JP3572666B2 - 電子楽器および自動演奏情報記憶装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、自動演奏機能を有する電子楽器、および複数の自動演奏データが記憶された自動演奏情報記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動演奏機能を有した電子楽器には、複数の自動演奏データがあらかじめ記憶されているディスク等の自動演奏情報記憶装置から自動演奏データを読み出し、これに従って自動演奏を行うものがあった。自動演奏データは、メロディパート、伴奏パート、リズムパート等の複数のパートから構成されている。
ところで、従来から、上記自動演奏データの複数のパートのうち、たとえば、メロディパートのみを除いてあらかじめ自動演奏情報記憶装置に記憶し、その自動演奏情報記憶装置を楽器や歌唱の練習用として使用している。
【0003】
すなわち、楽器演奏や歌唱を教習する教師、あるいは独習者は、上記自動演奏情報記憶装置を自動演奏機能を有した電子楽器に装着して、その自動演奏情報記憶装置から自動演奏データを読み出させて自動演奏を行わせつつ、メロディパートの楽器演奏を、教師が教習者に教習したり、独習者が独習したり、あるいはその自動演奏を伴奏として歌唱の教習や独習をしている。この場合、同じ楽曲の同じ箇所を何度も何度も繰り返すことが常であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の電子楽器においては、自動演奏データの音色は固定されたままであったので、教習者や独習者は、同じ楽曲の同じ箇所を同じ音色で何度も何度も繰り返さなければならないので、練習に対する意欲が減退してしまう恐れがあった。
【0005】
そこで、楽曲の同じ箇所を繰り返す際に、教師や独習者が電子楽器に設けられている音色スイッチを用いて自動演奏の音色を変更することが考えられるが、教師は教習者の指使い等を見たりしなければならないし、教習者や独習者は自身の演奏に専念しているため、操作が面倒であり、しかも繰り返しのタイミングにうまくあわせて音色スイッチを操作するのが困難である。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたもので、教師や教習者、あるいは独習者の負担になることなく、簡単に音色を変更することができる音楽教習に適した電子楽器および自動演奏情報記憶装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明による電子楽器は、演奏操作子と、複数のパートからなる自動演奏データと、前記複数のパートの発音に割り当てられる音色および前記演奏操作子の操作による発音に割り当てられる音色を所定の順序で変更させるための音色シーケンスデータとがあらかじめ記憶された記憶手段と、該記憶手段から前記各パート毎の自動演奏データと前記音色シーケンスデータとを読み出す読出手段と、前記音色シーケンスデータに基づいて、前記複数のパートの発音に割り当てられる音色および前記演奏操作子の操作による発音に割り当てられる音色を、前記自動演奏データに基づいた自動演奏を繰り返す毎に順次設定する設定手段と、前記読出手段によって読み出された自動演奏データの各パートの楽音を、前記設定手段によって設定された音色で発生するとともに、前記演奏操作子の操作に応じた楽音を、前記設定手段によって設定された音色で発生する楽音発生手段とを具備することを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、電子楽器に装着され、内部に記憶された自動演奏データが読み取られる自動演奏情報記憶装置において、複数のパートからなる自動演奏データが記憶される第1の記憶エリアと、前記複数のパートのそれぞれの音色を所定の順序で変更させるための第1の音色シーケンスデータが記憶される第2の記憶エリアと、前記電子楽器の演奏操作子の音色を所定の順序で変更させるための第2の音色シーケンスデータが記憶される第3の記憶エリアとを具備することを特徴としている。
【0009】
【作用】
請求項1記載の発明による電子楽器によれば、音楽教習において、同じ楽曲を繰り返して教習、あるいは独習する際に、その繰り返しのタイミングで自動演奏の各パートおよび演奏操作子の音色が順次変更される。
【0010】
請求項2記載の発明による自動演奏情報記憶装置を、汎用の自動演奏可能で音色シーケンスデータによって音色設定可能な電子楽器に装着することにより、その電子楽器による音楽教習において、同じ楽曲を繰り返して教習、あるいは独習する際に、その繰り返しのタイミングで自動演奏の各パートおよび演奏操作子の音色が順次変更される。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は本発明の一実施例による電子楽器の構成を表すブロック図であり、この図において、CPU(中央処理装置)1は、プログラムROM2に記憶された制御プログラムに従って、ワーキングRAM3を用いて処理を行うことにより、装置各部を制御する。CPU1は、各処理をバス4を介して行う。
【0012】
ワーキングRAM3には、CPU1が各種の処理を行う際に用いる各種レジスタ、フラグやキーイベントバッファ等が確保されているとともに、自動演奏データが記憶される自動演奏データエリアが設けられている。タイマ5は、CPU1によって計時データがセットされ、計時データによって指定された時間が経過する毎に、CPU1にタイマ割込みパルスを供給する。
