JP3569450B2 - ネガ・ポジ判別装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばフィルムスキャナに搭載され、カラー画像が記録されたフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(2行目「自然なもの」を「自然」に変えた)
フィルムに記録されたカラー画像を読み取ってディスプレイ装置の画面上に表示するとき、表示されたカラー画像の色合いが自然になるようにするため、フィルムスキャナでは色補正等の画像処理が行なわれる。この画像処理における処理内容はフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかによって異なる。そこで従来、装着されているフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを自動的に判別することができるフィルムスキャナが知られている。これは例えば、フィルムのコマ間の領域すなわち画像が記録されていない領域の情報をラインセンサによって読み取り、この領域の透過率を検出することによってフィルムの種類を判別し、あるいはフィルムがスライドマウントに装着されていれば一義的にポジフィルムであると判別するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スライドマウントに装着されるフィルムをポジフィルムであると見做す構成によると、ネガフィルムが装着された場合には利用できない。
【0004】
本発明は、例えばフィルムスキャナ(画像読取装置)に装着されたフィルムがネガフィルムとポジフィルムのいずれであるかを常に正確に判別することができるネガ・ポジ判別装置を得ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るネガ・ポジ判別装置は、フィルムから導かれた光によって露光することによりフィルムに記録されたカラー画像を検出し、このカラー画像の各色成分に対応した画像データをそれぞれ出力する光学センサと、出力が飽和しないような露光時間を用いて光学センサを露光して得られた画像データに基づいて、各色成分毎に透過率を求め、これらの透過率に基づいてフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
好ましくは判別手段は、画像データを構成する画素値の出現頻度を示すヒストグラムを各色成分毎に作成するヒストグラム作成手段と、ヒストグラムの最大有効値を各色成分毎に求める最大有効値検出手段とを備え、前記各色成分毎の最大有効値の大きさに基づいて、前記フィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する。
【0007】
各色成分は例えばレッド、グリーンおよびブルーを含み、前記ヒストグラム作成手段がレッド、グリーンおよびブルーの画像データに関してヒストグラムをそれぞれ作成する。
【0008】
判別手段は、例えば、グリーンのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別する。また判別手段は、レッドのヒストグラムの最大有効値に対するブルーのヒストグラムの最大有効値の比が相対的に大きいとき、フィルムがネガフィルムであると判別してもよい。さらに判別手段は、グリーンのヒストグラムの最大有効値(GD)と、ブルーのヒストグラムの最大有効値(BD)に対するレッドのヒストグラムの最大有効値(RD)の比(BD/RD)との積(GD×BD/RD)が第1の基準値より大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別してもよい。また判別手段は例えば、ブルーのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別する。判別手段は、相対的に長い第2の露光時間を用いて得られたブルーのヒストグラムの最大有効値が第2の基準値より大きいか、または相対的に長い第3の露光時間を用いて得られたグリーンのヒストグラムの最大有効値が第3の基準値より大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別してもよい。
【0009】
好ましくは判別手段は、フィルムを装着しない状態において前記光学センサから所定の大きさの出力が得られるような露光時間を用いて透過率を求める。
【0010】
ネガ・ポジ判別装置は、判別手段による判別動作を解除する判別動作解除手段を備えてもよい。この場合、判別動作解除手段はフィルムがポジフィルムであると見做してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態であるネガ・ポジ判別装置を備えた画像読取装置を示すブロック図である。
【0012】
この画像読取装置において用いられる被読取原稿Mは透過原稿であり、このフィルムにはカラー画像が記録されている。フィルムMは原稿移送機構10によって矢印A方向に間欠的に移送される。フィルムMの通過経路の上方には光源20とシリンドリカルレンズ23が配設され、また下方には結像レンズ31とラインセンサ30が設けられている。光源20の点灯と消灯は光源駆動回路41によって、またラインセンサ30による画像の検出動作はラインセンサ駆動回路42によって制御される。原稿移送機構10、光源駆動回路41およびラインセンサ駆動回路42はシステムコントロール回路40から出力される指令信号に従って動作する。
【0013】
ラインセンサ30から読み出された画像データはアンプ43により増幅され、A/D変換器44によってデジタル信号に変換される。デジタルの画像データは、画像処理回路45においてシェーディング補正を施された後、メモリ46に一旦格納される。この画像データはメモリ46から読み出され、色補正、ガンマ補正等の所定の演算処理を施される。そして画像データは、インターフェース回路47において所定のフォーマットに従った信号に変換され、入出力端子48を介して、この画像読取装置の外部に設けられたコンピュータ60に出力される。画像処理回路45とインターフェース回路47は、システムコントロール回路40により制御される。
【0014】
本実施形態において、画像読取装置の全ての動作はコンピュータ60によって制御されるが、スイッチ49をシステムコントロール回路40に接続して、このスイッチ49を操作することによって画像読取装置の動作を制御するように構成してもよい。
【0015】
図2は原稿移送機構10、光源20およびラインセンサ30を示している。フィルムMは枠体11に支持され、枠体11は板状のステージ12に止め具13によって固定される。ステージ12には、フィルムMに対応した位置に、図示しない開口が形成されている。ステージ12の側端面にはラック14が形成され、このラック14には原稿送りモータ15の出力軸に設けられたピニオン16が噛合している。原稿送りモータ15はシステムコントロール回路40の制御に基づいて駆動され、フィルムMの位置が制御される。
【0016】
光源20はステージ12の上方に位置し、レッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の光を出射する発光素子21R、21G、21Bを、この順序で周期的に配列して構成されているが、この配列は目的に応じて変更可能である。なお、図2では発光素子は6個だけ示されているが、さらに多くの発光素子を設けてもよく、あるいは少なくてもよい。これらの発光素子21R、21G、21Bはステージ12の幅方向に延びる細長い支持部材22に支持され、支持部材22とステージ12の間には、支持部材22と平行に延びるシリンドリカルレンズ23が配設されている。すなわち発光素子21から出射された光はシリンドリカルレンズ23によって集光され、フィルムMの上にライン状に照射される。
【0017】
ラインセンサ30はステージ12を挟んで光源20の下方に位置し、光源20とシリンドリカルレンズ23に平行に設けられている。すなわちラインセンサ30は、フィルムMが移送される方向に略直交する方向に延びている。ラインセンサ30とステージ12の間には結像レンズ31が設けられている。結像レンズ31はラインセンサ30と平行に延び、ロッドレンズアレイ32によって構成される。したがって、フィルムMに対して光源20によって光が照射されると、このフィルムMに記録された画像が、結像レンズ31を介してラインセンサ30の受光面に結像される。
【0018】
図3および図4は画像読取装置において実行される画像読取ルーチンを示すフローチャートである。図5は、コンピュータ60に接続されたディスプレイ装置の画面の一例を示し、本実施形態において画像読取装置の動作は、ディスプレイ装置の画面に表示された所定のマークを例えばマウスを用いてクリックすることにより制御される。
【0019】
ステップ102ではプリスキャンを開始するか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面に表示された「プリスキャン」のマークMPがクリックされると、ステップ102からステップ104へ進み、露出測定が実行され、後述するように最適露光時間が求められる。すなわち光源20が点灯された状態で、フィルムMが原稿移送機構10により、ステップ130において実行される本スキャンよりも粗いピッチで間欠的に移送される。この間欠移送において、光源20は、ステージ12が停止する度に発光素子21R、21G、21Bが所定の順序で点灯されるように制御される。これにより、フィルムMに記録された画像に関するR、G、Bの画像データが検出される。
【0020】
露出測定における各発光素子の点灯時間すなわちラインセンサ30に対する露光時間は、R、G、B毎に異なり、画像読取装置の電源投入時に行なわれる照明キャリブレーションにおいて決定される。すなわち露光時間は、フィルムMを装着しない状態で発光素子21R、21G、21Bを別々に点灯し、ラインセンサ30の各フォトダイオードによって検出される画素値の最大値が所定値となるように定められる。この所定値は、ラインセンサ30の出力が飽和しないように露光時間を定めるために決定され、画素値が10ビットで表される場合、例えば900である。
【0021】
さて露出測定では、まず、検出されたR、G、Bの画像データについて、画素値のレベルの度数(画素数)分布を示すヒストグラムがそれぞれ求められる。図6はヒストグラムの一例であり、横軸は画素値のレベルを示し、縦軸は画素値の出現頻度(度数)を示す。R、G、Bの各色成分のヒストグラムについて、最大画素値MXから所定量だけ小さい画素値である最大有効値Dが求められる。すなわち最大有効値Dは、各画素値の度数を最大画素値MX側から積算し、その積算値が全画素数の例えば1%に達したときの画素値であり、フィルムMに記録されたカラー画像のR、G、Bの各色成分毎の透過率に対応している。
【0022】
最適露光時間は、露出測定における露光時間tと検出された最大有効値Dと所定値(例えば1023)とに基づいて、下式によって求められる。
最適露光時間=(所定値/D)×t
最大有効値Dは各色毎に異なり、したがって最適露光時間も各色毎に異なる。ステップ122およびステップ130では、最適露光時間を用いて粗読み取りおよび本スキャンがそれぞれ実行される。
【0023】
ステップ106〜116では、フィルムMがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別するネガ・ポジ判別が行なわれ、ネガフィルムあるいはポジフィルムに応じた処理が実行される。
【0024】
ステップ106では、自動判別モードが選択されているか否かが判定される。自動判別モードは、ネガ・ポジ判別を画像読取装置において自動的に行なうモードであり、ディスプレイ装置の画面に表示された「ネガ・ポジ判別」の「自動」のマークMJをマウスを用いてクリックすることにより設定される。図5に示されるように「自動」のマークMJが黒に切換えられ、自動判別モードが選択されているとき、ステップ108においてネガ・ポジ判別が実行される。ネガ・ポジ判別については後述する。
【0025】
ステップ110では、ネガ・ポジ判別によって、フィルムMがポジフィルムであると判別されたか否かが判定される。フィルムMがネガフィルムであるとき、ステップ112においてネガ読取モード処理が実行され、ポジフィルムであるとき、ステップ116においてポジ読取モード処理が実行される。
【0026】
ステップ112のネガ読取モード処理では、ラインセンサ30の出力信号(画素値)に対して色補正とネガ/ポジ変換するための露光パラメータが求められる。まず、最大有効値Dを求めた処理と同様にして最小有効値dが求められる。すなわち最小有効値dは、各画素値の度数を最小画素値MI側から積算し、その積算値が全画素数の例えば1%に達したときの画素値である(図6参照)。露光パラメータは、最大有効値Dと最小有効値dを用いて求められる。
