JP3574715B2 - 光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法および不斉合成用触媒の製造方法並びに新規なホスホネート系化合物 - Google Patents
光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法および不斉合成用触媒の製造方法並びに新規なホスホネート系化合物 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法および不斉合成用 触媒の製造方法並びに新規なホスホネート系化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
1−アミノアルキルホスホン酸またはそのペプチド類縁誘導体は、グラム陽性 菌およびグラム陰性菌に対して抗菌作用を有し、かつ抗生物質(例えば、ペニシリン、セファロスポリンおよびD−シクロセリン)の活性を高めること、L−アラニンおよびL−アミノエチルホスホン酸からのジペプチドであるアラフォスファリンが特に重要であること、一般に光学活性1−アミノアルキルホスホン酸の誘 導体および特にL体(R体)からの誘導体は大きな生物学的活性を示すことが知られている(特開昭61−88895号公報)。
【0003】
酵素的不斉合成法により光学活性1−アミノアルキルホスホン酸を得る方法と しては、テトラヘドロン アシンメトリー第4巻第1965頁1993年、特開昭6 1−88895号公報等に記載されているものが挙げられる。
【0004】
例えば、特開昭61−88895号公報には、
1−アミノ−アルキルホスホン酸または1−アミノ−アルキルホスホン酸のラセミ体であるN−アシル誘導体を酵素分割し、次いで、脱アシル化することによりその 立体異性体を製造する方法において、酵素分割をペニシリン−G−アミダーゼを用いて、
【0005】
【化5】
【0006】
[式中、R2は、場合により例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子1〜3個 のアルコキシ基、フェニル基および/またはフェノキシ基により置換されていてもよい炭素原子1〜6個、特に1〜4個を有する分枝鎖状か、または有利には直鎖状のアルキル基を表すか、またはフェニル基を表す。]の1−アミノアルキルホスホン酸の立体異 性体を得る製造法が記載されている。
【0007】
しかしながら、これら酵素的不斉合成では、基質が限定されてしまうとの問題点がある。
また、非酵素的不斉合成法としては、従来下記▲1▼〜▲4▼に示すような種々の方法が知られている。
【0008】
すなわち、
▲1▼ ラセミ体の1−アミノアルキルホスホン酸を、無水ジベンゾイル−L−酒石酸に よって分割する方法<収率70〜87%>(カナディアン・ジャーナル・オブ・ケミカル・エンジニアリング第61巻第2425頁、1983年)、
▲2▼ 光学活性アミノホスホン酸エステルへの不斉アルキル化反応によって合成す る方法<収率50〜86%、光学純度25〜76%>(テトラヘドロン・レターズ第33巻第6127頁、1992年)
▲3▼ 光学活性イミンへのホスホン酸エステルのジアステレオ選択的付加反応によ って合成する方法<収率30〜90%、光学純度71〜99%>(ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエテー第116巻第9377頁、1994年)
▲4▼ 不斉触媒を用いたオレフィンの不斉水素化反応によって合成する方法<収率92%、光学純度63〜96%>(シンセティック・コミュニケーションズ第26巻 第777頁、1996年)など。
【0009】
しかしながら上記文献▲1▼に記載の方法では、工程数が多く、操作が煩雑であるとの問題点があり、上記文献▲2▼および文献▲3▼に記載の方法では、光学活性な原料を化学量論量必要とするなどの問題点があり、また、上記文献▲4▼に記載の方法では、原料であるオレフィン体を合成するのに工程数が多く、また原料も限定されてしまうなど、従来の方法は工業的に有利な方法ではない。
【0010】
このため、従来の光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の合成法に比べて小量 の不斉化合物源を用いて大量の光学活性体を得ることが可能であり、しかも短い工程で上記光学活性体が得られるような光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の 製造方法および不斉合成用触媒の製造方法並びに新規なホスホネート系化合物の出現が求められている。
【0011】
なお、「リービッヒ アナーレン デル ケミー第1153頁〜第1155頁、1990年」 には、不斉合成法に関するものではないが、一般式:R1CH(NHCOR2)2 [式中、R1は、スチリル基などを示し、R2は、アルキリデン基を示す 。]で表 されるN,N’−アルキリデンビスアミドとPCl3と酢酸とを60〜80℃で、1時間反応させた後、加水分解して、一般式:R1CHNH2P(O)(OH)2 [式中、R1は、スチリル基などを示す。]で表される化合物(収率39〜99 %)の製造方法が記載されている。
【0012】
また、特開平6−154618号公報には、不斉合成用触媒として下記の触媒が記載されている。
すなわち、式(AR)もしくは式(AS):
【0013】
【化6】
【0014】
で表される光学活性1,1’−ビ−2−ナフトールのジアルカリ金属塩(ただし、式中、MはLi、KもしくはNaである)、LaX3(XはF、Cl 、Br、I、NO3もしくはCH3CO2である)で表されるランタン化合物、お よびMORもしくはMOH(MはLi、KもしくはNaであり、Rはイソプロピルもしくはt−ブチルである)で表されるアルカリ金属アルコキシドもしくは水酸化アルカリ金属から、含水溶媒存在下で調製された不斉合成用触媒、
または、
【0015】
【化7】
【0016】
で表される光学活性1,1’−ビ−2−ナフトールおよびLa(OR)3(Rはイソプロピル基もしくはt−ブチル基である)で表されるランタンアルコキシドからエーテル系溶媒中で得られる活性種を塩化リチウム、含水溶媒の存在下で用いることを特徴とする不斉合成用触媒。
【0017】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、光学活性な原料を少量で用いて、少ない工程数の簡単な操作で、大量の光学活性1−アミノホスホン酸誘導体を製造しうるような光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法を提供することを目的としている。
【0018】
本発明は、このような光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造に使用しう るような触媒の製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、光学活性1−アミノホスホン酸誘導体を製造する際に好適に使用さ れる新規な光学活性ホスホネート系化合物を提供することを目的としている。
【0019】
【発明の概要】
本発明に係る光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法は、
一般式(II):
R1−N=CHR2 ・・・・(II)
[式(II)中、R1は、ジフェニルメチル基またはアルコキシフェニル基を示し、R2は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基含有炭化水素基を示すか、またはハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基を示す。]で表されるイミンと、
一般式(III):
(R3O)2P(O)H ・・・・(III)
[式(III)中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基またはアリール基含有炭化水素基を示す。]で表されるホスホン酸エステルとを、
一般式(A):
Ln−X−(R)/(S)−ビナフトール錯体 ・・・・(A)