【0013】
また、外部記憶データ入力回路6は、複数の自動演奏データが記憶されているフロッピーディスク(FD)7から複数の自動演奏データを読み出す。ここで、図2にFD7に記憶されている自動演奏データの構成概念図を示す。この図において、トラック1にはメロディデータ、トラック2には伴奏データ、トラック3にはリズムデータ、トラック4にはトーンナンバシーケンスデータがそれぞれ割り当てられており、それぞれ曲番号順にデータが記憶されている。トーンナンバシーケンスデータは、演奏時に設定する音色に対応する番号データ(トーンナンバ)を演奏順に記憶したものである。
【0014】
曲番号1のメロディデータは、ヘッダと、イントロパターンと、ノーマルパターンと、エンディングパターンとから構成されている。ヘッダは、曲番号1のイントロパターンが開始されるアドレスであるイントロ開始アドレスMADRIと、曲番号1のノーマルパターンが開始されるアドレスであるノーマル開始アドレスMADRNと、曲番号1のエンディングパターンが開始されるアドレスであるエンディング開始アドレスMADREとからなる。
【0015】
イントロパターン、ノーマルパターンおよびエンディングパターンは、ともに同一のデータ構成であり、イントロパターンを例にとれば、キーコード、キーオン、キーオフ、ベロシティ等のデータからなるイベントと、イベントとイベントとの時間間隔であるデュレーションとから構成されている。なお、他の曲番号のメロディデータのデータ構成も、曲番号1のメロディデータのデータ構成と同様であり、さらに、伴奏データおよびリズムデータのデータ構成も、メロディデータのデータ構成と同様である。
【0016】
トーンナンバシーケンスデータは、鍵盤シーケンスデータと、メロディシーケンスデータと、伴奏シーケンスデータと、リズムシーケンスデータとから構成されている。鍵盤シーケンスデータは、後述する鍵盤9に割り当てられる音色(トーンナンバ)があらかじめ所定の順番に設定されたものである。同様に、メロディシーケンスデータ、伴奏シーケンスデータ、リズムシーケンスデータも、メロディパート、伴奏パート、リズムパートにそれぞれ割り当てられるトーンナンバがあらかじめ所定の順番に設定されたものである。
【0017】
図1において、鍵盤回路8は、複数のキーからなる鍵盤9のキーが操作されたことを検出してそのキーに対応したキー情報を出力する。操作パネル10は、図3に示すように、音色スイッチ10a,10a,10a,・・・と、自動演奏停止スイッチ10bと、自動演奏再生スイッチ10cと、インクリメントスイッチ10dと、ディクリメントスイッチ10eと、パート指定スイッチ10f1〜10f4と、曲番号表示器10gとから構成されている。
【0018】
音色スイッチ10a,10a,10a,・・・は、自動演奏の各パートおよび鍵盤9の中でパート指定スイッチ10f1〜10f4によって指定されたパートの音色を選択設定するためのものである。インクリメントスイッチ10dおよびディクリメントスイッチ10eは、所望の曲番号を選択するために、それぞれ曲番号を増加および減少させるためのものであり、これらのスイッチによって選択された曲番号が曲番号表示器10gに表示される。
【0019】
図1において、パネル操作検出回路11は、操作パネル10の各スイッチが操作されたことを検出してそれぞれのスイッチに対応した操作情報をバス4を介してCPU1に転送するとともに、バス4を介してCPU1から供給される表示データを曲番号表示器10gに表示する。
音源回路12は、図3に示された音色スイッチ10a,10a,10a,・・・の種類だけの音色の楽音データを発生する複数の発音部を有しており、CPU1によって制御されて指定された音色の発音部がディジタルの楽音データを出力し、ディジタル/アナログ変換器(D/Aコンバータ)13は、ディジタルの楽音データをアナログの楽音信号に変換する。サウンドシステム14は、アンプ、スピーカ等からなり、D/Aコンバータ13から出力された楽音信号を入力して楽音を発生する。
【0020】
このような構成において、CPU1の動作について図4〜図11のフローチャートを参照して説明する。
図1の電子楽器に電源が投入されると、CPU1は、まず、図4のメインルーチンのステップSA1の処理へ進み、装置各部の初期設定を行う。この初期設定は、音源回路12への初期の音色の設定、ワーキングRAM3の各種レジスタのクリア等である。そして、CPU1は、ステップSA2へ進む。
【0021】
ステップSA2では、初期読出処理を行う。すなわち、外部記憶データ入力回路6を駆動し、FD7の各トラック1〜3(図2参照)から曲番号1のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータのそれぞれのヘッダを読み出して、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに書き込むとともに、そのヘッダを構成するイントロ開始アドレスMADRI、ノーマル開始アドレスMADRNおよびエンディング開始アドレスMADREに基づいて、FD7の各トラック1〜3から曲番号1のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータを読み出して、それぞれイントロ、ノーマルおよびエンディングの各パターン毎にワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに書き込む。
