JP3573122B2 - ヒンジコネクタ、及び電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話器、PDA(Personal Digital Assistants:個人用デジタルアシスタント)、ノート型パーソナルコンピュータなどの折り畳み機能をもつ電子機器のヒンジ部に取り付けるヒンジコネクタ、及びこれを組み付けたヒンジコネクタ、及び電子機器に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子機器としては、例えば、折り畳み式の携帯電話器の携帯電話器がある。図11は、先行技術におけるヒンジコネクタを示している。図12乃至図15は、ヒンジコネクタを備えた電子機器を示している。
【0003】
図11を参照して、ヒンジコネクタ111は、一対の第1の部材121,122と、第1の部材121,122と共通な一軸周りで回動可能に第1の部材121,122に組み付けられている一対の第2の部材131,132と、第1及び第2の部材121,122,131,132の内部に中間部分を導入したフレキシブルなフラットケーブルとしてのFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)141とを有している。
【0004】
組み合わされている第1の部材121,122の一軸方向における寸法は、組み合わされている第2の部材131,132の一軸方向における寸法よりも短い寸法に設定されている。第1の部材121,122の軸周りにおける外周面の形状は、略円面となっている。また、第2の部材131,132の軸周りにおける外周面の形状は、これもまた略円面となっている。
【0005】
FPC141の一側端部の面上には、図示しない第1のコネクタが搭載される。第1のコネクタは、FPC141の回路に接続されている。FPC141の他側端部の一面上には、図示しない第2のコネクタが搭載される。第2のコネクタは、これもまたFPC141の回路に接続されている。
【0006】
図中の符号141eによって示した部分は、第1のコネクタの端子部(図示せず)が半田によって接続される導電部である。また、図中に符号141fによって示した部分は、第2のコネクタの端子部(図示せず)が半田によって接続される導電部である。
【0007】
第1のコネクタは、図示しない基板に実装した相手コネクタに嵌合・離脱可能に接続する。第2のコネクタは、図示しない基板に実装した相手コネクタに嵌合・離脱可能に接続する。なお、FPC141の全面には、図示しないシールド層が設けられる。
【0008】
第1及び第2の部材121,122,131,132は、それぞれが一軸を含む一平面方向で二体に分割されており、樹脂成形によって作られているヒンジ組立体である。
【0009】
FPC141は、長手方向の中間部分がスパイラル状に屈曲されて巻かれて第1及び第2の部材121,122,131,132の内部に配置されると共に、両端部が第1及び第2の部材121,122,131,132から外へ突出している。
【0010】
第1及び第2の部材121,122,131,132は、相互に組み合わされることによって円形の外周面を有するものとなる。第1の部材121,122と第2の部材131,132とは、相互に回動可能になる。
【0011】
FPC141の両端部は、第1及び第2の部材121,122,131,132から外へ突出している。FPC141の一方側は、第1の部材121,122から一軸方向で外部へ導出されている。FPC141の他方側は、第2の部材131,132から径方向で外部に導出されている。即ち、FPC141は、互いに直交する向きでヒンジコネクタ111から外へ延びている。
【0012】
図12乃至図15は、図11に示したヒンジコネクタ111を備えている電子機器の組み立てを示している。以下に説明する電子機器としては、携帯電話器を前提として説明する。
【0013】
図12を参照して、この携帯電話器において、LCD側基板を実装する第1の下側筐体181は、一側面で所定間隔をもって突出している一対の第1のヒンジ部181a,181bを有している。キーボード側の基板を実装する第2の下側筐体183は、一側の面上で所定間隔をもって突出している一対の第2のヒンジ部183a,183bを有している。
【0014】
一対の第1のヒンジ部181a,181bは、一対の第2のヒンジ部183a,183bの内側で一対の第1のヒンジ部181a,181bにそれぞれが隣接するように位置している。第1の下側筐体181と第2の下側筐体183とは、第1及び第2のヒンジ部181a,181b,183a,183bによって相互に回動可能にヒンジ結合されるものである。また、第1及び第2のヒンジ部181a,181b,183a,183bの一軸は、共通にして合わせる。
【0015】