[式(A)中、Lnは、希土類元素を示し、Xは、アルカリ金属を示す。]で表される不斉合成用触媒の存在下に反応させて、
一般式(IVa)または一般式(IVb):
【0020】
【化8】
【0021】
[式(IVa)および式(IVb)中、R1、R2およびR3は、前記に同じ。]で表さ れるホスホネート系化合物を合成し、
次いで、得られた上記化合物(IVa)または化合物(IVb)を、水素と接触させて化合物(IVa)または化合物(IVb)のアミノ基の脱保護を行い、次いで酸でOR3基の加水分解とを行うことにより、下記化合物(Ia)または(Ib)を得ることを特徴としている。
【0022】
一般式(Ia)または一般式(Ib):
【0023】
【化9】
【0024】
[式(Ia)、(Ib)中、R2は、前記に同じ。]
本発明に係る不斉合成用触媒の製造方法は、
一般式(A):
Ln−X−(R)/(S)−ビナフトール錯体 ・・・・(A)
[式中、Lnは希土類元素を示し、Xはアルカリ金属を示す。]で表される不斉合成用触媒を得るのに、
チッ素雰囲気下、
(1)下記式(VR)で表される(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトールまたは、下記式(VS)で表される(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトールと、
【0025】
【化10】
【0026】
(2)一般式(VI):
Ln(OR)3 ・・・・(VI)
[式(VI)中、Lnは希土類元素を示し、Rはアルキル基を示す。]
で表される希土類金属アルコキシドと、
(3)下記一般式(VII)、(VIII)および(IX)の内から選ばれる1種のアルカリ金属化合物と、
を非水溶媒または含水溶媒中で反応させることを特徴としている。
【0027】
一般式(VII):
LiA ・・・・(VII)
[式(VII)中、Aはアルキル基を示す。]
で表される化合物、
一般式(VIII):
[(CH3)3Si]2NK ・・・・(VIII)
で表される化合物、
一般式(IX):
ZOR ・・・・(IX)
[式(IX)中、Zはアルカリ金属を示し、Rはアルキル基を示す。]
で表されるアルカリ金属アルコキシド。
【0028】
本発明に係る新規なホスホネート系化合物は、例えば上記本発明に係る光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法で原料として好適に使用され、下記一般式(IVa)または一般式(IVb)で表される。
【0029】
【化11】
【0030】
[式(IVa)および式(IVb)中、R1は、ジフェニルメチル基またはアルコキシフェニル基を示し、R2は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基含有炭化水素基を示すか、またはハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基を示し、R3は、アルキル基を示す。(但し、R 1 が p −メトキシフェニル基であり、R 2 がベンジル基であり、R 3 がメチル基であるものを除く。)]
このような新規なホスホネート系化合物としては、例えば、上記式(IVa)お よび式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2がイソプロピル基であ り、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-2-メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルに加えて、
このR2がエチル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノプロピルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がn-ペンチル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノヘキシルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2が(E)-スチリル基に置換された光学活性(E)-1-ジフェニルメチルアミノ-3-フェニル-2-プロペニルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がメチル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノエチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がn-プロピル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノブチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がn-ブチル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノペンチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がドデシル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノトリデシルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がイソブチル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-3-メチルブチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がフェニル基に置換された光学活性ジフェニルメチルアミノフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がp-クロロフェニル基に置換された光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-クロロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がp-フルオロフェニル基に置換された光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-フルオロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がp-メトキシフェニル基に置換された光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-メトキシフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル、
このR2がベンジル基に置換された光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-2-フェニルエチルホスホン酸ジメチルエステルの他に、
上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がp-メトキシフェニル基であり、R2がシクロヘキシル基であり、R3がメチル基である光学活性1-p-メトキシフェニルアミノシクロヘキシルメチルホスホン酸ジメチルエステルが挙げられる。
【0031】
このような本発明によれば、光学活性な原料を少量用いて、少ない工程数の簡単な操作で、大量の光学活性1−アミノホスホン酸誘導体を製造できる。
【0032】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法および不 斉合成用触媒の製造方法並びに新規なホスホネート系化合物について具体的に説明する。
[光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造方法]
本発明では、式(Ia)または式(Ib)で表される光学活性1−アミノホスホン 酸誘導体を、以下の反応経路で合成している。
【0033】
【化12】
【0034】
すなわち、式(IVa)または式(IVb)で示される化合物は、好ましくは後述するような光学活性な希土類元素−アルカリ金属−ビナフトール錯体(A)からなる不斉合成用触媒の存在下に、式(II)で表されるイミンと式(III)で表され るホスホン酸エステルとの反応により合成される。
