JP3572710B2 - ラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置 - Google Patents
ラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置 Download PDFInfo
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Description
【産業上の利用分野】
この発明に係るラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置は、例えばガスタービン、或は圧縮機等のターボ機械の回転軸を回転自在に支持する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
高速で回転するターボ機械の回転軸を支承する為に従来から、玉軸受と円筒ころ軸受とを組み合わせた転がり軸受装置が広く使用されている。この様な転がり軸受装置を構成する円筒ころ軸受は、上記回転軸を回転自在に支承すると共に、温度変化等に起因する回転軸或はハウジングの軸方向(アキシャル方向)に亙る伸縮を吸収する。又、玉軸受は、上記回転軸のアキシャル方向に亙る位置決めを図ると共に、この回転軸に加わるアキシャル荷重を支承する。
【0003】
一般的にターボ機械の性能は、回転軸のアキシャル方向に亙るガタ(遊び)に大きく影響され、このガタが小さい程、性能は(著しく)向上する。この様な回転軸のアキシャル方向に亙るガタは、上記玉軸受のアキシャル隙間に起因し、このアキシャル隙間が小さい程ガタが小さくなる事が周知である。又、複数の玉軸受を組み合わせる事で構成される組み合わせ軸受の場合には、上記ガタの原因となるアキシャル隙間は、玉軸受単体のアキシャル隙間ではなく、組み合わせ軸受全体としての組み合わせアキシャル隙間である事も、従来から知られている。この為従来から、図11に示す様な軸受装置により、ターボ機械の回転軸を支持する事が行なわれている。
【0004】
この図11に示した軸受装置は、ターボ機械の一種であるスクリューコンプレッサを構成するロータ1を固定した回転軸2の一端を、ハウジング3に支持する為のものである。尚、上記回転軸2の他端は上記ハウジング3に対して、円筒ころ軸受により回転及び軸方向に亙る変位自在に支持されるが、この部分の構造は本発明と関係ないので、図示及び説明を省略する。
【0005】
上記回転軸2の一端をハウジング3に支持する為の軸受装置は、1対のアンギュラ型の玉軸受4、5を組み合わせる事で構成される。両玉軸受4、5を構成する玉6、6の接触角の方向は、互いに逆方向(本例では所謂背面組合せ=DB)としている。又、上記各玉軸受4、5を構成する外輪8、8の端面同士を突き当てた状態で、これら各玉軸受4、5を構成する内輪7、7同士を互いに近づける方向に押圧して、これら両玉軸受4、5の内部隙間を負にしている。即ち、上記各玉6、6の転動面と上記各外輪8、8内周面の外輪軌道及び上記各内輪7、7外周面の内輪軌道を弾性変形させつつ、上記転動面と外輪軌道及び内輪軌道とを弾性的に当接させる、所謂予圧を付与した状態としている。従って、上記軸受装置は上記ハウジング3の内側に回転軸2を、ラジアル方向及びアキシャル方向に亙るがたつきなく支持する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図11に示した様に1対の玉軸受4、5を組み合わせて成る軸受装置の場合には、高速回転に伴って予圧が上昇する為、玉軸受4、5の寿命が十分に確保しにくい。即ち、スクリューコンプレッサ等のターボ機械の回転軸は運転時に相当に高速で回転する。この為、上記各玉軸受4、5を構成する玉6、6に作用する遠心力により、これら各玉6、6が、外輪8、8内周面の外輪軌道に強く押し付けられる。この様にして各玉6、6から外輪軌道に加えられる押し付け力に基づき、上記外輪8、8の端面同士を押し付け合う力が強くなる。この状態では、上記アキシャル荷重Fa を支承する側の玉軸受4(又は5)の内輪7は、上記アキシャル荷重Fa により、このアキシャル荷重Fa の作用方向(例えば図11の左方)に押されている。従って、このアキシャル荷重Fa を支承する側の玉軸受4(又は5)に付与された予圧は、設定時に付与された予圧に加えて、上記遠心力に基づく内部発生予圧が付加されたものになる。従って、ターボ機械の運転時には、上記アキシャル荷重Fa を支承する側の玉軸受4(又は5)の予圧が過大になり、この玉軸受4(又は5)を構成する玉6、6の転動面と外輪軌道及び内輪軌道との接触面圧が大きくなる。この結果、これら転動面、外輪軌道、内輪軌道の疲れ寿命を十分に確保する事が難しくなる。