【0022】
次に、CPU1は、FD7のトラック4(図2参照)から曲番号1の鍵盤シーケンスデータ、メロディシーケンスデータ、伴奏シーケンスデータおよびリズムシーケンスデータの最初のトーンナンバを読み出して、ワーキングRAM3に各パート毎に設けられ、各パートのトーンナンバが記憶されるトーンナンバレジスタにそれぞれ書き込むとともに、曲番号表示器10gに曲番号1である旨、すなわち、1を表示した後、ステップSA3へ進む。
【0023】
ステップSA3では、操作パネル10のいずれかのスイッチが操作された際に働くスイッチ処理を行う。なお、このスイッチ処理の詳細については、後述する。そして、このスイッチ処理が終了すると、CPU1は、ステップSA4へ進む。
ステップSA4では、FD7から自動演奏データを読み出して音源回路12に送出する読出送出処理を行う。なお、この読出送出処理の詳細については、後述する。そして、この読出送出処理が終了すると、CPU1は、ステップSA5へ進む。
ステップSA5では、鍵盤9のいずれかのキーが押鍵あるいは離鍵された際に働く鍵盤処理を行う。なお、この鍵盤処理の詳細については、後述する。そして、この鍵盤処理が終了すると、CPU1は、ステップSA3へ戻る。
【0024】
次に、スイッチ処理について図5および図6のフローチャートを参照して説明する。CPU1の処理が図4のステップSA3へ進むと、図5および図6に示すスイッチ処理ルーチンが起動される。CPU1は、まず、ステップSB1の処理へ進み、操作パネル10上のいずれかのスイッチが操作されたか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0025】
いっぽう、ステップSB1の判断結果が「YES」の場合であり、かつ操作パネル10の音色スイッチ10a,10a,10a,・・・のいずれかが操作された場合には、ステップSB2へ進む。
ステップSB2では、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、ステップSB3へ進む。
ステップSB3では、自動演奏がノーマルパターンであるか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合、すなわち、自動演奏がイントロパターン、あるいはエンディングパターンである場合には、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0026】
いっぽう、ステップSB3の判断結果が「YES」の場合、すなわち、自動演奏がノーマルパターンである場合には、ステップSB4へ進む。また、ステップSB2の判断結果が「NO」の場合、すなわち、自動演奏中でない場合にも、ステップSB4へ進む。
ステップSB4では、パート指定スイッチ10f1〜10f4のいずれかにより音色を設定するパートが指定されているか否かを判断する。この判断は、ワーキングRAM3に各パート毎に設けられ、当該パートのトーンナンバレジスタの書換を可能とする場合に「1」にセットされるトーンナンバ書換フラグが「1」にセットされているか否かを判断して行う。この判断結果が「NO」の場合には、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0027】
いっぽう、ステップSB4の判断結果が「YES」の場合、すなわち、パート指定スイッチ10f1〜10f4のいずれかにより音色を設定するパートが指定されている場合には、ステップSB5へ進む。
ステップSB5では、ワーキングRAM3の各パート毎のトーンナンバレジスタのうち、パート指定スイッチ10f1〜10f4のいずれかにより指定されたパートのトーンナンバレジスタに記憶されたトーンナンバを、今操作された音色スイッチ10a,10a,10a,・・・に対応するトーンナンバに書き換えた後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0028】
以上説明した処理により、自動演奏中に音色スイッチ10a,10a,10a,・・・のいずれかが操作された場合、その自動演奏がイントロパターン、あるいはエンディングパターンである時には、その音色、すなわち、トーンナンバの変更が考慮されず、トーンナンバはFD7のトラック4から読み出された各パートのトーンナンバに固定されるが、ノーマルパターンである時には、音色スイッチ10a,10a,10a,・・・による音色の変更の方が優先されることになる。これにより、FD7のトラック4からトーンナンバが読み出された後に音色スイッチ10a,10a,10a,・・・が操作されれば、後述する読出送出処理において、ノーマルパターンの音源回路12への送出処理の前に音色スイッチ10a,10a,10a,・・・によって変更されたトーンナンバが設定される。
【0029】
また、ステップSB1の処理において、操作パネル10のインクリメントスイッチ10dが操作されたと判断した場合には、ステップSB6へ進む。
ステップSB6では、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0030】
いっぽう、ステップSB6の判断結果が「NO」の場合、すなわち、自動演奏中でない場合には、ステップSB7へ進む。