【0035】
ここで、式(II)、(III)、(IVa)、(IVb)、(Ia’)、(Ib’)、(Ia)および(Ib)中、R1は、ジフェニルメチル基、アルコキシフェニル基を示し、R2はアルキル基、 シクロアルキル基またはアリール基含有炭化水素基を示すか、ハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基を示す。また、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基またはアリール基含有炭化水素基を示す。
[式(II)で表されるイミンの合成]
このような反応の出発原料となる式(II)で表される化合物(イミン)は公知化合物であり、従来より公知の方法により合成することができる。例えばジフェニルメチル基、アルコキシフェニル基の場合には、特開昭62−289558号公報などに示される方法によって、それぞれジフェニルメチルアミン、アルコキシフェニルアミンを用いて合成すればよい。
【0036】
式(II)で表されるイミンにおいて、R1がアルコキシフェニル基の場合、この基のベンゼン環に置換基として結合しているアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソブトキシ基、イソヘキシルオキシ基などが挙げられる。
【0037】
式(II)で表されるイミンにおいて、R2がアルキル基である場合、このよう なアルキル基としては、炭素数1〜13のアルキル基が挙げられ、直鎖状または分岐状であってもよく、このようなアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ドデシル基、トリデシル基等が挙げられる。
【0038】
R2がシクロアルキル基である場合、このようなシクロアルキル基としては、 具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
R2がアリール基である場合、アリール基の芳香環に結合する水素は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソヘキシルオキシ基などのアルコキシ基で置換されていてもよい。
【0039】
このようなアリール基としては、具体的には、 例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0040】
R2がアリール基含有炭化水素基である場合、上記と同様にアリール基は、置換されていてもよく、このようなアリール基含有炭化 水素基としては、具体的には、ベンジル基、フェネチル基などのアリールアルキル基;(E)−スチリル基、p−メチルフェニルビニル基(CH3−C6H4−CH=CH−)などのアリールビニル基が挙げられる。
【0041】
このようなR2の内では、アルキル基が好ましく、その内ではエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基が好ましい。
このような式(II)で表されるイミンとしては、具体的には、例えば、次のものが挙げられる。
【0042】
N−エチリデンジフェニルメチルアミンの他にエチリデンをプロピリデン、ブチリデン、2−メチルプロピリデン、ペンチリデン、3−メチルブチリデン、ネオペンチリデン、ヘキシリデン、4−メチルペンチリデン、ネオヘキシリデン、トリデシリデン、テトラデシリデン、シクロペンチルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン、フェニルメチリデン、p−クロロフェニルメチリデン、p−フルオロフェニルメチリデン、p−メトキシフェニルメチリデン、2−フェニルエチリデンあるいは(E)−3−フェニル−2−プロペニリデンにそれぞれ置換した化合物が挙げられる。
【0043】
またN−エチリデンジフェニルメチルアミンのジフェニルメチルをp−メトキシベンゼンに置換し、エチリデンをプロピリデン、ブチリデン、2−メチルプロピリデン、ペンチリデン、3−メチルブチリデン、ネオペンチリデン、ヘキシリデン、4−メチルペンチリデン、ネオヘキシリデン、トリデシリデン、テトラデシリデン、シクロペンチルメチリデン、シクロヘキシルメチリデン、フェニルメチリデン、p−クロロフェニルメチリデン、p−フルオロフェニルメチリデン、p−メトキシフェニルメチリデン、2−フェニルエチリデンあるいは(E)−3−フェニル−2−プロペニリデンにそれぞれ置換した化合物が挙げられる。
【0044】
これらのイミンのうちでは、N−エチリデンジフェニルメチルアミン、N−プロピリデンジフェニルメチルアミン、N−ブチリデンジフェニルメチルアミン、N−2−メチルプロピリデンジフェニルメチルアミンが好ましく用いられる。
[式(III)で表されるホスホン酸エステルの合成]
式(III)で表されるホスホン酸エステルは従来より公知の化合物であり、従 来より公知の方法によって得られる。
【0045】
式(III)で表されるホスホン酸エステルにおいて、R3のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられ、直鎖状または分岐状であってもよく、このようなアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プ ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、これらの内では、メチル基が好ましい。
【0046】
R3がシクロアルキル基である場合、このようなシクロアルキル基としては、具体的には、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。R3がアリール基である場合、このようなアリール基としては、具体的には、例えば、フェニル基、p−トリル基、パラクロルフェニル基などが挙げられる。
【0047】
R3がアリール基含有炭化水素基である場合、このようなアリール基含有炭化水素基としては、前記R2の場合と同様に、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのアリールアルキル基;スチリル基、p−メチルフェニルビニル基(CH3−C5H4−CH=CH−)などのアリールビニル基が挙げられる。
【0048】
このような式(III)で表されるホスホン酸エステルとしては、具体的には、 例えば、次のものが挙げられる。
ジメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、ジ−n−プロピルホスファイト、ジ−n−ブチルホスファイト、ジ−n−ペンチルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジベンジルホスファイト、ジ−p−トリルホスファイト、ジ−p−クロルフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、ジアリルホスファイトなど。
【0049】
これらのホスホン酸エステルの内では、ジメチルホスファイトが好ましく用いられる。
[式(A)で表される不斉合成用触媒およびその合成]
本発明で用いられる不斉合成触媒は、下記式(A)で示され、好ましくは次のようにして合成される。
【0050】
一般式(A):
Ln−X−(R)/(S)−ビナフトール錯体 ・・・・(A)
[式(A)中、Lnは希土類元素を示し、Xはアルカリ金属を示す。]
すなわち、この希土類元素−アルカリ金属−(R)/(S)ビナフトール錯体(A)は、
通常、不活性ガス雰囲気下、好ましくはチッ素(ガス)雰囲気下で、
(1)下記式(VR)で表される(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトールまたは、下記式(VS)で表される(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトールと、
【0051】
【化13】
【0052】
(2)一般式(VI):
Ln(OR)3 ・・・・(VI)