【0007】
この為従来は、上記玉軸受4、5を大型化したり、或は上記軸受装置に予圧を付与せず、これら各玉軸受4、5の内部に正の隙間を形成したりして、これら玉軸受4、5の寿命確保を図っていた。大型化により玉軸受4の負荷容量を大きくすれば、十分な寿命を確保する事が比較的容易に行なえる。又、予圧付与を行なわないと、その分上記接触面圧を低減できて、上記転動面、外輪軌道、内輪軌道の疲れ寿命を確保し易くなる。
【0008】
但し、玉軸受4、5の大型化は、コスト並びに重量の増大だけでなく、軸受装置部分の回転抵抗の増大により、ターボ機械の性能低下に結び付く為、好ましくない。又、予圧付与を行なわずに各玉軸受4、5の内部に正の隙間を形成すると、ハウジング3に対してロータ1がアキシャル方向及びラジアル方向に変位可能になって(ガタが発生して)、ロータリコンプレッサ等の性能が悪化する原因となる。
【0009】
この様に、ターボ機械の回転軸を1対の玉軸受4、5を組み合わせて成る軸受装置により支承した場合には、ターボ機械の性能確保と軸受装置の耐久性確保とを両立させる事が難しい。この為、単列の玉軸受により、この回転軸を支承する事が考えられる。ところが従来は、単列の玉軸受によっても、ターボ機械の性能確保と軸受装置の耐久性確保とを両立させる事が難しかった。
【0010】
何となれば、従来はハウジング3の内周面と回転軸2の外周面との間に単列の玉軸受を装着した後、この玉軸受に予圧を付与する技術が知られていなかった。この為、回転軸2をハウジング3の内側に単列の玉軸受により支持し、しかもこの玉軸受に予圧を付与した状態にする為には、予め予圧を付与した玉軸受を、上記回転軸2とハウジング3との間に装着する必要があった。ところが、予め予圧を付与した玉軸受の外輪をハウジング3に内嵌したり、或は回転軸2に外嵌したりする作業は困難で、無理に行なうと予圧量が過大になったり、更には玉を傷付ける原因となる。この様に予圧量が過大になったり玉が傷付いた玉軸受を高速回転させると、早期に焼き付く原因となる。勿論、予圧を付与していない単列玉軸受を回転軸2とハウジング3との間に組み付ける事は可能であるが、ガタの存在により性能確保が難しくなる事は、前述した軸受装置の場合と同様である。この為従来は、単列の玉軸受を使用する場合は、上記ガタを小さくできる3点接触型の玉軸受、又は4点接触型の玉軸受と言った、特殊な玉軸受を使用していた。ところが、これらの特殊な玉軸受は、軌道面の加工が面倒で、製作費が嵩む事が避けられない。
【0011】
本発明のラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置はこの様な事情に鑑みて発明したもので、単列の玉軸受を所望位置に組み付けた後、予圧を付与できる様にする事により、軸受部分の耐久性確保とターボ機械の性能確保とを両立させるものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置のうち、請求項1に記載したラジアル玉軸受の予圧付与方法は、内周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪と、外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉とを備えたラジアル玉軸受に予圧を付与すべく、上記外輪の中心軸と上記内輪の中心軸とを相対的に傾斜させる事により、上記複数の玉のうちの一部の玉の転動面と上記外輪軌道及び内輪軌道との間のラジアル方向及びアキシャル方向の正の隙間をなくす。
【0013】