【0027】
次に露光パラメータの算出について説明する。
(1)式は色補正とネガ/ポジ変換を施すための式であり、これによって得られた正規化データは、メモリ46に格納されたルックアップテーブル(LUT)を参照することにより、ガンマ補正等の補正を施される。
【0028】
【数1】
【0029】
(1)式において、L1、L2は、ガンマ補正等を行うためのルックアップテーブル(LUT)の下側基準値と上側基準値である。すなわち下側基準値L1はLUTにおいて参照可能な画素値の最小値であり、上側基準値L2はLUTにおいて参照可能な画素値の最大値である。
【0030】
図6のヒストグラムH1における画素値は次の(2)式に従ってオフセット減算を施される。
X1=(画素値−d)+L1 (2)
【0031】
すなわち(画素値−d)の項によって、画素値が最小有効値dだけ減算され、ヒストグラムH1は図6の左側にシフトする。このシフト後の画素値に下側基準値L1を加算することにより、図7に示されるヒストグラムH2が得られる。
【0032】
ヒストグラムH2の実質的な分布幅W1はL1〜(D−d)+L1であるが、(3)式に従って分布幅W2に変換される。
【0033】
【数2】
【0034】
すなわち、図8のヒストグラムH2における画素値X1からオフセットL1を引いた値(X1−L1)に係数(L2−L1)/(D−d)を乗じることにより、図8に示される分布幅W2に拡大される。これに下側基準値L1を加算することにより、図8に示されるヒトグラムH3が得られる。
【0035】
次に、上側基準値L2から(2)式のX2を減じるとともに下側基準値L1を加算することにより((4)式参照))、ヒストグラムは図において左右に反転される。すなわち画像データがネガ/ポジ変換され、図9に示される正規化データのヒストグラムH4が得られる。
【0036】
【数3】
【0037】
このように画像データのヒストグラムは(4)式によって、最小有効値dから最大有効値Dの分布範囲が上側基準値L2から下側基準値L1の分布範囲へ変換される。この分布範囲の変換が、R、GおよびBの各色成分についてそれぞれ独立に行なわれることによって、各色成分のバランスがとられ、読み取られた画像が本来有する自然な色調で再現され得る。すなわち各色成分のヒストグラムの分布範囲が調整されることによって、画像データが色補正される。なお(4)式において、
L2+{(L2−L1)/(D−d)}×d
はオフセット値、
(L2−L1)/(D−d)
は係数であり、これらオフセット値と係数は露光パラメータである。これらの露光パラメータはR、G、Bの各色成分毎に求められる。
【0038】
ステップ116のポジ読取モードでは、ネガ読取モードのように露光パラメータは演算されないが、所定の補正演算処理が実行される。
【0039】
一方、ステップ106において自動判別モードが選択されていないと判定されたとき、ステップ114において、ポジ読取モードが選択されているか否かが判定される。ポジ読取モードはディスプレイ装置の画面に表示された「ポジ」のマークMFをマウスを用いてクリックすることにより選択され、このときステップ116が実行される。これに対し、ポジ読取モードが選択されていないとき、すなわちネガ読取モードが選択されているときは、ステップ112が実行される。ネガ読取モードは、ディスプレイ装置の画面に表示された「ネガ」のマークMNをマウスを用いてクリックすることにより選択される。
【0040】
ステップ112、116の実行の後、ステップ122において粗読み取りが行なわれる。すなわち、ステップ130において実行される本スキャンよりも粗いピッチでステージ12が間欠的に移送される。この間欠移送の間に、ラインセンサ30が、R、G、Bの各色成分毎に最適露光時間だけ露光されて画像データが検出される。各色成分の画像データはA/D変換器44によりデジタルの画像データに変換される。
【0041】
画像データは、画像処理回路45において、ネガフィルムの場合には、ステップ112において求められた露光パラメータを用いて色補正とネガ/ポジ変換を施され、ポジフィルムの場合には、所定の演算処理を施される。この後、画像データはガンマ補正を施された後、ステップ124の実行により、入出力端子48を介してコンピュータ60へ出力され、コンピュータ60に接続されたディスプレイ装置の画面上にカラー画像が表示される。次いでステップ126では、フィルムMが読取原点すなわち同画像の端部がラインセンサ30に対応した位置に来るように復帰する。
【0042】
ステップ128では本スキャンを開始するか否かが判定される。ユーザはディスプレイ装置の画面に表示された画像を見ることによって、本スキャンを開始するか否かを判断することができる。例えばマウスを用いて本スキャンを開始するためのマークMSをクリックすることにより、ステップ128からステップ130へ移り、本スキャンが実行される。本スキャンでは、相対的に細かいピッチで画像の読取が行なわれ、この画像はプリスキャンと同様な作用によってディスプレイ装置の画面上に表示される。そして、フィルムMは所定の読取原点の位置まで復帰せしめられ、このルーチンは終了する。
【0043】
これに対し、ステップ128において本スキャンを開始しないと判定されたとき、ステップ134において読取動作等の処理を中止するか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面上の「キャンセル」のマークMCをクリックすることによって処理の中止が選択されているとき、ステップ132が実行され、このルーチンは終了する。処理の中止が選択されていないときは、ステップ136においてプリスキャンを実行すべきか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面に表示された「プリスキャン」のマークMPがクリックされたとき、プリスキャンを実行すべくステップ136からステップ104へ戻る。これに対し、プリスキャンを実行しないとき、ステップ128へ戻る。
【0044】
次にステップ108において実行されるネガ・ポジ判別について説明する。ネガ・ポジ判別は露出測定において求められたヒストグラムを用いて行なわれる。R、G、Bの各色成分に関するヒストグラムにおいて最大有効値がそれぞれRD、GD、BDであるとすると、Gの最大有効値GDはポジフィルムに比べてネガフィルムの場合の方が小さい傾向にあり、Rの最大有効値RDに対するBの最大有効値BDはポジフィルムに比べてネガフィルムの方が小さい傾向にある。
【0045】
したがってネガ・ポジ判別の第1の例として、(GD×BD)/RDを計算し、この計算結果が第1の基準値(例えば110)よりも大きい場合、フィルムMはポジフィルムであると判別し、それ以外の場合、フィルムMはネガフィルムであると判別することができる。すなわち、最大有効値GDが相対的に大きいとき、フィルムMがポジフィルムであると判別することができ、また最大有効値RDに対する最大有効値BDの比が相対的に小さいとき、フィルムMがネガフィルムであると判別することができるが、第1の例では、ネガ・ポジの差を顕著にするために、(GD×BD)/RDの値に応じてネガ・ポジ判別している。
【0046】
一方ネガ・ポジ判別の第2の例では、最大有効値BD、GDはポジフィルムにおいてネガフィルムよりも大きい傾向にある、という性質を利用している。この例では、Rに関しては露出測定によって得られたヒストグラムをそのまま利用するが、G、Bに関しては、異なる露光時間を用いて得られたヒストグラムを利用する。すなわち、Gに関しては露出測定における露光時間の2倍の露光時間を用いて得られたヒストグラムの最大有効値GD2を用い、Bに関しては露出測定における露光時間の3倍の露光時間を用いて得られたヒストグラムの最大有効値GD2を用いている。
【0047】
このようにR、G、Bにおいてそれぞれ露光時間を変えると、ポジフィルムとネガフィルムでは、ヒストグラムの幅が変化する。すなわち、図10に示されるように、ポジフィルムの場合、RのヒストグラムHR1に対して、GのヒストグラムHG1とBのヒストグラムHB1は、それぞれ幅が大きくなる傾向にある。これに対し、ネガフィルムの場合、R、G、BのヒストグラムHR2、HG2、HB2はポジフィルムの場合ほど差が生じない。
【0048】
したがって第2の例では、最大有効値BD2が第2の基準値より大きいか、あるいは最大有効値GD2が第3の基準値より大きいとき、フィルムMはポジフィルムであると判別し、それ以外のとき、ネガフィルムであると判別している。
【0049】
図11は本発明の他の実施形態である画像読取装置に接続されたコンピュータのディスプレイ装置の画面を示す。この図に示されるように、画面には、自動判別モードを選択するためのマークMJと、ポジモードを選択するためのマークMFのみが表示されている。ポジモードが選択されるとき、自動判別モードは解除され、フィルムMはポジフィルムであると見做される。この実施形態では、フィルムMが実際にはポジフィルムであるのにネガフィルムであると判別するおそれがある場合に、有効である。
【0050】
以上のように各実施形態は、フィルムMに記録されたカラー画像をラインセンサ30によって検出し、R、G、Bの各色成分のヒストグラムの最大有効値に基づいてフィルムMがポジフィルムであるかネガフィルムであるかを判別している。したがって、フィルムMのコマ間の領域の透過率とは関係なく、またスライドマウントに装着されたフィルムであっても、適切に判別することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像読取装置に装着されたフィルムがネガフィルムとポジフィルムのいずれであるかを常に正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である画像読取装置を示すブロック図である。
【図2】原稿移送機構、光源およびラインセンサを示す斜視図である。
【図3】画像読取ルーチンを示すフローチャートの前半部分である。
【図4】画像読取ルーチンを示すフローチャートの後半部分である。
【図5】コンピュータに接続されたディスプレイ装置の画面の一例を示す図である。
【図6】ラインセンサによって得られた画素値の分布を示すヒストグラムの図である。
【図7】図6のヒストグラムにオフセット演算を施すことによって得られたヒストグラムを示す図である。
【図8】図7のヒストグラムに係数(L2−L1)/(D−d)を乗じることにより得られたヒストグラムを示す図である。
【図9】正規化データのヒストグラムを示す図である。
【図10】図3のステップ108において実行されるネガ・ポジ自動判別のサブルーチンにおいて得られるヒストグラムを示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態である画像読取装置に接続されたコンピュータのディスプレイ装置の画面を示す図である。
【符号の説明】
30 光学センサ
M フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばフィルムスキャナに搭載され、カラー画像が記録されたフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(2行目「自然なもの」を「自然」に変えた)
フィルムに記録されたカラー画像を読み取ってディスプレイ装置の画面上に表示するとき、表示されたカラー画像の色合いが自然になるようにするため、フィルムスキャナでは色補正等の画像処理が行なわれる。この画像処理における処理内容はフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかによって異なる。そこで従来、装着されているフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを自動的に判別することができるフィルムスキャナが知られている。これは例えば、フィルムのコマ間の領域すなわち画像が記録されていない領域の情報をラインセンサによって読み取り、この領域の透過率を検出することによってフィルムの種類を判別し、あるいはフィルムがスライドマウントに装着されていれば一義的にポジフィルムであると判別するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スライドマウントに装着されるフィルムをポジフィルムであると見做す構成によると、ネガフィルムが装着された場合には利用できない。
【0004】
本発明は、例えばフィルムスキャナ(画像読取装置)に装着されたフィルムがネガフィルムとポジフィルムのいずれであるかを常に正確に判別することができるネガ・ポジ判別装置を得ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るネガ・ポジ判別装置は、フィルムから導かれた光によって露光することによりフィルムに記録されたカラー画像を検出し、このカラー画像の各色成分に対応した画像データをそれぞれ出力する光学センサと、出力が飽和しないような露光時間を用いて光学センサを露光して得られた画像データに基づいて、各色成分毎に透過率を求め、これらの透過率に基づいてフィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する判別手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】
好ましくは判別手段は、画像データを構成する画素値の出現頻度を示すヒストグラムを各色成分毎に作成するヒストグラム作成手段と、ヒストグラムの最大有効値を各色成分毎に求める最大有効値検出手段とを備え、前記各色成分毎の最大有効値の大きさに基づいて、前記フィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する。
【0007】
各色成分は例えばレッド、グリーンおよびブルーを含み、前記ヒストグラム作成手段がレッド、グリーンおよびブルーの画像データに関してヒストグラムをそれぞれ作成する。
【0008】
判別手段は、例えば、グリーンのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別する。また判別手段は、レッドのヒストグラムの最大有効値に対するブルーのヒストグラムの最大有効値の比が相対的に大きいとき、フィルムがネガフィルムであると判別してもよい。さらに判別手段は、グリーンのヒストグラムの最大有効値(GD)と、ブルーのヒストグラムの最大有効値(BD)に対するレッドのヒストグラムの最大有効値(RD)の比(BD/RD)との積(GD×BD/RD)が第1の基準値より大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別してもよい。また判別手段は例えば、ブルーのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別する。判別手段は、相対的に長い第2の露光時間を用いて得られたブルーのヒストグラムの最大有効値が第2の基準値より大きいか、または相対的に長い第3の露光時間を用いて得られたグリーンのヒストグラムの最大有効値が第3の基準値より大きいとき、フィルムがポジフィルムであると判別してもよい。
【0009】
好ましくは判別手段は、フィルムを装着しない状態において前記光学センサから所定の大きさの出力が得られるような露光時間を用いて透過率を求める。
【0010】
ネガ・ポジ判別装置は、判別手段による判別動作を解除する判別動作解除手段を備えてもよい。この場合、判別動作解除手段はフィルムがポジフィルムであると見做してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態であるネガ・ポジ判別装置を備えた画像読取装置を示すブロック図である。
【0012】
この画像読取装置において用いられる被読取原稿Mは透過原稿であり、このフィルムにはカラー画像が記録されている。フィルムMは原稿移送機構10によって矢印A方向に間欠的に移送される。フィルムMの通過経路の上方には光源20とシリンドリカルレンズ23が配設され、また下方には結像レンズ31とラインセンサ30が設けられている。光源20の点灯と消灯は光源駆動回路41によって、またラインセンサ30による画像の検出動作はラインセンサ駆動回路42によって制御される。原稿移送機構10、光源駆動回路41およびラインセンサ駆動回路42はシステムコントロール回路40から出力される指令信号に従って動作する。
【0013】
ラインセンサ30から読み出された画像データはアンプ43により増幅され、A/D変換器44によってデジタル信号に変換される。デジタルの画像データは、画像処理回路45においてシェーディング補正を施された後、メモリ46に一旦格納される。この画像データはメモリ46から読み出され、色補正、ガンマ補正等の所定の演算処理を施される。そして画像データは、インターフェース回路47において所定のフォーマットに従った信号に変換され、入出力端子48を介して、この画像読取装置の外部に設けられたコンピュータ60に出力される。画像処理回路45とインターフェース回路47は、システムコントロール回路40により制御される。
【0014】
本実施形態において、画像読取装置の全ての動作はコンピュータ60によって制御されるが、スイッチ49をシステムコントロール回路40に接続して、このスイッチ49を操作することによって画像読取装置の動作を制御するように構成してもよい。
【0015】
図2は原稿移送機構10、光源20およびラインセンサ30を示している。フィルムMは枠体11に支持され、枠体11は板状のステージ12に止め具13によって固定される。ステージ12には、フィルムMに対応した位置に、図示しない開口が形成されている。ステージ12の側端面にはラック14が形成され、このラック14には原稿送りモータ15の出力軸に設けられたピニオン16が噛合している。原稿送りモータ15はシステムコントロール回路40の制御に基づいて駆動され、フィルムMの位置が制御される。
【0016】
光源20はステージ12の上方に位置し、レッド(R)、グリーン(G)およびブルー(B)の光を出射する発光素子21R、21G、21Bを、この順序で周期的に配列して構成されているが、この配列は目的に応じて変更可能である。なお、図2では発光素子は6個だけ示されているが、さらに多くの発光素子を設けてもよく、あるいは少なくてもよい。これらの発光素子21R、21G、21Bはステージ12の幅方向に延びる細長い支持部材22に支持され、支持部材22とステージ12の間には、支持部材22と平行に延びるシリンドリカルレンズ23が配設されている。すなわち発光素子21から出射された光はシリンドリカルレンズ23によって集光され、フィルムMの上にライン状に照射される。
【0017】
ラインセンサ30はステージ12を挟んで光源20の下方に位置し、光源20とシリンドリカルレンズ23に平行に設けられている。すなわちラインセンサ30は、フィルムMが移送される方向に略直交する方向に延びている。ラインセンサ30とステージ12の間には結像レンズ31が設けられている。結像レンズ31はラインセンサ30と平行に延び、ロッドレンズアレイ32によって構成される。したがって、フィルムMに対して光源20によって光が照射されると、このフィルムMに記録された画像が、結像レンズ31を介してラインセンサ30の受光面に結像される。