ステップSB7では、ワーキングRAM3の、曲番号が記憶された曲番号レジスタの値に1を加算した後、ステップSB8へ進む。
ステップSB8では、外部記憶データ入力回路6を駆動し、FD7の各トラック1〜3から、変更された曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータのそれぞれのヘッダを読み出し、そのヘッダを構成するイントロ開始アドレスMADRI、ノーマル開始アドレスMADRNおよびエンディング開始アドレスMADREに基づいて、FD7の各トラック1〜3から、変更された曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータを読み出して、それぞれイントロ、ノーマルおよびエンディングの各パターン毎にワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに書き込む。
【0031】
次に、CPU1は、FD7のトラック4(図2参照)から、変更された曲番号の鍵盤シーケンスデータ、メロディシーケンスデータ、伴奏シーケンスデータおよびリズムシーケンスデータの最初のトーンナンバを読み出して、ワーキングRAM3の各パートのトーンナンバレジスタにそれぞれ書き込むとともに、曲番号表示器10gに、変更された曲番号を表示した後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0032】
また、ステップSB1の処理において、操作パネル10のディクリメントスイッチ10eが操作されたと判断した場合には、ステップSB9へ進む。
ステップSB9では、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0033】
いっぽう、ステップSB9の判断結果が「NO」の場合、すなわち、自動演奏中でない場合には、ステップSB10へ進む。
ステップSB10では、ワーキングRAM3の曲番号レジスタの値から1を減算した後、ステップSB11へ進む。
ステップSB11では、外部記憶データ入力回路6を駆動し、FD7の各トラック1〜3から、変更された曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータのそれぞれのヘッダを読み出し、そのヘッダを構成するイントロ開始アドレスMADRI、ノーマル開始アドレスMADRNおよびエンディング開始アドレスMADREに基づいて、FD7の各トラック1〜3から、変更された曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータを読み出して、それぞれイントロ、ノーマルおよびエンディングの各パターン毎にワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに書き込む。
【0034】
次に、CPU1は、FD7のトラック4(図2参照)から、変更された曲番号の鍵盤シーケンスデータ、メロディシーケンスデータ、伴奏シーケンスデータおよびリズムシーケンスデータの最初のトーンナンバを読み出して、ワーキングRAM3の各パートのトーンナンバレジスタにそれぞれ書き込むとともに、曲番号表示器10gに、変更された曲番号を表示した後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0035】
また、ステップSB1の処理において、操作パネル10の自動演奏再生スイッチ10cが操作されたと判断した場合には、図6(a)のステップSB12へ進む。
ステップSB12では、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0036】
いっぽう、ステップSB12の判断結果が「NO」の場合、すなわち、自動演奏中でない場合には、ステップSB13へ進む。
ステップSB13では、外部記憶データ入力回路6を駆動し、FD7の各トラック1〜3から、ワーキングRAM3の曲番号レジスタに記憶されている値に対応した曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータのそれぞれのヘッダを読み出し、そのヘッダを構成するイントロ開始アドレスMADRI、ノーマル開始アドレスMADRNおよびエンディング開始アドレスMADREに基づいて、FD7の各トラック1〜3から、曲番号レジスタに記憶されている値に対応した曲番号のメロディデータ、伴奏データおよびリズムデータを読み出して、それぞれイントロ、ノーマルおよびエンディングの各パターン毎にワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに書き込む。
【0037】
次に、CPU1は、FD7のトラック4(図2参照)から、曲番号レジスタに記憶されている値に対応した曲番号の鍵盤シーケンスデータ、メロディシーケンスデータ、伴奏シーケンスデータおよびリズムシーケンスデータの最初のトーンナンバを読み出して、ワーキングRAM3の各パートのトーンナンバレジスタにそれぞれ書き込んだ後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0038】
また、ステップSB1の処理において、操作パネル10の自動演奏停止スイッチ10bが操作されたと判断した場合には、図6(b)のステップSB14へ進む。
ステップSB14では、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0039】