[式(VI)中、Lnは希土類元素を示し、Rはアルキル基を示す。]で表される希土類金属アルコキシドと、(3)下記一般式(VII)、(VIII)および(IX)の内から選ばれる1種のアルカリ金属化合物と、
を非水溶媒または含水溶媒中で反応させることにより得られる。
【0053】
一般式(VII):
LiA ・・・・(VII)
[式(VII)中、Aはアルキル基を示す。]で表される化合物、
一般式(VIII):
[(CH3)3Si]2NK ・・・・(VIII)
で表される化合物、
一般式(IX):
ZOR ・・・・(IX)
[式(IX)中、Zはアルカリ金属を示し、Rはアルキル基を示す。]で表されるアルカリ金属アルコキシド。
【0054】
上記式(VR)で示される(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトールおよび、上記式(VS)で示される(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトールは、何れも、公知物質であり、従来より公知の方法(ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem. 第7317頁、1993年 参照)により合成される。
【0055】
また式(VI)で示される化合物である希土類金属アルコキシドは公知物質であり、公知の方法により合成される。希土類元素としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムが挙げられる。
【0056】
希土類金属アルコキシドとしては、ランタントリイソプロポキシド、ランタントリt−ブトキシド、ガドリニウムトリイソプロポキシドなどが挙げられ、ランタントリイソプロポキシド、ガドリニウムトリイソプロポキシドが好ましく用いられる。
【0057】
式(VII)で示されるリチウム化合物中のAは、アルキル基を示し、このよう なアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられ、n−ブチル基が好ましい。
【0058】
このような式(VII)で示される化合物としては、具体的には、例えば、CH3Li、CH3(CH2)3Li、(CH3)3CLiなどが挙げられ、CH3(CH2 )3Liが好ましく用いられる。
【0059】
式(VIII)で示される化合物は、公知物質である。
また式(IX)で示されるアルカリ金属アルコキシドは公知の化合物であり、公知の方法(ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ J. A. C., S 第4364頁、1956年)により合成できる。
【0060】
式(IX)中、Zで示されるアルカリ金属としては、具体的には、例えば、Li、Na、K、Rb、Csが挙げられ、Na、Kが好ましく用いられる。
このような式(IX)で示されるアルカリ金属アルコキシドとしては、具体的には、例えば、LiO(CH3)3C、NaO(CH3)3C、KO(CH3)3C、RbO(CH3)3C、CsO(CH3)3C、LiO(CH3)2CH、NaO(CH3)2CH、KO(CH3)2CH、RbO(CH3)2CH、CsO(CH3)2CH等が挙げられ、LiO(CH3)3C、NaO(CH3)3C、KO(CH3)3C、RbO(CH3)3C、CsO(CH3)3Cが好ましく用いられる。
【0061】
本発明に係る不斉合成用触媒の製造方法においては、上記式(VR)または(VS)で示される(R)/(S)−1,1’−ビ−2−ナフトール(1)と、式(VI)で示される希土類金属アルコキシド(2)と、「式(VII)、式(VIII)または(IX)で示されるアルカリ金属化合物(3)」とのモル比[(1):(2):(3)]は通常、1:1:1〜10:1:10であり、好ましくは1:1:1〜3:1:3の量で用いられることが望ましい。また、このような反応は通常0〜50℃、好ましくは0〜20℃の温度で、通常0.1〜100時間、好ましくは0.1〜24時間行うことが望ましい。
【0062】
本発明においては、このような反応の際には、非水溶媒または含水溶媒が用いられる。
溶媒としては、具体的には、例えば、テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、エーテルなどが挙げられ、THFが好ましく用いられる。不斉合成反応でTHF以外の溶媒を用いるときには、触媒調製時に用いられた溶媒(例:THF)を20℃以下の温度で留去させ、前記式(II)で示されるイミンと(III) で示されるホスホン酸エステルとの不斉合成反応の際に使用される溶媒を加えて溶媒交換しておくことが好ましい。
【0063】
含水溶媒としては、具体的には、例えば、含水THF、含水エーテル、含水ジオキサン、含水ジエチルエーテルなどが挙げられ、含水THF、含水エーテルが好ましく用いられる。
【0064】
触媒調製時に含水溶媒を使用する場合には、水は式(VI)のランタン化合物1モルに対して、通常、0.1〜10モルの量で、好ましくは0.1〜1モルの量で用いられる。
【0065】
このようにして得られる式(A)で示される不斉合成用触媒は、下記式(イ)または(ロ):
【0066】
【化14】
【0067】
[式(イ)および式(ロ)中、Lnは希土類元素を示し、Xはアルカリ金属を示す。]で表される。
このような式(A)(さらに具体的には、式(イ)または式(ロ))で表される不斉合成用触媒として、具体的には、例えば、La−Li−(R)−ビナフトール錯体(以下「(R)−LLB」という)、La−K−(R)−ビナフトール 錯体(以下「(R)−LPB」という)、La−Na−(R)−ビナフトール錯 体(以下「(R)−LSB」という)、La−Rb−(R)−ビナフトール錯体 (以下「(R)−LRB」という)、La−Cs−(R)−ビナフトール錯体( 以下「(R)−LCB」という)の他に、これらの化合物のLaをSc,Y,C e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,あるいはLuに置換し、(R)−ビナフトールを(S)−ビナフトールにそれぞれ置換した化合物等が挙げられる。また、本発明の反応に用いられる不斉合成用触媒は、(R)または(S)−LLB、(R) または(S)−LRB、(R)または(S)−LCBよりも、(R)または(S)−LS Bの方が活性が高く、さらに、(R)または(S)−LSBよりも(R)または(S)−LPBの方がより活性が高いため好ましく用いられる[(R)または(S)−LLB→(R)または(S)−LSB→(R)または(S)−LPB(高活性)]。
【0068】
[式( IVa )または式( IVb )で示される化合物の合成]
本発明においては、上記のような式(II)で示されるイミンと、式(III)で 示されるホスホン酸エステルとを、上記式(A)で示される不斉合成用触媒の存在下で反応させて式(IVa)および/または式(IVb)で示される化合物を得る。
【0069】
このような反応において、式(II)で示されるイミンと、式(III)で示され るホスホン酸エステルと、不斉合成用触媒(A)とは、そのモル比[イミン:ホスホン酸エステル:不斉合成用触媒]が通常、1:1:0.01〜1:5:1であり、好ましくは1:1:0.01〜1:5:0. 2の 量で用いられることが望ましい。
【0070】
このような反応は、通常、−80〜80℃、好ましくは20〜50℃の温度で、通常、0.1〜100時間、好ましくは60〜80時間行うことが望ましい。また反応の際には、通常、溶媒が用いられ、このような反応溶媒として、具体的には、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、エーテル、ジオキサン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)などが挙げられ、THF、トルエン、エーテルが好ましく用いられる。
【0071】
また、本発明においては、これらの溶媒を1種単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて混合溶媒として用いてもよい。混合溶媒として、具体的には、例えば、トルエン−THF混合溶媒、THF−ジオキサン混合溶媒などが挙げられ、トルエン−THF混合溶媒が好ましく、特にTHF1体積に対して通常トルエンを1〜10体積、好ましくは6〜8体積で混合してなるトルエン−THF混合溶媒が好ましい。
