JP3574455B2 - 抗ウイルス剤として有用なマクロ環式ジフルオロスタトン誘導体類 - Google Patents

抗ウイルス剤として有用なマクロ環式ジフルオロスタトン誘導体類 Download PDF

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Description

発明の背景
人及び動物に於けるウィルス感染症の処置及び治療法を開発するために多くの研究が現在なされている。注目すべきことに、人のエイズ及びエイズ関連併発症(ARC)の発生例が驚くべき速度で増加している。エイズにかかった人の5年間生存率は意気消沈させるものであり、感染によって免疫系がひどく損われたエイズ患者は、カポジ肉腫及びニューモシスティスカリニ(Pneumocystis carninii)肺炎を含めた数多くの日和見感染にかかる。エイズの治療法は知られておらず、現在の処置は主として効能が適切に実証されていないものであって、数多くの望まれない副作用を有する。病気に対する恐れは、病気を有する人又は有する疑いのある人に対する社会的な追放及び差別を生じている。
本発明は、抗ウイルス剤として有用な化合物類に関する。更に詳しくは、本発明はHIV−1とHIV−2ウイルスプロテアーゼのような、複製に要するレトロウイルス・プロテアーゼの阻害剤として有用なマクロ環式ジフルオロスタトン誘導体類、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による感染症の予防と処置、及びHIVウイルスで感染しうる哺乳類の後天性免疫不全症候群(AIDS)などの結果としての病理学的症状の処置に関する。
発明のまとめ
本発明は、次の一般式I
Figure 0003574455
をもつ化合物類、その立体異性体類、水和物、及び製薬上受入れられるその塩類に関する。
式中P2は、C1-6アルキル、シクロペンチル、ヒドロキシC1-6アルキル、フェニル、ベンジル、又は3−テトラヒドロフリルである。
P3は、水素、−CH3、−CH(CH3、−CH2CH(CH3、−CH(CH3)(CH2CH3)、−CH2SH、−CH2CH2SCH3、−CH2OH、−CH(CH3)OH、−CH2(CH23NH2、−CH2(CH22NHC(=NH)NH2、−CH2CO2H、−CH2CH2CO2H、CH2CONH2、−CH2CH2CONH2、ベンジル、
Figure 0003574455
または
Figure 0003574455
からなる群から選ばれる。
R1は、水素、C1-15アルキル、ヒドロキシC1-15アルキル、CH([(CH2−O−CH2−R7、CH2Si(CH3(R8)、PDL、−(C1-6アルキレン)−OR4、CH(Y)(Z)、
Figure 0003574455
ここでPDLは、−(CH2−2−、3−、又は4−ピリジルであり、YはヒドロキシC1-15アルキル、C1-6アルキル、又は(CH2−C6H4−(V)e'であり、Zは(CH2−O−CHO、C1-6アルキレン−O−(CH2−(O−CH2−CH2−O−C1-6アルキル、CHO、CO2R4、CONHR4、(CH2−O−(CH2d'−R5、(CH2−OR4又は
Figure 0003574455
であり、ここでVはOR4又はヒドロキシC1-6アルキレンであるが、但しR5がピペラジニル、置換ピペラジニル、ピペリジル、又はモルホリニルの時には、d'=2であることを条件とし、
R2はR1で定義されたとおりであるが、但しR1が水素の時にはR2は水素以外であることを条件とし、またはR1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、
Figure 0003574455
からなる群から選ばれる基を表わし、
R3はCH2OR4、C(O)NHR4、又はCHOであり、
R4は水素、C1-6アルキル、フェニル、又はベンジルであり、
R5はピペラジニル、置換ピペラニジニル、ピペリジル、モルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、又はフェニルであり、ここで置換ピペラジニルはその1個の窒素原子上で、CHO、C(O)NHR4、C1-4アルキル、又はCO2R4で置換されたピペラジニルであり、
R6は(H,OH)又は=Oであり、
R7はピリミジン、ピリジル、ピラジニル、又はフェニルであり、
R8はC1-6アレニル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキレン、ヒドロキシC1-6アルキル、C1-6アルキル、又はOHであり、
aはゼロ、1、2、又は3であり;
bはゼロ又は1であり;
dとd'は各々独立に、1又は2であり;
eとe'は各々独立に、ゼロ、1又は2であり;
fはゼロ又は1であり;そして
xはゼロ、1、2、3又は4である。
本発明は更に、ウイルス感染症にかかった患者を処置する方法を提供しており、この方法は式(I)化合物の抗ウイルス有効量を患者に投与することからなる。
更に、本発明は必要な患者でHIVプロテアーゼを阻害する方法を提供しており、この方法は式(I)化合物の阻害有効量を患者に投与することからなる。
発明の詳細な説明
用語「ハロゲン」「ハロ」又は「ハライド」は、塩素、臭素、又はヨウ素原子を指す。用語「立体異性体」は、同じ結合によって結合された同じ原子でつくられているが、交換可能でない異なる三次元構造をもった化合物を指す。三次元構造は立体配置と呼ばれる。用語「ジアステレオマー」は、互いに鏡像ではない一つ以上のキラル中心をもつ立体異性体類を指す。用語「エネンチオマー」は、分子が互いに重ね合わすことのできない鏡像であるような2個の立体異性体類を指す。用語「ラセミ混合物」又は「ラセミ変更型」は、等しい量部のエナンチオマー類の混合物を指す。用語「キラル中心」は、4個の異なる基が結合される炭素原子を指す。アミノ酸で、L/DやR/Sの指定は、生化学命名法に関するIUPAC−IUB合同委員会[Eur.J.Biochem.138巻9−37頁(1984年)に記載のとおりに使用できる。式(I)化合物が種々の立体異性体配置で存在しうることは理解されよう。更に、式(I)の立体配置が固定されている場合、各化合物に可能なエナンチオマー類の最大数は、2nに等しく、ここでnは化合物上に位置するキラル中心の総数を表わす。式(I)上に位置するキラル中心の最少数は星印(*)によって下に示してある。
Figure 0003574455
式中、置換基はすでに定義された通りであるが、但しP3は水素以外であることを条件としている。
本発明の化合物は遊離型、例えば両性型、又は塩型、例えば酸付加又は陰イオン塩の形でありうる。遊離型の化合物はこの分野で知られた方法で塩型に変換できそのまた逆もできる。
式I化合物類の製薬上受け入れられる塩類(水又は油に溶解又は分散可能な生成物の形のもの)は、例えば無機又は有機酸又は塩基から形成されるこれらの化合物類の慣用の無毒の塩又は第四級アンモニウム塩を含む。そのような酸付加塩の例には酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマール酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロ燐酸塩、ヘミスルフェート、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタリンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、修酸塩、パモエート(パモ酸塩)、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート及びウンデカノエートが含まれる。塩基塩はアンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム及びカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウム塩、有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、及びアミノ酸、例えばアルギニン、リジン等との塩を含む。又塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド類、例えばメチル、エチル、プロピル及びブチルクロライド類、ブロマイド類及びアイオダイド類;ジメチル、ジエチル、ジブチルスルフェート類などのジアルキルスルフェート;及びジアミルスルフェート、長鎖ハライド類、例えばデシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルクロライド類、ブロマイド類、及びアイオダイド類、アラルキルハライド類、例えばベンジル及びフェネチルブロマイド類及びその他等の試薬で第四級化できる。
式Iの化合物の水和物類は部分構造
Figure 0003574455
を有する水和された化合物であって、それらの最終用途においてはこれらは一般に活性形である。
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、別途示されない限り、一般にそれらの直鎖、分枝鎖、及び環化された形態を含み、特にメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、−CH2−t−ブチル、シクロプロピル、n−プロピル、ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、及びシクロヘキシルメチルなどの部分を含んでいる。使用される場合「アラルキル」という用語は、アルキレン橋掛け部分、好ましくはメチレン又はエチレンに結合されたアリール部分を含んでいる。
「アリール」は炭素環状部分及び複素環部分の両方を包含し、そのうちフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリル、インダゾリル、フリル、及びチエニル部分が主に興味のある基である。これらの部分は、例えば、2−、3−、又は4−ピリジル、2−又は3−フリル及びチエニル、1−、2−、又は3−インドリル、又は1−及び3−インダゾリル、並びにフリルとチエニル部分のジヒドロ及びテトラヒドロ類似体類のような位置異性体類を包含している。また、用語「アリール」に含まれるものは、ペンタレニル、インデニル、ナフタレニル、アズレニル、ヘプタレニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセフェナントリレニル、アセアントリレニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、及びナフタセニルのような縮合炭素環部分である。また用語「アリール」に含まれるものは、他の複素環の基、例えば2−又は3−ベンゾ[b]チエニル、2−又は3−ナフト[2,3−b]チエニル、2−又は3−チアントレニル、2H−ピラン−3−(又は4−又は5−)イル、1−イソベンゾフラニル、2H−クロメニル−3−イル、2−又は3−フェノキサチイニル、2−又は3−ピロリル、4−又は3−ピラゾリル、2−ピラジニル、2−ピリミジニル、3−ピリダジニル、2−インドリジニル、1−イソインドリル、4H−キノリジン−2−イル、3−イソキノリル、2−キノリル、1−フタラジニル、1,8−ナフチリジニル、2−キノサキリニル、2−キナゾリニル、3−シノリニル、2−プテリジニル、4aH−カルバゾール−2−イル、2−カルバゾリル、β−カルボリン−3−イル、3−フェナントリジニル、2−アクリジニル、2−ペリミジニル、1−フェナジニル、3−イソチアゾリル、2−フェノチアジニル、3−イソキサゾリル、2−フェノキサジニル、3−イソクロマニル、7−クロマニル、2−ピロリン−3−イル、2−イミダゾリジニル、2−イミダゾリン−4−イル、2−ピラゾリジニル、3−ピラゾリン−3−イル、2−ピペリジル、2−ピペラジニル、1−インドリニル、1−イソインドリニル、3−モルホリニル、ベンゾ[b]イソキノリニル、及びベンゾ[b]フラニルであり、これらはその位置異性体類を包含するが、但し複素環部分はその窒素を通して、C1-6アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、アミノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、ハロ、メルカプト、ニトロ、カルボキサルデヒド、カルボキシ、カルボアルコキシ、及びカルボキサミドから独立に選ばれる1個、2個又は3個の置換基に直接に結合できない。
同様に、用語「アルキレン」は直鎖又は分枝鎖部分を包含する。分枝鎖アルキレン部分の幾つかの例は、エチルエチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン等である。例えば、C3アルキレンは
Figure 0003574455
を意味し得る。
全ての(C1-15)部分は、好ましくはC1-6部分であり、すべてのC1-6部分、例えばC1-6アルキル、C1-6アレニル、C1-6アルコキシ及びヒドロキシC1-6アルキルは、より好ましくは、C1-3部分である(1−6個の炭素原子の代わりに1−3個の炭素原子を含有している)。
フルオレニルメチルオキシ部分は、その略字のFMOCで一般的に呼ばれる部分であり、フルオレニル部分の9位置に結合された−CH2Oをもったフルオレニル部分である。本明細書で定義される他の用語は、
Figure 0003574455
であり、置換(★)は分子の残りに結合されていない1個の窒素分子においてのみ生ずる(窒素原子を経由する結合)。置換基はCHO、C(O)NHR4、C1−C4アルキル、又はCO2R4の一つである。
より特定的には、P2がC1-6アルキル、又はヒドロキシC1-6アルキルである場合には、−C(CH3、−CH(CH3、−CH(CH3)(C2H5)、−C(OH)(CH3、及び−CH(OH)CH3などの部分が好ましい。
ピペリジルとモルホリニルは、いずれも
Figure 0003574455
各々の窒素原子を経由して分子の残りに結合するが、ピリミジニル、ピリジル、及びピラジニル
Figure 0003574455
は、各々の窒素原子以外の場所で分子の残りに結合する。
そして、ヒドロキシル基はアルキル部分の末端炭素原子には限定されない。)
本明細書で使用する、「Pg」という用語は、保護基をさす。考えられるアミノ保護基の群の中でも(1)アシル型保護基、例えばホルミル、トリフルオロアセチル、フタリル、p−トルエンスルホニル(トシル)、ベンゼンスルホニル、ニトロフェニルスルフェニル、トリチルスルフェニル、O−ニトロフェノキシアセチル;(2)芳香族ウレタン型保護基、例えばベンジルオキシカルボニル及び置換ベンジルカルボニル、例えばp−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニリル)−1−メチルエチルオキシカルボニル、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、及びベンズヒドリルオキシカルボニル:(3)脂肪族ウレタン保護基、例えば第三ブチルオキシカルボニル(Boc)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、及びアリロキシカルボニル;(4)シクロアルキルウレタン型保護基、例えばシクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、及びシクロヘキシルオキシカルボニル;(5)チオウレタン型保護基、例えばフェニルチオカルボニル;(6)アルキル型保護基、例えばトリフェニルメチル(トリチル)及びベンジル(Bzl);(7)トリアルキルシラン保護基、例えば適合性の場合のトリメチルシランが存在する。好ましいα−アミノ保護基は第三ブチルオキシカルボニル(Boc)又はベンジルオキシカルボニル(CBZ)である。Bocをアミノ酸のα−アミノ保護基として使用することは「ザプラクティスオブペプチドシンセシス(The Practice of Peptide Synthesis)」中にボダンスキー(Bodansky)等によって記載されている:スプリンガーフェアラーク(Springer−Verlag)、ベルリン(1984)、20頁。
