JP2009204004A - ターボチャージャ用軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のターボチャージャ用軸受装置1は、ターボチャージャTの回転軸32をハウジング36内で回転自在に支持するものであり、回転軸32の軸方向に離れた一対の内輪軌道3a,3aを有する回転軸側の内輪3と、内輪軌道3a,3aに対向する一対の外輪軌道4a,4aを有するハウジング側の一対の外輪4,4と、内輪軌道3a,3aと外輪軌道4a,4aとの間に転動自在に複数の玉5を配置してなる一対のアンギュラ玉軸受2a,2bと、各玉5の自転軸が一定方向に固定されない程度に各アンギュラ玉軸受2a,2bにアキシャル方向の定圧予圧Faを付与する予圧付与部材8,9とを備えている。
【選択図】 図1
Description
従来、かかるターボチャージャ用軸受装置として、単列のアンギュラ玉軸受を回転軸の軸方向両側にそれぞれ配置し、これらの間において、両アンギュラ玉軸受の外輪を軸方向両側に弾発付勢するコイルばねとスペーサとを設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
従って、このような転動状態で、硬質の異物が混入した潤滑油が軸受装置に供給されると、その異物が玉の転動部分に噛み込み、玉の外周赤道付近を周回するバンド状の摩耗痕が生じることがあり、この摩耗痕によって異常音が発生するおそれがある。
ところが、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、単に玉の安定回転のみを重要視して外輪の予圧を設定すると、前記した通り、潤滑油中に硬質の異物が混入している場合には、自転軸が変動しない玉の転動部分に摩耗痕が発生し易く、これが異常音の発生の原因となることを見出した。
このため、アンギュラ玉軸受の玉と内輪及び外輪軌道の間に供給される潤滑油に硬質の異物が混入していても、玉の外周面にバンド状の摩耗痕が発生するのを極力防止することができ、かかる摩耗痕に伴う異常音の発生を防止ないし抑制することができる。
この場合、各玉の自転軸が一定方向に固定されない程度に各アンギュラ玉軸受に定圧予圧を付与するには、前記予圧ばねによるアキシャル方向の予圧荷重を、次の不等式(1)が成立する範囲内に設定すればよい(請求項2)。
従って、上記式(1)右辺の力学公式で演算可能なアキシャル荷重の最小値よりも予圧荷重Faが小さい値となるように、予圧ばねの弾性常数、自然長及び圧縮量等を設定しておくことにより、アンギュラ玉軸受に対するアキシャル方向の予圧荷重を、各玉の自転軸が一定方向に固定されない程度に設定することができる。
図1は、本発明のターボチャージャ用軸受装置1の一実施形態を示す断面図である。
図2は、そのターボチャージャ用軸受装置1が組み込まれたターボチャージャTの概略構成を示す断面図である。
図2に示すように、本実施形態のターボチャージャTは、排気流路31を流通する排気により、回転軸32の一端側(図2の右側)に固定したタービン33を回転させるようになっている。
この結果、給気流路35の上流側開口から吸引された空気が圧縮され、これにより、ガソリンや軽油等の燃料とともに圧縮された空気が、図示しないエンジンのシリンダ室内に送り込まれる。
このターボチャージャ用軸受装置1は、ターボチャージャTのハウジング36内に設けられた円筒状の軸受支持部36aを備え、この筒内部に組み込まれている。一端にタービン33が取り付けられかつ他端にインペラ34が取り付けられた上記回転軸32は、その中間部において、当該軸受装置1によって回転自在に支持される。
この両玉軸受2a,2bの内輪3の間には、内輪間座7が介装されている。また、両玉軸受2a,2bの外輪4の間には、一対のスリーブ8が介装され、この各スリーブ8の間には、第一の玉軸受2a及び第二の玉軸受2bに予圧荷重を付与する予圧ばね9が介装されている。
第一の玉軸受2aは、回転軸32のタービン33側(図1の右側)に配置され、第二の玉軸受2bは、回転軸32のインペラ34側(図1の左側)に配置されている。両玉軸受2a,2bは、それぞれ、外周側に内輪軌道3aを有する内輪3,3と、内周側に外輪軌道4aを有する外輪4,4と、これら内輪軌道3aと外輪軌道4aの間に転動自在に配置された複数の玉5とを備えている。
また、外輪4も環状に形成されており、その内周には、内輪軌道3aと対向して、所定の曲率半径を有するアンギュラ型の外輪軌道4aが形成されている。そして、本実施形態のアンギュラ玉軸受2a,2bでは、その内輪3及び外輪4は、片側の肩部をなくしたいわゆるカウンタボアを有する断面形状とされている。
かかる第一及び第二の玉軸受2a,2bのそれぞれは、ハウジング36の内側に設けられた軸受支持部36aに支持されている。
また、両玉軸受2a,2bのぞれぞれの内輪3,3は、回転軸32に対する軸方向変位も規制された状態で当該回転軸32の中間部に外嵌固定され、これにより、回転軸32の軸方向中間部が、軸方向に離れた一対の玉軸受2a,2bによってハウジング36の軸受支持部8に回転自在に支持されている。
