JP3568891B2 - オリーブ抽出物を含有してなる飲食物 - Google Patents

オリーブ抽出物を含有してなる飲食物 Download PDF

Info

Publication number
JP3568891B2
JP3568891B2 JP2000315811A JP2000315811A JP3568891B2 JP 3568891 B2 JP3568891 B2 JP 3568891B2 JP 2000315811 A JP2000315811 A JP 2000315811A JP 2000315811 A JP2000315811 A JP 2000315811A JP 3568891 B2 JP3568891 B2 JP 3568891B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extract
food
drink
effect
olive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000315811A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002186453A (ja
Inventor
憲康 久野
美保 松本
Original Assignee
日清オイリオ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日清オイリオ株式会社 filed Critical 日清オイリオ株式会社
Priority to JP2000315811A priority Critical patent/JP3568891B2/ja
Publication of JP2002186453A publication Critical patent/JP2002186453A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3568891B2 publication Critical patent/JP3568891B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • Seasonings (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリーブ(Olea europaea L.)を原料とする抽出物を含有してなる飲食物に関し、特に抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果を有する飲食物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古来から食経験豊かな植物の一つにモクセイ科、オリーブ属のオリーブ植物がある。オリーブは古くから栽培されてきた植物で、現在では地中海沿岸が代表的な栽培地域である。用途としては、特にオリーブ油として重宝されており、欧州はもちろん、日本や米国を初めとする世界各国で用いられている。オリーブ油は様々な効果を有することが知られており、古来から経験的に薬用あるいは化粧用としても用いられてきた。また、オリーブの実はそのまま食用にも用いられ、場合によっては、保存食として塩蔵されたりしている。このことから、オリーブは、安定的に入手可能で、また人体にとって安全性の高い植物材料であるといえる。しかしながら、オリーブ油を搾油した際に残るオリーブ油粕は、肥料や燃料用として用いられているに過ぎなかった。
【0003】
近年、オリーブ油に関しては、比較的酸化されにくい植物油であることが知られており、その中に含まれる微量成分のポリフェノール類が注目され、その生理的作用等について多くの研究がなされている(例えば、International Olive Oil Council、New Food Industry、Vol.34、No.4、28−52、1992)。しかしながら、オリーブに関してはオリーブ油以外についてはあまり知られておらず、特にオリーブ抽出物が有する優れた活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等を経口摂取により享受できること、および、その結果として、オリーブ植物から得られる抽出物を含有する飲食物が、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を有するものであることは、これまでに知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を有する飲食物を提供することを目的とする。
【0005】
【解決しようとする手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、オリーブ植物から得られる抽出物を経口摂取することにより、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果が発現されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、オリーブ植物から得られる抽出物(以下「オリーブ抽出物」)を含有することを特徴とする飲食物に関する。ここで、該抽出物は単なる油脂は除かれる。
本発明の飲食物に含有されるオリーブ抽出物は、好ましくは活性酸素除去機能を有するものであり、好ましくはメラニン生成抑制機能を有するものであり、好ましくは腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を有するものである。
本発明はオリーブ抽出物を抗酸化成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは抗酸化効果を有する飲食物に関する。また、特にオリーブ抽出物を酸化防止成分および/または生体内抗酸化成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは酸化防止効果および/または生体内抗酸化効果を有する飲食物に関する。
本発明はオリーブ抽出物を美肌成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは美肌効果を有する飲食物。また、特にオリーブ抽出物を美白成分および/または皮膚の抗老化成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは美白効果および/または皮膚の抗老化効果を有する飲食物に関する。
本発明はオリーブ抽出物を抗腫瘍成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは抗腫瘍効果を有する飲食物に関する。また、特にオリーブ抽出物を腫瘍増殖抑制成分および/または腫瘍転移抑制成分として含有することを特徴とする飲食物に関し、好ましくは腫瘍増殖抑制効果および/または腫瘍転移抑制効果を有する飲食物に関する。
オリーブ抽出物は、オリーブ植物の実、種子、果皮、種皮、葉、茎、芽等から、また、これらの乾燥物、粉砕物、脱脂されたものから得られ、好ましくはオリーブ植物の実および/または種子から得ることができ、さらに好ましくは脱脂されたオリーブ植物の実および/または種子から得ることができる。
また、オリーブ抽出物が、水および/または有機溶媒で抽出することにより得られるものであるものであるものが好ましく、更には、オリーブ抽出物が濃縮処理および/または分画・精製処理されたものであるものが好ましい。該濃縮処理および/または分画・精製処理することで各効果が向上し、また、不純物が除去されている等のメリットがあるため好ましい。
本発明は各種飲料や加工食品等の各種飲食物に関するものであり、好ましくは油脂または油脂加工品に関するものである。
また、本発明はオリーブ抽出物の各機能・効果を向上・組合わせることで、オリーブ抽出物を含有することを特徴とする健康用飲食物、美容用飲食物、治療用飲食物を得ることがきる。
【0006】
【実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明は、オリーブ植物の、主に実または種子、さらに、果皮、種皮、葉、茎、芽等から、また、これらの乾燥物、粉砕物、脱脂されたものから得られる抽出物(単なる油脂を除く)を含有してなる飲食物に関する。該オリーブ抽出物は、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を有するものであり、該抽出物を含有する飲食物はこれらの効果を享受することができる。特に、得られる二次的な効果としては、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等であり、本発明の飲食物は、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等の効果を有する。
本発明の飲食物は上述の通り抗酸化効果を有するが、抗酸化効果としては飲食物の保存安定性向上等の酸化防止効果、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等の生体内抗酸化効果等が挙げられる。また、同様に美肌効果を有するが、美肌効果としては、美白効果や皮膚の抗老化効果等が挙げられる。同様に本発明の飲食物は、抗腫瘍効果を有するが、抗腫瘍効果としては、腫瘍増殖抑制効果、腫瘍転移抑制効果等が挙げられる。
また、本発明は、上記各効果を得る目的でオリーブ抽出物を含有させた飲食物に関する。具体的には、オリーブ抽出物を抗酸化成分として含有する飲食物に関し、好ましくは酸化防止効果および/または生体内抗酸化成分として含有する飲食物に関する。また、オリーブ抽出物を美肌成分として含有する飲食物に関し、好ましくは美白成分および/または皮膚の抗老化成分として含有する飲食物に関する。また、オリーブ抽出物を抗腫瘍成分として含有する飲食物に関し、好ましくは腫瘍増殖抑制成分および/または腫瘍転移抑制成分として含有する飲食物に関する。
本発明の飲食物はオリーブ抽出物を含有することを特徴とするが、該抽出物は、特にオリーブ植物の実および/または種子から好適に得ることができ、さらに、脱脂されたオリーブ植物の実および/または種子から得た場合、余計な油分等を除去する必要がないため好ましい。
該抽出物は、オリーブ植物を水および/または有機溶媒で抽出することで得ることができる。ここで、有機溶媒が親水性有機溶媒である場合が好ましく、また、親水性有機溶媒がアルコールである場合が好ましい。さらにこれらの抽出物は、必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理しても良い。該濃縮処理や分画・精製処理をすることで、各効果を向上させることができ、好適に飲食物に含有させることができる。濃縮処理としては、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液々分配処理、再結晶処理、再沈殿処理、冷却により生じた析出物を回収する処理等が挙げられ、分画・精製処理としては、再結晶、再沈殿、順相および/または逆相クロマトグラフィーによる精製、脱色処理、脱臭処理等を挙げることができる。
この濃縮処理および/または分画・精製処理により、各効果すなわち抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を、必要に応じてコントロールできるので好ましい。また、分画・精製処理としてさらに各効果を向上させる処理をすることができ、また、脱色・脱臭等の処理をして無色、無臭にすることにより使用性を向上させることもできる。この場合、色や臭いによる制限を受けることなく幅広い分野で、幅広い用途に使用することができるので好ましい。
ここで、当該抽出物は、オリーブという植物由来のものであるので、人体への安全性に優れた上述の効果を有する飲食物を提供することができ、かつ、オリーブは一般的な植物であるので本発明の飲食物を安定的に供給することができる。
本発明は各種飲料や加工食品等の各種飲食物に関するものであり本発明の飲食物とは、その形態等について特に制限はないが、例えば、菓子類、飲料、加工食品、レトルト食品、各種調味料、米飯類、油脂、油脂加工品、各種レンジ食品、冷凍食品等が挙げられる。特に、継続的な摂取という面からは、米飯や各種調味料、油脂、マーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂加工品が好ましいといえる。
また、本発明はオリーブ抽出物の各機能・効果を向上・組合わせることで、オリーブ抽出物を含有することを特徴とする各種機能性飲食物を得ることができる。例えば、抗酸化効果を強化等した健康用飲食物、抗酸化効果や美肌効果を強化等した美容用飲食物、抗酸化効果や抗腫瘍効果を強化等した治療用飲食物を得ることがきる。
【0007】
本発明の原料として用いるオリーブ植物(Olea europaea L.)は、国産、欧州産などの産地、食用あるいは搾油用を問わず使用できる。また、オリーブ植物には、オリーブ油の製造工程において生じる生成物、例えば、圧搾残査、抽出残査、圧搾油、抽出油、脱ガム油滓、脱酸油滓、ダーク油、廃脱色剤、脱臭スカム、搾油ジュース、排水、廃濾過材を含むものとする。本発明における抽出物は、天然植物であるオリーブ植物の、主に実または種子から得ることができ、さらに、その果皮、葉、茎、芽から得ることができる。また、これらの乾燥物、粉砕物、脱脂物からも好適に得ることができる。
また、上記オリーブ植物の果実やその脱脂物等に、添水する等により加水した場合、蒸気により蒸す等の加湿処理を行った場合、これらオリーブ植物の果実やその脱脂物等が適度に膨潤するので、抽出効率が良くなり好ましい。
【0008】
特に、オリーブ植物の脱脂物からは、抽出物が非常に高い収率で得られ、かつ、得られた抽出物から油分を除去する必要がないため好ましい。
また、オリーブ植物または当該脱脂物に含まれる脂質成分をペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、酢酸エチルエステル等の低級脂肪酸アルキルエステル、ジエチルエーテル等の公知の非水溶性の有機溶媒の1種又は2種以上で抽出除去し、更に必要に応じてこの洗浄処理を繰り返した脱脂物も利用できる。
【0009】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、オリーブ植物から、一般的な装置を用いた任意の方法で抽出される。その抽出方法に特に制限はないが、例えば、水および/または有機溶媒で抽出することが好ましく、さらには、飲食物としての使用を考慮に入れると、水および/またはアルコールにより抽出することが好ましい。
【0010】