【0072】
上記のような反応は、通常、反応溶液の1〜10倍量の水を反応溶液に加えることにより、停止させることができる。
本発明においては、このような反応終了後に、得られた反応液(式(IVa)ま たは式(IVb)で示される化合物含有物)に通常、食塩水を加えて洗浄し、水層と有機層とに層分離させ、次いでこのように洗浄して得られた有機層から溶媒を留去することにより粗生成物を得る。このようにして得られた粗生成物を例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、式(IVa)または式(IVb)で示される化合物が得られる。
【0073】
式(IVa)または式(IVb)で示される化合物の具体例を次に示す。
(R)または(S)−1−ジフェニルメチルアミノエチルホスホン酸ジメチルエステルの他に、
この化合物のジフェニルメチル基をp−メトキシフェニル基に、
エチル基をプロピル、ブチル、2−メチルプロピル、ペンチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、ヘキシル、4−メチルペンチル、ネオヘキシル、トリデシル、テトラデシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、フェニルメチル、p−クロロフェニルメチル、p−フルオロフェニルメチル、p−メトキシフェニルメチル、2−フェニルエチルあるいは、(E)−3−フェニル−2−プロペニルの何れかの基に置換し、
ジメチル基をジエチル、ジ−n−プロピル、ジイソプロピル、ジ−n−ブチル、ジイソブチル、ジ−sec−ブチル、ジ−tert−ブチル、ジ−n−ペンチル、ジイソペンチル、ジネオペンチル、ジシクロペンチル、ジシクロヘキシル、ジフェニル、ジベンジル、ジ−p−トリルまたはジ−p−クロルフェニルの何れかの基にそれぞれ置換した化合物が挙げられる。
[式(Ia)または式(Ib)化合物の合成]
次に光学活性1−アミノホスホン酸誘導体[式(Ia)または式(Ib)]の合成 について述べる。
【0074】
上記式(Ia)または式(Ib)で示される化合物は、式(IVa)または式(IVb)で示される化合物に水素を接触させてアミノ基の脱保護反応を行うことにより上記式(Ia’)または式(Ib’)で示される化合物を得、引き続き式(Ia’)または式(Ib’)で示される化合物に酸を加えてOR3基の加水分解反応を行うことにより得られる。
【0075】
アミノ基の脱保護反応は、接触水添による方法で行い、水酸化パラジウムオンカーボンもしくはパラジウム黒を式(IVa)または式(IVb)で示される化合物の重量に対して通常、0.1〜10倍量で、好ましくは0.1〜1倍量で用いることが望ましい。このような接触水添の際には、反応溶媒を用いることができ、このような反応溶媒としては、具体的には、例えば、酢酸、メタノール、エタノールなどが挙げられ、メタノールが好ましく用いられる。反応温度は通常、20〜100℃、好ましくは20〜50℃であることが望ましい。反応時間は通常、1〜50時間、好ましくは3〜10時間であることが望ましい。通常、反応終了後に、反応液から水酸化パラジウムオンカーボンもしくはパラジウム黒を除去し、溶媒留去後に水を加えて目的物を溶解させ、これにヘキサンを加えて洗浄し、水層を減圧下に留去することにより式(Ia’)または式(Ib’)で示される化合物が得られる。
【0076】
また、OR3基の加水分解反応には酸が用いられる。酸は、式(Ia’)または式(Ib’)で示される化合物1モルに対して5〜100モルの量で、好ましくは5〜10モルの量で用いられる。このような酸としては、具体的には、例えば、濃度35%の濃塩酸あるいは濃硫酸、濃度100%の酢酸などが挙げられ、濃塩酸、酢酸が好ましく用いられる。
【0077】
このような反応は、溶媒の非存在下に行うこともでき(無溶媒)、また溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、具体的には、例えば、メタノール、クロロホルム、酢酸、アセトンなどが挙げられ、メタノール、酢酸が好ましく用いられる。無溶媒の条件下で反応を行う場合には、通常、20〜100℃、好ましくは60〜100℃で、溶媒中で反応を行う場合には、通常20〜100℃、好ましくはその還流温度で行うことが望ましい。反応時間は、無溶媒の条件下では、1〜10時間、好ましくは8〜10時間であり、溶媒中では1〜50時間、好ましくは10〜20時間であることが望ましい。通常、反応終了後に、反応液を減圧下に溶媒留去することにより、式(Ia)または式(Ib)で示される化合物が得られる。
【0078】
また、(IVa)または(IVb)の化合物に酸を接触させて(IVa)または(IVb)の化合物のアミノ基の脱保護とOR3基の加水分解を行い、(Ia)または(Ib)の化合物が得られる。この反応条件は(Ia’)または(Ib’)の化合物を(IVa)または(IVb)の化合物に代えた以外は上記の(Ia’)または(Ib’)の化合物のOR3基の加水分解反応と同様である。
【0079】
このようにして得られた式(Ia)または式(Ib)で示される化合物としては、(R)または(S)−1−アミノエチルホスホン酸の他にこの化合物のエチル基をプロピル基、ブチル基、2−メチルプロピル基、ペンチル基、3−メチルブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、4−メチルペンチル基、ネオヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニルメチル基、p−クロロフェニルメチル基、p−フルオロフェニルメチル基、p−メトキシフェニルメチル基、2−フェニルエチル基あるいは(E)−3−フェニル−2−プロペニル基に代えた化合物が挙げられる。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の合成法に比べ て小量の不斉化合物の原料を用いて大量の光学活性体を得ることが可能であり、しかも短い工程で上記光学活性体が得られるなどの利点がある。
【0081】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により何等制限されるものではない。
【0082】
鏡像体過剰率(ee)
以下の実施例および比較例における鏡像体過剰率(ee)の算出法は、下記のとおり。
【0083】
図1に示すように、クロマトグラフィー(HPLC)により求めた(R)体の面積(A)と(S)体の面積(B)との面積比r=A/B(エナンチオマー比)とするとき、
【0084】
【数1】
【0085】
で表される。
【0086】
【実施例1】
(1)(R)−LPB(La−K−(R)−ビナフトール錯体)の調製
窒素雰囲気下、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール4.29g(5×3mmol)に、0.2MのLa(O(CH3)2CH)3・THF溶液25ml(5mmol)、0.5Mのビス(トリメチルシリル)カリウムアミド・トルエン溶液30ml(5 ×3mmol)、水90mg(5mmol)、THF45mlを加え、室温(20℃)下で1時間攪拌し、(R)−LPB(La−K−(R)−ビナフトール錯体)(約0. 05mol/リットル、収率100%)を調製した。
【0087】
この(R)−LPB・THF溶液を20℃以下の温度で減圧下(圧力:5mmHg)に溶媒留去し、次いで、THF・トルエン混合溶液[THF:トルエン=1:7(体積比)の混合物]100ml((R)−LPB含有量:約0.05mol/リットル)を加えた。
(2)(R)−LPBによる(R) − 1 − ジフェニルメチルアミノ − 2 − メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルの合成[式( IVa )化合物]
N−2−メチルプロピリデンジフェニルメチルアミン0.30g(1.25mmol)、ジメチルホスファイト0.21g(1.25×1.5mmol)に、上記により得られた(R)− LPB含有量が0.05mol/リットル[THF:トルエン=1:7(体積比)混合液]の(R)−LPB溶液5ml(1.25×0.2mmol、20mol%)を加えた。
