JP3569664B2 - 土木建築用二液硬化性ウレタン組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は土木建築用二液硬化性ウレタン組成物に関し、より詳しくはジエン系液状ポリマーポリオール系二液硬化性ウレタン組成物の改良に関するする。
【0002】
【従来の技術】
土木建築用二液硬化性ウレタン組成物は、屋上、ベランダ、廊下、室内外の床などに塗膜防水材、塗り床材、弾性舗装材として、又工場床、各種蓄液槽などの重防蝕塗料として大量に使用されている。
土木建築用二液硬化性ウレタン組成物としては、ポリオールと芳香族イソシアネートとの反応によって得られたイソシアネート末端プレポリマーを主剤として、各種添加剤中にポリオールを含有する組成物を硬化剤とする二液硬化性ウレタン組成物が主として使用されているが、使用されるポリオールの種類によってポリプロピレンエーテルポリオール系ウレタンとジエン系液状ポリマーポリオール系ウレタンに2大別される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ポリプロピレンエーテルポリオールが、他のポリオールと比較して安価であり低粘度であるという理由で、土木建築用ウレタン組成物の原料として多量に使用されている。
土木建築用ウレタン組成物の主な用途は、ビルデングの屋上、ベランダ、廊下などの防水、スポーツ施設の弾性舗装、室内外の塗り床などであり、そのほとんどが屋外の仕上げ材として用いられている。上記のような条件下では、直射日光により長時間高温に曝されたり、雨などにより水に浸漬した状態が続いたりする為、土木建築用ウレタン組成物は、高い耐熱性、耐加水分解性(以後、この二つの耐久性を合わせて、耐熱湿性と呼ぶ)が要求されるが、ポリプロピレンエーテルポリオール系ウレタンでは充分な耐熱湿性が得られていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、ジエン系液状ポリオール系ウレタンを原料とする土木建築用ウレタン組成物は、ポリプロピレンポリオール系ウレタンと比較して、高い耐熱湿性を有するが、ジエン系液状ポリオールは高粘度であり、また石油樹脂により強度を補強する必要がある為に、その硬化剤、及び混合液の粘度が高くなる欠点がある。そのため、消泡性に問題が生じ、充分な仕上がり感が得られず、仕上げ材としての要求を満たしていないのが現状である。さらに、工事現場では、できるだけ短い時間でゴム状の塗膜を形成させる必要があり、従来の技術では、見かけの硬化を早めるという方法がとられており、そのために主剤中のNCO含有量を高くするという手段が用いられてきた。その結果、主剤中にポリイソシアネートモノマーを遊離の状態で残存させることになり、このことがウレタン組成物の物理的物性の発現を阻害すると同時に、ポリイソシアネートモノマーの蒸気による作業環境の低下や消泡性及びレベリング性の障害ともなっており、充分な作業性が得られない原因となっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来の技術がかかえる上記の課題を解決するため鋭意研究を行なった結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、1分子中の炭素数が6〜20個の分岐状炭素鎖に2個の水酸基が結合するか、もしくは、炭素数が5〜20個の直鎖炭素鎖に対して非対称の位置に少なくとも2個の水酸基が結合した低分子脂肪族ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、ジエン系液状ポリマーポリオールと石油樹脂を主成分とする硬化剤からなる二液硬化性ウレタン組成物を提供する。
1つの好ましい形態において、ポリイソシアネートは、脂肪族系、脂環族系または芳香族系ポリイソシアネートのいずれかであり、1分子中に2個以下のイソシアネート基を有する。
別の好ましい形態において、石油樹脂は、軟化点60〜180℃を有する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において主剤の主成分として使用されるイソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネートと低分子脂肪族ポリオールとを芳香族系溶媒中で反応することによって製造される。
この場合、得られるプレポリマー中に遊離の状態で残存するポリイソシアネート量をできるだけ少なくするため、仕込ポリイソシアネートと低分子脂肪族ポリオールとはNCO/OHの当量比が2:1を超えないように仕込で反応させることが望ましい。尚、必要に応じて安定なプレポリマーが得られる範囲において、低分子脂肪族ポリオールの一部をその他のポオリール(脂肪族、芳香族ポリオール及びポリマーポリオール等)に置き換えることができる。
【0007】
