JP3569584B2 - 水分散性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

水分散性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水分散性樹脂組成物に関し、特に、塗料組成物として好適に用いうる水分散性樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗料は染料及び顔料のような着色剤とこれを塗装面に固着するバインダーとこれらを均一に被覆するための液体媒体とを一般に含む。バインダーは高分子量のポリマーもしくは樹脂であるので本来非水溶性のものが多いが、このような非水溶性バインダーを含有する塗料にはシンナーのような有機溶剤が液体媒体として主に用いられてきた。
【0003】
しかし、近年では、環境に悪影響を与えず、作業者に無害な水性塗料への需要が高まっている。これまでにも、多くの水溶性または水分散性塗料が報告されてきたが、水溶性塗料には本質的に耐水性に劣る欠点が有り、水分散性塗料には塗料組成物の安定性が悪い欠点がある。
【0004】
水分散性塗料の安定性不良の原因は、主に水分散性塗料に用いる水分散性樹脂組成物の分散安定性が乏しいことにある。
【0005】
例えば、特開昭52−47029号公報には、アルコキシメチルアクリルアミドとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とその他の共重合性エチレン性不飽和モノマーとの混合物を水溶性樹脂の存在下重合して得られる共重合体を中和した水分散性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この系では水溶性樹脂と共重合体との相溶性が不十分なので得られる樹脂組成物は水分散安定性に劣る。そのために、これを用いた塗料は塗装作業性に劣り、タレが生じ易い。さらに、得られる塗膜は透明性、平滑性、耐薬品性、耐水性及びはっ水性に劣る。
【0006】
また、特開平3−504138号公報には、(a)カルボキシル基を有するアクリルモノマーを含有するモノマー混合物と(b)水酸基を有するアクリルモノマーを含有するモノマー混合物とを交互に重合し中和することにより得られる水分散性樹脂組成物が開示されているが、酸価を持つポリマーと持たないポリマーとの相溶性が不十分なので、この樹脂組成物は水分散安定性に劣る。そのために、これを用いた塗料では構造粘性が十分に発現しない。さらに、このものは耐薬品性に劣る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、透明性、平滑性、耐薬品性及び耐水性、特にはっ水性に優れる塗膜を形成し、良好な塗装作業性及び分散安定性を有する水性塗料を実現しうる水分散性樹脂組成物及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコポリマー10〜95重量%;及び(b)(1)酸基を有するエチレン性不飽和モノマー2〜75重量%と(2)その他のエチレン性不飽和モノマー25〜98重量%とからなるモノマー混合物5〜90重量%;を含有する出発混合物を、重合開始剤の存在下にラジカル重合する工程、及び
得られる酸基含有樹脂組成物を、中和剤を加えることにより中和する工程、
を包含する水分散性樹脂組成物の製造方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、まず、ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコポリマー、又はこれを有機溶剤に溶解した溶液を約80〜140℃、好ましくは90〜120℃に加熱する。
【0010】
「ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコポリマー」という用語には、ポリシロキサン及びポリシロキサン変性樹脂等が含まれる。
【0011】
本明細書において「ポリシロキサン」とは、主鎖中に式
【化1】
Figure 0003569584
[式中、Rはそれぞれ独立して[異なってもよいという意味です。]アルキル基およびフェニル基のような有機基の残基であり、nは3以上の整数である。]
で示すポリシロキシ部分を有するポリマーおよびコポリマーをいう。
【0012】
主鎖中にポリシロキシ部分を有するコポリマーにおいては、ポリシロキシ部分以外のポリマー主鎖の構造は特に限定されないが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートであることが好ましい。エーテル部分、エステル部分及びカーボネート部分のような凝集力の強い官能性部分がコポリマー中に存在すると得られる塗膜の強度が高まるからである。
【0013】
ポリシロキサンの数平均分子量は好ましくは500〜20000であり、更に好ましくは1000〜10000である。数平均分子量が500を下回ると得られる塗膜がはっ水性に劣る場合がある。1000を下回ると硬化性に劣る場合がある。20000を上回ると重合時に反応が均一に起こらない場合がある。
【0014】
また、ポリシロキサンは主鎖中に連続して5個、好ましくは10個以上のシロキシ部分を有することが好ましい。シロキシ部分の数が5個を下回ると得られる塗膜が耐水性に劣る場合がある。10個を下回ると硬化膜にしたとき十分なはっ水性が得られない場合がある。
【0015】
一般に、ポリシロキサン中のポリシロキシ部分の含有量は20重量%以上、特に30重量%以上とすることが好ましい。ポリシロキシ部分の含有量が20重量%を下回ると得られる塗膜のはっ水性が劣る。
【0016】
ポリシロキシ部分の例には、ジメチルポリシロキシ部分、ジフェニルポリシロキシ部分およびメチルフェニルポリシロキシ部分等が挙げられる。
【0017】
本発明で好ましく用いうるポリシロキサンの具体例には、東レ・ダウコーニング社製の「SH200」、「SH510」、「BY16−817」および「BY16−876」、および東芝シリコーン社製の「TSF456」、「TSF400」および「TSF433」等が挙げられる。
【0018】
各種官能基を有するシリコーンオイル、例えば、アルキル変性シリコーンオイル「BY16−846」(東レ・ダウコーニング社製)、アミノ変性シリコーンオイル「TSF4700」(東芝シリコーン社製)、カルボキシル変性シリコーンオイル「TSF4770」(東芝シリコーン社製)、エポキシ変性シリコーンオイル「TSF4730」(東芝シリコーン社製)、「SF8421」(東レ・ダウコーニング社製)、カルビノール変性シリコーンオイル「SF8427」および「SF8428」(東レ・ダウコーニング社製)、およびポリエーテル部分を有するポリシロキサン樹脂、例えば、ポリエーテル変性シリコーンオイル「TSF4440」、「TSF4460」(東芝シリコーン社製)および「KF945」(信越化学社製)等も本発明のポリシロキサンとして用いうる。
【0019】
本明細書において「ポリシロキサン変性樹脂」とは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびこれらの混合物を含む非水溶性樹脂を、高ポリシロキシ部分含有量のポリシロキサンで変性して得られる樹脂をいい、このようなポリシロキサン変性樹脂は、変性シリコーンビヒクルとも呼ばれる。
【0020】
本明細書において「非水溶性樹脂」とは、水100gに対し1g以下の溶解性を有する樹脂をいう。このような樹脂を用いることにより水溶性樹脂を用いた場合と比較して耐水性に優れる塗膜を提供することを可能にする。
【0021】
この非水溶性樹脂は、重合温度において不揮発性液状であって塗料用バインダーとして当業者に用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくは分子量300〜100000、より好ましくは1000〜50000、および好ましくは水酸基価10〜400、より好ましくは20〜200を有する。分子量が300を下回ると樹脂が揮発性となり加熱により失われる場合が生じ、100000を上回ると重合温度においても液化しない場合が生じる。また、水酸基価が10を下回ると得られる塗膜の硬化性が不良となる場合が生じ、400以上では水溶性となりうる。
【0022】
また、「高ポリシロキシ部分含有量のポリシロキサン」とは、樹脂中に40重量%以上、好ましくは60重量%以上のポリシロキシ部分を有するポリシロキサンをいう。例えば、本発明で好ましく用いうるポリシロキサン及びシリコーンオイルとして既に例示した市販品はこれに含まれる。
【0023】
そして、「変性」とは、非水溶性樹脂に含まれる官能基と上記ポリシロキサンに含まれる官能基とを反応させることにより両者間に化学結合を形成することをいう。例えば、エポキシ変性シリコーンオイル(例えば、東芝シリコーン社製「TSF4730」)で変成されたポリエステルでは、エポキシ変性シリコーンオイル中のエポキシ基とポリエステル中のカルボキシル基とが反応して、エポキシ変性シリコーンオイルとポリエステルとの間に化学結合が形成されている。
【0024】
ポリシロキサン変性樹脂は、20重量%以上、特に30重量%以上のポリシロキシ部分の含有量とすることが好ましい。ポリシロキシ部分の含有量が20重量%を下回ると得られる塗膜のはっ水性が劣る。
【0025】
ポリエステルは、ポリオールとポリカルボン酸または酸無水物とのポリエステル化によって合成される。好ましくは更に長鎖脂肪酸を含む酸成分から合成される。ポリオールの例としては、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのようなトリオール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、水添ビスフェノールA、カプロラクトンジオールおよびビスヒドロキシエチルタウリンのようなジオールが挙げられる。
【0026】
ポリカルボン酸の例としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸およびトリメリット酸等が挙げられる。対応する酸無水物も好ましく用いられる。使用される長鎖脂肪酸の例としては、ステアリン酸およびラウリル酸のような飽和脂肪酸、オレイン酸およびミリスチン酸のような不飽和脂肪酸、およびひまし油、パーム油および大豆油のような天然油脂およびそれらの変性物が挙げられる。
【0027】
ポリエーテルとしては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのようなアルキレンオキシド重合物、およびそれらとポリオールとの付加物が挙げられる。ポリオールの例としては、トリメチロールプロパンおよびヘキサントリオールのようなトリオール、水添ビスフェノールA、カプロラクトンジオールおよびビスヒドロキシエチルタウリンのようなジオールが挙げられる。
【0028】
ポリカーボネートとしては、ジアルキルカーボネートおよびエチレンカーボネートから選ばれるカーボネートと直鎖2価アルコール、分枝2価アルコールおよび3価以上の多価アルコールから選ばれるアルコールとの反応によって得られる樹脂が好ましい。
【0029】
分枝鎖2価アルコールの具体例としては、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−ジヒドロキシエチルベンゼン、1,4−ジヒドロキシエチルオキシベンゼン、ビス(4−ヒドロキシエチルオキシフェニル)プロパンおよびビス(4−(2−ヒドロキシプロピル)オキシフェニル)プロパンのような脂肪族ジオール、およびビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ウンデカンおよびジ(3−ヒドロキシフェニル)エーテルのようなビスフェノールが代表例として挙げられる。
【0030】
また、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンの2量体およびペンタエリスリトール等が代表例として挙げられる。
【0031】
直鎖2価アルコールの具体例としては、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオール等が代表例として挙げられる。
【0032】
ポリウレタンはジオールとジイソシアネート化合物の反応により得られる。ジオールとしては、ポリエーテルジオールまたはポリエステルジオールが一般的である。そのようなものの例としてはアルキレンオキシド、(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチレンオキシド等)および/または複素環式エーテル(テトラヒドロフラン等)を重合または共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコール;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリ−3−メチルペンチルアジペート、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペート;ポリラクトンジオール、例えば、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオール;ポリカーボネートジオール;またはこれらの混合物、並びにジメチロールプロピオン酸のような酸基を含むジオールが挙げられる。
【0033】
ジイソシアネートは脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート;炭素数4〜18の脂環式ジイソシアネート、例えば1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物;およびそれらの混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものの例としてはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
【0034】
エポキシ樹脂の例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、好ましくはトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルおよび水添ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル、アジピン酸、ジグリシジルエステル、水添フタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステルおよび好ましくはトリメリット酸トリグリシジルエステルのようなグリシジルエステル、および3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートおよびビニルシクロヘキセンジオキシドのような脂環式エポキシ等が挙げられる。ERL−4221(UCC社製)、同4299(UCC社製)、エポライト1600(共栄社油脂製)および同4000(共栄社油脂製)、デナコールEX−301、同622、同512および同421(ナガセ化成社製)のような市販品も用いうる。エポキシ樹脂はポリマーであってもよい。
【0035】
アクリル樹脂は、各種の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸エステルのようなエチレン性不飽和モノマー、及びスチレン及びα−メチルスチレンのような芳香族ビニル化合物のホモポリマー及びコポリマーである。
【0036】
エチレン性不飽和モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノエチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノエチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル及びフタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステルのようなカルボキシル基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及びそれらとラクトンとの反応物等のような水酸基含有モノマー;及び(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等のような非官能性モノマー等が挙げられる。
【0037】
アクリル樹脂の数平均分子量は1000〜100000、好ましくは2000〜50000、さらに好ましくは5000〜10000とする。数平均分子量が1000を下回ると得られる塗膜の硬化性が不十分となる場合がある。100000を上回ると重合が均一に進行しない場合がある。