各スリーブ8,8は、その外周面から内周面に向けて貫通形成された油孔10を有しており、この油孔10は、その内周面側の貫通出口が内輪軌道3aの近傍に位置するように径方向に対して傾斜している。
軸方向に並ぶ一対のスリーブ8,8における内周側でかつ軸方向の対向端部側には、前記予圧ばね9を収納する環状空間を形成するための段差部8bが形成されている。この段差部8bは、コイル状の予圧ばね9の直径よりも若干大きい径で、スリーブ8,8の内周側の肉厚を環状に切り欠くことによって形成されている。
また、各スリーブ8,8を互いに対向させた状態において、上記段差部8bと内輪間座7の外周面とによって環状空間が形成され、この環状空間に前記予圧ばね9が圧縮状態で収納されている。なお、
各スリーブ8,8の軸方向で対向する端面8aの間には、軸方向長さが約数十μmの隙間sが設けられている。
図2に示すように、上記軸受支持部36aを収めたハウジング36内には、給油通路37が設けられ、この給油通路37を通過する潤滑油で玉軸受2a,2bを潤滑するようになっている。
なお、上記隙間空間は、軸受支持部36aと第一及び第二の玉軸受2a,2b及びスリーブ8とを隙間嵌めすることにより設けられている。
このように、上記隙間空間に満たされた潤滑油によって、回転軸32の回転に基づく振動を減衰させるオイルフィルムダンパが形成されている。
本実施形態のターボチャージャ用軸受装置1において、第一及び第二の玉軸受2a,2bは、互いに接触角の方向を逆にした背面組み合わせ型の状態に配置され、一つの上記予圧ばね9によって定圧予圧を受けている。
具体的には、コイルばねよりなる上記予圧ばね9は、各スリーブ8,8の環状空間内で圧縮状態にあり、その両端をスリーブ8,8に当接させることで、これらのスリーブ8,8,を介して各外輪4,4を互いに離れる軸方向に付勢している。
Fa:アキシャル荷重(N)
μ:玉と軌道面との転がり摩擦定数
d:玉径(mm)
D:玉のPCD(Pitch Circle Diameter)(mm)
Z:玉の個数
θ:軸受接触角(度)
n:軸受回転数(min-1)
なお、上記不等式(1)において、アキシャル荷重Faの下限値が記載されていないのは、外輪4にアキシャル方向の定圧予圧Faを付与する以上は、そのFaが0より大きい所定値(Fa>0)になることが自明だからである。
従って、本実施形態では、上記式(1)右辺の力学公式で演算可能なアキシャル荷重の最小値よりもアキシャル方向の予圧荷重Faが小さい値となるように、予圧ばね9の弾性常数、自然長及び圧縮量等を設定しておくことで、アンギュラ玉軸受2a,2bに対するアキシャル方向の予圧荷重が、各4玉の自転軸が一定方向に固定されない程度に設定されている。
このため、各玉軸受2a,2bの玉5の自転軸の方向が高速回転時に生じるジャイロ力によって時間の経過とともに変動し、この結果、軌道3a,4aと接触する玉5の転動面が固定されずに変化するので、各玉5にバンド状の摩耗痕が発生するのを未然に防止することができ、ひいては異常音が発生を防止ないし抑制することができる。
このため、例えば上記スリーブ8,8で定位置予圧を付与する場合に比べて、組み付け精度がラフでよく、組み立てが簡単であるとともに、アキシャル方向の振動を予圧ばね9で吸収できるため、より高速回転に適した軸受装置1を得ることができる。
上記実施形態では、一対のスリーブ8が、互いに軸方向の隙間sを有して対向しているが、スリーブ8,8の端部同士が直接対向しなければならないわけではなく、例えば、図3に示すように、軸受支持部36aの内面側に径方向内側に突出する突出部36a1が形成され、この突出部36a1とスリーブ8,8とが軸方向の隙間s(数十μm程度)を有して対向していてもよい。
更に、保持器6の形式としては、図1に示すようなもみ抜き型だけなく、例えば波型のものを採用することもできる。
2 アンギュラ玉軸受
2a 第一の玉軸受
2b 第二の玉軸受
3 内輪
4 外輪
5 玉
6 保持器
7 内輪間座
8 スリーブ(予圧付与部材)
9 予圧ばね(予圧付与部材)
32 回転軸
33 タービン
34 インペラ
36 ハウジング
36a 軸受支持部
T ターボチャージャ
Claims (2)
- ターボチャージャの回転軸をハウジング内で回転自在に支持するターボチャージャ用軸受装置であって、
前記回転軸の軸方向に離れた一対の内輪軌道を有する回転軸側に設けられた内輪と、
前記内輪軌道に対向する外輪軌道を有するハウジング側に設けられた一対の外輪と、
前記内輪軌道と前記外輪軌道との間に転動自在に複数の玉を配置してなる一対のアンギュラ玉軸受と、
前記各玉の自転軸が一定方向に固定されない程度に前記各アンギュラ玉軸受にアキシャル方向の定圧予圧を付与する予圧付与部材とを備えていることを特徴とするターボチャージャ用軸受装置。
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