JP3571134B2 - 光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスクの記録領域にレーザ光を照射する光ピックアップの焦点位置を制御する光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスクの記録領域にレーザ光を照射し、その反射光を受光する光ピックアップと、その光ピックアップの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号を求める手段と、その手段によって求めたフォーカスエラー信号と所定のフォーカスオフセット信号とに基づいて光ピックアップの焦点位置を制御する光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置が知られている。
【0003】
従来、上記のようなフォーカスサーボ制御装置を用いて、トラックエラー信号の振幅が最大になるようにフォーカスオフセットを調整する方法(例えば、特開平1−189033号公報参照)があった。
また、フォーカス信号にオフセットを印加して再生信号のジッタが最良になるフォーカスオフセット値を検査するフォーカスサーボ制御装置(例えば、特開平1−298527号公報参照)もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のフォーカスサーボ制御装置では、トラックエラー信号(「TE信号」と略称する)の振幅が最大になるように調整するフォーカスオフセット自動調整を行なっている。
これは、光ピックアップ(「PU」と略称する)を、TE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値と再生信号のジッタが最良になるフォーカスオフセット信号の値とが一致するように作り込んでいるからである。
【0005】
ところが、実際にはPUに使用している対物レンズの収差,レーザダイオード(LD)の収差の影響を受けてTE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値と再生信号のジッタが最良になるフォーカスオフセット信号の値とがずれてしまう。このずれを非点隔差という。
【0006】
そこで、対物レンズやLD等の部品選別を行なって、収差の極めて少ない部品を用いることにより、この非点隔差は無視できるほど小さく押え込むことができ、TE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット調整が可能になる。
【0007】
しかしながら、収差の極めて少ない高精度の部品を用いなければならないので、PUの部品コストが高くなり、光ディスク装置の製造コストが上昇してしまうという問題があった。
【0008】
また、非点隔差はPUの部品組み付けの精度の影響を受けるので、かなりの高精度の組み付けが要求される。したがって、高精度の部品を用いたとしても、組み付後に非点隔差が不合格(ノーグッド)になってしまい、PUの歩留まりが低下してコストアップを招き、光ディスク装置の製造コストが上昇してしまうという問題があった。
【0010】
また、シーク及びトラックジャンプはTE信号を使用して行なわれるので、PUの非点隔差が大きい場合、ジッタ最良のフォーカスオフセット信号の値に設定したとき、TE信号の振幅が小さくなってしまい、シーク及びトラックジャンプが失敗してしまう可能性があるので、シークの安定化とリード及びライト性能の向上を両立させられないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、非点隔差がある光ピックアップでもフォーカスオフセット自動調整を行なえるようにすると共に、シークの安定化とリード及びライト性能の向上を両立させられるようにすることを第1の目的とする。
【0011】
さらに、図4に示すように、追記途中のCD−Rディスクやマルチセッション書きされたCD−Rディスク等の光ディスク20の場合、その記録領域の中でデータが記録されている領域(黒く塗りつぶして示した領域)21と、データが記録されていない領域22が混在する。そして、領域21と22とではTE信号の振幅は異なる。
【0012】
例えば、図中のデータが記録された部分と記録されていない部分が混在する領域23でフォーカスオフセット調整を行なった場合、TE信号の正しい振幅が得られず、フォーカスオフセット調整を正しく行なえないという問題があった。
【0013】
また、光ディスクの厚みムラやインジェクションによる複屈折ムラによってもTE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号は変動する。
つまり、光ディスクの記録面内でTE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号が変動することにより、フォーカスオフセット調整を正しく行なえないという問題があった。
【0014】
さらに、光ディスクの厚みムラやインジェクションによる複屈折ムラは光ディスク毎に異なる。
そのため、電源投入後に光ディスク装置に最初に入れてマウントした光ディスクによってフォーカスオフセット調整を行なっても、その光ディスクをイジェクトして他の光ディスクをマウントした場合、最初の光ディスクと次の光ディスクとではフォーカスオフセット信号の値がずれており、最良なリード,ライト,シーク性能が得られないことがあるという問題があった。