【0018】
図3および図4は画像読取装置において実行される画像読取ルーチンを示すフローチャートである。図5は、コンピュータ60に接続されたディスプレイ装置の画面の一例を示し、本実施形態において画像読取装置の動作は、ディスプレイ装置の画面に表示された所定のマークを例えばマウスを用いてクリックすることにより制御される。
【0019】
ステップ102ではプリスキャンを開始するか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面に表示された「プリスキャン」のマークMPがクリックされると、ステップ102からステップ104へ進み、露出測定が実行され、後述するように最適露光時間が求められる。すなわち光源20が点灯された状態で、フィルムMが原稿移送機構10により、ステップ130において実行される本スキャンよりも粗いピッチで間欠的に移送される。この間欠移送において、光源20は、ステージ12が停止する度に発光素子21R、21G、21Bが所定の順序で点灯されるように制御される。これにより、フィルムMに記録された画像に関するR、G、Bの画像データが検出される。
【0020】
露出測定における各発光素子の点灯時間すなわちラインセンサ30に対する露光時間は、R、G、B毎に異なり、画像読取装置の電源投入時に行なわれる照明キャリブレーションにおいて決定される。すなわち露光時間は、フィルムMを装着しない状態で発光素子21R、21G、21Bを別々に点灯し、ラインセンサ30の各フォトダイオードによって検出される画素値の最大値が所定値となるように定められる。この所定値は、ラインセンサ30の出力が飽和しないように露光時間を定めるために決定され、画素値が10ビットで表される場合、例えば900である。
【0021】
さて露出測定では、まず、検出されたR、G、Bの画像データについて、画素値のレベルの度数(画素数)分布を示すヒストグラムがそれぞれ求められる。図6はヒストグラムの一例であり、横軸は画素値のレベルを示し、縦軸は画素値の出現頻度(度数)を示す。R、G、Bの各色成分のヒストグラムについて、最大画素値MXから所定量だけ小さい画素値である最大有効値Dが求められる。すなわち最大有効値Dは、各画素値の度数を最大画素値MX側から積算し、その積算値が全画素数の例えば1%に達したときの画素値であり、フィルムMに記録されたカラー画像のR、G、Bの各色成分毎の透過率に対応している。
【0022】
最適露光時間は、露出測定における露光時間tと検出された最大有効値Dと所定値(例えば1023)とに基づいて、下式によって求められる。
最適露光時間=(所定値/D)×t
最大有効値Dは各色毎に異なり、したがって最適露光時間も各色毎に異なる。ステップ122およびステップ130では、最適露光時間を用いて粗読み取りおよび本スキャンがそれぞれ実行される。
【0023】
ステップ106〜116では、フィルムMがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別するネガ・ポジ判別が行なわれ、ネガフィルムあるいはポジフィルムに応じた処理が実行される。
【0024】
ステップ106では、自動判別モードが選択されているか否かが判定される。自動判別モードは、ネガ・ポジ判別を画像読取装置において自動的に行なうモードであり、ディスプレイ装置の画面に表示された「ネガ・ポジ判別」の「自動」のマークMJをマウスを用いてクリックすることにより設定される。図5に示されるように「自動」のマークMJが黒に切換えられ、自動判別モードが選択されているとき、ステップ108においてネガ・ポジ判別が実行される。ネガ・ポジ判別については後述する。
【0025】
ステップ110では、ネガ・ポジ判別によって、フィルムMがポジフィルムであると判別されたか否かが判定される。フィルムMがネガフィルムであるとき、ステップ112においてネガ読取モード処理が実行され、ポジフィルムであるとき、ステップ116においてポジ読取モード処理が実行される。
【0026】
ステップ112のネガ読取モード処理では、ラインセンサ30の出力信号(画素値)に対して色補正とネガ/ポジ変換するための露光パラメータが求められる。まず、最大有効値Dを求めた処理と同様にして最小有効値dが求められる。すなわち最小有効値dは、各画素値の度数を最小画素値MI側から積算し、その積算値が全画素数の例えば1%に達したときの画素値である(図6参照)。露光パラメータは、最大有効値Dと最小有効値dを用いて求められる。
【0027】
次に露光パラメータの算出について説明する。
(1)式は色補正とネガ/ポジ変換を施すための式であり、これによって得られた正規化データは、メモリ46に格納されたルックアップテーブル(LUT)を参照することにより、ガンマ補正等の補正を施される。
【0028】
【数1】
【0029】
(1)式において、L1、L2は、ガンマ補正等を行うためのルックアップテーブル(LUT)の下側基準値と上側基準値である。すなわち下側基準値L1はLUTにおいて参照可能な画素値の最小値であり、上側基準値L2はLUTにおいて参照可能な画素値の最大値である。
【0030】
図6のヒストグラムH1における画素値は次の(2)式に従ってオフセット減算を施される。
X1=(画素値−d)+L1 (2)
【0031】
すなわち(画素値−d)の項によって、画素値が最小有効値dだけ減算され、ヒストグラムH1は図6の左側にシフトする。このシフト後の画素値に下側基準値L1を加算することにより、図7に示されるヒストグラムH2が得られる。
【0032】
ヒストグラムH2の実質的な分布幅W1はL1〜(D−d)+L1であるが、(3)式に従って分布幅W2に変換される。
【0033】
【数2】
【0034】
すなわち、図8のヒストグラムH2における画素値X1からオフセットL1を引いた値(X1−L1)に係数(L2−L1)/(D−d)を乗じることにより、図8に示される分布幅W2に拡大される。これに下側基準値L1を加算することにより、図8に示されるヒトグラムH3が得られる。
【0035】
次に、上側基準値L2から(2)式のX2を減じるとともに下側基準値L1を加算することにより((4)式参照))、ヒストグラムは図において左右に反転される。すなわち画像データがネガ/ポジ変換され、図9に示される正規化データのヒストグラムH4が得られる。
