JP3573826B2 - 有機顔料分散液及びこのような分散液を用いた電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は有機顔料と導電性高分子を含む分散安定性に優れた非水溶媒分散液並びにこのような分散液を用いた電子写真感光体に関する。更に詳しくは、光導電性有機薄膜の形成に優れた非水溶媒分散液並びにこのような分散液を電荷発生層形成に用いた電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光導電性有機顔料を非水溶媒に分散する方法として、有機顔料を非水溶媒に加えボールミル、アトライター、振動ミル、遊星ミル、超音波分散等の手段で分散液が作成されてきた。
一方、光導電性有機顔料に導電性高分子を添加した分散液は、光導電性有機薄膜を構成する材料の組み合わせとして有用であるが、かかる材料の分散液は一般的に分散安定性が優れないという欠点を有している。
【0003】
また、近年、複写機やプリンターなどに使用されている電子写真プロセス(カールソンプロセスやその他の変形プロセス)において、有機系の電子写真感光体が安価、大量生産性、無公害性をメリットとして用いられている。この有機系の電子写真感光体には前記の光導電性有機顔料を使用するタイプのものがあり、例えばフタロシタニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られており、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0004】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界に沿って電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視部から近赤外部に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いるものが知られており、且つ有用である。
電荷輸送物質としては多くの低分子化合物が採用されているが、低分子化合物は単独で製膜性がないため、通常不活性高分子に分散・混合して用いられる。しかるに、低分子電荷輸送物質と不活性高分子からなる電荷輸送層は一般に柔らかく、カールソンプロセスにおいては繰り返し使用による膜削れを生じやすいという欠点がある。
【0005】
更に、この構成の電荷輸送層は電荷移動度に限界があり、カールソンプロセスの高速化あるいは小型化の障害となっていた。これは通常低分子電荷輸送物質の含有量が50重量%以下で使用されることに起因している。即ち、低分子電荷輸送物質の含有量を増すことで確かに電荷移動度は上げられるが、このとき逆に製膜性が劣化するためである。
この点を克服するために高分子の電荷輸送材料が注目され、例えば、特開昭50−82056号公報、特開昭51−73888号公報、特開昭54−8527号公報、特開昭54−11737号公報、特開昭56−150749号公報、特開昭57−78402号公報、特開昭63−285552号公報、特開平1−1728号公報、特開平3−50555号公報などに開示されている。
【0006】
しかしながら、高分子電荷輸送材料からなる電荷輸送層と電荷発生層とを組み合わせた感光体の光感度は上記の低分子電荷輸送材料を用いた場合に比べて著しく劣っており、この点の改良が強く望まれていた。他方、高分子電荷輸送材料からなる電荷輸送層は、硬度はある程度有するものの、多くの場合膜質がもろくカールソンプロセスにおける繰り返し使用時の実用性は劣っていた。
また、特開平5−34938号公報には、高分子電荷輸送材料を電荷輸送層に用いた積層電子写真感光体の高感度化技術に関して、低分子電荷輸送材料を電荷発生層ないし電荷輸送層に添加せしめる技術が開示されている。
【0007】
一方、高分子輸送材料を電荷発生層に添加して用いる構成も可能であり、この組合せは非常に良好なキャリア発生効率を示す。しかしながら、かかる高分子電荷輸送材料と電荷発生材料からなる電荷発生層を用いた場合、電荷発生層の形成において、その膜質の均一性が劣るという欠点を有している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、一般に、非水溶媒中に有機顔料を分散した分散液に、導電性高分子を添加すると顔料粒子は凝集する傾向が強い。このような組成の分散液を用いて湿式塗工法により光導電性有機薄膜を設けるためには、顔料粒子の凝集を防ぐ技術が不可欠である。また、有機顔料と高分子輸送材料を含有する電荷発生層を有する積層感光体において、均質組成の電荷発生層を設けるためには、やはり有機顔料の凝集を防止し得る技術が不可欠である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有してなることを特徴とする有機顔料分散液。
(2)前記分散液に、更にポリビニルアセタールを含有してなることを特徴とする(1)記載の有機顔料分散液。
(3)導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を設けてなる積層感光体において、該電荷発生層が非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有する有機顔料分散液から形成されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
(4)前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることを特徴とする(3)記載の電子写真感光体。
【0010】
まず、本発明の有機顔料分散液について詳しく説明する。