P3上にありうるものなどの、α−アミノ基以外の官能基がある場合は、これらの基は一般的には保護されなければならない。これらの官能基は、他方の保護基を除くことなく一方の保護基を除去できるように、α−アミノ基上で使用されるものとは異なる保護基によって保護できる。保護基と、保護基を選択的に除くための試薬との適当な組合せの選択は、この技術分野で周知である。例えば、エム・ボダンスキー(M.Bodansky)「ペプチド化学の実践的教科書]スプリンガーフェアラーク社(1988年);ジェイ・スチュワート(J.Stewart)ら、「固体相ペプチド合成」第二版、ピアース・ケミカル社(1984年)を参照のこと。
一般に本発明化合物類は、この技術で類推的に知られた標準的な化学反応を用いて調製できる。更に詳しくは、構造(3)化合物類の調製はこの技術分野で周知であり、1992年7月23日に公開(published)された国際公開(publication)番号WO 92/12123を有するPCT/US91/09741号でシルリン・ディー(Schirlin,D.)及びバン・ドルセレール・ヴィ(Van Dorsselaer,V.)に一般に記載されている。例えば、反応経路IIで使用される必要な出発材料である構造(3)と(4)の化合物類を、反応経路Iに記載されたとおりに調製できる。反応経路I及びIIで使用される用語の「Pg」はすでに定義された通りの保護基であるが、記載されたベンジル又は芳香族ウレタン保護基を含まない。その他すべての置換基は、他に指示がなければ、すでに定義されている通りである。試薬及び出発材料は、当業者に容易に入手できる。
Figure 0003574455
反応経路I、段階Aで、アルデヒド(1)は亜鉛の存在下に、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等のような無水の非プロトン性溶媒中で、窒素又はアルゴン不活性雰囲気下に、ブロモジフルオロ酢酸のエステル、好ましくはエチルエステルとの縮合反応にかけられる。反応は、約60℃で約1−12時間、穏やかに加熱されるか、又は超音波処理されると、(2)に記載されたエステルを生ずる。アルデヒド(1)上の好ましいアミノ保護基(Pg')は、第三ブチロキシカルボニル基である。
その代わりに、反応経路I、段階Aで、エステル(2)をつくるための縮合は、次の一般的な方法を利用して、より大きな収量とより低い反応温度で達成できる。窒素のような不活性雰囲気下に、アルデヒド(1)を適当な無水有機溶媒中に溶解する。適当な無水有機溶媒の例は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル等である。溶液を約0℃に冷却する。溶液に約0.30当量の酢酸銀、約2.1当量の亜鉛末、及び約2当量のエチルブロモジフルオロアセテートを加える。反応温度を12℃より低温に保ちながら、約0.34当量の塩化ジエチルアルミニウム(トルエン溶液として)を反応物に徐々に加える。反応物を約0℃で1−3時間、及び室温で4−12時間かきまぜる。次に、反応物を約10℃に冷却し、飽和塩化アンモニウムで停止させる。次に、エステル(2)を単離し、この技術分野で周知の手法によって精製する。例えば、酒石酸水素ナトリウムの溶液を加え、反応物を10℃から室温に温める。混合物を濾過し、固体を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で洗い、濾液の層を分離する。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層と抽出液を一緒にし、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をシリカゲル上で、シクロヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶離剤でのフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、エステル(2)を生ずる。
反応経路I、段階Bで、エステル(2)をアミド化反応にかけると、構造(3)で記載されるアミドを生ずる。エステル(2)をテトラヒドロフランのような適当な有機溶媒中に溶解し、0−80℃の温度で適当なR1−R2置換されたアミンで処理すると、アミド(3)を生ずる。
その代わりに、必要に応じて保護された適当なR1,R2置換されたアミンを、窒素のような不活性雰囲気下に、ジクロロメタンのような適当な有機溶媒中に溶解する。トルエン中の2Mトリメチルアルミニウムの溶液1当量を溶液に滴加する。約15分後、この溶液を、ジクロロメタンのような適当な有機溶媒中に溶解された約0.3当量のエステル(2)に加える。反応物をほぼ室温ないし40℃で約15−24時間かきまぜる。次に、生成物はこの技術分野で周知の手法によって単離される。例えば、冷たい希塩酸と酢酸エチルを加える。有機層を分離し、水、塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮すると、アミド(3)を生ずる。
その代わりに、エステル(2)をこの技術で周知の条件下に対応する酸に加水分解し、続いてこの技術で周知のペプチド形成用のカップリング手順を利用して、適当なR1,R2置換されたアミンに結合させると、アミド(3)を生ずる。
反応経路I、段階Cで、エステル(2)のフェノール性エーテル部分をこの技術で周知の条件下に脱ベンジル化すると、構造(2a)で記載されるフェノールを生ずる。例えば、エステル(2)を4.4%蟻酸/メタノールのような適当な溶媒混合物に溶解する。薄層クロマトグラフィやHPLCによって示されるとおりに、脱ベンジル化が終了するまで、約1時間ないし6日間にわたり、触媒量のパラジウムブラックを少量ずつ添加する。次に、生成物を単離し、フラッシュ・クロマトグラフィなどの、この技術分野で周知の手法によって精製する。例えば、反応物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、シクロヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶離剤を使用して、残留物をシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、フェノール(2a)を生ずる。
反応経路I、段階Dで、フェノール(2a)をアミド化反応にかけると、構造(4)で記載されるアミドを生ずる。例えば、O−ベンジル−D−バリノールのような、必要に応じて保護された適当なR1,R2置換されたアミンを、窒素のような不活性雰囲気下に、ジクロロメタンのような適当な有機溶媒中に溶解する。トルエン中2Mトリメチルアルミニウム溶液1当量を、溶液に滴加する。約15分後、この溶液をジクロロメタンのような適当な有機溶媒中に溶解された約0.3当量の(2a)に添加する。反応物をほぼ室温ないし40℃で約15−24時間かきまぜる。次に、この技術で周知の手法を使用して、生成物を単離する。例えば、冷たい希塩酸水溶液と酢酸エチルを加える。有機層を分離し、水と塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、アミン(4)を生ずる。
式(I)化合物類は、反応経路IIに記載されたとおりに調製できる。他に指示がなければ、すべての置換基はすでに定義されている通りである。試薬と出発材料は当業者に容易に入手できる。
Figure 0003574455
Figure 0003574455
Figure 0003574455
反応経路II、段階Aで、アミド(3)を脱ベンジル化すると、構造(4)で記載されるフェノールを生ずる。例えば、エル・アミン(El Almin)ら、J.Org.Chem.44巻3442頁(1979年)の手順に一般的に従って、触媒量のPdブラックを添加した4.4%蟻酸/メタノールのような適当な溶媒混合物中に、アミド(3)を溶解する。反応物を約4−6時間かきまぜ、必要に応じて追加量のPdブラックを約45分の間隔で、反応終了まで添加する。次に、反応物を濾過し、濾液を真空中で濃縮する。再結晶のようなこの技術で周知の手法によって、残留物を精製する。例えば、シクロヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶媒混合物から残留物を再結晶させると、フェノール(4)を生ずる。
反応経路II、段階Bで、フェノール(4)をアルキル化すると、構造(5)で記載されるエーテルを生ずる。例えば、フェノール(4)をアセトンのような適当な有機溶媒に溶解する。炭酸カリウムのような適当な塩基約1.2当量を加え、続いて適当なアルキルハライド約1.15当量を加える。適当なアルキルハライドの例は、エチルブロモアセテート、メチルブロモアセテート、エチル3−ブロモプロピオネート、エチル3−クロロプロピオネート、エチル4−ブロモブチレート、エチル4−クロロブチレート、エチル5−ブロモバレレート等である。次に、溶媒量のヨウ化カリウムを加え、反応物を1−3日間かきまぜる。抽出法や再結晶のような、この技術で周知の手法によって生成物を単離、精製する。例えば、反応物を酢酸エチル/塩化ナトリウム希水溶液のような適当な溶媒混合物中に注ぎ、有機層を分離する。次に、有機層を水酸化カリウム希水溶液と塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮する。シクロヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶媒混合物から再結晶によって残留物を精製すると、エーテル(5)を生ずる。
反応経路II、段階Cで、エーテル(5)の保護されたアミン部分は、ティー・エッチ・グリーン(T.H.Green)「有機合成の保護基」ジョン・ウィリー・エンド・サンズ社、1981年、第7章に記載されたとおりに、この技術で周知の条件下に脱保護されると、構造(6)で記載される脱保護アミンを生ずる。例えば、Pg'がt−ブチロキシカルボニルであるとき、エーテル(5)を過剰量のトリフルオロ酢酸(TFA)で処理し、反応物を窒素雰囲気下に約2時間かきまぜる。次に、反応物を真空下に濃縮する。残留物を酢酸エチルに2回溶解し、各回とも真空下に濃縮すると、脱保護アミン(6)をTFA塩として生ずる。その代わりに、Pg'がt−ブチロキシカルボニルの時には、エーテル(5)を過剰量の蟻酸で処理し、室温で約1−2時間かきまぜる。脱保護アミン(6)は、重炭酸ナトリウム水溶液での処理と酢酸エチルのような適当な有機溶媒での抽出によって単離できる。有機抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮すると、脱保護アミン(6)を生ずる。
反応経路II、段階Dで、この技術で周知の条件下に、脱保護アミン(6)を直ちに構造(6a)
Figure 0003574455
の酸とのカップリング反応にかけると[(6)の可能なラクタム化を避けるため]、望んでいない結合の形成を防ぐのに必要とされるとおりに、P3が適当に保護されている場合の構造(7)によって記載さるたアミドを生ずる。
P3が−CH2SH,−CH2OH,−CH(CH3)OH,−CH2(CH23NH2,−CH2(CH22NHC(=NH)NH2,−CH2CO2H,−CH2CH2CO2H,
Figure 0003574455
である時には、P3は適当な保護基を必要とする。それ以外では、P3は保護されない。使用できる保護基、その選択、及びその後の除去はこの技術の範囲内にある。例えば、ティー・エッチ・グリーン「有機化学の保護基」ジョン・ウィリー・エンド・サンズ社、ニューヨーク(1981年);「ペプチド類:その分析、合成、生物学」第3巻、アカデミック・プレス社、ニューヨーク(1981年);エム・ボダンスキー「ペプチド化学の実践的教科書」スプリンガー=フェアラーク社(1988年);及びジェイ・スチュワートら、「固相ペプチド合成」第二版、ピアースケミカルカンパニー(1984年)を参照のこと。
適当なカップリング反応手順の選択は、この技術の熟練の範囲内にある。カップリング反応は、アジド法、混合炭酸無水物(イソブチルクロロフォルメート)法、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、又は水溶性カルボジイミド)法、活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシ−コハク酸イミドエステル)法、ウッドワード試薬K法、カルボニルジイミダゾール法、BOP−Clのようなリン試薬、又は酸化還元法のような標準的なカップリング手順を用いて実施できる。これらの方法の幾つか(特にカルボジイミド法)は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを加えて強化できる。例えば、脱保護アミン(6)[遊離塩基又はTFA塩として]を、窒素などの不活性雰囲気下にかきまぜながら、塩化メチレン/ジメチルホルムアミド(1:1)のような適当な有機溶媒混合物中に溶解できる。約1.06当量の1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)を加え、続いてN−メチルモルホリン[(6)が遊離塩基の場合は1.1当量、(6)がTFA塩の場合は2.2当量]、約1.06当量の(6a)、及び約1.11当量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を加える。反応物を約12時間ないし3日間かきまぜる。次に、抽出法、フラッシュ・クロマトグラフィ、及び再結晶のような、この技術で周知の手法によって、生成物を単離、精製する。例えば、反応物を水中に注ぎ、混合物を酢酸エチルのような適当な有機溶媒で抽出する。有機抽出液を希塩酸水溶液、重炭酸ナトリウム水溶液、塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮する。次に、シリカゲル静止相で酢酸エチル/シクロヘキサンのような適当な溶離剤を利用するフラッシュ・クロマトグラフィによって残留物を精製し、続いて酢酸エチル/シクロヘキサンのような適当な溶媒混合物から結晶化させると、アミド(7)を生ずる。