含水アルコールでの抽出処理する場合には、アルコール含量が10質量%〜95質量%である含水アルコールで抽出することが好ましく、さらにはアルコール含量が20質量%〜95質量%の含水アルコールを使用することが好ましく、最も好ましくはアルコール含量が30質量%〜95質量%に調製された含水アルコールであることが好ましい。
【0011】
抽出条件は、特に限定されないが、例えば、温度は5℃〜95℃、好ましくは10℃〜90℃、さらに好ましくは15℃〜85℃で、常温でも好適に抽出することができる。温度が高いほうが、抽出効率が高くなる傾向がある。圧力は、常圧でも、加圧でも、吸引等による減圧でも好適にすることができる。また、抽出効率を向上させるため、振とう抽出や、攪拌機等のついた抽出機でも抽出することができる。抽出時間は、他の抽出条件によるが、数分〜数時間であり、長時間なほど十分な抽出がなされるが、生産設備、収率等の生産条件によって適宜決めれば良い。
また抽出において、溶媒は、原料に対し1〜100倍量(「質量/質量」。以下同様。)、好ましくは1〜20倍量を使用することができる。
【0012】
本発明の飲食物においては、上記のようにして得られた抽出液、およびその溶媒および/または水分を除去した乾固物を用いることができる。溶媒および/または水分の除去は、一般的な装置を用いた任意の方法で行うことができ、特に制限は無いが、例えば、減圧蒸留、減圧・真空乾燥、凍結乾燥、スプレードライ等が挙げられる。ここで、溶媒および/または水分除去の程度を調整することで、抽出物の濃度が調整された、すなわち、該抽出物が有する活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の強さが調整された抽出液を調製することができる。
【0013】
上記抽出物は、本発明における、水系および油系のいずれの飲食物にも用いることができ、飲食物に含有させる際の制限は特にない。例えば、水系の飲食物に対する使用においては、該抽出物を、配合量によっては完全に溶解させることはできないものの、均一に懸濁させて含有させることができ、さらに必要に応じて乳化剤を添加することで、均一に溶解ないし分散させて含有させることができる。また同様に、油系の飲食物での使用においても、該抽出物を、配合量によっては完全に溶解させることはできないものの、懸濁させて含有させることができ、さらに必要に応じて乳化剤を添加することで、均一に溶解ないし分散させて含有させることができる。これらは、全抽出物を使用しているので、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の様々な機能を有するものである。
【0014】
本発明の飲食物において、これらの抽出物はそのまま用いても良いが、必要によりさらに濃縮処理および/または分画・精製処理したものを用いることができる。
【0015】
濃縮処理の方法については、特に限定されないが、例えば濃縮処理が、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液々分配処理、再結晶処理、再沈殿処理、冷却により生じた析出物を回収または除去する処理から選ばれる1種または2種以上の処理により、好適に濃縮処理することができる。
【0016】
さらに、本発明の飲食物において、該抽出物および該抽出物を濃縮処理したものを、さらに分画・精製処理して用いることができる。分画・精製処理することの利点としては、各効果を非常に向上させることができることに加え、不純物を除去することができること等が挙げられる。すなわち、該分画・精製処理した場合、本発明の飲食物に余計な色をつけることなく好適に配合することができる等のメリットがあり、好ましい。
【0017】
分画・精製処理の方法については、特に制限されないが、例えば、順相および/または逆相クロマトグラフィーによる精製、再結晶、再沈殿、脱色処理、脱臭処理から選ばれる1種または2種以上の処理により好適に分画・精製処理することができる。
【0018】
ここで、上記の濃縮処理は繰返し濃縮処理しても良く、異なる濃縮処理を組合わせても良い。同様に、分画・精製処理も繰返し分画・精製処理しても良く、異なる分画・精製処理を組合わせても良い。更に、濃縮処理を行った後に分画・精製処理しても良く、分画・精製処理を行った後に分画・精製処理しても良く、濃縮処理した後に分画・精製処理を行い更に濃縮処理することもできる。当然、前述の組み合わせ以外の組み合わせでも良い。
【0019】
また、オリーブ抽出物、該抽出物を濃縮処理および/または分画・精製処理したものは、脱色および/または脱臭処理した場合、不要な成分が除去され、かつ、無色〜淡色および/または無臭〜無臭に近い状態になり、本発明の飲食物への使用において、色や香りによる使用の制限を受けないため、好ましい。脱色および/または脱臭処理は、一般的な装置を用いた任意の方法で行うことができ、特に制限は無いが、例えば、脱色方法としては、活性炭処理や白土処理等が挙げられ、脱臭方法としては、同様に活性炭処理、白土処理が挙げられ、さらに超臨界抽出処理、水蒸気蒸留処理等が挙げられる。
【0020】
オリーブ抽出物、該抽出物を濃縮処理および/または精製処理したものは単独でも、これらを2種類以上組み合わせても使用することができる。これにより、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の各機能についてその特性等を設計することができる。これらの機能を有する抽出物を飲食料に配合することにより、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を得ることができる。
すなわち、濃縮処理および/または分画・精製処理により活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の各機能を向上させることにより、二次的に生じる効果である抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を向上させることができ、また、これらの効果を設計することができる。
【0021】
例えば、水に対する溶解特性で分類すると、抽出物は、水に容易に溶解する成分(水溶性成分)、水に溶解しにくい成分(難水溶性成分)、水に溶解しない成分(水不溶性成分)に分けることができる。すなわち、水に対する溶解特性を利用して抽出物をその溶解特性ごとに分け、それぞれの特性を有効に利用することができる。
【0022】
水溶性成分は、特に活性酸素除去機能が優れており、水溶性であるので、水系の飲食物に好適に使用することができる。一般的な抗酸化剤は、例えば植物油由来のトコフェロール類等、脂溶性(非水溶性)のものが多く、実際の使用に際しては制約を受けることも多いが、本発明における抽出物、特に水溶性成分は、活性酸素除去機能が高く、かつ水溶性であり、また乳化剤の添加により油系への使用も可能であるので、本発明の飲食物への使用において非常に応用範囲が広い。
【0023】
難水溶性成分、水不溶性成分は、特にメラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能が優れており、油系の飲食物に好適に使用することができるが、乳化剤の添加により水系への使用も可能である
【0024】
本発明の飲食物において、上記、オリーブ抽出物およびその水溶性成分、難水溶性成分、水不溶性成分は、各々単独でも、これらを2種類以上組み合わせても使用することができる。これにより、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の各機能についてその特性等を設計することができる。
【0025】
本発明における抽出物の難水溶性成分は、特にメラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能に優れていることが見出されている。特に難水溶性成分に関しては、油系での使用が好ましいが、乳化剤を配合することにより、水系への使用も可能である。特に、活性酸素除去機能等も付加する場合には、抽出物そのものを使用するか、水溶性成分と同時に配合することになるので、乳化剤を配合する等の処理を行うことが好ましい。
【0026】
本発明の飲食物は、オリーブ抽出物、および、さらに必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理を行ったものを含有することを特徴とする。ここで、オリーブ抽出物、および、さらに必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理を行ったものは、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の機能を有し、経口摂取することで、これらの機能を享受することができる。
【0027】
活性酸素除去機能とは、生体内または食品や医薬品、農薬等において、活性酸素種の生成を抑制、捕捉、消去、不均化、分解等する機能を示す。より具体的には、例えば、活性酸素種生成の原因となる金属イオンのキレート化および不活性化による活性酸素生成抑制、生成した活性酸素種の消去あるいは分解、酵素等による不均化、ラジカルの捕捉または安定化によるラジカル連鎖反応の抑制および遮断等が挙げられる。ここで、活性酸素種とは、主にスーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、パーヒドロキシラジカル、過酸化水素、一重項酸素等を示し、さらには、脂質、蛋白質、炭水化物、核酸等の過酸化物およびこれらから派生するフリーラジカルをも含むものとする。これらの活性酸素種は、食品や生体内における脂質、蛋白質、炭水化物、核酸等の様々な成分を強力に酸化し、本来の成分とは異なる成分に変換または分解してしまう。したがってこの機能は、生体内または飲食物等に含まれる成分の酸化的劣化の防御剤として有用であり、食品産業、特に水産加工品、健康食品、栄養食品、治療食品のほか、医薬品・農薬分野や化粧品分野において実利的な利用が期待されるものである。本発明における抽出物は、これらの中でも、特に、高いスーパーオキシド消去活性およびヒドロキシラジカル消去活性を有する。
【0028】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、スーパーオキシド消去活性を有する。スーパーオキシド消去活性とは、生体内で酸素分子の1電子還元により生成するスーパーオキシドを不均化、無効にする活性である。スーパーオキシドは、白血球やミトコンドリア等で生成され、酸素を利用した生命活動においてその生成を免れることは出来ないが、生体成分に酸化傷害を引き起こす作用を有するため、生成後すぐに消去されるべきものである。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)はスーパーオキシド消去活性を有し、原核生物ですら保有している生体内酵素であるが、より積極的に生体成分を保護するためにはスーパーオキシド消去活性を有する物質を摂取することが望ましい。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、そのスーパーオキシド消去活性を享受できるものであり、より効果的に生体成分を保護することで健康な体を保つことに大きく寄与するものである。
【0029】
本発明の飲食物に含有される抽出物のスーパーオキシド消去活性は、常法に則った方法、すなわちスーパーオキシド消去活性測定法にて示される。すなわちその活性とは、抽出物レベルでありながら、代表的な抗酸化剤であるBHAを上回るスーパーオキシド消去活性を有している。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、その非常に強力なスーパーオキシド消去活性を享受できるものである。
【0030】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、ヒドロキシラジカル消去活性を有する。
ヒドロキシラジカル消去活性とは、生体内で種々の要因により生成したヒドロキシラジカルを補足、安定化させる活性である。ヒドロキシラジカルは、酸素を利用した生命活動においてその生成を免れることは出来ず、非常に反応性に富む化学種であり、あらゆる生体成分を酸化損傷させ得るが、生体内にはヒドロキシラジカルに対する有効な除去機構が存在しないため、ヒドロキシラジカル消去活性を有する物質の摂取は必要不可欠である。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、そのヒドロキシラジカル消去活性を享受できるものであり、効果的に生体成分を保護することで健康な体を保つことに大きく寄与するものである。
【0031】
本発明の飲食物に含有される抽出物のヒドロキシルラジカル消去活性は、常法に則った方法、すなわちヒドロキシラジカル消去活性測定法にて示される。すなわちその活性とは、ヒドロキシラジカル消去活性が強いとされている胡麻種子抽出物と同程度のヒドロキシラジカル消去活性を有している。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、その非常に強力なヒドロキシラジカル消去活性を享受できるものである。
【0032】
また、本発明の飲食物に含有される抽出物は、スーパーオキシド消去活性およびヒドロキシラジカル消去活性の両活性を有する。通常の抗酸化剤は、スーパーオキシド消去活性またはヒドロキシラジカル消去活性のどちらかの活性しか有していない。しかしながら、本発明の飲食物に含有される抽出物は両活性を有するため、極めて汎用性が高い。
【0033】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、メラニン生成抑制機能を有する。
メラニン生成抑制機能とは、紫外線暴露、ホルモン異常、遺伝情報等の刺激を受けたメラノサイトによるメラニン色素の生合成を抑制する機能である。一般に、皮膚の色黒やシミ・ソバカスは、紫外線による刺激やホルモン異常等によってメラノサイトが刺激され、そこで生合成されたメラニン色素が皮膚に沈着して発生するものと考えられている。したがって、メラニンの生成を抑えることが出来れば、皮膚の色黒やシミ・ソバカスを予防・改善することが可能である。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、そのメラニン生成抑制機能を享受できるものであり、摂取することにより体の内面からその機能を発現させ、白く美しい肌を保つことに大きく寄与するものである。
【0034】