【0088】
得られた反応混合物を20℃で56時間攪拌した後、この反応混合物に10mlの水を加えて反応を停止させた。
次いで、通常の後処理を行った後(すなわち、反応混合物を食塩水で洗浄し、水層と有機層とに層分離させ、得られる有機層から溶媒を留去した後)、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(長さ30cm×直径2cm)を用い、酢酸エチル:ヘキサン=1:1(体積比)の混合溶媒により精製し、400mgの(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルを得た。(収率92%)
得られた(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルの鏡像体過剰率(ee)は、HPLC測定結果から、97%であった。
[測定条件はカラム:DAICEL CHIRALPAK AD ダイセル化学工業(株)製、
移動層:イソプロピルアルコール−ヘキサン(1:9)]
【0089】
[α]D−59.8゜(c=1.4、CHCl3)。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルの1H−NMR(CDCl3)のピーク値:
δ:7.38−7.45(m,4H),7.17−7.34(m,6H),5.22(d,J=3.3Hz,1H),3.77(d,J=10.2Hz,3H),3.72(d,J=10.6Hz,3H),2.78(brd,J=13.5Hz,1H),2.08−2.13(m,1H),1.88(brs,1H),1.00−1.05(m,6H)。
(3)(R)−1 − アミノ − 2 − メチルプロピルホスホン酸の合成[式( Ia )化合物]
(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステル1.74g(5mmol)に、水酸化パラジウムオンカーボン174mgメタノール10mlを加え、20℃で水素を吹き込み4時間撹拌した。得られた反応液をメンブランフィルターにより濾過を行い、濾液を溶媒留去した。この溶媒留去品に水10mlを加え、ヘキサン10mlにより洗浄した後、分離された水層から、減圧下に水を留去し、(R)−1−アミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルを得た。(収量906mg、収率100%)
(R)−1−アミノ−2−メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステルを906mg(5mmol)に35%塩酸20mlを加え、100℃8時間撹拌した後減圧下に水を留去し、粗結晶を得た。得られた粗結晶を水10mlを用いることにより再結晶させて、(R)−1−アミノ−2−メチルプロピルホスホン酸を得た。(収量689mg、収率90%)
得られた(R)−1−アミノ−2−メチルプロピルホスホン酸の鏡像体過剰率(ee)は、HPLC測定結果から99%以上であった。[測定条件はカラム:SUMICHIRAL OA−5000((株)住化分析センター製)、移動相:2mM copper(II)sulfate in water/CH3CN(9:1)]
[α]D−2.4゜(c=2.4、H2O);文献値[α]D−2.1゜(c=1.9、H2O)。
【0090】
【実施例2】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノ ホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0091】
なお、式(Ia)または(Ib)中のR2は、表中の(II)欄のR2に同じであり、記載を省略する(以下同様)。
【0092】
【実施例3】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノ ホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0093】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で 示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R) − 1 − ジフェニルメチルアミノヘキシルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
[α]D−168.6゜(c=0.7、CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.17−7.45(m,10H),5.23(s,1H),3.79(d,J=10.2Hz,3H),3.74(d,J=10.2Hz,3H),2.80−2.92(m,1H),1.13−1.87(m,9H),0.87(t,J=6.9Hz,3H)
【0094】
【実施例4】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノ ホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0095】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で 示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R) − 1 − ジフェニルメチルアミノプロピルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
[α]D−34.8゜(c=1.7、CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.38−7.50(m,4H),7.14−7.36(m,6H),5.20(brs,1H),3.80(d,J=10.2Hz,3H),3.74(d,J=10.2Hz,3H),2.84(dt,J=13.9,6.9Hz,1H),1.72−1.99(m,2H),1.60(brs,1H),1.02(t,J=6.9Hz,3H)
【0096】
【実施例5】
実施例1において、触媒を下記のようにして得られる「(S)−LPB(La−K−(S)−ビナフトール錯体)」に変え、また式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変 えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0097】
実施例5の(S)−LPBで示す不斉合成触媒は次のとおり調製した。
(1)(S)−LPB(La−K−(S)−ビナフトール錯体)の調製
窒素雰囲気下、(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトール4.29g(5×3mmol)に、0.2MのLa(O(CH3)2CH)3・THF溶液25ml(5mmol)、0.5Mのビス(トリメチルシリル)カリウムアミド・トルエン溶液30ml(5 ×3mmol)、水90mg(5mmol)、THF45mlを加え、室温(20℃)下で1時間攪拌し、(S)−LPB(La−K−(S)−ビナフトール錯体)(約0. 05mol/リットル、収率100%)を調製した。
【0098】
この(S)−LPB・THF溶液を20℃以下の温度で減圧下(圧力:5mmHg)に溶媒留去し、次いで、THF・トルエン混合溶液[THF:トルエン=1:7(体積比)の混合物]100ml((S)−LPB含有量:約0.05mol/リ ットル)を加えた。
【0099】
【実施例6〜7】