そこで、この発明は光ディスク毎にリード,ライト,シークの動作を安定させることができるようにすることを第2の目的とする。
【0015】
さらにまた、ライトワンスタイプのCD−Rディスク等の光ディスクの場合、一度書き込んだデータを消去することができず、データのライトの失敗は許されないので、ライト時には高いフォーカス精度が要求される。
【0016】
ところが、光ディスク装置の稼動中はそのドライブ内部温度は外部に比べて高温になるので、そのドライブに装着された光ディスクが温められることになり、時間と共にフォーカスオフセット信号の値も変化する。それは、TE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値が温度特性を持つからである。
【0017】
したがって、光ディスクの温度が時間と共に変化してフォーカスオフセットが変化するとライト動作を失敗してしまうという問題があった。
そこで、この発明は光ディスクの温度変化によってフォーカスオフセットが変化することによるライト動作の失敗を防止することを第3の目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の第1の目的を達成するため、光ディスクの記録領域にレーザ光を照射し、その反射光を受光する光ピックアップと、その光ピックアップの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号を求める手段と、その手段によって求めたフォーカスエラー信号と所定のフォーカスオフセット信号とに基づいて光ピックアップの焦点位置を制御する光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置において、次の(1)〜(7)の各手段を設けたものである。
【0019】
(1)上記フォーカスオフセット信号を任意の値に設定する手段
(2)上記光ピックアップの出力信号に基づいてトラックエラー信号を求める手段
(3)その手段によって求めたトラックエラー信号の振幅を測定する手段
(4)上記フォーカスオフセット信号のオフセットレベルを変化させて、上記トラックエラー信号の振幅を測定し、そのトラックエラー信号の振幅が最大になるときのフォーカスオフセット信号のレベルを記憶及び設定する手段
【0020】
(5)上記光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を記憶する手段
(6)その固有のフォーカスオフセット信号の値に上記トラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルを加算したフォーカスオフセット信号のレベルを記憶して設定する手段
(7)シーク又はトラックジャンプ時にはフォーカスオフセット信号のレベルをトラックエラー信号の振幅が最大になるレベルに設定し、リード又はライト時にはトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値に上記光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルに設定する手段
【0024】
さらに、上記の第2の目的を達成するため、上記光ディスクのマウント時に上記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる手段を設けるとよい。
さらにまた、上記の第3の目的を達成するため、上記光ディスクに対するライトを行なう直前に上記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる手段を設けるとよい。
【0025】
この発明による請求項1の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、フォーカスオフセット信号のオフセットレベルを変化させて、光ピックアップの出力信号に基づくトラックエラー信号の振幅を測定し、そのトラックエラー信号の振幅が最大になるときのフォーカスオフセット信号のレベルを記憶及び設定し、そのレベルに光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルを記憶して設定し、シーク又はトラックジャンプ時にはフォーカスオフセット信号のレベルをトラックエラー信号の振幅が最大になるレベルに設定し、リード又はライト時にはトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値に光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルに設定するので、非点隔差がある光ピックアップでも正しくフォーカスオフセット自動調整を行なうことができ、シーク又はトラックジャンプ時とリード及びライト時とでフォーカスオフセット信号値を切り換えることができる。
【0026】
したがって、対物レンズやレーザダイオード等の収差やそれらの部品の組み付けによる非点隔差が生じた光ピックアップでも使用することができ、光ピックアップ及び光ディスク装置の製造コストをダウンすることができ、シークの安定化とリード及びライト性能の向上を両立させることができる。
【0030】
さらに、この発明の請求項2の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、光ディスクのマウント時にフォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせるので、光ディスクのマウント毎にフォーカスオフセット自動調整を行なうことができ、光ディスク毎にリード,ライト,及びシークの動作を安定させることができる。
【0031】
さらにまた、この発明の請求項3の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、光ディスクに対するライトを行なう直前にフォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせるので、ライト毎にフォーカスオフセット自動調整を行なうことができ、光ディスクの温度変化によってフォーカスオフセットが変化することによるライト動作の失敗を防止することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態である光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。
このフォーカスサーボ制御装置は、光ディスク20の記録領域に光ピックアップ1からレーザ光Lを照射することにより、この発明に係るフォーカスオフセット自動調整のためのリード及びライトと、各種のデータのリード及びライトを行なう。
【0033】
また、4分割光検出器(PD)2からの出力信号A〜DをFE信号生成回路3によってFE=(A+C)−(B+D)の演算処理を施してフォーカスエラー信号(FE信号)を生成し、そのFE信号を位相補償回路4を介してアクチュエータ駆動回路5へ送り、アクチュエータ駆動回路5によってフォーカスアクチュエータ6が駆動され、光ピックアップ1のフォーカス位置制御を行なう。
【0034】
さらに、FE信号は減算回路8において制御部(MPU)9によってD/Aコンバータ7に設定されたフォーカスオフセット信号:FOFSが減算される。
その結果、フォーカスサーボはFE=FOFSになるように位置制御される。
したがって、MPU9からの命令によって任意のフォーカスオフセット値:FOFSにフォーカス位置決め制御が可能になる。
【0035】
MPU9には書き込み可能なプログラムメモリであるEEPROM10とRAM11があり、そのEEPROM10には光ピックアップ1に固有のフォーカスオフセット値であるフォーカス非点隔差:PU_OFSETが予め記憶されている。このPU_OFSETはドライブ組立時にMPU9のプログラムと一緒にロードされて記憶され、電源を切っても消去されない。
【0036】
さらに、4分割PD2からの出力信号A〜Dをトラックエラー(TE)信号生成回路12によってTE=(A+B)−(C+D)の演算処理を施してトラックエラー信号(TE信号)を生成し、そのTE信号を位相補償回路13を介してアクチュエータ駆動回路14へ送り、アクチュエータ駆動回路14によってトラックアクチュエータ15が駆動され、光ピックアップ1のトラック位置制御を行なう。そのTE信号はピークホールド部16とA/Dコンバータ17を介してMPU9に入力され、MPU9はTE信号の振幅値を読み取ることができる。
【0037】
すなわち、この光ディスクのフォーカスサーボ制御装置は、光ディスク20の記録領域にレーザ光Lを照射し、その反射光を受光する光ピックアップ1と、その光ピックアップ1の出力信号に基づいてフォーカスエラー信号を求めるFE信号生成回路3と、そのFE信号生成回路3によって求めたフォーカスエラー信号と所定のフォーカスオフセット信号に基づいて光ピックアップ1の焦点位置を制御する。
【0038】
また、TE信号生成回路12によって光ピックアップ1の出力信号に基づいてトラックエラー信号を求め、ピークホールド部16によってTE信号生成回路12で求めたトラックエラー信号の振幅を測定する。さらに、EEPROM10に、光ピックアップ1の固有のフォーカスオフセット信号の値を記憶する。
【0039】
そして、制御部(MPU)9が、フォーカスオフセット信号を任意の値に設定し、そのフォーカスオフセット信号のオフセットレベルを変化させて、トラックエラー信号の振幅を測定し、そのトラックエラー信号の振幅が最大になるときのフォーカスオフセット信号のレベルを記憶及び設定する。
さらに、EEPROM10の固有のフォーカスオフセット信号の値にトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルを加算したフォーカスオフセット信号のレベルを記憶して設定する。
【0040】
また、MPU9は、シーク又はトラックジャンプ時にはフォーカスオフセット信号のレベルをトラックエラー信号の振幅が最大になるレベルに設定し、リード又はライト時にはトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値に光ピックアップ1の固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルに設定する機能も果たす。
【0041】