本発明の飲食物に含有される抽出物のメラニン生成抑制機能は、培養色素細胞を用いた試験法にて示される。色素細胞とはメラニン産生能を有する細胞であり、この細胞は通常に培養した場合、メラニン色素が蓄積して黒色化する。これに対して、この培養系内にメラニン生成抑制機能を有する物質を存在させると、メラニンの生成が抑えられ相対的に白色化する。この相対白色化の度合いから、メラニン生成抑制機能を見積ることができる。
上記試験法での評価によると、本発明の飲食物に含有される抽出物は、公知の美白剤であるアルブチンの0.5〜20倍という、高いメラニン生成抑制機能を有している。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、その非常に強力なメラニン生成抑制機能を享受できるものである。
【0035】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を有する。
腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能とは、無限増殖能を獲得した細胞の増殖を抑制する機能および無限増殖能を獲得した細胞を死滅させる機能である。これは、既に体内に発生してしまった腫瘍細胞、特には癌細胞が、それ以上増殖し生体に悪影響を及ぼすことが出来ないようにすること、および細胞活動をしていくことが出来ないようにすることを示している。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、その腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を享受できるものであり、摂取することにより予防および/または治療的に、すなわち目に見えないレベルでの癌の進行を抑えること、あるいは目に見えないレベルで発生した癌細胞を死滅させることに大きく寄与することができる。
【0036】
本発明の飲食物に含有される抽出物の腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能は、培養悪性黒色腫細胞を用いた試験法にて示される。悪性黒色腫細胞とは無限増殖能を有する細胞であるが、この培養系内に腫瘍細胞増殖抑制機能おるいは腫瘍細胞死滅機能を有する物質を存在させると、細胞の増殖が抑制される、または細胞が死滅する。したがって、細胞増殖率から、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を見積ることができる。
本発明の飲食物に含有される抽出物は、非常に低濃度でも、濃度依存的に悪性黒色腫細胞の増殖を抑制、あるいは悪性黒色腫細胞を死滅させる。すなわち、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、その非常に強力な腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を享受できるものである。
【0037】
本発明の飲食物に含有される抽出物は、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を有する。本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有することにより、これらの機能から選ばれる1種または2種以上を享受できるものである。活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の機能を有する抽出物を飲食料に配合することにより、二次的な効果として抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を得ることができる。
すなわち、濃縮処理および/または分画・精製処理により活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の各機能を向上させることにより、二次的に生じる効果である抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を向上させることができ、また、これらの効果を設計することができる。
【0038】
本発明の飲食物は、上述の通り、オリーブ抽出物、およびさらに必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理を行ったものを含有することを特徴とする。ここで、オリーブ抽出物、およびさらに必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理を行ったものは、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等の機能を有するが、これらは本発明の飲食物に含有され、経口摂取されることにより好適にそれらの機能を発現するものである。また、本発明の飲食物は、抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果の1または2以上の効果を有することを特徴とする。これらの効果は、当然、オリーブ抽出物、およびさらに必要に応じて濃縮処理および/または分画・精製処理を行ったものが有する活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等に起因する。
【0039】
本発明の飲食物は、抗酸化効果を有する。
抗酸化効果とは、飲食物や生体内における脂質、蛋白質、炭水化物、核酸等の様々な成分が酸化され、本来の成分とは異なる成分に変換または分解されてしまうことを抑制あるいは防止する効果である。したがってこの効果は、生体内または飲食物等に含まれる成分の酸化的劣化の防御の点で有用である。すなわち具体的には、飲食物の保存性向上効果等の酸化防止効果、各種疾病防止効果や抗老化効果等の生体内抗酸化効果等を得ることができる。
【0040】
酸化防止効果とは、飲食物に含有される酸化され易い成分、特に不飽和脂肪酸を含む脂質等の酸化劣化を防止する効果を示す。飲食物に含有される成分の酸化劣化は、その品質劣化、栄養性・機能性低下等の保存安定性上の問題の大きな原因となる。したがって、各種成分の酸化を抑えることができれば、飲食物の品質を安定化および保持することが可能である。この点において、本発明の飲食物は、活性酸素除去機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、各種成分の酸化を最小限に抑えることが期待でき、非常に好ましい。すなわち、本発明によれば、飲食物に含有される成分の酸化を防止することで、その保存安定性、品質、栄養性・機能性保持等の面で良好な飲食物を提供することができる。
【0041】
本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有していない同等品と比べて、明らかな酸化防止効果を有している。
すなわち、例えば、クッキーを作製し、60℃、暗所で18日間保存した後、常法に則って保存後のクッキーから油分を抽出し、そのPOVを測定比較すると、本発明の飲食物は、明らかにクッキーの主に油脂の酸化を防止しており、高い酸化防止効果を有することが分かる。
また同時に、本発明の飲食物の酸化防止効果は、オリーブ抽出物を含有していない同等品と比べて、明らかに保存安定性が向上していることからも明らかである。すなわち、例えば、クッキーを作製し、60℃、暗所で18日間保存した後に試食した結果では、オリーブ抽出物を含有していないクッキーはかなりの酸化劣化臭を有していたのに対し、本発明の通りにオリーブ抽出物を配合したクッキーは明らかに良好な風味を保持することから、飲食物の酸化防止効果により保存安定性が向上していることが分かる。
【0042】
生体内抗酸化効果とは、生体内においてその生成を免れることができない活性酸素種を除去することで、生命活動において重要な生体成分を保護する効果を示す。一般に、生体内で発生した活性酸素種は、脂質、蛋白質、糖質、核酸等の生命活動において重要な生体成分、特には不飽和脂肪酸を含有する脂質類を強力に酸化し、本来の成分とは異なる成分に変換または分解してしまう。さらに、この様な現象が体内に蓄積することが様々な疾病や老化現象の原因となることが知られているが、これに対して生体内抗酸化効果を有するものの適用が、これら疾病や老化の予防や改善等につながることも明らかになってきている。したがって、本発明の飲食物は、活性酸素除去機能を有するオリーブ抽出物を含有することより得られる生体内抗酸化効果により、生体成分を保護することで、健康を維持するものであり、さらには、活性酸素種等が引き起こす様々な疾病や老化現象を予防および/または改善するものである。
【0043】
ここで挙げる疾病とは、活性酸素種と関連があることが知られている疾病であり、例えば、動脈硬化、肝疾患、消化器疾患、糖尿病、心疾患、癌、脳血管障害、脳疾患、炎症、自己免疫疾患、ショック、皮膚疾患、眼疾患、妊娠中毒症等が挙げられる。
また、老化現象とは、受精後死亡までの全ての時依存性の現象であり、特に成熟後に起こる加齢現象を示す。例えば、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓、血液、眼、耳、性等の生理的機能の低下が挙げられ、外観的には毛髪の変化、皮膚、爪の変化、眼の変化、歯、脊椎、動脈、血色の変化等が挙げられる。これらの老化現象は、上記疾病との関連性も高く、その明確な区別は定かでない。
【0044】
また、これらの疾病や老化現象は、過酸化脂質やDNA酸化分解物等の生体酸化分解成分との密接な関連性について解明されてきている。すなわち、過酸化脂質やDNA酸化分解物等の生体酸化分解成分の生体内中での増殖を抑制すれば、様々な疾病や老化現象を予防および/または治療することができる。本発明の飲食物は、生体内抗酸化機能として、特に限定されないが、例えば、生体内過酸化脂質生成抑制効果、DNA損傷抑制効果および長寿延命効果を有するため、これらの疾病や老化現象の予防および/または治療に大きく寄与することができる。
【0045】
生体内過酸化脂質生成抑制効果とは、生体内で発生した活性酸素種に起因する、脂質の過酸化を抑制する効果を意図している。生体内において、脂質は生体膜等の構成要素として重要な役割を果たしているが、過酸化脂質が増加すると、生体膜の損傷等により組織さらには個体全体としてのホメオスタシス(恒常性)に変調をきたし、様々な病体の発現や死に至る。このため、生体内過酸化脂質生成抑制効果を有する物質の摂取が必要不可欠である。その代表的なものとして、トコフェロール(ビタミンE)類が挙げられるが、当然これだけで十分であるわけではない。特に、相乗的効果を期待するならば、生体内過酸化脂質生成抑制効果を有する、様々な物質を摂取することが望ましい。この点において、本発明の飲食物は、スーパーオキシド消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性等の活性酸素除去機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、非常に好ましい。すなわち、本発明の飲食物は、その摂取によりその生体内過酸化脂質生成抑制効果を享受でき、より効果的に生体成分を保護し、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等に大きく寄与することができる。
【0046】
生体内過酸化脂質生成抑制効果は、例えば、以下のようなヒト試験を行い、体内での存在比が比較的多く、また安定的であるホスファチジルコリン(PC)の過酸化物(PCOOH)の量から見積ることができる。
すなわち、30代の一般男性30人を15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、試験食区の人にはオリーブ抽出物を含有する飲料を、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない同等の飲料を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試飲してもらい、30日後の血中過酸化脂質(PCOOH)量を測定して、生体内過酸化脂質生成抑制効果について評価する。
この様な評価において、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有していない同等の飲食物と比較して、明らかに生体内における過酸化脂質の生成を抑制する。このことから本発明の飲食物は、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等に大きく寄与することができることが分かる。
【0047】
DNA損傷抑制効果とは、紫外線、活性酸素種、放射能、薬物等によりDNAに起こる化学的変化を抑制する効果を意図している。DNA損傷は、常に修復酵素によって修復されているが、何らかの要因により完全に修復できない場合もある。そのような原因として紫外線、活性酸素種、放射能、薬物等が挙げられるが、これらによる修復不能個所が長年蓄積されてくると、老化、疾病に至る。この点において、本発明の飲食物は、スーパーオキシド消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性等の活性酸素除去機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、活性酸素種や薬物が発生するラジカル等の影響を抑えることが期待でき、非常に好ましい。すなわち、本発明の飲食物は、摂取することによりそのDNAの損傷抑制効果を発現するものであり、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等に大きく寄与するものである。
【0048】
DNA損傷抑制効果は、例えば、以下のようなヒト試験を行い、体内でのDNA損傷の結果生じるDNA分解物の量から見積ることができる。
すなわち、30代の一般男性30人を15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、試験食区の人にはオリーブ抽出物を含有する飲料を、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない同等の飲料を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試飲してもらい、30日後の尿中DNA分解物(8−OHdG)量を測定して、DNA損傷抑制効果について評価する。
この様な評価において、本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有していない同等の飲食物と比較して、明らかに生体内におけるDNAの分解を抑制する。このことから本発明の飲食物は、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等に大きく寄与することができることが分かる。
【0049】
長寿延命効果とは、体内の異常を取り除き、正常な状態を保つことにより、より長く生きられるようにする効果を意図している。一概に老化とは、様々な生体成分の損傷(前述のような過酸化脂質やDNA損傷物、あるいは変性タンパク質等)が蓄積されてゆく現象である。生体成分の損傷ができるだけ蓄積されない状態を保つことができれば、そこには長寿延命効果が期待できる。この点において、本発明の飲食物は、活性酸素除去機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能等を有するオリーブ抽出物を含有するため、生体成分の損傷を最小限に抑えることが期待でき、非常に好ましい。すなわち、本発明の飲食物は、摂取することによりその長寿延命効果を発現するものであり、老化の予防および/または改善等に大きく寄与することができる。
【0050】
長寿延命効果は、例えば、以下のような、動物実験にて示される。人間に対する効果も下記動物実験の結果と同様の傾向を示すことが期待される。
すなわち、老化促進モデルマウス20匹を、平均体重が均等になるように10匹づつの2群に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、試験食区にはオリーブ抽出物を含有する飼料を、対照区にはオリーブ抽出物を含有していない通常飼料を水とともに自由摂取させ、寿命による自然死を遂げるまで飼育を行い、最初の死亡例の生存日数および平均生存日数を比較すればよい。
この様な評価において、通常食を与えた場合に比べて、オリーブ抽出物含有食を与えた場合には、有意に寿命が延長することが分かる。このことから本発明の飲食物は、老化の予防および/または改善等に大きく寄与することができることが分かる。
【0051】
本発明の飲食物は、美肌効果を有する。
美肌効果とは、紫外線暴露、ホルモンバランスの変化、遺伝的プログラム等の様々な要因により発生する皮膚の色黒やシミ、ソバカスを改善あるいは防止する効果、血行を促進させ肌のくすみを軽減あるいは防止する効果、肌を透明感のある美しいものにする、あるいは透明感のある美しい肌を保つ効果、肌のツヤ・張りを増す効果、肌をみずみずしいものにする、あるいはみずみずしい肌を保つ効果、肌の老化現象進行を抑制・防止する効果等を示す。また、直接見た目の効果ではないが、皮脂成分の酸化劣化等による体臭等の匂いの発生を抑制する効果も得ることができ、これも広い意味での美肌効果といえる。本発明の飲食物は、活性酸素除去機能およびメラニン生成抑制機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、上記いずれの美肌効果をも有するが、特に皮膚の色黒やシミ、ソバカスを改善あるいは防止する美白効果、肌のくすみを改善あるいは防止する血行促進効果および肌のシワ・たるみを改善あるいは防止する皮膚の抗老化効果の点において優れている。
【0052】
美白効果とは、紫外線暴露、ホルモンバランスの変化、遺伝的プログラム等の様々な要因により発生する皮膚の色黒やシミ、ソバカスを改善あるいは防止する効果、肌を透明感のある美しいものにする、あるいは透明感のある美しい肌を保つ効果、肌のくすみを軽減しツヤ・張りを増す効果等を意図している。一般に、皮膚の色黒やシミ、ソバカスは、紫外線による刺激やホルモンバランスの変化等によってメラノサイトが刺激され、そこで生合成されたメラニン色素が皮膚に沈着して発生するものと考えられている。したがって、メラニンの生成を抑えることができれば、皮膚の色黒やシミ・ソバカス、くすみ等を予防・改善することが可能である。この点において、本発明の飲食物は、メラニン生成抑制機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、メラニン色素の生成を最小限に抑えることが期待できるため、非常に好ましい。すなわち、本発明の飲食物は、摂取することによりその美白効果を発現するものであり、皮膚の色黒やシミ・ソバカス、くすみ等を改善あるいは防止し、透明感のある美しい肌を保つこと等に大きく寄与するものである。
【0053】
美白効果は、例えば、オリーブ抽出物を含有する錠菓を作成し、これを実際に摂取した場合の、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみの改善度を指標として評価すればよい。
具体的には、25〜50才の女性30人を無作為に15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、試験食区の人にはオリーブ抽出物を含有する錠菓を、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない同等の錠菓を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試食してもらい、12週間後、各被験者に、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみの改善度について自己評価してもらい、美白効果について評価する。
本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有していない同等の飲食物と比較して、明らかに、肌の色黒、シミ、ソバカスを防止し、肌のくすみを防止、改善して目立たなくすることができ、美しい肌とするものである。
【0054】
皮膚の抗老化効果とは、紫外線暴露等により発生する皮膚の光老化やホルモンバランスの変化、活性酸素傷害等の加齢に伴う皮膚の老化を予防・改善する効果を意図している。一般に、シワやたるみを引き起こす要因として、紫外線暴露や生命活動に伴って生じる活性酸素種が、皮膚の構成成分である脂質、糖質、蛋白質等に障害を起こすことが知られており、さらにはこれらの傷害が蓄積すると皮膚代謝回転が鈍くなってしまい、シワやたるみ等に代表される皮膚の老化が進行することが知られている。したがって、これら活性酸素種を除去することができれば、皮膚の構成成分の傷害や代謝回転の低下を、ひいては皮膚老化の進行を予防・改善することが可能である。この点において、本発明の飲食物は、スーパーオキシド消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性等の活性酸素除去機能を有するオリーブ抽出物を含有するため、活性酸素種の影響を最小限に抑えることが期待でき、非常に好ましい。すなわち、本発明の飲食物は、摂取することによりその皮膚への抗老化効果を発現するものであり、皮膚のシワやたるみ等の皮膚の老化を改善あるいは防止し、肌にはり、つやを与えることに大きく寄与するものである。
【0055】
皮膚への抗老化効果は、例えば、オリーブ抽出物を含有する錠菓を作成し、これを実際に摂取した場合の、シワ・たるみ、および肌のはり、つやの改善度を指標として評価すればよい。
具体的には、25〜50才の女性30人を無作為に15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、試験食区の人にはオリーブ抽出物を含有する錠菓を、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない同等の錠菓を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試食してもい、12週間後、各被験者に、シワ・たるみ、および肌のはり、つやの改善度について以下の基準で自己評価してもらい、皮膚への抗老化効果について評価する。
本発明の飲食物は、オリーブ抽出物を含有していない同等の飲食物と比較して、明らかに、シワ・たるみを防止し、肌にはり、つやを与えることができ、美しい肌とするものである。
【0056】
本発明の飲食物は、抗腫瘍効果を有し、その効果としては腫瘍増殖抑制効果、腫瘍転移抑制効果が挙げられる。
腫瘍増殖抑制効果とは、既に体内に発生してしまった腫瘍細胞、特には癌細胞が、それ以上増殖し生体に悪影響を及ぼすことが出来ないようにすることを意図しており、臨床的には癌の進行を食い止めることに、また日常的な摂取では予防的に、すなわち目に見えないレベルでの癌の進行を抑えることに大きく寄与することができる。
腫瘍転移抑制効果とは、体内に発生した腫瘍細胞、特には癌細胞が血流等に乗って他部位に到達し増殖する過程において、血流等に乗っている間に死滅させたり、他部位に辿り着いてすぐに増殖抑制あるいは死滅させることを意図しており、臨床的には癌が体中に蔓延しないようにすることに、また日常的な摂取では予防的に、すなわち目に見えないレベルでの転移を防止することに大きく寄与することができる。
【0057】
腫瘍増殖抑制効果および腫瘍転移抑制効果は、以下のような、動物実験によって示される。すなわち、ウィスター系雌ラットに、あらかじめ調製したB16メラノーマ細胞の懸濁液を静脈注射し、試験食(オリーブ抽出物含有食)または通常食(コントロール食)を与えて6週間飼育する。6週間後に肺を摘出し、肺に転移した癌病巣を摘出しその総体積から増殖抑制率を、肺に転移した癌病巣数から転移抑制率を、それぞれ算出する。この増殖抑制率および転移抑制率から腫瘍増殖抑制効果および腫瘍転移抑制効果の評価を行う。
この評価においては、通常食を与えた場合に比べて、オリーブ抽出物含有食を与えた場合には、有意に肺での癌の増殖、および肺への転移癌病巣数が減少しており、明らかに悪性黒色腫の増殖および転移を抑制することが解る。またこれは、比較的少ない含量でも効果を発揮することから、期待する腫瘍増殖抑制効果および腫瘍転移抑制効果を発揮するための添加量が少なくて済み、より副作用の無い範囲での効果が期待できる。また、濃度依存的に有効であるため、添加量の増減により、使用の目的や必要とする効果に応ずることができる。
すなわち、オリーブ抽出物を含有する飲食物は、非常に強力な腫瘍増殖・転移抑制効果を有するものである。
【0058】
本発明の飲食物は上述したような各種効果を有する。本発明の飲食物を摂取することで、各種効果を得ることができる。さらには、継続的な摂取をすることで、好適な効果を得ることができる。本発明の飲食物における抽出物の配合量は、一概には規定されず、予防か治療かという使用の目的や使用する期間、量、使用対象の種、年齢、性別、体重、さらには必要とする効果の強さに応じて適宜決めればよい。以下に限定されないが、例えば0.001質量%以上、好ましくは0.01〜50質量%、さらには0.1〜30質量%の場合が好ましい。
【0059】
また、本発明はオリーブ抽出物を抗酸化成分として含有する飲食物に関する。抗酸化成分としてとは、抗酸化効果を発揮させる目的で含有させたということであり、他の効果を有することは妨げない。抗酸化成分として含有するオリーブ抽出物は、粗抽出でも、濃縮処理および/または分画・精製処理された物でも良いが、抗酸化効果が強くなるように濃縮処理および/または分画・精製処理されたものが好ましい。このように抗酸化効果を強くするための処理方法に特に制限は無いが、例えば、濃縮処理としては、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液々分配処理、再結晶、再沈殿、冷却等により生じた析出物を回収または除去する処理等が挙げられ、分画・精製処理方法としては、順相および/または逆相クロマトグラフィーによる精製、再結晶、再沈殿、脱色処理、脱臭処理等が挙げられる。特に水に対する溶解性を利用した可溶分回収処理は、簡便かつ濃縮効果が高いので、好ましい。また、上述の様に、該オリーブ抽出物の含量は特に制限されないが、例えば抗酸化成分として0.002質量%以上、好ましくは0.01〜50質量%、さらには0.02〜30質量%の場合が好ましい。
【0060】
同様に、本発明はオリーブ抽出物を美肌成分として含有する飲食物に関する。美肌成分としてとは、美肌効果を発揮させる目的で含有させたということであり、他の効果を有することは妨げない。美肌成分として含有するオリーブ抽出物は、粗抽出でも、濃縮処理および/または分画・精製処理された物でも良いが、美肌効果が強くなるように濃縮処理および/または分画・精製処理されたものが好ましい。このように美肌効果を強くするための処理方法に特に制限は無いが、例えば、濃縮処理としては、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液々分配処理、再結晶、再沈殿、冷却等により生じた析出物を回収または除去する処理等が挙げられ、分画・精製処理方法としては、順相および/または逆相クロマトグラフィーによる精製、再結晶、再沈殿、脱色処理、脱臭処理等が挙げられる。特に水に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理は、簡便かつ濃縮効果が高いので、好ましい。この場合、水不溶分は美白効果に優れており、水可溶分は皮膚への抗老化効果に優れている。また、上述の様に、該オリーブ抽出物の含量は特に制限されないが、美肌成分として例えば0.001質量%以上、好ましくは0.01〜50質量%、さらには0.01〜30質量%の場合が好ましい。さらに、美白成分としては例えば0.001〜30質量%、好ましくは0.005〜20質量%、さらには0.01〜10質量%の場合が好ましく、皮膚への抗老化成分としては例えば0.002質量%以上、好ましくは0.01〜50質量%、さらには0.1〜30質量%の場合が好ましい。
【0061】
また、本発明はオリーブ抽出物を抗腫瘍成分として含有する飲食物に関する。抗腫瘍成分としてとは、抗腫瘍効果を発揮させる目的で含有させたということであり、他の効果を有することは妨げない。抗腫瘍成分として含有するオリーブ抽出物は、粗抽出でも、濃縮処理および/または分画・精製処理された物でも良いが、抗腫瘍効果が強くなるように濃縮処理および/または分画・精製処理されたものが好ましい。このように抗腫瘍効果を強くくするための処理方法に特に制限は無いが、例えば、濃縮処理としては、水および/または有機溶媒に対する溶解性を利用した可溶分回収処理および/または不溶分回収処理、水−疎水性有機溶媒での液々分配処理、再結晶、再沈殿、冷却等により生じた析出物を回収または除去する処理等が挙げられ、および/または分画・精製処理方法としては、順相および/または逆相クロマトグラフィーによる精製、再結晶、再沈殿、脱色処理、脱臭処理等があげられる。特に水に対する溶解性を利用した不溶分回収処理は、簡便かつ濃縮効果が高いので、好ましい。また、上述の様に、該オリーブ抽出物の含量は特に制限されないが、例えば抗腫瘍成分として例えば0.001〜50質量%、好ましくは0.01〜25質量%、さらには0.1〜15質量%の場合が好ましい。
【0062】
本発明の飲食物について、下記に具体例を列記するが、本発明はこれらに制限されるものではない。本発明の飲食物とは、その形態等について特に制限はないが、例えば、おかき、煎餅、おこし、饅頭、飴等の和菓子、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、カステラ、ドーナッツ、プリン、スポンジケーキ、ワッフル、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、チョコレート、チョコレート菓子、キャラメル、キャンデー、キューインガム、ゼリー、ホットケーキ、パン、菓子パン等の各種洋菓子、ポテトチップ等のスナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等の氷菓、乳酸飲料、乳酸菌飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、果肉飲料、機能性飲料、炭酸飲料等の清涼飲料水、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア等の嗜好品及びこれらの飲料、発酵乳、加工乳、チーズ等の乳製品、豆乳、豆腐等の大豆加工食品、ジャム、果実のシロップ漬、フラワーペースト、ピーナツペースト、フルーツペースト等のペースト類、漬物類、うどんの麺、パスタ等の穀物製品類、ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセイジ、ビーフジャーキー、ハンバーグ等の畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん等の魚貝類製品、魚、貝等の干物、鰹、鯖、鰺等の各種節、ウニ、イカ等の塩辛、スルメ、魚等のみりん干、鮭等の燻製品、のり、小魚、貝、山菜、椎茸、昆布等の佃煮、カレー、シチュー等のレトルト食品、みそ、醤油、ソース、ケチャップ、ブイヨン、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素等の各種調味料、米飯類、油脂やマーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂加工品や、油脂を含有する各種レンジ及び冷凍食品等が挙げられる。特に、継続的な摂取という面からは、米飯や各種調味料や、油脂やマーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂加工品が好ましいといえる。また、形状・性状も特に制限されず、固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状等いずれでもよく、また、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤等いずれでも良い。
【0063】
また、本発明飲食物に含有されるオリーブ抽出物は油糧原料であるオリーブ植物から得られることから、製造の点からも油脂は好ましいといえ、更にこの油脂の加工品であるマーガリン、ショートニング、マヨネーズ、ドレッシング等の油脂加工品は好ましいといえる。
【0064】
また、本発明はオリーブ抽出物の各機能・効果を向上・組合わせることで、オリーブ抽出物を含有することを特徴とする各種機能性飲食物を得ることができる。例えば、抗酸化効果を強化等した健康用飲食物、抗酸化効果や美肌効果を強化等した美容用飲食物、抗酸化効果や抗腫瘍効果を強化等した治療用飲食物を得ることがきる。
【0065】
オリーブ抽出物を含有する健康用飲食物としては、例えばオリーブ抽出物の抗酸化効果、特に生体内抗酸化効果を利用したものがあげられる。該健康用飲食物を摂取することにより、健康維持、疾病や老化の予防および/または治療等の主に健康の維持・向上等に寄与する飲食物を得ることができる。
該健康用飲食物の形態等は特に制限されない。いずれの飲食物でも良く、また、形状・性状も特に制限されない。固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状等いずれでも良く、また、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤等いずれでも良い。オリーブ抽出物の含量も特に制限されず、目的とする効果の強さ、摂取量、摂取の頻度・期間、対象者の年齢、性別、体重や、その他該健康用飲食物の品質設計等に応じて適宜調整すれば良い。オリーブ抽出物の複数の効果を利用する場合は、各効果を向上させるために濃縮処理および/または分画・精製処理した抽出物を組合わせることで効果を設計することもできる。
【0066】
オリーブ抽出物を含有する美容用飲食物としては、例えばオリーブ抽出物の美肌化効果、特に美白効果や皮膚の抗老化効果を利用したものがあげられる。該美容用飲食物を摂取することにより、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみの改善等の美白効果や、シワ・たるみ、および肌のはり、つやの改善等の皮膚の抗老化効果等の主に美容の維持・向上等に寄与する飲食物を得ることができる。
該美容用飲食物の形態等は特に制限されない。いずれの飲食物でも良く、また、形状・性状も特に制限されない。固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状等いずれでも良く、また、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤等いずれでも良い。オリーブ抽出物の含量も特に制限されず、目的とする効果の強さ、摂取量、摂取の頻度・期間、対象者の年齢、性別、体重や、その他該美容用飲食物の品質設計等に応じて適宜調整すれば良い。オリーブ抽出物の複数の効果を利用する場合は、各効果を向上させるために濃縮処理および/または分画・精製処理した抽出物を組合わせることで効果を設計することもできる。
【0067】
オリーブ抽出物を含有する治療用飲食物としては、例えばオリーブ抽出物の抗酸化効果、特に生体内抗酸化効果や、抗腫瘍効果を利用したものがあげられる。該治療用飲食物を摂取することにより、各種疾病改善等の生体内抗酸化効果や、腫瘍増殖・転移抑制効果等の主に各種疾病等の治療・改善に寄与する飲食物を得ることができる。
該治療用飲食物の形態等は特に制限されない。いずれの飲食物でも良く、また、形状・性状も特に制限されない。固体状、半固体状、ゲル状、液体状、粉末状等いずれでも良く、また、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤等いずれでも良い。オリーブ抽出物の含量も特に制限されず、目的とする効果の強さ、摂取量、摂取の頻度・期間、対象者の年齢、性別、体重や、その他該治療用飲食物の品質設計等に応じて適宜調整すれば良い。オリーブ抽出物の複数の効果を利用する場合は、各効果を向上させるために濃縮処理および/または分画・精製処理した抽出物を組合わせることで効果を設計することもできる。
【0068】
本発明によれば、オリーブ植物から得られる抽出物を含有する抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果等を有する飲食物を得ることができる。また、これらの効果等を強化・設計することで、各種機能性飲食物を得ることができる。例えば、抗酸化効果を強化等した健康用飲食物、抗酸化効果や美肌効果を強化等した美容用飲食物、抗酸化効果や抗腫瘍効果を強化等した治療用飲食物を得ることがきる。ここで、オリーブ植物は油糧原料として安定的・継続的な栽培がなされており、安定的な供給が可能であり、さらに長年食用とされてきた天然植物から得られる抽出物であるため安全性が高い飲食物を安定的に得ることができる。また、オリーブはイメージ良いことから、飲食物の原料としては非常に好適であるといえる。さらには、該オリーブ抽出物は通常廃棄しているオリーブ油の製造工程で発生する搾油粕等から好適に得られるため、資源の有効活用という面からも好ましいといえる。
【0069】
【実施例】
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
実施例1〜20、比較例1において各種抽出物を製造した。また、収率については下記の<式1>で求めた。
【0071】
【数1】
<式1> 抽出物の収率=本発明の抽出物の質量(注1)÷抽出前の原料の質量(注2)
注1:凍結乾燥により乾燥させた後、質量(g)を測定
注2:本発明の抽出物を、溶剤等で抽出する直前の果実、粕、種子の質量(g)を測定
【0072】
実施例1
国産のオリーブ(Olea europaea L.)の乾燥果実(種子を含む)1kgを破砕し、3Lのヘキサンを加え3時間抽出した。これを4度繰り返した脱脂果実について、種子を除去した後、粉砕し、再度5倍量のヘキサンで3時間抽出することで、完全に油分を除去した脱脂粕229gを得た。この脱脂粕に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物112.7gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性およびヒドロキシラジカル消去活性の評価を行った。その結果を表1および表2に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0073】
実施例2
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が80質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物79.7gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0074】
実施例3
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が70質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物97.8gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0075】
実施例4
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が50質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物111.1gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0076】
実施例5
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が40質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物112.9gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0077】
実施例6
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が20質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物110.6gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0078】
実施例7
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量の無水エタノールを加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物13.5gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0079】
実施例8
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量の水を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物118.2gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。
【0080】
実施例9
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のアセトン含量が60質量%の含水アセトンを加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物51.5gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。
【0081】
実施例10
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のTHF含量が60質量%の含水THFを加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物54.3gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。
【0082】
実施例11
実施例1と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のAN含量が60質量%の含水ANを加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物49.6gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。
【0083】
実施例12
種子を除去したオリーブの乾燥果実1kgを破砕し、その破砕した果実に、20倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物238.5g抽出物にヘキサン1.5L、水1.5Lを加えてよく攪拌した後、分液された水相を濃縮乾固して、分配抽出物126.4gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0084】
実施例13
オリーブの種子500gを破砕し、その破砕した種子に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、同様に室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物42.0gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0085】
実施例14
イタリア産のオリーブ(Olea europaea L.)を搾油し、得られた圧搾残査1kgに、3Lのヘキサンを加え3時間抽出した。これを4度繰り返した脱脂残査(884g)について、種子および夾雑物をフルイで適当に除去して、脱脂粕196gを得た。この脱脂粕に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物19.2gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0086】
実施例15
実施例14と同様の方法により得た脱脂粕に、10倍量のエタノール含量が70質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物17.4gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0087】
実施例16
イタリア産のオリーブ(Olea europaea L.)を搾油し、得られた圧搾残査1kgに、3Lのヘキサンを加え3時間抽出した。これを4度繰り返した脱脂残査884gについて、種子等を除去すること無く、これを粉砕し、粉砕脱脂残査873gを得た。この粉砕脱脂残査に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物39.5gを得た。
得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0088】
実施例17
実施例16と同様にして得た粉砕脱脂残査に、10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、得られたろ液を完全に脱エタノールして得られた抽出物の水層部分に、水不溶分回収の効率を上げることを目的として、総量が830gになるように水を加え、室温で1時間、激しく攪拌した。全量を遠心分離で処理して沈殿分を除去した後、デカンテーションにより回収した上澄みを乾燥して濃縮物22.9gを得た。
濃縮して得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った結果を表1に示す。
【0089】
実施例18
実施例1で得られた抽出物100gに、水2Lを加え、室温で1時間、激しく攪拌した。全量を遠心分離で処理した後、上澄みはデカンテーションにより除去し、残った沈殿を乾燥して抽出濃縮物10.0gを得た。
濃縮して得られた抽出物に関し、メラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0090】
実施例19
実施例14で得られた抽出物100gに、水2Lを加え、室温で1時間、激しく攪拌した。全量を遠心分離で処理した後、上澄みはデカンテーションにより除去し、残った沈殿を乾燥して抽出濃縮物42.0gを得た。
濃縮して得られた抽出物に関し、メラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0091】
実施例20
オリーブ油製造工程で得られるイタリア産の抽出残査1kgに、10倍量の、エタノール含量が65質量%である含水エタノールを加え、激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、得られたろ液を完全に脱エタノールして得られた抽出物の水層部分に、水不溶分回収の効率を上げることを目的として、総量が820gになるように水を加え、室温で1時間、激しく攪拌した。全量を遠心分離で処理した後、上澄みはデカンテーションにより除去し、残った沈殿を乾燥して濃縮物21.9gを得た。
次にこの濃縮物を、約40倍量(880g)のシリカゲルを充填したカラムを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供した。まず、充填したシリカゲルの約5倍量(4.4L)のヘキサン:酢酸エチル=3:1の溶離液で、画分1を溶出させ、さらに、充填したシリカゲルの5倍量(4.4L)のヘキサン:酢酸エチル=3:1の溶離液で、画分2を溶出させた。続けて、充填したシリカゲルの2.5倍量(2.2L)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で、画分3を溶出させ、さらに、充填したシリカゲルの10倍量(8.8L)のヘキサン:酢酸エチル=1:1の溶離液で、目的とする画分4を溶出させた。
各画分の中で、特に画分4において腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能が確認されたことから、 画分4についてヘキサンおよび酢酸エチルを除去後、真空乾燥して、目的とする分画精製物5.8gを得た。
この分画精製物に関して、分画精製物の濃度が表5の記載の各濃度になるように調整し、細胞増殖率を算出して、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を評価した。結果を表5に示す。
【0092】
比較例1
乾燥ゴマ種子1kgを破砕し、3Lのヘキサンを加え3時間抽出した。これを4度繰り返したゴマ脱脂粕526.4gを得た。このゴマ脱脂粕に10倍量のエタノール含量が60質量%の含水エタノール水溶液を加え、室温で激しく攪拌しながら3時間抽出した。全量をろ過後、ろ液を濃縮乾固して抽出物58.2gを得た。
このゴマ種子から得られた抽出物に関し、スーパーオキシド消去活性およびヒドロキシラジカル消去活性の評価を行った。その結果を表1および表2に示す。また、得られた抽出物のメラニン生成抑制機能の評価結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、収率、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数を表4に示す。
【0093】
比較例2として、合成のスーパーオキシド消去活性を有する合成の抗酸化剤であるBHAに関し、スーパーオキシド消去活性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0094】
比較例3としてビタミンCリン酸マグネシウム、比較例4としてコウジ酸に関しメラニン生成抑制機能の評価を行い、その結果(細胞白色化度と細胞生存率)を表3に、メラニン生成抑制機能指数、実質メラニン生成抑制機能指数を表4に示す。
【0095】
以下に、活性酸素除去機能、メラニン生成抑制機能、腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能について、その評価方法および評価結果を示す。活性酸素除去機能に関しては、スーパーオキシド消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性についての評価方法および評価結果を示す。
【0096】
<スーパーオキシド消去活性の評価方法>
スーパーオキシド消去活性の評価は、金田尚志、上田伸夫編集、「過酸化脂質実験法」、第136−154頁、医歯薬出版(株)1993年発刊に記載されている方法に従い、以下のように測定した。炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH10.2)1.2mLに1mg/mLのEDTA溶液50μL、1.5mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)溶液50μL、0.6mg/mLニトロブルーテトラゾリウム(NBT)溶液50μL、0.5mg/mLキサンチン溶液50μL、および、オリーブ抽出物を所定の濃度で溶解させた「試料溶液」0.1mLを加え混和した後、25℃にて10分放置する。これに0.1unit/mLキサンチンオキシダーゼ(XOD)溶液50μLを加え撹拌し、25℃にて20分間放置した。1mg/mL塩化銅溶液50μLを加え酵素反応を停止させた後、560nmの吸光度値(A)を測定し、「試料溶液」の代わりに同量の「緩衝液」を加えた物を対照溶液として同様に吸光度値(B)を測定した。また、塩化銅溶液と、「試料溶液」または「緩衝液」の添加順を逆にしたものを、それぞれ試薬ブランクとして同様に吸光度を測定し、それぞれの値をa、bとした。
一方、比較用の抗酸化剤としては、市販の抗酸化剤であるブチルヒドロキシアニソール(BHA)を用いた。BHAについては上記の測定方法を、以下の点を変更して吸光度値(A)測定した。すなわち、炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.2)は1.25mLの添加量、メタノールを用いて所定の濃度で溶解した「BHA溶液」は50μLの添加量とし、また、XOD溶液は0.2unit/mLの濃度で調製したものを用いた。「BHA溶液」の代わりに同量の「メタノール」を添加したものを対照溶液として、吸光度値(B)を測定した。また、塩化銅溶液と「BHA溶液」または「メタノール」の添加順を逆にしたものを、それぞれ試薬ブランクとして同様に吸光度値を測定し、それぞれの値をa、bとした。そして、以下の<式2>からスーパーオキシドの消去活性を算出した。ここで、式中の(C)は測定溶液系中の試料濃度を示しており、スーパーオキシドが消去されることにより吸光度値が0.1減少する活性を1単位(1unit)と定義した。この活性値が高いほどスーパーオキシド消去作用が強いことを示している。
【0097】
【数2】
<式2> スーパーオキシド消去活性(unit/(mg/mL))={(B−b)−(A−a)}/(C×0.1)
【0098】
また、スーパーオキシド消去活性収量指数を<式3>により算出した。
【0099】
【数3】
<式3> スーパーオキシド消去活性収量指数=スーパーオキシド消去活性(unit/(mg/mL))×単位原料あたりの収率(%)
【0100】
【表1】
Figure 0003568891
【0101】
表1から、本発明の抽出物は、非常に強いスーパーオキシド消去活性を有することがわかる。特に、水、無水アルコール、含水アルコールを用いて抽出した場合、本発明の抽出物は天然の抽出物であるにもかかわらず、代表的な合成抗酸化物質であるBHAと比較しても、同等〜2倍程度の消去活性を示している。単なる抽出物の段階でも、非常に強いスーパーオキシド消去活性を有することがわかる。
さらに、本発明の抽出物は収率が高いことから、スーパーオキシド消去活性収量指数は更に高いものとなっている。この指数から見ても分かる通り、同じ条件の天然原料から、より多くの、強い活性酸素除去機能を有する抽出物を得ることができることがわかる。
【0102】
<ヒドロキシラジカル消去活性の評価方法>
ヒドロキシラジカル消去活性は以下のように測定した。本実施例で用いた反応系はフェントン反応にてヒドロキシラジカルを発生させ、そのヒドロキシラジカルと脂肪酸との反応により生じるマロンジアルデヒド(MDA)をチオバルビツール酸と反応させたときに生成するチオバルビツール酸−MDAアダクトを測定する方法に基づいている。すなわち所定の濃度で溶解させた測定対象物を、リノール酸溶液(2mg/mL)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS,2mg/mL)を含む30mMのTris塩酸緩衝液(pH7.4)0.46mLで溶解し、2.5mM過酸化水素溶液0.02mLおよび2.5mM塩化鉄(II)溶液0.02mLを加え、5h、37℃で加温した。本発明の抽出物、濃縮物および精製物を含まず同様に反応したものを対照とした。加温後、10mg/mLブチルヒドロキシルトルエン(BHT)エタノール溶液0.01mLを加えた。TBA12mgおよびSDS16.2mgを蒸留水2.3mLに溶解し、これに20%(v/v)酢酸緩衝液(pH4.0)1.5mLおよび前記反応液0.2mLを加え、95℃で1時間加温した。放冷後、(532nm)における吸光度を測定した。各試料を含む反応液の吸光度をD、対照の吸光度をEとし、そのヒドロキシラジカル消去率を以下の<式4>から算出した。ヒドロキシラジカル消去率が高い方がヒドロキシラジカル消去作用が強いことを示している。
【0103】
【数4】
<式4> ヒドロキシラジカル消去率(%)={1−(E−D)/E}×100
【0104】
上記ヒドロキシラジカル消去率(%)が50%となる測定対象物の濃度を比較し、ヒドロキシラジカル消去活性の強さを比較する。
【0105】
【表2】
Figure 0003568891
【0106】
表2から、本発明の抽出物はヒドロキシラジカル消去活性に関しても、ヒドロキシラジカル消去活性が強いとされているゴマ種子からの抽出物と比較して、同程度の消去活性を示している。また、このゴマ種子からの抽出物のスーパーオキシド消去活性と本発明の抽出物のスーパーオキシド消去活性を比較すると、約8倍〜9倍である。このように本発明の抽出物は、強いスーパーオキシド消去活性とヒドロキシラジカル消去活性の両方を併せ持つ優れた活性酸素除去機能を有する抽出物であることがわかる。
【0107】
<メラニン生成抑制機能の評価方法>
6穴プレートに培地を2ml/well取り、B−16メラノーマ細胞を所定量播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%にて静置、培養する。翌日、所定濃度になるように検体試料(オリーブ各種抽出物)調製液を添加混和し、培養を継続する。培養5日目に培地を交換し、再度検体試料調製液を添加する。翌日、培地を除き、細胞を回収しPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、細胞の白色化度により評価した。なお、メラニン生成抑制機能の評価は、検体試料調製液の代わりにアルブチン(ポジティブコントロール)300μg/mlを用いて同様の操作を行った細胞の白色化度、および、検体試料無添加(コントロール)で同様にして得られた白色化度と比較して、以下の基準で評価した。
細胞の白色化度の評価基準は、以下に示す通りである。
++:ポジティブコントロールより白くなった
+:ポジティブコントロールと同程度に白くなった
±:ポジティブコントロールより白くならないが、コントロールより白くなった
−:コントロールと同程度
【0108】
細胞生存率は、各添加濃度において、前述した<式5>により求められる。
【0109】
【数5】
<式5> 細胞生存率(%)=(F÷G)×100
F:各検体添加時の生存細胞数
G:検体無添加時の細胞数
【0110】
上記方法によってメラニン生成抑制機能を評価した。
また、メラニン生成抑制機能指数を前記<式6>により算出し、同様に、実質メラニン生成抑制機能指数を前記<式7>、メラニン生成抑制機能収量指数を前記<式8>、実質メラニン生成抑制機能収量指数を前記<式9>により算出した。
