JP2000119556A - 水性塗料組成物および塗装方法 - Google Patents

水性塗料組成物および塗装方法

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JP2000119556A
JP2000119556A JP10298047A JP29804798A JP2000119556A JP 2000119556 A JP2000119556 A JP 2000119556A JP 10298047 A JP10298047 A JP 10298047A JP 29804798 A JP29804798 A JP 29804798A JP 2000119556 A JP2000119556 A JP 2000119556A
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aqueous
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coating film
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JP10298047A
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Hideaki Ogawa
英明 小川
Hiroshi Miwa
宏 三輪
Teruaki Kuwajima
輝昭 桑島
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温硬化ないし焼付け硬化により塗膜形成で
きる自動車外板の塗膜補修に適した水性塗料組成物、お
よびその水性塗料組成物を用いて、自動車外板の複層塗
膜の不具合を生産ライン内で補修することに適した塗装
方法の提供。 【解決手段】 (A)出発混合物の固形分重量に対し、
(1)ポリシロキシ部分を有しかつ数平均分子量500〜20,0
00のポリマーまたはコポリマー;および(2)酸基を有
するエチレン性不飽和モノマーとその他のエチレン性
不飽和モノマーを含有するモノマー混合物を含む出発混
合物を重合開始剤の存在下においてラジカル重合した
後、水分散した水分散性樹脂組成物、(B)水性ポリウ
レタン樹脂、および(C)顔料を含有する水性塗料組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性塗料組成物、
特に、常温硬化ないし焼付け硬化により塗膜形成できる
自動車外板の塗膜補修に適した水性塗料組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車や二輪車などの外板や部品は、従
来、金属素材から成るが、軽量化や成形加工が容易であ
る点からプラスチック素材も使用されている。このよう
な金属製またはプラスチック製外板には、通常、美粧性
や耐候性等を付与するために、防食性や防錆性を付与す
るための下塗り塗膜や中塗り塗膜を塗装した後、着色塗
膜を含む上塗り塗膜で仕上げる、複層塗膜が設けられて
いる。前記上塗り塗膜は、通常、着色塗料を塗装し、そ
の上にウエット・オン・ウエット方式でクリアー塗料を
重ね塗りした後、前記着色塗料とクリアー塗料を同時に
硬化する、いわゆる2コート1ベーク法によって形成さ
れている。特に、着色塗料には、重ね塗り特性に優れ、
低温硬化可能で、かつ環境保全、労働者の安全性および
コストの削減も可能であることから、水性ポリウレタン
分散液を含有する水性塗料の使用が有用であることが知
られている。そのような水性塗料としては、例えば、水
性アクリル系樹脂およびポリウレタン樹脂系エマルショ
ンを含む水性ベースコート塗料が挙げられる(特開平2
−289630号公報)。この水性ベースコート塗料
は、120℃以下の低温で硬化可能であることから、熱変
形温度の低いプラスチック素材上への塗膜形成に適して
いる。
【0003】自動車の生産ラインにおいて、上記上塗り
塗膜を含む複層塗膜を施した後、その塗膜に不具合が発
見された場合、補修により不具合を排除しない限りその
塗膜を有する自動車は出荷できず、結果として生産効率
の低下を招くことがある。そのため、上記複層塗膜の不
具合を工場内のラインにおいて直ちに補修することが望
まれている。しかしながら、複層塗膜上への良好な塗装
性、補修用塗料の乾燥条件下での良好な重ね塗り性およ
び優れた貯蔵安定性等の要件を満足し得る水性塗料は未
だ存在しない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記複層塗
膜において上塗り塗料として使用でき、常温硬化ないし
焼付け硬化により塗膜形成できる水性塗料組成物を提供
することである。さらに、本発明は、前記水性塗料組成
物を用いた塗装方法であって、特に、自動車外板の複層
塗膜の不具合を生産ライン内で補修することに適した塗
装方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)出発混
合物の固形分重量に対し、(1)ポリシロキシ部分を有し
かつ数平均分子量500〜20,000のポリマーまたはコポリ
マー3〜40重量%;および(2) 酸基を有するエチレン
性不飽和モノマーとその他のエチレン性不飽和モノマ
ーを重量比2〜40:60〜98で含有するモノマー混合物60
〜97重量%を含む出発混合物を重合開始剤の存在下にお
いてラジカル重合した後、水分散した水分散性樹脂組成
物、(B)水性ポリウレタン樹脂、および(C)顔料を
含有する水性塗料組成物であって、前記水分散性樹脂組
成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)を、固形分重
量比20〜85:15〜80で含有しかつ顔料(C)を、水分散
性樹脂組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)の合
計固形分重量に対して5〜150重量%の量で含有するこ
とを特徴とする水性塗料組成物に関する。本発明の水性
塗料組成物は、(D)アミノ樹脂を、前記水分散性樹脂
組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)の合計固形
分重量に対して30重量%以下の量でさらに含有してよ
い。
【0006】本発明は、前記水性塗料組成物を素材上に
塗布し、乾燥することにより水性塗膜を形成すること、
該水性塗膜上にクリア塗料を塗布した後、120℃以下
の温度でクリア塗料を硬化させることを含む塗装方法も
提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】水性塗料組成物 本発明の第1の態様は、(A)水分散性樹脂組成物、
(B)水性ポリウレタン樹脂、(C)顔料、および場合
により(D)アミノ樹脂を含有する水性塗料組成物であ
る。
【0008】(A)水分散性樹脂組成物 水分散性樹脂組成物は、(1)ポリシロキシ部分を有する
ポリマーまたはコポリマー、および(2) 酸基を有する
エチレン性不飽和モノマーとその他のエチレン性不飽
和モノマーを含む出発混合物を重合開始剤の存在下にお
いてラジカル重合した後、水分散したものである。
【0009】(A−1):ポリシロキシ部分を有するポ
リマーまたはコポリマー ポリシロキシ部分を有するポリマーまたはコポリマーは
(A−1)、分子中に、ジメチルポリシロキシ部分、ジ
フェニルポリシロキシ部分およびメチルフェニルポリシ
ロキシ部分等のポリシロキシ部分を有有するポリマー又
はコポリマーである。本明細書において、「ポリシロキ
シ部分を有するポリマー又はコポリマー(A−1)」
は、ポリシロキサン及びポリシロキサン変性樹脂等を包
含する。ここで、「ポリシロキサン」は、主鎖中に式:
【化1】 [式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基(例えば、
炭素数1〜12のアルキル基)およびフェニル基のような
有機基の残基であり、nは3以上の整数である。]で表
されるポリシロキシ部分を有するポリマーまたはコポリ
マーをいう。
【0010】主鎖中にポリシロキシ部分を有するコポリ
マーにおいて、ポリシロキシ部分以外のポリマー主鎖の
構造は、特に限定されないが、ポリエーテル、ポリエス
テル、ポリカーボネートであることが好ましい。エーテ
ル部分、エステル部分及びカーボネート部分のような凝
集力の強い官能性部分がコポリマー中に存在すると得ら
れる塗膜の強度が高まるからである。
【0011】・ポリシロキサン ポリシロキサンの数平均分子量は好ましくは500〜20,00
0であり、更に好ましくは1,000〜10,000である。数平均
分子量が500を下回ると得られる塗膜が撥水性に劣る場
合がある。1,000を下回ると硬化性に劣る場合がある。2
0,000を上回ると重合時に反応が均一に起こらない場合
がある。
【0012】また、ポリシロキサンは主鎖中に連続して
5個、好ましくは10個以上のシロキシ部分を有すること
が好ましい。シロキシ部分の数が5個を下回ると得られ
る塗膜の耐水性が劣る場合がある。シロキシ部分の数が
10個を下回ると硬化膜としたときに十分な撥水性が得ら
れない場合がある。
【0013】一般に、ポリシロキサン中のポリシロキシ
部分の含有量は20〜100重量%、特に30〜100重量%とす
ることが好ましい。ポリシロキシ部分の含有量が20重量
%を下回ると得られる塗膜の撥水性が劣る。
【0014】本発明で好ましく用いうる他のポリシロキ
サンとしては、東レ・ダウコーニング社製の「SH200」、
「SH510」、「BY16-817」および「BY16-876」、および東芝シ
リコーン社製の「TSF456」、「TSF400」および「TSF433」等が
挙げられる。
【0015】各種官能基を有するシリコーンオイル、例
えば、アルキル変性シリコーンオイル「BY16-846」(東レ
・ダウコーニング社製)、アミノ変性シリコーンオイル
「TSF4700」(東芝シリコーン社製)、カルボキシル変性シ
リコーンオイル「TSF4770」(東芝シリコーン社製)、エポ
キシ変性シリコーンオイル「TSF4730」(東芝シリコーン社
製)、「SF8421」(東レ・ダウコーニング社製)、カルビノ
ール変性シリコーンオイル「SF8427」および「SF8428」(東
レ・ダウコーニング社製)、およびポリエーテル部分を
有するポリシロキサン樹脂、例えば、ポリエーテル変性
シリコーンオイル「TSF4440」、「TSF4460」(東芝シリコー
ン社製)および「KF945」(信越化学社製)等も本発明のポリ
シロキサンとして使用できる。
【0016】・ポリシロキサン変性樹脂 本明細書において、「ポリシロキサン変性樹脂」とは、非
水溶性樹脂を、高ポリシロキシ部分含有量のポリシロキ
サンで変性して得られる樹脂をいう。このようなポリシ
ロキサン変性樹脂は、一般に、変性シリコーンビヒクル
と呼ばれる。
【0017】ここで、「非水溶性樹脂」とは、水100gに対
し1g以下の溶解性を有する樹脂をいい、例えば、ポリ
エーテル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
ウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂およびこれらの
混合物を包含する。非水溶性樹脂を用いて得られるポリ
シロキサン変性樹脂は、水溶性樹脂を用いた場合と比較
して、耐水性に優れた塗膜の提供を可能にする。
【0018】非水溶性樹脂として使用され得るポリエー
テル樹脂としては、エチレンオキシドおよびプロピレン
オキシドのようなアルキレンオキシド重合物、およびそ
れらとポリオールとの付加物が挙げられる。ポリオール
の例としては、トリメチロールプロパンおよびヘキサン
トリオールのようなトリオール、水添ビスフェノール
A、カプロラクトンジオールおよびビスヒドロキシエチ
ルタウリンのようなジオールが挙げられる。
【0019】非水溶性樹脂として使用され得るポリエス
テルは、ポリオールとポリカルボン酸または酸無水物と
のポリエステル化によって合成される。好ましくは更に
長鎖脂肪酸を含む酸成分から合成される。ここで使用さ
れるポリオールの例としては、トリメチロールプロパ
ン、ヘキサントリオールのようなトリオール、プロピレ
ングリコール、ヘキシレングリコール、水添ビスフェノ
ールA、カプロラクトンジオールおよびビスヒドロキシ
エチルタウリンのようなジオールが挙げられる。また、
ポリカルボン酸の例としては、フタル酸、テトラヒドロ
フタル酸、アジピン酸およびトリメリット酸等が挙げら
れる。対応する酸無水物も好ましく用いられる。使用さ
れる長鎖脂肪酸の例としては、ステアリン酸およびラウ
リル酸のような飽和脂肪酸、オレイン酸およびミリスチ
ン酸のような不飽和脂肪酸、およびひまし油、パーム油
および大豆油のような天然油脂およびそれらの変性物が
挙げられる。
【0020】非水溶性樹脂として使用され得るポリカー
ボネートとしては、ジアルキルカーボネートおよびエチ
レンカーボネートから選ばれるカーボネートと直鎖2価
アルコール、分枝2価アルコールおよび3価以上の多価
アルコールから選ばれるアルコールとの反応によって得
られる樹脂が好ましい。分枝鎖2価アルコールの具体例
としては、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-
1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2-
ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-
1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオー
ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチ
ル-1,3-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタ
ノール、トリシクロデカンジメタノール、1,4-ジヒドロ
キシエチルベンゼン、1,4-ジヒドロキシエチルオキシベ
ンゼン、ビス(4-ヒドロキシエチルオキシフェニル)プロ
パンおよびビス(4-(2-ヒドロキシプロピル)オキシフェ
ニル)プロパンのような脂肪族ジオール、およびビスフ
ェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、ビス
(4-ヒドロキシフェニル)ウンデカンおよびジ(3-ヒドロ
キシフェニル)エーテルのようなビスフェノールが代表
例として挙げられる。また、3価以上の多価アルコール
としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールプロパンの2量体お
よびペンタエリスリトール等が代表例として挙げられ
る。直鎖2価アルコールの具体例としては、1,3-プロピ
レングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジ
オール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオー
ル、1,9-ノナンジオールおよび1,10-デカンジオール等
が代表例として挙げられる。
【0021】非水溶性樹脂として使用され得るポリウレ
タンはジオールとジイソシアネート化合物の反応により
得られる。ここで使用するジオールとしては、ポリエー
テルジオールまたはポリエステルジオールが一般的であ
る。そのようなものの例としてはアルキレンオキシド、
(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチレンオ
キシド等)および/または複素環式エーテル(テトラヒド
ロフラン等)を重合または共重合させて得られるもの、
例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリエチレン-プロピレングリコール、ポリテト
ラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエ
ーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコ
ール;ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペー
ト、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチル
アジペート、ポリ-3-メチルペンチルアジペート、ポリ
エチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペンチル/ヘキ
シルアジペート;ポリラクトンジオール、例えば、ポリ
カプロラクトンジオール、ポリ-3-メチルバレロラクト
ンジオール;ポリカーボネートジオール;またはこれら
の混合物、並びにジメチロールプロピオン酸のような酸
基を含むジオールが挙げられる。また、ジイソシアネー
トとしては、脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメ
チレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジ
イソシアネート、リジンジイソシアネート;炭素数4〜
18の脂環式ジイソシアネート、例えば1,4-シクロヘキサ
ンジイソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナト
メチル-3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイ
ソシアネート)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、
イソプロピリデンジシクロヘキシル-4,4'-ジイソシアネ
ート;これらのジイソシアネートの変性物;およびそれ
らの混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものの
例としてはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネート等が
挙げられる。
【0022】非水溶性樹脂として使用され得るエポキシ
樹脂の例としては、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、好ましく
はトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ビ
スフェノールA-ジグリシジルエーテルおよび水添ビスフ
ェノールA-ジグリシジルエーテルのようなグリシジルエ
ーテル、アジピン酸、ジグリシジルエステル、水添フタ
ル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエス
テルおよび好ましくはトリメリット酸トリグリシジルエ
ステルのようなグリシジルエステル、および3,4-エポキ
シシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート、ビス-(3,4-エポキシシクロヘキシ
ル)アジペートおよびビニルシクロヘキセンジオキシド
のような脂環式エポキシ等が挙げられる。ERL-4221(UCC
社製)、同4299(UCC社製)、エポライト1600(共栄社油脂
製)および同4000(共栄社油脂製)、デナコールEX-301、
同622、同512および同421(ナガセ化成社製)のような市
販品も用いうる。エポキシ樹脂はポリマーであってもよ
い。
【0023】非水溶性樹脂として使用され得るアクリル
樹脂は、各種の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アク
リル酸、マレイン酸及びマレイン酸エステルのようなエ
チレン性不飽和モノマー、及びスチレン及びα−メチル
スチレンのような芳香族ビニル化合物のホモポリマー及
びコポリマーである。
【0024】エチレン性不飽和モノマーの例には、アク
リル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノエチ
ルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸
モノエチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイル
オキシエチルエステル及びフタル酸モノ(メタ)アクリロ
イルオキシエチルエステルのようなカルボキシル基含有
モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロ
キシエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリ
レート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート及びそれら
とラクトンとの反応物等のような水酸基含有モノマー;
及び(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸2-エ
チルヘキシル及び(メタ)アクリル酸ラウリル等のような
非官能性モノマー等が挙げられる。
【0025】アクリル樹脂の酸価は50以下、好ましくは
20以下とする。酸価が50を上回ると得られる塗膜の撥水
性が低下する場合がある。
【0026】また、アクリル樹脂の水酸基価は10〜10
0、好ましくは20〜80とする。水酸基価が10を下回ると
得られる樹脂組成物の硬化性が低下し、100を上回ると
得られる塗膜の撥水性が劣る場合がある。
【0027】アクリル樹脂の具体例には、例えば、アク
リル酸ブチル60重量部、メタクリル酸2重量部、メタク
リル酸2-ヒドロキシエチル10重量部及びスチレン28重量
部をキシレン100重量部と混合し、化薬アクゾ社製パー
オキサイド重合開始剤「カヤエステル0」5重量部を加え
て重合することにより得られるものなどが挙げられる。
【0028】上記非水溶性樹脂はいずれも、重合温度に
おいて不揮発性液状であって塗料用バインダーとして当
業者に用いられるものであれば特に限定されないが、好
ましくは数平均分子量300〜15,000、より好ましくは1,0
00〜10,000、および好ましくは水酸基価10〜400、より
好ましくは20〜200を有する。数平均分子量が300を下回
ると樹脂が揮発性となり加熱により失われる場合が生
じ、15,000を上回ると得られるポリシロキサン変性樹脂
の分子量が増大しすぎる。また、水酸基価が10を下回る
と得られる塗膜の硬化性が不良となる場合が生じ、400
以上では水溶性となり得る。
【0029】上記非水溶性樹脂を変性するのに使用され
る「高ポリシロキシ部分含有量のポリシロキサン」は、樹
脂中に40重量%以上、好ましくは60重量%以上のポリシ
ロキシ部分を有するポリシロキサンであってよい。例え
ば、本発明で好ましく用いうるポリシロキサン及びシリ
コーンオイルとして先に例示した市販品はこれに含まれ
る。
【0030】ここで、「変性」とは、前記非水溶性樹脂に
含まれる官能基と上記ポリシロキサンに含まれる官能基
とを反応させることにより両者間に化学結合を形成する
ことをいう。例えば、エポキシ変性シリコーンオイル
(例えば、東芝シリコーン社製「TSF4730」)で変成された
ポリエステルでは、エポキシ変性シリコーンオイル中の
エポキシ基とポリエステル中のカルボキシル基とが反応
して、エポキシ変性シリコーンオイルとポリエステルと
の間に化学結合が形成されている。
【0031】本発明で使用されるポリシロキサン変性樹
脂は、20重量%以上、特に30重量%以上のポリシロキシ
部分の含有量とすることが好ましい。ポリシロキシ部分
の含有量が20重量%を下回ると得られる塗膜の撥水性が
劣る。
【0032】本発明に好ましく使用されるポリシロキサ
ン変性樹脂の具体例としては、ポリエステル系ポリシロ
キサンである東芝シリコーン社製の「TSR180」、シリコ
ーンアルキドと呼ばれる東芝シリコーン社製の「YR3300」
および「TSR184」、シリコーンポリエステルと呼ばれる東
芝シリコーン社製の「TSR187」および東レ・ダウコーニン
グ社製の「SR2108」のようなポリシロキサン変性ポリエス
テル;および東芝シリコーン社製の「TSR170」および信越
化学社製の「KR9706」のようなポリシロキサン変性アクリ
ル樹脂等が挙げられるが、本発明はこれらに限定される
ものではない。
【0033】上記の中で、特に好ましくは、水酸基当量
が80〜400の範囲のポリシロキサン変性されたポリエー
テル樹脂を、ポリシロキシ部分を含有するポリマーまた
はコポリマー(A−1)として使用する。
【0034】ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコ
ポリマー(A−1)は、そのままの形態で、あるいは適
した有機溶剤に溶解した溶液の状態で使用される。前記
ポリマー又はコポリマー(A−1)を溶解するのに適し
た有機溶剤は、ポリシロキサン等を溶解する60〜250℃
程度のものが好ましい。好適な有機溶剤としては、酢酸
ブチル、キシレン、トルエン及びメチルイソブチルケト
ンのような非水溶性有機溶剤;及びテトラヒドロフラ
ン、エタノール、メタノール、n-ブタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、2-ブタノール、t-ブチルアル
コール、ジオキサン、メチルエチルケトン、エチレング
リコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、2-
メトキシプロパノール、2-エトキシプロパノール、2-ブ
トキシプロパノール、ジエチレングリコールモノブチル
エーテル、ブチルジグリコール、N-メチルピロリドン、
エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートのよ
うな水混和性有機溶剤が挙げられる。水混和性有機溶剤
が特に好ましい。有機溶剤は通常、前記ポリマー又はコ
ポリマー(A−1)100重量部に対して100重量部以下、
好ましくは10〜50重量部の量で使用される。有機溶剤の
