JP3571469B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、近接撮影時に手動操作により合焦して撮影を行うカメラに係り、特に、光学系により形成される被写体像を撮像素子で画像データに変換して記憶媒体に電子的に記録する電子カメラに好適なカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学系を介して形成される光学像からなる被写体像を、撮像素子、例えば固体撮像素子で電子的な画像データに変換し、該画像データを、IC(集積回路)メモリカード、磁気ディスクまたは磁気テープ等の記憶媒体に電子的に記録する電子カメラが急速に普及しつつある。
このような電子カメラにおいて、標準撮影時における自動合焦機能、すなわちオートフォーカス(あるいはオートフォーカシング)機能、を持たせたカメラは多い。電子カメラにおいては、銀塩フィルムを用いた在来のカメラ、すなわち銀塩カメラ、に比して焦点距離の短いレンズを用いることが多く、より短い近接撮影距離での撮影が可能である。
【0003】
ところで、近接撮影距離においては、被写界深度も浅くなるばかりか、被写体光量も低下しがちであり、被写体距離の測定、すなわち測距にも種々の困難が生じる。このため、近接撮影距離においては、通常の自動合焦によるオートフォーカス機能では、充分に対応することが困難である。
そこで、この種の電子カメラにおいては、近接撮影距離の撮影、いわゆるマクロ撮影に際しては、オートフォーカス機能を使用せず、手動操作により被写体に合焦させるマニュアルフォーカスとしているものが多い。
【0004】
オートフォーカス機構においては、測距情報に基づいてレンズ系の一部、レンズ系全体、または固体撮像素子を、モータ等のアクチュエータにより合焦位置まで移動させるのが一般的である。そこで、少なくとも標準撮影用にオートフォーカス機構を採用している場合は、マクロ撮影時には、マニュアルフォーカスとはいっても、前述のようなモータ等を、スイッチボタン等の手動操作によって適宜駆動制御して、フォーカシングを行っているものがほとんどである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電子カメラにおいては、マクロ撮影時に、マニュアルフォーカスとはいっても、レンズ系の一部、レンズ系全体、または固体撮像素子を移動させるモータ等を、スイッチボタン等の手動操作によって適宜駆動制御して、フォーカシングを行っているものが多かった。
ところが、フォーカシングに要する時間の制約および手動操作部と操作量検出部とのギヤ減速比の制限等から、1パルスまたは1分解能に対応するレンズ移動量は、さほど小さくとることができない。また、スイッチボタン等のストロークによる応答遅れがあるために、慎重に手動操作しても、合焦ポイントをオーバしてしまったり、合焦ポイントの手前で止まってしまったりすることが生じ易い。
【0006】
このため、正確に焦点を合わせることが困難であり、フォーカシングに長時間を要するために、シャッターチャンスを逸することもあった。
ちなみに、特開平4−281416号公報には、上述のように、マクロ撮影時にフォーカシング用のモータを、手動操作による操作部の操作量に応じて駆動制御して、フォーカシングを行うことが示されている。このように、手動操作に対応してモータを制御してレンズを駆動する場合、手動操作により正確に合焦位置でモータを停止させ、レンズを停止させることが困難であることから、この特開平4−281416号公報のカメラでは、オートフォーカス用の合焦検出機能を利用して、手動操作時には、合焦検出時に強制的にモータを停止させて合焦状態を維持するようにしている。
【0007】
しかしながら、特開平4−281416号公報に示された方式でも、撮影者の意図する合焦ポイントに正確に反応させることは困難であった。
また、上述したモータ等を介してのマニュアルフォーカスでは、フォーカス中には、常時モータ等への給電を行っていなければならないので、電力の消費があり、合焦動作に時間を掛ければ掛けるほど、電子カメラとしての電池寿命を縮めてしまうという重大な欠陥があった。
【0008】
また、固定焦点タイプのレンズを用いた電子カメラにおいては、マクロ撮影時には、操作部のマクロ領域の代表的なポイントに対応する個所にクリック等を設け、光学系の一部、光学系全体または固体撮像素子を、当該個所に移動させ停止させて対応させるようにしていた。しかし、このようにした場合、マクロ撮影時の被写界深度の深さの減少等に起因して、マクロ領域を充分カバーすることができず、結果として最近接撮影距離が長くなるなどの欠点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、通常撮影用にオートフォーカスシステムおよび固定焦点システムのいずれを用いていても、マクロ撮影時においては、撮影者の意図する通りに、合焦操作を迅速に且つ確実に行うことができ、しかも無駄な電力の消費もなく、最近接撮影距離を短くすることも可能なカメラを提供することを目的としている。
また、マクロ撮影時には、例えばストロボの発光を禁止するなどの処置をとることが必要であるので、カメラ側にマクロ撮影であることおよび通常撮影に戻ったことを正確に認識させる必要がある。
【0010】
そこで、本発明の他の目的は、マクロ撮影と通常撮影との切換えを、簡単な構成で確実にカメラ側に認識させることにある。
さらに、本発明のその他の目的は、新たな部材等を設けることなく、切換えに応じた信号の入力のためのスイッチおよびセンサー等を、操作部の動作に応じて確実に作動させることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るカメラは、上述した目的を達成するために、
標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系と、
この光学系により導かれる被写体像を記録する記録媒体と、