【0038】
アクリル樹脂の酸価は50以下、好ましくは20以下とする。酸価が50を上回ると得られる塗膜のはっ水性が低下する場合がある。
【0039】
また、アクリル樹脂の水酸基価は10〜100、好ましくは20〜80とする。水酸基価が10を下回ると得られる樹脂組成物の硬化性が低下し、100を上回ると得られる塗膜のはっ水性が劣る場合がある。
【0040】
アクリル樹脂の具体例には、例えば、アクリル酸ブチル60重量部、メタクリル酸2重量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10重量部及びスチレン28重量部をキシレン100重量部と混合し、化薬アクゾ社製パーオキサイド重合開始剤「カヤエステル0」5重量部を加えて重合することにより得られるものなどが挙げられる。
【0041】
本発明に好ましく用いうるポリシロキサン変性樹脂の具体例には、例えば、シリコーンアルキドと呼ばれる東芝シリコーン社製の「YR3300」および「TSR184」、シリコーンポリエステルと呼ばれる東芝シリコーン社製の「TSR187」および東レ・ダウコーニング社製の「SR2108」のようなポリシロキサン変性ポリエステル;および東芝シリコーン社製の「TSR170」および信越化学社製の「KR9706」のようなポリシロキサン変性アクリル樹脂が挙げられる。
【0042】
ポリシロキサン又はポリシロキサン変性樹脂は出発混合物の全量を基準にして10〜95重量%、好ましくは25〜95重量%、更に好ましくは55〜95重量%の量で用いられる。ポリシロキサン等の量が10重量%を下回ると平滑性、耐薬品性及びはっ水性の改善が見られない。95重量%を上回ると塗料の分散安定性及び塗膜の硬化性が悪くなる。
【0043】
本発明の方法では、ついで、加熱された、ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコポリマー、又はこれを有機溶剤に溶解した溶液に、モノマー混合物を加え、得られる出発混合物を重合開始剤の存在下重合させる。重合は1〜8時間、特に2〜6時間行うことが好ましい。好ましい態様では、モノマー混合物と重合開始剤とを同時にポリシロキサン等の溶液に、1〜5時間、好ましくは2〜3時間かけて滴下し、その後、0〜4時間、好ましくは1〜2時間重合温度を維持する。
【0044】
本発明で用いるモノマー混合物は、酸基を有するエチレン性不飽和モノマー及びその他のエチレン性不飽和モノマーとからなる。酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、中和においてポリシロキサン又はポリシロキサン変性樹脂に水分散性を提供しうるものであれば特に限定されないが、分子中に炭素原子6個までを有するものが好ましい。分子中の炭素数が6個を上回ると親水性が良好に提供されないからである。
【0045】
本発明で用いられる酸基を有するエチレン性不飽和モノマーは、カルボキシル基、スルホン酸基またはリン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーである。ポリシロキサンに水分散性を付与するのに必要な酸強度を有するからである。
【0046】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例には、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸及びそれらのハーフエステル化物、マレイン酸エチルエステル、フマル酸エチルエステル、イタコン酸エチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル及びフタル酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例には、アクリルアミドt−ブチルスルホン酸、アクリル酸3−スルホニルプロピルエステル、メタクリル酸3−スルホニルプロピルエステル及びイタコン酸ビス(3−スルホニルプロピル)エステル等が挙げられる。
【0048】
リン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例には、アシッドホスホキシエチルメタクリレート、アシッドホスホキシプロピルメタクリレート及びアシッドホスホキシ3−クロロプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0049】
酸基を有するエチレン性不飽和モノマーはモノマー混合物の全量を基準にして2〜75重量%、好ましくは4〜75重量%、さらに好ましくは15〜50重量%の量で用いられる。酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの量が2重量%を下回ると分散性が不良となり、75重量%を上回ると重合が均一に進行しない場合が生じる。
【0050】
その他のエチレン性不飽和モノマーは、酸基含有モノマーによりポリシロキサン等に付与される水分散性を阻害せず、酸基と共存しうるものであれば特に限定されないが、アミド基を有するエチレン性不飽和モノマーが好ましい。アミド基を有するエチレン性不飽和モノマーは分子中に炭素原子12個までを有するものが好ましい。分子中の炭素数が12個を上回ると得られる樹脂に親水性が良好に提供されない。
【0051】
具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミドまたはヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド及びブトキシメチルアクリルアミドのような(メタ)アクリルアミドが用いられる。好ましい(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド、メタクリルアミド及びこれらの混合物である。
【0052】
アミド基を有するエチレン性不飽和モノマーはモノマー混合物の全量を基準にして2〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の量で用いられる。アミド基を有するエチレン性不飽和モノマーの量が1重量%を下回ると分散性が不良となり、50重量%を上回ると重合が均一に進行しない場合が生じる。
【0053】
その他のエチレン性不飽和モノマーは、重合後に得られる酸基含有樹脂組成物の水分散性を阻害しないものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーが含まれる。これらを用いることにより本発明の水分散性樹脂組成物に水酸基が導入され、より良好な塗膜の硬化性が得られる。
【0054】
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及びそれらとラクトンとの反応物等が挙げられる。
【0055】
水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーはモノマー混合物の全量を基準にして5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%の量で用いられる。水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの量が5重量%を下回ると硬化性不良となり、60重量%を上回ると均一に重合できない場合が生じる。
【0056】
その他、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2−エチルヘキシル)及びメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル及びメタクリル酸ラウリル)等のような非官能性モノマーをその他のエチレン性不飽和モノマーとして用いうる。
【0057】
非官能性モノマーはモノマー混合物の全量を基準にして10〜93重量%、好ましくは30〜90重量%の量で用いられる。非官能性モノマーの量が10重量%を下回ると重合が均一に進行せず、90重量%を上回ると分散性不良となる。
【0058】
上述の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー、及びその他のエチレン性不飽和モノマーからなるモノマー混合物は出発混合物の全量を基準にして5〜90重量%、好ましくは5〜75重量%、更に好ましくは5〜45重量%の量で用いられる。
【0059】
本発明に用いる重合開始剤はラジカル重合開始剤として一般に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド及びクメンハイドロパーオキシドのような有機過酸化物、アゾビスシアノ吉草酸及びアゾビスイソブチロニトリルのような有機アゾ化合物等が挙げられる。
【0060】
重合終了後に得られる酸基含有樹脂組成物は酸価5〜200、特に20〜100、水酸基価10〜300、特に20〜200を有することが好ましい。酸価が5を下回ると非水溶性となり、200を上回ると重合の進行が不均一となる。また、水酸基価が10を下回ると硬化性不良となり、300を上回ると分散性不良となる。尚、酸価は酸基を有するモノマーの量を増減することにより調節され、水酸基価は水酸基を有するモノマーの量を増減することにより調節される。
【0061】
重合は、80〜140℃、好ましくは90〜120℃の温度で1〜8時間、好ましくは2〜4時間、当業者に周知の操作で行いうる。例えば、有機溶剤を適量含有させて粘度を調節し加熱した上記ポリシロキサン又はポリシロキサン変性樹脂中に、モノマー混合物及び重合開始剤を滴下する。
【0062】
有機溶剤は、一般に、ポリシロキサン又はポリシロキサン変性樹脂100重量部に対して100重量部以下、好ましくは10〜50重量部用いられる。有機溶剤の量が100重量部を上回ると得られるアクリルポリマーの分子量が低下し、その結果、水分散性樹脂組成物の硬化性が低下する。
【0063】
有機溶剤は、ポリシロキサン等を溶解する60〜250℃程度のものが好ましい。好適に用いうる有機溶剤には、酢酸ブチル、キシレン、トルエン及びメチルイソブチルケトンのような非水溶性有機溶剤;及びテトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、n−ブタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、ジオキサン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、2−ブトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、N−メチルピロリドン、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのような水混和性有機溶剤が挙げられる。水混和性有機溶剤が特に好ましい。
【0064】
ついで、中和剤を加えて樹脂組成物中に含まれる酸基の少なくとも一部を中和する。そのことにより酸基含有樹脂組成物に水分散性が付与されて本発明の水分散性樹脂組成物が得られる。
【0065】
本発明に用いる中和剤は水性もしくは水分散性樹脂組成物を調製する際にその中に含まれる酸性基を中和するために一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、具体的には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミンのような有機アミン、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムのような無機塩基類等が挙げられる。
【0066】
中和剤は酸官能性水分散性樹脂を調製するために通常用いられる量で用い得るが、好ましくは中和前の樹脂固形分を基準にして2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の量である。
【0067】
得られる本発明の水分散性樹脂組成物は水性媒体に良好に分散されて安定な分散体を形成する。水性媒体とは、水または水と水混和性有機溶剤との混合溶液をいう。水と水混和性有機溶剤との混合溶液を用いる場合は、水と水混和性有機溶剤とは、組成物に含有される揮発性有機溶剤量を少なくする観点より100/0〜60/40、特に100/0〜80/20の重量割合で配合することが好ましい。好ましい水混和性有機溶剤には重合工程の際に有機溶剤として上述したものが挙げられる。
【0068】
得られる水性樹脂分散体に硬化剤、顔料及びその他の公知の添加剤を配合することにより良好な分散安定性を示す水性塗料組成物が得られる。
【0069】
硬化剤としては、分散された樹脂中に存在する水酸基または酸基を架橋するとして一般的に知られている架橋剤であれば特に限定されない。アミノ化合物、イソシアネート化合物及びエポキシ化合物の少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0070】
具体的には、ブロック化ポリイソシアナート、アルコキシ化メラミンホルムアルデヒド縮合物(メラミンホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドとの縮合物のアルコキシ化物であり、例えばメトキシメチロールメラミン、イソブトキシ化メチロールメラミン及びn−ブトキシ化メチロールメラミン)、及び2つ以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物(例えば、シェルケミカル社製の「エピコート828」、「同1001」、「同1004」、共栄油脂社製の「エポライト40E」、「同400E」、「同#1600」、「同#721」、ナガセ化成社製の「デナコールEX−301」、「同622」、「同512」及び「同421」等)等が挙げられ、これらは混合して使用しうる。
【0071】
顔料は通常の無機顔料、有機顔料及び金属顔料(例えば、アルミニウム顔料)を適当量使用することができる。添加剤の例としては紫外線防止剤、消泡剤、表面調製剤等が挙げられる。公知のポリマーエマルジョン樹脂、水溶性のアクリル樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂及びエポキシ樹脂も本発明の水性塗料組成物に添加しうる。
【0072】
本発明の水性塗料組成物を用いれば、良好な外観を有する多層塗膜を形成することができる。好ましい多層塗膜の例を図1に示す。図1においては、自動車の車体のような被塗装物2の上に多層塗膜1が設けられている。尚、被塗装物2の表面には電着層及び中塗り層のような基層が設けられることもある。
【0073】
多層塗膜1は、被塗装物2上に設けられたベース塗膜3とベース塗膜3上に設けられたクリヤー塗膜4とから主に構成される。多層塗膜は、ベース塗料を塗布した後、これを硬化させずにクリヤー塗料を重ね塗りし、ベース塗料とクリヤー塗料とを合わせて硬化させるいわゆる2コート/1ベーク塗装方法により形成することが好ましい。
【0074】
ベース塗膜3は、顔料及び上記通常の添加剤等を含有する本発明の水性塗料組成物を用いて、刷毛塗り、スプレー塗布、静電塗布、流し塗り、浸漬塗り及びローラ塗りのような一般的な方法により、一般に10〜30μm、好ましくは10〜20μmの厚さに形成する。優れた外観の多層塗膜1を得るために、必要に応じて、その上にクリヤー塗膜4を形成する前にベース塗膜3を処理しうる。例えば、設けられたベース塗膜3を50〜100℃で2〜3分間加熱するいわゆるプレヒート処理を行うことにより得られる多層塗膜1の外観がさらに向上する。
【0075】
クリヤー塗膜4は通常の溶剤系または水性のいわゆるクリヤー塗料を用いて、ベース塗膜3と同様の方法により、一般に20〜80μm、好ましくは20〜60μmの厚さに形成する。好ましくは、クリヤー塗膜4は、本発明の水性塗料組成物で調製したクリヤー塗料を用いて形成する。
【0076】
水性のクリヤー塗料を用いてクリヤー塗膜4を形成する場合は多層塗膜1を形成するために溶剤を使用する必要が無くなるため、環境汚染の問題が生じ難い。クリヤー塗料として本発明の水分散性樹脂組成物を含むクリヤー塗料を用いる場合は塗装の作業性、外観及び付着性がさらに良好となる。
【0077】
クリヤー塗膜4を形成した後に、ベース塗膜3及びクリヤー塗膜4を硬化させることにより、多層塗膜1が得られる。硬化は、一般に、100〜200℃の温度で15〜60分間加熱することにより行う。
【0078】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断らない限り、「部」は重量基準である。
【0079】
実施例1
撹拌器、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた5リットルコルベンに、ポリエーテル系ポリシロキサン「SF8428」(東レ・ダウコーニング社製、水酸基当量1600)300部およびブチルジグリコール100部を仕込み、120℃に昇温した。
【0080】
滴下ロートにスチレン300部、アクリル酸エチル250部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、アクリル酸2−エチルヘキシル223部、メタクリル酸77部からなるモノマー混合物及びカヤエステル0(化薬アクゾ社製パーオキシド重合開始剤)30部を仕込んだ。温度を120℃に保持しながら、3時間でモノマー混合物と開始剤を滴下した。滴下後、さらに120℃で2時間保持した。ジメチルエタノールアミン80部および脱イオン水1740部を加え、溶解することにより、不透明で粘稠な樹脂溶液を得た。
【0081】
得られた樹脂溶液の固形分は40%、固形分酸価は43、水酸基価は60であった。このものを脱イオン水を用いてNo.4フォードカップで30秒に希釈後、40℃で10日間静置後の状態を目視判定した。希釈直後および貯蔵安定性試験後も均一な分散が確認された。
【0082】
実施例2
撹拌器、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた5リットルコルベンにポリエステル系ポリシロキサン「TSR180」(東芝シリコーン社製、酸価9.8、不揮発分50%)600部を仕込み、120℃に昇温、融解した。
【0083】
滴下ロートにアクリル酸エチル250部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル120部、アクリル酸メチル300部、アクリル酸ラウリル253部、メタクリル酸77部からなるモノマー混合物及びカヤエステル0(化薬アクゾ社製パーオキシド重合開始剤)20部を仕込んだ。温度を120℃に保持しながら、3時間でモノマー混合物と開始剤を滴下した。滴下後、さらに120℃で2時間保持した。ジメチルエタノールアミン80部および脱イオン水1550部を加え、溶解することにより、不透明で粘ちょうな樹脂分散液を得た。
【0084】
得られた分散液の固形分は40%、固形分酸価は41、水酸基価は57であった。このものを脱イオン水を用いてNo.4フォードカップで30秒に希釈後、40℃で10日間静置後の状態を目視判定した。希釈直後および貯蔵安定性試験後も均一な分散が確認された。
【0085】
製造例1
ポリカーボネートの製造
撹拌器、温度計および精留塔を装備したガラス反応容器に、ジメチルカーボネート1000部(11.1モル)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール650部(5.5モル)、触媒としてテトライソプロピルチタネート1部を加えて混合し、常圧下、100℃で5時間、その後、5時間で200℃まで昇温し、反応により生成するメタノールを留去した。
【0086】
メタノールの留去が終了した後、10mmHg以下の減圧でさらに2時間反応させた。この反応物500部に対してトリメチロールプロパンの2量体99部(0.40モル)を添加し、200℃で4時間さらに反応させて数平均分子量が350、水酸基価が154のポリカーボネートを得た。
【0087】
製造例2
ポリシロキサン変性ポリカーボネートの製造
撹拌器、温度計およびコンデンサーを装備したガラス反応容器に、製造例1で得られたポリカーボネート100部およびシリコーンオイル「SH3771」(東レ・ダウコーニング社製、水酸基当量800)300部、触媒としてテトライソプロピルチタネート1部を加えて混合、200℃に昇温後、3時間この温度で撹拌し、ポリシロキサン変性ポリカーボネートを得た。得られた樹脂の数平均分子量は3500、水酸基価は98であった。
【0088】
実施例3
撹拌器、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた5リットルコルベンに、製造例2で得られたポリシロキサン変性ポリカーボネート300部およびキシレン100部を仕込み、90℃に昇温した。
【0089】
滴下ロートにスチレン250部、メタクリル酸ブチル150部、メタクリル酸ラウリル250部、アクリル酸2−エチルヘキシル304部、メタクリル酸46部からなるモノマー混合物及びアゾビスイソブチロニトリル30部を仕込んだ。温度を90℃に保持しながら、3時間でモノマー混合物と開始剤を滴下した。滴下後、さらに90℃で2時間保持した。
【0090】
ジメチルエタノールアミン48部および脱イオン水1740部を加え、溶解することにより、不透明で粘ちょうな樹脂溶液を得た。
【0091】
得られた樹脂溶液の固形分は40%、固形分酸価は31であった。
【0092】
このものを脱イオン水を用いてNo.4フォードカップで30秒に希釈後、40℃で10日間静置後の状態を目視判定した。希釈直後および貯蔵安定性試験後も均一な分散が確認された。
【0093】
製造例3
アクリル樹脂の製造
撹拌器、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサー、滴下ロートを備えた5リットルコルベンに、2−メトキシプロパノール400部を仕込み、120℃に昇温した。
【0094】