反応経路II、段階E及びFで、アミド(7)のエステル部分は構造(8)で記載される活性ペンタフルオロフェニルエステルに転化される。例えば、アミド(7)をメタノール/水(19:1)のような適当な溶媒混合物中に懸濁させる。水酸化リチウムのような適当な塩基約1.4当量をかきまぜながら添加する。反応物を約2−4時間かきまぜる。次に、反応物を真空下に濃縮する。対応する酸の生ずる塩をこの技術で周知の手法によって精製する。例えば、塩を水に溶解し、エーテルで洗う。酢酸エチルのような適当な有機溶媒を水相に加え、水相が酸性になるまで、激しくかきまぜながら0.1N重硫酸ナトリウムを加える。次に、有機相を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、対応する酸を生ずる。次に、酸を塩化メチレンで溶解する。この溶液に、約1.3当量のペンタフルオロフェノールと約1.2当量の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩をかきまぜながら加える。反応物を約3時間ないし3日間かきまぜる。次に、生成物をこの技術で周知の手法によって単離、精製する。例えば、反応物を水で希釈し、生ずる固体を濾過によって集め、水とエーテルですすぐ。次に、これをシクロヘキサン/酢酸エチルのような適当な溶媒混合物から再結晶させると、ペンタフルオロフェニルエステル(8)を生ずる。
反応経路II、段階Gで、ペンタフルオロフェニルエステル(8)の保護アミン部分を、ティー・エッチ・グリーン、「有機合成の保護基」ジョン・ウィリー・エンド・サンズ社、1981年、第7章に記載されるような、この技術分野で周知の条件下にに脱保護されると、構造(9)で記載される脱保護アミンを生ずる。例えば、Pgがt−ブチロキシカルボニルの時には、ペンタフルオロフェニルエステル(8)をかきまぜながら、過剰量の4N塩化水素/ジオキサンで処理する。反応物を30分ないし2時間かきまぜる。次に、反応物を真空下に濃縮すると、脱保護アミン(9)を塩酸塩として生ずる。
反応経路II、段階Hで、脱保護アミン(9)塩酸塩を環化反応にかけると、構造(10)で記載されるマクロ環式アルコールを生ずる。例えば、脱保護アミン(9)を適当な塩基と有機溶媒混合物、例えば重炭酸ナトリウム希水溶液/塩化メチレンで処理する。反応物を1−3日間激しくかきまぜる。次に、生成物をこの技術で周知の手法によって単離、精製する。例えば、反応物を濾過し、固体を水とエーテルですすぐと、マクロ環式アルコール(10)を生じ、これをこの技術で周知の手法によって精製できる。
アミド(7)をマクロ環式アルコール(10)に転化する代わりの方法は、2段階で達成できる。Pgがアミド(7)上のFMOC保護基である時は、水酸化リチウムのような適当な塩基約2当量でアミド(7)を処理すると、酸と構造(7a)の脱保護アミンを生じるであろう。
Figure 0003574455
(7a)を反応経路II、段階Dですでに記載されたような標準的なカップリング条件にかけると、(7a)の環化が起こり、マクロ環式アルコール(10)を生ずる。
反応経路II、段階Iで、マクロ環式アルコール(10)をこの技術で周知の条件下にに酸化すると、P3が保護されていない時は式(I a)のマクロ環式ケトン、又はP3が適当に保護されている時は構造(11)のマクロ環式ケトンを生ずる。例えば、窒素雰囲気下にマクロ環式アルコール(10)をジメチルスルホキシド/塩化メチレン(3:1)のような適当な有機溶媒混合物中に溶解し、約−15ないし−17℃に冷却する。塩化オキサリル約9当量を溶液に滴加する。約1時間後、約19当量のトリエチルアミンを反応物に加え、次にこれを徐々に室温に温め、約17時間かきまぜる。次に、生成物を抽出法、フラッシュ・クロマトグラフィ、及び再結晶のような、この技術で周知の手法によって単離、精製する。例えば、反応物を水/酢酸エチルのような適当な溶媒混合物で希釈する。有機相を分離し、水と塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮する。残留物を酢酸エチル/メタノール(19:1)のような適当な溶離剤を使用するフラッシュ・クロマトグラフィによって精製し、続いて酢酸エチル/2,2,2−トリフルオロエタノールのような適当な溶媒混合物から再結晶させると、式(I a)のマクロ環式ケトン又はマクロ環式ケトン(11)を生ずる。
その代わりに、デス−マーチン・ペリオジナン(すなわち1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−2,1−ベンゾキシオドール−3(1H)−オン)[デス・マーチン(Dess Martin)、J.Org.Chem.48巻4155頁(1983年)]で酸化を実施できる。この酸化は、試薬を不活性溶媒(例えば塩化メチレン)中に懸濁させて、不活性雰囲気(好ましくは窒素)下に無水条件下に0−50℃(好ましくは室温)で、約1当量のアルコールを1−10当量(好ましくは5当量以上)のペリオジナンと接触させ、反応体類を約1−48時間反応させて行なわれる。所望のケトンは、上記のようにこの技術で周知の手法によって単離、精製できる。
反応経路II、段階Jで、マクロ環式ケトン(11)上のP3の保護部分を、この技術で周知の条件下に脱保護すると、式(I b)のマクロ環式ケトンを生ずる。
反応経路IIIで、反応経路IIで調製される脱保護アミン(6)を出発材料として式(I)化合物を調製するための代わりの方法が記載されている。他に指示がなければ、他のすべての置換基はすでに定義されている。試薬と出発材料は、当業者に容易に入手できる。
Figure 0003574455
反応経路III、段階Aで、反応経路II、段階Dですでに述べたカップリング条件下に脱保護アミンを構造(6b)
Figure 0003574455
の酸とのカップリング反応にかけると、構造(12)のアミドを生ずる。
反応経路III、段階Bで、反応経路II、段階Cで述べた条件下にアミド(12)を脱保護させると脱保護アミンを生じ、続いてこれを反応経路II、段階Dですでに述べたカップリング条件下に、構造(6c)
Figure 0003574455
の酸とのカップリング反応にかけると、構造(7)のアミドを生ずる。次に、アミド(7)は、反応経路IIですでに述べたとおりに、式(I)化合物類に転化される。
式(I)のジアステレオマー類を分離し、この技術で周知の手法を利用して、例えばジャック・ジェイ(Jacques,J.)ら、「エナンチオマー類、ラセミ体類、及び分割」(ジョン・ウィリー・エンド・サンズ社、1981年)に記載された結晶化法、又はHPLC(高圧液体クロマトグラフィ)条件下にキラル静止相のような適当な静止相を利用するクロマトグラフィ、又はフラッシュ・クロマトグラフィによって、式(I)のエネンチオマー類を分割できる。
以下の実施例は、反応経路I、II、及びIIIによって記載される典型的な合成を指示している。これらの実施例は例示的なものとしてのみ理解され、いかなる形でも本発明の範囲を限定する意図のものではない。以下の実施例中で使用される以下の用語は、指定の意味をもっている。「eq」は当量を指す。「g」はグラムを指す。「mg」はミリグラムを指す。「mmol」はミリモルを指す。「mL]はミリリットルを指す。「℃」は摂氏の度を指す。「TLC」は薄層クロマトグラフィを指す。「δ」は、1H NMRでテトラメチルシランからダウンフィールドでの百万分率を指す。また「δ」は19F NMRでフルオロトリクロロメタンからアップフィールドでの百万分率を指す。
実施例1
[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9− (1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N −(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザ ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン− 12−プロパンアミドのの調製
Figure 0003574455
反応経路Iの出発材料のO−ベンジル−N−(tert−ブ トキシカルボニル)−L−チロシナール(1)の調製[国際公開番号WO 92/12123をもつ、1992年7月23日公開されたPCT/US91/09741におけるシルリン・ディー及びバン・ドルセレーア・ヴィの手順に従う]
無水ジクロロメタン(350mL)中のN−第三ブトキシカルボニル−L−O−ベンジルチロシン(37.1g,100mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(20.6g,100mmol)、及びN−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(15.3g,100mmol)の混合物を0℃で10分かきまぜる。これに、0℃でN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(9.75g,100mmol)とN−メチルモルホリン(10.1g,100mmol)を加える。温度を室温に温め、かきまぜを15時間続ける。次に、白色沈殿物を濾別し、ジクロロメタンですすぐ。濾液を真空下に濃縮し、残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、酢酸エチル/シクロヘキサン、2:8)で精製すると、N−tert−ブトキシカルボニル−L−O−ベンジルチロシン−N,O−ジメチル−ヒドロキサメート(34.3g)を白色固体として生ずる(酢酸エチル/シクロヘキサン、1:1中でRF=0.36)。
N−tert−ブトキシカルボニル−L−O−ベンジルチロシン−N,O−ジメチル−ヒドロキサメート(18.2g,44mmol)を無水ジエチルエーテル/ジメトキシエタン(300mL,4:1)の混合物中に溶解し、0℃に冷却する。これに水素化アルミニウムリチウム(1.82g,48mmol)を少量ずつ加える。反応物を0℃で1.5時間かきまぜる。反応物にかきまぜながら、硫酸水素カリウムの1M溶液(55mL)を滴加する。添加終了後、水相を傾斜させ、酢酸エチル(2x200mL)で抽出する。一緒にした有機層を3N塩酸(250mL)、水(200mL)、飽和重炭酸ナトリウム(150mL)、及び塩水(200mL)で洗う。次に、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮する。残留物を酢酸エチル/ペンタンから再結晶させると、N−tert−ブトキシカルボニル−L−O−ベンジルチロシナール(13g)を生ずる。
4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオ ロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニ ルペンタン酸エチルエステルの製造
反応経路I、段階A:無水テトラヒドロフラン(120mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−L−O−ベンジルチロシナール(13.0g,36.6mmol)、酢酸銀(1.82g,10.9mmol)、活性亜鉛末(5.02g,76.8mg原子、3N塩酸、水、アセトン、及びエーテルで洗浄)、及びエチルブロモジフルオロアセテート(14.8g,72.9mmol)のかきまぜた混合物に、0℃で塩化ジエチルアルミニウム(22.4mL、1.8Mトルエン溶液)を20分間に加える。添加中に温度を12℃より低温に保持する。次に、反応物を0℃で90分、次に室温で4時間かきまぜる。次に、反応物を10℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)で停止させる。酒石酸水素ナトリウム1M溶液(200mL)を加え、反応物を室温に温める。反応物を濾過し、固体を酢酸エチルですすぐ。濾液層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出する。一緒にした有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮する。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル、4:1)で精製すると、表題化合物(8.34g)を生ずる。ジアステレオマー類の比は約1:1である。
4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオ ロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニ ル−N−(フェニルメチル)ペンタミドの調製
反応経路I、段階B:無水テトラヒドロフラン(50mL)中の4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニルペンタン酸エチルエステル(5.5g,11.5mmol)の溶液に、0℃でベンジルアミン(6.15g,57.5mmol)を加える。反応物を0℃で3時間、次に室温で15時間かきまぜる。次に、反応物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、0.1N塩酸水溶液(2x50mL)、水(50mL)、塩水(50mL)で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。次に、これを濾過し、真空中で濃縮する。残留物を酢酸エチル/ペンタンから再結晶させると、表題化合物(5.17g)を白色固体として生ずる。
[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4− [[(1,1−ジメチルエキシ)カルボニル]アミノ] −2,2−ジフルオロ−5−[4−(ヒドロキシ)フェニ ル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペント ンアミドの調製
反応経路II、段階A:4.4%HCO2H/CH3OH(25mL)中のPdブラック(300mg)のかきまぜた懸濁液に、4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニル−N−ベンジルペンタミド(R/S比6:1、1.39g,2.57mmol)を加える。0.75時間、1.5時間、及び2.25時間にPdブラックの追加300mg量を加える。計4.25時間後、触媒を濾過(CH3OHすすぎ)によって除去し、濾液を同様な実験(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニル−N−ベンジルペンタミド51mgを使用)からのものと一緒にし、真空中で濃縮する。シクロヘキサン/EtOAcから再結晶させると、表題化合物(R/S比約6:1)1.10g(92%)を微細な象牙色粉末として生ずる。mp 163−166℃;IR(KBr)νmax 3412,3362,1682,1545,1518,1165,cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ9.18(nm,2H),7.35−7.2(m,5H),6.99(d,2H,J=8.2Hz),6.66(d,2H,J=8.2Hz),6.19(d,1H,J=9.1Hz),6.02(d,1H,J=8.1Hz),4.36(dd,1H,J=15.5,6.0Hz),4.27(dd,1H,J=15.5,6.2Hz),4.0−3.87(m,2H),2.64(m,2H),1.33(major)及び1.24(2s,9H);19F NMR(DMSO−d6)主ジアステレオマー:−110.82(dd,J=255,6Hz),−122.39(dd,J=255,20Hz),副ジアステレオマー:−111.05(dd,J=255,6Hz),−121.78(dd,J=255,21Hz;質量スペクトルm/z 479(M++29),451(M++1),423,379,352,351(100),333,243,91.
[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4− [[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ] −2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2− (オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチ ル)−L−グリセロ−ペントンアミドの調製
反応経路II、段階B:アセトン(6mL)中の[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−(ヒドロキシ)フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(441mg,0.979mmol)のかきまぜた溶液に、粉末K2CO3(165mg,1.20mmol)、BrCH2CO2CH3(110μL,1.16mmol)、及び触媒量の粉末KIを加える。フラスコに栓をし、かきまぜを3日間続ける。反応混合物をEtoAc/NaCl希水溶液中に注ぎ、有機層を分離し、KOH希水溶液と塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を濾過し、真空中で濃縮すると、表題化合物413mg(81%)を粘り気のある白色固体として生ずる。シクロヘキサン/EtOAcからの再結晶は、表題化合物(R/S比5.5:1)を白色粉末として生ずる。mp 93.5−99.5℃;IR(KBr)νmax 3352,1690,1530,1512,1215,1177cm-1;1H NMR(CDCl3)δ7.38−7.24(m,5H),7.18(nm,1H),7.10(d,2H,J=8.6Hz),6.81(d,2H,J=8.6Hz),5.00(d,1H,J=9.2Hz),4.72(nm,1H),4.60及び4.58(major)(1:5.5の比で2s,2H),4.50(dd,1H,J=14.8,5.Hz),4.42(dd,1H,J=14.8,5.7Hz),4.1−3.94(m,2H),3.80及び3.79(major)(1:5.5の比で2s,3H),3.0−2.8(m,2H),1.42及び1.38(2s,9H);19F NMR(CDCl3)δ副ジアステレオマー:−113.49(dd,J=262,9Hz),主にジアステレオマー:−115.83(dd,J=262,9Hz;副ジアステレオマーの他のFは、このピークの下に埋没),−120.07(dd,J=262,14Hz);質量スペクトラム,m/z 522(M+),495,451,423(100),405,243,223,91;[α]20 D−33.0゜(c 0.81,CH3OH).
[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[2 −[[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]ア ミノ]アセチル]アミノ]−3−メチル−1−オキソブ チル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2− メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N− (フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミドの 調製
反応経路II、段階C及びD:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(413mg,0.790mmol)の溶液を窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮する。生ずるTFA塩を1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)中に窒素下にかきまぜながら溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Boc−gly−val−OH(230mg,0.84mmol、標準条件下における市販gly−val−OHとジ−t−ブチルジカーボネートとの反応によって調製)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。3日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出物をHCl希水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空中で濃縮すると、ゴム状の固体549mgを生じ、これをフラッシュ・クロマトグラフィ(3:1 EtOAc/シクロヘキサン)によって精製すると、表題化合物(443mg)を白色固体として生ずる。EtOAc/シクロヘキサンから再結晶させると、表題化合物(R/S比6.6:1)を白色粒状物として生ずる。mp 161−166℃;IR(KBr)νmax 3395,3298,1684,1647,1537,1514,1206,1179cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ9.14(nm,1H),7.76(d,1H,J=8.7Hz),7.55(d,1H,J=8.8Hz),7.35−7.2(m,5H),7.13(d,2H,J=8.6Hz),7.09(m,1H),6.84(d,2H,J=8.6Hz),6.32(d,1H,J=7.6Hz),4.75(major)及び4.73(6.6:1の比で2s,2H),4.4−3.93(m,5H),3.69(major)及び3.69(2s,3H),3.56(見かけABの内部ピーク,2H),2.75(dd,1H,J=13.4,8.1Hz),2.62(dd,1H,J=13.4,6.0Hz),1.98(m,1H),1.38(major)及び1.36(2s,9H),0.80(d,3H,J=6.7Hz),0.76(d,3H,J=6.6Hz);19F NMR(CDCl3)δ主ジアステレオマー:−10.67(d,J=255Hz),−122.89(dd,J=255,20Hz),副ジアステレオマー:−110.93(d,J=257Hz),−122.29(dd,J=257,20Hz);質量スペクトラム,m/z 707(M++29),679(M++1),623,579,405(100)。
純粋な[3(S),4(S)]表題化合物は、CH3OH/ブタノン/EtOAcからの再結晶後、白色粉末として得られた。mp 209/211℃;IR(KBr)νmax 3306,1680,1653,1537,1514,1211,1179cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ(主ロータマーrotamer)9.25(t,1H,J=6.0Hz),7.94(アップフィールド・ショルダーをもつd,1H,J=8.6Hz),7.41−7.21(m,6H),7.08−7.00(m,3H),6.77(d,2H,J=8.4Hz),6.25(bs,1H),4.72(s,2H),4.36(m,2H),4.24−3.95(m,3H),3.69(s,3H),3.53(見かけABの内部ピーク、統合されていない),2.94−2.81(m,1H),2.61(dd,1H,J=14.1,10.7Hz),1.87(m,1H),1.38(2s,9H),0.72(d,3H,J=7.0Hz),0.69(d,3H,J=7.0Hz);19F NMR(CDCl3)δ−109.90(dd,J=252,7Hz),−119.82(dd,J=252,19Hz[δ−109.8と−119.9にショルダーあり];FAB質量スペクトル,m/z 679(M++1),579,423,405,358,307(100),289。
[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[2 −[[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]ア ミノ]アセチル]アミノ]−3−メチル−1−オキソブ チル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−]4−オキソ −2−(ペンタフルオロフェノキシ)エトキシ]フェニ ル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペント ンアミドの調製
反応経路II、段階E及びF:19:1 CH3OH/H2O(20mL)中の[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[2−[[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]アセチル]アミノ]−3−メチル−1−オキソブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(400mg,0.589mmol)のかきまぜた懸濁液に、LiOH・H2O(29mg,0.69mmol)を加える。2時間後、追加のLiOH・H2O(5mg,計0.81mmol)を加え、更に2時間後、溶液を真空中で濃縮する。残留物を水に溶解し、水溶液をエーテルで洗い、EtOAcで覆い、激しくかきまぜながら、0.1N NaHSO4(10mL)の添加によって酸性化する。有機層を分離し、水層をEtOAcの第二の量で抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空中で濃縮すると、対応する酸407mg(理論値の392mg)を生じ、これをCH2Cl2(5mL)とDMSO−d6(1mL)中に溶解する。このかきまぜた溶液に、窒素下にC6F5OH(139mg,0.755mmol)とEDC(140mg,0.73mmol)を加える。3日後、混合物を水で希釈し、濾過し、象牙色の固体を水とエーテルで洗う。CF3CH2OH/EtOAcからの再結晶を試みると、トリフルオロエチルエステルへの部分的エステル交換を生じる。混合物を鹸化し、再エステル化すると、粗製の表題化合物394mgを生ずる。同様な実験で、CF3CH2OH/EtOAc(加熱溶液を濾過助剤に通して濾過する)からの再結晶は、純粋な化合物を微細な白色でつやのない結晶として生ずる。mp 202−204℃;IR(KBr)νmax 3389,2974,1684,1653,1522,1173,1121,1080,997cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ9.14(m,1H),7.77(d,1H,J=9Hz),7.54(d,1H,J=8.9Hz),7.35−7.22(m,5H),7.17(d,2H,J=8.7Hz),7.08(nm,1H),6.95(d,2H,J=8.7Hz),6.33(d,1H,J=7.6Hz),5.34(s,2H),4.4−4.18(m,4H),4.08−3.95(m,1H),3.55(nm,2H),2.8−2.58(m,2H),1.97(m,1H),1.38(major)及び1.36(2s,計9H),0.80(d,3H,J=6.6Hz),0.76(d,3H,J=6.7Hz);19F NMR(DMSO−S6)δ−110.69(d,J=256Hz),−122.89(dd,J=255,20Hz),−152.37(d,J=20Hz),−156.95(t,J=23Hz),−161−75(dd,J=23,20Hz);質量スペクトラム,m/z 831(M++1),775,731.[3(S),4(S)]表題化合物は単離せず、マクロ環式アルコールに直接転化される。
[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−β−ヒ ドロキシ−9−(1−メチルエチル)−4,7,10−トリオ キソ−N−(フェニルメチル)2−オキサ−5,8,11−ト リアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリ エン−12−プロパンアミドの調製
反応経路II、段階G及びH:3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[2−[[[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]アセチル]アミノ]−3−メチル−1−オキソブチル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−オキソ−2−(ペンタフルオロフェノキシ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(494mg,0.595mmol)を4N HCl/ジオキサン(16mL)中にかきまぜながら懸濁する。2時間後、透明なゲルが生成する。溶媒とHClを真空中で除去し、残留固体をNaHCO3/CH2Cl2希水溶液中に激しくかきまぜながら3日間懸濁する。混合物を濾過し、象牙色の固体を水とエーテルで洗う。固体のほとんどを溶解するのに十分なだけのCF3CH2OHと共に、熱いEtOAcを加える。濾過助剤に通して濾過し、真空下に濃縮すると表題化合物256mgを生ずる。同様な実験で、濾液を濃縮し、熱いEtOAcで希釈すると、表題化合物の(R)−アルコールが微細な白色粒状物として得られる。mp>255℃;IR(KBr)νmax 3412,3318,1663,1537,1514cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ9.17(m,1H),7.90(m,1H),7.64(m,1H),7.37−7.2(m,5H),7.11(m,1H),7.01(m,1H),6.93(m,1H),6.81(m,1H),6.46(m,1H),6.14(dd,1H,J=7.4,0.9Hz),4.60("d",1H,J=15Hz),4.5−4.1(m,6H),3.96(m,1H),3.72−3.54(2m,2H),2.76(m,1H),1.78(m,1H),0.77−0.71(m,6H);19F NMR(DMSO−S6)δ主コンフォーマー(85%)−109.96(dd,J=256,5Hz),−122.71(dd,J=256,20Hz),副コンフォーマー(15%)−110.45(d,痕跡量の不純物),−122.3(m,痕跡量の不純物);質量スペクトラム m/z 547(M++1)。
表題化合物の調製において、脱保護/環化からの粗製材料を沸騰するCH3OH数回分ですり砕き、表題化合物の(S)−アルコールを溶解し、幾分の不溶性重合体材料を除去する。溶媒を真空下に除去し、残留物を沸騰するCF3CH2OH数回分ですり砕く。ベージュ色の不溶性粉末は表題化合物の(S)−アルコールである。IR(KBr)νmax 3401,3298,1678,1643,1543,1514cm-1;1H NMR(DMSO−d6)δ−108.94(dd,J=253,6Hz),−121.27(dd,J=253,20Hz),質量スペクトラム,m/z 575(M++29),547(M++1),113(100);C27H33F2N4O6の正確な質量計算値547.2368.測定値547.2344.表題化合物の(S)ーアルコールは、この特定実験では続行されない。しかし、(R)−アルコールと同様な方法で、これを以下の反応にかけると、最終的な表題化合物が得られる。更に、(R)と(S)アルコール類の混合物を、同様な方法で以下の反応にかけると、最終生成物が得られる。このアルコールの最終酸化においてケトンを生じ非対称中心が破壊されるので、これらのアルコール類の分離は重要ではない。
[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9− (1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N −(フェニルメチル−2−オキサ−5,8,11−トリアザ ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン− 12−プロパンアミドの調製
反応経路II、段階I:[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−β−ヒドロキシ−9−(1−メチルエチル)−4,7,10−トリオキソ−N−(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミド(240mg,0.439mmol)を、窒素下に激しくかきまぜながら60℃に加熱することにより、DMSO(6mL)に溶解する。冷却後、溶液をCH2Cl2(2mL)で希釈し、氷/CH3OH浴中で−15〜−17℃に冷却する。薄いスラリーを生ずるために2M塩化オキサリル/CH2Cl2(2.0mL)を滴加する。1時間後、Et3N(1.15mL,8.25mmol)を加え、混合物を室温に徐々に温める。17時間後、混合物を水/EtOAcで希釈する。有機層を分離し、水層を二度目のEtOAcで抽出する。幾分の不溶性白色固体(18mg)があり、これは出発材料である。一緒にした有機抽出液を水、塩水で3回洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。次に有機層を濾過し、真空中で濃縮する。粗製白色残留物(101mg)をフラッシュ・クロマトグラフィ(19:1 EtOAc/CH3OH)で生成すると、非極性の油27mg(捨てる)と白色固体/ゲル70mgを生ずる。EtOAc/CF3CH2OHから再結晶をくり返すと、白色ゲルを生じ、これを19:1 CH2Cl2/CH3OHで洗うと表題化合物17mgを薄いベージュ色の粉末として生ずる。これは、主に少ないほうの[9(S),12(R)]ジアステレオマーからなるが、[9(S),12(S)]ジアステレオマー、並びに[9(S),12(R)]ジアステレオマーの恐らく水和物をも含有している。不溶性ゲルを更に同じ溶媒混合物から更に再結晶させると、[9(S),12(R)]ジアステレオマー5mgを微細な薄いベージュ色の粒状物として生ずる。混合物については、IR(KBr)νmax 3420,1669,1530,1514cm-1;19F NMR(DMSO−d6)δ[9(S),12(R)]ジアステレオマー:−105.89(d,J=263Hz),−111.90(d,J=263Hz);[9(S),12(S)]ジアステレオマー:−109.13(d,J=274Hz),−111.77(d,J=274Hz);[9(S),12(R)]ジアステレオマーの恐らく水和物:−105.62(d,J=271Hz),−123.35(d,J=271Hz)(それぞれ70:18:12混合物);質量スペクトラム(Cl,70eV),m/z 573(M++29),571,545(M++1),308,268,250,(100),190,91;C27H30F2N4O6の正確な質量計算値:545.2212.測定値:545.2239.[9(S),12(S)]ジアステレオマーについては、IR(KBr)νmax 3418,1667,1535,1514cm-1;19F NMR(DMSO−d6)δ−109.12(d,J=274Hz);−111.77(d,J=274Hz),それに少量の不純物;質量スペクトラム(Cl,70eV),m/z 573(M++29),545,(M++1),308(100),91;C27H30F2N4O6の正確な質量計算値:545.2212.測定値:545.2230.
実施例2
[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9− (1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N −[2−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル] プロピル]−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロ パンアミドの調製
Figure 0003574455
次の反応に必要とされる出発材料O−ベンジル−D−バ リノールの調製
メタノール(60mL)中のD−バリノール(5.1g,49.4mmol)とジーtert−ブチルジカーボネート(10.9g,52mmol)の溶液を、室温で17時間かきまぜる。真空下に濃縮後、フラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル:3/7,Rf:0.37)によって残留物を精製すると、N−tert−ブトキシカルボニル−D−バリノールを定量的な収量(10.07g,無色の油)で生ずる。
無水ジメチルホルムアミド(50mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−D−バリノール(10g,49.3mmol)と臭化ベンジル(5.86mL,49.3mmol)の溶液に、−5℃で窒素下に、カリウムーtertーブトキシド(11.06g,98.6mmol)を固体として、内部温度が+5℃を越えないようにして、少量ずつ転化する。反応混合物を0℃で2時間かきまぜ、酢酸エチル(2x300mL)で希釈し、1N硫酸水素カリウム(50mL)溶液と水250(mL)で抽出し、水(2x200mL)で2回洗う。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮後、油をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、酢酸エチル/石油エーテル:1/9、Rf:0.42)で精製すると、N−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンジル−D−バリノールを無色の油(9.95g,収率69%)として生ずる。
蟻酸(50mL)中のN−tert−ブトキシカルボニル−O−ベンジル−D−バリノール(9.95g,34mmol)の溶液を室温で4時間かきまぜる。真空下に蟻酸を除去後、粘性残留物を水(100mL)に溶解し、重炭酸ナトリウム飽和溶液(100mL)で中和し、有機材料を酢酸エチル(2x100mL)で2回抽出する。有機相を水(2x200mL)で中性になるまで洗い、一緒にした有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過し、真空下に濃縮すると、O−ベンジル−D−バリノールをやや黄色の油(5.20g,79%)として生ずる。
反応経路I、段階C:4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,2−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−5−(4−ベンジロキシ)フェニルペンタン酸エチルエステル(756mg,1.58mmol、実施例1、反応経路I、段階Aで調製)と、4.4%蟻酸/メタノール(9mL)を窒素雰囲気下に一緒にする。パラジウムブラック(171mg)を加え、1時間かきまぜる。1時間後、次に4時間後、及び最後に2日後、それぞれ追加量のパラジウムブラック(80mg、378mg、及び111mg)を加える。6日後、反応物を濾過し、濾液を真空下に濃縮する。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル、2:1、次に1:1)で精製すると、脱ベンジル化生成物(380mg,58%)を薄い黄色のフォームとして生ずる。
反応経路I、段階D:窒素雰囲気下に、乾燥ジクロロメタン(1mL)中のO−ベンジル−D−バリノール(600mg,3.11mmol、上で調製)の溶液に、トリメチルアルミニウム(2Mトルエン溶液1.55mL)を滴加する。反応物を15分かきまぜ、乾燥ジクロロメタン(1mL)中の、上でつくられる脱ベンジル化生成物(380mg,0.976mmol)の溶液を加える。追加量のジクロロメタン(3mL)を加え、室温で19時間かきまぜる。乾燥テトラヒドロフラン(5mL)を加え、3時間かきまぜる。反応物を冷たい塩酸希水溶液と酢酸エチルとの間で分配する。層を分離し、有機層を水と塩水で洗う。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮する。反応を更に終了にもっていくために、上と同一の条件下に、残留物を第二のアミド化反応にかける。第二の反応物を第一反応物と同様な方法で仕上げる。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル、5:3)によって精製すると、エステル出発材料で汚染された不純な生成物(351mg)を生ずる。生成物を更に精製するために、上の不純な生成物をメタノール(10mL)と水(0.5mL)に溶解する。水酸化リチウム・H2O(48mg)を加え、3時間かきまぜる。次に、反応物を真空下に部分的に濃縮し、水で希釈し、エーテルと冷たい希塩酸水溶液を加える。層を分離し、水層をエーテルで抽出する。有機層と抽出液を一緒にし、水、炭酸カリウム水溶液(2x)及び塩水で洗う。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、アミド(ヒドロキシルでR/S比3.5:1)(266mg,51%)を生ずる。19F NMR(CDCl3)δ(R)ジアステレオマー:−115.57(dd,J=260,8Hz),−121.65(dd,J=260,17Hz);(S)ジアステレオマー:−112.00(d,J=266Hz),−120.7(dd,J=266,18Hz).
反応経路II、段階B:上で調製されるアミド(266mg,0.496mmol)をアセトン(3mL)中で窒素雰囲気下に、粉末炭酸カリウム(80mg,0.58mmol)と一緒にする。かきまぜた混合物に、メチルブロモアセテート(56μL,0.59mmol)を滴加する。反応物を3日間かきまぜる。実施例1、反応経路II、段階Bに記載されたものと同様な方法で、生成物を仕上げる。残留出発材料が残っている場合は、触媒量のヨウ化カリウムを加えて、不純な生成物を上記の同じアルキル化条件にかける。24時間かきまぜる。すでに述べた仕上げ手順によって生成物を単離する。フラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル、5:3)によって精製すると、所望のアルキル化生成物(143mg、47%、ヒドロキシにおいてR/S比5:1)を生ずる。19F NMR(CDCl3)δ(R)ジアステレオマー:−155.53(dd,J=261,7Hz),−122.06(dd,J=261,17Hz);(S)ジアステレオマー:−113.83(d,J=256Hz),−127.56(dd,J=256,19Hz).
反応経路II、段階C:上で調製されるアルキル化生成物(143mg,0.235mmol)を蟻酸(3mL,96%)と一緒にし、反応物を室温で1.5時間かきまぜる。反応物を真空下に濃縮し、酢酸エチルと重炭酸ナトリウム希水溶液との間で残留物を分配する。有機層を分離し、水(2x)で洗う。真空下に濃縮すると、脱保護アミン(114mg,95%)を生ずる。
反応経路II、段階D:0℃で、上の脱保護アミン(114mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(38mg,0.25mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(55mg,0.29mmol)、N−メチルモルホリン(28μL,0.25mmol)及びBoc・gly・val(69mg,0.25mmol)をジクロロメタン/ジメチルホルムアミド中で一緒にする。反応物を室温に温め、16時間後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を濾過し、真空下に濃縮する。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、酢酸エチル/シクロヘキサン、70:30)に続いて、シクロヘキサン/酢酸エチルからの再結晶によって精製すると、所望のアミド(137mg,76%)を微細な白色粒状物として生ずる。mp 161.5−163.5℃;IR(KBr)νmax 1696,1653,1514cm-1;1H NMR(CDCl3)δ7.37−7.26(m,5H),7.11(d,2H,J=8.6Hz),6.9(m,2H),6.78(d,2H,J=8.6Hz),6.62(bd,1H),5.44(m,1H),4.86(bs,1H),4.60(s,2H),4.54(d,1H,J=11.9Hz),4.46(d,1H,J=11.9Hz),4.4−4.3(m,1H),4.2−4.03(m,2H),3.9−3.75(m,2H),3.81(s,3H),3.67−3.59(m,2H),3.49(dd,1H,J=10.0,3.8Hz),2.89(見かけのダブレット,2H),2.15−1.92(m,2H),1.45(s,9H),0.94(d,6H,J=6.75Hz),0.88(d,3H,J=6.7Hz),0.84(d,3H,J=6.6Hz);19F NMR(CDCl3)δ−116.78(d,J=258Hz),−120.16(dd,J=258,9Hz);質量スペクトラム(FAB),m/z 765(M++1),709,665,509(100),419,382.