【0111】
【数6】
<式6> メラニン生成抑制機能指数=H÷I
H:ポジティブコントロールの濃度(アルブチン300ppm)
I:ポジティブコントロール(アルブチン300ppm)添加時と同じ白色化度を発現する検体試料の濃度(ppm)
【0112】
【数7】
<式7> 実質メラニン生成抑制機能指数=メラニン生成抑制機能指数÷皮膚への毒性指数
【0113】
【数8】
<式8> メラニン生成抑制機能収量指数=メラニン生成抑制機能の指数×単位原料あたりの収率(%)
【0114】
【数9】
<式9> 実質メラニン生成抑制機能収量指数=実質メラニン生成抑制機能指数×単位原料あたりの収量(%)
【0115】
【表3】
Figure 0003568891
【0116】
【表4】
Figure 0003568891
【0117】
表3、4の各実施例から、本発明の抽出物は、天然原料からの単なる抽出物の状態で、優れたメラニン生成抑制機能を有する美白効果の強い美白剤として公知であるアルブチンやコウジ酸と同等以上のメラニン生成抑制機能を有し、さらに、ビタミンCリン酸マグネシウムを大幅に上回る、非常に強いメラニン生成抑制機能を有する。加えて毒性が低いことから、実質メラニン生成抑制機能指数もアルブチン以上の値を示すことが分かった。従って、実際に皮膚に使用した場合には非常に優れた美白効果を有することが分かった。
また、実施例1、実施例14、比較例1とを比較すると分かる通り、本発明の抽出物は、強いメラニン生成抑制機能を有するのと同時に、原料から収率良く得られるため、メラニン生成抑制機能収量指数、実質メラニン生成抑制機能収量指数が、他の天然原料に比べて非常に高い値が得られる。
さらに、実施例18、19から、本発明の抽出物は濃縮するとこで、メラニン生成抑制機能が大幅に向上することが分かった。実施例からは、水への溶解特性を利用し、水に容易に溶解する部分を除去する方法で濃縮された本発明の抽出物は、アルブチンの10倍という、非常に強い皮膚に対するメラニン生成抑制機能が得られている。
【0118】
<腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能の評価方法>
腫瘍細胞増殖抑制・死滅試験は以下の方法で行った。6穴プレートに培地を2ml/well取り、B−16メラノーマ細胞を所定量播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%にて静置、培養した。翌日、所定濃度になる様に検体試料調製液を添加混和し、培養を継続した。培養5日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。翌日、培地を除き、細胞を回収しPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、生存細胞数をカウントし、細胞増殖率を下記<式10>から算出した。この細胞増殖率から腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能の評価を行った。検体試料無添加での細胞増殖率(コントロール)と比較した。
【0119】
【数10】
<式10> 細胞増殖率(%)=(J÷K)×100
J:各検体添加時の生存細胞数
K:検体無添加時の細胞数
【0120】
本発明の抽出物を濃縮精製した実施例20の抽出物を、表5の記載の各濃度になるように添加し、細胞増殖率を算出して評価を行った。また、比較としてオレアノール酸を添加した場合の細胞増殖率を同様に算出し評価を行った。結果を下表5に示す。
【0121】
【表5】
Figure 0003568891
【0122】
表5から、本発明の抽出物を濃縮精製した実施例20の分画精製物では腫瘍細胞増殖抑制機能が非常に強いことが分かった。また、発癌プロモーター抑制活性を有するオレアノール酸と比較しても極めて優れた腫瘍細胞増殖抑制機能を有することが分かった。また、腫瘍細胞増殖抑制機能を発揮する濃度の2倍程度では、非常に強い腫瘍細胞死滅機能を発揮した。これは、オレアノール酸には見られない機能であった。
これにより、本発明の抽出物は非常に優れた腫瘍細胞増殖抑制・死滅機能を有することが明らかになった。
【0123】
次に、本発明の飲食物を、実際に作製した例を挙げる。
【0124】
実施例21 ドレッシング
水 46.6g
キサンタンガム 0.1g
果糖ぶどう糖液糖 5.0g
食塩 5.0g
MSG 0.3g
米酢(酸度10%) 10.0g
こしょう 適量
実施例1の抽出物 3.0g
大豆サラダ油 30.0g
上記配合比率にて、まず大豆サラダ油を除く原材料を、攪拌機付きの加温可能な容器に投入し、プロペラ攪拌機を用いて100rpmで攪拌しながら品温が90℃になるまで加熱し、品温を90℃に保持しながら25分間攪拌を行った。その後、品温が20℃になるまで冷却して大豆サラダ油と合わせてドレッシングを製造した。出来上がったドレッシングは、オリーブ風味の良好なドレッシングであった。
【0125】
実施例22 クッキー
マーガリン 70.0g
砂糖 40.0g
食塩 0.7g
全卵 20.0g
薄力粉 100.0g
実施例16で得られた抽出物 1.0g
上記配合にて原料を混合し、1個あたり10gになるように分割し、180℃で15分焼き、クッキーを製造した。
【0126】
実施例23 飲料
実施例17で得られた濃縮物 2.0g
ハチミツ 15.0g
クエン酸 0.1g
dl−リンゴ酸 0.1g
D−ソルビトール液(70%) 10.0g
安息香酸ナトリウム 0.1g
香料 適量
精製水 全量100gとする残余上記原料を均一に混合し、健康用飲料を得た。尚、後述のヒト試験に必要な量の飲料を得るために、実施例17の濃縮物を必要量追加調製した。
【0127】
実施例24 錠菓
クエン酸 1.0g
脱脂粉乳 15.0g
ショ糖脂肪酸エステル 1.0g
フレーバー 0.5g
実施例19で得られた水不溶分が濃縮された抽出物 2.5g
グラニュー糖 20.0g
乳糖 60.0g
上記原料を均一に混合し、これを造粒、打錠して一錠200mgの錠菓を得た。
【0128】
実施例25 錠菓
クエン酸 1.0g
脱脂粉乳 15.0g
ショ糖脂肪酸エステル 1.0g
フレーバー 0.5g
実施例17で得られた水可溶分が濃縮された抽出物 2.5g
グラニュー糖 20.0g
乳糖 60.0g
実施例24と同様にして、一錠200mgの錠菓を得た。
【0129】
次に、本発明の飲食物を、実際に製品や動物、ヒトに適用した場合の効果について、その効果を評価した例を挙げる。すなわち、抗酸化効果、美肌効果、腫瘍増殖・転移抑制効果について、それぞれの評価方法および評価結果を示す。
【0130】
以下に、本発明の飲食物の抗酸化効果、すなわち、酸化防止効果および生体内抗酸化効果について、その評価方法と評価結果の例を挙げる。
【0131】
実施例26 クッキーを用いた酸化防止効果の評価
実施例22と同様にしてクッキーを製造し、本評価に用いた。なお、対照には、本抽出物を配合せずにせずに製造し、本評価に用いた。
作製直後のクッキーの一定重量について、常法に則って、ヘキサンにて脂質を抽出しヘキサンを溜去した後、その脂質のPOVを測定したところ、対照のクッキーのPOVは2.1、本発明に相当するクッキーのPOVは2.3であった。これらのクッキーを60℃、暗所で18日間保存後、同様にしてPOVの測定を行なったところ、対照のクッキーのPOVは31.7にまで上昇していたのに対し、本発明に相当するクッキーのPOVは7.5であった。
また、同様にして得られたクッキーを、60℃、暗所で18日間保存後、試食した。その結果、対照のクッキーはかなりの酸化劣化臭を有していたのに対し、本発明に相当するクッキーは、保存後も良好な風味を有していた。
【0132】
この結果から、本発明の飲食物は酸化防止効果を有し、その保存安定性が高いことがわかった。
【0133】
実施例23で得られた飲料の生体内抗酸化効果、すなわち過酸化脂質生成抑制効果の評価方法と評価結果を以下に示す。
【0134】
<過酸化脂質(PCOOH)の測定法>
血清中のPCOOH量の測定は、大島らの方法に準じて行った(Lipids,31,1091,1996)。すなわち、血清に、20ppmBHTを含むクロロホルム−メタノール(2/1(v/v))溶液およびNBD−PCクロロホルム溶液を添加し、これをよく振とうした後、遠心分離してクロロホルム層を回収した。溶媒を溜去した後、HPLCに用いる移動相(クロロホルム:メタノール:水=9:50:1)に再溶解したものを、ジフェニルピレニルホスフィン(DPPP)を反応試薬としたポストカラムHPLCに供した。
【0135】
実施例27
<ヒト実験>
実施例23で得られた飲料の生体内過酸化脂質生成抑制効果についてその評価を、30代の一般男性30人を対象に行った。すなわち、30代男性30人を、試験前の血清中過酸化脂質(PCOOH)濃度の平均が均等になるように15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない実施例23の飲料と同等品を、試験食区の人には実施例23のようにして得られた飲料を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試飲してもらった。これを30日間継続してもらい、30日後に血液を採取した。血液からは遠心分離によって血清を調製し、測定まで−80℃で保管した。上記方法にて、血清中過酸化脂質(PCOOH)量を測定し、得られた結果から、実施例23で得られた飲料の生体内過酸化脂質生成抑制効果について評価した。この結果を表6に示す。
【0136】
【表6】
血清中過酸化脂質(PCOOH)量
Figure 0003568891
【0137】
上記表6において、対象区における血清中過酸化脂質(PCOOH)量と比較して、試験食区での血清中過酸化脂質(PCOOH)量は有意に低下していた。このことから、本発明の飲食物に含有されるオリーブ抽出物の水可溶分が濃縮された抽出液は、経口摂取により、生体内においてその抗酸化効果を発揮し、生体内酸化の結果生じる過酸化脂質の生成を抑制することが確認された。
【0138】
実施例23で得られた飲料の生体内抗酸化作用、すなわちDNA損傷抑制効果の評価方法と評価結果を以下に示す。
【0139】
<DNA分解物(8−OHdG)の測定法>
測定は、Asamiらの方法(Cancer Research,56,2546−2549,1996)に準じて行った。すなわち、尿を2000gにて15分間遠心分離し、その上清を孔径0.2μmのフィルターで濾過したものをサンプルとしてHPLCに供し、サンプル中の8−OHdG(8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン)を電気化学検出器にて検出した。
【0140】
実施例28
<ヒト試験>
実施例23で得られた飲料の生体内抗酸化効果についてその評価を、30代の一般男性30人を対象に行った。すなわち、30代男性20人を、試験前の尿中DNA分解物濃度の平均が均等になるように15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない実施例23の飲料と同等品を、試験食区の人には実施例23のようにして得られた飲料を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試飲してもらった。これを30日間継続してもらい、30日後に尿を採取した。上記方法にて、尿中DNA分解物(8−OHdG)量を測定し、得られた結果から、実施例23で得られた飲料の生体内抗老化効果について評価した。この結果を表7に示す。
【0141】
【表7】
尿中DNA分解物(8−OHdG)濃度
Figure 0003568891
【0142】
上記表7において、対照食区におけるDNA分解物(8−OHdG)量と比較して、試験食区での血清中過酸化脂質(PCOOH)量は有意に低下していた。このことから、本発明の飲食物に含有されるオリーブ抽出物の水可溶分が濃縮された抽出液は、経口摂取により、生体内においてその抗酸化効果を発揮し、生体内酸化の結果生じるDNA分解物の生成を抑制することが確認された。
【0143】
長寿延命効果については、実際に動物に投与した場合の評価方法および評価結果を下記に示す。
【0144】
実施例29
(老化促進モデルマウスを用いた試験)
4週齢のSAMP1系雄マウス20匹を、平均体重が均等になるように10匹づつの2群に分け、それぞれの群に下表8の飼料組成で示される飼料を水とともに自由摂取させ、寿命による自然死を遂げるまで飼育を行った。尚、必要な実施例12の分配抽出物は、適宜追加調製した。個体ごとの生存日数を記録し、群間での、最初の死亡例の生存日数、および平均生存日数を比較した。この結果を表9に示す。
【0145】
【表8】
飼料組成 (%)
Figure 0003568891
【0146】
【表9】
生存状況 (日)
Figure 0003568891
【0147】
表9から明らかなように、実施例2の抽出物を含有する飼料を投与した群(第2群)は、通常食投与群(第1群)と比較して、有意に寿命が延長しており、これはおおよそ30%の延長効果を示していた。
この結果から、本発明の飲食物が非常に有効な長寿延命効果を有することが明らかとなった。
【0148】
以下に、本発明の飲食物の美肌効果、すなわち、美白効果および皮膚の抗老化効果について、その評価方法と評価結果の例を挙げる。
【0149】
実施例24で得られた錠菓の美白効果については、これを実際に摂取した場合の、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみの改善度として評価した。
【0150】
実施例30
(試験方法)
試験は、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみで悩んでいる25〜50才一般女性30人を対象に行った。すなわち、25〜50才の女性30人を無作為に15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、対照食区の人にはオリーブ抽出物を含有していない実施例24の錠菓と同等品を、試験食区の人には実施例24のようにして得られた錠菓を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試食してもらった。試食は12週間行い、この時点で各被験者に、肌の色黒、シミ、ソバカス、くすみの改善度について以下の基準で自己評価してもらった。この結果を表10に示す。尚、実施例24の錠菓を必要量得るために、実施例19の濃縮物を追加調製した。
【0151】