さらに、MPU9は、トラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルを検出して記憶する位置を、光ディスク20のリードインエリア又はリードアウトエリアに設定する機能も果たす。
【0042】
また、MPU9は、光ディスク20のリードインエリア及びリードアウトエリアで検出したフォーカスオフセット信号のレベルを平均した値をトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルとして設定する機能を果たす。
【0043】
さらに、MPU9は、光ディスク20のマウント時に上記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる機能も果たす。
さらにまた、MPU9は、光ディスク20に対するライトを行なう直前に上記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる機能も果たす。
【0044】
次に、この光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置のフォーカスオフセット自動調節処理について説明する。
光ディスク装置(ドライブ)の電源投入直後,又は光ディスクの挿入直後にはMPU9は、RAM11のIN_OFSET,OUT_OFSET,AVE_OFSETをそれぞれ「0」に初期化し、フォーカスオフセットのレベルに「0」を与える。
【0045】
その後、最初に光ディスク20がドライブにマウントされると、フォーカスサーボをオンにして、例えば、フォーカスオフセットが0μmの位置に光ピックアップ1をフォーカス位置決め制御する。
さらに、MPU9はD/Aコンバータ7を介して指示されるFOFSの値を、例えば「−2μm」〜「+2μm」まで「0.1μm」ステップで変化させる。
【0046】
こうして、フォーカス位置決めされるフォーカスオフセット値も「−2μm」〜「+2μm」まで「0.1μm」ステップで変化させる。MPU9は、その各FOFS値のTE信号の振幅をA/Dコンバータ17を介して読み込み、TE信号が最大になるFOFS値をAVE_OFSETとしてRAM11に記憶する。
【0047】
そして、MPU9は、EEPROM10に予め記憶されている光ピックアップ1の固有のフォーカスオフセット値である非点隔差データ:PU_OFSETと、RAM11に記憶されたAVE_OFSETに基づいて、FOFS=AVE_OFSET+PU_OFSETを計算し、それをD/Aコンバータ7に設定する。
したがって、ジッタ性能が最良になるフォーカスオフセットに光ピックアップ1のフォーカスサーボが位置決めされることになる。
【0048】
このようにして、この光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、非点隔差がある光ピックアップでも正しくフォーカスオフセット自動調整を行なうことができるので対物レンズやレーザダイオード等の収差やそれらの部品の組み付けによる非点隔差が生じた光ピックアップでも使用することができ、光ピックアップ及び光ディスク装置の製造コストをダウンすることができる。
【0049】
さらに、このフォーカスサーボ制御装置のオフセット調整処理を説明する。
図2は、図1に示したフォーカスサーボ制御装置によるオフセット調整処理を示すフローチャートである。
この処理では、光ディスク20をマウントしたときに、その光ディスク20のリードインエリア24及びリードアウトエリア25を用いてフォーカスオフセット調整を行なう。
【0050】
まず、ドライブに光ディスク20が挿入されマウントしたとき、変数FOF,IN_OFSET,OUT_OFSET,AVE_OFSETをそれぞれ「0」に初期化する。その後、光ピックアップ(PU)1をリードインエリア24に移動させてフォーカスサーボをかける。
そして、上述した処理でTE信号の振幅が最大(max)になるフォーカスオフセット信号の値を測定して求めて、その値をIN_OFSETとしてRAM11に記憶する。
【0051】
次に、光ピックアップ(PU)1をリードアウトエリア25に移動させてフォーカスサーボをかける。そして、上述した処理でTE信号の振幅が最大(max)になるフォーカスオフセット信号の値を測定して求めて、その値をOUT_OFSETとしてRAM11に記憶する。
その後、AVE_OFSET=(IN_OFSET+OUT_OFSET)/2を計算し、そのAVE_OFSETの値をRAM11に記憶して、この処理を終了する。
【0052】
上述の処理の後、MPU9はD/Aコンバータ7へRAM11のFOFS=AVE_OFSETを出力し、減算回路8でFE信号生成回路3からのFE信号にFOFS=AVE_OFSETを減算することにより、TE信号の振幅が最大になるフォーカスオフセットによってフォーカスアクチュエータ6が光ピックアップ1を位置決めすることができ、シーク及びトラックジャンプを安定動作させることができる。
【0053】
また、MPU9がEEPROM10のPU_OFSETとRAM11のAVE_OFSETに基づいてFOFSとしてFOFS=AVE_OFSET+PU_OFSETをD/Aコンバータ7へ出力すれば、フォーカスアクチュエータ6によって光ピックアップ1をジッタ性能が最良になるフォーカスオフセット位置に位置決めすることができ、データの記録(ライト)及び再生(リード)の性能を最良にすることができる。
【0054】
このようにして、この光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、データが未記録状態かあるいは記録済み状態かのいずれかが保証されるリードインエリア又はリードアウトエリアを用いてフォーカスオフセット自動調整を行なうことにより、トラックエラー信号の正しい振幅が得られないことによるフォーカスオフセットの誤調整を防止することができる。
すなわち、このフォーカスサーボ制御装置は、フォーカスオフセット信号のオフセットレベルを変化させて、光ピックアップの出力信号に基づくトラックエラー信号の振幅を測定し、そのトラックエラー信号の振幅が最大になるときのフォーカスオフセット信号のレベルを記憶及び設定し、そのレベルに光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルを記憶して設定し、トラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルを検出して記憶する位置を、光ディスクのリードインエリア又はリードアウトエリアに設定するので、データが未記録状態かあるいは記録済み状態かのいずれかが保証されるリードインエリア又はリードアウトエリアを用いてフォーカスオフセット自動調整を行なうことにより、トラックエラー信号の正しい振幅が得られないことによるフォーカスオフセットの誤調整を防止することができ、リードインエリア及びリードアウトエリアで検出したフォーカスオフセット信号のレベルを平均した値をトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルとして設定するので、光ディスクの厚みムラやインジェクションによる複屈折ムラによるフォーカスオフセット信号値の偏りを排除することができ、フォーカスオフセットの誤調整を防止することができる。
したがって、光ディスクに対するトラックエラー信号の正しい振幅が得られないことによるフォーカスオフセットの誤調整と、光ディスクの厚みムラやインジェクションによる複屈折ムラによるフォーカスオフセットの誤調整を防止することができる。
【0055】
さらに、リードインエリアとリードアウトエリアで検出したフォーカスオフセットのレベルを平均した値をトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセットレベルとして設定するので、光ディスクの厚みムラやインジェクションによる複屈折ムラによるフォーカスオフセット信号値の偏りを排除することができ、フォーカスオフセットの誤調整を防止することができる。
【0056】
そして、光ディスクのマウント毎にフォーカスオフセット自動調整を行なうので、光ディスク毎にリード,ライト,及びシークの動作を安定させることができる。
なお、上述の処理ではリードインエリアとリードアウトエリアの両方を用いてフォーカスオフセット自動調整をしたが、いずれか一方のエリアのみを用いてフォーカスオフセット自動調整をしても、トラックエラー信号の正しい振幅が得られてフォーカスオフセットを正しく調整することができる。
【0057】
さらに、このフォーカスサーボ制御装置のオフセット調整処理を説明する。
図3は、図1に示したフォーカスサーボ制御装置によるオフセット調整処理を示すフローチャートである。
この処理は、トラックジャンプ又はシークコマンド,リードコマンド,及びライトコマンドが発行されたときのそれぞれのフォーカスオフセット自動調整を示している。
【0058】
まず、ドライブに光ディスク20が挿入されマウントしたとき、ドライブはコマンド待ちになる。このコマンド待ち状態のとき、トラックジャンプ又はシークコマンドが発行された場合、トラックジャンプ及びシークコマンド時のフォーカスオフセット調整処理に移行し、MPU9はD/Aコンバータ7にRAM11のAVE_OFSETを設定し、フォーカスオフセットがTE信号の振幅が最大になる値にし、トラックジャンプ又はシークを実行してコマンド待ちへ戻る。
【0059】
また、リードコマンドが発行された場合、リードコマンド時のフォーカスオフセット調整処理に移行し、MPU9はEEPROM10のPU_OFSETとRAM11のAVE_OFSETに基づいてFOFSを算出し、D/Aコンバータ7にFOFS=AVE_OFSET+PU_OFSETを設定して、フォーカスオフセットがジッタ性能最良の値にし、リードを実行してコマンド待ちへ戻る。
【0060】
さらに、ライトコマンドが発行された場合、ライトコマンド時のフォーカスオフセット調整処理に移行し、MPU9は再度リードインエリア24とリードアウトエリア25のフォーカスオフセット測定を行ない、新たにIN_OFSET,OUT_OFSETを測定し直し、その値に基づいてAVE_OFSETを求めて取得する。
【0061】
その後、新たに取得したAVE_OFSETと、EEPROM10に記憶されている光ピックアップ1の固有の非点隔差フォーカスオフセット値:PU_OFSETに基づいて、FOFS=AVE_OFSET+PU_OFSETを算出する。
【0062】
そして、D/Aコンバータ7にFOFS=AVE_OFSET+PU_OFSETを設定して、記録(ライト)性能が最良になるフォーカスオフセットによって光ピックアップ1の位置決めをし、ライトを実行してコマンド待ちへ戻る。