本発明の有機顔料分散液は、非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有してなることを特徴とする。即ち、有機顔料粒子と導電性高分子を非水溶媒中に分散しようとすると、有機顔料粒子は分散不安定ないし凝集をおこしてしまうが、本発明では該分散液に更に界面活性剤を添加することにより、有機顔料粒子の分散安定性が向上したものとなる。また、本発明の分散液の別の好ましい構成によれば、非水溶媒中の少なくとも有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有してなる分散液に、更にポリビニルアセタールを添加することにより、有機顔料粒子の分散安定性を更に向上したものとすることができる。
【0011】
本発明で用いられる有機顔料粒子としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料などが挙げられる。これらの有機顔料粒子は単独で、あるいは二種以上混合して用いられる。
【0012】
また、導電性高分子としては、特に限定されないが、次のものが挙げられる。
(a)主鎖に共役結合を有する重合体
例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなどが例示される。
(b)主鎖及び/又は側鎖にカルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−183719号公報に記載の化合物などが例示される。
(c)主鎖及び/又は側鎖にビドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開平3−50555号公報に記載の化合物などが例示される。
(d)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平5−19497号公報、特開平5−70595号公報に記載の化合物などが例示される。
(e)主鎖及び/又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体
例えば、ポリ−p−ビニルトリフェニルアミン、特開平1−1728号公報、特開平1−13061号公報、特開平1−19049号公報、特開平1−105260号公報、特開平2−167335号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−66598号公報に記載の化合物などが例示される。
(f)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデビド縮合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報に記載の化合物などが例示される。
【0013】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
【0014】
本発明で用いられる界面活性剤としては、公知の界面活性剤全てを用いることは可能ではあるが、具体的には親水基、親油基、フルオロアルキル基の少なくとも二種以上で構成される分子を指す。これらの界面活性剤としては、次に挙げられるものが良好に使用できる。
【0015】
(a)カチオン系
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムを主骨格とする化合物
【0016】
(b)アニオン系
スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステルニナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アルキル硫酸トリエタノールアミン、アルキル硫酸ナトリウムを主骨格とする化合物
【0017】
(c)ノニオン系
1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミン、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド、1:2型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、1:1型ステアリン酸モノエタノールアミド、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体、ポリエチレングリコールを主骨格とする化合物
【0018】
(d)両性系
ココアミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ナトリウムアルキルジ(アミノエチレン)グリシンを主骨格とする化合物
【0019】
(e)フッ素系
パーフロロアルキルカルボン酸塩、パーフロロアルキル燐酸エステル、パーフロロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフロロアルキルベタイン、パーフロロアルキルエチレンオキサイド付加物を主骨格とする化合物、フルオロアルキル基を有するビニルモノマーないしは(メタ)アクリルエステルの単重合体ないしは共重合体
【0020】
また、本発明で使用するポリビニルアセタールとしては、ポリビニルアルコール(ポバール)とアルデヒドを反応させてなる重合体が全て挙げられる。ポリビニルアセタールの例としては、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール等を初めとする公知の化合物が全て挙げられる。
【0021】
本発明の顔料分散液は、非水溶媒と有機顔料からなる分散液に、後から導電性高分子、界面活性剤、必要に応じてポリビニルアセタールを添加して作製しても良いし、また、初めから上記材料を共に分散して分散液を作製しても良い。即ち、有機顔料と非水溶媒以外の材料は、初めから添加しても良いし後から添加しても良い。
【0022】
本発明の顔料分散液は、光導電性有機薄膜の形成に優れたものであるが、その用途の一つに電子写真感光体がある。詳しく言うと、本発明の顔料分散液は、電荷発生材料(有機顔料)と高分子電荷輸送材料(導電性高分子)を含有する電荷発生層を設けてなる積層電子写真感光体の電荷発生層用塗工液として、非常に有用である。
