JP3569077B2 - 大型成形転写箔用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は大型成形転写箔用ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは自動車ダッシュボードまわりなどの射出成形等において成形と同時に転写印刷するインモールド成形転写用の転写箔(インモールド成形転写箔)の基材フィルムとして有用な大型成形転写箔用ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、射出成形等において成形と同時に転写印刷するインモールド成形転写用の転写箔として、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムや塩化ビニル系樹脂のフィルムを基材フィルム(ベースフィルム)として用い、ベースフィルムの表面に離型層(メジューム層)を塗工し、更にその上に印刷層を設けた積層フィルムが用いられている。
【0003】
インモールド成形転写に用いられる積層フィルムは、成形転写の後に離型層面と印刷層面との間で分離される。即ち、成形転写の後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、離型層はベースフィルムに積層した状態で成形後取り除かれる。
【0004】
このような転写法は、家庭用電化製品、自動車内装品、台所用品、化粧容器、玩具類などに使用されるプラスチック成形品に用いられている。特に、ベースフィルムとしてポリエステルフィルムを用いた転写箔が種々提案されており、例えば、特定の融解熱を有するポリエステルからなり特定の屈折率、面配向度のポリエステルフィルムを用いたもの(特開平1−45699号公報)、イソフタル酸を特定の割合で共重合した特定の融解熱を有するポリエステルからなり特定の屈折率、面配向度を有するポリエステルフィルムを用いたもの(特開平1−40400号公報)が知られている。
【0005】
ところが近年、上記のプラスチック成形品に対して、その意匠性や居住性等に関する消費者ニーズが多様化し、特に大型でかつ深絞り度の高い立体曲面構造の表面仕上げが望まれる傾向が強くなっている。
【0006】
このような深絞り度が高く複雑な形状の成形品に上記のようなポリエステルをベースフィルムに用いたインモールド成形転写用の転写箔を用いると、ポリエステルフィルムの伸びが極めて小さいため、成形工程においてフィルム破れが頻発し、転写が事実上不可能となる。この為、ポリエステルフィルムを用いた転写箔は、底が浅く、且つ単純な形状の金型を用いた成形転写においてのみ使用されているのが現状である。
【0007】
一方、塩化ビニル系樹脂フィルムをベースフィルムに用いた転写箔の場合は、深絞り度が高く、複雑な形状の成形品に対する成形性に優れているが、ポリエステルフィルムに比べてフィルムの平滑性に劣り、またフィルム表面や内部に存在する粗大物数も極めて多いため正確且つ鮮明な転写印刷ができない欠点がある。
【0008】
更に、成形品の形状は近年ますます多種多様となり、上記の深絞り性を必要とする成形転写の需要は増加してきており、転写箔のベースフィルムとしてポリエステルフィルムの平滑性を維持し、且つ塩化ビニル系樹脂フィルムの深絞り性を兼ね備えたフィルムが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解消し、平滑性と深絞り加工性に優れた転写箔の基材フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の目的は、イソフタル酸を共重合成分としエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)と、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)とを溶融混合したポリエステルブレンド物からなるフィルムであって、該ポリエステル組成物の結晶化温度が65〜170℃、二次転移温度が25〜69℃、且つ融点が260℃以下であり、そしてフィルムの融解熱が8.1cal/g以上13cal/g以下、面配向係数が0.08〜0.12、且つ100℃におけるF250値が7.5kg/mm以上15kg/mm以下であることを特徴とする大型成形転写箔用ポリエステルフィルムにより達成される。
【0011】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)は、少くとも50モル%がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであり、好ましくは70モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステルである。
【0012】
このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えばイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸を挙げることができ、特に脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
【0013】
また、共重合させることのできるアルコール成分では、例えばジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0014】
また、本発明においてブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)は、少くとも50モル%がブチレンテレフタレートからなるポリエステルであり、好ましくは70モル%以上がブチレンテレフタレートからなるポリエステルである。
【0015】