又、請求項2に記載した予圧を付与されたラジアル玉軸受装置は、軸に外嵌固定された内輪と、この軸の周囲にこの軸に対する相対回転自在に配置された周囲部材と、この周囲部材に形成されて上記軸が挿通された円孔と、この円孔の内側に緩く嵌合した円筒状のホルダ筒と、このホルダ筒の端部で上記円孔外に突出した部分に形成された鍔部と、上記ホルダ筒に内嵌固定された外輪と、上記内輪の外周面に全周に亙って形成された深溝型の内輪軌道と、上記外輪の内周面に全周に亙って形成された深溝型の外輪軌道と、この外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉と、上記鍔部と上記周囲部材の外端面との間の円周方向一部にのみ挟持されたスペーサとを備える。そして、このスペーサの厚さに応じた分だけ上記内輪の中心軸と上記外輪の中心軸とが傾斜している。
【0014】
【作用】
上述の様に構成される本発明のラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置によれば、単列の玉軸受を所望位置に組み付けた後、予圧を付与できる。この為、軸受部分の耐久性確保とターボ機械の性能確保とを両立させる事ができる。即ち、単列の玉軸受を構成する外輪と内輪とを、互いの中心軸同士を一致させ、予圧を付与していない状態で所定位置に組み付ける事で、これら外輪及び内輪と玉とを損傷する事なく、組み付け作業を行なえる。そして、組み付け後に上記外輪の中心軸と上記内輪の中心軸とを相対的に傾斜させれば、玉軸受を構成する複数の玉のうちの一部の玉の転動面が外輪軌道と内輪軌道との間で挟持されて、予圧を付与された状態となる。この結果、上記外輪と内輪とが、ラジアル方向及びアキシャル方向に亙るがたつきなく、相対回転自在に組み合わされる。上記複数の玉のうちの残りの玉の転動面は、外輪軌道と内輪軌道との間で挟持されず、これら残りの玉への予圧付与は行なわれない。勿論、予圧を付与された一部の玉と予圧を付与されない残りの玉とは、上記外輪と内輪との相対回転に伴って次々に入れ替わる。
【0015】
又、上記一部の玉に付与する予圧の大きさ(玉軸受内部に発生する予圧量)は、上記外輪の中心軸と上記内輪の中心軸との傾斜角度を調整する事で、自由に調節できる。又、ラジアル剛性、アキシャル剛性、モーメント剛性に関しては、上記一部の玉の総てがこれら各剛性の向上に寄与する為、十分に確保できる。尚、本発明の効果をより多く得る為には、外輪軌道と内輪軌道との一方が転動面と2個所で当接し、他方が1個所で接触する、所謂3点接触型の玉軸受、或は外輪軌道と内輪軌道との両方が転動面と2個所ずつで当接する所謂4点接触型の玉軸受を使用する事が効果がある。これら3点接触型、或は4点接触型の玉軸受は、一般的な(転動面と外輪軌道及び内輪軌道とが1点ずつで接触する)深溝型の玉軸受に比べて、同じ予圧量を得る為に必要な傾斜角度が小さくて済む。従って、一般的な深溝型玉軸受を使用した場合に比べて、他の条件を同じとした場合に、アキシャル剛性及びモーメント剛性を高くできる。
【0016】
【実施例】
図1〜2は本発明の第一実施例を示している。本実施例は、一般的な深溝型の玉軸受9を使用して、所定部分に装着後、この玉軸受9に予圧を付与した場合を示している。本発明を実施する場合、この玉軸受9を構成する内輪10を例えば回転軸の外周面に外嵌固定し、同じく外輪11を例えばハウジングの内周面に内嵌固定する。この嵌合固定作業の際には、これら内輪10の中心軸と外輪11の中心軸とは互いに一致させたままにする。又、複数の玉12、12には、何れも予圧を付与していない。即ち、総ての玉12、12の転動面と内輪10外周面の内輪軌道13と外輪11内周面の外輪軌道14とは、非接触若しくは軽く当接しているのみである。従って、上記嵌合固定作業に伴って上記玉12、12に過大な予圧付与が行なわれたり、或は玉12、12が傷んだりする可能性はない。
【0017】
上述の様に、互いの中心軸を一致させた状態で、内輪10と外輪11とを所定位置に嵌合固定したならば、内輪10の中心軸と外輪11の中心軸との少なくとも一方を変位させ、これら両中心軸同士を相対的に傾斜させる。図1〜2の実施例では、内輪10を矢印イ方向に少し傾斜させた状態を考える。この様に内輪10を傾斜させる結果、上記内輪軌道13の一部が、上記複数の玉12、12のうちの一部の玉12、12の転動面の一部に押し付けられ、当該玉12、12の転動面の直径方向反対位置が上記外輪軌道14に押し付けられる。この状態で、上記一部の玉12、12には予圧が付与され、各玉12、12と内輪軌道13及び外輪軌道14との接触角がαi となる。上記両中心軸同士が傾斜している為、この接触角αi は各玉12、12毎に一様ではなく、円周方向位置に応じて変化する。そして、各軌道13、14から玉12、12に加わる荷重(=転動体荷重=アキシャル荷重、ラジアル荷重、モーメント荷重)も、上記接触角αi に応じて変化する。
