燃料噴射制御装置 | |
JP3575350B2 (ja) | 空気過剰率設定装置 | |
US7707999B2 (en) | Exhaust protecting device and protecting method for internal combustion engine | |
JPS6088831A (ja) | 内燃エンジンの作動制御手段の動作特性量制御方法 | |
JP4207565B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP2001073789A (ja) | 内燃機関の過給圧制御装置 | |
US6125830A (en) | Flow measurement and control with estimated manifold pressure | |
JP2591203B2 (ja) | 内燃機関の空燃比制御装置 | |
JP4231472B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JPH09317568A (ja) | ディーゼルエンジンの異常検出装置 | |
JP5476359B2 (ja) | 内燃機関の圧力推定装置 | |
JP2006125246A (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP3912160B2 (ja) | 内燃機関の排気浄化装置 | |
JP3627462B2 (ja) | 内燃機関の制御装置 | |
JP3551706B2 (ja) | エンジンの吸気制御装置 | |
JPH0326855A (ja) | エンジンの制御装置 | |
JPH0988649A (ja) | 内燃機関の排気還流制御装置 | |
JPH06308142A (ja) | 内燃機関の電子制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040126 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040615 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040628 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 3575350 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080716 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090716 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100716 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110716 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120716 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120716 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130716 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140716 Year of fee payment: 10 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |