JP3570113B2 - インターリーブ方式スイッチングコンバータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子機器に使用されるスイッチングコンバータを並列接続し、各スイッチングコンバータのスイッチング手段を順次オンオフするインターリーブ方式スイッチングコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターリーブ方式スイッチングコンバータは、例えば特開昭61−288780号公報や特開平1−231661号公報、特開平1−270769号公報等に開示されているように、2台のスイッチングコンバータであれば180度、N台であれば360/N度の位相差をもって各スイッチングコンバータのスイッチング手段をオンオフさせることにより、入出力電流のリップルを軽減させるものである。
【0003】
このような従来のインターリーブ方式スイッチングコンバータとして、2台の昇圧型スイッチングコンバータ(以後、昇圧コンバータと略称する)で構成したインターリーブ方式スイッチングコンバータの回路構成を図12に示し、その各部動作波形を図13に示す。
【0004】
図12において、1は入力直流電源、2は出力コンデンサ、3は負荷である。10は第1の昇圧コンバータであり、第1のチョーク11、第1のスイッチング手段12、第1のダイオード13、第1の電流検出回路15、第1のPWM回路16から構成される。20は第2の昇圧コンバータであり、第2のチョーク21、第2のスイッチング手段22、第2のダイオード23、第2の電流検出回路25、第2のPWM回路26から構成される。30は電圧検出回路、50はクロック回路、51は分周回路である。
【0005】
以下、前記回路の動作について説明すると、入力直流電源1の電圧は第1のスイッチング手段12がオンの時に第1のチョーク11に印加され、第2のスイッチング手段22がオンの時に第2のチョーク21に印加され、各チョーク11,21に励磁電流が流れる。第1のスイッチング手段12がオフすると入力直流電源1から第1のチョーク11、第1のダイオード13を通して電流が流れ、第1のチョーク11を消磁する。第2のスイッチング手段22がオフすると入力直流電源1から第2のチョーク21、第2のダイオード23を通して電流が流れ、第2のチョーク21を消磁する。
【0006】
電圧検出回路30は出力コンデンサ2から負荷3へ供給される出力直流電圧を検出し、基準電圧と比較増幅した電圧誤差信号Veを第1及び第2のPWM回路16,26へ出力する。
【0007】
クロック回路50からのクロック信号Vckを受電する分周回路51は、図13(a)〜(c)に示すようにこれを分周して第1及び第2のクロック信号Vck1,Vck2をそれぞれ第1及び第2のPWM回路16,26へ出力する。第1及び第2の電流検出回路15,25はそれぞれ第1及び第2のスイッチング手段12,22の電流を検出して、図13(f),(g)に示すように第1及び第2の電流信号Vi1,Vi2をそれぞれ第1及び第2のPWM回路16,26へ出力する。第1及び第2のPWM回路16,26はクロック信号Vck1,Vck2を受電すると、それぞれ第1及び第2のスイッチング手段12,22をオンするとともに、電圧信号Veと第1及び第2の電流信号Vi1,Vi2を比較して、電流信号が電圧信号Veに達するとスイッチング手段をオフする駆動信号Vdr1,Vdr2を図13(d),(e)に示すように発生する。
【0008】
電圧誤差信号Veは出力直流電圧が上昇すると低下し、低下すると上昇するので、出力直流電圧が安定化するように各スイッチング手段12,22のデューティ比が制御される。以上のような動作により、第1の昇圧コンバータ10の入力電流Ii1、第2の昇圧コンバータ20の入力電流Ii2、入力電流Ii=Ii1+Ii2は図13(h)〜(j)のようになり、第1の昇圧コンバータ10の出力コンデンサへの充電電流Id1、第2の昇圧コンバータ20の出力コンデンサへの充電電流Id2、Ic=Id1+Id2は図13(k)〜(m)のようになり、その脈流成分は1台のスイッチングコンバータでまかなう場合の半分で済むものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなインターリーブ方式スイッチングコンバータは、クロック回路50、分周回路51を必要とするとともに、出力直流電圧も安定化させる必要があるため、制御系が複雑になるという課題を有するとともに、スイッチング周波数も当然固定する必要があるものであった。
