JP3571319B2 - モータ故障検知回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鉄道の信号保安装置に組み込まれる電動モータと組み合わせて用いられるモータ故障検知回路に関する。
鉄道の信号保安装置には、信号装置や,閉そく装置,連動装置などが挙げられるが、列車を防護して安全かつ効率良く輸送を行うためのものであることから、それに組み込まれる電動モータ等には高い安全性が求められる。
例えば、電気踏切しゃ断機においては、その昇降を担うモータに関して故障が発生したときに、モータが拘束されてその回転が止まるようでは、列車が踏切に進来しても遮断棒が下降しないといった不都合な事態も招来しかねないので、鉄道の信号保安装置に組み込まれる電動モータは、フェールセーフなものであることが必要とされる。
【0002】
本明細書で、フェールセーフなモータとは、モータ本体や制御駆動回路ばかりか故障検知回路に生じた故障も含めて種々の故障による回転異常状態を検出するとともに異常検出時にはモータ駆動状態を安全側である非拘束状態・回転自由状態にするものを呼ぶ。また、フェールセーフな回路とは、回路内の素子・配線や回路外の電源などに故障・異常が発生すると出力状態が安全側の所定状態・所定値になる電子回路をいう。
【0003】
【従来の技術】
従来、鉄道の分野では、信号保安装置に電動モータを組み込むに際して、フェールセーフ性の求められるところには、インダクションモータやDCモータが用いられていた。
一方、他の分野では、両者の長所を併せ持つブラシレスモータの採用が増えている。
【0004】
図7に示したモータ10は、公知の一般的な三相ブラシレスモータであり、制御回路11と駆動回路12とモータ本体部13と回転検出部14と異常電流検出回路15とを具えている。制御回路11と駆動回路12は、位相のずれたパルス波形を持つU相,V相,W相の駆動電流を生成してそれぞれ該当する駆動電流供給ラインU,V,W(電流供給路)経由でモータ本体部13に供給するものであり、異常電流検出回路15は、その駆動電流の異常を検出するものであり、何れも、例えば24Vの直流電源の下で動作するようになっている。
【0005】
モータ本体部13には、ホール素子等を有してモータの回転を検出する回転検出部14が付設されており、それでロータの回転位置に応じたパルス信号が生成されるようになっている。制御の容易化等のため、多くの三相ブラシレスモータでは、120゜ずつ位相の異なる3つのパルス信号H1,H2,H3が生成されて制御回路11にフィードバックされるようになっている。
【0006】
制御回路11は、そのパルス信号H1,H2,H3と、他の入力信号たとえば回転方向が正転なのか逆転なのかを示す信号とに基づいて、駆動回路12の切換状態を制御する。それに従って、トランジスタインバータ等からなる駆動回路12は、ラインUに電流を出すときトランジスタQ1,Q2をオン状態,オフ状態にし、ラインUから電流を戻すときトランジスタQ1,Q2をオフ,オンにする。ラインVについてはトランジスタQ3,Q4を同様にオンオフし、ラインWについてはトランジスタQ5,Q6をオンオフするようになっている。
【0007】
このような電子回路11,12,14によって、U相,V相,W相の駆動電流のパルス周期や位相がモータ本体部13のロータの回転状態に応じて適切に整えられて、モータ10が所望の方向へ回転する。
ところが、例えば、ラインUの上側のトランジスタQ1とラインVの下側のトランジスタQ4とについて、それぞれのコレクタとエミッタとの間が何らかの原因により導通するような故障が発生した場合、電源からモータ本体部13の固定巻線を経由して異常な短絡電流が流れる。そして、その結果として、モータ10が拘束状態となり、モータ10にて駆動される遮断棒等も動かなくなる。
【0008】
こうした事態を防ぐため、モータ10に異常電流検出回路15が付設されている。一般的な異常電流検出回路15は、駆動回路12の出力電流(U,V,W)を検出して、その検出値と所定値との比較判定を行う等のことにより、異常電流の有無を判別して、異常時には駆動電流の供給を止めるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のモータ故障検知回路は、比較手段等がコンパレータ等を用いた一般的な電子回路で構成されており、フェールセーフなものではない。このため、故障モードによっては故障を検知できない場合もある。また、それ自身が故障したときにも出力状態が定まらない。このため、モータ故障検知回路が従来のままでは、ブラシレスモータを踏切等の信号保安装置に採用することができない。
【0010】
そこで、鉄道の信号保安装置に組み込まれる電動モータにブラシレスモータを採用するとともに、そのようにしても安全が確保されるよう、ブラシレスモータと組み合わせて用いられるモータ故障検知回路に工夫を凝らすことが技術的な課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を実現することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために発明された第1乃至第3の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0012】
[第1の解決手段]
第1の解決手段のモータ故障検知回路は、出願当初の請求項1に記載の如く、鉄道の信号保安装置に組み込まれる電動モータがブラシレスモータであるときそれに付設されてその故障を検出するモータ故障検知回路であって、前記モータにおける本体部と駆動回路との電流供給路に介挿して設けられた遮断回路と、前記モータの回転を検出してパルス信号を生成する回転検出手段と、そのパルス信号を整流して前記駆動回路の電源電圧とは逆極性の反転電圧を生成する反転整流手段と、その反転電圧に基づいて動作し前記遮断回路の導通遮断状態を制御する判定回路とを備えたものである。
【0013】
このような第1の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、回転検出手段によって直接的にモータの回転が検出されるので、駆動電流の異常としては発現しないような故障によるモータの拘束も検知される。
また、異常検知時には、遮断回路によって直接的にモータの駆動が断たれるので、制御回路や駆動回路に故障が生じている場合でも、確実に、モータを安全側である非拘束状態・自由回転状態にすることができる。
【0014】
さらに、異常の有無を判定する判定回路が、反転整流手段によって生成された反転電圧に基づいて動作するようになっており、その反転電圧は、駆動回路の電源電圧と極性の逆なもの即ち正負の異なるものとなっていることから、モータに本来具わっている駆動回路等と、故障検知用の新たな判定回路等とで、信号レベル等が明瞭に区別されるため、予測困難な電源ラインや信号ラインの短絡等の故障が発生した場合でも、他方の回路の電源電圧や信号に応じて誤動作することが無いので、高い確度で、故障が検出されることとなる。
【0015】
また、そのような反転電圧の生成が、パルス信号と整流手段との組み合わせにて、簡便に、具現化されている。
これにより、種々の故障に起因する異常が高確度で検出されるとともに、異常検知時には確実にモータが安全側にされる。
したがって、この発明によれば、信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を実現することができる。
【0016】
[第2の解決手段]
第2の解決手段のモータ故障検知回路は、出願当初の請求項2に記載の如く、上記の第1の解決手段のモータ故障検知回路であって、前記回転検出手段が、前記パルス信号を複数生成するものであり、そのうち何れかのパルス信号の増幅または波形整形を行う回路が、他のパルス信号に基づいて生成された反転電圧によって動作するようになっている、というものである。
【0017】
このような第2の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、反転電圧を利用して検出確度を高める上述の手法が、複数のパルス信号についても適用可能なように拡張されている。そして、何れかのパルス信号に異常が有れば、故障が検出される。
一般に、ブラシレスモータに予め付設されている回転検出部は、大抵、制御信号の生成を容易にするためや、回転速度に加えて回転方向も検出する等ため、モータ回転に対応したパルス信号を複数生成するようになっているところ、本発明のモータ故障検知回路は、上記の拡張により、回転検出手段に既存の回転検出部を流用することが容易に行えるものとなる。
【0018】
回転検出素子等の追加取付や変更等にはモータ本体部の改造等を伴うことも多いため、回転検出手段のモータ本体部への付設には、部材費ばかりか設計費まで負担が増加しがちであるが、本発明にあってはそれが回避される。
したがって、この発明によれば、信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を容易かつ安価に実現することができる。
【0019】
[第3の解決手段]
第3の解決手段のモータ故障検知回路は、出願当初の請求項3に記載の如く、上記の第2の解決手段のモータ故障検知回路であって、前記遮断回路が、電磁リレーの扛上接点(常開接点、メーク接点)からなり、前記判定回路がリレー回路を含んでおり、前記反転整流手段がフェールセーフ整流回路からなる、というものである。
また、出願当初の請求項4に記載の如く、そのような第2の解決手段のモータ故障検知回路であって、前記モータの始動時に前記遮断回路を導通状態にする起動回路が設けられており、それにも、リレー回路とそれを駆動するフェールセーフワンショットパルス発生回路とが具わっている、というものである。
【0020】
このような第3の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、それぞれの部分回路に、フェールセーフなことの判明しているものか、リレー回路が、採用されている。電磁リレーは、故障時に特定の状態になるという非対称性を示す。例えば、扛上接点は、リレー自体が故障したとき、バネ力によって開状態になろうとする性質がある。そのため、フェールセーフな回路、又はそれに準じた回路が構成し易い。
これにより、モータ故障検知回路それ自体の故障についても、確実に、検出がなされて、モータの拘束が解除される。
したがって、この発明によれば、フェールセーフで信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を容易かつ安価に実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明のモータ故障検知回路について、これを実施するための具体的な形態を、図面を引用しながら、一実施例により説明する。図1は、ブラシレスモータ及びモータ故障検知回路の全体構成を示すブロック図であり、図2は、そのうちのモータ故障検知回路に関する回路図であり、図3は、公知のフェールセーフ整流回路の回路図であり、図4は、フェールセーフワンショットパルス発生回路の回路図である。
【0022】
それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
このモータ10は(図1参照)、従来と同様に制御回路11と駆動回路12とモータ本体部13と回転検出部14とを具えているが、異常電流検出回路15が省かれて、その代わりにモータ故障検知回路30が設けられている。
【0023】
モータ故障検知回路30は、種々の故障を確実に検出してモータ電源を遮断するために、遮断回路20と、回転検出手段(14)と、反転整流手段31,32と、波形整形を伴う整流手段33と、起動回路34と、判定回路35+36とを具えている。以下、それらを詳述する。
遮断回路20は、電磁リレーRY3の扛上接点を用いて具体化されている。それは連動する2つのリレー接点からなり、ラインU,Vそれぞれに一つずつリレー接点が介挿接続される。そして、リレーRY3のコイルが励磁されているときだけラインU,Vを導通状態にし、それ以外は遮断するようになっている。
【0024】
回転検出手段は、回転検出部14から制御回路11に送出されるパルス信号H1,H2,H3を整流手段31,32,33にも送出するよう、分岐ライン等が追加されている。このように既製・既存の回転検出部14を流用したことにより、ホール素子の追加やモータ本体部13の改造を行うことなく、モータの回転に対応した複数のパルス信号を生成するものとなっている。
【0025】
反転整流手段31は(図2参照)、制御回路11や駆動回路12の電源電圧Vcを供給されて動作するフェールセーフ整流回路からなり、その整流作用によってパルス信号H1を整流して電源電圧Vcとは逆極性の反転電圧V1を生成するものである。フェールセーフ整流回路は(図3参照)、公知例を一つ挙げると、アンプやトランジスタQ7にてパルス信号H1を増幅等してスイッチング信号Aを生成し、それをトランスにて絶縁してからダイオードスタックにて全波整流し、さらに電解コンデンサにて平滑する。その入力段や中間のスイッチング信号Aは電源電圧Vcの支配下にあるが、出力段は電源電圧Vcに依存しないものとなっている。反転整流手段32も、同様の構成であり、同様にして、パルス信号H2から電圧Vcと逆極性の反転電圧V2を生成するようになっている。
【0026】
判定回路35+36は(図1参照)、遮断回路20の導通遮断状態を制御するための論理回路であり、論理積回路35と論理和回路36とからなる。論理積回路35は、反転電圧V1,V2に基づいて動作する電子回路からなり、論理和回路36は、リレー回路で出来ている。具体的には(図2参照)、論理積回路35は、整流手段33の中段に挿入されていて、パルス信号Bを入力してスイッチング信号Eを出力するが、その際に電圧レベルの変更を伴う波形整形を行うものである。すなわち、フォトカップラPC1にて波形整形および絶縁を行ってパルス信号Bからパルス信号Cを生成し、それをトランジスタQ8にてパルス信号Dに変換し、さらに、フォトカップラPC2にて波形整形および絶縁を行ってパルス信号Dからスイッチング信号Eを生成するようになっている。
【0027】
最初のパルス信号Bが電源電圧Vcの支配下にあるのに対し、途中のパルス信号Cは負の反転電圧V1に依存するが正電圧Vcに依存しないものとなり、続くパルス信号Dも負の反転電圧V2に依存するが正電圧Vcに依存しないものとなり、最後のスイッチング信号Eに至って再び正電圧Vcの支配下に戻るようになっている。そのため、論理積回路35は、反転電圧V1,V2が共に適切に供給されているときに限って、パルス信号Bからスイッチング信号Eを生成する。反転電圧V1,V2は、それぞれ、上述した反転整流手段31,32によってパルス信号H1,H2から生成されるので、パルス信号H1,H2,Bの総てがパルスを継続して含んでいるときだけ、スイッチング信号Eが発振パルスを含むようになっている。
【0028】
整流手段33は(図2参照)、上述したフェールセーフ整流回路の中段に論理積回路35を介挿させた回路であり、それによってパルス信号H3の波形整形を行うものとなっている。しかも、その回路は、上述したように他のパルス信号H1,H2に基づいて生成された反転電圧V1,V2によって動作するものである。具体的には、前段部分で、パルス信号H3からアンプ等にてパルス信号Bを生成してそれを論理積回路35に供給し、後段部分では、論理積回路35から受けたスイッチング信号Eをトランスにて絶縁してからダイオードスタックにて全波整流し、さらに電解コンデンサにて平滑して、電源電圧Vcに依存しない電圧VRを生成し、これでリレーRY1のコイルを駆動するようになっている。
【0029】
起動回路34は(図2参照)、モータの始動時に遮断回路20を導通状態にするために、電源電圧Vcの立ち上がりエッジで所定幅のパルスを一つ出力するワンショットパルス発生回路と、そのパルスでコイル部が励磁されるリレーRY2とを具えている。そのワンショットパルス発生回路にも、例えば公知のフェールセーフなもの(図4参照)が採用されていて、回路内の何れかの素子や配線に故障が生じたときにはリレーRY2が駆動されないようになっている。
【0030】
論理和回路36は(図2参照)、リレーRY1のメーク接点とリレーRY3のメーク接点との直列接続と、リレーRY2のメーク接点とを並列接続させたうえで、それとリレーRY3のコイル部とを直列に接続したリレー回路からなり、電源電圧Vcの下で動作するものである。そして、起動回路34がリレーRY2を励磁すると、それに応じてリレーRY3を励磁するようになっている。また、リレーRY3が励磁されているときに、リレーRY1が励磁されると、リレーRY2が復旧しても、リレーRY1が復旧するまで、リレーRY3が動作し続けるようにもなっている。
【0031】
このような構成のモータ故障検知回路について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図5及び図6は、タイムチャートであって、各部の信号波形例を示している。図5は、正常動作時のものであるのに対し、図6は、異常動作時のものである。
【0032】
先ず、図5を参照しながら、正常な動作例を説明する。モータ10を作動させるために電源電圧Vcが印可されると、制御回路11や駆動回路12が動作するのと並行して、モータ故障検知回路30も始動し、その起動回路34によってリレーRY2が動作する。それに応じて論理和回路36ではリレーRY3が動作するので、遮断回路20の状態が遮断状態から導通状態に切り替わる。その状態では、駆動回路12から出力された駆動電流がラインU,V,W総てについてモータ本体部13に供給されるので、そのロータが回転しはじめる。
【0033】
モータ本体部13が回転動作を行うと、回転検出部14によってパルス信号H1,H2,H3が生成され(図5(a),(b),(c)参照)、それらが制御回路11にフィードバックされるとともに、モータ故障検知回路30にも送出される。そして、反転整流手段31によって、正電圧Vcのパルス信号H1から、同じく正電圧Vcのスイッチング信号Aを経て(図5(d)参照)、負の反転電圧V1が生成される(図5(e)参照)。同様にして、パルス信号H2からは反転整流手段32によって負の反転電圧V2が生成される(図5(f)参照)。
【0034】
パルス信号H3からは、先ず整流手段33の前段部分によって正電圧Vcのパルス信号Bが生成され(図5(g)参照)、これをフォトカップラPC1のダイオードのカソードに受けた論理積回路35の前段部分によって負の反転電圧V1のパルス信号Cが生成され(図5(h)参照)、これが論理積回路35のトランジスタQ8によって負の反転電圧V2のパルス信号Dに変換され(図5(i)参照)、これをフォトカップラPC2のダイオードのアノードに受けた論理積回路35の後段部分によって正電圧Vcのスイッチング信号Eが生成される(図5(j)参照)。
【0035】
そして、パルス信号H1,H2,H3の総てにパルスが継続して含まれると、スイッチング信号Eが発振状態になり、それが整流手段33の後段部分によって整流されて電圧VRが立ち上がる(図5(k)参照)。その電圧VRはリレーRY1のコイル部に印可されるので、電圧VRの上昇によってリレーRY1が動作する。この時点で、リレーRY3がリレーRY1の励磁状態維持を前提として自己保持状態に入るので、起動回路34の出力パルスが消滅しても、論理和回路36は、遮断回路20を導通状態にし続け、モータ10は、故障が無ければ、期待通り回転する。
【0036】
次に、図6を参照しながら、異常な動作例を説明する。故障の具体例として、何らかの理由によりパルス信号H2が出力されないものとする。
この場合も、起動回路34のパルス出力による遮断回路20の導通およびモータ10の始動は正常時と同様に行われて、パルス信号H1,H3には適正にパルスが含められるが(図6(a),(c)参照)、パルス信号H2にはパルスが発現しない(図6(b)参照)。
【0037】
そのため、反転電圧V1は負になるが(図6(e)参照)、反転電圧V2は負にならず0Vのままである(図6(f)参照)。すると、パルス信号H3から、整流手段33の前段でパルス信号Bが適正に生成され(図6(g)参照)、論理積回路35の前段部分でパルス信号Cが適正に生成されても(図6(h)参照)、適切な反転電圧V2を受けられないトランジスタQ8が動作しないので、パルス信号Dにパルスが発現せず(図6(i)参照)、リレー駆動電圧VRは0Vのまま変化しない(図6(k)参照)。
【0038】
その状態では、起動回路34の出力パルスが消滅すると、論理和回路36のリレーRY3が復帰するので、遮断回路20が遮断状態に戻る。そうすると、制御回路11や駆動回路12がどのような状態であろうと、モータ本体部13への駆動電流が断たれるので、モータ10は、確実に、自由状態になる。
こうして、故障の原因が何であれ、パルス信号が一つでも適切に生成されないときには、その異常が検知され、モータ10は鉄道の信号保安装置において安全側の状態である非拘束状態になる。
【0039】
【その他】
なお、上記の実施例では、パルス信号H2の出力が無くなるような故障態様について詳述したが、本発明のモータ故障検知回路30で検知可能な故障態様は、それに限られるものでなく、モータ10側に生じた故障ばかりかモータ故障検知回路30自体に生じた故障についても、確実に異常が検出され、モータ10はフリーにされる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、判定回路が反転電圧に基づいて動作するようにした等のことにより、種々の故障に起因する異常が高確度で検出されるとともに異常検知時には確実にモータが安全側にされることとなり、その結果、信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を実現することができたという有利な効果が有る。