【0023】
次に、本発明の電子写真感光体について詳しく説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を設けてなる積層感光体において、該電荷発生層が非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有する有機顔料分散液(即ち、前記した本発明の有機顔料分散液)から形成されたものであることを特徴とする。
これまでに開発されてきた高分子電荷輸送材料(本発明における導電性高分子)は、主に電荷輸送層用に開発されてきた。更に、この様な高分子電荷輸送材料は電荷発生材料と共に電荷発生層に使用することで高い感度特性を発現することが見い出されたことは前述した通りである。ところが、この様な組成からなる電荷発生層は、均一組成構造として作製することが困難であった。しかしながら、電荷発生材料(有機顔料粒子)と高分子電荷輸送材料(導電性高分子)に界面活性剤が添加されてなる本発明の有機顔料分散液を用いると、非常に均一な組成の電荷発生層が形成できることが見い出された。
【0024】
次に、本発明の電子写真感光体の構成を、添付した図面に沿って説明する。
図1及び図2は、本発明の電子写真感光体を表わす模式断面図であり、導電性支持体11上に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を主成分とする電荷発生層13と、電荷輸送材料を有効成分とする電荷輸送層15とが、積層された構成をとっている。
【0025】
導電性基体11としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状若しくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらをD.I.,I.I.,押出し、引抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等で表面処理した管等を使用することができる。
【0026】
電荷発生層13は、有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を主成分とする層である。
電荷発生材料である有機顔料粒子としては、前述したアゾ顔料その他が好ましく用いられ、これらは単独で、あるいは二種以上混合して用いられる。
高分子電荷輸送材料である導電性高分子としては、前述の(b)〜(f)で示される重合体をはじめとした公知の材料が使用できる。とりわけ、(c)、(d)、(e)に属するものの使用が好適な結果を与える。その分子量としては、重量平均分子量で1,000〜2,000,000のものが好ましく、更に好ましくは10,000〜1,000,000のものである。導電性高分子の分子量は、実質的には溶媒中への高分子の溶解性、あるいは与えられた分子量での溶液粘度等によって、決定される。なお、電荷発生層に用いられる導電性高分子の量は、有機顔料1重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜5重量部である。
また、界面活性剤としては公知の界面活性剤全てを用いることは可能であるが、前述の(a)〜(e)で示されるものが良好に使用でき、その中でも、特にノニオン系界面活性剤及びノニオン系オリゴマーが優れた均一性を発現することができる。
【0027】
本発明の電荷発生層には、必要に応じて電気的に不活性なバインダー樹脂が併用されることもある。このバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドなどが用いられる。
【0028】
電荷発生層13は、少なくとも有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、2−ブタノン、ジクロルエタン等の適当な溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
電荷発生層13の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0029】
電荷輸送層15は、電荷輸送材料と必要に応じて電気的に不活性な高分子を主成分としてなる層である。
電荷輸送層15は、電荷輸送材料と電気的に不活性な高分子を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレン、シクロヘキサノン等に溶解ないし分散し、塗布・乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。
【0030】
本発明の電荷輸送層に用いることができる電荷輸送材料としては、低分子電荷輸送材料及び高分子電荷輸送材料が挙げられる。
高分子電荷輸送材料には、前記の導電性高分子が使用できる。なお、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送材料は、そのイオン化ポテンシァル(Ip)が、電荷発生層に用いられる電荷発生材料(有機顔料粒子)及び/又は高分子電荷輸送材料のIp値に0.2eVをプラスした値より小さいときに、良好な光感度が発現される。
【0031】
低分子電荷輸送材料には、正孔輸送物質と、電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノンジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、3,5−ジメチル−3’,5’−ジターシャリーブチル−4,4’ジフェノキノンなど公知の電子受容性物質が挙げられる。
【0032】
正孔輸送物質として、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体などその他公知の材料が挙げられ用いられる。