Figure 0003568891
【0152】
【表10】
Figure 0003568891
【0153】
表10の結果に示される如く、実施例24の錠菓は、摂取することにより、肌の色黒、シミ、ソバカスを防止し、肌のくすみを防止、改善して目立たなくすることができ、美しい肌とすることが明らかとなった。
【0154】
実施例25で得られた錠菓の皮膚への抗老化効果については、これを実際に摂取した場合の、肌にはり、つや、シワ・たるみの改善度として評価した。
【0155】
実施例31
(試験方法)
試験は、肌のはり、つや、シワ、たるみで悩んでいる25〜50才一般女性30人を対象に行った。すなわち、25〜50才の女性30人を無作為に15人ずつの2区に分け、それぞれを対照食区および試験食区とし、対照区の人にはオリーブ抽出物を含有していない実施例25の錠菓と同等品を、試験食区の人には実施例25のようにして得られた錠菓を、毎食(朝、昼、晩)と同時に試食してもらった。試食は12週間行い、この時点で各被験者に、肌にはり、つや、シワ、たるみの改善度について以下の基準で自己評価してもらった。この結果を表11に示す。尚、実施例25の錠菓を必要量得るために、実施例17の濃縮物を追加調製した。
【0156】
Figure 0003568891
【0157】
【表11】
Figure 0003568891
【0158】
表11の結果に示される如く、実施例25の錠菓は、摂取することにより、肌にはり、つやを付与し、シワ・たるみを改善することができ、美しい肌とすることが明らかとなった。
これにより、本発明の飲食物は優れた抗老化効果を有することが明らかになった。
【0159】
次に、抗腫瘍効果については、実際に動物に投与した場合の腫瘍増殖・転移抑制効果の評価方法および評価結果を下記に示す。
【0160】
実施例32
<悪性黒色腫増殖・転移抑制試験>
悪性黒色腫増殖・転移抑制試験は以下の方法で行った。ウィスター系雌ラット(6週齢、平均体重160g)をAIN−93組成の粉末調製飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が均等になるように5群(1群8匹)に分け、あらかじめ調製してあったB16メラノーマ細胞の懸濁液を、各ラットに静脈注射した。注射後は群毎に、下記表12に示す餌組成の飼料を自由摂取させ、6週間飼育を行った。尚、実施例16の抽出物および実施例20の分画精製物は、必要量を各実施例と同様にして追加調製した。6週間後に肺を摘出し、肺に転移した癌病巣を摘出しその総体積から増殖抑制率を、肺に転移した癌病巣数から転移抑制率を、それぞれ下記<式11>および<式12>から算出した。この増殖抑制率および転移抑制率から腫瘍増殖・転移抑制効果の評価を行った。評価結果を下表13に示す。
【0161】
【表12】
飼料組成 (%)
Figure 0003568891
【0162】
【数11】
<式11> 増殖抑制率(%)=(M−L)÷M×100
L:試験食群(第2〜5群)における一個体あたり総癌体積の平均
M:通常食群(第1群)における一個体あたり総癌体積の平均
【0163】
【数12】
<式12> 転移抑制率(%)=(O−N)÷O×100
N:試験食群(第2〜5群)における一個体あたり転移癌病巣数平均
O:通常食群(第1群)における一個体あたり転移癌病巣数平均
【0164】
【表13】
腫瘍増殖・転移抑制率
Figure 0003568891
【0165】
表13から明らかなように、実施例20の分画精製物は、経口摂取することにより、コントロール群と比較して、含量依存的に肺への癌の増殖および転移を抑制した。同様に実施例16の抽出物は、実施例20の分画精製物ほど顕著ではないが、経口摂取することにより、肺への癌の増殖および転移を抑制した。
この結果から、本発明の飲食物が非常に有効な腫瘍増殖抑制効果および腫瘍転移抑制効果を有することが明らかとなった。
【0166】
【発明の効果】
飲食可能なオリーブ植物からの抽出物の油溶性成分および水溶性成分について、各種機能・効果を見出したことにより、本発明において、様々な効果を有する飲食物を提供することが可能になった。本発明のオリーブ抽出物を含有する飲食物は上述の通り各種効果を有するが、特に抗酸化効果、美肌効果、抗腫瘍効果を有する。該飲食物を摂取することにより、これらの効果を得ることができる。オリーブ抽出物を濃縮処理および/または分画・精製処理することにより各種効果を向上させることができる。また、該効果を向上させた抽出物を組合わせることで、飲食物の効果を設計することもでき、各種機能性飲食料として、健康用飲食物、美容用飲食物、治療用飲食物等を得ることもできる。
また、本発明の飲食物に含有されるオリーブ抽出物の原料がイメージの良いオリーブ植物であること、また、該オリーブ植物自体またはオリーブ油が長年食用とされてきたという安心感は、本発明の製品化を考えた場合に非常に好ましいといえる。

Claims (11)

  1. オリーブ植物(オリーブの葉を除く)を非水溶性有機溶媒で脱脂し、得られた脱脂物をアルコール又は含水アルコールで抽出することにより得られる抽出物を含有することを特徴とする飲食物。
  2. 抽出物が、アルコール又は含水アルコールで抽出した後、さらに濃縮処理および/または分画・精製処理することにより得られるものである請求項1記載の飲食物。
  3. オリーブ植物が、オリーブの実および/または種子である請求項1又は2記載の飲食物。
  4. 非水溶性有機溶媒が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチルエステル及びジエチルエーテルからなる群から選ばれる請求項1〜3のいずれか1項記載の飲食物。
  5. 非水溶性有機溶媒がヘキサンである請求項4記載の飲食物。
  6. 含水アルコールのアルコール含量が、10〜95重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の飲食物。
  7. アルコールがエタノールである請求項1〜6のいずれか1項記載の飲食物。
  8. 前記抽出物を0.001〜30質量%含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の飲食物。
  9. 飲食物が油脂または油脂加工品である請求項1〜8のいずれか1項に記載の飲食物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の抽出物を含有する飲食物用メラニン生成抑制剤。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項記載の抽出物を含有する飲食物用美白剤。
JP2000315811A 1999-10-14 2000-10-16 オリーブ抽出物を含有してなる飲食物 Expired - Fee Related JP3568891B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000315811A JP3568891B2 (ja) 1999-10-14 2000-10-16 オリーブ抽出物を含有してなる飲食物

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29303999 1999-10-14
JP29303899 1999-10-14
JP29304099 1999-10-14
JP11-293039 2000-10-13
JP2000-314348 2000-10-13
JP11-293040 2000-10-13
JP11-293038 2000-10-13
JP2000314348 2000-10-13
JP2000315811A JP3568891B2 (ja) 1999-10-14 2000-10-16 オリーブ抽出物を含有してなる飲食物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002186453A JP2002186453A (ja) 2002-07-02
JP3568891B2 true JP3568891B2 (ja) 2004-09-22

Family

ID=27530829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000315811A Expired - Fee Related JP3568891B2 (ja) 1999-10-14 2000-10-16 オリーブ抽出物を含有してなる飲食物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3568891B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3858054B2 (ja) * 2003-11-14 2006-12-13 香川県 オリーブまんでがん利用法および抗ピロリ菌活性を有する食品
JP5296957B2 (ja) * 2004-03-09 2013-09-25 株式会社創研 経口用老化防止剤
JP5308073B2 (ja) * 2008-06-04 2013-10-09 花王株式会社 ポリフェノールを高濃度に含有するオリーブオイル
FR2949059B1 (fr) * 2009-08-11 2012-12-28 Raphael Colicci Procede de preparation d'un jus integral d'olive, composition obtenue selon ce procede et son application dans le domaine de la cosmetique et de la dietetique
CN102349586B (zh) * 2011-10-11 2012-12-26 张释文 一种橄榄水果茶及其制备方法
NZ627671A (en) 2012-01-19 2016-03-31 Suntory Holdings Ltd Des(rhamnosyl) acteoside-containing olive extract
JP5730837B2 (ja) * 2012-11-05 2015-06-10 一丸ファルコス株式会社 メラニン生成抑制剤、保湿剤、美白化粧料、美容飲食品
JP6683456B2 (ja) * 2015-03-30 2020-04-22 アサヒビール株式会社 飲料又は食品、香料組成物および劣化臭生成抑制方法
JP2021017404A (ja) * 2019-07-18 2021-02-15 東亜化成株式会社 メラニン産生抑制剤、皮膚用化粧料及び皮膚外用剤
CN112641101A (zh) * 2020-12-24 2021-04-13 常州市芙丽佳生物科技有限公司 包含橄榄仁提取物的蛋白粉及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002186453A (ja) 2002-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10071073B2 (en) Compositions containing as the active ingredient components from Salvia sclarea seed
JPWO2006014028A1 (ja) サツマイモ茎葉抽出物およびその用途
US20070218150A1 (en) Active Oxygen Scavenging Agent and Moisturizing Agent Containing Wild Watermelon Extract
JP4398147B2 (ja) 美白用飲食物および経口美白剤
KR20030069991A (ko) 항상성 유지제
JP4358957B2 (ja) フリーラジカル又は活性酸素を消去もしくは低減する剤
JP4658290B2 (ja) 線維芽細胞増殖作用剤、美容用飲食品および皮膚化粧料
JP3568891B2 (ja) オリーブ抽出物を含有してなる飲食物
JP5027361B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP3735292B2 (ja) ダイエット効果のある健康食品および製剤
KR100699782B1 (ko) 댕댕이나무 추출물을 포함하는 간 기능 회복용 식품 조성물
JP5095893B2 (ja) 活性酸素消去剤
Oke et al. Economic, nutritional and medicinal values of African walnut (Tetracarpidium conophorum) in Nigeria (Hutch. & Dalziel): A review
JP2001181197A (ja) オリーブ抽出物
JP5832714B2 (ja) チロシナーゼ活性阻害剤及びメラニン産生抑制剤
JP2001098264A (ja) 抗酸化剤及び活性酸素消去剤
JP5422137B2 (ja) 美白剤、チロシナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、及び美白用皮膚外用剤
JP5085198B2 (ja) 抗酸化剤
KR20120118174A (ko) 항산화 작용을 갖는 해삼 추출물을 포함하는 조성물
JP5361431B2 (ja) 抗酸化剤
JP2002308767A (ja) 過酸化脂質生成抑制剤
JP2004002544A (ja) 抗酸化剤
KR101613681B1 (ko) 라저스트로미아 오바리폴리아 추출물을 포함하는 항산화 조성물
JP2001098267A (ja) 抗酸化剤及び活性酸素消去剤
JP2002136271A (ja) 食品添加物及びこれを添加した食品、飲料

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040616

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3568891

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040701

A072 Dismissal of procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20041012

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160625

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees