JP3572988B2 - 内視鏡のアングル部 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用等として用いられる内視鏡において、その挿入部を構成するアングル部に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡は、概略図4に示した構成となっている。同図において、1は本体操作部、2は挿入部、3はユニバーサルコードである。挿入部2は本体操作部1への連設部側から大半の長さが体腔内等の挿入経路に沿って任意の方向に曲がる軟性部2aであって、この軟性部2aの先端には所定長さのアングル部2bが連設され、さらにアングル部2bの先端には先端硬質部2cが連設される。先端硬質部2cには、図示は省略するが、少なくとも照明部及び観察部が設けられる。アングル部2bは、この先端硬質部2cを所望の方向に向けるためのものであり、上下及び左右に湾曲可能となっている。この湾曲操作はアングル操作と呼ばれるものであり、本体操作部1に設けたアングルノブ4を回動させることにより行われる。
【0003】
次に、図5にアングル部2bの構成を示す。なお、同図には、例えばライトガイド,信号ケーブル(またはイメージガイド),処置具挿通チャンネル等の内部挿通部材は省略している。而して、アングル部2bは、所定数のアングルリング10を枢着ピン11で順次枢着することにより節輪構造となった湾曲管12として構成される。枢着ピン11による前後のアングルリング10,10間の枢着箇所は上下、左右と交互になっており、これによって全体としての湾曲管12は上下及び左右に湾曲できるようになる。湾曲管12には金属等の線材の編組からなるネット13で覆われており、さらにこのネット13の外周には外皮チューブ14が被着される。
【0004】
湾曲管12を構成するアングルリングのうち、両端に位置する端部リング10a,10bは、それぞれ軟性部2a及び先端硬質部2cに連結される。このために、軟性部2a側から延在させた連結リング15に端部リング10aが嵌合され、また端部リング10bは先端硬質部2cを構成する先端部本体16に嵌合される。そして、湾曲操作用の操作ワイヤ17が端部リング10bにおいて上下及び左右の4箇所で止着される。これら各操作ワイヤ17は枢着ピン11内に設けた挿通孔に挿通されて、それぞれ所定の位置に位置決めした状態で端部リング10aにまで延在され、この端部リング10aに固定して設けた挿通パイプ18から密着コイル19内に挿通されている。密着コイル19に挿通させた操作ワイヤ17は本体操作部1にまで延在されて、アングルノブ4で回動操作されるアングルプーリ(図示せず)に巻回されている。
【0005】
以上のように構成されるアングル部2bにおいて、その最外側の外装部である外皮チューブ14は、アングル操作時に伸縮することから弾性部材で形成され、かつアングル部2b内を完全に密閉状態となるように保持しなければならない。また、挿入部2は体腔内等に挿入されるものであるから、人体にとって有害なものではないものを用いるのは当然として、繰り返し洗浄・消毒される等から、耐薬品に優れたものとしなければならない。
【0006】
外皮チューブ14の両端部は固定されるが、この外皮チューブ14の端部から気密漏れしないようにして完全に固着する必要がある。例えば特開平5−154097号公報等に示されているように、外皮チューブの外周に糸巻きした上で接着剤を塗布することにより固着することによって、内部を気密状態に保持するのが一般的である。さらに、特開平10−127571号公報には、外皮チューブの内周にウレタン樹脂等のエラストマやゴム部材等で形成した固着部材を凝集固着させ、この固着部材を湾曲管が連結されている軟性部側の連結リングや先端硬質部を構成する先端部本体に設けた凹溝等に止着する構成としたものが示されている。
【0007】
以上のいずれの固着方法を採用するにしろ、アングル操作時には、外皮チューブは部分的に伸び、また部分的に縮むことになるので、この伸縮時にも固着部分が脱落しないように十分な固着強度を発揮させなければならない。ここで、湾曲管のうち、両端に位置する端部リングはそれぞれ軟性部側の連結リング,先端部本体に嵌合されており、従ってこれら両端部リングはアングル操作時や外力が作用した時にも曲がらない非湾曲部分となっている。そこで、外皮チューブの両端は、湾曲管における両端部リング、特に端部リングの先端部本体への連設部及び軟性部への連結リングの近傍位置、つまり外力が作用しても押圧変形しない位置に安定的に固着される。これによって、外皮チューブの固着強度を高くするようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内視鏡の挿入部は長尺のものであり、持ち運び時等において、この挿入部、特にその先端部分が誤って周囲の物体等と衝突するおそれがある。従って、このような衝突時における衝撃により外皮チューブが損傷したり、また破損したりすると、体内の汚物が付着して洗浄が困難になり、甚だしい場合には洗浄液,消毒液等が挿入部の内部に浸透して、挿入部内に設けた固体撮像素子等の部材を汚損して故障を発生させたり、ケーブルや光ファイバを断線させる等の不都合が発生するおそれがある。
【0009】
挿入部全体の外装部において、先端硬質部は外力の作用に対する強度は極めて高いものであり、またアングル部及び軟性部は曲げ可能であるから、外力が作用すると、曲がることによって衝撃等はある程度吸収できる。しかしながら、アングル部の先端硬質部への連結部分及びアングル部と軟性部との連結部分には、限られた長さではあるが、曲がらない部分がある。従って、この曲がらない部分に大きな衝撃力が作用すると、破損する可能性が高くなる。しかも、軟性部とアングル部とでは、その外装部の材質の違い等があることから、アングル部の方が衝撃力に対する強度は低いのが一般的である。
【0010】
一般に、アングル部の外装部としては、アングル操作に対する抵抗を低減するために伸縮性に富んだものとなし、かつ耐薬品等の特性を持たせる必要があることから、その材質は極めて限られたものとなり、一般的にはウレタンゴムやEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が用いられる。従って、必ずしも衝撃等の外力に対する高い強度を有する材質を選択できない。その結果、外皮チューブのうち、表面に外力が加わっても曲がることにより衝撃等を吸収できない湾曲管の非湾曲部分を構成する端部リング上に位置する部分、つまり金属等からなる硬質の土台の上にほぼ固定的に当接している部分では、この外皮チューブ自体の弾性力でしか衝撃吸収機能が発揮せず、しかも外皮チューブはある程度張力を持たせた状態で装着されることから、比較的小さい衝撃等による荷重が作用するだけでも表面が損傷し、また大きな衝撃が作用すると、外皮チューブが破損する可能性もある。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アングル部の外装部を構成する外皮チューブにおける破損し易い部分を有効に保護できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
既に説明したように、外皮チューブは、アングル操作時に自在に伸縮できるようになっていなければならないが、この伸縮する箇所は湾曲部分であり、非湾曲部分については伸縮性は特に要求される訳ではない。そこで、外皮チューブのうち、外力の作用では曲がらない非湾曲部分、つまり湾曲管における端部リングを覆う位置を内側から補強することによって、この部分の強度を向上させることができる。
【0013】
而して、第1の発明としては、外装部とこの外装部が装着される構造部との硬さの差を緩和するために、外皮チューブと端部リングとの間に、外皮チューブより硬く、端部リングより柔らかい部材からなる弾性補強リングを介装する構成としたことをその特徴とするものである。ここで、弾性補強リングはゴム材で形成するのが望ましく、特にフッ素ゴムを用いるのがさらに望ましい。
【0014】
また、第2の発明としては、外装部としての外皮チューブそのものの強度を向上させる構成としたものである。このためには、外皮チューブの内面側に薄肉の金属または硬質プラスチックを筒状に形成した硬質リングを一体的に設ける構成とした点を特徴とするものである。
【0015】
そして、第1の発明における弾性補強リングを用いるにしろ、また第2の発明における硬質リングを用いるにしろ、これらは端部リングの他のアングルリングへの連結部を覆う位置にまで延在させるように構成すれば、外皮チューブにおける非湾曲部分の全体を有効に保護できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1に内視鏡の挿入部における先端部分の構成を示す。同図において、20は先端硬質部、21はアングル部、22は軟性部である。先端硬質部20には、図示は省略するが、照明用レンズを装着した照明部が設けられ、また観察部23が設けられて、これらにより内視鏡の観察手段が構成される。観察部23には、対物光学系24が設けられ、この対物光学系24の結像位置にはCCD等からなる固体撮像素子25が装着されている。さらに、先端硬質部20には鉗子その他の処置具を導出するために、処置具導出用開口26が設けられ、この処置具導出用開口26には連結パイプ26aが挿嵌して設けられると共に、処置具挿通チューブ27がこの連結パイプ26aに嵌合して設けられている。従って、先端硬質部20は、これら各部材を装着するために所定の形状を有する先端部本体28と、この先端部本体28の前面部分を覆う先端キャップ29とから構成される。そして、先端部本体28は構造上の強度や加工性等の観点から金属で形成され、かつこの金属である先端部本体28を外部に露出しないようにするために、その先端部分を覆う先端キャップ29は電気絶縁性を有する合成樹脂で形成される。
【0017】
アングル部21は、アングルリング30を順次枢着ピン31を介して連結することにより構成される湾曲管32を有し、この湾曲管32はアングル部21における構造部として機能するものであり、金属または硬質のプラスチック材で形成される。そして、この湾曲管32にはネット33が被着され、さらにネット33上には外装部としての外皮チューブ34が被着されている。前後のアングルリング30を枢着する枢着ピン31は、上下、左右の順にそれぞれ2箇所ずつ設けられており、これによってアングル部21は上下及び左右に湾曲操作できるようになっている。このために、90°の位相関係で4本の操作ワイヤ35が設けられている。アングルリング30のうち、最基端位置にある端部リング30aは軟性部22から延在させた連結リング36に嵌合され、最先端位置にある端部リング30bは先端部本体28に嵌合される。従って、湾曲管32のうち、両端部リング30a,30bは操作ワイヤ35の押し引き操作等によって湾曲操作した時や外力が作用した時等にも曲がらない非湾曲部分である。
【0018】
しかも、具体的には、図1において、端部リング30a,30bと、それに隣接するアングルリング30との間を接続する枢着ピン31の装着部までの長さ分Lが非湾曲部分であり、その間の部分が湾曲部分となる。ここで、端部リング30a,30bを含めて全てのアングルリング30の端部は斜めに突出する形状となっており、この斜めに形成した部位から、枢着ピン31を装着するための連結用突出部30Pがさらに突出しており、従って非湾曲部は、厳格には、端部リング30a,30bの連結用突出部30Pにおける枢着ピン31の止着部分までである。
【0019】
外皮チューブ34は、伸縮性が良好で、耐薬品性を備えるものであり、例えばEPDM等のゴム材をチューブ状に形成したものから構成される。この外皮チューブの内径寸法は湾曲管32の外径より小さくなっており、従って外皮チューブ34を装着した時には、ある程度の締め付け力が作用することになる。そして、この外皮チューブ34は端部リング30a,30bの端部位置乃至それを越えた位置まで延在されて、アングル部21の外装部としてその内部を密閉するものである。従って、外皮チューブ34はアングル部21を完全に密閉する機能を遺憾なく発揮させ、その全長にわたって外部からの衝撃等で損傷しないようにする必要がある。外皮チューブ34の肉厚を大きくすれば、それだけ強度も高くなるが、あまり厚肉化すると、挿入部全体が太径化してしまうだけでなく、伸縮性が低下する結果、アングル操作時における抵抗も大きくなる。
【0020】
外皮チューブ34の湾曲部分においては、衝撃が加わった時に曲がることによってある程度衝撃が吸収される。従って、この湾曲部分での衝撃に対する強度を基準として外皮チューブ34の厚み寸法を設定する。この結果、非湾曲部分である端部リング30a,30b上に位置する部分に衝撃等が作用した時に、十分な強度が得られないことになる。
【0021】
ところで、外皮チューブ34の全長において、脆弱な部分である端部リング30a,30b上の部分は非湾曲部分である。従って、外皮チューブ34において、この非湾曲部分を覆う位置には必ずしも伸縮性を持たせる必要はない。勿論、アングル部21における外装部であるから耐薬品性等の特性は必要であるが、この部分では伸縮性は必要ではいので、むしろ機械的強度を持たせるために、外皮チューブ34の内面側から端部リング30a,30b上の部分を覆う部分に限定して補強する。ここで、補強は非湾曲部分Lの全長に及ばせるのが望ましいが、少なくとも端部リング30a,30bのうちの円形となっている部分の大部分に及んでおれば良い。
【0022】
外皮チューブ34における非湾曲部分がダメージを受けるのは、硬質部材からなり、構造部として機能する端部リング30a,30bに所定の張力をもって密着しているからであり、外皮チューブ34と端部リング30a,30bとの間に、外皮チューブ34より硬く、端部リング30a,30bよりは柔軟な部材からなる弾性補強リング37を介在させることによって、外皮チューブ34が他の物体等と衝突した時におけるダメージを抑制乃至緩和するように構成している。従って、弾性補強リング37は、弾性を有するゴム材であって、外皮チューブ34より伸縮性が小さいもの、例えばフッ素ゴム等が好適に用いられる。
【0023】
図1から明らかなように、弾性補強リング37は薄肉のチューブ材からなり、外皮チューブ34の内面側に設けられる。ここで、外皮チューブ34は成形手段により所定の寸法を有する筒状に形成されるが、弾性補強リング37は、この外皮チューブ34を成形する際に一体的に設けることができる。また、外皮チューブ34と弾性補強リング37とを別部材で形成して相互に接着するようにしても良い。外皮チューブ34と弾性補強リング37とを別部材で形成して、相互に接着する場合には、外皮チューブ37の内面または弾性補強リング37の外面に、接着性を改善するためのプライマ処理を行うのが望ましい。ここで、外皮チューブ37をEPDMで形成した場合には、プライマとしてはトルエン,キシレン等を主成分とするものを用いれば良い。
【0024】
弾性補強リング37を一体に設けた外皮チューブ34の内径は、自由状態では、湾曲管32の外径寸法より小さくしておき、この外皮チューブ34を装着する際には真空吸引等の手段で拡開させて、湾曲管32を内部に挿通させた後に、外皮チューブ34に対する拡開方向の力を解除する。その結果、外皮チューブ34は端部リング30a,30bに所定の締め付け力をもって密着する。ただし、外皮チューブ34の内面における端部リング30a,30bと対面する位置には、外皮チューブ34より伸縮性が劣るゴム材からなる弾性補強リング37が設けられているから、直接端部リング30a,30bに対して締め付け力が作用するのは弾性補強リング37である。さらに、外皮チューブ34はアングル部21の内部を密閉状態に保持する機能も発揮させなければならないことから、この外皮チューブ34の端部における外周面には糸巻き38を設け、さらにこの糸巻き38の部位を含み、先端部本体28及び連結リング36にまで掛け渡すようにして接着剤を塗布することによって、外皮チューブ34の端部固定と、内部の気密保持とを行う。外皮チューブ34における糸巻き38を行う部位には、その内面に弾性補強リング37が設けられているが、この弾性補強リング37もゴム材で形成されているから、糸巻き38による端部リング30a,30bへの締め付け力を十分作用させることができる。
【0025】
而して、端部リング30a,30bは金属または硬質プラスチックで形成されており、高い伸縮性が要求される外皮チューブ34の装着部の土台としては極めて硬いものであるが、外皮チューブ34と端部リング30a,30bとの間には外皮チューブ34より硬い弾性部材である弾性補強リング37が介在して、外皮チューブ34を弾性的に支持しているので、外部からの衝撃が外皮チューブ34に作用しても、この弾性補強リング37の弾発力によって、衝撃が著しく緩和される。しかも、外皮チューブ34における端部リング30a,30bを覆う部分では、これら端部リング30a,30bに対して締め付け力を作用させており、従って外皮チューブ34はある程度張力が作用した状態となるが、硬質の端部リング30a,30bに直接当接しているのは弾性補強リング37であって、外皮チューブ34はこの弾性補強リング37に圧接されているので、端部リング30a,30bに直接当接させる場合と比較して、作用する張力の度合いが小さくなる。従って、外皮チューブ34の外側から衝撃が作用した時におけるダメージも小さくなる。
【0026】
以上の結果、外皮チューブ34における非湾曲部分である端部リング30a,30bを覆う部分の強度が著しく向上し、誤って他の物体等と衝突させても、その衝撃によって外皮チューブ34が損傷したり、破損したりするおそれはない。従って、外皮チューブ34には、衝撃が作用した時に、曲がることによって、その衝撃を吸収できる湾曲部分において必要な強度となる厚みを持たせ、もって挿入部全体の細径化を図り、しかもアングル操作時における抵抗を最小限に抑制でき、しかもこの外皮チューブ34における非湾曲部分における損傷や破損の頻度が高くなることはない。