反応経路II、段階E及びF:上で調製されるアミド(137mg,0.179mmol)をメタノール(4.5mL)と水(0.5mL)中で水酸化リチウム・H2O(12mg,0.29mmol)と一緒にする。反応物を3時間かきまぜる。次に、反応物を真空下に濃縮する。残留物を水に溶解する。水溶液をエーテルで洗浄し、EtOAcで覆い、激しく攪拌しながら0.1NNaHSO4の添加によって酸性化する。有機層を分離し、水層をEtOAcの第二の量で抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると対応する酸を生じ、これをCH2Cl2(3mL)に溶解する。この攪拌溶液に、窒素下にC6F5OH(40μL,0.35mmol)とEDC(45mg,0.23mmol)を加える。1日後、混合物を水で希釈し、濾過すると、所望のペンタフルオロフェニルエステル(161mg,98%)を微細な白色粒状物として生ずる。シクロヘキサン/酢酸エチルから再結晶させると、ペンタフルオロフェニルエステルを生ずる。mp 139.5−143℃;IR(KBr)νmax 3416,3376,3312,1697,1661,1522,1171,1121,1078,997cm-1;1H NMR(CDCl3)δ7.39−7.25(m,5H),7.16(d,2H,J=8.5Hz),6.94−6.78(m,2H),6.86(d,2H,J=8.6Hz),6.57(d,1H,J=9.0Hz),5.24(nm,1H),4.96(s,2H),4.74(nm,1H),4.54(d,1H,J=11.9Hz),4.45(d,1H,J=11.9Hz),4.30(m,1H),4.19−3.99(m,2H),3.9−3.79(m,1H),3.73(dd,1H,J=18.2,5.6Hz),3.64(m,2H),3.49(m,1H),2.91(見かけの狭いd,2H),2.11(m,1H),1.99(m,1H),1.45(s,9H),0.94(d,3H,J=6.7Hz),0.93(d,3H,J=6.75Hz),0.89(d,3H,J=6.75Hz),0.84(d,3H,J=6.95Hz);19F NMR(CDCl3)δ−116.65(d,1F,J=259Hz),−120.28(dd,1F,J=262,9Hz),−152.68(d,2F,J=18Hz),−157.39(t,1F,J=22Hz),−162.13(dd,2F,J=22,18Hz);質量スペクトラム(FAB),m/z 917(M++1),861,817,661(100),571,534,360,331,173.
反応経路II、段階G及びH:上で調製されるペンタフルオロフェニルエステル(155mg,0.169mmol)を蟻酸(4.5mL,96%)と一緒にし、2時間かきまぜる。反応物を真空下に濃縮する。塩化メチレン(50mL)と飽和重炭酸ナトリウム(50mL)を加える。反応物を3日間かきまぜる。酢酸エチルを加え、微細なフリット状のガラスフィルターに通して濾過する。ゲルを水洗する。濾液中の有機層を分離し、水洗(3x)し、真空下に濃縮する。残留物をフラッシュ・クロマトグラフィ(シリカゲル、95%メタノール/酢酸エチル)によって精製すると、マクロ環式アルコール(9mg,ヒドロキシルで8%(R)ジアステレオマー)をろうのような白色固体として生ずる。1H NMR(CD3OD)δ7.42−7.27(m,5H),7.23(m,1H),7.00(m,1H),6.91(m,1H),6.58(m,1H),4.71(d,1H,J=16.0Hz),4.65−4.5(m,1H),4.59(d,1H,J=12.1Hz),4.56(d,1H,J=15.6Hz),4.54(d,1H,J=12.1Hz),4.24(m,1H),4.08−4.01(m,2H),3.94(狭域m,1H),3.70−3.57(m,3H),2.93(dd,1H,J=13.2,3.4Hz),2.73(dd,1H,J=13.1,12.5Hz),2.01(m,1H),1.89(m,1H),1.01(d,3H,J=6.2Hz),0.99(d,3H,J=5.9Hz),0.91(d,3H,J=6.9Hz),0.87(d,3H,J=6.8Hz);19F NMR(CD3OD)δ−114.75(dd,J=258,9Hz),−121.97(dd,J=258,17Hz).
反応経II、段階I:1:1塩化メチレン/アセトニトリル(8mL)中の、上で調製されるマクロ環式アルコール(9mg,0.014mmol)のかきまぜた溶液に、窒素下にデス−マーチン・ベリオジナン(30mg,0.071mmol)を加える。生ずる懸濁液を室温で3日間かきまぜる。次に、混合物を酢酸エチル/重炭酸ナトリウム水溶液及びチオ硫酸ナトリウム水溶液で希釈する。10分後、有機層を分離し、水洗し、真空下に濃縮すると、回収されたアルコール、ケトン、及びケトン水和物の混合物を生ずる。混合物を3:1アセトニトリル/塩化メチレン(4mL)中で、ペリオジナン(30mg,0.071mmol)を使用する酸化反応に再びかける。7日後、混合物を上のとおりに仕上げると、表題化合物と表題化合物の水塩との混合物(計6mg)を白色固体として生ずる。19F NMR(CD3CN)δケトン:−111.93及び−111.96(2s,ABパターンの内部ピーク),ケトン水塩:−115.36(d,J=257Hz),−119.02(d,J=257Hz).
実施例3
N−ベンジル−3−(6−ベンジル−9−イソプロピル −4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザ −ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18), 15−トリエン−12−イル)−2,2−ジフルオロ−3−オ キソ−プロピオンアミドの調製
Figure 0003574455
反応経路II、段階C及びD:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ベントンアミド(0.790mmol、実施例1、反応経路II、段階Bで調製)の溶液を窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮する。生ずるTFA塩を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−ヒドロキシモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Boc−phe−val−OH(0.84mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。3日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、所望のアミドを生ずる。
反応経路II、段階E及びF:19:1 CH3OH/H2O(20mL)中の上で調製されるアミド(0.589mmol)のかきまぜた懸濁液に、LiOH・H2O(34mg,0.81mmol)を加える。2時間後、溶液を真空中で濃縮する。残留物を水に溶解する。水溶液をエーテルで洗い、EtOAcで覆い、激しくかきまぜながら、0.1N NaHSO4(10mL)の添加によって酸性化する。有機層を分離し、水層を第二の量のEtOAcで抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、対応する酸を生じ、これをCH2Cl2(5mL)に溶解する。このかきまぜた溶液に、窒素下にC6F5OH(139mg,0.755mmol)とEDC(140mg,0.73mmol)を加える。1日後、混合物を水で希釈し、濾過し、固体を水とエーテルで洗うと、所望のペンタフルオロフェニルエステルを生ずる。その代わりに、所望のペンタフルオロフェニルエステルは、この技術で周知の抽出法によって単離できる。
反応経路II、段階G及びH:上で調製されるペンタフルオロフェニルエステルをかきまぜながら、4N HCl/ジオキサン(16mL)に懸濁する。2時間後、溶媒とHClを真空中で除去し、残留固体/ゲルを激しくかきまぜながら3日間、NaHCO3/CH2Cl2希水溶液に懸濁する。混合物を濾過し、固体を水とエーテルで洗う。固体のほとんどを溶解するのにちょうど十分なCF3CH2OHとともに、熱いEtOAcを加える。濾過助剤に通して濾過し、真空下に濃縮すると、所望のマクロ環式アルコールを生ずる。
反応経路II、段階I:1:1塩化メチレン/アセトニトリル(8mL)中の、上で調製されるマクロ環式アルコール(0.014mmol)のかきまぜた溶液に、窒素下に、デス−マーチン・ペリオジナン(60mg,0.14mmol)を加える。生ずる懸濁液を室温で3日間かきまぜる。次に、混合物を酢酸エチル/重炭酸ナトリウム水溶液とチオ硫酸ナトリウムで希釈する。10分後、有機層を分離し、水洗し、真空下に濃縮すると、表題化合物を生ずる。
実施例4
3−[12−ベンジルカルバモイル−ジフルオロ−アセチ ル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オ キサ−5−8−11−トリアザ−ビシクロ[12.2.2]オク タデカ−1(17),14(18),15−トリエン−6−イル) −プロピオン酸の調製
Figure 0003574455
反応経路II、段階C:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の[3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ベントンアミド(0.790mmol、実施例1、反応経路II、段階Bで調製)の溶液を窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮すると、脱保護アミンのTFA塩を生ずる。
反応経路III、段階A:TFA塩を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Boc−val−OH(0.84mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。3日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、所望のアミドを生ずる。
反応経路III、段階B及びC:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の上で調製されるアミド(0.79mmol)の溶液を、窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮すると、脱保護アミンのTFA塩を生ずる。脱保護アミンのTFA塩を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Nα−FMOC−γ−tert−ブチルエステル−glu−OH(0.84mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。3日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、所望のアミドを生ずる。
代わりの環化法
上で調製されるアミド(0.6mmol)をメタノール/水(19:1)中に溶解し、かきまぜながら水酸化リチウム・H2O(1.2mmol)を加える。5時間後、反応物を水で希釈し、エーテルですすぐ。水層を0.1N重硫酸ナトリウム水溶液でpH4.5−5に酸性化する。次に、酸性化された水層を酢酸エチルで抽出する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空下に濃縮すると、下に示す所望の酸/脱保護アミンを生ずる。
Figure 0003574455
上で調製される酸/脱保護アミン(0.70mmol)を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(95μL,0.87mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。3日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、マクロ環式アルコールを生ずる。
反応経路II、段階I:1:1塩化メチレン/アセトニトリル(8mL)中の、上で調製されるマクロ環式アルコール(0.014mmol)のかきまぜた溶液に、窒素下に、デス−マーチン・ペリオジナン(60mg,0.14mmol)を加える。生ずる懸濁液を室温で3日間かきまぜる。次に、混合物を酢酸エチル/重炭酸ナトリウム水溶液とチオ硫酸ナトリウムで希釈する。10分後、有機層を分離し、水洗し、真空下に濃縮すると、ケトンを生ずる。
反応経路II、段階J:上で調製されるケトン(0.013mmol)を塩化メチレン(4mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を加える。反応物を室温で3時間かきまぜ、次に真空下に濃縮すると、表題化合物を生ずる。
実施例5
3−[6−(4−アミノ−ブチル)−9−イソプロピル −4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザ −ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18), 15−トリエン−12−イル]−N−ベンジル−2,2−ジフ ルオロ−3−オキソ−プロピオンアミドの調製
Figure 0003574455
反応経路II、段階C及びD:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(0.790mmol、実施例1、反応経路II、段階Bで調製)の溶液を窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮する。生ずるTFA塩を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Nα−t−Boc−Nε−Cbz−L−Lys−val−OH(0.84mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。1日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、所望のアミドを生ずる。
反応経路II、段階E及びF:19:1 CH3OH/H2O(20mL)中の上で調製されるアミド(0.589mmol)のかきまぜた懸濁液に、LiOH・H2O(34mg,0.81mmol)を加える。2時間後、溶液を真空中で濃縮する。残留物を水に溶解する。水溶液をエーテルで洗い、EtOAcで覆い、激しくかきまぜながら、0.1N NaHSO4(10mL)の添加によって酸性化する。有機層を分離し、水層を第二部分のEtOAcで抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、対応する酸を生じ、これをCH2Cl2(5mL)に溶解する。このかきまぜた溶液に、窒素下にC6F5OH(139mg,0.755mmol)とEDC(140mg,0.73mmol)を加える。1日後、混合物を水で希釈し、濾過し、固体を水とエーテルで洗うと、所望のペンタフルオロフェニルエステルを生ずる。その代わりに、所望のペンタフルオロフェニルエステルは、この技術で周知の抽出法によって単離できる。
反応経路II、段階G及びH:上で調製されるペンタフルオロフェニルエステルをかきまぜながら、4N HCl/ジオキサン(16mL)に懸濁する。2時間後、溶媒とHClを真空中で除去し、残留固体/ゲルを激しくかきまぜながら3日間、NaHCO3/CH2Cl2希水溶液に懸濁する。混合物を濾過し、固体を水とエーテルで洗う。固体のほとんどを溶解するのにちょうど十分なCF3CH2OHとともに、熱いEtOAcを加える。濾過助剤に通して濾過し、真空下に濃縮すると、所望のマクロ環式アルコールを生ずる。
反応経路II、段階I:1:1塩化メチレン/アセトニトリル(8mL)中の、上で調製されるマクロ環式アルコール(0.014mmol)のかきまぜた溶液に、窒素下に、デス−マーチン・ペリオジナン(60mg,0.14mmol)を加える。生ずる懸濁液を室温で3日間かきまぜる。次に、混合物を酢酸エチル/重炭酸ナトリウム水溶液とチオ硫酸ナトリウムで希釈する。10分後、有機層を分離し、水洗し、真空下に濃縮すると、所望のケトンを生ずる。
反応経路II、段階J:4.4%HCO2H/メタノール(5mL)中のPdブラック(10mg)のかきまぜた懸濁液に、上で調製されるケトン(0.014mmol)を加える。4時間後、反応混合物を濾過し、濾液を真空下に濃縮すると、表題化合物を生ずる。
実施例6
N−ベンジル−3−[6−(2−カルバモイルエチル) −9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ −5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1 (17),14(18),15−トリエン−12−イル]−2,2−ジ フルオロ−3−オキソ−プロピオンアミドの調製
Figure 0003574455
反応経路II、段階C及びD:トリフルオロ酢酸(TFA)(4mL)中の3ξ,4(S)]−2,4,5−トリデオキシ−4−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−2,2−ジフルオロ−5−[4−[2−メトキシ−2−(オキソ)エトキシ]フェニル]−N−(フェニルメチル)−L−グリセロ−ペントンアミド(0.790mmol、実施例1、反応経路II、段階Bで調製)の溶液を窒素下に2時間かきまぜる。溶液を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに2回溶解し、再び濃縮する。生ずるTFA塩を窒素下にかきまぜながら、1:1 CH2Cl2/DMF(3mL)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水塩(HOBT)(128mg,0.84mmol)、N−メチルモルホリン(NMM)(190μL,1.73mmol)、Boc−gln−val−OH(0.84mmol)、及びEDC(168mg,0.88mmol)をこの順序で加える。1日後、混合物を水中に注ぎ、EtOAcで2回抽出する。一緒にした抽出液を希HCl水溶液、NaHCO3、及び塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、所望のアミドを生ずる。
反応経路II、段階E及びF:19:1 CH3OH/H2O(20mL)中の上で調製されるアミド(0.589mmol)のかきまぜた懸濁液に、LiOH・H2O(34mg,0.81mmol)を加える。2時間後、溶液を真空中で濃縮する。残留物を水に溶解する。水溶液をエーテルで洗い、EtOAcで覆い、激しくかきまぜながら、0.1N NaHSO4(10mL)の添加によって酸性化する。有機層を分離し、水層を第二部分のEtOAcで抽出する。一緒にした有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。有機層を真空下に濃縮すると、対応する酸を生じ、これをCH2Cl2(5mL)に溶解する。このかきまぜた溶液に、窒素下にC6F5OH(139mg,0.755mmol)とEDC(140mg,0.73mmol)を加える。1日後、混合物を水で希釈し、濾過し、固体を水とエーテルで洗うと、所望のペンタフルオロフェニルエステルを生ずる。その代わりに、所望のペンタフルオロフェニルエステルは、この技術で周知の抽出法によって単離できる。
反応経路II、段階G及びH:上で調製されるペンタフルオロフェニルエステルをかきまぜながら、4N HCl/ジオキサン(16mL)に懸濁する。2時間後、溶媒とHClを真空中で除去し、残留固体/ゲルを激しくかきまぜながら3日間、NaHCO3/CH2Cl2希水溶液に懸濁する。混合物を濾過し、固体を水とエーテルで洗う。固体のほとんどを溶解するのにちょうど十分なCF3CH2OHとともに、熱いEtOAcを加える。濾過助剤に通して濾過し、真空下に濃縮すると、所望のマクロ環式アルコールを生ずる。
反応経路II、段階I:1:1塩化メチレン/アセトニトリル(8mL)中の、上で調製されるマクロ環式アルコール(0.014mmol)のかきまぜた溶液に、窒素下に、デス−マーチン・ペリオジナン(60mg,0.14mmol)を加える。生ずる懸濁液を室温で3日間かきまぜる。次に、混合物を酢酸エチル/重炭酸ナトリウム水溶液とチオ硫酸ナトリウムで希釈する。10分後、有機層を分離し、水洗し、真空下に濃縮すると、表題化合物を生ずる。
更に一つの態様において、本発明は式(I)の抗ウイルス有効量を患者に投与することからなる、ウイルス感染症にかかった患者の処置法を提供している。
本明細書で使用される「ウイルス感染症」という用語は、細胞のウイルスによる形質転換、ウイルス複製及び増殖を特徴とする異常な状態又は症状をさす。式(I)化合物での処置が特に有用であるようなウイルス感染症は、限定されるものではないが、HTLV−I、HTLV−II、HTLV−III(HIVウイルス)、ネズミ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、トリ肉腫ウイルス等のようなレトロウイルスを包含する。更に、式(I)化合物による治療は、広範囲のHIV感染症状態、例えば症候性及び無症候性の、エイズ、ARC(エイズ関連の複合疾患)、及びHIVへの実際の接触又は接触した可能性がある場合の処置に有用であろう。例えば、本発明化合物類は、輸血、偶発的な針窄刺、又は外科手術中における患者の血液への接触等による過去のHIV接触の疑いの後の感染予防に有用である。
式(I)化合物の「抗ウイルス有効量」は、患者への単回又は反復投与量の投与によって、処置の非存在下に予測される以上にウイルスの増殖を抑制し、又は患者の生存率を延ばすのに有効な量を指す。本明細書で使用される「ウイルス感染症の抑制」とは、ウイルスによる細胞の形質転換又は複製及び増殖を鈍化、中断、阻止又は停止させることを指し、必ずしもウイルスの全面的排除を意味しない。
更に本発明は、必要な患者で、HIVプロテアーゼを阻害する方法を提供しており、この方法は、式(I)化合物の阻害有効量を患者に投与することを含めてなる。
HTLV−IIIのようなレトロウイルスにかかった患者は、式(I)化合物のようなHIVプロテアーゼ阻害剤を必要としていることが理解される。
本明細書で使用される用語の「患者」とは、特定のウイルス感染症にかかった哺乳類などの温血動物を指す。この用語の「患者」の範囲内には、ヒト、ハツカネズミ、及びラットが含まれると理解される。
式(I)化合物を患者に投与すると、患者においてHIVプロテアーゼの阻害をもたらす。このため、式(I)化合物で患者を処置することにより、HTLV−IIIのようなレトロウイルスが阻止又は抑制される。
HIVプロテアーゼが病気の進行における寄与因子としての意味をもつような、あるウイルス感染症に患者がかかっている場合、患者は式(I)化合物のようなHIVプロテアーゼを阻害する試薬での処置を必要としている。
標準の臨床及び実験室試験及び手順に基づいて、当業者としての観察している診断者は、式(I)化合物などのHIVプロテアーゼを阻害する薬剤で処置する必要のある患者を容易に同定できる。
式(I)化合物の「阻害有効量」は、患者に単回又は反復投与した時に、HIVプロテアーゼの阻害を与えるのに有効な量である。
式(I)化合物の「有効量」は、式(I)の化合物の項ウイルス有効量又は抑制有効量をさしている。有効量は、既知の技術の使用及び類似状況下で得られる結果を観察することによって、当業者としての観察する診断者によって容易に決定できる。有効投与量又は適量を決定するに当たって、いくつかの要因が観察する診断者によって考慮され、それらの要因には、限定されるものではないが、哺乳類の種、その大きさ、年齢、一般的健康状態、特定の関与するウイルス感染症、ウイルス感染症のひどさの程度又は関与の程度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与形式、投与される製剤の生物利用特性、選ばれる最適投与計画、併用する医薬の使用、及び他の関連する状況が含まれる。
式(I)化合物の有効量は、一日体重キログラム当たりのミリグラム(mg/kg/日)で約0.1〜約100である。好ましい量は約0.5mg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲にあると予測される。
ウイルス感染症にかかった患者を処置するには、式(1)化合物は、経口及び非経口経路を含めて、有効量で化合物を生物利用可能とするような任意の形式又は方式で投与できる。例えば、式(I)化合物は、経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、鼻内、直腸経由等で投与できる。経口投与が一般に好ましい。処方剤を調製する当業者は、選択される化合物の特性、処置されるウイルス感染症、感染症の段階、及び他の関連する条件等の、個々の特徴に応じて、適当な投与形式及び方式を容易に選択できる。
式(I)化合物は、単独で、又は製薬上受入れられる担体又は付形剤と組合わせて製剤組成物の形で投与できる。その割合と性質は、選択される化合物の溶解性及び化学的性質、選ばれた投与経路、標準の製剤実施方法によって決定される。本発明の化合物はそれら自体有効であるが、安定性、結晶化の便宜、溶解度の増加などの目的の為に、それらの製薬上受入れられる酸付加塩の形態で処方及び投与できる。
別の具体例で本発明は、1以上の不活性担体と混合又はその他の方法で組み合せた、式(I)の化合物から成る組成物を提供する。これらの組成物は例えば検定標準として、バルク輸送をする都合のよい手段として、又は製剤組成物として有用である。式(I)の化合物の検定できる量は、標準の検定手順及び技術によって容易に測定でき、当業者によく知られ認められた量である。式(I)の化合物の検定可能な量は一般に、重量で組成物の約0.001%〜約75%で変化する。不活性担体は、式(I)の化合物を分解させない、又はその他の方法で共有結合的に反応しない任意の物質であり得る。適当な不活性担体の例は、水、水性緩衝液類、例えば高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)分析中で一般に有用であるもの、有機溶媒、例えばアセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサンなど、及び製薬上受入れられる担体又は付形剤である。
より詳しくは本発明は、1又はそれ以上の製薬上受入れられる担体又は付形剤と混合又はその他の方法で組合わせた、式(I)の化合物の治療上有効量を含んでいる製剤組成物を提供する。
製剤組成物は、製薬分野でよく知られた方法で造られる。担体又は付形剤は、固体、半固体又は液体物質であって、活性成分のビヒクルまたは媒体として役立ち得るものである。適当な担体又は付形剤は、この分野でよく知られている。製剤組成物は、経口又は非経口用途に適合化でき、錠剤、カプセル剤、坐薬、溶液、懸濁液などの形態で患者に投与できる。
本発明の化合物は、経口的に、例えば不活性希釈剤又は食用担体と共に投与できる。これらは、ゼラチンカプセル中に封入されるか、又は錠剤に圧縮できる。経口治療投与の目的の為には化合物は佐薬と共に混入することができ、錠剤、トローチ、カプセル、エルキシル、坐薬、シロップ、ウエハ−、チューインガムなどの形態で使用される。これらの製剤は少なくとも4%の本発明の化合物、即ち活性成分を含有すべきであるが、特定の形態に依存して変化することができ、投与単位の4〜70重量%が都合がよい。組成物中に存在する化合物の量は、適当な投与が得られる量である。本発明に従う好ましい組成物及び製剤は、経口投与単位系が本発明の化合物5.0〜300mgを含有するように製造される。
錠剤、丸薬、カプセル、トローチなども1又はそれ以上の次の助剤を含有できる。微結晶セルロース、トラガカントガム、又はゼラチンなどの結合剤、澱粉又は乳糖などの佐薬、アルギン酸、プライモゲル、コーンスターチなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム又はステロテックス等の潤滑剤、コロイド状二酸化珪素などの滑剤、ショ糖又はサッカリンなどの甘味剤を加えることができ、又はペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジフレーバーなどの風味剤を加えることができる。投与単位形がカプセルである時は、上記の種類の材料に加えて、ポリエチレングリコール又は脂肪油などの液体担体を含有できる。他の投与単位形は、他の種々の材料であって、投与単位の物理的な形態を変えるもの、例えば被膜を含有できる。このように錠剤又は丸薬は砂糖、シェラック又は他の腸溶皮剤で被覆できる。シロップは本発明の化合物に加えて甘味剤としてショ糖を、そしてある種の防腐剤、染料及び着色剤、及びフレーバーを含有できる。これらの種々の組成物を製造するのに使用する材料は、製薬上純粋で、使用される量で無毒であるべきである。
非経口治療投与の目的の為には、本発明の化合物は溶液又は懸濁液に混入できる。それらの製剤は少なくとも0.1%の本発明の化合物を含有すべきであるが、0.1と約50重量%の間で変化できる。本発明の化合物のそのような組成物中に存在する量は、適当な適量が得られる量である。本発明に従う好ましい組成物及び製剤は、非経口投与単位が本発明の化合物を5.0〜100mgの間で含有するように造られる。
溶液又は懸濁液は、1又はそれ以上の次の助剤を含む。滅菌希釈剤、例えば注射用水、食塩水溶液、不揮発油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒、抗細菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は重亜硫酸ナトリウム、キレート化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、緩衝剤、例えばアセテート類、シトレート類又はホスフェート類、及び等張性の調節の為の試薬、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチック製の複数投与バイアル中に封入できる。
本発明はまた、PNPアーゼ阻害剤を加えて、又は加えずに、又はDDI及びPNPアーゼ阻害剤との併用療法において、HIVプロテアーゼ阻害性化合物類と、エイズ治療に有用な一つ以上の薬剤との組合せ、例えばHTLV−1とHTLV−2ウイルス感染症の処置に適した既知の抗ウイルス剤、例えばAZTとの組合せにも関する。
本発明化合物類は、以下の手法を用いて、HIV−プロテアーゼ阻害について検定できる。
レトロウイルス酵素の調製とプロテアーゼ阻害の検定
A)レトロウイルス酵素の調製
組替え型プロテアーゼを調製するには、シー・ゲネット(C.Guenet)ら、European Journal of Pharmacology,Molecular Parmacology Section,172巻443−451頁(1989年)の刊行物に記載された研究により、HIVプロテアーゼは大腸菌によって発現される。ダーク・ピー・エル(Darke,P.L.)ら、J.Biol.Chem.256巻2307頁(1989年)に従って、組替え酵素を部分的に精製する。
B)酵素検定
部分的に精製されたプロテアーゼの特異的活性は、蛋白質mg当たり10−100単位の範囲にある(1単位は、検定条件下に37℃で、1分間あたりH−Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val−NH2の1モルを切断する量の酵素として定義される)。HIV−1は、オクタペプチドのH−Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val−NH2に対して検定される。反応は、0.05M酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、1mM EDTA、0.5%BSA、5%エチレングリコール、10%グリセロールを含有する緩衝液(pH5.5)0.1mL中で実施される。37℃で1時間の培養時間後、過塩素酸(最終濃度0.4M)で停止させて反応を止め、5分間の遠心分離(エッペンドルフ)にかける。反応生成物のH−Ser−Gln−Asn−Tyr−OH(P1)とH−Pro−Ile−Val−NH2(P2)は、C18カラム(ウルトラスフィアODS,4.6 x 150mm,5mm,ベックマン社)上でのHPLCによって、対応するピーク面積の積分(integration)によって分析される。溶離は、アセトニトリル勾配(5%アセトニトリル(pH3.0)から60%アセトニトリル(pH3.0)まで10分間、流量毎分1mL;滞留時間:P1=6分、P2=7分、及びS=8.3分)で実施される。Ki値はディクソンのプロット[1/v対[I]、シーガル・アイ・エッチ(Segal,I.H.)、Enzyme Kinetics 109巻(1975年)を参照]から決定される。[(9S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12,2.2]オクタデカ−14,16−17−トリエン−12−プロパンアミドのKi値=10−30nM。
上に参照された手順に従い、また他の手法を利用して、更に上記の病状の治療に有用であることが知られた化合物類と比較して、当業者に本発明を実施できるように、妥当な材料が入手できると考えられる。
特定の全般的な有用性をもつ構造的に関連のある化合物の任意の群の場合のように、最終用途への応用において、ある基と立体配置が式(I)化合物類にとって好ましい。
Xが1である場合の式(I)化合物類が、一般的に好ましい。P3が−CH2CO2H,−CH2CONH2,−CH2(CH23NH2,−CH2CH2CO2H,−CH2CH2CONH2,ベンジル、及び
Figure 0003574455
である場合の式(I)化合物類が、一般的に好ましい。P2が−CH(CH3、シクロペンチル、及びフェニルである場合の式(I)化合物類が、一般的に好ましい。P3が結合している環式構造中の炭素原子についての立体配置がD型立体配置である場合の式(I)化合物類が、一般的に好ましい。R1が水素、及びR2がベンジル、2−ピリジル、3−ピリジル、及び
Figure 0003574455
である場合の式(I)化合物類が、一般的に好ましい。
本発明による化合物類の例は、以下のものである。
1)[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミド
2)[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−[2−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]プロピル]−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミド;
3)N−ベンジル−3−(6−ベンジル−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザ−ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−12−イル)−2,2−ジフルオロ−3−オキソ−プロピオンアミド;
4)3−[12−ベンジルカルバモイル−ジフルオロ−アセチル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザ−ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−6−イル)−プロピオン酸;
5)3−[6(4−アミノ−ブチル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザ−ビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−12−イル]−N−ベンジル−2,2−ジフルオロ−3−オキソ−プロピオンアミド;
6)N−ベンジル−3−[6−(2−カルバモイルエチル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−12−イル]−2,2−ジフルオロ−3−オキソ−プロピオンアミド;
7)[12−(ベンジルカルバモイル−ジフルオロ−アセチル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−6−イル)酢酸;
8)N−ベンジル−3−(6−カルバモイルメチル)−9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−12−イル)−2,2−ジフルオロ−3−オキソ−プロピオンアミド;
9)N−ベンジル−2−2−ジフルオロ−3−(9−イソプロピル−4,7,10−トリオキソ−6−ピリジン−3−イルメチル−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−1(17),14(18),15−トリエン−12−イル)−3−オキソ−プロピオンアミド;
及びその立体異性体類、水和物、及び製薬上受入れられる塩類。

Claims (21)


  1. Figure 0003574455
    [式中
    P2は、C1-6アルキル、シクロペンチル、又はフェニルであり、
    P3は、水素、−CH3、−CH(CH3、−CH2CH(CH3
    −CH(CH3)(CH2CH3)、−CH2SH、−CH2CH2SCH3、−CH2OH、
    −CH(CH3)OH、−CH2(CH23NH2、CH2(CH22NHC(=NH)NH2
    −CH2CO2H、−CH2CH2CO2H、−CH2CONH2、−CH2CH2CONH2
    ベンジル、
    Figure 0003574455
    からなる群から選ばれ、
    R1は、水素、C1-15アルキル、ヒドロキシC1-15アルキル、
    CH([(CH2−O−CH2−R7、CH2Si(CH3(R8)、PDL、−(C1-6アルキレン)−OR4、CH(Y)(Z)、
    Figure 0003574455
    であり、ここで、PDLは−(CH2−2−,3−,又は4−ピリジルであり、YはヒドロキシC1-15アルキル、C1-6アルキル、又は(CH2−C6H4−(V)e'であり;Zは、(CH2−O−CHO、C1-6アルキレン−O−(CH2−(O−CH2−CH2eO−C1-6アルキル、CHO、CO2R4、CONHR4、(CH2−O−(CH2d'−R5、(CH2−OR4、又は
    Figure 0003574455
    であり、またはVはOR4又はヒドロキシC1-6アルキレンであるが、但しR5がピペラジニル、置換ピペラジニル(但し、置換ピペラジニルは1個の窒素原子上でCHO、C(O)NHR4C1-4アルキル、又はCO2R4で置換されたピペラジニル)、ピペリジル、又はモルホリニルの時には、d'=2を条件としており、
    R2は、R1について定義されたとおりであるが、但し、R1が水素の時にはR2が水素以外であることを条件とし、またはR1とR2は、それらが結合している窒素原子と一緒に、
    Figure 0003574455
    からなる群から選ばれる基となり、
    R4は水素、C1-6アルキル、フェニル、又はベンジルであり、
    R5はピペラジニル、置換ピペラジニル、ピペリジル、モルホリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、又はフェニルであり、ここで置換ピペラジニルは1個の窒素原子上でCHO、C(O)NHR4、C1-4アルキル、又はCO2R4で置換されたピペラジニルであり、
    R7はピリミジル、ピリジル、ピラジニル、又はフェニルであり、
    R8はC1-6アルキレン、ヒドロキシC1-6アルキル、又はC1-6アルキルであり、
    aはゼロ、1、2、又は3であり、
    bはゼロ又は1であり、
    dとd'は各々独立に1又は2であり、
    eとe'は各々独立にゼロ、1又は2であり、
    fはゼロ又は1であり、そして
    xは1、2、3、又は4である。]の化合物、及びその立体異性体類、水和物、並びに製薬上受入れられる塩類。
  2. xが1である、請求項1に記載の化合物。
  3. P2が−CH(CH3である、請求項2に記載の化合物。
  4. R1が水素で、R2がベンジルである、請求項3に記載の化合物。
  5. R1が水素で、R2が2−(3−メチル−1−フェニルメトキシ)ブチルである、請求項3に記載の化合物。
  6. P3が水素である、請求項4に記載の化合物。
  7. P3がCH2CO2Hである、請求項4に記載の化合物。
  8. P3がCH2CONH2である、請求項4に記載の化合物。
  9. P3がCH2CH2CO2Hである、請求項4に記載の化合物。
  10. P3がCH2CH2CONH2である、請求項4に記載の化合物。
  11. P3がベンジルである、請求項4に記載の化合物。
  12. P3
    Figure 0003574455
    である、請求項4に記載の化合物。
  13. P3が−CH2(CH23NH2である、請求項4に記載の化合物。
  14. P3が結合しているマクロ環式環の炭素原子がD立体配置である、請求項4に記載の化合物。
  15. 化合物が[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミドである、請求項1に記載の化合物。
  16. 化合物が[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−[2−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]プロピル]−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミドである、請求項1に記載の化合物。
  17. 請求項1記載の化合物の抗ウイルス有効量を含むウイルス感染症の処置剤。
  18. 請求項1記載の化合物の抗ウイルス有効量を含むウイルス感染症の抑制剤。
  19. 請求項1記載の化合物のHIVピロテアーゼ阻害有効量を含むHIVプロテアーゼ阻害剤。
  20. 化合物が[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−(フェニルメチル)−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミドである、請求項17〜19のいずれか一に記載の薬剤。
  21. 化合物が[9(S),12(S)]−α,α−ジフルオロ−9−(1−メチルエチル)−β,4,7,10−テトラオキソ−N−[2−メチル−1−[(フェニルメトキシ)メチル]プロピル]−2−オキサ−5,8,11−トリアザビシクロ[12.2.2]オクタデカ−14,16,17−トリエン−12−プロパンアミドである、請求項17〜19のいずれか一に記載の薬剤。
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