露光動作および撮影動作を制御する制御手段と、
近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを、撮影者の直接手動操作によって前記光学系の光軸上で移動させる距離調整手段とを具備し、
前記距離調整手段は、ダイヤルリングを含み、前記ダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより、近接撮影であることを示す信号を出力すると共に、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを近接撮影領域に移動し、且つ焦点調整を行うことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載した本発明に係るカメラは、上述した目的を達成するために、 標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系と、
この光学系により導かれる被写体像を電子的な画像データとして検出する撮像素子と、
この撮像素子により得られる前記画像データを記憶する記憶手段と、
前記撮像素子および前記記憶手段の制御を含む露光動作および撮影動作を制御する制御手段と、
前記記憶手段に記憶した内容を出力する出力手段と、
この出力手段により出力された画像データを出力表示する表示手段と、
近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮像素子の少なくともいずれかを、撮影者の直接手動操作によって前記光学系の光軸上で移動させる距離調整手段とを具備し、
前記距離調整手段は、ダイヤルリングを含み、前記ダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより、近接撮影であることを示す信号を出力すると共に、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮影素子の少なくともいずれかを近接撮影領域に移動し、且つ焦点調整を行うことを特徴としている。
【0013】
前記距離調整手段は、近接撮影時に手動操作により作動する作動部の初期状態からの変位を検出して、近接撮影であることを前記制御手段に認識させる変位検出手段を含んでいてもよい。
手動操作後に前記距離調整手段の前記作動部を初期状態に戻したことを検出して、前記制御手段における前記変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせるリセット手段をさらに含んでいてもよい。
電源のオンおよびオフの少なくとも一方を検出して、前記制御手段における前記変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせるリセット手段をさらに含んでいてもよい。
【0014】
前記光学系の前面側において開閉し、閉じたときに該光学系を保護するバリアと、前記バリアの開閉に連動し、該バリアを閉じたときに、前記制御手段における前記変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせ、場前記バリアを開いたときに前記変位検出手段による近接撮影の認識を有効とするリセット手段とをさらに含んでいてもよい。
撮影動作完了毎に、前記制御手段における前記変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせ、次回撮影時には前記変位検出手段による近接撮影の認識を有効とするリセット手段をさらに含んでいてもよい。
【0015】
前記距離調整手段は、操作部を押圧しながら移動させたときに、前記作動部の初期状態からの変位に基づき近接撮影であることを前記制御手段に認識させ、前記操作部の押圧を解除したときに、前記制御手段における前記変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせる操作部をさらに含んでいてもよい。
前記距離調整手段は、近接撮影時の手動操作による前記作動部の初期状態からの変位の検出のため、前記作動部の作動開始初期に実際の距離調整を行わない遊び区間を設定していてもよい。
【0016】
【作用】
すなわち、本発明の請求項1によるカメラは、標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系により導かれる被写体像を、制御手段により制御される露光動作および撮影動作によって記録媒体に記録するとともに、近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを、撮影者により直接手動操作される距離調整手段によって前記光学系を光軸上で移動させる。
【0017】
本発明の請求項2によるカメラは、標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系により導かれる被写体像を、撮像素子により電子的な画像データに変換して前記画像データを記憶手段に記憶させ、前記撮像素子および前記記憶手段の制御を含む露光動作および撮影動作の制御を制御手段により行うとともに、記憶手段に記憶した内容を出力手段により出力し、これを表示手段により画像表示させる。近接撮影領域の撮影に際しては、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮像素子の少なくともいずれかを、撮影者により直接手動操作される距離調整手段によって前記光学系の光軸上で移動させる。
【0018】
このような構成により、近距離撮影領域のマクロ撮影においては、前記距離調整手段により撮影者が直接手動操作を行うことにより、モータ等を介することなく、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかが移動される。したがって、マクロ撮影時において、撮影者の意図する通りに、合焦操作を迅速に且つ確実に行うことができ、しかも無駄な電力の消費もなく、最近接撮影距離を短くすることも可能となる。
また、請求項1および2のいずれにおいても、距離調整手段を構成するダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより近距離であることを示す出力するので、この信号を認識して例えばストロボの発光を禁止制御したり、場合によっては、液晶モニタ等の表示手段の画面上に、近接撮影状態であることを示す表示の制御に利用することができ、延いては、近接撮影における失敗を極力、少なくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図示の発明の実施の形態に基づき、本発明のカメラを詳細に説明する。図1〜図3は、本発明に係るカメラの第1の実施の形態の要部の機械的な構成を示している。図1は、カメラのほぼ全体の様子を、図2および図3は、部分的な詳細を、それぞれ示しており、図1は側面断面図、図2は部分正面図、そして図3は部分上面図である。
【0020】
図1〜図3に示すカメラは、電子カメラであり、後カバー1、前カバー2、レンズ鏡胴ブロック3、引っ張りばね4、カムフォロアピン5、カムリング6、ダイヤルリング7、止め輪8、光学センサー9、固体撮像素子10、光学ローパスフィルター11、フレキシブル回路基板12および液晶モニター13を具備している。
【0021】
図1は、カメラのほぼ全体の様子を示す側面断面図である。図2は、レンズ鏡胴ブロック3、カムリング6およびダイヤルリング7の相互の関係を示す部分正面図である。そして、図3は、ダイヤルリング7と光学センサー9との相互関係を示す部分上面図である。
後カバー1は、カメラの背面側を覆うシェル状の部材であり、レンズ鏡胴ブロック3をガイドする2本のポール1aおよび1bを、光軸Aに平行に且つ被写体側に向けて植設している。
【0022】
前カバー2は、カメラの前面を覆うシェル状の部材であり、後カバー1のポール1aおよび1bの先端を受ける2個の台座2aおよび2bを有している。台座2aおよび2bには、ポール1aおよび1bに嵌合する凹部すなわち貫通していない穴部が形成されている。この前カバー2は、図示していないねじ締結部により後カバー1に締結されて、組み付け固定されている。
【0023】
レンズ鏡胴ブロック3は、撮影光学系である撮影レンズ系を保持収容する鏡胴であり、図1における上方および下方に、それぞれつば部3aおよび3bが張り出して設けられ、さらにこれらつば部3aおよび3bには、図2に示すようにそれぞれ貫通する長孔3a′および孔3b′が設けられている。また、図示下方のつば部3bの中央近傍には、ねじ孔3c(雌ねじ)が設けられている。レンズ鏡胴ブロック3は、つば部3aおよび3bに、後カバー1のポール1aおよび1bがそれぞれ長孔3a′および孔3b′に嵌挿されており、ポール1aおよび1bによりガイドされて、光軸Aに沿う方向に移動させられることにより、被写体に対する焦点調節を行う。
【0024】
この実施の形態では、通常撮影時には、撮影レンズ系として、固定焦点のレンズ系を用いるので、初期状態においては、レンズ鏡胴ブロック3は、最も後、つまり固体撮像素子10側に偏倚して保持されている。
引っ張りばね4は、後カバー1とレンズ鏡胴ブロック3との間に張架され、レンズ鏡胴ブロック3を、光軸Aに沿って反被写体側つまり被写体から遠ざかる方向に付勢している。
【0025】
カムフォロアピン5は、被写体側に対応する頭部には、組み付け調整時のピント調整用のすり割り溝が形成され、反被写体側に対応する先端部が、カムリング6に当接して摺動するために半球状に形成され、そして前記頭部から中央近傍までの中間部には、ねじ部(雄ねじ)が形成されている。このカムフォロアピン5は、前記ねじ部により、レンズ鏡胴ブロック3のつば部3bのねじ孔3cにねじ嵌合される。
【0026】
カムリング6は、中央に貫通する孔6aを有し、この孔6aに、後カバー1のポール1bが挿通されて、回転自在に支持されている。さらに、カムリング6は、表面の外周部近傍にカムフォロアピン5が当接されるカム部6bを有し、且つ周縁部にダイヤルリング7に噛合するかさギヤ部6cを有している。
ダイヤルリング7は、中央に貫通する孔7aを有し、この孔7aに、前カバー2に植設された軸2cが嵌挿されて、回転自在に支持されている。ダイヤルリング7は、軸2cの上端部の外周に形成された係合溝(図示していない)に係止されるE型止め輪等の止め輪8により、軸2cから図1の上方に脱落することがないようになっている。
【0027】
また、ダイヤルリング7は、周縁部にカムリング6のかさギヤ部6cに噛合するかさギヤ部7bを有し、さらに外周面には、撮影者が指などで回転させる際に、滑りにくくするためのローレット部7cが形成されている。このダイヤルリング7は、撮影者が操作し易いようにするために、図6に示すように、そのローレット部7cが形成された外周部の一部を前カバー2の前面パネル部に形成された操作窓から露出し、外部に適量突出している。
さらに、ダイヤルリング7には、外周面から外方に突出する突起部7dおよび7eが設けられており、突起部7dは、光学センサー9の光路に出入りして、該光路を開閉し、突起部7eは、前カバー2に立設されたストッパー2dに係合し得るようになっている。
【0028】
図3に示すように、初期状態では、ダイヤルリング7は、前カバー2に立設されたストッパ2dに、突起部7eが係合して、時計方向の回転を阻止されており、反時計方向の回転のみ許されている。また、図3に示す、初期状態では、ダイヤルリング7の突起部7dは、光学センサー9の検出光路内に位置し、該検出光路を遮断した状態となっている。この状態では、光学センサー9の検出信号は、通常撮影であることを示している。そして、図3に破線で示すように、ダイヤルリング7の突起部7dが、光学センサー9からの検出光路から退避する7d′の位置に達するまで回転すると、光学センサー9の検出光路が開き、光学センサー9から出力される検出信号が切り替わり、近接撮影すなわちマクロ撮影であることを示すようになっている。
【0029】
なお、光学センサー9としては、この実施の形態では、光路を突起部7dによって開閉される透過型のフォトインタラプタを使用しているが、反射型のフォトリフレクタとしてもよい。さらに、光学センサー9に代えて、リーフスイッチ等のメカニカルスイッチを用いることもできる。
固体撮像素子10および該固体撮像素子10の前面を覆うように配置される光学ローパスフィルター11は、後カバー1の台座部(図示していない)に固定されている。固体撮像素子10は、例えばCCD(電荷結合素子)等を用いた撮像素子であり、光学ローパスフィルター11は、レンズ鏡胴ブロック3のレンズ系により導かれた光のうちの高周波成分を吸収遮断して、低周波成分のみを固体撮像素子10に入射させる働らきをする。
【0030】
フレキシブル回路基板12は、固体撮像素子10を後述する記憶部および制御部に配線接続する。
液晶モニター13は、後カバー1に組み込まれており、カメラのファインダを兼ねている。この液晶モニター13は、後述する出力部に配線接続されている。
図4に、この実施の形態におけるカメラ全体の電気的な制御に係る電気系統の構成の概要を説明するためのブロック図を示す。
【0031】
図4に示すように、カメラの電気系統は、光学センサー9、固体撮像素子10および表示手段としての液晶モニター13に加えて、制御手段としての制御部21、記憶手段としての記憶部22および出力手段としての出力部23を具備している。
先に述べたように、光学センサー9は、ダイヤルリング7の操作によるレンズ鏡胴ブロック3の動作に連動し、通常撮影モードであるか、マクロ撮影モードであるかを示す検出信号を出力する。固体撮像素子10は、レンズ鏡胴ブロック3の撮影レンズを介して得られる被写体像を電気信号による画像データとして出力する。
【0032】
制御部21は、露光制御、ストロボ発光制御等を含む電子カメラ全体の動作を制御する。光学センサー9および固体撮像素子10もこの制御部21により制御される。記憶部22は、制御部21により制御されて、被写体像の画像データを所定の記憶媒体に記憶させる。記憶媒体としては、ICメモリカード、磁気ディスク等が用いられる。この記憶部22は、通常の場合、半導体メモリ等のメモリを有しており、画像データを記憶媒体に記憶させる前に一旦記憶する。
出力部23は、液晶モニター13を制御して、記憶部22にて記憶されている画像データを液晶モニター13に表示させる。画像データを、コンピュータ等にて利用するために外部に出力する際には、この出力部23から出力される。
【0033】
次に、上述のように構成した電子カメラの動作を主としてマクロ撮影時について説明する。
まず、撮影者がカメラの電源をオンとすると、液晶モニター13に被写体像が表示され、この液晶モニター13によりモニターリングすることができる。
そして、マクロ領域の被写体にカメラを向けると被写体像が合焦していないため、ダイヤルリング7を図3における反時計方向に回して、ピント調整を行う。
【0034】
ダイヤルリング7が反時計方向に回動されると、突起部7dが光学センサー9の光路から退避するから、検出信号がマクロ撮影モードを示す信号に切り替わる。この光学センサー9の検出信号により、カメラの制御部21がマクロ撮影モードであることを認識して、ストロボの発光を禁止させ、また、場合によっては液晶モニター13の画面上にマクロモードであることを示す“マクロモードですよ”のような表示をさせてもよい。
そして、図示していないシャッタボタンを押下すると、固体撮像素子10によって測光された測光値に基づき、適正な電子シャッタ秒時が選択され、記憶部22により画像が記憶される。
【0035】
また、続いてマクロ撮影を行う場合は、そのままの設定、つまり、ダイヤルリング7を初期位置に戻さずに、再度ピント調整を行えばよい。一方、通常撮影モードに移る場合には、ダイヤルリング7を図3の実線で示される初期位置に戻すことにより、光学センサー9による検出信号がリセットされるから、ストロボの発光禁止の解除などの処置が取られ、通常撮影モードでの撮影を行うことができる。
上述したカメラでは、合焦のための距離調整部をモータ等のアクチュエータを介さずに撮影者が直接作動させるので、スイッチボタンのストローク等による応答遅れに起因する合焦ポイントヘの調整操作の不具合がなく、合焦を迅速、確実に行うことができる。また、フォーカス用アクチュエータなどの電力消費がないのでカメラの電池寿命を延ばすことが可能となる。
【0036】
さらに、撮影者がマクロ領域の被写体像を液晶モニター13などで確認しながらダイヤルリング7を操作するので、マクロ領域の被写体であれば、レンズの被写界深度上、焦点合わせに際して必ずダイヤルが回転操作されることとなる。したがって、自動合焦方式を用いた場合に比し、確実にマクロ撮影の検出を行うことができる。
さらに、マクロ撮影領域から通常撮影領域に移行する場合、ダイヤルを初期位置に戻せば、撮影モードの検出信号はリセットされるので、簡単な機構でリセット機能としての構成が可能であり、また撮影者が自信の手でダイヤルリング7を戻すことより、通常撮影モードへの移行をシステムに確実に認識させることができる。
【0037】
図5は、本発明に係るカメラの第2の実施の形態の要部の機械的な構成を示している。
図5に示す第2の実施の形態においては、図1〜図4の場合とは、マクロ撮影モードのリセットの方式を異ならせている。
図5において、光学センサー9は、図3の場合と全く同様であり、ダイヤルリング7Aは、図3の場合と同様のかさギヤ部7bおよび突起部7d等を有し、突起部7e′は、図3の場合とは若干異なる位置に突出しており、さらに外周部の他の位置に係止部7fが突設されている。突起部7e′は、ストッパ2d′に係合して、回転範囲が規制されている。図5には、さらに引っ張りばね14、摩擦車15、連結レバー16、引っ張りばね17およびソレノイドプランジャ18が設けられている。
【0038】
引っ張りばね14は、一端がダイヤルリング7Aの係止部7fに係止されて、ダイヤルリング7Aを図示時計方向に付勢する。
摩擦車15は、ダイヤルリング7Aを引っ張りばね14のばね力に抗してダイヤルリング7Aの回転位置を保持させるために設けられている。摩擦車15は、連結レバー16の一端に半カシメ状態で軸支され、引っ張りばね14により回転付勢力よりも充分に大きな、所定値以上のトルクでのみ回転が許容される。連結レバー16の他端には、ボス16aが突設されており、連結レバー16は、中央部において前カバー等に適宜枢支され、回動自在となっている。
【0039】
引っ張りばね17は、連結レバー16を図示時計方向に付勢して摩擦車をダイヤルリング7Aに押しつけている。
ソレノイドプランジャ18は、可動鉄芯18aを有し、該可動鉄芯18aの先端には、連結レバー16のボス16aに係合する顎部が形成されている。ソレノイドプランジャ18は、通電されると可動鉄芯18aが図示右方に引き込まれ、先端の前記頚部で、連結レバー16のボス16aを図示右方向に押動させて、摩擦車15をダイヤルリング7Aから離反させる。
【0040】
このような構成により、カメラの電源のオン時またはオフ時に、ソレノイドプランジャ18に通電するように設定しておけば、カメラの電源のオンまたはオフ時に光学センサー9の検出信号をリセットすることが可能である。すなわち、マクロ撮影時に適宜回転操作されるダイヤルリング7Aは、摩擦車15により回転位置が保持される。そして、電源のオン/オフ時には、ソレノイドプランジャ18の通電により、摩擦車15がダイヤルリング7Aから離れるから、引っ張りばね14により、ダイヤルリング7Aは初期位置へ復帰され、マクロ撮影の検出信号がリセットされる。
【0041】
また、同様の構成により、撮影時のシャッタボタンの操作に連動させ、レリーズ後、画像取り込みに要する時間が完了した時点で、ソレノイドプランジャ18に通電するように設定して、撮影後その都度リセットするようにしてもよい。
したがって、マクロ撮影領域から通常撮影領域に移行する場合、ダイヤルリング7Aを初期位置に戻して検出信号をリセットする以外にも、カメラの電源をオフまたはオンとすれば、検出信号はリセットされるから、例えばマクロ撮影領域の複数枚の撮影を連続して行った後に、カメラの電源をオフとすることによって、次回の電源オン時には、何もしなければ、直ちに通常撮影モードの撮影を行うことができる。
【0042】
図6および図7は、本発明に係るカメラの第3の実施の形態の要部の機械的な構成を示している。
図6および図7に示す第3の実施の形態においては、図1〜図5の場合とは、さらに異なるマクロ撮影モードのリセットの方式を用いており、カメラの撮影レンズの保護用に前面に設けられるバリアに連動させてリセットを行うようにしている。
図6は、カメラの外観を示しており、レンズ鏡胴ブロック3およびダイヤルリング7部分の前面を覆うようにバリア19が設けられている。
バリア19は、左右にスライド移動することにより、カメラの前面を開閉する。
図7を参照して、ダイヤルリング7およびバリア19の関連動作部分の詳細を説明する。
この場合、ダイヤルリング7の裏面側には、バリア19の裏面側に設けた突起19aに係合するようにボス7gが突設されており、図7において、初期状態のボス7gの位置から最大回転位置7g′までがマクロ撮影領域(マクロ調整範囲)である。図示実線の状態では、バリア19は開放されており、ダイヤルリング7を所望に応じて回転操作することができる。ダイヤルリング7を上記マクロ撮影領域で所望の被写体に合焦すべく回転操作すると、制御手段における変位検出手段が初期状態からの変位を検出して、近接撮影であることが認識されることとなる。ダイヤルリング7を回転操作してマクロ撮影を行った後は、ボス7gは、最大回転位置7g′までの間のいずれかの位置にある。バリア19を閉じると、バリア19は、図7の破線位置まで図示左方にスライド移動される。
【0043】
このとき、ダイヤルリング7がマクロ撮影位置にあっても、バリア19の突起19aにボス7gが係合して、バリア19の突起が19a′まで移動する過程でダイヤルリング7が回動し、初期位置まで復帰させられる。
このように、バリア19を閉じることにより、ダイヤルリング7は初期位置に戻り、前述した図1〜図5の場合と同様にして光学センサー9のマクロ撮影モードの検出信号はリセットされ、換言すれば、制御部21における変位検出手段による近接撮影の認識がリセットされる。
【0044】
次に、図8および図9を参照してこの場合の動作の流れを説明する。図8は、初期状態〜第1駒の撮影完了までの動作のフローチャートであり、図9は、マクロ撮影モードから初期状態、すなわち通常撮影モードへの移行動作を示すフローチャートである。
図8において、まず、バリア19が開かれたか否かが判別される(ステップS11)。この場合、バリア19の操作は、カメラの電源スイッチのオン/オフと連動しているので、バリアが開かれると電源がオンとなる。ステップS11では、バリア19が開かれるまで待ち、バリア19が開かれない限り次の動作には移行しない。
【0045】
バリア19が開くと、液晶モニター13のスイッチがオンとされ(ステップS12)、ダイヤルリング7の光学センサー9のオン/オフ、つまり撮影モードの検出信号が判定される(ステップS13)。
ステップS13で、ダイヤルリング7が操作されて回転しているときは、光学センサー9がオン、すなわちマクロ撮影モードであり、液晶モニター13に“マクロモードですよ”というようなモード表示を行い(ステップS14)、ストロボの発光を禁止する(ステップS15)。
【0046】
ダイヤルリング7の回転操作により、焦点合わせが行われ(ステップS16)、シャッタボタンが、第1段階(第1ストローク〜半押し状態)まで操作される(ステップS17)。この第1段階のレリーズ操作により、測光(ステップS18)および自動露出(AE)処理(ステップS19)が行われる。シャッタボタンがさらに第2段階(第2ストローク)まで押し込まれると(ステップS20)、この第2段階のレリーズ操作により、撮影が行われて(ステップS21)、被写体の画像データの記憶媒体への記憶処理が行われる(ステップS22)。
以上のようにしてマクロ撮影モードの1駒の撮影処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS13において、ダイヤルリング7が初期位置にあるときは、光学センサー9がオフ、すなわち通常撮影モードであり、固定焦点撮影であるのでダイヤルリング7による焦点合わせは行われず、直ちにシャッタボタンが、第1段階(第1ストローク〜半押し状態)まで操作される(ステップS31)。この第1段階のレリーズ操作により、測光(ステップS32)および自動露出(AE)処理(ステップS33)が行われる。このステップS33における自動露出処理は、ステップS19の場合とは異なり、ストロボが必要と判断されればストロボの制御も行われる。
【0048】
シャッタボタンがさらに第2段階(第2ストローク)まで押し込まれると(ステップS34)、この第2段階のレリーズ操作により、ストロボの発光等を含む撮影が行われて(ステップS35)、被写体の画像データの記憶媒体への記憶処理が行われる(ステップS36)。
以上のようにして通常撮影モードの1駒の撮影処理を終了する。
図9において、まず、光学センサー9のオン/オフ、すなわち検出信号がリセットされたか否かが判定される(ステップS41)。光学センサー9のオフが検出されなければ、バリア19が閉じているか否か、すなわちカメラの電源がオフとなっているか否かが判定され(ステップS42)、バリア19が閉じていれば、初期状態への移行を完了する。
【0049】
ステップS41で、光学センサー9がオフとなっていれば、直ちに初期状態の移行を完了し、ステップS42でバリアが開いていれば、さらにマクロ撮影モードの撮影を続行し、光学センサー9の検出信号を監視する。
したがって、マクロ撮影領域から通常撮影領域に移行する場合、ダイヤルリング7を初期位置に戻し、検出信号をリセットする以外にも、カメラのバリア19を閉じた場合に検出信号がリセットされる。このため、例えばマクロ領域の複数枚の撮影を連続で行った後に、カメラのバリア19を閉じることにより、次回にバリア19を開いたときに、直ちに通常撮影モードによる撮影を行うことができる。
【0050】
図10は、本発明に係るカメラの第4の実施の形態の要部の機械的な構成を示している。
図10に示すダイヤルリング7には、外周部に係合部7hが突設されている。中点ばね20は、ダイヤルリング7の係合部に回転方向の両側から係合して、ダイヤルリング7を常に初期状態へ付勢する。すなわち、ダイヤルリング7は、外部からの操作力により時計方向/反時計方向のいずれにも回転するが、開放(釈放)されると中点ばね20の作用により、初期状態に復帰する。
【0051】
図10の構成においては、ダイヤルリング7を、撮影者が指などで中点ばね20のばね力に抗して回転位置を保持しながら、回転操作して撮影を行う。撮影後に、撮影者が、ダイヤルリング7を保持していた指を離すことにより、中点ばね20の作用で、ダイヤルリング7が初期位置に戻り、光学センサー9による検出信号がリセットされる。
【0052】
さらに、この場合、ダイヤルリング7の回転動作範囲を拡張し、例えば時計方向の回転操作をマクロ領域のピント調整に使用し、反時計方向の回転を無限遠撮影モード等の特殊合焦用に割り当てることも可能である。
したがって、距離調整用のダイヤルリング7を押圧しながら移動させた時に、検出信号を発生し、該ダイヤルリング7を解放した場合には、検出信号がリセットされるシステムである。このシステムは、一般的に撮影確率の低いマクロ撮影に好適であり、通常撮影モードへの復帰操作をその都度気にする必要がないので、撮影者によけいな負担を与えることがない。
【0053】
また、一回の撮影毎にモード検出信号がリセットされるから、通常撮影とマクロ撮影の各領域を交互に撮影するなどの場合に有利であり、また、リセット時は通常撮影モードとなることより、一般的に撮影確率の高い通常撮影が優先され、合理的である。
図11および図12は、本発明に係るカメラの第5の実施の形態の要部の機械的な構成を示している。
【0054】
図11に示すカムリング6Aは、図1および図2に示したカムリング6のカム部6bの初期位置に対応する側に平坦カム部6b′を設けて、カムリング6の動作にレンズ鏡胴ブロック3の繰り出し動作を伴わない不感帯すなわち遊び区間を設けている。
カムリング6Aにレンズ鏡胴ブロック3の繰り出し動作を伴わない不感帯、すなわち遊び区間を形成するための平坦カム部6b′を設けているので、この部分で確実に光学センサー9とダイヤルリング7による撮影モードの検出信号をオン/オフすることができる。
【0055】
つまり、平坦カム部6b′に相当する角度θの部分では、ダイヤルリング7を回転しても合焦しないから、マクロ撮影のピント調整を行うことにより、ダイヤルリング7は、確実に、カムリング6の前記角度θに対応する角度θ′以上の角度回転されることになる。このため図12に示すように、マクロ撮影時には、ダイヤルリング7の突起部7dが確実に光学センサー9の光路からはずれ、マクロ撮影モードを示す検出信号が出力される。したがって、マクロ撮影モードの検出信号入力に際して、該検出信号の入力区間をレンズ鏡胴ブロック3等の被調整部への変位を与えない遊び区間としたので、充分な検出信号の入力ストロークを確保することができ、信頼性の高いシステムとすることができる。
【0056】