量が100重量部を上回るとラジカル重合により得られる
コポリマーの数平均分子量が低下し、その結果、水分散
性樹脂組成物の硬化性が低下する。
【0035】(A−2):モノマー混合物 本発明で用いるモノマー混合物は、酸基を有するエチレ
ン性不飽和モノマー(A−2)及びその他のエチレン
性不飽和モノマー(A−2)とからなる。酸基を有す
るエチレン性不飽和モノマー(A−2)は、この後の
中和反応により、上記ポリシロキシ部分を有するポリマ
ー又はコポリマー(A−1)に水分散性を付与できるも
のであれば特に限定されないが、分子中に炭素原子6個
までを有するものが好ましい。分子中の炭素数が6個を
上回ると親水性が良好に提供されないからである。
【0036】・(A−2)エチレン性不飽和モノマー 本発明で用いられる酸基を有するエチレン性不飽和モノ
マー(A−2)は、カルボキシル基、スルホン酸基ま
たはリン酸基を有するエチレン性不飽和モノマーであっ
てよい。これらのエチレン性不飽和モノマーは、ポリシ
ロキサンに水分散性を付与するのに必要な酸強度を有し
得る。
【0037】カルボキシル基を有するエチレン性不飽和
モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸
及びイタコン酸及びそれらのハーフエステル化物、マレ
イン酸エチルエステル、フマル酸エチルエステル、イタ
コン酸エチルエステル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルエステル及びフタル酸モノ(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルエステル及びこれらの混合物が挙げ
られる。
【0038】スルホン酸基を有するエチレン性不飽和モ
ノマーの具体例としては、アクリルアミドt-ブチルスル
ホン酸、アクリル酸3-スルホニルプロピルエステル、メ
タクリル酸3-スルホニルプロピルエステル及びイタコン
酸ビス(3-スルホニルプロピル)エステル等が挙げられ
る。
【0039】リン酸基を有するエチレン性不飽和モノマ
ーの具体例としては、アシッドホスホキシエチルメタク
リレート、アシッドホスホキシプロピルメタクリレート
及びアシッドホスホキシ3-クロロプロピルメタクリレー
ト等が挙げられる。
【0040】・(A−2)その他のエチレン性不飽和
モノマー その他のエチレン性不飽和モノマー(A−2)は、例
えば、前記の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー
(A−2)によりポリシロキサン等(A−1)に付与
される水分散性を阻害せず、前記モノマー(A−2)
中の酸基と共存しうるものであれば特に限定されない。
このようなエチレン性不飽和モノマーとしては、アミド
基を有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。ア
ミド基を有するエチレン性不飽和モノマーは分子中に炭
素原子12個までを有するものが好ましい。分子中の炭素
数が12個を上回ると得られる樹脂に親水性が良好に提供
されない。このようなアミド基を有するエチレン性不飽
和モノマーの具体的としては、アクリルアミド、メタク
リルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-ブチル
アクリルアミド、N,N-ジブチルアクリルアミドまたはヒ
ドロキシメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリ
ルアミド及びブトキシメチルアクリルアミドのような
(メタ)アクリルアミドが挙げられる。好ましい(メタ)ア
クリルアミドはアクリルアミド、メタクリルアミド及び
これらの混合物である。
【0041】また、その他のエチレン性不飽和モノマー
(A−2)は、重合後に得られる酸基含有樹脂組成物
(後述する。)の水分散性を阻害しないものであれば特
に限定されるものではなく、例えば、水酸基を有するエ
チレン性不飽和モノマーが挙げられる。これらを用いる
ことにより本発明の水分散性樹脂組成物に水酸基が導入
され、より良好な塗膜の硬化性が得られる。そのような
水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーの具体例とし
ては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ
エチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレー
ト、4-ヒドロキシブチルメタクリレート及びそれらとラ
クトンとの反応物等が挙げられる。
【0042】あるいは、スチレン、α-メチルスチレ
ン、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸2-
エチルヘキシル)及びメタクリル酸エステル(例えば、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチ
ル、メタクリル酸2-エチルヘキシル及びメタクリル酸ラ
ウリル)等のような非官能性モノマーを、その他のエチ
レン性不飽和モノマー(A−2)として使用してもよ
い。
【0043】その他のエチレン性不飽和モノマー(A−
2)中、前記アミド基を有するエチレン性不飽和モノ
マーまたは非官能性モノマーはそれぞれ、それらを含有
するモノマー混合物(A−2)とポリシロキシ部分を有
するポリマー又はコポリマー(A−1)とのラジカル重
合における均一性や、その重合により得られる酸基含有
樹脂組成物(追って、説明する。)の分散性を調節する
ために使用され、あるいは水酸基を有するエチレン性不
飽和モノマーは、重合により得られる酸基含有樹脂組成
物(後述する。)の水酸基価を調整するのに使用され
る。
【0044】本発明において、モノマー混合物(A−
2)は、前記酸基を有するエチレン性不飽和モノマー
(A−2)およびその他のエチレン性不飽和モノマー
(A−2)を、重量比2〜40:60〜98、好ましくは4
〜30:70〜96の範囲で含有する。モノマー混合物(A−
2)中の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー(A−
2)の含有割合が上記範囲に満たないと、重合により
得られる酸基含有樹脂組成物(後述する)の水分散性が
不良となり、上記範囲を超えると、得られる水性樹脂塗
膜の耐水性が低下する。あるいは、モノマー混合物(A
−2)中のその他のエチレン性不飽和モノマー(A−2
)の含有量が上記範囲を逸脱すると、安定な水分散体
が得られないため、いずれも好ましくない。
【0045】本発明の水性塗料組成物に含まれる水分散
性樹脂組成物(A)を得るには、先ず、ポリシロキシ部
分を有するポリマーまたはコポリマー(A−1)あるい
は前記ポリマーまたはコポリマー(A−1)を有機溶剤
に溶解した溶液を、約80〜140℃、好ましくは90〜120℃
に加熱する。その後、加熱されたポリシロキシ部分を有
するポリマー又はコポリマー(A−1)又はそれらを溶
解した溶液中へ、モノマー混合物(A−2)を加え、得
られる出発混合物を重合開始剤の存在下においてラジカ
ル重合させて酸基含有樹脂組成物を得る。
【0046】上記重合により得られる酸基含有樹脂組成
物は、酸価5〜200、特に20〜100、水酸基価10〜300、
特に20〜200を有することが好ましい。酸基含有樹脂組
成物は、酸価が5を下回ると非水溶性となり、200を上
回ると塗膜の耐水性が低下する。また、水酸基価が10を
下回ると硬化性不良となり、300を上回ると分散性不良
となる。
【0047】次に、得られた酸基含有樹脂組成物に中和
剤を加え、酸基含有樹脂組成物中に含まれる酸基の少な
くとも一部を中和することにより、酸基含有樹脂組成物
に水分散性が付与されて、水分散性樹脂組成物(A)が
得られる。
【0048】ここで、出発混合物は、その全固形分重量
に対して、ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコポ
リマー(A−1)を3〜40重量%およびモノマー混合物
(A−2)を60〜97重量%、好ましくは(A−1)を5
〜30重量%および(A−2)を70〜95重量%の量で含有
し得る。出発混合物中のポリシロキシ部分を有するポリ
マー又はコポリマー(A−1)の固形分含有量が3重量
%未満であると、耐水性に劣り、40重量%を超えると水
生塗料組成物の貯蔵安定性が悪くなる。
【0049】出発混合物をラジカル重合するのに使用す
る重合開始剤は、ラジカル重合開始剤として一般に用い
られるものであれば特に限定されないが、例えば、過酸
化ベンゾイル、t-ブチルパーオキシド及びクメンハイド
ロパーオキシドのような有機過酸化物、アゾビスシアノ
吉草酸及びアゾビスイソブチロニトリルのような有機ア
ゾ化合物等が挙げられる。このようなラジカル重合開始
剤としては、例えば、化薬アクゾ社から商品名「カヤエ
ステルo」(t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエー
ト)として市販されているものが挙げられる。
【0050】ポリシロキシ部分を有するポリマー又はコ
ポリマー(A−1)とモノマー混合物(A−2)とのラ
ジカル重合は、重合開始剤を前記(A−1)と(A−
2)の合計重量に対し0.8〜5.0重量%添加した系を、当
業者に周知の操作により、80〜140℃、好ましくは90〜1
20℃の温度で1〜8時間、好ましくは2〜6時間保持す
ることにより行うことができる。前記ラジカル重合は、
例えば、適量のポリシロキシ部分を有するポリマーまた
はコポリマー(A−1)を有機溶剤中に溶解させて粘度
を調節し、上述の温度に加熱し、そこへ、モノマー混合
物(A−2)および重合開始剤を同時に、1〜5時間、
好ましくは2〜3時間かけて滴下した後、さらに0〜4
時間、好ましくは1〜2時間の間、重合温度を維持する
ことにより行ってよい。
【0051】重合により得られる酸基含有樹脂組成物に
添加される中和剤は、既知の水性もしくは水分散性樹脂
組成物を調製する際にその中に含まれる酸性基を中和す
るのに通常使用されるものであれば特に限定されない
が、具体的には、モノメチルアミン、ジメチルアミン、
トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピル
アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンお
よびジメチルエタノールアミンのような有機アミン、及
び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウ
ムのような無機塩基類等が挙げられる。
【0052】中和剤は、酸官能性水分散性樹脂を調製す
るために通常使用される量で用い得るが、好ましくは、
中和前の酸基含有樹脂組成物の樹脂固形分を基準にし
て、2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%の量であ
る。
【0053】上記により得られる水分散性樹脂組成物
(A)は、水性媒体に良好に分散されて安定な分散体を
形成する。水性媒体とは、水または水と水混和性有機溶
剤との混合溶液をいう。特に、前記混合溶液は、組成物
中に含有される揮発性有機溶剤量を少なくする観点か
ら、水と水混和性有機溶剤とを100:0〜60:40、特に1
00:0〜80:20の重量割合で配合することが好ましい。
好ましい水混和性有機溶剤としては、先に記載した有機
溶剤中の水混和性有機溶剤がいずれも使用できる。
【0054】(B)水性ポリウレタン樹脂 本発明の水性塗料組成物中に含まれる水性ポリウレタン
樹脂(B)は、(a)末端ヒドロキシル基を有するポリ
オールと、(b)ジイソシアネート化合物を反応させて
得られる両末端にイソシアネート基を有する化合物に、
(c)イソシアネート基と反応し得る官能基2つおよび
親水性基少なくとも1つを有する化合物をさらに反応さ
せた後、第1級および/または第2級アミノ基を有する
ジアミンおよび/またはポリアミンを含む水中に分散し
て鎖伸張させたものであり得る。
【0055】・(B−a):ポリオール末端ヒドロキシ
ル基を有するポリオール(B−a)は、ポリエーテルジ
オールまたはポリエステルジオールが一般的であり得
る。そのようなポリオールとしては、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、メチレンオキシド等のアルキ
レンオキシドおよび/またはテトラヒドロフラン等の複
素環式エーテルを、重合または共重合させて得られるも
の(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポ
リテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチ
レンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテル
グリコール);ポリエチレンアジペート、ポリブチレン
アジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオ
ペンチルアジペート、ポリ-3-メチルペンチルアジペー
ト、ポリエチレン/ブチレンアジペート、ポリネオペン
チル/ヘキシルアジペート;ポリカプロラクトンジオー
ル、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオール等のポリラ
クトンジオール;ポリカーボネートジオール;またはこ
れらの混合物が挙げられる。
【0056】本発明において好適なポリオール(B−
a)は、数平均分子量が400〜5,000の範囲、特に、800
〜3,000の範囲であり得る。
【0057】・(B−b):ジイソシアネート化合物 本発明に用いるジイソシアネート化合物(B−b)は、
脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート);炭素数4〜18の脂環
式ジイソシアネート(例えば、1,4-シクロヘキサンジイ
ソシアネート、1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-
3,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシア
ネート)、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソ
プロピリデンジシクロヘキシル-4,4'-ジイソシアネー
ト);これらのジイソシアネートの変性物;およびこれ
らの混合物が挙げられる。これらのうち、最も好ましい
ジイソシアネート化合物(B−b)は、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートであ
る。
【0058】先ず、前記ポリオール(a)とジイソシア
ネート(b)を、イソシアネートリッチの条件下(例え
ば、NCO/OH当量比=1.1〜1.9)で混合して、反応
させることにより、親水性基含有オリゴマーを得る。こ
の反応は、反応原料を混合することにより容易に生じ得
る。前記反応は、必要に応じて、N−メチルピロリド
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
溶媒中で行ってもよい。
【0059】・(B−c):イソシアネート基と反応し
得る官能基2つおよび親水性基少なくとも1つを有する
化合物 前記反応の後、イソシアネート基と反応し得る官能基2
つおよび親水性基少なくとも1つを有する化合物(B−
c)を添加してさらに反応させる。ここで、「イソシア
ネート基と反応し得る官能基2つおよび親水性基少なく
とも1つを有する化合物」は、例えば、ヒドロキシル基
とカルボキシル基を有する化合物であってよく、具体的
には、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、
ジメチロール酪酸等が挙げられるが、より好ましくは、
ジメチロールプロピオン酸である。あるいは、前記化合
物における「親水性基」は、オキシエチレン基、オキシ
プロピレン基のようなノニオン基も包含する。そのよう
な化合物としては、例えば、数平均分子量500未満のグ
リコール化合物、グリセリン、トリメチロールエタンお
よびトリメチロールプロパン等のアルキレンオキサイド
付加物が挙げられる。
【0060】前記反応により得られる親水性基含有オリ
ゴマーを、第1級および/または第2級アミノ基を有す
るジアミンおよび/またはポリアミンを含む水媒体中に
分散させる。このアミン類の作用により、前記親水性基
含有オリゴマー中の親水性基を中和し、さらには鎖伸張
することにより、所望の水性ポリウレタン樹脂(B)が
得られる。
【0061】上記中和および鎖伸張するのに適した第1
級および/または第2級アミノ基を有するジアミンおよ
び/またはポリアミンとしては、例えば、モノメチルア
ミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、ジイソプロピルアミン、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等
が挙げられる。
【0062】本発明の水性塗料組成物中、前記水分散性
樹脂組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)は、固