実施例1において、触媒を下記のようにして得られる「(R)−GdPB(Gd−K−(R)−ビナフトール錯体)」に変え、また式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように 変えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0100】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で 示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R) − (E) − 1 − ジフェニルメチルアミノ − 3 − フェニル − 2 − プロペニルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.12−7.48(m,15H),6.51(dd,J=15.8,4.0Hz,1H),6.15(ddd,J=15.8,9.0,5.9Hz,1H),5.03(s,1H),3.89(d,J=10.6Hz,3H),3.76(d,J=10.6Hz,3H),3.64(dd,J=21.0,9.0Hz,1H),2.17(brs,1H)
実施例6〜7の(R)−GdPBで示す不斉合成触媒は次のとおり調製した。
(1)(R)−GdPB(Gd−K−(R)−ビナフトール錯体)の調製
窒素雰囲気下、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール4.29g(5×3mmol)に、0.2MのGd(O(CH3)2CH)3・THF溶液25ml(5mmol)、0.5Mのビス(トリメチルシリル)カリウムアミド・トルエン溶液30ml(5 ×3mmol)、水90mg(5mmol)、THF45mlを加え、室温(20℃)下で1時間攪拌し、(R)−GdPB(Gd−K−(R)−ビナフトール錯体)(約0.05mol/リットル、収率100%)を調製した。
【0101】
この(R)−GdPB・THF溶液を20℃以下の温度で減圧下(圧力:5mmHg)に溶媒留去し、次いで、THF・トルエン混合溶液[THF:トルエン=1:7(体積比)の混合物]100ml((R)−GdPB含有量:約0.05mol /リットル)を加えた。
【0102】
【実施例8】
実施例1において、触媒を下記のようにして得られる「(R)−PrPB(Pr−K−(R)−ビナフトール錯体)」に代え、また式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように 変えた以外は、実施例1と同様にして、式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0103】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で 示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R) − 1 − p − メトキシフェニルアミノシクロヘキシルメチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
[α]D+14.9゜(c=2.0、CHCl3)
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:6.76(d,J=8.9Hz,2H),6.61(d,J=8.9Hz,2H),3.74(s,3H),3.71(d,J=10.6Hz,3H),3.67(d,J=10.6Hz,3H),3.53(dd,J=18.8,3.6Hz,1H),1.09−2.02(m,12H)
また、実施例8の(R)−PrPBで示す不斉合成触媒は次のとおり調製した。
(1)(R)−PrPB(Pr−K−(R)−ビナフトール錯体)の調製
窒素雰囲気下、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール4.29g(5×3mmol)に、0.2MのPr(O(CH3)2CH)3・THF溶液25ml(5mmol)、0.5Mのビス(トリメチルシリル)カリウムアミド・トルエン溶液30ml(5 ×3mmol)、水90mg(5mmol)、THF45mlを加え、室温(20℃)下で1時間攪拌し、(R)−PrPB(Pr−K−(R)−ビナフトール錯体)(約0.05mol/リットル、収率100%)を調製した。
【0104】
この(R)−PrPB・THF溶液を20℃以下の温度で減圧下(圧力:5mmHg)に溶媒留去し、次いで、THF・トルエン混合溶液[THF:トルエン=1:7(体積比)の混合物]100ml((R)−PrPB含有量:約0.05mol /リットル)を加えた。
【0105】
【実施例9】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0106】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノエチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.16−7.45(m,10H),5.23(d,1H),3.79(d,3H),3.74(d,3H),2.80−2.92(m,1H),1.02−1.40(q,3H)
【0107】
【実施例10】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0108】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノブチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.10−7.46(m,10H),5.22(d,1H),3.78(d,3H),3.74(d,3H),3.00−3.20(m,1H),1.40−2.00(m,4H),0.95(t,3H)
【0109】
【実施例11】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0110】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノペンチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.10−7.53(m,10H),5.20(d,1H),3.79(d,3H),3.72(d,3H),2.92−3.05(m,1H),1.10−1.90(m,6H),0.90(t,3H)
【0111】
【実施例12】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0112】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノトリデシルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.05−7.50(m,10H),5.20(d,1H),3.80(d,3H),3.74(d,3H)、2.80−2.92(m,1H),1.10−2.10(m,22H),0.88(t,3H)
【0113】
【実施例13】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0114】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−3−メチルブチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.17−7.45(m,10H),5.24(d,1H),3.78(d,3H),3.74(d,3H),2.80−2.92(m,1H),2.05−2.40(m,1H),1.52−1.70(m,2H),1.00−1.05(d,6H)
【0115】
【実施例14】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0116】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−ジフェニルメチルアミノフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.10−7.60(m,15H),5.20(d,1H),4.50(s,1H),3.79(d,3H),3.74(d,3H)
【0117】
【実施例15】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0118】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−ジフェニルメチルアミノ−p−クロロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.10−7.75(m,14H),5.25(d,1H),4.30(s,1H)、3.75(d,3H),3.70(d,3H)