【0018】
例えば、図1(A)に矢印イで示す様に内輪10を傾斜させた場合に、玉12、12の円周方向位置と接触角αi 及び転動体荷重Qi との関係は、図2に示す様になる。この図2の横軸は、玉12、12の円周方向位置(図1(B)参照)を表す角度ψである。この図2から明らかな通り、傾斜方向に位置する玉12、12の接触角αi 及び転動体荷重Qi が大きくなるが、傾斜方向に対して90度側方に位置する玉12、12の接触角αi 及び転動体荷重Qi は小さくなる。接触角αi が大きな玉12、12は比較的大きな予圧が付与された状態であり、接触角αi が小さな玉12、12は、付与された予圧が小さいか、或は全く予圧が付与されていない(接触角αi =0の玉12)状態である。尚、図2の縦軸には接触角αi の絶対値を示しており、方向は示していない。例えば、0〜90度及び270〜360度の範囲で接触角αi の方向は互いに同じであるが、90〜270度の範囲ではこれとは逆方向になる。従って、単列の玉軸受であるが、両方向のアキシャル荷重を支承できる。
【0019】
例えば、上記玉軸受9を、スクリューコンプレッサ等のターボ機械に組み込んだ場合、この玉軸受9にはスラスト荷重が加わる。これに対して、本発明の方法により予圧を付与された玉軸受9では、単列の玉軸受であるにも拘らず、両方向のアキシャル荷重を支承できる。しかも、アキシャル方向の転動体荷重Qi が大きな玉12、12程接触角αi も大きくなる為、一部の玉12、12のみで大きなスラスト荷重を十分に支持できる。言い換えれば、スラスト荷重を一部の玉12、12のみで支承しても、十分な負荷容量を確保して、焼き付き等の故障の発生を防止できる。
【0020】
尚、上記中心軸を傾斜させる方向とラジアル荷重が加わる方向との関係は特に定めないが、ラジアル剛性を確保する面からは、これら両方向に互いに一致させる事が好ましい。元々ラジアル荷重は、荷重の作用方向前側と後側とに位置する玉12、12が主として支承し、作用方向両側に位置する玉12、12は殆ど若しくは全く支承しない。従って、本発明がラジアル荷重支承に関して、従来に比べて不利になる事はない。又、ラジアル荷重とアキシャル荷重とが合わさって、玉12、12の転動面と内輪軌道13及び外輪軌道14との当接部の面圧が上昇するのを防止し、玉軸受9の耐久性向上を図る為には、上記両方向を互いに90度ずらせても良い。
【0021】
次に、図3〜6は本発明の第二実施例を示している。本実施例の場合には、内輪10a外周面の内輪軌道13aと玉12の転動面とが2個所で接触し、外輪11内周面の外輪軌道14と転動面とが1個所のみで接触する、所謂3点接触型の玉軸受9aで、本発明を実施する状態を示している。上記内輪10aは、1対の内輪素子15a、15bの端面同士を突き合わせる状態に組み合わせる事で、深溝型の上記内輪軌道13aを形成している。そして、図5に示す様に、上記玉12の転動面がこの内輪軌道13aに均一に当接した状態では、この玉12と内輪軌道13aとの接触角は、レストアングルであるαr となる。
【0022】
この様な3点接触型の玉軸受9aを例えばハウジングの内周面と回転軸の外周面との間に組み付けた後、上記内輪10aを図3に矢印ロで示す方向に傾斜させると、前述した第一実施例と同様に、複数の玉のうちの一部の玉12に予圧が付与される。特に、本実施例の場合には、玉12の接触角が内輪軌道13aに対するものと外輪軌道14に対するものとで相違する。即ち、各玉12と内輪軌道13aとの接触角はαi となり、各玉12と外輪軌道14との接触角はαe となる。そして、玉12と内輪軌道13aとの接触角αi は、円周方向に亙って図4に示す様に変化し、玉12と外輪軌道14との接触角αe は、円周方向に亙って図6に示す様に変化する。そして、上記内輪軌道13a、外輪軌道14から各玉12に加わる転動体荷重Qi 、Qe も、図4、6に示す様に、上記接触角αi 、αe に応じて変化する。
【0023】