滴下ロートにスチレン300部、アクリル酸エチル250部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル150部、アクリル酸2−エチルヘキシル223部、メタクリル酸77部からなるモノマー混合物及びカヤエステル0(化薬アクゾ社製パーオキシド重合開始剤)30部を仕込んだ。温度を120℃に保持しながら、3時間でモノマー混合物と開始剤を滴下した。滴下後、さらに120℃で2時間保持して、アクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂の固形分は71.4、固形分酸価は50、水酸基価は65であった。
【0095】
比較例1
製造例3で得たアクリル樹脂1400部より、溶剤300部を減圧留去し、ジメチルエタノールアミン80部および脱イオン水1740部を加え、溶解することにより、透明で粘ちょうな樹脂溶液を得た。これに撹拌下、液温80℃で実施例1で用いたポリシロキサン300部を添加したところ、ポリシロキサンは油状の液滴を作り、分散できなかった。
【0096】
実施例4
実施例1で得られた樹脂分散液をNo.4フォードカップを用いて30秒に希釈後、ドクターブレードを用いて乾燥膜厚40ミクロンとなるように鉄板上に塗布後、110℃で1時間乾燥した。得られた塗膜を以下の操作により評価した。
【0097】
尚、塗膜の光沢が良好であることは、その透明性及び平滑性が良好であることを示す。塗膜の水接触角が大きいことはその塗膜がはっ水性に優れることを示す。また、NaOHスポットテストは、アルカリ水に対する塗膜の耐性を簡便に検定するものであり、この試験の結果塗膜の変化が観察されないことは、塗膜の耐薬品性及び耐水性が良好であることを示す。
【0098】
光沢
樹脂を塗布した鉄板をスガ試験機社製のデジタル変角光度計「UGV−5K」を用いて20゜の反射角で測定した。
【0099】
水接触角
樹脂を塗布した鉄板上に純水0.03gを滴下し、液滴を形成した。この液滴を鉄板の水平方向から観察し、液滴の断面が塗装面と成す角度を測定した。
【0100】
NaOHスポットテスト
樹脂を塗布した鉄板上に0.1NのNaOH5滴をスポイトから滴下し、1時間後の被膜の変化を目視観察した。
【0101】
塗膜の光沢(20度グロス)は153、水接触角は111度であった。
【0102】
実施例5および6
実施例2および3で得られた樹脂分散液をそれぞれ用いること以外は実施例4と同様にして塗膜を得、評価した。得られた結果を表1に示す。
【0103】
比較例2
実施例1で用いたポリシロキサンを鉄板上にドクターブレードで塗布後、110℃で1時間乾燥し、膜厚40ミクロンの液膜を得た。
【0104】
得られた液膜の水接触角は122度であった。光沢は測定不能であった。
【0105】
比較例3
製造例3で得られたアクリル樹脂をNo.4フォードカップを用い、ブチルセロソルブで30秒に希釈後、バーコーターを用いて乾燥膜厚40ミクロンとなるように鉄板上に塗布後、110℃で1時間乾燥した。
【0106】
得られた皮膜の光沢は140、水接触角は80度であった。
【0107】
【表1】
Figure 0003569584
【0108】
【発明の効果】
透明性、平滑性、耐薬品性、耐水性及びはっ水性に優れる塗膜を形成し、良好な塗装作業性及び分散安定性を有する水性塗料を実現しうる水分散性樹脂組成物及びその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗料組成物を用いて形成した多層塗膜の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…多層塗膜、
2…被塗装物、
3…ベース塗膜、
4…クリヤー塗膜。

Claims (10)

  1. (a)ポリシロキサン変性樹脂10〜95重量%;及び(b)(1)酸基を有するエチレン性不飽和モノマー2〜75重量%と(2)その他のエチレン性不飽和モノマー(ただし、重合性シラン化合物を除く)25〜98重量%とからなるモノマー混合物5〜90重量%;を含有する出発混合物を、重合開始剤の存在下に、前記ポリシロキサン変性樹脂100重量部に対して100重量部以下の有機溶剤を使用してラジカル重合する工程、及び
    該工程により得られる酸基含有樹脂組成物を、中和剤を加えることにより中和する工程、
    を包含する水分散性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記ポリシロキサン変性樹脂が、ポリシロキサンで変成されたポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選択される請求項記載の方法。
  3. 前記ラジカル重合が有機溶剤の存在下で行われる請求項1記載の方法。
  4. 前記モノマー混合物が、モノマー混合物を基準にして2〜50重量%のアミド基を有するエチレン性不飽和モノマーをその他のエチレン性不飽和モノマーとして含有する請求項1記載の方法。
  5. 前記モノマー混合物が、(1)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和モノマー4〜75重量%と、(2)その他のエチレン性不飽和モノマー25〜96重量%とからなる請求項1記載の方法。
  6. 請求項1記載の方法により得られる水分散性樹脂組成物。
  7. 請求項記載の水分散性樹脂組成物と水性媒体とを含む水性樹脂分散体。
  8. 請求項記載の水性樹脂分散体と硬化剤とを含む水性塗料組成物。
  9. さらに顔料を含む請求項記載の水性塗料組成物。
  10. ベース塗料を塗布した後、これを硬化させずにクリヤー塗料を重ね塗りし、ベース塗料とクリヤー塗料とを合わせて硬化させる2コート/1ベーク塗装方法において、該ベース塗料が請求項記載の水性塗料組成物である方法。
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