このポリエステルにおいて、第3成分として共重合させることのできる成分としては、酸成分では、例えばイソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸を挙げることができ、またアルコール成分では例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができる。
【0016】
ポリエステル(I)及びポリエステル(II)がコポリマーである場合の共重合成分の割合は、それらの種類にもよるが、結果として、後述する結晶化温度、二次転移点、融点および融解熱を満足するようにするのが好ましい。
【0017】
また、ポリエステル(I)とポリエステル(II)の混合割合も後述する結晶化温度、二次転移点、融点および融解熱を満足すれば、特に限定されるものではないが、深絞り加工性、耐熱性、平滑性等の点で、ポリエステル(I)が80〜30重量%、ポリエステル(II)が20〜70重量%の割合で混合するのが好ましい。特にポリエステル(I)が80〜60重量%、ポリエステル(II)が20〜40重量%の割合で混合すると深絞り度の高い(絞り比が0.2以上)の立体曲面構造の成形体での深絞り加工性が優れたものになるため好ましい。尚、本発明における絞り比とは、インモールド成形転写の際の立体構造を有する成形体において、成形体の深さを成形体開口部の最小長さで除した値であり、例えば成形体開口部が長方形の場合は成形体の絞り深さを成形体の縦方向長さと横方向の長さのうち最小長さで除した値、或いは成形体開口部が円形の場合は成形体の絞り深さを成形体の直径で除した値等である。
【0018】
本発明におけるポリエステル(I)及びポリエステル(II)は、それぞれその製法によって限定されることはない。例えば、テレフタル酸、エチレングリコール(または1,4−ブチレングリコール)及び共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法、あるいはジメチレンテレフタレート、エチレングリコール(または、1,4−ブチレングリコール)及び共重合成分をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合させて共重合ポリエステルとする方法、が好ましく用いられる。
【0019】
かかる溶融重合により得られたポリエステルは、更に、固相重合させて重合度を高めることができる。固相重合したポリエステルを本発明に用いると、オリゴマーがフィルム表面に析出するのを防止できるので好ましい。
【0020】
本発明におけるポリエステルを製造する際に、必要に応じ、他の添加剤例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等も添加することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、硫黄原子含有エステル化合物等を、また紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サシレート系化合物等を挙げることができる。
【0021】
本発明におけるポリエステルは、フィルムに適度の摩擦、作業性を持たせるため不活性粒子を含有させるのが好ましい。該不活性粒子としては、例えば、カオリン、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム等の微粒子、あるいは架橋シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン等の如き耐熱性のよいポリマーよりなる微粒子を挙げることができる。
【0022】
本発明において、ポリエステル(I)とポリエステル(II)とを溶融混合したポリエステルブレンド物は、結晶化温度が65〜170℃、二次転移温度が25〜69℃、且つ融点が260℃以下である。さらにフィルムの融解熱が8.1cal/g以上13cal/g以下である。
【0023】
この結晶化温度が65℃未満であると、結晶性が高すぎるため加工性が不良となり、一方結晶化温度が170℃を超えると、フィルムの厚み斑や平面性が不良となる。
【0024】
また、二次転移温度が25℃未満であると、例えばロール延伸によりフィルムを延伸する際に、フィルムがロールに粘着する等により製膜性が不良となり、一方二次転移温度が69℃を超えると、延伸性が不足し製膜性や加工性が不良となる。
【0025】
さらに、融点が260℃を超えると、射出成形の際に賦型性が不足する等成形性が不良となる。尚、融点の下限は215℃迄であることが射出成形の際の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0026】
さらに、フィルムの融解熱が8.1cal/g未満の場合、結晶性が低下し原料ポリマー乾燥時に乾燥機内でブロッキングを起こすばかりか、フィルム製膜時の厚みも悪化する。一方この融解熱が13cal/gを超えると、結晶性が高すぎる為に深絞り成形性が悪化する。
【0027】
ここで、ポリエステルブレンド物の結晶化温度、二次転移温度、融点およびフィルムの融解熱は、DSC測定機(例えば、Du Pont Instruments 910 DSC)を用い、サンプル量を約20mgとして測定される温度および熱量である。
【0028】
即ち、融点はサンプルを常温から昇温速度20℃/分で290℃まで昇温した際に得られる融解ピークの頂点の温度である。結晶化温度及びガラス転移温度は、サンプルを常温から昇温速度20℃/分で290℃まで昇温し、290℃で3分間保持後、20℃以下に急冷し、再度昇温速度20℃/分で昇温した際のガラス転移による変位温度及び結晶化ピークのピーク頂点の温度より求める。
【0029】
また、フィルムの融解熱は試料フィルムの結晶融解に伴うピークの面積を求め、下記式に従い算出する。
【0030】
【数1】
融解熱=A・S/m(cal/g)
ここで、
A:同一条件でインジウムを測定したときのチャート上での面積(cal/cm
S:試料のピーク面積(cm
m:試料の重量(g)
である。
【0031】
かかる結晶化温度、二次転移温度、融点および融解熱を有するポリエステルブレンド物は、前記ポリエステル(I)とポリエステル(II)とを上記した結晶化温度、二次転移温度、融点および融解熱となるよう溶融混合をすることにより得ることができる。例えば、ポリエステル(I)としてイソフタル酸を2〜50モル%、好ましくは5〜30モル%共重合したエチレンテレフタレートを用い、ポリエステル(II)としてポリブチレンテレフタレート或いはイソフタル酸を50モル%以下、好ましくは30モル%以下の割合で共重合したブチレンテレフタレートを用い、ポリエステル(I)を80〜30重量%、特に80〜60重量%、ポリエステル(II)を20〜70重量%、特に20〜40重量%の割合で溶融混合することにより得ることができる。
【0032】
本発明におけるポリエステルフィルムは、面配向係数が0.080以上0.120以下となる特性を有する。
【0033】
ここで、面配向係数とは、下記の式により定義されるものである。
【0034】
【数2】
f=[(nx+ny)/2]−nz
【0035】
上記式において、fは面配向係数、nx、ny、nzはそれぞれフィルムの横方向、縦方向、厚み方向の屈折率である。
【0036】
上記の屈折率は、アッベの屈折計の接眼側に偏光板アナライザーをとりつけ、単色光NaD線で、それぞれの方向の屈折率を測定したものである。尚、マウント液はヨウ化メチレンを用い、測定温度は25℃である。
【0037】
本発明におけるポリエステルフィルムは、さらに、100℃におけるF250値が1kg/mm以上、15kg/mm以下となる特性を有する。ポリエステルフィルムの100℃におけるF250値が上記の範囲にあると、深絞り度が高く複雑な形状への成形が可能になるばかりでなく、成形機へ機械的負荷が軽減され、好ましい。
【0038】
ここで、100℃におけるF250値は100℃にてフィルム(10mm幅の短冊型試料)の引張試験をチャック間隔10cm、引張速度10cm/分の条件で、試料が250%の伸度を示した時の応力を求め、この応力を試料の断面積で除して得られる値である。
【0039】
かかる面配向係数および100℃におけるF250値を有するポリエステルフィルムは、例えば本発明におけるポリエステル(I)、(II)を所定の割合で押出装置を用いて溶融し、溶融したポリエステルブレンド物をシート状に押出し、回転冷却ドラム上で急冷固化して得られた未延伸シートを所定の倍率で二軸方向に延伸して二軸延伸フィルムとすることにより得ることができる。
【0040】
本発明のポリエステルフィルムは、従来より知られている製膜方法を用いて製造することができる。例えば、上述のポリエステル(I)とポリエステル(II)とを押出機で溶融混合した後シート状に押出し、急冷して未延伸フィルムをつくり、これをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルブレンド物のガラス転移点(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。
【0041】
縦延伸フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、さらに所望により熱弛緩の処理を順次施して二軸延伸フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はポリエステルブレンド物の二次転移温度(Tg)より20℃高い温度から始めるとよい。そしてポリエステルブレンド物の融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。この延伸開始温度は(Tg+40)℃以下であることが好ましく、また延伸最高温度はTmより(100〜40)℃低い温度であることが好ましい。
【0042】
横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよい。通常逐次的に昇温する。例えばステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、各ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムの破れが起こり、好ましくない。また延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いとフィルムの熱収が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下し、好ましくない。一方延伸最高温度が(Tm−30)℃より高いとフィルムが柔らかくなり、外乱等によってフィルムの破れが起こり、好ましくない。
【0043】
上記延伸条件についてさらに説明すると、前記未延伸シートを60〜130℃、さらには90〜125℃の温度で2〜6倍、さらには2.5〜4.0倍延伸し、次いで一段目と直交する方向に60〜130℃、さらには90〜125℃の温度で2〜6倍、さらには2.5〜4.5倍延伸するのが好ましい。
【0044】
かくして得られる二軸延伸フィルムを、150〜250℃、さらには180〜230℃の温度で1秒〜10分間熱処理するのが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行い、また2段以上で行っても良い。
【0045】
本発明のポリエステルフィルムの厚みは25〜40μmであることが好ましい。この厚みが25μ未満では加工時に破れ等が生じやすくなり、一方40μmを超えるものは、加工性が悪くなるばかりでなく不経済である。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、ポリエステル及びフィルムの特性については、下記の方法で測定または評価した。
【0047】
(1)融点および融解熱