尚、本実施例の場合、内輪軌道13a側の接触角αi は、前記レストアングルαr よりも小さくはならない。又、上記内輪側での転動体荷重Qi は、上記内輪10aを構成する1対の内輪素子15a、15bのうちの一方の内輪素子のみが支承するのではなく、円周方向位置に応じて異なる内輪素子15a、15bが、上記転動体荷重Qi を支承する。例えば、図3で矢印ロ方向に内輪10aを傾斜させた場合には、図4のa範囲では一方(図3の左方)の内輪素子15aが上記転動体荷重Qi を支承し、同じくb範囲では他方(図3の右方)の内輪素子15bが上記転動体荷重Qi を支承する。外輪軌道14側に関しては、前述した第一実施例と同様である。
【0024】
次に、図7は、請求項2に対応する本発明の第三実施例として、より具体化された構造を示している。回転軸2の端部には1対の内輪素子15a、15bから成る内輪10aを外嵌し、更にナット16によりこれら両内輪素子15a、15bを段部17に押し付けて、上記回転軸2に固定している。この回転軸2の周囲には周囲部材であるハウジング3を設け、このハウジング3に形成した円孔18に、上記回転軸2を挿通している。又、この円孔18の内側には円筒状のホルダ筒19を緩く嵌合している。即ち、このホルダ筒19は、上記円孔18の内径よりも少しだけ小さな外径を有し、ホルダ筒19を円孔18に挿入した状態では、このホルダ筒19が大きくがたつく事はないが、この円孔18内で少しだけ傾斜できる様にしている。
【0025】
この様なホルダ筒19の端部で上記円孔18外に突出した部分には、外向フランジ状の鍔部20を形成し、この鍔部20の片側面(図7の左側面)と上記ハウジング3の外端面(図7の右端面)とを対向させている。又、上記ホルダ筒19には外輪11を内嵌し、ナット21によりこの外輪11を係止鍔部22に押し付けて、この外輪11を上記ホルダ筒19に固定している。上記内輪10aの外周面に全周に亙って形成された深溝型の内輪軌道13a、13bと上記外輪11の内周面に全周に亙って形成された深溝型の外輪軌道14との間には複数の玉12、12を、転動自在に設けている。更に、上記鍔部20の片側面と上記ハウジング3の外端面との間にはスペーサ23を、円周方向一部のみ挟持している。従って、上記内輪10aの中心軸と上記外輪11の中心軸とは、このスペーサ23の厚さに応じた分だけ傾斜している。この様に傾斜した状態で上記鍔部20は上記ハウジング3の外端面に、ボルト等により結合固定している。尚、図示は省略したが、必要に応じて上記複数の玉12、12は、円環状の保持器に設けたポケットの内側に転動自在に保持する。
【0026】
本実施例は、この様に構成する為、回転軸2とハウジング3との間に玉軸受9aを装着した後、この玉軸受9aを構成する内輪10aの中心軸と上記外輪11の中心軸とを傾斜させて予圧を付与する作業を、容易且つ確実に行なえる。尚、この様に内輪10aの中心軸と上記外輪11の中心軸とを傾斜させる事で発生する各玉12、12間の接触角の相違は、玉とポケットとの間に干渉力を発生させたり、各玉12、12の転動面と内輪軌道13aと外輪軌道14との間に滑りを発生させる原因となる。この様な問題に対しては、ポケット形状の変更(円周方向に長いポケットを形成する)、最適材料の組み合わせを採用する(内輪10、10a、外輪11と玉12、12とを耐摩耗性材料により構成したり、或は異種材料同士を接触させる組み合わせを採用する)事で、次述する実験結果からも明らかな通り、実用上問題のないレベルにできる。
【0027】
図8は本発明が玉軸受の耐久性に及ぼす影響を知る為に行なった実験に使用した玉軸受を、図9〜10はその実験の結果を、それぞれ表している。実験に使用した玉軸受9aは、図8から明らかな通り、1対の内輪素子15a、15bにより構成される内輪10aを備えた、3点接触型の玉軸受である。内輪10a及び外輪11は耐熱軸受鋼(M50)により造り、玉12はセラミック(窒化珪素)により造った。玉12の外径は14.288mm、内輪10aの内径は60mm、幅は26.5mm、外輪11の外径は110mm、幅は21mmとし、玉の数は16個とした。
【0028】
この様な玉軸受9aを構成する外輪11の中心軸を、図7に示す様な構造により、内輪10aの中心軸に対して20分傾斜させ、次の条件で100時間の連続運転をし、試験前後に於ける各部の表面形状を精密粗さ計で測定した。尚、範囲のある値は、その範囲内で変動させた事を表す。
回転数 10000〜22000r.p.m.