【0027】
外皮チューブ34と弾性補強リング37とを別部材で構成した場合においては、予め外皮チューブ34と弾性補強リング37とを接着して一体化した上で、前述したと同様の方法によって湾曲管32に装着しても良いが、まず弾性補強リング37を端部リング30a,30bに装着し、これら弾性補強リング37の外面に接着剤を塗布した上で、外皮チューブ34を被着することもできる。また、弾性補強リング37はフッ素ゴム等からなるものであり、このフッ素ゴムを液状にして端部リング30a,30b上に所定の厚みとなるように塗布し、その上から外皮チューブ34を被着させるようにすることもできる。
【0028】
このように、弾性補強リング37を液状フッ素ゴムを塗布することにより形成した場合には、成形手段等で弾性補強リング37を形成する場合と比較して、製造が容易で、厚み管理等もより正確に行える。また、液状フッ素ゴムには接着機能を有することから、同じゴム材である外皮チューブ34に対する十分な接着力が得られ、また金属等で形成した端部リング30a,30bに対してもある程度の接着力を発揮させることができるので、その間の密着性、シール性が極めて良好になる。しかも、端部リング30a,30bには、その中間部分にまでネット33が装着されているので、塗布により弾性補強リング37を形成すると、この弾性補強リング37がネット33の網目にまで入り込んでアンカー効果が得られ、その固着強度が著しく向上する。
【0029】
また、図2に示したように、外皮チューブ134の内面に装着される弾性補強リング137を、この外皮チューブ134の内面に固着される薄肉部137aと、外皮チューブ134の端部から所定の長さだけ突出し、かつ外面側が厚肉となった厚肉部137bとから構成することもできる。そして、弾性補強リング137と共に外皮チューブ134を湾曲管32の端部リング30a,30bに嵌合させた上で、弾性補強リング137における厚肉部137bの外面から外皮チューブ134の端部までの部位にかけて糸巻き100で固定する。その上で、弾性補強リング137と、それが突き当てられる先端部本体28,連結リング36から外皮チューブ134を覆うように接着剤を塗布する。このように構成することによっても、外皮チューブ134及び弾性補強リング137の固定と、アングル部の内部における気密保持とを行える。
【0030】
以上のように、外皮チューブにおいて、衝撃に対する脆弱な部分の補強を弾性部材で行うようにしたものに加えて、外皮チューブに硬質の部材を一体的に成形することによっても、この外皮チューブにおける強度の向上が図られ、衝撃による損傷から保護できる。
【0031】
即ち、図3に示したように、外皮チューブ234には、その補強部材として、金属または硬質プラスチックからなる硬質リング200を一体成形する。そして、硬質リング200は外皮チューブ234の内面に露出しており、その内径は、端部リング30a,30bの外径とほぼ一致する大きさとする。硬質リング200は、外皮チューブ234を湾曲管32に装着した時に、その端部リング30a,30b上をほぼ覆うものであるが、端部リング30a,30bにおける先端部本体28及び連結リング36への接合部側には、所定の長さ分だけ外皮チューブ234を延在させて、この延在部を固着部234aとしている。そして、この固着部234aには、糸巻き201が行われ、さらに接着剤が塗布される領域となっている。また、外皮チューブ234のうち、硬質リング200を設けた部位は、この硬質リング200の厚み分だけ薄肉化された薄肉化部234bとなっている。この薄肉化部234bは、従って、実質的に非湾曲部分のほぼ全長に及ぶようになっている。
【0032】
以上のように構成することによっても、外皮チューブ234のうち、非湾曲部分においては、硬質リング200と一体化され、かつ外皮チューブが薄肉化されているので、その強度は著しく向上する。しかも、硬質リング200は端部リング30a,30bにほぼ密嵌状態にして嵌合されており、この部分は外皮チューブ234に対して張力が作用することはない。この結果、外皮チューブ234にける非湾曲部分における衝撃に対する強度はさらに向上する。ただし、硬質リング200を用いて補強を行う場合にあっては、端部リング30a,30bにおけるネット33を被着させた部分の手前位置までの長さとするか、またはネット33を被着させた部分は肉厚を薄くして、硬質リングをこのネットの上部に嵌合させるように構成する。