いっぽう、ステップSB14の判断結果が「YES」の場合、すなわち、自動演奏中である場合には、ステップSB15へ進む。
ステップSB15では、たとえば、音源回路12に楽音データ生成停止指令を転送する自動演奏停止処理を行った後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA2へ戻る。
【0040】
また、ステップSB1の処理において、操作パネル10のパート指定スイッチ10f1〜10f4のいずれかが操作されたと判断した場合には、図6(c)のステップSB16へ進む。
ステップSB16では、操作されたパート指定スイッチ10f1〜10f4により指定されたパートのトーンナンバが記憶されたトーンナンバレジスタを書換可能な状態とする。すなわち、上述したワーキングRAM3のトーンナンバ書換フラグを「1」にセットする。そして、CPU1は、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA4へ進む。
【0041】
なお、上述した処理においては、自動演奏中であるか否かを判断していないが、これは、自動演奏ではなく、鍵盤を用いて通常の演奏を行う際に、パート指定スイッチ10f4を操作した後、音色スイッチ10a,10a,10a,・・・を操作することにより、鍵盤の音色を変更できるようにするためである。なお、自動演奏停止中に、他のパート指定スイッチ10f1〜10f3を操作した後、音色スイッチ10a,10a,10a,・・・を操作して音色を指定しても、自動演奏されていないので、実質的には何も機能しない。また、このような設定状態で、自動演奏再生再生スイッチ10cが操作されて自動演奏が開始されれば、図6(a)に示すステップSB13において、FD7のトラック4(図2参照)からトーンナンバが読み出されて設定されるので、それまでの設定は意味がなくなる。
【0042】
次に、読出送出処理について図7〜図9のフローチャートを参照して説明する。CPU1の処理が図4のステップSA4へ進むと、図7〜図9に示す読出送出処理ルーチンが起動される。CPU1は、まず、ステップSC1の処理へ進み、自動演奏中であるか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
【0043】
いっぽう、ステップSC1の判断結果が「YES」の場合、すなわち、自動演奏中である場合には、ステップSC2へ進む。
ステップSC2では、イントロパターンの演奏が終了したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、ステップSC3へ進む。
ステップSC3では、各パートのイントロパターンを、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに記憶されたヘッダを構成するイントロ開始アドレスMADRIに基づいて、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアから読み出し、音源回路12の指定されたトーンナンバに対応する発音部に送出した後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
【0044】
いっぽう、ステップSC2の判断結果が「YES」の場合、すなわち、イントロパターンの演奏が終了した場合には、ステップSC4へ進む。
ステップSC4では、FD7のトラック4に記憶された当該曲番号のトーンナンバシーケンスデータを構成する全てのトーンナンバの読み出しが終了したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、ステップSC5へ進む。
ステップSC5では、各パート毎のトーンナンバレジスタに記憶されたトーンナンバに変更があるか否かを判断する。この判断結果が「YES」の場合には、ステップSC6へ進む。
【0045】
ステップSC6では、トーンナンバが変更されたパートの演奏の音色をその新しいトーンナンバの音色に設定した後、図9のステップSC11へ進む。
いっぽう、ステップSC5の判断結果が「NO」の場合、すなわち、トーンナンバに変更がない場合にも、図9のステップSC11へ進む。
また、ステップSC4の判断結果が「YES」の場合、すなわち、トーンナンバの読み出しが終了した場合には、図8のステップSC7へ進む。
【0046】
ステップSC7では、各パートのエンディングパターンを、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに記憶されたヘッダを構成するエンディング開始アドレスMADREに基づいて、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアから読み出し、音源回路12の指定されたトーンナンバに対応する発音部に送出した後、ステップSC8へ進む。
ステップSC8では、エンディングパターンの演奏が終了したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
【0047】
いっぽう、ステップSC8の判断結果が「YES」の場合、すなわち、エンディングパターンの演奏が終了した場合には、ステップSC9へ進む。
ステップSC9では、たとえば、音源回路12に楽音データ生成停止指令を転送する自動演奏停止処理を行った後、ステップSC10へ進む。