イソシアネート末端プレポリマーの一方の原料であるポリイソシアネートとしては、1分子中にイソシアネート基を2個〜3個を有するポリイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート化合物、脂環族系イソシアネート化合物、脂肪族系イソシアネート化合物などを使用できるが、トルエンジイソシアネート(以下、TDIと略称する)が好ましい。
【0008】
他方の原料である低分子脂肪族ポリオールとしては、1分子中の炭素数が6〜20個の分岐状炭素鎖に2個の水酸基が結合するか、もしくは、炭素数が5〜20個の直鎖炭素鎖に対して非対称の位置に少なくとも2個の水酸基が結合した低分子脂肪族ポリオールが用いられる。最も好ましいポリオールの例は、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,5−ペンタンジオールである。
【0009】
イソシアネート末端プレポリマーの粘度を調整するため、もしくは、主剤・硬化剤の混合比の変化に応じて溶液中のイソシアネート含有率を調整するために、溶液中の固形分濃度はトルエン、キシレンなどの溶剤により適宜調整される。
【0010】
ジエン系液状ポリマーポリオールの好ましい例としては、室温で流動性を有し、分子両末端に水酸基を有する平均分子量500〜10000のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン/イソプレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/ブタジエン共重合体およびこれらの混合体が挙げられる。
【0011】
本発明において硬化剤の必須成分として使用する水酸基末端液状ポリブタジエンゴムとしては、出光石油化学社製Poly bd R45HT(OH価=0.83〜0.81meq/g)(以下Poly bdと略す)が好ましく使用される。Poly bdの架橋物は、通常のポリウレタンと同様にウレタン結合を含むが、主鎖にポリエーテル、ポリエステル結合を持たないため通常のポリウレタンと異なり、優れた耐熱性、耐加水分解性を有する。特に耐加水分解性は、土木建築用二液硬化性ウレタン組成物の耐久性の中でも最も重要であり、Poly bdを使用することにより、従来型の二液硬化性ウレタン組成物の欠点であった高度な耐加水分解性を達成することができる。
【0012】
本発明の硬化剤において使用されるPoly bdの物理的強度を改善し、更に耐水性を補強するために、本発明では石油樹脂を使用する。石油樹脂は、Poly bdと相溶性が良いものの中から、目的とする塗膜物性に対応して適宜選択することが出来る。
本発明において使用される石油樹脂としては、軟化点60〜180℃および平均分子量500〜3000、特に軟化点70〜130℃および平均分子量800〜1500の石油樹脂が好ましい。
石油樹脂は、石油精製プロセスで得られる特定留分の重合可能な物質を単離精製することなく樹脂化したものの総称である。従って、詳細な組成を示すことはできないが、その単量体組成からすると、例えばイソプレン、ピペリレン、2‐メチルブテン‐1または2などから成る脂肪族系共重合体および、例えばスチレン、ビニルトルエン、α‐メチルトルエン、クマロン、インデンなどから成る芳香族系共重合体に大別される。
【0013】
本発明において使用される液状ポリマー組成物には、必要に応じて粉末充填剤、老化防止剤、顔料分散剤、消泡剤、触媒などの添加物を配合することができる。
粉末充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどの無機粉末、着色用顔料などが挙げられる。粉末充填剤の配合量は液状ポリマー100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは、50〜200重量部である。
老化防止剤としては、通常のゴム製品に配合されるもの、例えばアミン系およびフェノール系の老化防止剤を使用することができる。これらの配合量は液状ポリマー100重量部に対して0.1〜10重量部が適当である。
顔料分散剤としては、ポリエステルポリオール系の顔料分散剤を使用することができる。これらの配合量は液状ポリマー100重量部に対して0.1〜2重量部が適当である。
消泡剤としては、シリコン系消泡剤を使用することができる。これらの配合量は液状ポリマー100重量部に対して0.1〜2重量部が適当である。
触媒としては、オクテン酸鉛、ジブチルスズジラウレートなどの有機金属化合物、トリエチルアミンなどのアミン類などが用いられる。これらの配合量は液状ポリマー100重量部に対して0.01〜4重量部が適当である。
【0014】
本発明の組成物を用いて施工するには、ポリイソシアネートと低分子脂肪族ポリオールとの溶媒中の反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、水酸基末端ポリブタジエンと必要に応じてポリオール、石油樹脂、充填剤、各種添加剤、溶剤,触媒などを含む硬化剤を施工現場において、主剤のイソシアネート基と硬化剤の水酸基との当量が0.9〜1.5となるように混合して被塗装物上に塗布し、硬化させる。主剤のイソシアネート基と硬化剤の水酸基の当量比が0.9〜1.5範囲外では本発明が目的とする物理的物性は得られない。
【0015】
本発明の組成物は、主剤、硬化剤混合後、可使時間を充分長くしても物性発現性が優れ且つ、物理的強度と伸びのバランスが優れ、耐熱湿性に優れた硬化塗膜を得ることが出来る。
【0016】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して、本発明を具体的に説明する。実施例に使用する記号はそれぞれ下記の意味を有する。表中の“←”は左欄の数値と同じ値であることを示す。尚、配合量は重量部で表記している。
【0017】
(主剤)
TDI−80:トルエンジイソシアネート コスモネートT80/20 2,4体(80%)、2,6体(20%) (三井化学社製)
OG:2−エチル−1,3−ヘキサンジオール オクタンジオール(協和発酵社製)
PD−9:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール キョーワジオール(協和発酵社製)
MPD:1‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール(クラレ社製)
Poly bd:水酸基末端ポリブタジエン 水酸基含有量(meq/g=0.81〜0.83)(出光石油化学社製)
D−3000:ポリプロピレンエーテルジオール ハイフレックスD−3000
分子量3000(第一工業製薬社製)
D−1000:ポリプロピレンエーテルジオール ハイフレックスD−1000
分子量1000(第一工業製薬社製)
T−150:ポリエーテルポリオール ポリハードナーT150 分子量1500(第一工業製薬社製)
トルエン:トルエン(ゼネラル石油化学工業社製)
【0018】
(硬化剤)
Poly bd、D−3000、トルエンは主剤欄と同じ
MN−5000:ポリエーテルポリオール 三井ポリオールMN−5000 分子量5000(三井化学社製)
MOCA:4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン イハラキュアミン(登録商標)MT(イハラケミカル工業社製)
石油樹脂:石油樹脂(C8〜C10芳香族炭化水素留分重合物)(日本石油化学社製)
炭酸カルシウム:無機充填剤(竹原化学工業社製)
TN−12:ジブチル錫ジラウレート(堺化学工業社製)
P−17:脂肪族モノカルボン酸鉛,ミネラルスピリット混合物(活材ケミカル社製)
【0019】
(可使時間)
主剤と硬化剤を混合した後、支障なく塗工できる限度の時間(分)(混合後の粘度が10万mPa・Sに達するまでの時間)である。
【0020】
(硬化塗膜の物性)
基礎物性:塗工後塗膜を23℃±2℃雰囲気下で、7日間硬化させた後、JIS A−6021に準じて行なう塗膜物性試験結果(JIS規格では、破断伸びは450%以上、引張強度は2.3N/mm2以上)
物性発現性:塗工後塗膜を23℃±2℃雰囲気下で、1日、2日、3日、14日間硬化させたものについて、それぞれ塗膜物性試験を行い、基礎物性と比較し、発現性を評価する。
耐熱湿性:塗工後塗膜を60℃雰囲気下で、2日間硬化後、3%NaOH水溶液中に浸漬、100℃で8時間煮沸、その後、室温で16時間放置するのを1サイクルとして、3サイクル後、5サイクル後に検体を取り出し、流水で1時間以上洗浄、室温にて16時間以上乾燥させた後の塗膜物性試験結果の引張強度を基礎物性の引張強度に対する比で示したものを、保持率とし、耐熱湿性を評価する目安とする。
【0021】
(主剤(イソシアネート末端プレポリマー)の調製)
2リットルのガラス製セパラブルフラスコに各表の配合に従ってT−80/20とトルエンを仕込み、窒素雰囲気下でOGなどの低分子ポリオール、Polybd、D−3000、T−1500などを、それぞれNCO/OH当量比が2/1になるように徐々に加え、80±5℃で2〜5時間、加熱攪拌し、反応を完結させたイソシアネートプレポリマー(主剤)を調製した。
【0022】
(硬化剤の調製)
3リットルの円筒型開放容器に各表の配合に従がってPoly bd、D−3000、MN−5000、DOPなどを仕込み、次に石油樹脂、MOCA、トルエン等を仕込み、105℃に加熱溶解し、30℃に冷却した後、炭酸カルシウムを仕込み、10分間攪拌して硬化剤を調製した。
【0023】
(塗膜物性測定用塗膜の作成)
室温に12時間以上静置した主剤及び硬化剤を各表の主剤と硬化剤の重量比に従ってプラスチック製ビーカーに取り、3分間攪拌した後ガラス板上に1.0±0.5mmになるよう流し塗りを行い、このまま室温(23±2℃)で硬化させ塗膜物性測定用の塗膜を作成した。
【0024】
実施.1〜3及び比較例1
実施例1〜3は、表1の配合に従って調製した低分子脂肪族ポリオールとTDIを反応させて得られる主剤と、表1の配合に従って調製したPoly bdと石油樹脂、トルエンからなる硬化剤を、主剤/硬化剤=1/6の重量比で混合し、ガラス板上に1.0±0.5mmになるよう流し塗りを行い、 60℃で2日間硬化させた塗膜物性測定用の試験片を作成し、その物性を測定した結果である。
【0025】
【表1】
【0026】
実施例1〜3に見られるように、いずれの低分子脂肪族ポリオールを使用しても、低粘度で低温安定性に優れた主剤が得られ、又、ウレタン組成物の物性も土木建築用として非常に優れた性能を示すことがわかる。比較例1は、表1の配合に従って調製した従来の水酸基末端ポリブタジエンとTDIを反応させて得られる主剤を用いたときの結果であり、実施例1〜3の方が、明らかに物性面において優れていることが分かる。
【0027】
【実施例4〜8及び比較例2〜6】
実施例4〜8は、表2の配合に従って調製した低分子脂肪族ポリオールとTDIとを反応させて得られる主剤と、表2の配合に従って調製したPoly bdの重量比率を変化させた硬化剤とを、主剤/硬化剤=1/10の重量比で混合し、ガラス板上に1.0±0.5mmになるよう流し塗りを行い室温(23±2℃)で硬化させた塗膜物性測定用の試験片を作成し、その物性を測定した結果である。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
表3より、Poly bdの重量部が24〜25の辺りに、物性発現性・強度と伸びのバランス及び耐熱湿性を総合的に評価したときの土木建築用ウレタン組成物としての性能のピークがあることがわかる。
比較例2〜6は、表2の配合に従って調製した従来の水酸基末端ポリブタジエンとTDIとを反応させて得られる主剤と、表2の配合に従って調製したPoly bdの重量比率を変化させた硬化剤と用いたときの結果であり、表3より、Poly bdの重量部が18〜19の辺りに物性発現性・強度と伸びのバランス及び耐熱湿性を総合的に評価したときの土木建築用ウレタン組成物としての性能のピークが見られる。従って、以後硬化剤中のPoly bdの重量部を実施例では24.7及び、比較例では18.7に取り、硬化剤を調製することにする。
【0031】
さらに、実施例4〜8(低分子脂肪族ポリオールとTDIを反応させて得られる主剤を用いた時)の方が、比較例2〜6(従来の水酸基末端ポリブタジエンとTDIを反応させて得られる主剤を用いたとき)と比べて、物性だけでなく、その物性発現性、耐熱湿性も向上しており、土木建築用ウレタン組成物として、より優れていることがはっきりと分かる。
【0032】
実施例9〜13及び比較例7〜11
実施例9〜13は、表4の配合に従って調製した主剤と硬化剤とを用いて、混合重量比を変化させずに、そのNCO/OH当量比を微量のT−80/20で1.1〜1.5に調整し、その性能を評価した結果である。
【0033】
【表4】
【0034】
【表5】
【0035】
表5より、NCO/OH当量比が1.3の辺りに土木建築用ウレタン組成物としての性能のピークが見られる。
比較例7〜11は、表.4の配合に従って調製した主剤と硬化剤とを用いて、混合重量比を変化させずに、そのNCO/OH当量比を微量のEGもしくは、T−80/20で1.1〜1.5に調整し、その性能を評価した結果である。表5より、NCO/OH当量比が1.3の辺りに土木建築用ウレタン組成物としての性能のピークが見られる。
【0036】
さらに、表5の実施例9〜13と比較例7〜11より、それぞれ破断時の伸びはほぼ同等であるが、物性発現性と引張強さ、引裂き強さ、及び耐熱湿性に顕著な格差が見られる。このことから、低分子脂肪族ポリオールとTDIを反応させて得られる主剤と、ジエン系液状ポリマーポリオールと石油樹脂からなる硬化剤からなる二液硬化性ウレタン組成物の方が、土木建築用としてはるかに優れた性能を有していることが明らかに分かる。
【0037】
実施例14〜17及び比較例12〜16
実施例14〜17と比較例12〜16は、表6の配合に従って調製した主剤と、表6の配合に従って調製した、石油樹脂と炭酸カルシウムの配合比を変化させた硬化剤とを、主剤/硬化剤=1/10の重量比で混合し、ガラス板上に1.0±0.5mmになるよう流し塗りを行い室温(23±2℃)で硬化させた塗膜物性測定用の試験片を作成し、その物性を測定した結果である。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
表7より、実施例、比較例共に、石油樹脂の減量に伴い、伸びの低下が顕著に見られる。従って、石油樹脂による補強効果は明らかであり、ジエン系液状ポリマーポリオールを硬化剤の主成分として用いる場合には、石油樹脂を添加する必要がある。
【0041】
【実施例18〜22及び比較例17〜21】
実施例18〜22は、表8の配合に従って調製した主剤と硬化剤とを用いて、可使時間を40分〜120分に変化させた場合の結果である。
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
表9より明らかなように、この範囲で可使時間を変化させても、物性発現性には、なんら影響を与えない。従来の土木建築用二液硬化性ウレタン組成物は、物性発現性の問題から、可使時間を40分〜60分程度までしか採ることができなかったが、本発明が提供するウレタン組成物は、可使時間を120分にしても問題が生じず、主剤・硬化剤混合後の低粘度保持時間を十分長く取れ、結果、消泡性とレベリング性、及び作業性を従来に比べて格段に向上させることができる。
比較例17〜21は、表8の配合に従って調製した主剤と硬化剤とを用いて、可使時間を40分〜120分に変化させた場合の結果である。表9より、比較例17〜21では、実施例18〜22と同じ可使時間に調整するには倍以上の触媒を必要とし、このことから、低分子脂肪族ポリオールとTDIを反応させて得られる主剤を用いる方が反応性が良いことが分かる。金属触媒は、塗膜の耐熱性を低下させる要因であることが知られており、表9からも、触媒量が少ない方が、耐熱湿性が優れていることが分かる。従って、低分子脂肪族ポリオールとTDIを反応させて得られる反応性に富む主剤を用いる方が、より耐熱性に優れた土木建築用ウレタン組成物を得ることができる。
【0045】
実施例23〜27及び比較例22〜26
実施例23〜27は、表10の配合に従って調製した主剤と硬化剤とを用いて、25℃での可使時間を40分〜120分に変化させ、且つ、温度を10℃雰囲気下で塗膜物性測定用の試験片を作成した場合の結果である。
【0046】
【表10】
【0047】
【表11】
【0048】
表11より、いずれの場合も、この低温(10℃)雰囲気下でも十分な物性発現性が得られる事がわかる。このことから、低分子脂肪族ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする主剤用いるウレタン組成物は、冬場にも問題なく使用することができる。一方、比較例22〜26では、物性発現性の低下が顕著であり、土木建築用としては、冬場の使用が難しいことがわかる。
【0049】
比較例27〜35
比較例27〜35は、一般の土木建築用二液硬化性PPGウレタン組成物の標準的な配合である。表12に従って、主剤、硬化剤を調製・混合し、ガラス板上に1.0±0.5mmになるよう流し塗りを行い、このまま室温(23±2℃)で硬化させ塗膜物性測定用の塗膜を作成し、その物性を測定した。
【0050】
【表12】
【0051】
【表13】
【0052】
表13より、物性発現性及び、基礎物性については、土木建築用二液硬化性ウレタン組成物して十分な性能を示していることが分かる。しかしながら、土木建築用二液硬化性ウレタン組成物としてもっとも重要な性能である耐熱湿性が致命的に悪く、その耐久性は土木建築用二液硬化性ウレタン組成物として十分であるとはいい難いことが分かる
【0053】
【発明の効果】
以上の説明から分かるように、本発明によれば、低分子脂肪族ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤とジエン系液状ポリマーポリオールと石油樹脂を主成分とする硬化剤からなる二液硬化性ウレタン組成物は、主剤・硬化剤混合後の低粘度保持時間が長く、消泡性とレベリング性が良好でかつ物性発現性・強度と伸びのバランス及び耐熱湿性に優れた土木建築用として非常に優れたウレタン組成物が得ることができる。
Claims (4)
- 1分子中の炭素数が6〜20個の分岐状炭素鎖に2個の水酸基が結合するか、もしくは、炭素数が5〜20個の直鎖炭素鎖に対して非対称の位置に少なくとも2個の水酸基が結合した低分子脂肪族ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって得られるイソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤と、ジエン系液状ポリマーポリオールと石油樹脂を主成分とする硬化剤からなる二液硬化性ウレタン組成物。
- 低分子脂肪族ポリオールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールおよび/または1−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1に記載の二液硬化性ウレタン組成物。
- ポリイソシアネートが、脂肪族系、脂環族系または芳香族系ポリイソシアネートのいずれかであり、1分子中に2個以下のイソシアネート基を有する請求項1に記載の二液硬化性ウレタン組成物。
- 石油樹脂が、軟化点60〜180℃を有する請求項1に記載の二液硬化性ウレタン組成物。
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