ラジアル荷重 50〜150kgf
スラスト荷重 0kgf
給油温度 40℃
給油量 3リットル/min
【0029】
実験結果を表す図9〜10のうち、図9は試験前の表面形状を、図10は試験後の表面形状を、それぞれ表している。又、各図の(A)は内輪軌道13aの表面形状を、(B)は同じく内輪軌道13bの表面形状を、(C)は外輪軌道14の表面形状を、それぞれ表している。各図の縦軸は表面の凹凸を約2000倍に拡大して示している。又、横軸は各軌道の曲率中心に対する角度を表すもので、1度が約1mmに対応している。試験後の表面形状を表している図10と試験前の表面形状を表している図9とを比較すれば明らかな通り、本発明によって各部の摩耗が促進される事は殆どない。又、各玉12にも全く異常は見られなかった。これらの事から、本発明が十分に実用的な予圧付与方法である事が分る。
【0030】
【発明の効果】
本発明のラジアル玉軸受の予圧付与方法と予圧を付与されたラジアル玉軸受装置は、以上に述べた通り構成され作用するので、軸受部分の耐久性確保とターボ機械の性能確保とを両立させる事ができる。又、単列の玉軸受で構成できる為、組み合わせ軸受により軸受装置を構成する場合に比べて軸方向寸法が小さくなり、ターボ機械の小型軽量化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例を示しており、(A)は玉軸受の部分断面図、(B)は玉の配列状態を(A)の側方から見た状態で示す図。
【図2】玉の位置と接触角及び転動体荷重との関係を示す線図。
【図3】本発明の第二実施例を示す、玉軸受の部分断面図。
【図4】玉の位置と内輪側での接触角及び転動体荷重との関係を示す線図。
【図5】内輪の中心軸と外輪の中心軸とが一致した状態での接触角の状態を示す、玉軸受の部分断面図。
【図6】玉の位置と外輪側での接触角及び転動体荷重との関係を示す線図。
【図7】本発明の第三実施例を示す断面図。
【図8】実験に使用した玉軸受の部分断面図。
【図9】試験前の表面形状を示す線図。
【図10】試験後の表面形状を示す線図。
【図11】従来の軸受装置を組み込んだスクリューコンプレッサの要部断面図。
【符号の説明】
1 ロータ
2 回転軸
3 ハウジング
4、5 玉軸受
6 玉
7 内輪
8 外輪
9、9a 玉軸受
10、10a 内輪
11 外輪
12 玉
13、13a、13b 内輪軌道
14 外輪軌道
15a、15b 内輪素子
16 ナット
17 段部
18 円孔
19 ホルダ筒
20 鍔部
21 ナット
22 係止鍔部
23 スぺーサ
Claims (2)
- 内周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪と、外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪と、上記外輪軌道と内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉とを備えたラジアル玉軸受に予圧を付与すべく、上記外輪の中心軸と上記内輪の中心軸とを相対的に傾斜させる事により、上記複数の玉のうちの一部の玉の転動面と上記外輪軌道及び内輪軌道との間のラジアル方向及びアキシャル方向の正の隙間をなくす事を特徴とするラジアル玉軸受の予圧付与方法。
- 軸に外嵌固定された内輪と、この軸の周囲にこの軸に対する相対回転自在に配置された周囲部材と、この周囲部材に形成されて上記軸が挿通された円孔と、この円孔の内側に緩く嵌合した円筒状のホルダ筒と、このホルダ筒の端部で上記円孔外に突出した部分に形成された鍔部と、上記ホルダ筒に内嵌固定された外輪と、上記内輪の外周面に全周に亙って形成された深溝型の内輪軌道と、上記外輪の内周面に全周に亙って形成された深溝型の外輪軌道と、この外輪軌道と上記内輪軌道との間に転動自在に設けられた複数の玉と、上記鍔部と上記周囲部材の外端面との間の円周方向一部にのみ挟持されたスペーサとを備え、このスペーサの厚さに応じた分だけ上記内輪の中心軸と上記外輪の中心軸とが傾斜している、予圧を付与されたラジアル玉軸受装置。
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