ステップSC10では、ワーキングRAM3の各種レジスタをクリアした後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
【0048】
また、図9のステップSC11では、各パートのノーマルパターンを、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアに記憶されたヘッダを構成するノーマル開始アドレスMADRNに基づいて、ワーキングRAM3の自動演奏データエリアの所定のエリアから読み出し、音源回路12の指定されたトーンナンバに対応する発音部に送出した後、ステップSC12へ進む。
【0049】
ステップSC12では、ノーマルパターンの演奏が終了したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
いっぽう、ステップSC12の判断結果が「YES」の場合、すなわち、ノーマルパターンの演奏が終了した場合には、ステップSC13へ進む。
ステップSC13では、FD7のトラック4(図2参照)から次のトーンナンバを読み出した後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA5へ進む。
【0050】
次に、鍵盤処理について図10のフローチャートを参照して説明する。CPU1の処理が図4のステップSA5へ進むと、図10に示す鍵盤処理ルーチンが起動される。CPU1は、まず、ステップSD1の処理へ進み、鍵盤の操作があるか否か、すなわち、操作者により鍵盤9のいずれかのキーが押鍵あるいは離鍵され、鍵盤検出回路8がそのイベントを検出したか否かを判断する。この判断結果が「NO」の場合には、何もせず、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA3へ戻る。
いっぽう、ステップSD1の判断結果が「YES」の場合、すなわち、鍵盤の操作があった場合には、ステップSD2へ進む。
ステップSD2では、操作された鍵に応答して、音源回路12の指定されたトーンナンバに対応する発音部に送出した後、図4のメインルーチンへ戻り、ステップSA3へ戻る。
【0051】
次に、一定周期で行われる割込処理について図11のフローチャートを参照して説明する。一定周期経過すると、図11の割込処理ルーチンが起動される。CPU1は、ステップSE1の処理へ進み、音源回路12を制御して、音源回路12に送出したデータを用いて、そのデュレーションに基づいて、発音処理させた後、メインルーチンへ戻る。
これにより、教習者や独習者は、同一の曲番号の楽曲が繰り返される度に音色が自動的に変更されるので、その自動演奏に合わせて各パートの演奏や歌唱を繰り返し練習する。
なお、FD7のトラック4に記憶されたトーンナンバシーケンスデータを構成するトーンナンバがなくなると、自動演奏は終了する。
【0052】
以上説明したように、上述した一実施例によれば、同一の曲番号の楽曲を繰り返し教習、あるいは独習する場合には、その繰り返しの前に次の音色が自動的に設定されるので、教師、教習者、あるいは独習者は何等操作する必要がない。
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0053】
たとえば、上述した一実施例においては、本発明を鍵盤楽器タイプの電子楽器に適用した例を示したが、これに限定されず、他の楽器のタイプ、たとえば、弦楽器タイプの電子楽器に適用してもよい。
また、上述した一実施例においては、自動演奏データおよびトーンナンバシーケンスデータがあらかじめ記憶されたFD7を用いる例を示したが、これに限定されず、教師が自身の演奏を模範演奏としてFD7に記憶した後、所定の操作でトーンナンバシーケンスデータを作成してFD7に記憶するようにしてもよい。
【0054】
さらに、上述した一実施例においては、メロディパート、伴奏パート、リズムパートすべての自動演奏を行う例を示したが、これに限定されず、これらのいずれかのパートを鍵盤で練習する場合に、そのパートだけ自動演奏されないように、たとえば、各パート毎に当該パートの自動演奏のみの削除を指示するスイッチを設けてもよい。これにより、メロディだけでなく、伴奏やリズムの教習や独習が可能となる。なお、リズムの場合には、鍵盤の特定の鍵のみを発音可能としたり、隣接する複数の鍵を同一音色で発音可能とし、指1本や握り拳で操作するようにしてもよい。
【0055】
また、メロディパートの楽器演奏の練習や歌唱の練習については、上記スイッチを設けずに、FD7に、自動演奏データとして1つの楽曲毎に前半部分はメロディデータや模範歌唱のデータが付与されているが、後半部分にはそれらが付与されていないものを記憶するようにしてもよい。このようにすれば、前半部分の自動演奏や模範歌唱で演奏や歌唱の感覚を養い、後半部分で練習することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、楽曲のある箇所が繰り返される度に音色が自動的に変更されるので、教師や教習者、あるいは独習者の負担にならない。また、教習者や独習者の練習に対する興味を維持し易い。したがって、練習効果が向上する。特に、単調になりがちな独習でも、意欲を失わずに続けることができる。