第1及び第2の下側筐体181,183は、円柱形状のダンパー部材186を第1及び第2のヒンジ部181b,183bの一方に形成されている一軸が共通な穴181f及び第2のヒンジ部183bにも形成されている穴183fへ嵌合することによって結合される。
【0016】
このヒンジコネクタ111では、FPC141の中間部分をスパイラル状に巻き付けるように一回転させて、第1及び第2の部材121,122,131,132内に納める。
【0017】
ここで、第1の部材121,122からなる組合体は、図13及び図14に示すように、第1及び第2のヒンジ部181a,183aの一方に形成されている一軸が共通な穴181g,183gへ嵌合する。この際、第1の部材121,122から外へ延びているFPC141の端部は、第1のヒンジ部181aの近傍に形成されている切り欠き部191(図12を参照)へ挿入する。さらに、図14乃至図15に示したように、第1の部材121,122から外へ延びているFPC141の端部は、直角方向へ曲げられ、さらに、折り畳むように曲げられる。
【0018】
ヒンジコネクタ111は、第1及び第2のヒンジ部181a,181b,183a,183bの穴181f,181g,183gと共通な一軸周りに回動可能に嵌め込まれて、第1の下側筐体181に実装されるLCD側基板と第2の下側筐体183に実装される基板とを相互に接続する。
【0019】
さらに、第1の下側筐体181上には第1の上側筐体187が取り付けられる。また、第2の下側筐体183上には第2の上側筐体189が取り付けられる。
【0020】
このように組み込まれたヒンジコネクタ111は、第1及び第2のヒンジ部181a,181b,183a,183bに着脱自在に保持される。そして、第1の部材121,122は、第1及び第2のヒンジ部181a,183aの穴181g,183gへ嵌め込まれるので固定部分となり、第2の部材131,132が回動する部分となる。
【0021】
なお、従来技術としての参照公報としては、特許公報第2658935号、並びに特許公報特許第2926212号公報に、電子機器に採用するヒンジコネクタが開示されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、先行技術における電子機器では、ヒンジコネクタ111を第1の下側筐体181に組み込む際に、第1の下側筐体181に一時的に固定したり、FPC141を第1の下側筐体181の切り欠き部191に挿入したりするなどの細かい作業があるため、組み込み作業に手間がかかってしまうという問題がある。
【0023】
また、第1及び第2の部材121,122,131,132から外へFPC141を引き出す方向が、一軸方向と径方向とであるので、第1の下側筐体181に組み込む際に、一軸方向に延びているFPC141を直角方向に折り曲げなければならず、FPC141にストレスがかかってしまうという問題がある。
【0024】
さらに、FPC141には、全面にシールド層を設けるが、第1及び第2の部材121,122,131,132内でスパイラル状に巻かれているFPC141も厚い寸法になるので、屈曲性が低下するという問題がある。
【0025】
それ故に本発明の課題は、FPCの組み込みにかかる手間を軽減でき、組み込みに際して折り曲げがなくFPCにかかるストレスを減少することができるヒンジコネクタ、及び電子機器を提供することにある。
【0026】
また、本発明の他の課題は、FPCにシールド層をもち、しかもFPCの屈曲性を向上させることができるヒンジコネクタ、及び電子機器を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第1のヒンジ部を有する第1の筐体と、第2のヒンジ部を有する第2の筐体とが前記第1及び第2のヒンジ部によって相互に回動可能にヒンジ結合されている電子機器に取り付けられるものであって、前記第1及び第2のヒンジ部の共通な一軸周りで回動可能に前記第1及び第2のヒンジ部に取り付けるヒンジコネクタにおいて、第1の部材と、該第1の部材と共通な前記一軸周りで回動可能に前記第1の部材に組み付けた第2の部材と、前記第1及び第2の部材内に導入した中間部分が屈曲性をもってスパイラル状に巻かれて配置されているとともに両端部が前記第1及び第2の部材から外へ突出しているフラットケーブルとを有し、前記第1の部材は、前記フラットケーブルの前記中間部分を収納する第1の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第1の保持部とを有し、前記第2の部材は、前記フラットケーブルを収納する第2の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第2の保持部とを有し、前記フラットケーブルは、前記第1の保持部に係合する第1の係合部と、前記第2の保持部に係合する第2の係合部とを有し、前記フラットケーブルには、少なくとも前記中間部分を除く部分にシールド層が設けられており、前記第1及び第2の係合部に設けられている前記シールド層は前記第1及び第2の部材側へ電気的に導通してシールド接続される部分であることを特徴とするヒンジコネクタが得られる。
【0028】
また、本発明によれば、第1のヒンジ部を有する第1の筐体と、第2のヒンジ部を有する第2の筐体とが前記第1及び第2のヒンジ部を相互に回動可能にヒンジコネクタによってヒンジ結合されている電子機器において、前記ヒンジコネクタは、前記第1及び第2のヒンジ部の共通な一軸周りに回動可能に前記第1及び第2のヒンジ部に取り付けられており、第1の部材と、該第1の部材と共通な前記一軸周りで回動可能に前記第1の部材に組み付けた第2の部材と、内部に導入した中間部分が屈曲性をもってスパイラル状に巻かれて配置されているとともに両端部が前記第1及び第2の部材から外へ突出しているフラットケーブルとを有し、前記第1の部材は、前記フラットケーブルを収納する第1の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第1の保持部とを有し、前記第2の部材は、前記フラットケーブルを収納する第2の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第2の保持部とを有し、前記フラットケーブルは、前記第1の保持部に係合する第1の係合部と、前記第2の保持部に係合する第2の係合部とを有し、前記フラットケーブルには、前記第1及び第2の係合部にかつ少なくとも前記中間部分を除く部分にシールド層が設けられており、前記第1及び第2の係合部に設けられている前記シールド層が前記第1及び第2の部材側へ電気的に導通してシールド接続する部分であり、前記ヒンジコネクタが前記第1及び第2のヒンジ部に着脱自在に保持されていることを特徴とする電子機器が得られる。
【0029】
【作用】
本発明のヒンジコネクタによると、第1及び第2の部材の第1及び第2の収納部に納められるFPCの中間部分を除く部分にシールド層を設ける。第1及び第2の部材の夫々には、金属めっきまたは導電塗装が施されるか、第1及び第2の部材自体を導電性を有する材料から構成する。
【0030】
シールド層が露出しているFPCの第1及び第2の係合部を第1及び第2の保持部によって保持することによって、FPCのシールドとヒンジコネクタとを電気的に接続する。FPCはスパイラルに巻かれる中間部分にストレスをかけずにシールドする。
【0031】
また、ヒンジコネクタの形状と、FPCの引き出し方向をヒンジコネクタの接線方向(回動方向)にすることで、筐体に組み込む際の作業が簡略できるとともに、FPCの組み込みにかかる手間を軽減する。
【0032】
さらに、FPCの引き出し方向は、ヒンジコネクタの外周の接線方向とすることで、筐体への組み込み作業に際して折り曲げがなくFPCにかかるストレスを減少する。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る電子機器に用いるヒンジコネクタの一実施の形態例を説明する。図1乃至図4は、本発明に係る第1実施の形態例における電子機器に用いるヒンジコネクタを示している。
【0034】
図1乃至図4を参照して、電子機器に組み付けられるヒンジコネクタ11は、一対の第1の部材21,22と、第1の部材21,22と共通な一軸周りで回動可能に第1の部材21,22に組み付けられている一対の第2の部材31,32と、第1及び第2の部材21,22,31,32の内部に中間部分を導入したフレキシブルなフラットケーブルとしてのFPC(フレキシブル・プリンテッド・サーキット)41とを有している。
【0035】
なお、この第1実施の形態例においては、FPC41の他に、FFC(フレキシブル・フラット・ケーブル)を採用することも可能である。したがって、FPC41及びFFCは、これらを総称してフラットケーブルと呼ぶことにする。
【0036】
組み合わされている第1の部材21,22の一軸方向における寸法は、組み合わされている第2の部材31,32の一軸方向における寸法よりも短い寸法に設定されている。一対の第1の部材21,22の軸周りにおける外周面の形状は、略円面となっている。一対の第2の部材31,32の軸周りにおける外周面の形状は、これもまた略円面となっている。
【0037】
一対の第1の部材21,22の軸周りにおける外周面の形状は、略円面となっている主体部分と、主体部分の外周面から外向きに少し突き出している突出部分21e,22eとを有している。一対の第2の部材31,32の軸周りにおける外周面の形状は、略円面となっている主体部分と、主体部分の外周面から外向きに少し突き出している突出部分31e,32eとを有している。
【0038】
FPC41の一側端部の面上には、図示しない第1のコネクタが搭載されている。第1のコネクタは、FPC41の回路に接続される。FPC41の他側端部の一面上には、図示しない第2のコネクタが搭載されている。第2のコネクタはFPC41の回路に接続される。
【0039】
図2中の符号41eによって示した部分は、第1のコネクタの端子部(図示せず)が半田によって接続される導電部である。また、図2中に符号41fによって示した部分は、第2のコネクタの端子部(図示せず)が半田によって接続される導電部である。
【0040】
第1のコネクタは、図示しない基板に実装した相手コネクタに嵌合・離脱可能に接続する。第2のコネクタは、図示しない基板に実装した相手コネクタに嵌合・離脱可能に接続する。なお、FPC41の両端部は、相手コネクタの種類によって基板間接続用コネクタとを実装する場合もある。
【0041】
第1及び第2の部材21,22,31,32は、それぞれが一軸を含む一平面方向で二体に分割されており、樹脂成形によって作られているヒンジ組立体である。ヒンジ組立体は、組み立てた状態でFPC41に形成されている第1及び第2の係合部41a,42aを挟み付け保持している。
【0042】
FPC41は、長手方向の中間部分41Aがスパイラル状に屈曲されて二回に巻かれて、第1及び第2の部材21,22,31,32の内部に配置されると共に、両端部が第1及び第2の部材21,22,31,32から外へ突出している。
【0043】
さらに、具体的にヒンジ組立体を説明すると、二体を合わせた構造の組立体からなる第1の部材21,22のそれぞれは、図1及び図4に示したように、第2の部材31,32に回動可能に係合する半円形状の第1の回動ガイド部21b,22bと、FPC41の中間部分41Aを収納する第1の収納部21c,22cとを有している。
【0044】
また、一方の第1の部材21には、FPC41の第1の係合部41aを保持するように突出している第1の保持部21aが形成されている。第1の保持部21aは、第1の部材21,22が組み合わされる合わせ面から突出している。
【0045】
また、第1の部材22には、FPC41の第1の係合部41aを保持するように平坦面と開口22nをもつ第1の保持部22aが形成されている。第1の保持部22aは、第1の部材21,22が組み合わされる合わせ面から少し窪んだ部分となっている。
【0046】
二体を合わせた構造の組立体からなる第2の部材31,32のそれぞれは、第1の回動ガイド部21b,22bに回動可能に係合する半円形状の第2の回動ガイド部31b,32bと、FPC41の中間部分41Aを収納する第2の収納部31c,32cとを有している。
【0047】
また、第2の部材31,32には、FPC41の第2の係合部42aを保持するように平坦面と開口32nとをもつ第2の保持部31a,32aが形成されている。第2の保持部32aは、第2の部材31,32が組み合わされる合わせ面から少し窪んだ部分となっている。
【0048】
第1の保持部22a,21aは、凹凸の関係で組み合わされる部分である。また、第2の保持部31a,32aは、凹凸の関係で組み合わされる部分である。第1及び第2の保持部22a,21a,31a,32aは、第1及第2の部材21,22の回動方向に向けてFPC41をそれぞれの開口22n,32nから突出させている。
【0049】
半円形状の第1の回動ガイド部21b,22bは、相互に組み合わされることによって円形の外周面を有するものとなる。半円形状の第2の回動ガイド部31b,32bは組み合わされることによって円形の外周面を有するものとなる。第1の回動ガイド部21b,22bは、第2の回動ガイド部31b,32bの内側へ嵌め込まれることによって、第1及び第2の部材21,22,31,32が相互に回動可能になる。
【0050】
なお、この実施の形態例においては、第1及び第2の部材21,22,31,32の両方に第1及び第2の保持部22a,32aを形成しているが、ヒンジ組立体における一方側の第1の部材22のみに第1の保持部22aを、一方の第2の部材32のみに第2の保持部32aを形成するようにしてもよい。
【0051】
FPC41は、中間部分41Aが第1及び第2の部材21,22,31,32における第1及び第2の収納部21c,22c,31c,32cに配置されると共に、FPC41の両端部が第1及び第2の部材21,22,31,32から外へ突出している。FPC41の第1の係合部41aは、第1の保持部21a,22aに挟まれて係合し、第2の係合部42aは、第2の保持部31a,32aに挟まれて係合する。
【0052】
第1及び第2の保持部22a,32aは、FPC41の第1及び第2の係合部41a,42aを含む部分の形状に対応した形状に形成されている。
【0053】
FPC41の一方側は、第1の保持部22aから第1の保持部22aに形成されている第1の閉塞端壁22gを切り欠いた開口22nを軸周りで、かつ径方向外向で貫通して外部に導出されている。FPC41が貫通する部分は、第1の閉塞端壁22gにおいて、例えば切り欠きいた開口22n部分を封止する樹脂若しくは接着剤などの封止材によって封止されている。
【0054】
さらに、FPC41の他方側は、第2の保持部32aから第2の保持部32aに形成されている第2の閉塞外壁32gの切り欠いた開口32nを軸周りで、かつ径方向外向に貫通して外部に導出されるとともに、第2の閉塞外壁32gの開口32nで封止されている。即ち、FPC41は、互いに平行な向きでヒンジコネクタ11から外へ延びている。すなわち、FPC41の引き出し方向は、ヒンジコネクタ11の外周の接線方向(回動方向)となっている。
【0055】
さらに、FPC41の両面には、図2の網線で示すように、シールド層51が設けられている。シールド層51は、第1及び第2の係合部41a,42aから導電部41e,41f側の面に設けられている。すなわち、FPC41には、第1及び第2の部材21,22,31,32に納められる部分を除く部分にシールド層51が設けられている。
【0056】
このシールド層51は、絶縁性のカバー層(図示せず)で覆われているが、第1及び第2の係合部41a,42aだけは、カバー層が除かれてシールド層51が露出している。また、第1及び第2の部材の表面には、金属めっき若しくは導電塗装が施されている。なお、第1及び第2の部材21,22,31,32は、通常、樹脂によって作られているが、そのもの自体が金属性の導電性を有する材料であってもよい。
【0057】
つまり、第1及び第2の部材21,22,31,32の夫々は、金属めっきまたは導電塗装が施されるか、あるいは導電性を有する材料から構成されるので、
FPC41の第1及び第2の係合部41a,42aが第1及び第2の保持部21 a, 22 a 、31 a, 32 a によって保持されている状態で、FPC41の第1及び第2の係合部41a,42aのシールド層51が第1及び第2の部材2,22,31,32側へ電気的に導通する部分となってシールド接続することになる。
【0058】
すなわち、FPC41の第1及び第2の係合部41a,42aは、シールド層51が露出しており、この部分のシールド層51が第1及び第2の部材21,22,31,32の表面に施した金属めっきまたは導電塗装、もしくは導電性を有する材料によって作られている第1及び第2の部材21,22,31,32に接触することによって電気的に導通するので、ヒンジコネクタ11全体がシールド層51の役目を果たす。したがって、第1及び第2の収納部21c,22c、31c,32cに収納されているFPC41の中間部分41Aには、シールド層51を設ける必要はない。
【0059】
この実施の形態例におけるヒンジコネクタ11の組み立てでは、第1の部材22における第1の回動ガイド部22bと、第2の部材32における第2の回動ガイド部32bとを嵌め合わせ、第2の保持部32aにFPC41の第2の係合部42aを置く。次に、第1の部材21,22を嵌め合わせ、さらに、第2の部材31,32を嵌め合わせることによってヒンジコネクタ11が完成する。
【0060】
図5乃至図10は、ヒンジコネクタ11を備えている電子機器の組み立てを示している。以下に説明する電子機器としては、携帯電話器を前提として説明する。
【0061】
図5及び図6を参照して、この携帯電話器において、キーボード側の基板(図示せず)を実装する第1の下側筐体81は、一側面で所定間隔をもって突出している一対の第1のヒンジ部81a,81bを有している。LCD側の基板(図示せず)を実装する第2の下側筐体83は、一側の面上で所定間隔をもって突出しているダンパ固定部83aと、コネクタ受け部83bとを有している。ダンパ固定部83aとコネクタ受け部83bとは、これらで、第2のヒンジ部(83a,83b)を構成している。
【0062】
一対の第1のヒンジ部81a,81bは、一対の第2のヒンジ部83a,83bの内側で一対の第1のヒンジ部81a,81bにそれぞれが隣接するように位置している。第1の下側筐体81と第2の下側筐体83とは、第1及び第2のヒンジ部81a,81b,83a,83bによって相互に回動可能にヒンジ結合されるものである。
【0063】
第1及び第2の部材21,22,31,32において、第1及び第2の保持部22a,32a上には、FPC41の第1及び第2の係合部41a,42aを置き、第1及び第2の部材21,22,31,32を組み合わせてヒンジコネクタ11を製作しておく。また、第1及び第2のヒンジ部81a,81b,83a,83bの一軸を共通にして合わせる。
【0064】
第1及び第2の下側筐体81,83は、ダンパー部材86を第1及び第2のヒンジ部81b,83bにそれぞれ形成されている一軸が共通な穴81f,83fへ嵌合することによって結合される。
【0065】
このヒンジコネクタ11では、図2に示した第1の回転ガイド部21b,22bを第2の回転ガイド部31a,32bと合わせた状態でFPC41をスパイラル状に巻き付けるように二回転させて、第1及び第2のヒンジ部81a,81b,83a,83bに合わせる。ここで、第1の部材21,22の組合体は、第1及び第2のヒンジ部81a,83aの一方に形成されている一軸が共通な穴81gへ嵌合する。
【0066】
ヒンジコネクタ11は、第1及び第2のヒンジ部81a,81b,83a,83bの穴81f,83f,81gと共通な一軸周りに回動可能に嵌め込まれて、第1の下側筐体81に実装されるキーボード側の基板と第2の下側筐体83に実装される基板とを相互に接続する。
【0067】
さらに、第1の下側筐体81上には、第1の上側筐体87が取り付けられる。また、第2の下側筐体83上には、第2の上側筐体89が取り付けられる。
【0068】
ヒンジコネクタ11は、第1及び第2のヒンジ部81a,81b,83a,83bに着脱自在に保持される。そして、図5乃至図8に示したように、第1の部材21,22は、第1のヒンジ部81 bの穴81gへ嵌め込まれるので固定部分となり、第2の部材31,32が回動部分となる。
【0069】
なお、図8に示すように、ヒンジコネクタ11は、第1のヒンジ部81bに収納するか、図9に示すように、ヒンジコネクタ11を第1及び第2の下側筐体81,83の第2のヒンジ部83上における中央付近に収納するが、いずれの場合も第1及び第2の下側筐体81,83のシールド部分とヒンジコネクタ11とを接触させるだけで、FPC41とシールド層51と第1及び第2の下側筐体81,83のシールド部分とをシールド接続することができる。なお、図10は、図8に示した電子機器を裏側から見ている状態を示している。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のヒンジコネクタによれば、第1及び第2の部材の第1及び第2の収納部に納められるFPCの中間部分を除く部分にシールド層を設け、第1及び第2の部材の夫々に、金属めっきまたは導電塗装が施されるか、ヒンジコネクタ自体を導電性のある材料から構成し、シールド層が露出しているFPCの第1及び第2の係合部を保持することによって、FPCのシールドとヒンジコネクタの第1及び第2の部材との間を電気的にシールド接続することができるので、スパイラルに巻かれる部分にストレスをかけずに、簡単な作業によってシールドができる。
【0071】
また、ヒンジコネクタの形状と、FPCの引き出し方向をヒンジコネクタの接線方向にすることで、筐体に組み込む際の作業が簡略できるとともに、FPCの組み込みにかかる手間を軽減でき、FPCの引き出し方向をヒンジコネクタの外周の接線方向とすることで、筐体への組み込み作業に際して折り曲げがなくFPCにかかるストレスを減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子機器に用いるヒンジコネクタの一実施の形態例を示す斜視図である。
【図2】図1に示したヒンジコネクタの分解斜視図である。
【図3】図2に示したヒンジコネクタの組立途中の状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示したヒンジコネクタを組み立てた状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む前の分解斜視図である。
【図6】図5に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む途中の状態を示す分解斜視図である。
【図7】図6に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む途中の状態を示す分解斜視図である。
【図8】図7に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図9】図1に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込んだ状態の他の例を示す斜視図である。
【図10】図8に示した電子機器の背面図である。
【図11】先行技術におけるヒンジコネクタを示す斜視図である。
【図12】図11に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む前の分解斜視図である。
【図13】図11に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む途中の分解斜視図である。
【図14】図11に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込む前の分解斜視図である。
【図15】図14に示したヒンジコネクタを電子機器に組み込んだ後の斜視図である。
【符号の説明】
11,111 ヒンジコネクタ
21,22,121,122 第1の部材
21b,22b 第1の回動ガイド部
21c , 22 c 第1の収納部
22a 第1の保持部
31,32,131,132 第2の部材
31b,32b 第2の回動ガイド部
31c,32c 第2の収納部
32a 第2の保持部
41A 中間部分
41,141 FPC
41a 第1の係合部
42a 第2の係合部
51 シールド層
81,181 第1の下側筐体
81a,81b,181a,181b 第1のヒンジ部
83,183 第2の下側筐体
83a,83b,183a,183b 第2のヒンジ部
Claims (7)
- 第1のヒンジ部を有する第1の筐体と、第2のヒンジ部を有する第2の筐体とが前記第1及び第2のヒンジ部によって相互に回動可能にヒンジ結合されている電子機器に取り付けられるものであって、前記第1及び第2のヒンジ部の共通な一軸周りで回動可能に前記第1及び第2のヒンジ部に取り付けるヒンジコネクタにおいて、
第1の部材と、該第1の部材と共通な前記一軸周りで回動可能に前記第1の部材に組み付けた第2の部材と、前記第1及び第2の部材内に導入した中間部分が屈曲性をもってスパイラル状に巻かれて配置されているとともに両端部が前記第1及び第2の部材から外へ突出しているフラットケーブルとを有し、
前記第1の部材は、前記フラットケーブルの前記中間部分を収納する第1の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第1の保持部とを有し、
前記第2の部材は、前記フラットケーブルを収納する第2の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第2の保持部とを有し、
前記フラットケーブルは、前記第1の保持部に係合する第1の係合部と、前記第2の保持部に係合する第2の係合部とを有し、
前記フラットケーブルには、少なくとも前記中間部分を除く部分にシールド層が設けられており、
前記第1及び第2の係合部に設けられている前記シールド層は前記第1及び第2の部材側へ電気的に導通してシールド接続される部分であることを特徴とするヒンジコネクタ。 - 請求項1記載のヒンジコネクタにおいて、第1及び第2の部材の表面には、前記シールド層とシールド接続される金属めっきが施されていることを特徴とするヒンジコネクタ。
- 請求項1記載のヒンジコネクタにおいて、第1及び第2の部材の表面には、前記シールド層とシールド接続される導電塗装が施されていることを特徴とするヒンジコネクタ。
- 請求項1記載のヒンジコネクタにおいて、第1及び第2の部材は、導電性を有する材料によって作られていることを特徴とするヒンジコネクタ。
- 請求項1記載のヒンジコネクタにおいて、前記第1及び第2の係合部を除く前記シールド層上が絶縁性の部材によって覆われていることを特徴とするヒンジコネクタ。
- 請求項1記載のヒンジコネクタにおいて、前記第1の保持部は、前記第1の部材の回動方向に向けて前記フラットケーブルを突出させる第1の開口を有し、前記第2の保持部は、前記第2の部材の回動方向に向けて前記フラットケーブルを突出させる第2の開口を有していることを特徴とするヒンジコネクタ。
- 第1のヒンジ部を有する第1の筐体と、第2のヒンジ部を有する第2の筐体とが前記第1及び第2のヒンジ部を相互に回動可能にヒンジコネクタによってヒンジ結合されている電子機器において、
前記ヒンジコネクタは、前記第1及び第2のヒンジ部の共通な一軸周りに回動可能に前記第1及び第2のヒンジ部に取り付けられており、第1の部材と、該第1の部材と共通な前記一軸周りで回動可能に前記第1の部材に組み付けた第2の部材と、内部に導入した中間部分が屈曲性をもってスパイラル状に巻かれて配置されているとともに両端部が前記第1及び第2の部材から外へ突出しているフラットケーブルとを有し、
前記第1の部材は、前記フラットケーブルを収納する第1の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第1の保持部とを有し、
前記第2の部材は、前記フラットケーブルを収納する第2の収納部と、前記フラットケーブルを保持する第2の保持部とを有し、
前記フラットケーブルは、前記第1の保持部に係合する第1の係合部と、前記第2の保持部に係合する第2の係合部とを有し、
前記フラットケーブルには、前記第1及び第2の係合部にかつ少なくとも前記中間部分を除く部分にシールド層が設けられており、
前記第1及び第2の係合部に設けられている前記シールド層が前記第1及び第2の部材側へ電気的に導通してシールド接続する部分であり、
前記ヒンジコネクタが前記第1及び第2のヒンジ部に着脱自在に保持されていることを特徴とする電子機器。
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