【0010】
本発明は、簡易な制御方式によって任意の位相差を有し、さらにスイッチング周波数の変動するようなスイッチングコンバータにも適用できるインターリーブ方式スイッチングコンバータの提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために、本発明のインターリーブ方式スイッチングコンバータは、スイッチング周波数が変動するインターリーブ方式スイッチングコンバータであって、少なくとも第1のスイッチング手段と所定のデューティ比を有する第1の駆動信号を出力して前記第1のスイッチング手段を駆動する第1の制御駆動回路を有する第1のスイッチングコンバータと、前記第1のスイッチングコンバータと並列に接続された少なくとも第2のスイッチング手段と所定のオン期間を有する第2の駆動信号を出力して前記第2のスイッチング手段を駆動する第2の制御駆動回路を有する第2のスイッチングコンバータと、第1及び第2のコンデンサと、前記第1の駆動信号の立ち上がりに同期して前記第1のコンデンサを繰り返し充放電するとともに前記第1のコンデンサを充電する時は前記第2のコンデンサを放電し、前記第1のコンデンサを放電する時は前記第2のコンデンサを充電する充放電回路とから構成され、前記第2の制御駆動回路は、前記第1及び第2のコンデンサの電圧を比較し、両電圧差の反転に同期して第2の駆動信号を出力する機能を有し、さらに 第1、第2のコンデンサに放電時において両電圧差の反転検出から充電開始までの期間内に零電圧又は零電圧近くまで放電する手段を設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、スイッチング周波数が変動するインターリーブ方式スイッチングコンバータであって、少なくとも第1のスイッチング手段と所定のデューティ比を有する第1の駆動信号を出力して前記第1のスイッチング手段を駆動する第1の制御駆動回路を有する第1のスイッチングコンバータと、前記第1のスイッチングコンバータと並列に接続された少なくとも第2のスイッチング手段と所定のオン期間を有する第2の駆動信号を出力して前記第2のスイッチング手段を駆動する第2の制御駆動回路を有する第2のスイッチングコンバータと、第1及び第2のコンデンサと、前記第1の駆動信号の立ち上がりに同期して前記第1のコンデンサを繰り返し充放電するとともに前記第1のコンデンサを充電する時は前記第2のコンデンサを放電し、前記第1のコンデンサを放電する時は前記第2のコンデンサを充電する充放電回路とから構成され、前記第2の制御駆動回路の出力は、前記第1及び第2のコンデンサの電圧を比較し、両電圧差の反転に同期して行われ、さらに 第1、第2のコンデンサに放電時において両電圧差の反転検出から充電開始までの期間内に零電圧又は零電圧近くまで放電する手段を設けたるものであり、上記第1の駆動信号に同期して充放電を行う充放電回路とこの充放電回路に依存して駆動する第2の制御駆動回路を設け、上記充放電回路の充放電電流を適宜選択することによって、極めて簡易な制御方式のインターリーブ方式スイッチングコンバータとすることができるものである。さらに、入出力条件の変動に伴うスイッチング周期の変動に対し、各コンデンサが必ず零電位近辺から充電されるので、第1及び第2のコンデンサの充放電バランスを速やかに取ることができるものである。
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図1から図11により説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明のインターリーブ方式スイッチングコンバータとして、2台の昇圧コンバータで構成した一実施の形態のインターリーブ方式スイッチングコンバータの回路構成図であり、その各部動作波形を図2に示す。図1において、1は入力直流電源、2は出力コンデンサ、3は負荷である。10は第1の昇圧コンバータであり、第1のチョーク11、第1のスイッチング手段12、第1のダイオード13、第1の制御駆動回路14、第1の電流検出回路15から構成される。第1の電流検出回路15は第1のスイッチング手段12の電流を検出し、第1の電流信号Vi1を出力する。
【0015】
20は第2の昇圧コンバータであり、第2のチョーク21、第2のスイッチング手段22、第2のダイオード23、第2の制御駆動回路24、第2の電流検出回路25から構成される。第2の電流検出回路25は第2のスイッチング手段22の電流を検出し、第2の電流信号Vi2を出力する。