これらの電荷輸送物質は、単独であるいは二種以上混合して用いられる。
【0033】
電気的に不活性なバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0034】
電荷輸送層15中に添加してもよい可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、高分子成分に対して0〜30重量%程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、高分子成分に対して0〜1重量%程度が適当である。
電荷輸送層15の厚さは、5〜100μm程度が適当である。
【0035】
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体11と、感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は、一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、下引層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
更に、本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他、本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。
下引き層の薄膜は0〜5μmが適当である。
【0036】
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けらることもある。
これに使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン〜ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
【0037】
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお、保護層の厚さは0.5〜10μm程度が適当である。
また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したi−C、a−SiCなど公知の材料も保護層として用いることができる。
【0038】
本発明においては感光層と保護層との間に別の中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としてはポリアミド、アルコール可溶性ナイロン樹脂、水溶性ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0039】
なお、本発明の積層型電子写真感光体は、電荷発生層が前記有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有する有機顔料分散液から形成されたものであるが、その変形として、電荷発生層が、前記有機顔料分散液において、界面活性剤の代わりに電気的に不活性な高分子を含有する分散液から形成されたものである場合にも、塗膜欠陥や画像欠陥を生じにくい電荷発生層が形成できることが見い出された。
即ち、本発明の別構成の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を設けてなる積層感光体において、該電荷発生層が非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び電気的に不活性な高分子を含有する有機顔料分散液から形成されたものであることを特徴とする。
【0040】
この場合、電荷発生層塗工液中に使用される電気的に不活性な高分子としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミドなどが好ましい。
その他の点については、界面活性剤含有電荷発生層形成の場合と同様である。
【0041】
【実施例】
次に実施例を示すが、実施例は本発明を詳しく説明するものであり、本発明が実施例によって制約されるものではない。なお、実施例中の部はすべて重量部である。
【0042】
実施例1−1
以下の各材料をボールミルポットに入れ、72時間分散して目的とする分散液を得た。
下記構造のアゾ顔料 4部
【化1】
下記構造の導電性高分子 3部
【化2】
ポリエチレングリコール(分子量400) 1部
シクロヘキサノン 400部
【0043】
実施例1−2〜1−5
実施例1と同様にして、表1に示す各成分の分散液を作製した。
【表1】
【0044】
実施例1−6
以下の各材料をボールミルポットに入れ、72時間分散して目的とする分散液を得た。
下記構造の有機顔料 5部
【化3】
下記構造の導電性高分子 2.5部
【化4】
モノステアリン酸エチレングリコール 1部
ポリビニルブチラール 1.5部
(積水化学工業社製、エスレックBM−1)
テトラヒドロフラン 400部
【0045】
実施例1−7〜1−10
実施例1と同様にして、表2に示す各組成の分散液を作製した。
【表2】
【0046】
比較例1−1〜1−8
実施例1−1〜1−8の各分散液において、界面活性剤を使用しないこと以外は、全て実施例1−1〜1−8と同様にして比較例1−1〜1−8の分散液を作製した。
【0047】
実施例1−11〜1−12
実施例1−9、1−10の各分散液において、ポリビニルアセタールを使用しないこと以外は、全て実施例1−9、1−10と同様にして実施例1−11、1−12の分散液を作製した。
【0048】
以上のように作製した実施例1−1〜1−12、比較例1−1〜1−8の各分散液を、内径5mm、長さ30cmのガラス管に入れ一週間放置した。その時生じた上澄み部分の長さ(分散液が透明になった長さ)を測定としたところ、表3に示す結果が得られた。
【0049】
【表3】
表3より、実施例の分散液が極めて分散性に優れていることがわかる。