また、請求項2記載の発明によれば、汎用の自動演奏可能で音色シーケンスデータによって音色設定可能な電子楽器に自動演奏情報記憶装置を装着することにより、請求項1記載の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による電子楽器の構成を表すブロック図である。
【図2】自動演奏データの構成の一例を示す概念図である。
【図3】操作パネル10の構成の一例を示す概略図である。
【図4】CPU1のメインルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図5】CPU1のスイッチ処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図6】CPU1のスイッチ処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図7】CPU1の読出送出処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図8】CPU1の読出送出処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図9】CPU1の読出送出処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図10】CPU1の鍵盤処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【図11】CPU1の割込処理ルーチンの動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1……CPU、2……プログラムROM、3……ワーキングRAM、4……バス、5……タイマ、6……外部記憶データ入力回路、7……FD、8……鍵盤回路、9……鍵盤、10……操作パネル、10a……音色スイッチ、10b……自動演奏停止スイッチ、10c……自動演奏再生スイッチ、10d……インクリメントスイッチ、10e……ディクリメントスイッチ、10f1〜10f4……パート指定スイッチ、10g……曲番号表示器、11……パネル操作検出回路、12……音源回路、13……D/Aコンバータ、14……サウンドシステム。
Claims (2)
- 演奏操作子と、
複数のパートからなる自動演奏データと、前記複数のパートの発音に割り当てられる音色および前記演奏操作子の操作による発音に割り当てられる音色を所定の順序で変更させるための音色シーケンスデータとがあらかじめ記憶された記憶手段と、
該記憶手段から前記各パート毎の自動演奏データと前記音色シーケンスデータとを読み出す読出手段と、
前記音色シーケンスデータに基づいて、前記複数のパートの発音に割り当てられる音色および前記演奏操作子の操作による発音に割り当てられる音色を、前記自動演奏データに基づいた自動演奏を繰り返す毎に順次設定する設定手段と、
前記読出手段によって読み出された自動演奏データの各パートの楽音を、前記設定手段によって設定された音色で発生するとともに、前記演奏操作子の操作に応じた楽音を、前記設定手段によって設定された音色で発生する楽音発生手段と、
を具備することを特徴とする電子楽器。 - 電子楽器に装着され、内部に記憶された自動演奏データが読み取られる自動演奏情報記憶装置において、
複数のパートからなる自動演奏データが記憶される第1の記憶エリアと、
前記複数のパートのそれぞれの音色を所定の順序で変更させるための第1の音色シーケンスデータが記憶される第2の記憶エリアと、
前記電子楽器の演奏操作子の音色を所定の順序で変更させるための第2の音色シーケンスデータが記憶される第3の記憶エリアと
を具備することを特徴とする自動演奏情報記憶装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13345594A JP3572666B2 (ja) | 1994-06-15 | 1994-06-15 | 電子楽器および自動演奏情報記憶装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13345594A JP3572666B2 (ja) | 1994-06-15 | 1994-06-15 | 電子楽器および自動演奏情報記憶装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH086552A JPH086552A (ja) | 1996-01-12 |
JP3572666B2 true JP3572666B2 (ja) | 2004-10-06 |
Family
ID=15105188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13345594A Expired - Lifetime JP3572666B2 (ja) | 1994-06-15 | 1994-06-15 | 電子楽器および自動演奏情報記憶装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3572666B2 (ja) |
-
1994
- 1994-06-15 JP JP13345594A patent/JP3572666B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH086552A (ja) | 1996-01-12 |
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