【0033】
なお、硬質リングを用いる場合には、図3に示した構成としたものだけでなく、図3に示されているように、薄肉部と厚肉部とを備える構成とすることもできる。そして、硬質リングを図2に示したと同様の構成とした場合には、端部リングの外面との間を接着剤により固着する。この接着部分は共に硬質の部材であり、かつ接着剤が塗布される領域は広くなるので、極めて高い接着強度を発揮することになる。さらに、硬質リングと外皮チューブとの間を糸巻きで固定するようになし、また硬質リングの厚肉部と先端部本体及び連結リングとの間、及び外皮チューブの端部との間を接着剤で密閉するように構成すれば良い。
【0034】
【発明の効果】
本発明は以上のように、外皮チューブにおける湾曲管を構成する端部リングを覆う部分において、この外皮チューブと端部リングとの間に弾性補強リングまたは硬質リングを介在させる構成としたので、アングル部の外皮チューブに必要な機能を損なわずに、アングル部の外装部を構成する外皮チューブにおける破損し易い部分を有効に保護できる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すアングル部の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示すアングル部の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示すアングル部の断面図である。
【図4】内視鏡の全体構成図である。
【図5】従来技術によるアングル部の断面図である。
【符号の説明】
20 先端硬質部 21 アングル部
22 軟性部 28 先端部本体
30 アングルリング 30a,30b 端部リング
31 枢着ピン 32 湾曲管
34,134,234 外皮チューブ
36 連結リング 37,137 弾性補強リング
38,100,201 糸巻き
200 硬質リング

Claims (6)

  1. 先端硬質部に、遠隔操作で湾曲するアングル部を、またこのアングル部には任意の方向に曲げ可能な軟性部を連設した内視鏡の挿入部において、前記アングル部は、所定数のアングルリングを枢着することにより形成される節輪構造となった湾曲管と、この湾曲管の外面に装着したネットを、またこのネットの外側に装着され、前記湾曲管を構成するアングルリングの前記先端硬質部と前記軟性部とに連結される端部リングを覆う位置まで延在させて設けた外皮チューブとで構成し、この外皮チューブと前記端部リングとの間には、前記外皮チューブより硬く、前記端部リングより柔らかい部材からなる弾性補強リングを介装する構成としたことを特徴とする内視鏡のアングル部。
  2. 前記弾性補強リングはゴム材で形成する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡のアングル部。
  3. 前記ゴム材はフッ素ゴムであることを特徴とする請求項2記載の内視鏡のアングル部。
  4. 前記弾性補強リングは、前記端部リングの他のアングルリングへの連結部を含めた概略全長に及ぶように装着する構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡のアングル部。
  5. 先端硬質部に、遠隔操作で湾曲するアングル部を、またこのアングル部には任意の方向に曲げ可能な軟性部を連設した内視鏡の挿入部において、前記アングル部は、所定数のアングルリングを枢着することにより形成される節輪構造となった湾曲管と、この湾曲管の外面に装着したネットを、またこのネットの外側に装着され、前記湾曲管を構成するアングルリングの前記先端硬質部と前記軟性部とに連結される端部リングを覆う位置まで延在させて設けた外皮チューブとで構成し、この外皮チューブの前記端部リングと対面する部位において、この外皮チューブの内面側に、薄肉の金属または硬質プラスチックを筒状に形成した硬質リングを一体的に設ける構成としたことを特徴とする内視鏡のアングル部。
  6. 前記硬質リングの他端部を前記端部リングの他のアングルリングへの連結部を覆う位置にまで延在させる構成としたことを特徴とする請求項5記載の内視鏡のアングル部。
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