【0050】
実施例2−1
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.3μmの電荷発生層及び厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
【0051】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質(有機顔料) 4部
【化5】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化6】
モノステアリン酸ソルビタン 0.5部
シクロヘキサノン 150部
2−ブタノン 95部
【0052】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料 7部
【化7】
ポリカーボネート 8部
(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ−200)
塩化メチレン 70部
【0053】
実施例22
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.2μmの電荷発生層及び厚さ24μmの電荷輸送層を形成した。
【0054】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質(有機顔料) 3部
【化8】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化9】
ポリオキシエチレンラウリルエーテル
(三洋化成工業社製:エマルミンL−90) 0.3部
ポリビニルホルマール 1部
(電気化学工業社製:デンカホルマール#100)
テトラヒドロフラン 180部
2−ブタノン 100部
【0055】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 10部
【化10】
ポリカーボネート 7部
(帝人化成社製:パンライトK−1300)
テトラヒドロフラン 80部
【0056】
実施例2−3
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液、中間層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.2μmの電荷発生層、厚さ0.3μmの中間層及び厚さ25μmの電荷輸送層を形成した。
【0057】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質(有機顔料) 4部
【化11】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 1.5部
【化12】
サーフロンS−141(旭硝子社製) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルシクロヘキサン 90部
【0058】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料(導電性高分子) 10部
【化13】
ポリカーボネート 12部
(GE社製:レキサンL−141)
塩化メチレン 80部
【0059】
実施例2−4
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷輸送層塗工液、電荷発生層塗工液及び保護層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ20μmの電荷輸送層、厚さ0.4μmの電荷発生層及び厚さ3μmの保護層を形成した。
【0060】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料(導電性高分子) 7部
【化14】
ポリエステルカーボネート 10部
(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンP−100)
トルエン 80部
【0061】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質(有機顔料) 3部
【化15】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 3部
【化16】
塩化セチルトリメチルアンモニウム 0.7部
シクロヘキサノン 200部
【0062】
【保護層塗工液】
酸化アンチモン10%含有酸化スズ 30部
スチレン−メタクリル酸−Nメチロール
メタクリルアミド樹脂 10部
トルエン 80部
n−ブタノール 70部
【0063】
実施例2−5
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の下引き層、電荷輸送層塗工液及び電荷発生層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.5μmの下引き層、厚さ24μmの電荷輸送層及び厚さ0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0064】
【下引き層塗工液】
水溶性ポリビニルアセタール 15部
(積水化学工業社製:エスレックKW)
水 20部
メタノール 50部
【0065】
【電荷輸送層塗工液】
ポリカーボネート 6部
(帝人化成社製:パンライトL−1250)
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 10部
【化17】
テトラヒドロフラン 80部
【0066】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質(有機顔料) 3部
【化18】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 1部