なお、上述においては、通常撮影モードにおいて、固定焦点撮影を行う場合を説明したが、通常撮影モードにおいて、オートフォーカス機能を用いるようにしてもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明によれば、標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系により導かれる被写体像を、制御手段により制御される露光動作および撮影動作によって記録媒体に記録するとともに、近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを、撮影者により直接手動操作される距離調整手段によって前記光学系の光軸上で移動させることにより、通常撮影用にオートフォーカスシステムおよび固定焦点システムのいずれを用いていても、マクロ撮影時においては、撮影者の意図する通りに、合焦操作を迅速に且つ確実に行うことができ、しかも無駄な電力の消費もなく、最近接撮影距離を短くすることも可能なカメラを提供することができる。
【0058】
また、請求項2に記載の発明によれば、標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系により導かれる被写体像を、撮像素子により電子的な画像データに変換して前記画像データを記憶手段に記憶させ、前記撮像素子および前記記憶手段の制御を含む露光動作および撮影動作の制御を制御手段により行うとともに、記憶手段に記憶された内容を表示手段により画像として表示し、近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮像素子の少なくともいずれかを、撮影者により直接手動操作される距離調整手段によって前記光学系の光軸上で移動させることにより、通常撮影用にオートフォーカスシステムおよび固定焦点システムのいずれを用いていても、マクロ撮影時において、撮影者の意図する通りに、合焦操作を迅速に且つ確実に行うことができ、しかも無駄な電力の消費もなく、最近接撮影距離を短くすることも可能なカメラを提供することができる。
また、請求項1および2のいずれにおいても、距離調整手段を構成するダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより近接撮影であることを示す信号を出力するので、この信号を認識して例えばストロボの発光を禁止制御したり、場合によっては、液晶モニタ等の表示手段の画面上に、近接撮影状態であることを示す表示の制御に利用することができ、延いては、近接撮影における失敗を極力、少なくすることができる。
【0059】
また、請求項3に記載の発明によれば、撮影者が近接撮影領域の被写体像を、表示手段などで確認しながら、距離調整手段を手動で回すので、近接領域の被写体であれば、光学系の被写界深度上焦点合わせに必らず距離調整手段は回動されることになるので、オートフォーカス機構を用いた場合等に比べ、確実に近接撮影であることを検出ないしは認識することができる。
【0060】
また、請求項4に記載の発明によれば、近接撮影領域から標準撮影領域に移行する場合、距離調整手段を初期位置に戻せば、近接撮影である旨の信号はリセットされるので、簡単な機構で構成が可能であり、また、撮影者が自身の手で距離調整手段を戻すことにより、標準撮影モードへの移行を確実に認識できる利点がある。
【0061】
また、請求項5に記載の発明によれば、近接撮影領域から標準撮影領域に移行する場合、距離調整手段を初期位置に戻し、近接撮影を示す信号をリセットする方法以外にも、カメラの電源をオフまたはオンすれば、該信号はリセットされるから、例えば、近接撮影領域の複数枚の撮影を連続で行った後にカメラの電源をオフすることで、次回の標準撮影領域の撮影が直ちに可能となる利点がある。
また、請求項6に記載の発明によれば、近接撮影領域から標準撮影領域に移行する場合、距離調整手段を初期位置に戻し近接撮影を示す信号をリセットする手段として、カメラのバリアを閉じた場合にリセットされるようにしたから、例えば、近接撮影領域の複数枚の撮影を連続で行った後にカメラのバリアを閉じることで次回バリア開時に、標準撮影領域の撮影が直ちに可能となる、という利点がある。
【0062】
また、請求項7に記載の発明によれば、1回の撮影完了毎に、近接撮影の認識をリセットさせ、次回の撮影時に近接撮影となった場合、されを認識させることを有効とするように構成したから、近接撮影領域と標準撮影領域を交互に撮影するような場合に極めて有利であり、リセット時は標準撮影モード対応となり、一般的に撮影確率の高い標準撮影を優先していることとよく合致し、合理的なものとなる。
【0063】
また、請求項8に記載の発明によれば、距離調整部材を押圧しながら移動させたときに、近接撮影であることに制御手段に認識させ、前記押圧を解除したときに、近接撮影のリセットを認識させるように構成したから、一般的には撮影確率の低い近接撮影に好適であり、いちいち標準撮影モード(領域)への戻しを気にする必要が無いので、撮影者に余計な負担を与えることがない。
さらに、請求項9の記載の発明によれば、近接撮影時の手動操作による作動部の初期状態からの変位の検出のため、作動部の作動開始初期に実際の距離調整を行わない遊び区間を設定したので、充分な信号入力ストロークを確保でき、信頼性の高い検出システムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るカメラの側面から見た模式的な縦断面図である。
【図2】図1のカメラの一部を模式的に示す部分正面図である。
【図3】図1のカメラの他の一部を模式的に示す上面図である。
【図4】図1のカメラの電気的な構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るカメラの要部の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るカメラの外観構成を模式的に示す斜視図である。
【図7】図6のカメラの一部を模式的に示す部分説明図である。
【図8】図6のカメラの動作を説明するための初期状態〜1駒撮影完了までのフローチャートである。
【図9】図6のカメラの動作を説明するためのマクロ撮影モードから初期状態(通常撮影モード)への移行を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るカメラの要部の構成を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るカメラの要部の構成を模式的に示す図である。