形分重量比20〜85:15〜80の範囲で含有され得る。
【0063】(C)顔料 本発明の水性塗料組成物に含まれる好適な顔料(C)
は、例えば、アルミニウムフレーク、雲母状酸化鉄、マ
イカフレーク、金属酸化物を被覆した雲母状酸化鉄、金
属酸化物を被覆したマイカフレーク等のメタリック顔
料;または、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、クロ
ム酸鉛、カーボンブラック等のような無機顔料、フタロ
シアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾー
ル・バイオレット、アントラピリミジン・イエロー、フ
ラバンスロン・イエロー、イソインドリン・イエロー、
インダンスロン・ブルー、キナクリドン・バイオレット
等のような有機顔料であり得る。前記顔料(C)は、前
記水分散性樹脂組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂
(B)の合計固形分重量に対して5〜150重量%の量、
好ましくは5〜100重量%の量で水性塗料組成物に含有
され得る。
【0064】(D)アミノ樹脂 本発明の水性塗料組成物は、必要に応じて、アミノ樹脂
(D)を含有してよい。アミノ樹脂(D)を含有する水
性塗料組成物は、加熱硬化する場合、熱硬化性となり、
低温乾燥する場合、熱可塑性となる。あるいは、アミノ
樹脂(D)を含有しない水性塗料組成物は熱可塑性を現
す。本発明での使用に適したアミノ樹脂(D)として
は、アルコキシ化メラミンホルムアルデヒド縮合物(メ
ラミンホルムアルデヒドまたはパラホルムアルデヒドと
の縮合物のアルコキシ化物であり、例えばメトキシメチ
ロールメラミン、イソブトキシ化メチロールメラミン及
びn-ブトキシ化メチロールメラミン)であり、例えば、
三井サイアミド(株)製サイメル303(水溶性メラミン
樹脂)が挙げられる。
【0065】アミノ樹脂(D)は、水分散性樹脂組成物
(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)の合計固形分重量
に対して30重量%以下の量、特に、25重量%以下の量で
含有される。
【0066】本発明の水性塗料組成物は、水分散性樹脂
組成物(A)の含有量を前述の範囲内に設定することに
より、表面張力を、好ましくは31dyn/cm以下、
特に30dyn/cm以下に調節できる。表面張力を前記
範囲に調節することにより、得られる水性塗料組成物の
塗装作業性が、従来のものに比べ大幅に改善される。
【0067】本発明の水性塗料組成物は、有機溶剤、水
あるいは増粘剤または消泡剤などの添加剤を用いて、所
望の粘度に調整してよい。特に、レオロジーコントロー
ル剤の添加により構造粘性を付与することは重要であ
り、例えば、プライマールASE−60(ローム&ハ−
ス社製)等の使用が有効である。
【0068】塗装方法 本発明の第2態様である前記水性塗料組成物を用いた塗
装方法は、(i)水性塗料組成物を素材上に塗布し、乾燥
することにより水性塗膜を形成すること、(ii)水性塗膜
上にクリア塗料を塗布すること、および(iii) 前記工程
(ii)で塗布したクリア塗料を、120℃以下の温度で硬
化させることを包含する。
【0069】(i)水性塗膜の形成工程 先ず、本発明の水性塗料組成物を素材上に塗布する。
【0070】本発明の方法での使用に好適な素材は、自
動車車体もしくは部品、道路資材または住宅用建材等に
通常使用される金属製素材(例えば、リン酸処理鋼板、
亜鉛めっき鋼板、冷延鋼板、アルミニウム板、ステンレ
ス板、リン酸亜鉛処理鋼板、リン酸鉄処理鋼板等);あ
るいはポリウレタン、ポリカーボネート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリアマイド、ポリフェニレンオキサ
イド、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合
体(すなわち、ABS樹脂)、ポリプロピレン、不飽和
ポリエステル(一般に、SMCと略される)等のプラス
チック素材であってよいが、本発明はこれらに限定され
るものではない。
【0071】上記素材は、そのまま使用しても、あるい
は脱脂などの表面処理またはプライマー塗装および/ま
たは中塗り塗装したものであってもよい。これらの処理
は、単独で行っても、2種以上を併用してもよい。
【0072】あるいは、本発明の方法により、上記素材
上に予め施された複層塗膜の補修を行う場合には、補修
を要する塗膜部分を、先ず、溶剤洗浄またはサンディン
グ処理した後、上記の手順に従って塗装することが好ま
しい。
【0073】本発明の水性塗料組成物は、使用前に、例
えば、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装等の
常套の塗装方法に適した、または所望の膜厚を得るため
に特定の粘度に調整され得る。例えば、プラスチック素
材を塗装する場合、水性塗料組成物は、使用前に、脱イ
オン水および必要に応じて増粘剤、消泡剤などの添加剤
を加えて、固形分10〜40%程度および粘度800〜5,000c
ps/6rpm(B型粘度計による測定)程度に調整し
ておくことが好ましい。
【0074】塗装される水性塗料組成物の乾燥膜厚は、
塗装方法や必要に応じて変化してよいが、通常、10〜50
μm程度であってよい。
【0075】塗布された水性塗料組成物は、その後、常
温でのセッティング、風乾、温風乾燥または赤外線ヒー
ター等を用いた強制乾燥により、完全にまたは未完全に
乾燥されるか、あるいは場合により、120℃以下の温度
で焼き付けて完全にまたは未完全に硬化することによ
り、水性塗膜とする。特に、本発明により、プラスチッ
ク素材上に水性塗膜を形成する場合は、塗装後、風乾ま
たは40〜120℃での温風乾燥などにより、水分含有率が2
5重量%以下程度まで乾燥させて水性塗膜とすることが
好ましい。あるいは、複層塗膜の補修を目的とする場合
は、塗装後にエアブローまたは60℃までの温風により乾
燥させて水性塗膜とすることが好ましい。
【0076】(ii)クリア塗料の塗布工程 乾燥または硬化した水性塗膜上に、クリア塗料を塗布す
る。本発明において使用されるクリアー塗料は、有機溶
剤を溶媒もしくは分散媒体とする液状塗料であって、12
0℃以下、好ましくは40〜110℃、より好ましくは70〜
100℃で乾燥・硬化する塗料が用いられる。好ましく
は、水酸基などの活性水素含有官能基を有するポリエス
テル樹脂、アクリル樹脂またはフッ素樹脂等の主剤とポ
リイソシアネート化合物等の硬化剤を主成分とする、既
知の架橋反応硬化型液状塗料が挙げられ、これらは、必
要および目的に応じて適宜選択され得る。上記クリア塗
料は、透明性および上塗り塗膜としての耐久性等を損な
わない程度に着色顔料を含有していてもよい。
【0077】特に、自動車用外板に施された複層塗膜の
補修を目的とする場合、前工程に従って水性塗膜を形成
した後、既知の自動車用2液型ウレタン硬化系クリア塗
料を用いるのがより好ましい。このような2液型ウレタ
ン硬化系自動車用クリア塗料を用いることにより、得ら
れる複層塗膜に高耐候性、高耐水性、高耐薬品性等の利
点が付与される。
【0078】クリア塗料は、静電スプレー塗装等の任意
の塗装方法により塗装してよい。例えば、未完全に乾燥
された水性塗膜上へは、いわゆるウエット・オン・ウエ
ット方式でクリア塗料を塗装できる。塗布されるクリア
ー塗料の乾燥膜厚は、特に限定されないが、好ましくは
15〜70μmの範囲であってよい。
【0079】(iii)クリア塗料の硬化工程 その後、塗布されたクリアー塗料を120℃以下の温度
に加熱して乾燥・硬化させる。本発明の方法によりプラ
スチック素材上へ複層塗膜を形成する場合、好ましく
は、クリア塗料塗装後、10〜30℃において1〜10分間セ
ッティングを行った後、さらに120℃以下の温度におい
て10〜180分間加熱することにより、硬化塗膜とする。
【0080】
【実施例】以下の実施例および比較例により、本発明の
水性塗料組成物およびそれを用いた塗装方法をさらに詳
しく説明する。製造例、比較製造例、実施例および比較
例において配合量を示す部および%はいずれも、重量部
および重量%を表すものとする。製造例1:ポリエーテル系ポリシロキサン含有水分散性
樹脂組成物(A1) 撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよ
び滴下漏斗を備えた5Lコルベンに、ポリエーテル系ポ
リシロキサン(「SF8428」、東レダウコーニング社製、
カルビノール変性シリコーンオイル;数平均分子量3,00
0、水酸基当量1,600)200重量部およびブチルジグリコ
ール400重量部を仕込み、系全体を120℃に昇温した。ス
チレン300重量部、アクリル酸エチル250重量部、メタク
リル酸2-ヒドロキシエチル150重量部、アクリル酸2-エ
チルヘキシル223重量部およびメタクリル酸77重量部か
ら成るモノマー混合物と「カヤエスエルo」(化薬アク
ゾ社製、パーオキシド重合開始剤)30重量部を滴下漏斗
に入れた。前記コルベン内容物を120℃に保持し、そこ
へ、モノマー混合物および重合開始剤を滴下漏斗から3
時間かけて滴下した。滴下後、反応系を120℃でさらに2
時間保持した。2時間後、ジメチルエタノールアミン80
重量部および脱水イオン水3522重量部を加え、内容物を
溶解することにより、不透明で粘稠なポリエーテル系ポ
リシロキサン含有水分散性樹脂組成物(A1)を得た。
得られた水分散性樹脂組成物の固形分は23%であり、そ
の固形分の酸価は43であった。
【0081】製造例2:ポリエステル系ポリシロキサン
含有水分散性樹脂組成物(A2) 撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよ
び滴下漏斗を備えた5Lコルベンに、ポリエステル系ポ
リシロキサン(「TSR180」、東芝シリコーン社製、ポリ
シロキサン変性ポリエステル樹脂;数平均分子量4,00
0、酸価9.8、不揮発分50%)600重量部およびブチルジ
グリコール100重量部を仕込み、系全体を120℃に昇温し
た。スチレン300重量部、アクリル酸エチル250重量部、
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル150重量部、アクリル
酸2-エチルヘキシル233重量部およびメタクリル酸77
重量部から成るモノマー混合物と「カヤエスエルo」
(化薬アクゾ社製、パーオキシド重合開始剤)30重量
部を滴下漏斗に入れた。前記コルベン内容物を120℃に
保持し、そこへ、モノマー混合物および重合開始剤を滴
下漏斗から3時間かけて滴下した。滴下後、反応系を12
0℃でさらに2時間保持した。2時間後、ジメチルエタノ
ールアミン80重量部および脱水イオン水3857重量部を加
え、内容物を溶解することにより、不透明で粘稠なポリ
エステル系ポリシロキサン含有水分散性樹脂組成物(A
2)を得た。得られた水分散性樹脂組成物の固形分は23
%であり、その固形分の酸価は33であった。
【0082】製造例3:ポリカーボネート系水性ウレタ
ン樹脂溶液(B1) 撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよ
び滴下漏斗を備えた1Lコルベン内で、ジメチロールプ
ロピオン酸40.2重量部、トリエチルアミン30重量部およ
びN−メチルピロリドン312重量部を90℃において加熱
溶融した。次いで、そこへ、イソホロンジイソシアネー
ト290重量部およびポリヘキサメチレンカーボネートジ
オール(数平均分子量1,000)700重量部を加え、10分間
撹拌した後、ジブチル錫ジラウレート1.03重量部を加え
た。次に、反応系を95℃まで昇温し、その温度で1時間
反応させて、ウレタンプレポリマー溶液を調製した。撹
拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよび
滴下漏斗を備えた5Lコルベンに脱イオン水1757重量部
およびヒドラジン水和物9.2重量部を入れ、撹拌してい
るところへ、前記ウレタンプレポリマー溶液を添加し
た。添加後、さらに30分間撹拌することによりポリカー
ボネート系水性ウレタン樹脂溶液(B1)を得た。得ら
れた樹脂溶液は、白濁した安定な水分散体であり、樹脂
固形分の酸価は16.3であった。また、樹脂溶液の不揮発
分は33%であった。
【0083】製造例4:ポリエーテル系水性ウレタン樹
脂溶液(B2) ポリヘキサメチレンカーボネートジオール700重量部の
代わりにポリプロピレングリコール(数平均分子量:1,
000)690重量部およびトリメチロールプロパン25重量部
を加えたこと以外は、製造例3と同様にして、白濁した
水分散体としてポリエーテル系水性ウレタン樹脂溶液
(B2)を得た。得られた樹脂溶液は、白濁した安定な
水分散体であり、樹脂固形分の酸価は16.0であった。ま
た、樹脂溶液の不揮発分は33%であった。
【0084】比較製造例:水性アクリル樹脂溶液の調製
(A'1) 撹拌機、窒素導入管、温度制御装置、コンデンサーおよ
び滴下漏斗を備えた5Lコルベンに、ブチルジグリコー
ル400重量部を仕込み、系全体を120℃に昇温した。スチ
レン300重量部、アクリル酸エチル250重量部、メタクリ
ル酸2-ヒドロキシエチル150重量部、アクリル酸2-エチ
ルヘキシル223重量部およびメタクリル酸77重量部から
成るモノマー混合物と「カヤエスエルo」(化薬アクゾ
社製、パーオキシド重合開始剤)30重量部を滴下漏斗に
入れた。前記コルベン内容物を120℃に保持し、そこ
へ、モノマー混合物および重合開始剤を滴下漏斗から3
時間かけて滴下した。滴下後、反応系を120℃でさらに2
時間保持した。2時間後、ジメチルエタノールアミン80
重量部および脱水イオン水1823重量部を加え、内容物を
溶解することにより、不透明で粘稠な水分散性の水性ア
クリル樹脂溶液(A'1)を得た。得られた水性アクリ
ル樹脂溶液中の固形分は30%であり、その固形分の酸価
は51であった。
【0085】実施例1 (1)水性メタリックベース塗料組成物 製造例1で調製したポリエーテル系ポリシロキサン含有
水分散性樹脂組成物(A1)261重量部に、アルミ顔料
(東洋アルミ製「アルペースト60-600」:固形分65%)
23重量部を撹拌機でよく分散した。そこへ、アミノ樹脂
(三井サイアミド(株)製「サイメル303」;水溶性メ
ラミン樹脂)10重量部、製造例3で調製したポリカーボ
ネート系水性ウレタン樹脂溶液(B1)91重量部および
レオロジーコントロール剤である「プライマールASE
−60」(ローム&ハ−ス社製)2重量部を添加し、よ
く撹拌することにより、水性メタリックベース塗料組成
物を調製した。
【0086】(2)評価用試験板の作成 脱脂処理を行った磨き鋼板に、日本ペイント社製電着塗
料「パワートップU-100」を用い、印加電圧150〜300
V、通電時間3秒および浴温28℃の条件下で電着塗装し
て、乾燥膜厚20μmの電着塗膜を形成した。その後、電
着塗膜を、170℃において20分間の条件で焼き付け処理
に付した。次に、中塗り塗装ラインにおいて、この電着
塗膜の上に、日本ペイント社製塗料「オルガP-2ライト
グレー」を乾燥膜厚35μmとなるようにスプレー塗装し
た。その後、140℃において20分間焼き付けて中塗り塗
膜を形成した。
【0087】上記で調製した水性メタリックベース塗料
組成物を、塗装前に、脱イオン水を用いてフォードカッ
プ#4で30秒(25℃)に調整した。この調製された塗料
組成物を、湿度75%および温度20℃の条件下でエアスプ
レーにより2ステージ塗装した。その後、エアーブロー
で塗膜表面を乾燥させて乾燥膜厚20μmの塗膜を得た。
日本ペイント社製クリア塗料「naxスペリオ240 2コー
トクリヤー」は、塗装前に、「naxスペリオ240 2コー
トクリヤー」:「naxスペリオハードナー」:「naxスペ
リオ500スタンダードシンナー」=100:10:10の配合比
で調整した。それを、上記で乾燥させた水性メタリック
ベース塗膜上に1ステージでエアスプレー塗装した後、
60℃において3時間乾燥させることにより、クリア塗膜
を形成し(乾燥後のクリア塗膜の膜厚=40μm)、電着
塗膜/中塗り塗膜/水性メタリックベース塗膜/クリア
塗膜から成る積層塗膜を有する評価用試験板を得た。
【0088】実施例2〜6 表1に示す組成および配合比を用いたこと以外は、実施
例1と同様の手順で水性メタリックベース塗料組成物を
それぞれ調製した。これらを用い、実施例1と同様にし
て、電着塗膜/中塗り塗膜/水性メタリックベース塗膜
/クリア塗膜を有する評価用試験板を作成した。ここ
で、水性メタリックベース塗膜の膜厚はいずれも20μ
m、また、乾燥後のクリア塗膜の膜厚はいずれも40μmで
あった。
【0089】比較例1 ポリエーテル系ポリシロキサン含有水分散性樹脂組成物
の代わりに比較製造例で調製した水性アクリル樹脂溶液
を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で、比較用
水性メタリックベース塗料組成物を調製した。これを用
い、実施例1と同様にして、電着塗膜/中塗り塗膜/比
較用水性メタリックベース塗膜/クリア塗膜を有する評
価用試験板を作成した。ここで、比較用水性メタリック
ベース塗膜の膜厚は20μm、また、乾燥後のクリア塗膜
の膜厚は40μmであった。