【0036】
【数3】
【0037】
このように画像データのヒストグラムは(4)式によって、最小有効値dから最大有効値Dの分布範囲が上側基準値L2から下側基準値L1の分布範囲へ変換される。この分布範囲の変換が、R、GおよびBの各色成分についてそれぞれ独立に行なわれることによって、各色成分のバランスがとられ、読み取られた画像が本来有する自然な色調で再現され得る。すなわち各色成分のヒストグラムの分布範囲が調整されることによって、画像データが色補正される。なお(4)式において、
L2+{(L2−L1)/(D−d)}×d
はオフセット値、
(L2−L1)/(D−d)
は係数であり、これらオフセット値と係数は露光パラメータである。これらの露光パラメータはR、G、Bの各色成分毎に求められる。
【0038】
ステップ116のポジ読取モードでは、ネガ読取モードのように露光パラメータは演算されないが、所定の補正演算処理が実行される。
【0039】
一方、ステップ106において自動判別モードが選択されていないと判定されたとき、ステップ114において、ポジ読取モードが選択されているか否かが判定される。ポジ読取モードはディスプレイ装置の画面に表示された「ポジ」のマークMFをマウスを用いてクリックすることにより選択され、このときステップ116が実行される。これに対し、ポジ読取モードが選択されていないとき、すなわちネガ読取モードが選択されているときは、ステップ112が実行される。ネガ読取モードは、ディスプレイ装置の画面に表示された「ネガ」のマークMNをマウスを用いてクリックすることにより選択される。
【0040】
ステップ112、116の実行の後、ステップ122において粗読み取りが行なわれる。すなわち、ステップ130において実行される本スキャンよりも粗いピッチでステージ12が間欠的に移送される。この間欠移送の間に、ラインセンサ30が、R、G、Bの各色成分毎に最適露光時間だけ露光されて画像データが検出される。各色成分の画像データはA/D変換器44によりデジタルの画像データに変換される。
【0041】
画像データは、画像処理回路45において、ネガフィルムの場合には、ステップ112において求められた露光パラメータを用いて色補正とネガ/ポジ変換を施され、ポジフィルムの場合には、所定の演算処理を施される。この後、画像データはガンマ補正を施された後、ステップ124の実行により、入出力端子48を介してコンピュータ60へ出力され、コンピュータ60に接続されたディスプレイ装置の画面上にカラー画像が表示される。次いでステップ126では、フィルムMが読取原点すなわち同画像の端部がラインセンサ30に対応した位置に来るように復帰する。
【0042】
ステップ128では本スキャンを開始するか否かが判定される。ユーザはディスプレイ装置の画面に表示された画像を見ることによって、本スキャンを開始するか否かを判断することができる。例えばマウスを用いて本スキャンを開始するためのマークMSをクリックすることにより、ステップ128からステップ130へ移り、本スキャンが実行される。本スキャンでは、相対的に細かいピッチで画像の読取が行なわれ、この画像はプリスキャンと同様な作用によってディスプレイ装置の画面上に表示される。そして、フィルムMは所定の読取原点の位置まで復帰せしめられ、このルーチンは終了する。
【0043】
これに対し、ステップ128において本スキャンを開始しないと判定されたとき、ステップ134において読取動作等の処理を中止するか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面上の「キャンセル」のマークMCをクリックすることによって処理の中止が選択されているとき、ステップ132が実行され、このルーチンは終了する。処理の中止が選択されていないときは、ステップ136においてプリスキャンを実行すべきか否かが判定される。ディスプレイ装置の画面に表示された「プリスキャン」のマークMPがクリックされたとき、プリスキャンを実行すべくステップ136からステップ104へ戻る。これに対し、プリスキャンを実行しないとき、ステップ128へ戻る。
【0044】
次にステップ108において実行されるネガ・ポジ判別について説明する。ネガ・ポジ判別は露出測定において求められたヒストグラムを用いて行なわれる。R、G、Bの各色成分に関するヒストグラムにおいて最大有効値がそれぞれRD、GD、BDであるとすると、Gの最大有効値GDはポジフィルムに比べてネガフィルムの場合の方が小さい傾向にあり、Rの最大有効値RDに対するBの最大有効値BDはポジフィルムに比べてネガフィルムの方が小さい傾向にある。
【0045】
したがってネガ・ポジ判別の第1の例として、(GD×BD)/RDを計算し、この計算結果が第1の基準値(例えば110)よりも大きい場合、フィルムMはポジフィルムであると判別し、それ以外の場合、フィルムMはネガフィルムであると判別することができる。すなわち、最大有効値GDが相対的に大きいとき、フィルムMがポジフィルムであると判別することができ、また最大有効値RDに対する最大有効値BDの比が相対的に小さいとき、フィルムMがネガフィルムであると判別することができるが、第1の例では、ネガ・ポジの差を顕著にするために、(GD×BD)/RDの値に応じてネガ・ポジ判別している。
【0046】
一方ネガ・ポジ判別の第2の例では、最大有効値BD、GDはポジフィルムにおいてネガフィルムよりも大きい傾向にある、という性質を利用している。この例では、Rに関しては露出測定によって得られたヒストグラムをそのまま利用するが、G、Bに関しては、異なる露光時間を用いて得られたヒストグラムを利用する。すなわち、Gに関しては露出測定における露光時間の2倍の露光時間を用いて得られたヒストグラムの最大有効値GD2を用い、Bに関しては露出測定における露光時間の3倍の露光時間を用いて得られたヒストグラムの最大有効値GD2を用いている。
【0047】
このようにR、G、Bにおいてそれぞれ露光時間を変えると、ポジフィルムとネガフィルムでは、ヒストグラムの幅が変化する。すなわち、図10に示されるように、ポジフィルムの場合、RのヒストグラムHR1に対して、GのヒストグラムHG1とBのヒストグラムHB1は、それぞれ幅が大きくなる傾向にある。これに対し、ネガフィルムの場合、R、G、BのヒストグラムHR2、HG2、HB2はポジフィルムの場合ほど差が生じない。
【0048】