【0016】
30は電圧検出回路であり、出力コンデンサ2から負荷3へ供給される出力直流電圧を検出し、基準電圧と比較増幅した電圧信号Veを出力する。第1の制御駆動回路14は、第1の電流信号Vi1と電圧信号Veを受電し、所定の周期とデューティ比を有する第1の駆動信号Vdr1を出力する。第1のスイッチング手段12は第1の駆動信号Vdr1を受電してオンオフする。
【0017】
40は充放電回路、41は第1のコンデンサ、42は第2のコンデンサである。充放電回路40は、第1の駆動信号Vdr1を受電し、その立ち上がりに同期して第1及び第2のコンデンサ41,42を所定の電流で充放電する。第1のコンデンサ41が放電されている時は第2のコンデンサ42を充電し、第1のコンデンサ41を充電している時は第2のコンデンサ42を放電する。第2の制御駆動回路24は第1のコンデンサ41の電圧Vc1と第2のコンデンサ42の電圧Vc2、第2の電流信号Vi2、電圧信号Veを受電し、Vc1とVc2が交差する時点で立ち上がり、所定のオン期間を有する第2の駆動信号Vdr2を出力する。第2のスイッチング手段22は第2の駆動信号Vdr2を受電してオンオフする。
【0018】
以上のように構成されたインターリーブ方式スイッチングコンバータについて、図2も加えてより詳細な動作について説明する。図2(a)は第1の制御駆動回路14から出力される第1の駆動信号Vdr1である。Vdr1が立ち上がると第1のスイッチング手段12がオンし、第1のチョーク11に励磁電流が流れる。この電流を第1の電流検出手段15が検出して、図2(d)のような第1の電流信号Vi1を出力する。Vi1は電圧信号Veと比較されて、Vi1がVeを越えるとVdr1は立ち下がり、第1のスイッチング手段12はオフする。
【0019】
第1のチョーク11に蓄えられたエネルギーは出力へ放出され、図2(i)のように消磁電流Id1が第1のダイオード13を流れる。従って第1のスイッチングコンバータ10の入力電流Ii1は図2(f)のようになる。
【0020】
図2(b)は第1及び第2のコンデンサ41,42の電圧Vc1,Vc2である。第1の駆動信号Vdr1を受電した充放電回路40によって、Vdr1の立ち上がりに同期して各々充放電される。
【0021】
Vc1とVc2を受電した第2の制御駆動回路24は、図2(c)のように両者の交差時点で第2の駆動信号Vdr2を立ち上げる。Vdr2を受電した第2のスイッチング手段22はオンし、第2のチョーク21に励磁電流が流れる。この電流を第2の電流検出手段25が検出して、図2(e)のような第2の電流信号Vi2を出力する。Vi2は電圧信号Veと比較されて、Vi2がVeを越えるとVdr2は立ち下がり、第2のスイッチング手段22はオフする。
【0022】
第2のチョーク21に蓄えられたエネルギーは出力へ放出され、図2(j)のように消磁電流Id2が第2のダイオード23を流れる。従って第2の昇圧コンバータ20の入力電流Ii2は図2(g)のようになる。電圧信号Veは出力直流電圧が上昇すると低下し、低下すると上昇するので出力直流電圧が安定化するように各スイッチング手段12,22のデューティ比が制御される。第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電電流が等しい定電流であるとすると、第1の駆動信号Vdr1の立ち上がりから半スイッチング周期遅れた時点でVc1とVc2は交差する。
【0023】
即ち、第1及び第2の昇圧コンバータ10,20は、半スイッチング周期の位相差を有するインターリーブ方式スイッチングコンバータを構成する。このコンバータの入力電流IiはIi1+Ii2であるから図2(h)のようになり、出力コンデンサ2への充電電流IcはId1+Id2であるから図2(k)のようになる。
【0024】
図3は充放電回路40と第2の制御駆動回路24のより具体的な回路構成例を示す。図3において、400は制御回路用バイアス電源であり、通常チョークなどに別巻線を設けてコンバータ動作中に発生する電圧を整流平滑して得る。401はD形フリップフロップ、402〜405は抵抗、406〜411はダイオード、412〜415はトランジスタ、416、417は充放電電流を制御する抵抗であり、以上の部品で充放電回路40を構成する。241はコンパレータ、242はインバータ、243はEX−OR回路で、その出力を反転している。244はコンパレータ、245はRSフリップフロップで、以上の部品で第2の制御駆動回路24を構成している。
【0025】
その要部波形を図4に示し、図3の回路の動作を図4を用いて以下に説明する。
【0026】
図4(a)は第1の駆動信号Vdr1である。これをCK端子で受電したD形フリップフロップ401は、図4(b)及び図4(c)のようにVdr1の立ち上がりに同期して反転する信号V1及びV2を出力する。
【0027】
図4(d)はトランジスタ412〜415のオンオフの状態を示す。V1:H、V2:Lの時、PNPトランジスタ412とNPNトランジスタ415はオフ、NPNトランジスタ413とPNPトランジスタ414がオンしているので、第1のコンデンサ41は放電、第2のコンデンサ42は充電され、逆にV1:L、V2:Hの時は第1のコンデンサ41は充電、第2のコンデンサ42は放電される。
【0028】
図4(e)はこの充放電の様子を示す。抵抗416と417の抵抗値をR、ダイオード406〜411の順方向電圧降下とトランジスタ412〜415のベース・エミッタ電圧が等しくVdであるとすると、充放電電流はVd/Rの定電流となる。コンパレータ241は第1及び第2のコンデンサ41,42の電圧Vc1,Vc2を入力され、図4(f)のように両電圧の交差時点で反転する信号V3を出力する。
【0029】
インバータ242とEX−OR回路243は信号V3を入力され、図4(g)のようにV3の反転に同期したワンショットパルスV4を出力する。RSフリップフロップ245はワンショットパルスV4をセット端子に入力され、これに同期してその出力即ち第2の駆動信号Vdr2を立ち上げる。一方、リセット端子には、図4(h),(i)のように第2の電流信号Vi2と電圧信号Veとを比較したコンパレータ244の出力V5が入力され、図4(j)のようにVdr2をV5に同期して立ち下げる。
【0030】
なお、図2(b)や図4(e)のように第1及び第2のコンデンサ41,42の電圧が浮いていると、入出力条件の急変などでスイッチング周期が急変するような場合、図5のように充放電のバランスが偏ってしまうことがある。このような問題を解決するには、第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電において充電電流より放電電流を若干多く設定すればよい。このようにすれば過渡的にバランスを崩すことはあっても、いずれ放電終了時のコンデンサの電圧は零電圧近辺に落ち着く。
【0031】
またVc1とVc2の交差時点が早くなるので、Vdr2が立ち上がるまでの遅れ時間を補正することができる。
【0032】
さらに、第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電において、充電電流より放電電流を多く設定することを積極的に利用すれば、半スイッチング周期内の任意の遅れ時間で第2の駆動信号を立ち上げることが可能である。この様子を図6に示す。
【0033】
第1及び第2のコンデンサ41,42のキャパシタンスをC、スイッチング周期をTs、充電電流をIchとすると、充電時の第1のコンデンサ電圧Vc1は、Vc1=Ich・t/C、充電終了時の電圧Vchは、Vch=Ich・Ts/Cで表される。一方、放電電流をA・Ich(A>1)とすると、放電時の第2のコンデンサの電圧Vc2は、Vc2=Ich・Ts/C−A・Ich・t/C=(Ts−A・t)・Ich/Cとなる。交差時点は、Vc1=Vc2より、t=Ts/(1+A)となる。即ち、遅れ時間Tdをスイッチング周期の1/(1+A)にできる。
【0034】
(実施の形態2)
図7は本発明のインターリーブ方式スイッチングコンバータの他の実施の形態の回路構成図、図8及び図9は各部動作波形図を示す。図7において、図1と異なるのは、第1のチョーク11にリセット検出巻線111が施されている点である。
【0035】
また、リセット検出巻線111の電圧を受電する第1の制御駆動回路14は、第1のダイオード13が消磁電流を流し終えてオフすることによる第1のチョーク11の電圧反転を検出し、第1の駆動信号Vdr1を立ち上げる機能を有する。
【0036】
即ち、第1の昇圧コンバータ10は臨界モード動作をする。臨界モードでは、ダイオードリカバリーノイズが発生しないという長所があるが、入出力リップル電流が大きいという短所と、入力電圧が高いほど、また出力電流が小さいほどスイッチング周波数が高くなるという特性がある。
【0037】