また、コマンド待ち状態でその他のコマンドが発行されたときは、そのコマンドの処理へ移行する。
【0063】
このようにして、この光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置は、シーク又はトラックジャンプ時とリード及びライト時とでフォーカスオフセット信号値を切り換えるので、シークの安定化とリード及びライト性能の向上を両立させることができる。
【0064】
また、ライト毎にフォーカスオフセット自動調整を行なうことができ、ドライブ内の光ディスクの温度が時間と共に変化することによってフォーカスオフセットが変化しても、ライト動作の失敗を防止することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置によれば、非点隔差がある光ピックアップでもフォーカスオフセット自動調整を行なうことによって光ピックアップの部品コストを下げ、光ディスク装置の製造コストを低減させることができ、光ディスクに対するシークの安定化とリード及びライト性能の向上を両立させることができる。
【0067】
さらに、この発明の請求項2の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置によれば、光ディスク毎にリード,ライト,シークの動作を安定させることができる。
さらにまた、この発明の請求項3の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置によれば、光ディスクの温度変化によってフォーカスオフセットが変化することによるライト動作の失敗を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態である光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示したフォーカスサーボ制御装置によるオフセット調整処理を示すフローチャートである。
【図3】同じく図1に示したフォーカスサーボ制御装置によるオフセット調整処理を示すフローチャートである。
【図4】光ディスクの記録領域のフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
1:光ピックアップ 2:4分割光検出器(PD)
3:フォーカスエラー(FE)信号生成回路
4,13:位相補償回路 11:RAM
5,14:アクチュエータ駆動回路
6:フォーカスアクチュエータ
7:D/Aコンバータ 8:減算回路
9:制御部(MPU) 10:EEPROM
12:トラックエラー(TE)信号生成回路
15:トラックアクチュエータ
16:ピークホールド部 17:A/Dコンバータ
20:光ディスク 24:リードインエリア
25:リードアウトエリア
Claims (3)
- 光ディスクの記録領域にレーザ光を照射し、その反射光を受光する光ピックアップと、該光ピックアップの出力信号に基づいてフォーカスエラー信号を求める手段と、該手段によって求めたフォーカスエラー信号と所定のフォーカスオフセット信号とに基づいて光ピックアップの焦点位置を制御する光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置において、
前記フォーカスオフセット信号を任意の値に設定する手段と、
前記光ピックアップの出力信号に基づいてトラックエラー信号を求める手段と、該手段によって求めたトラックエラー信号の振幅を測定する手段と、
前記フォーカスオフセット信号のオフセットレベルを変化させて、前記トラックエラー信号の振幅を測定し、該トラックエラー信号の振幅が最大になるときのフォーカスオフセット信号のレベルを記憶及び設定する手段と、
前記光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を記憶する手段と、該固有のフォーカスオフセット信号の値に前記トラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号のレベルを加算したフォーカスオフセット信号のレベルを記憶して設定する手段と、
シーク又はトラックジャンプ時にはフォーカスオフセット信号のレベルをトラックエラー信号の振幅が最大になるレベルに設定し、リード又はライト時にはトラックエラー信号の振幅が最大になるフォーカスオフセット信号の値に前記光ピックアップの固有のフォーカスオフセット信号の値を加算したフォーカスオフセット信号のレベルに設定する手段と
を設けたことを特徴とするフォーカスサーボ制御装置。 - 請求項1記載の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置において、
前記光ディスクのマウント時に前記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる手段を設けたことを特徴とするフォーカスサーボ制御装置。 - 請求項1記載の光ディスク装置のフォーカスサーボ制御装置において、
前記光ディスクに対するライトを行なう直前に前記フォーカスオフセット信号のレベルの設定を行なわせる手段を設けたことを特徴とするフォーカスサーボ制御装置。
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