DuPont Instruments 910型 DSCを用い、ポリエステル約20mgを20℃から290℃迄20℃/分の速度で昇温させた際に得られる融解ピークの頂点温度を融点(Tm)とした。
また、融解熱はフィルム試料の結晶融解に伴うピークの面積を求め、下記式に従い算出した。
【0048】
【数3】
融解熱=A・S/M(cal/g)
A:同一条件でインジウムを測定したときのチャート上での面積(cal/cm
S:試料のピーク面積(cm
m:試料の重量(g)
【0049】
(2)結晶化温度
DuPont Instruments 910型 DSCを用い、ポリエステル約20mgを20℃から290℃迄20℃/分の速度で昇温させ、290℃で3分間溶融保持した後20℃以下迄急冷し、次いで20℃から20℃/分の速度で200℃迄再度昇温させた際の結晶化ピークのピーク頂点温度を結晶化温度(Tcc)とした。
【0050】
(3)二次転移温度
DuPont Instruments 910型 DSCを用い、ポリエステル約20mgを20℃から290℃迄20℃/分の速度で昇温させ、290℃で3分間溶融保持した後20℃以下迄急冷し、次いで20℃から20℃/分の速度で200℃迄再度昇温させた際のガラス転移による変位温度を二次転移温度(Tg)とした。
【0051】
(4)面配向係数
アッベの屈折計の接眼側に偏光板アナライザーを取り付け、マウント液にヨウ化メチレンを用い、測定温度25℃にて単色光NaD線で、フイルムの横方向屈折率(nx)、縦方向屈折率(ny)および厚さ方向屈折率(nz)屈折率を測定し、下記式により面配向係数(f)を求めた。
【0052】
【数4】
f=[(nx+ny)/2]−nz
【0053】
(5)100℃におけるF250値
東洋ボールドウィン(株)製、テンシロン万能型引張試験機に恒温槽を取り付け、100℃にて(10mm幅の短冊試験試料)の引張試験をチャック間隔10cm、引張速度10cm/分の条件で行い、試料が250%の伸度を示した時の応力を試料の断面積で除し得られた値をF250値(kg/mm)とした。
【0054】
(6)加工性
縦1000mm、横200mm、最大深さ300mmの金型を用い、270℃で予備加熱した後、フィルムを真空成形にて、金型内部に成形した。該成形時のフィルム破断の頻度によりフィルムの加工性を以下のように評価した。
○:フィルムの破断が全くない。
△:時々フィルムの破れが1〜2カ所発生する。
×:フィルムの破れが頻発し、使用不可である。
【0055】
(7)平滑性
幅(横方向)3cm×長さ(縦方向)2mのフィルムサンプルの厚みを、長さ方向に5cm間隔で測定し、測定された厚みの平均厚み、最大厚みおよび最小厚みを用い下記式により最大厚み斑および最小厚み斑を求めた。
【0056】
【数5】
最大厚み斑(%)=[(最大厚み−平均厚み)/平均厚み]×100
【0057】
【数6】
最小厚み斑(%)=[(平均厚み−最小厚み)/平均厚み]×100
【0058】
上記の最大厚み斑(%)および最小厚み斑(%)のうち大きい方の値(厚み斑(%))を用いて平滑性を評価した。尚、厚み斑(%)が5%未満であれば平滑性が良好であり、4%以下であれば特に平滑性が良好である。
【0059】
[実施例1〜6、比較例1、2、4〜6
表1に示すポリエステル(I)とポリエステル(II)とを表1に示す割合で溶融ブレンドしたポリエステル材料を回転冷却ドラム上にシート状に溶融押出し、急冷固化して未延伸シートを得、この未延伸シートを表1に示す延伸温度、延伸倍率および熱固定温度で表2に示す厚みの二軸延伸フィルムを得た。この二軸延伸フィルムを構成するポリエステルの結晶化温度、二次転移温度、融点および融解熱を表1に示す。また二軸延伸フィルムの面配向係数、100℃におけるF250値および加工性、平滑性の評価結果を表2に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0003569077
【0061】
【表2】
Figure 0003569077
【0062】
表2に示した結果より明らかなように、実施例のポリエステルフィルムは大型成形での深絞り加工性、平滑性に優れるものであった。
【0063】
【発明の効果】
本発明の大型成形転写箔用ポリエステルフィルムは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルと、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとを溶融混合したポリエステルブレンド物からなり、かつ特定の物性を有するフィルムであるため、優れた深絞り加工性、平滑性を有し、自動車の外装品、ダッシュボード等のような大型成形品の製造に有用な転写箔のベースフィルムとして極めて有用なことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は成形と同時に転写も行う成形転写法の概略を示す図である。図中の1は金型、2は射出機、3はベースフィルム、4は印刷層を含む層を示す。

Claims (1)

  1. イソフタル酸を共重合成分としエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(I)と、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)とを溶融混合したポリエステルブレンド物からなるフィルムであって、該ポリエステルブレンド物の結晶化温度が65〜170℃、二次転移温度が25〜69℃、且つ融点が260℃以下であり、そしてフィルムの融解熱が8.1cal/g以上13cal/g以下、面配向係数が0.08〜0.12、且つ100℃におけるF250値が7.5kg/mm以上15kg/mm以下であることを特徴とする大型成形転写箔用ポリエステルフィルム。
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