【0119】
【実施例16】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0120】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−ジフェニルメチルアミノ−p−フルオロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.05−7.60(m,14H),5.23(d,1H),4.50(s,1H),3.75(d,3H)、3.70(d,3H)
【0121】
【実施例17】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0122】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−ジフェニルメチルアミノ−p−メトキシフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.10−7.70(m,14H),5.20(d,1H),4.50(s,1H),3.85(s,3H),3.75(d,3H),3.68(d,3H)
【0123】
【実施例18】
実施例1において、式(Ia)または(Ib)で示される光学活性1−アミノホスホン酸誘導体の製造条件を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして式(Ia)または(Ib)で示される化合物を合成した。
【0124】
この光学活性1−アミノホスホン酸誘導体製造過程で得られる式(IVa)で示されるホスホネート系化合物[化合物(IVa)]の物性値を以下に示す。
(R)−1−ジフェニルメチルアミノ−2−フェニルエチルホスホン酸ジメチルエステルの物性値:
1H−NMR(CDCl3)のピーク値
δ:7.11−7.55(m,15H),5.20(d,1H),3.80(d,3H),3.75(d,3H),3.15−3.37(m,2H),2.80−2.92(m,1H)
注)*条件 X:水酸化パラジウムオンカーボン(10wt%)/H2(130ml)20℃、4時間/35%塩酸(20ml)100℃、8時間。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、鏡像体過剰率(ee)の測定法を示すHPLCチャートである。
Claims (17)
- 一般式(II):
R1−N=CHR2 ・・・・(II)
[式(II)中、R1は、ジフェニルメチル基またはアルコキシフェニル基を示 し、R2はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基含有炭化水素基を示すか、ハロゲン原子またはアルコキシ基で置換されてもよいアリール基を示す。]で表されるイミンと、
一般式(III):
(R3O)2P(O)H ・・・・(III)
[式(III)中、R3は、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アリール基またはアリール基含有炭化水素基を示す。]で表されるホスホン酸エステルとを、
一般式(A):
Ln−X−(R)/(S)−ビナフトール錯体 ・・・・(A)
[式(A)中、Lnは、希土類元素を示し、Xは、アルカリ金属を示す。]で表される不斉合成用触媒の存在下に反応させて、
一般式(IVa)または一般式(IVb):
次いで、得られた上記化合物(IVa)もしくは化合物(IVb)を、酸と接触させて化合物(IVa)もしくは化合物(IVb)のアミノ基の脱保護とOR3基の加水分解を行うか、
または化合物(IVa)もしくは化合物(IVb)を水素と接触させて化合物(IVa)もしくは化合物(IVb)のアミノ基の脱保護を行い、次いで酸でOR3基の加水分解を行うことを特徴とする、
一般式(Ia)または一般式(Ib):
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 が イソプロピル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-2-メチルプロピルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 が n-ペンチル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノヘキシルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 が エチル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノプロピルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 が (E)-スチリル基であり、R3がメチル基である光学活性(E)-1-ジフェニルメチルアミノ-3-フェニル-2-プロペニルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がp-メトキシフェニル基であり、R2 がシクロヘキシル基であり、R3がメチル基である光学活性1-p-メトキシフェニルアミノシクロヘキシルメチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がメチル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノエチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がn-プロピル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノブチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がn-ブチル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノペンチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がドデシル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノトリデシルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がイソブチル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-3-メチルブチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がフェニル基であり、R3がメチル基である光学活性ジフェニルメチルアミノフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がp-クロロフェニル基であり、R3がメチル基である光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-クロロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がp-フルオロフェニル基であり、R3がメチル基である光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-フルオロフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がp-メトキシフェニル基であり、R3がメチル基である光学活性ジフェニルメチルアミノ-p-メトキシフェニルメチルホスホン酸ジメチルエステル。
- 上記式(IVa)および式(IVb)中、R1がジフェニルメチル基であり、R2 がベンジル基であり、R3がメチル基である光学活性1-ジフェニルメチルアミノ-2-フェニルエチルホスホン酸ジメチルエステル。
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