【0090】比較例2 表1に示す組成および配合比を用いたこと以外は、実施
例1と同様の手順で水性メタリックベース塗料組成物を
調製した。これらを用い、実施例1と同様にして、電着
塗膜/中塗り塗膜/比較用水性メタリックベース塗膜/
クリア塗膜を有する評価用試験板を作成した。ここで、
比較用水性メタリックベース塗膜の膜厚は20μm、ま
た、乾燥後のクリア塗膜の膜厚は40μmであった。
【0091】
【表1】 A1:製造例1で調製したポリエーテル系ポリシロキサ
ン含有水分散性樹脂組成物 A2:製造例2で調製したポリエステル系ポリシロキサ
ン含有水分散性樹脂組成物 A'1:比較製造例で調製した水性アクリル樹脂溶液 B1:製造例3で調製したポリカーボネート系水性ウレ
タン樹脂溶液 B2:製造例4で調製したポリエーテル系水性ウレタン
樹脂溶液 アルミ顔料:東洋アルミ製「アルペースト60-600」、固
形分65% アミノ樹脂:三井サイアミド(株)製「サイメル30
3」;水溶性メラミン樹脂
【0092】評 価 試 験 上記実施例1〜6および比較例1および2において調製
した水性メタリックベース塗料組成物、およびそれらを
用いて作成した複層塗膜(電着塗膜/中塗り塗膜/水性
メタリックベース塗膜/クリア塗膜)を有する評価用試
験板に関し、以下の各項目について評価試験を行った。 (1)塗料の表面張力 実施例1〜6および比較例1および2において調製した
各水性メタリックベース塗料組成物の表面張力(dyn
/cm)は、白金リング引き上げ式ダイノメーターを用
いて測定した。これは、各塗料組成物を塗装する際の表
面張力に相当する。 (2)エアスプレー感覚 実施例1〜6および比較例1および2において調製した
各水性メタリックベース塗料組成物を試験板にエアスプ
レー塗装する際のエアスプレー感覚(すなわち、スプレ
ー塗装容易性)を、既存の溶剤型メタリックベース塗料
(日本ペイント社製「アドミラ」;シルバーメタリック
系)のエアスプレー感覚と対比させ、以下の評価基準に
照らして評価した。評価基準; ○:溶剤型塗料と同等である。 △:溶剤型塗料よりもやや不良。 ×:溶剤型塗料よりもかなり劣る。
【0093】(3)塗膜外観 上記実施例1〜6および比較例1および2で作成した複
層塗膜(電着塗膜/中塗り塗膜/水性メタリックベース
塗膜/クリア塗膜)を有する評価用試験板を目視観察
し、その結果を、以下の評価基準に照らして評価した。評価基準; ○:良好 ×:不良 (4)耐水性 耐水性は、(a)温水浸漬試験と、(b)テープ剥離試
験の2種の試験から評価した。 (a)温水浸漬試験 評価用試験板を40℃の恒温水槽に10日間浸漬した
後、取り出して、塗膜表面の変化(フクレやチヂミの有
無)を目視にて観察した。 (b)テープ剥離試験 評価用試験板にカットを入れた後、40℃の恒温水槽に
10日間浸漬した。その後、試験板を取り出して、カッ
ト部上部をテープ剥離し、塗膜剥離の有無を調べた。上
記試験(a)および(b)の結果を、以下の評価基準に
照らして評価した。評価基準; ○:塗膜外観が良好でかつテープ剥離による付着性も良
好である。 ×:塗膜外観またはテープ剥離による付着性の少なくと
もいずれか一方が不良である。
【0094】上記評価試験の結果をそれぞれ、表1にま
とめる。
【0095】表1より、実施例1〜6で調製した本発明
の水性メタリックベース塗料組成物はいずれも、表面張
力が31dyn/cm以下であった。また、本発明の各
塗料組成物は、比較用の塗料組成物に比べて良好なスプ
レー感覚を示すことから、優れた作業性を有する塗料で
あることが分かる。また、本発明の水性メタリックベー
ス塗料組成物は、それより得られる塗膜に、優れた外観
および高い耐水性を付与できることも、表1の結果より
明白である。
【0096】
【発明の効果】本発明によれば、ポリシロキシ部分を有
するポリマーまたはコポリマーの存在下において、エチ
レン性不飽和モノマー混合物を重合してアクリルポリマ
ーを生成することにより、水分散性に優れたバインダー
を含有することから、塗装性、乾燥条件下での塗膜性能
および塗料の貯蔵安定性のバランスのとれた水性塗料組
成物を提供することができる。また、本発明の塗料組成
物は、低温乾燥もしくは硬化が可能であるため、プラス
チック素材への適用や複層塗膜の補修目的の適用などに
好適である。さらに、本発明の塗料組成物は、40℃で6
ヶ月間貯蔵した後も、その塗料性状および品質などに変
化が観られず、貯蔵安定性に優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 175/04 C09D 175/04 (72)発明者 桑島 輝昭 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE17 BB26Z CA32 CA38 CA44 CA50 DA27 DB02 DC12 EA06 EA43 EB32 EB38 EB43 EB52 EC11 EC37 4J038 CG171 CG172 CP091 CP092 DA132 DG061 DG062 DG071 DG072 DG081 DG082 DG111 DG112 DG131 DG132 DL031 DL032 DL151 DL152 GA06 GA13 GA15 KA08 MA10 MA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)出発混合物の固形分重量に対し、 (1)ポリシロキシ部分を有しかつ数平均分子量500〜20,0
    00のポリマーまたはコポリマー3〜40重量%;および
    (2) 酸基を有するエチレン性不飽和モノマーとその
    他のエチレン性不飽和モノマーを重量比2〜40:60〜98
    で含有するモノマー混合物60〜97重量%を含む出発混合
    物を重合開始剤の存在下においてラジカル重合した後、
    水分散した水分散性樹脂組成物、 (B)水性ポリウレタン樹脂、および (C)顔料を含有する水性塗料組成物であって、前記水
    分散性樹脂組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)
    を、固形分重量比20〜85:15〜80で含有しかつ顔料
    (C)を、水分散性樹脂組成物(A)と水性ポリウレタ
    ン樹脂(B)の合計固形分重量に対して5〜150重量%
    の量で含有することを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 【請求項2】 (D)アミノ樹脂を、前記水分散性樹脂
    組成物(A)と水性ポリウレタン樹脂(B)の合計固形
    分重量に対して30重量%以下の量でさらに含有する請求
    項1記載の水性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記水性ポリウレタン樹脂(B)が、 (a)末端ヒドロキシル基を有する数平均分子量400〜5,00
    0のポリオールと (b)ジイソシアネートを反応させて得られる両末端にイ
    ソシアネート基を有する化合物に、 (c)イソシアネート基と反応し得る官能基2つおよび親
    水性基少なくとも1つを有する化合物をさらに反応させ
    た後、第1級および/または第2級アミノ基を有するジ
    アミンおよび/またはポリアミンを含む水中に分散して
    鎖伸張させたものである請求項1または2記載の水性塗
    料組成物。
  4. 【請求項4】 表面張力が31dyn/cm以下である
    請求項1〜3のいずれかに記載の水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の水性塗
    料組成物を素材上に塗布し、乾燥することにより水性塗
    膜を形成すること、該水性塗膜上にクリア塗料を塗布し
    た後、120℃以下の温度でクリア塗料を硬化させるこ
    とを含む塗装方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015187246A (ja) * 2014-03-14 2015-10-29 関西ペイント株式会社 水性着色ベース塗料組成物及びそれを用いた補修塗装方法
CN109880503A (zh) * 2018-07-14 2019-06-14 宁波高新区诠宝绶新材料科技有限公司 一种耐低温皮革涂饰剂的制备方法
EP3755753B1 (de) * 2018-02-21 2022-07-27 Basf Se Verfahren zur herstellung von mit klebstoff beschichteten artikeln

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