以下に、本発明ではスイッチング周波数が変動しても、スイッチング周期の所定の割合の時間だけ遅れて第2の昇圧コンバータが動作できることを図8と図9を用いて説明する。
【0038】
図8において(a)は第1の駆動信号Vdr1である。Vdr1が立ち上がると第1のスイッチング手段12がオンし、第1のチョーク11にゼロから直線的に増加する励磁電流が流れる。この電流を第1の電流検出手段15が検出し、第1の制御駆動回路14によって電圧信号Veと比較され、所定値に達するとVdr1は立ち下がり、第1のスイッチング手段12はオフする。第1のチョーク11に蓄えられたエネルギーは出力へ放出され、図8(f)のように消磁電流Id1が第1のダイオード13を流れる。
【0039】
この消磁電流が流れ終わって第1のチョーク11の電圧が反転すると、この電圧反転をリセット検出巻線111を介して検出した第1の制御駆動回路14は再び第1の駆動信号Vdr1を立ち上げ、上記動作を繰り返す。
【0040】
従って、第1の昇圧コンバータ10の入力電流Ii1は図8(d)のようになる。図8(b)は第1及び第2のコンデンサ41,42の電圧Vc1,Vc2である。第1の駆動信号Vdr1を受電した充放電回路40によって、Vdr1の立ち上がりに同期して各々充放電される。Vc1とVc2を受電した第2の制御駆動回路24は、図8(c)のように両者の交差時点で第2の駆動信号Vdr2を立ち上げる。Vdr2を受電した第2のスイッチング手段22はオンし、第2のチョーク21にゼロから直線的に増加する励磁電流が流れる。この電流を第2の電流検出手段25が検出して、第2の制御駆動回路24によって電圧信号Veと比較される。
【0041】
第2のスイッチング手段22に流れる電流が所定値になるとVdr2は立ち下がり、第2のスイッチング手段22はオフする。第2のチョーク21に蓄えられたエネルギーは出力へ放出され、図8(f)のように消磁電流Id2が第2のダイオード23を流れる。第2のチョーク21のインダクタンスを第1のチョーク11のインダクタンスと等しいかそれ以下に設定しておけば、第2のチョーク21に蓄えられるエネルギーは第1のチョーク11に蓄えられるエネルギーと等しいかそれ以下となるので、再びVdr2が立ち上がる時には第2のチョーク21に蓄えられたエネルギーは出力へ放出され終わっている。従って第2の昇圧コンバータ20の入力電流Ii2は図8(d)のようになる。
【0042】
第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電電流が充電電流より放電電流が若干多い定電流であるとすると、第1の駆動信号Vdr1の立ち上がりから約半スイッチング周期遅れた時点で、Vc1とVc2は交差する。即ち第1及び第2の昇圧コンバータ10,20は、半スイッチング周期の位相差を有するインターリーブ方式スイッチングコンバータを構成する。このコンバータの入力電流IiはIil+Ii2であるから図8(e)のようになり、出力コンデンサ2への充電電流IcはId1+Id2であるから図8(g)のようになる。
【0043】
次に図9は図8の動作から出力電流が小さくなった条件での各部動作波形を示す。スイッチング周期が短くなるが、図9(b)のように第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電電圧Vc1,Vc2の振幅が小さくなり、それらの交差時点はやはりスイッチング周期のほぼ半分に落ち着いている。
【0044】
即ち、本発明は、臨界モードのようにスイッチング周期の変動するようなスイッチングコンバータに対しても、そのスイッチング周期の所定の割合の時間だけ遅れて第2のスイッチングコンバータが動作できる。
【0045】
(実施の形態3)
図10は本発明のインターリーブ方式スイッチングコンバータの一実施の形態の要部である充放電回路と第2の制御駆動回路の回路構成であり、図11はその各部動作波形図である。図10は図3の回路に、D形フリップフロップ401の出力V1とコンパレータ241の出力V3を入力されるAND回路418とNOR回路419、抵抗420と421、第1のコンデンサ41を急速放電するトランジスタ422とダイオード423、第2のコンデンサ42を急速放電するトランジスタ424とダイオード425が急速に放電する手段として付加されたものである。
【0046】
なお、図10中において図3と共通する構成要素400、402〜417、242〜245は省略した。以下に図11を用いて動作を説明する。
【0047】
図11(a)は第1の駆動信号Vdr1である。これをCK端子で受電したD形フリップフロップ401は、図11(b)のようにVdr1の立ち上がりに同期して反転する信号V1を出力する。第1及び第2のコンデンサ41,42は信号V1に基づき、充放電されることは図3の回路と同様である。図11(d)は図11(c)に示す第1及び第2のコンデンサ41,42の電圧Vc1,Vc2を受電するコンパレータ241の出力V3であり、信号V3に基づき、図11(g)のように第2のドライブ信号Vdr2が得られることも図3の回路と同様である。
【0048】
図11(e)はV1とV3を入力されたAND回路418の出力信号V6、図11(f)はV1とV3を入力されたNOR回路の出力信号V7である。信号V6によって駆動されたトランジスタ422は、放電状態にあったVc1がVc2を下回った後、充電を開始されるまでの期間第1のコンデンサ41を零電位近辺まで急速放電する。
【0049】
一方、信号V7によって駆動されたトランジスタ424は、放電状態にあったVc2がVc1を下回った後、充電を開始されるまでの期間第2のコンデンサ42を零電位近辺まで急速放電する。
【0050】
以上のように、定常状態では図3の回路との差異はないが、入出力条件の変動に伴うスイッチング周期の変動に対し、各コンデンサが必ず零電位近辺から充電されるので、第1及び第2のコンデンサ41,42の充放電バランスが速やかに取れる。即ち第2の昇圧コンバータ20の遅れ時間を過渡状態においても安定させることができる。
【0051】
なお、実施の形態1から2において、スイッチングコンバータに昇圧コンバータを用いて説明してきたが、その他のスイッチングコンバータにも本発明が適用できることは言うまでもあるまい。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、簡易な制御方式によるインターリーブ方式スイッチングコンバータが提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるインターリーブ方式スイッチングコンバータの回路構成図
【図2】同各部の動作波形図
【図3】同要部である充放電回路と第2の制御駆動回路の具体的な回路構成図
【図4】同各部動作波形図
【図5】第1及び第2のコンデンサの充放電バランスが崩れた状態を説明する動作波形図
【図6】同応用展開例の動作波形図
【図7】本発明の他の実施の形態のインターリーブ方式スイッチングコンバータの回路構成図
【図8】同各部動作波形図
【図9】同各部動作波形図
【図10】本発明の他の実施の形態のインターリーブ方式スイッチングコンバータの要部である充放電回路と第2の制御駆動回路の回路構成図
【図11】同各部動作波形図
【図12】従来のインターリーブ方式スイッチングコンバータの回路構成図
【図13】同各部動作波形図
【符号の説明】
10 第1のスイッチングコンバータ
12 第1のスイッチング手段
14 第1の制御駆動回路
20 第2のスイッチングコンバータ
22 第2のスイッチング手段
24 第2の制御駆動回路
40 充放電回路
41 第1のコンデンサ
42 第2のコンデンサ

Claims (1)

  1. スイッチング周波数が変動するインターリーブ方式スイッチングコンバータであって、少なくとも第1のスイッチング手段と所定のデューティ比を有する第1の駆動信号を出力して前記第1のスイッチング手段を駆動する第1の制御駆動回路を有する第1のスイッチングコンバータと、前記第1のスイッチングコンバータと並列に接続された少なくとも第2のスイッチング手段と所定のオン期間を有する第2の駆動信号を出力して前記第2のスイッチング手段を駆動する第2の制御駆動回路を有する第2のスイッチングコンバータと、第1及び第2のコンデンサと、前記第1の駆動信号の立ち上がりに同期して前記第1のコンデンサを繰り返し充放電するとともに前記第1のコンデンサを充電する時は前記第2のコンデンサを放電し、前記第1のコンデンサを放電する時は前記第2のコンデンサを充電する充放電回路とから構成され、前記第2の制御駆動回路の第2の駆動信号の出力は、前記第1及び第2のコンデンサの電圧を比較し両電圧差の反転に同期して行われ、さらに 第1、第2のコンデンサに放電時において両電圧差の反転検出から充電開始までの期間内に零電圧又は零電圧近くまで放電する手段を設けたインターリーブ方式スイッチングコンバータ。
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