【0041】
また、本発明の第2の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、パルス信号が複数でも反転電圧を利用した故障検出が行えるようにしたことにより、信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を容易かつ安価に実現することができるようになったという有利な効果を奏する。
【0042】
さらに、本発明の第3の解決手段のモータ故障検知回路にあっては、モータ故障検知回路それ自体の故障についても確実に検出等がなされるようにしたことにより、フェールセーフで信号保安装置に好適なモータ故障検知回路を容易かつ安価に実現することができるようになったという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータ故障検知回路の一実施例について、ブラシレスモータ及びモータ故障検知回路の全体ブロック図である。
【図2】モータ故障検知回路の回路図である。
【図3】フェールセーフ整流回路の回路図である。
【図4】フェールセーフワンショットパルス発生回路の回路図である。
【図5】正常動作時の各信号波形例を示すタイムチャートである。
【図6】異常動作時の各信号波形例を示すタイムチャートである。
【図7】従来の一般的なブラシレスモータ及び故障検知回路である。
【符号の説明】
10 モータ(電動モータ、ブラシレスモータ)
11 制御回路(フィードバック制御、電子回路)
12 駆動回路(トランジスタインバータ、電子回路)
13 モータ本体部(機構部、機械部、ステータ及びロータ)
14 回転検出部(ホール素子群)
15 異常電流検出回路(従来の故障検知回路)
20 遮断回路
30 モータ故障検知回路(フェールセーフな故障検知回路)
31 反転整流手段(フェールセーフ整流回路)
32 反転整流手段(フェールセーフ整流回路)
33 整流手段(フェールセーフ整流回路、判定手段)
34 起動回路(フェールセーフワンショットパルス発生回路)
35 論理積回路(判定手段、波形整形回路)
36 論理和回路(判定手段、起動優先回路)
U,V,W 各相の駆動電流供給ライン(電流供給路)
RY1,RY2,RY3 リレー(電磁リレー)
Claims (4)
- 鉄道の信号保安装置に組み込まれる電動モータがブラシレスモータであるときそれに付設されてその故障を検出するモータ故障検知回路であって、前記モータにおける本体部と駆動回路との電流供給路に介挿して設けられた遮断回路と、前記モータの回転を検出してパルス信号を生成する回転検出手段と、そのパルス信号を整流して前記駆動回路の電源電圧とは逆極性の反転電圧を生成する反転整流手段と、その反転電圧を電圧源として動作し前記遮断回路の導通遮断状態を制御する判定回路とを備え、この判定回路が、前記反転電圧には依存するが前記電源電圧には依存せずに前記回転検出手段のパルス信号に係る電圧レベル変更の動作を行うとともに、その電圧レベル変更後のパルス出力の不調時に前記遮断回路の状態を遮断状態に戻す制御を行うものである、ことを特徴とするモータ故障検知回路。
- 前記回転検出手段が、前記パルス信号を複数生成するものであり、そのうち何れかのパルス信号の増幅または波形整形を行う回路が、他のパルス信号に基づいて生成された反転電圧によって動作するものであることを特徴とする請求項1記載のモータ故障検知回路。
- 前記遮断回路が、電磁リレーの扛上接点からなり、前記判定回路がリレー回路を含んでおり、前記反転整流手段がフェールセーフ整流回路からなることを特徴とする請求項2記載のモータ故障検知回路。
- 前記モータの始動時に前記遮断回路を導通状態にする起動回路が設けられ、それがリレー回路とそれを駆動するフェールセーフワンショットパルス発生回路とを具えていることを特徴とする請求項3記載のモータ故障検知回路。
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