【図12】図11のカメラの作用を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 後カバー
1a,1b ポール
2 前カバー
2a,2b 台座
2c 軸
2d ストッパー
3 レンズ鏡胴ブロック
3a,3b つば部
3a′ 長孔
3b′ 孔
3c ねじ孔
4 引っ張りばね
5 カムフォロアピン
6 カムリング
6a 孔
6b カム部
6b′ 平坦カム部
6c かさギヤ部
7 ダイヤルリング
7a 孔
7b かさギヤ部
7c ローレット部
7d 突起部
7e 突起部
7f 係止部
7g ボス
8 止め輪
9 光学センサー
10 固体撮像素子
11 光学ローパスフィルター
12 フレキシブル基板
13 液晶モニター
14 引っ張りばね
15 摩擦車
16 連結レバー
16a ボス
17 引っ張りばね
18 ソレノイドプレンジャ
18a 可動鉄芯
19 前面バリア
20 中点ばね
Claims (9)
- 標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系と、
この光学系により導かれる被写体像を記録する記録媒体と、
露光動作および撮影動作を制御する制御手段と、
近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを、撮影者の直接手動操作によって前記光学系の光軸上で移動させる距離調整手段とを具備し、
前記距離調整手段は、ダイヤルリングを含み、前記ダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより、近接撮影であることを示す信号を出力すると共に、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記記録媒体の少なくともいずれかを近接撮影領域に移動し、且つ焦点調整を行うことを特徴とするカメラ。 - 標準撮影領域および近接撮影領域を含む撮影距離範囲で被写体像をとらえ得る光学系と、
この光学系により導かれる被写体像を電子的な画像データとして検出する撮像素子と、
この撮像素子により得られる前記画像データを記憶する記憶手段と、
前記撮像素子および前記記憶手段の制御を含む露光動作および撮影動作を制御する制御手段と、
前記記憶手段に記憶した内容を出力する出力手段と、
この出力手段により出力された画像データを出力表示する表示手段と、
近接撮影領域の撮影に際し、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮像素子の少なくともいずれかを、撮影者の直接手動操作によって前記光学系の光軸上で移動させる距離調整手段とを具備し、
前記距離調整手段は、ダイヤルリングを含み、前記ダイヤルリングを初期状態から手動操作することにより、近接撮影であることを示す信号を出力すると共に、前記光学系の一部、前記光学系の全部および前記撮像素子の少なくともいずれかを近接撮影領域に移動し、且つ焦点調整を行うことを特徴とするカメラ。 - 距離調整手段は、近接撮影時に手動操作により作動する作動部の初期状態からの変位を検出して、近接撮影であることを制御手段に認識させる変位検出手段を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラ。
- 手動操作後に距離調整手段の作動部を初期状態に戻したことを検出して、制御手段における変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせるリセット手段をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のカメラ。
- 電源のオンおよびオフの少なくとも一方を検出して、制御手段における変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせるリセット手段をさらに含むことを特徴とする請求項3または4に記載のカメラ。
- 光学系の前面側において開閉し、閉じたときに該光学系を保護するバリアと、前記バリアの開閉に連動し、該バリアを閉じたときに、制御手段における変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせ、前記バリアを開いたときに前記変位検出手段による近接撮影の認識を有効とするリセット手段とをさらに含むことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のカメラ。
- 撮影動作完了毎に、制御手段における変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせ、次回撮影時には前記変位検出手段による近接撮影の認識を有効とするリセット手段をさらに含むことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のカメラ。
- 距離調整手段は、押圧しながら移動させたときに、作動部の初期状態からの変位に基づき近接撮影であることを制御手段に認識させ、前記押圧を解除したときに、制御手段における変位検出手段による近接撮影の認識をリセットさせる操作部をさらに含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のカメラ。
- 距離調整手段は、近接撮影時の手動操作による作動部の初期状態からの変位の検出のため、前記作動部の作動開始初期に実際の距離調整を行わない遊び区間を設定したことを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載のカメラ。
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