【化19】
ラルリル硫酸ポリエタノールアミン 0.4部
ポリビニルブチラール 1部
(電気化学工業社製:デンカブチラール#4000−1)
トルイレン−2,4−ジイソシアネート 0.05部
シクロヘキサノン 200部
4−メチル−2−ペンタノン 90部
【0067】
実施例2−6
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液、中間層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ23μmの電荷発生層、厚さ0.3μmの中間層及び厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
【0068】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料 10部
【化20】
ポリカーボネート 11部
(三菱瓦斯化学社製:ユーピロンZ−300)
塩化メチレン 80部
【0069】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生物質 4部
【化21】
下記構造の高分子電荷輸送材料 4部
【化22】
サーフロンS−381(旭硝子社製) 1部
シクロヘキサノン 170部
メチルシクロヘキサノン 90部
【0070】
比較例2−1〜2−6
実施例2−1〜2−6において、電荷発生層に界面活性剤を添加しないこと以外は、実施例2−1〜2−6と同様にして比較例2−1〜2−6の感光体を作製した。
【0071】
比較例2−7〜2−12
実施例2−1〜2−6において、電荷発生層に高分子電荷輸送材料を添加しないこと以外は、実施例2−1〜2−6と同様にして比較例2−7〜2−12の感光体を作製した。
【0072】
実施例2−1〜2−6及び比較例2−1〜2−12の各感光体を接地層を塗工し、ベルト接合した実装用の感光体とした。これらの感光体をリコー社製複写機リコピーM−10に搭載し、連続画像出しを行った。
2000枚連続複写を行った後の、複写サンプルの地肌部の異常画像(黒ポチ)を目視判定にて評価し、5段階にランク分けした。
また、電荷発生層を塗工した後の塗膜状態の膜質の均一性を、目視にて5段階評価した。
評価結果を、次に表4に示す。
【0073】
【表4】
表4から、実施例の感光体は電荷発生層の塗膜の均一性が優れ、且つ異常画像の発生の無いものであることがわかる。
【0074】
実施例3−1
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.2μmの電荷発生層及び厚さ24μmの電荷輸送層を形成した。
【0075】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生材料(有機顔料) 4部
【化23】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化24】
フェノキシ樹脂(UCC社製VYHH) 2部
シクロヘキサノン 200部
2−ブタノン 95部
【0076】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料 10部
【化25】
ポリカーボネート 10部
(帝人化成社製:パンライトK−1300)
塩化メチレン 80部
【0077】
比較例3−1
実施例3−1において、電荷発生層に用いた高分子電荷輸送材料を、ポリビニルブチラール(電気化学工業社製:デンカブチラール#4000−1)に置き換えたこと以外は、実施例3−1と同様にして比較例3−1の感光体を作製した。
【0078】
実施例3−2
アルミニウム導電層を有するポリエチレンテレフタレート・フィルム上に、下記組成の電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.3μmの電荷発生層及び厚さ19μmの電荷輸送層を形成した。
【0079】
【電荷発生層層塗工液】
下記構造の電荷発生材料(有機顔料) 3部
【化26】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化27】
ポリサルホン(日産化学社製P−1700) 1部
テトラヒドロフラン 180部
2−ブタノン 100部
【0080】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料 10部
【化28】
ポリカーボネート
(出光石油化学社製A2500) 11部
テトラヒドロフラン 80部
【0081】
比較例3−2
実施例3−2において、電荷発生層に用いたポリサルホンを使用しないこと以外は、実施例3−2と同様にして比較例3−2の感光体を作製した。
【0082】
実施例3−3
厚さ0.2mmのアルミニウム板上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.2μmの下引き層、厚さ0.2μm電荷発生層及び厚さ22μmの電荷輸送層を形成した。
【0083】
【下引き層塗工液】
二酸化チタン粉末 15部
(石原産業社製:タイペークR−670)
ポリビニルブチラール 3部
(積水化学工業社製:エスレックBL−1)
エポキシ樹脂 3部
(シェル化学社製:エピコート1001)
2−ブタノン 150部
【0084】
【電荷発生層層塗工液】
下記構造の電荷発生材料(有機顔料) 4部
【化29】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化30】
ポリビニルブチラール 2部
(積水化学工業社製:エスレックBL−1)
シクロヘキサノン 200部
メチルシクロヘキサン 90部
【0085】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の高分子電荷輸送材料 10部
【化31】
塩化メチレン 80部
【0086】
比較例3−3
実施例3−3において、電荷発生層に用いた高分子電荷輸送材料を使用しないこと以外は、実施例3−3と同様にして比較例3−3の感光体を作製した。
【0087】
実施例3−4
厚さ0.2mmのアルミニウム板上に、下記組成の電荷輸送層塗工液、電荷発生層塗工液及び保護層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ20μmの電荷輸送層、厚さ0.4μm電荷発生層及び厚さ3μmの保護層を形成した。
【0088】
【電荷輸送層塗工液】
下記構造の電荷輸送材料 9部
【化32】
ポリエステルカーボネート
(三菱瓦斯化学社製ユーピロンP−100) 10部
トルエン 80部
【0089】
【電荷発生層層塗工液】
下記構造の電荷発生材料(有機顔料) 3部
【化33】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 1部
【化34】
ポリビニルホルマール 1部
(電気化学工業社製デンカホルマール#100)
シクロヘキサノン 200部
【0090】
【保護層塗工液】
酸化アンチモン10%含有酸化スズ 30部
スチレン−メタクリル酸−Nメチロール
メタクリルアミド樹脂 10部
トルエン 80部
n−ブタノール 70部
【0091】
比較例3−4
実施例3−4において、電荷発生層に用いた重合体を、ポリサルホン(日産化学社製:P−1700)に置き換えたこと以外は、実施例3−4と同様にして比較例3−4の感光体を作製した。
【0092】
実施例3−5
厚さ0.2mmのアルミニウム板上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布乾燥し、厚さ0.3μmの下引き層、厚さ0.2μmの電荷発生層及び厚さ25μmの電荷輸送層を形成した。
【0093】
【下引き層塗工液】
水溶性ポリビニルアセタール 15部
(積水化学工業社製:W−101 10%水溶液)
水 20部
メタノール 50部
【0094】
【電荷発生層塗工液】
下記構造の電荷発生材料(有機顔料) 3部
【化35】
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 2部
【化36】
ポリビニルエーテル 1.5部
(BASF社製 Lutonal−A)
シクロヘキサノン 200部
4−メチル−2−ペンタノン 90部
【0095】
【電荷輸送層塗工液】
ポリカーボネート 6部
(帝人化成社製:パンライトK−1300)
下記構造の高分子電荷輸送材料(導電性高分子) 10部
【化37】
テトラヒドロフラン 80部
【0096】
比較例3−5
実施例3−5において、電荷発生層に用いた高分子電荷輸送材料を使用しないこと以外は、実施例3−5と同様にして比較例3−5の感光体を作製した。
【0097】
実施例3−1〜3−5及び比較例3−1〜3−5の各感光体の特性を、静電複写紙試験装置(川口電気製作所製SP−428型)を用いて次のように評価した。
まず、−5.2kV(若しくは+5.6kV)の放電電圧にて、コロナ放電を10秒間行ない、次いで、暗減衰させ、暗減衰10秒後に5luxのタングステン光を照射した。
この時、帯電開始後10秒の表面電位V10(V)、及び暗減衰10秒後の表面電位V20(V)を測定した。また、V20を半分の電位に光減衰させるのに
必要な露光量E1/2
【lux・sec】及び、光照射20秒後の表面電位V40(V)を測定した。
評価結果を、表5に示す。
また、更に、上記各感光体の電荷発生層の塗膜状態の均一性を目視判定で5段階評価し、表5に同時に示す。
【0098】
【表5】
表5から、実施例の感光体は、均一組成の電荷発生層を有することができ、同時に帯電後の暗減衰が極めて少なく且つ高感度を示すものであることがわかる。
【0099】
【発明の効果】
請求項1の有機顔料分散液は、非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有してなるものとしたことから、分散安定性に極めて優れたものである。
【0100】
請求項2の有機顔料分散液は、上記分散液に、更にポリビニルアセタールを含有してなるものとしたことから、分散安定性が更に向上したものである。
【0101】
請求項3の電子写真感光体は、導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を設けてなる積層感光体において、該電荷発生層が非水溶媒中に有機顔料粒子、導電性高分子及び界面活性剤を含有する有機顔料分散液から形成されたものであることから、電荷発生層の塗膜の均一性が優れ、且つ異常画像の発生の無いものである。
【0102】
請求項4の電子写真感光体は、前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることから、電荷発生層の塗膜の均一性がより向上したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な積層型電子写真感光体の模式断面図である。
【図2】本発明の他の代表的な積層型電子写真感光体の模式断面図である。
【符号の説明】
11 導電性基体
13 電荷発生層
15 電荷輸送層
Claims (1)
- 導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層を設けてなる積層感光体において、前記電荷発生層は、非水溶媒中に:
アゾ顔料粒子;
主鎖又は側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体、ポリシリレン重合体、及び、主鎖又は側鎖に第3級アミン構造を有する重合体、からなる群から選択された導電性高分子;並びに
界面活性剤;
を含有する有機顔料分散液から形成されていることを特徴とする電子写真感光体。
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