したがって第2の例では、最大有効値BD2が第2の基準値より大きいか、あるいは最大有効値GD2が第3の基準値より大きいとき、フィルムMはポジフィルムであると判別し、それ以外のとき、ネガフィルムであると判別している。
【0049】
図11は本発明の他の実施形態である画像読取装置に接続されたコンピュータのディスプレイ装置の画面を示す。この図に示されるように、画面には、自動判別モードを選択するためのマークMJと、ポジモードを選択するためのマークMFのみが表示されている。ポジモードが選択されるとき、自動判別モードは解除され、フィルムMはポジフィルムであると見做される。この実施形態では、フィルムMが実際にはポジフィルムであるのにネガフィルムであると判別するおそれがある場合に、有効である。
【0050】
以上のように各実施形態は、フィルムMに記録されたカラー画像をラインセンサ30によって検出し、R、G、Bの各色成分のヒストグラムの最大有効値に基づいてフィルムMがポジフィルムであるかネガフィルムであるかを判別している。したがって、フィルムMのコマ間の領域の透過率とは関係なく、またスライドマウントに装着されたフィルムであっても、適切に判別することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、画像読取装置に装着されたフィルムがネガフィルムとポジフィルムのいずれであるかを常に正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である画像読取装置を示すブロック図である。
【図2】原稿移送機構、光源およびラインセンサを示す斜視図である。
【図3】画像読取ルーチンを示すフローチャートの前半部分である。
【図4】画像読取ルーチンを示すフローチャートの後半部分である。
【図5】コンピュータに接続されたディスプレイ装置の画面の一例を示す図である。
【図6】ラインセンサによって得られた画素値の分布を示すヒストグラムの図である。
【図7】図6のヒストグラムにオフセット演算を施すことによって得られたヒストグラムを示す図である。
【図8】図7のヒストグラムに係数(L2−L1)/(D−d)を乗じることにより得られたヒストグラムを示す図である。
【図9】正規化データのヒストグラムを示す図である。
【図10】図3のステップ108において実行されるネガ・ポジ自動判別のサブルーチンにおいて得られるヒストグラムを示す図である。
【図11】本発明の他の実施形態である画像読取装置に接続されたコンピュータのディスプレイ装置の画面を示す図である。
【符号の説明】
30 光学センサ
M フィルム
Claims (10)
- フィルムから導かれた光によって露光することにより前記フィルムに記録されたカラー画像を検出し、このカラー画像の各色成分に対応した画像データをそれぞれ出力する光学センサと、
出力が飽和しないような露光時間を用いて前記光学センサを露光して得られた画像データを構成する画素値の出現頻度を示すヒストグラムをレッド、グリーン、ブルーの少なくとも1つを含む色成分毎に作成するヒストグラム作成手段と、前記ヒストグラムの最大有効値を各色成分毎に求める最大有効値検出手段とを具備し、前記各色成分毎の最大有効値の大きさに基づいて前記フィルムがネガフィルムであるかポジフィルムであるかを判別する判別手段とを備え、
前記判別手段が、(1)ブルーのヒストグラムの最大有効値(BD)、(2)グリーンのヒストグラムの最大有効値(GD)、(3)レッドのヒストグラムの最大有効値(RD)と前記ブルーのヒストグラムの最大有効値(BD)の比、の中の何れかの値の大きさを評価することにより前記フィルムの判別を行う
ことを特徴とするネガ・ポジ判別装置。 - 前記各色成分がレッド、グリーンおよびブルーを含み、前記ヒストグラム作成手段がレッド、グリーンおよびブルーの画像データに関してヒストグラムをそれぞれ作成することを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記グリーンのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、前記判別手段は前記フィルムがポジフィルムであると判別することを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記レッドのヒストグラムの最大有効値のブルーのヒストグラムの最大有効値に対する比が相対的に小さいとき、前記判別手段は前記フィルムがネガフィルムであると判別することを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記グリーンのヒストグラムの最大有効値(GD)と、前記ブルーのヒストグラムの最大有効値(BD)の前記レッドのヒストグラムの最大有効値(RD)に対する比(BD/RD)との積(GD×BD/RD)が第1の基準値より大きいとき、前記判別手段は前記フィルムがポジフィルムであると判別することを特徴とする請求項2に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記ブルーのヒストグラムの最大有効値が相対的に大きいとき、前記判別手段は前記フィルムがポジフィルムであると判別することを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記露光時間よりも長い第2の露光時間を用いて得られたブルーのヒストグラムの最大有効値が第2の基準値より大きいか、または前記露光時間よりも長い第3の露光時間を用いて得られたグリーンのヒストグラムの最大有効値が第3の基準値より大きいとき、前記フィルムがポジフィルムであると判別することを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記判別手段は、前記フィルムを装着しない状態において前記光学センサから所定の大きさの出力が得られるような露光時間を用いて、前記ヒストグラムを求めることを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記判別手段による判別動作を解除する判別動作解除手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のネガ・ポジ判別装置。
- 前記判別動作解除手段は、前記フィルムがポジフィルムであると見做すことを特徴とする請求項9に記載のネガ・ポジ判別装置。
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